JP3451980B2 - 耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

耐食性に優れた表面処理鋼板

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JP3451980B2 JP12381799A JP12381799A JP3451980B2 JP 3451980 B2 JP3451980 B2 JP 3451980B2 JP 12381799 A JP12381799 A JP 12381799A JP 12381799 A JP12381799 A JP 12381799A JP 3451980 B2 JP3451980 B2 JP 3451980B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途等に最適な表面処理鋼板に関し、製品を取扱う作
業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さら
には使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶
出などの環境問題に適応するために、製造時および製品
中に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀
等の重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆
性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸または
その塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理
が施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメー
ト処理は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことがで
きる経済的な処理方法である。
【0003】しかし、クロメート処理は公害規制物質で
ある6価クロムを使用するものであるため、処理工程で
クロム酸塩が人体に悪影響を与えることや、排水処理後
のクロムスラッジの廃棄処理が困難であること、クロメ
ート処理後の製品から6価クロムが溶出する恐れがある
ことなど、様々な問題を有している。このため、クロム
酸類の使用管理基準が厳しくなると同時に、クロメート
処理工場の管理、排水処理およびクロメート処理物によ
る二次汚染などに対する対策が求められ、例えば、各工
場では排水関係をクローズド化し、クロムイオンが外部
に排出するのを極力防止する対策を講じているのが現状
である。さらに、ユーザーにおいては、クロメート処理
鋼板の防錆油やプレス油の脱脂工程において、アルカリ
系の脱脂液を用いた場合に特にクロムの溶出が多いた
め、使用された脱脂液の脱クロム処理が必要となる。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術が数多く提案されており、このなか
で、例えば、無機化合物、有機化合物、有機高分子材料
或いはこれらを組み合わせた溶液を用い、浸漬、塗布、
電解処理などの方法により薄膜を生成させる方法が知ら
れている。
【0005】具体的には、以下のようなものが開示され
ている。 (1)ジルコン酸または炭酸ジルコニウムのアルカリ性
水溶液にキレート化合物、アミン化合物、不働態化剤、
ケイ酸塩、リン酸塩を共存させた水溶液を用いる処理法
(特開昭50−147442号) (2)ケイ酸を含む水溶液に、さらにリン酸イオン、モ
リブデン酸イオンなどを添加した処理液を用いる処理法
(特開昭52−90435号) (3)揮発性塩基を加えてアルカリ性としたケイ酸水溶
液にリン酸塩を添加した処理液を用いる処理法(特開昭
54−5835号公報) (4)ケイ素などを含むフルオロ金属酸アニオン、リン
含有無機アニオン及び金属カチオン成分からなる水性液
状組成物を用いる処理法(特開平7−145486号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら(1)
〜(4)のいずれの従来技術においても、得られる皮膜
の耐食性は十分ではない。これは、いずれの皮膜におい
ても膜自体に欠陥部が存在し、腐食促進因子に対するバ
リヤー性が十分でないためである。したがって本発明の
目的は、このような従来技術の課題を解決し、皮膜中に
6価クロム等の重金属を含まず、製造工程や使用する際
にも安全、無害であって、しかも優れた耐食性が得られ
る表面処理鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に特定の複合
酸化物皮膜を形成することにより、環境や人体に悪影響
を及ぼすおそれのあるクロメート処理を行うことなく、
無公害で且つ従来のクロメート処理鋼板に較べて耐食性
が優れた表面処理鋼板が得られることを見い出した。本
発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特
徴とする構成は以下の通りである。
【0008】[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、(α)ケイ素成分をSiO
算量で0.010〜3000mg/m、(β)Mg成
分および/またはCa成分をMg換算量およびCa換算
量の合計で0.010〜1000mg/m、(γ)リ
ン酸および/またはリン酸化合物をP換算量で
0.010〜3000mg/m、を含有し、成分
(α)、(β)および(γ)の上記付着量の合計が1.
