JP3480396B2 - 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D
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    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途等に最適な有機被覆鋼板に関し、製品を取扱う作
業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さら
には使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶
出などの環境問題に適応するために、製造時および製品
中に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀
などの重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼板に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆
性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸または
その塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理
が施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメー
ト処理は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことがで
きる経済的な処理方法である。
【0003】クロメート処理は公害規制物質である6価
クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理
工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還
元・回収されて自然界には放出されていないこと、ま
た、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート
皮膜中からのクロム溶出もほぼゼロにできることから、
実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染される
ことはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、
6価クロムを含めた重金属の使用を自主的に削減しよう
とする動きが高まりつつある。また、廃棄製品のシュレ
ッダーダストを投棄した場合に環境を汚染しないように
するため、製品中にできるだけ重金属を含ませない若し
くはこれを削減しようとする動きも始まっている。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術が数多く提案されている。このうち
有機系化合物や有機樹脂を利用した方法もいくつか提案
されており、例えば、以下のような方法を挙げることが
できる。
【0005】(1)タンニン酸を用いる方法(例えば、
特開昭51−71233号) (2)エポキシ樹脂とアミノ樹脂とタンニン酸を混合し
た熱硬化性塗料を用いる方法(例えば、特開昭63−9
0581号) (3)水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成
物を用いる方法(例えば、特開平8−325760号)
などのようなタンニン酸のキレート力を利用する方法 (4)ヒドラジン誘導体水溶液をブリキまたは亜鉛鉄板
の表面に塗布する表面処理方法(例えば、特公昭53−
27694号、特公昭56−10386号)
【0006】(5)アシルザルコシンとベンゾトリアソ
ールとの混合物にアミンを付加させて得られたアミン付
加塩を含む防錆剤を用いる方法(例えば、特開昭58−
130284号) (6)ベンゾチアゾール化合物などの複素環化合物とタ
ンニン酸を混合した処理剤を用いる方法(例えば、特開
昭57−198267号) (7)水酸基含有モノマーを共重合成分として含有する
有機樹脂とリン酸、金属のリン酸系化合物からなる表面
処理用組成物を用いる方法(例えば、特開平9−208
859号、特開平9−241856号)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には以下に述べるような問題点がある。ま
ず、上記(1)〜(4)の方法はいずれも耐食性などの
面で問題がある。すなわち、上記(1)の方法では耐食
性が不十分であり、また処理後の均一な外観が得られな
い。また、上記(2)の方法は、特に亜鉛系またはアル
ミニウム系めっき表面に直接、薄膜状(0.1〜5μ
m)の防錆皮膜を形成することを狙いとしたものではな
く、このため亜鉛系またはアルミニウム系めっき表面に
薄膜状に適用したとしても十分な防食効果は得られな
い。また、上記(3)の方法についても同様に耐食性が
不十分である。
【0008】さらに上記(4)の方法は亜鉛系またはア
ルミニウム系めっき鋼板について適用したものではな
く、また、仮に亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板
に適用したとしても、得られる皮膜はネットワーク構造
を有していないため十分なバリヤー性がなく、このため
耐食性が不十分である。また、特公昭53−23772
号、特公昭56−10386号には皮膜の均一性向上を
狙いとしてヒドラジン誘導体水溶液に水溶性高分子化合
物(ポリビニルアルコール類、マレイン酸エステル共重
合体、アクリル酸エステル共重合体など)を混合するこ
とが開示されているが、ヒドラジン誘導体水溶液と水溶
性高分子化合物との単なる混合物では十分な耐食性は得
られない。
【0009】さらに、上記(5)、(6)の方法も亜鉛
系またはアルミニウム系めっき鋼板表面に短時間で防錆
皮膜を形成することを狙いとしたものではなく、また、
仮に処理剤をめっき鋼板表面に塗布したとしても、酸素
や水などの腐食因子へのバリヤー性がないため優れた耐
食性は得られない。また、(6)の方法については、添
加剤として樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル樹脂など)
との混合についても述べられているが、ベンゾチアゾー
ル化合物などの複素環化合物と樹脂との単なる混合物で
は十分な耐食性は得られない。また、上記(7)の方法
は有機樹脂とリン酸系の無機成分から構成される単層皮
膜を形成する技術に関するものであるが、このような単
層皮膜のみではバリヤー性が不十分であり、このため十
分な耐食性は得られない。
【0010】また、上記(1)〜(7)の方法はいずれ
も、プレス加工などで表面に塗布した油を除去するため
に、スプレーなどによるpH9〜11程度のアルカリ脱
脂を行うような実用条件においては、アルカリ脱脂によ
って皮膜が剥離または損傷し、耐食性を保持できないと
いう問題がある。したがって、これらの方法は、防錆皮
膜を形成する方法としては実用に適したものではない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題
を解決し、皮膜中に6価クロムなどの重金属を含まず、
製造工程や使用する際にも安全、無害であって、しかも
優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第1層皮
膜として特定の複合酸化物皮膜を形成し、その上部に第
2層皮膜として特定の有機高分子樹脂を基本樹脂とする
有機皮膜を形成することにより、さらに、好ましくはこ
の有機皮膜中に特定の防錆添加剤を適量配合することに
より、環境や人体に悪影響を及ぼすおそれのあるクロメ
ート処理を行うことなく、無公害で且つ耐食性に極めて
優れた有機被覆鋼板が得られることを見い出した。本発
明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴
とする構成は以