0〜5000mg/mである複合酸化物皮膜を有する
ことを特徴とする耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0009】[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、複
合酸化物皮膜中のMg成分および/またはCa成分とケ
イ素成分との割合が、Mg成分および/またはCa成分
のMg換算およびCa換算での合計量とケイ素成分のS
iO換算量とのモル比[Mg・Ca/SiO]で1
/10〜100/1の範囲であることを特徴とする耐食
性に優れた表面処理鋼板。
【0010】[3] 上記[1]または[2]の表面処理鋼板にお
いて、複合酸化物皮膜中のリン酸および/またはリン酸
化合物とMg成分および/またはCa成分との割合が、
リン酸および/またはリン酸化合物のP換算量と
Mg成分および/またはCa成分のMg換算およびCa
換算での合計量とのモル比[P/Mg・Ca]で
1/100〜100/1の範囲であることを特徴とする
耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0011】このような特定の複合酸化物皮膜を有する
本発明の表面処理鋼板が優れた耐食性を示す理由は必ず
しも明らかではないが、以下のように推定される。ま
ず、皮膜中のケイ素成分は腐食環境下においてケイ酸イ
オンを放出し、塩素イオン環境下において生成する亜鉛
の腐食生成物である塩基性塩化亜鉛を安定化する、或い
は腐食反応により放出される亜鉛などのめっき皮膜成分
と安定な化合物を形成するなどの機構により、耐食性向
上に寄与するものと考えられる。また、Mg成分やCa
成分は、特に腐食反応のうちカソード反応においてOH
イオンが放出される結果、アルカリ環境において難溶性
の水酸化物を形成してカソードサイトを封鎖し、腐食反
応抑制に寄与するものと考えられる。さらに、リン酸成
分はめっき成分である亜鉛やアルミニウムと難溶性の化
合物を形成する、或いはMg成分、Ca成分、シリカな
どのケイ素成分とともに緻密なバリヤー性皮膜を形成
し、腐食因子を遮断する効果があるものと考えられる。
【0012】これらの成分による耐食性向上効果はいず
れも単独でも有効であるが、そのレベルは十分なもので
はない。本発明の表面処理鋼板に形成される複合酸化物
皮膜のように、それら3成分が共存する場合に特に耐食
性レベルが良好となる。このような3成分による相乗効
果が得られる理由については必ずしも明らかではない
が、これら3成分が共存する場合に複合酸化物皮膜の緻
密性が特に高くなるためであると考えられる。また、皮
膜がめっき表面を被覆していない欠陥部が生じても、こ
れら3成分が有効に作用して腐食過程において難溶性の
化合物を形成し、バリヤー性を補うものと推定される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜
中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合め
っき鋼板(例えば、Zn−SiO分散めっき鋼板)な
どを用いることができる。
【0014】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の表面処理鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板等を用い
ることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に
予めNi等の薄目付めっきを施し、その上に上記のよう
な各種めっきを施したものであってもよい。めっき方法
としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中
での電解)、溶融法および気相法のうち、実施可能ない
ずれの方法を採用することもできる。
【0015】また、亜鉛系めっき鋼板を下地鋼板として
用いる場合には、湿潤環境において複合酸化物皮膜を形
成した亜鉛系めっき表面が黒色化(亜鉛腐食生成物の生
成による外観黒色化)することを防止する目的で、亜鉛
系めっき表面に予めNiおよび/またはCoを置換析出
させる処理を行ってもよい。
【0016】次に、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に形成される複合酸化物皮膜につ
いて説明する。この複合酸化物皮膜は、(α)ケイ素成
分、(β)Mg成分および/またはCa成分、および
(γ)リン酸および/またはリン酸化合物を、それぞれ
特定の付着量で含有する複合酸化物皮膜である。このよ
うな複合酸化物皮膜の形態や構成成分の存在形態に特別
な制約はない。
【0017】上記成分(α)であるケイ素成分について
は、シリカ単独の酸化物微粒子として複合酸化物皮膜中
に分散した形態、或いはシロキサン結合からなる無機高
分子体として皮膜中に存在する形態など、その存在形態
は特に限定されない。上記成分(β)であるMg成分お
よび/またはCa成分についても、その存在形態に特別
な制約はなく、Mg、Caとしてだけでなく、それらの
化合物または複合化合物として存在していればよい。例
えば、Mg、Caの酸化物または水酸化物、リン酸との
無定形の化合物、或いはリン酸マグネシウムのようなリ
ン酸塩などの形態で存在してもよい。
【0018】また、上記(γ)成分であるリン酸成分
(リン酸および/またはリン酸化合物)についても、そ
の存在形態に特別な制約はなく、酸化物を構成するMg
などのカチオンのリン酸塩、オルトリン酸などの単量
体、ピロリン酸、ポリリン酸などの重合体など、いずれ
の形態で存在していもよい。さらに、重合体について
は、鎖状、環状のいずれの形態でもよい。また、複合酸
化物皮膜には有機成分が複合化されていてもよく、例え
ばイノシトールのリン酸エステル化合物の水溶液や水溶
性高分子を添加した処理液を塗布・乾燥して得られる複
合酸化物皮膜であってもよい。
【0019】複合酸化物皮膜には、Mg、Ca以外の金
属成分が含有されていてもよく、例えば、Al、Sr、
Ba、Hf、Ti、Y、Sc、Ce、La、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Y
b、Lu、Ni、Co、Fe、Mnなどの金属が、金属
として或いは酸化物、水酸化物、リン酸塩などの化合
物、複合化合物として1種以上含まれていてもよい。こ
れらの中でも、Sr(Sr、Srの化合物、Srの複合
化合物の1種以上)の添加は耐食性の向上に特に有効で
ある。また、亜鉛を添加した場合には、複合酸化物皮膜
の難溶性向上などの効果が得られるため耐食性が向上す
る。
【0020】複合酸化物皮膜中でのケイ素成分の付着量
は、SiO換算で0.010〜3000mg/m
好ましくは0.1〜1000mg/m、より好ましく
は1〜200mg/mとする。ケイ素成分の付着量が
0.010mg/m未満ではその効果が十分に得られ
ず、耐食性が十分でない。一方、ケイ素成分の付着量が
3000mg/mを超えると、皮膜が脆くなる、導電
性が低下するなどの問題が生じる。
【0021】複合酸化物にケイ素成分を導入する方法に
特別な制約はないが、処理液が水溶液系の場合には、シ
リカゾルなどの酸化物ゾル或いはアルカリケイ酸塩など
を処理液に添加すればよい。また、処理液が溶剤系の場
合には、シリコーン樹脂の使用も可能である。さらに
は、アルキルケイ酸塩をケイ素成分として使用してもよ
い。
【0022】複合酸化物中のMg成分および/またはC
a成分の付着量は、Mg換算およびCa換算の合計で
0.010〜1000mg/m、好ましくは0.1〜
500mg/m、より好ましくは1〜100mg/m
とする。Mg成分および/またはCa成分の付着量の
合計が0.010mg/m未満ではその効果が十分に
得られず、耐食性が十分でない。一方、Mg成分および
/またはCa成分の付着量の合計が1000mg/m
を超えると、複合酸化物皮膜中の可溶性Mg成分量、可
溶性Ca成分量が大きくなり、湿潤環境における皮膜外
観の低下を引き起こす。また、複合酸化物皮膜の密着性
も低下する。
【0023】皮膜中にMg成分、Ca成分を導入する方
法に特別な制約はないが、処理液が水溶液系の場合に
は、Mg、Caのリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物な
どや酸化マグネシウムゾルのような酸化物微粒子などと
して添加すればよい。特に、本発明の複合酸化物皮膜は
リン酸を構成成分としているため、リン酸マグネシウム
などのリン酸塩が特に好適である。このリン酸マグネシ
ウムの形態も特に規定されず、オルトリン酸塩、ピロリ
ン酸塩、トリポリリン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩
など、いずれの形態も可能である。
【0024】複合酸化物皮膜中のリン酸および/または
リン酸化合物の付着量は、P換算で0.010〜
3000mg/m、好ましくは0.1〜1000mg
/m 、より好ましくは1〜500mg/mとする。
リン酸および/またはリン酸化合物の付着量が0.01
0mg/m未満では耐食性が十分でない。一方、リン
酸および/またはリン酸化合物の付着量が3000mg
/mを超えると皮膜が脆くなり、皮膜の密着性が不良
となる、導電性が低下するなどの問題が生じる。
【0025】皮膜中にリン酸及び/またはリン酸化合物
を導入する方法として、処理液が水溶液系の場合、処理
組成物中にオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、有
機リン酸またはその塩(例えば、フィチン酸、フィチン
酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩)などの金属塩や化合
物を添加する方法が挙げられる。
【0026】また、本発明の複合酸化物皮膜において、
上記ケイ素成分のSiO換算での付着量と上記Mg成
分および/またはCa成分のMg換算およびCa換算で
の合計付着量と上記リン酸および/またはリン酸化合物
のP換算での付着量の合計((α)+(β)+
(γ))は1.0〜5000mg/m、好ましくは1
0〜1000mg/m、より好ましくは50〜500
mg/mとする。この合計付着量が1.0mg/m
未満では耐食性が十分でなく、一方、合計付着量が50
00mg/mを超えると溶接性などの導電性が低下す
る。
【0027】また、特に優れた耐食性を得るためには、
複合酸化物皮膜中のMg成分および/またはCa成分と
ケイ素成分との割合を、Mg成分および/またはCa成
分のMg換算およびCa換算での合計量とケイ素成分の
SiO換算量とのモル比[Mg・Ca/SiO]で
1/10〜100/1、より好ましくは1/5〜10/
1、さらに好ましくは1/2〜5/1の範囲とすること
が適当である。Mgおよび/またはCa成分とケイ素成
分との割合を上記の範囲とした場合に特に優れた耐食性
が得られる理由は必ずしも明らかではないが、Mg成分
および/またはCa成分とケイ素成分との割合が上記の
範囲となる場合に、特に緻密なバリヤー皮膜が形成され
るためであると推定される。
【0028】また、同様の観点から、複合酸化物皮膜中
のリン酸成分(リン酸および/またはリン酸化合物)と
Mg成分および/またはCa成分との割合を、リン酸成
分のP換算量とMg成分および/またはCa成分
のMg換算およびCa換算での合計量とのモル比[P
/Mg・Ca]で1/100〜100/1、より好
ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは1/2
〜5/1、特に好ましくは1/1〜1.2/1とするこ
とが適当である。
【0029】リン酸成分(リン酸および/またはリン酸
化合物)とMg成分および/またはCa成分との割合を
上記の範囲とした場合に特に優れた耐食性が得られる理
由は必ずしも明らかではないが、リン酸成分とMg成分
および/またはCa成分との割合が上記の範囲となる場
合に特に緻密な難溶性化合物が形成され、皮膜のバリヤ
ー性が高まるためであると推定される。
【0030】また、最も優れた耐食性を得るためには、
複合酸化物皮膜中のMg成分および/またはCa成分と
ケイ素成分との割合を、Mg成分および/またはCa成
分のMg換算およびCa換算での合計量とケイ素成分の
SiO換算量とのモル比[Mg・Ca/SiO]で
1/10〜100/1、より好ましくは1/5〜10/
1、さらに好ましくは1/2〜5/1の範囲とし、且つ
リン酸成分(リン酸および/またはリン酸化合物)とM
g成分および/またはCa成分との割合を、リン酸成分
のP換算量とMg成分および/またはCa成分の
Mg換算およびCa換算での合計量とのモル比[P
/Mg・Ca]で1/100〜100/1、より好ま
しくは1/10〜10/1、さらに好ましくは1/2〜
5/1、特に好ましくは1/1〜1.2/1とすること
が適当である。
【0031】また、複合酸化物皮膜中には、アクリル系
樹脂、エチレン樹脂(ポリオレフィン樹脂)、アルキド
樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの水溶性または
水分散性樹脂、高分子ポリオールなどの水溶性ポリマ
ー、水溶性アゾ系金属染料などの着色染料、タンニン
酸、チオールなどのキレート剤、シランカップリング剤
などを、皮膜の緻密性の向上、耐食性の向上、塗装性の
向上、可撓性の向上などの目的で添加してもよい。
【0032】めっき鋼板面に複合酸化物皮膜を形成する
方法については特別な制約はなく、例えば、シリカゾ
ル、リン酸、マグネシウム塩および/またはカルシウム
塩からなる酸性またはアルカリ性の水溶液または有機溶
媒にシリコン樹脂、リン酸化合物微粒子などを分散させ
た処理液をめっき鋼板(亜鉛系めっき鋼板またはアルミ
ニウム系めっき鋼板)の表面に塗布した後、乾燥させる
方法や、水溶液中において被処理めっき鋼板をアノード
またはカソードとして電解処理させて複合酸化物皮膜を
得る方法など、任意の方法で複合酸化物皮膜を形成させ
ることができる。
【0033】本発明は、以上述べたような複合酸化物皮
膜を両面または片面に有する鋼板を含むものである。し
たがって、本発明鋼板の形態としては、例えば、以下の
ようなものがある。 (1)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜、片面:めっ
き皮膜 (2)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜、片面:公知
のリン酸塩処理皮膜など (3)両面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜
【0034】また、これらの処理皮膜の表面に、さら
に、アルカリ脱脂後の耐食性および塗装性を向上させる
目的で、有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜を
0.1〜3μm(固形分)程度の膜厚で形成してもよ
い。この有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜の
膜厚が0.1μm未満ではアルカリ脱脂後の耐食性向上
効果、塗装性向上効果が不十分であり、一方、膜厚が3
μmを超えるとスポット溶接性などを必要とする部位に
適用できなくなる。
【0035】
【実施例】家電、建材、自動車部品用の表面処理鋼板と
して、表1に示した各種めっき鋼板の表面をアルカリ脱
脂処理及び水洗乾燥した後、シリカゾル(日産化学工業
(株)製,商品名「スノーテックス-OS」)、リン酸
イオン、マグネシウムおよび/またはカルシウムを水溶
性イオンまたは酸化物微粒子として含有する水性の処理
液をロールコーターで塗布し、熱風炉で加熱乾燥させ、
複合酸化物皮膜を形成した。この皮膜の付着量は、処理
液の組成を適宜変えることにより調整した。乾燥温度は
板温を直接熱電対で測定し、120℃に管理した。
【0036】なお、比較のために従来の反応型クロメー
ト処理鋼板として、無水クロム酸:30g/l、リン
酸:10g/l、NaF:0.5g/l、KTi
:4g/lを含む処理液を用い、浴温40℃の条件
でスプレー処理した後、水洗・乾燥することにより、ク
ロム付着量(金属クロム換算)が20mg/mのクロ
メート処理鋼板(表5のNo.47)を製造した。得ら
れた表面処理鋼板について、品質性能(耐食性、皮膜密
着性)の評価を行った。その結果を、複合酸化物皮膜の
皮膜構成等とともに表2〜表5に示す。表面処理鋼板の
品質性能の評価は以下のようにして行った。
【0037】(1) 耐食性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、48時間後の白錆発生面積率で評価し
た。 評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 △ :白錆発生面積率10%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0038】(2) 皮膜密着性 各サンプル面に碁盤目(2mm間隔で10×10の碁盤
目)のカットを入れて、粘着テープによる貼着・剥離を
行い、複合酸化物皮膜の剥離面積率で評価した。評価基
準は以下の通りである。 ○:剥離面積率10%以下 ×:剥離面積率10%超え
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】以上述べたように本発明の表面処理鋼板
は、製造時の処理液や製品の皮膜成分中に6価クロムを
全く含まず、しかも建材、家電、自動車等の用途の表面
処理鋼板として、従来のクロメート処理鋼板に較べて優
れた耐食性を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−208859(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 C23C 22/07

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、 (α)ケイ素成分をSiO換算量で0.010〜30
    00mg/m、 (β)Mg成分および/またはCa成分をMg換算量お
    よびCa換算量の合計で0.010〜1000mg/m
    、 (γ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.010〜3000mg/m、を含有し、成
    分(α)、(β)および(γ)の上記付着量の合計が
    1.0〜5000mg/mである複合酸化物皮膜を有
    することを特徴とする耐食性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 複合酸化物皮膜中のMg成分および/ま
    たはCa成分とケイ素成分との割合が、Mg成分および
    /またはCa成分のMg換算およびCa換算での合計量
    とケイ素成分のSiO換算量とのモル比[Mg・Ca
    /SiO]で1/10〜100/1の範囲であること
    を特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れた表面処理
    鋼板。
  3. 【請求項3】 複合酸化物皮膜中のリン酸および/また
    はリン酸化合物とMg成分および/またはCa成分との
    割合が、リン酸および/またはリン酸化合物のP
    換算量とMg成分および/またはCa成分のMg換算お
    よびCa換算での合計量とのモル比[P/Mg・
    Ca]で1/100〜100/1の範囲であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れた表面
    処理鋼板。
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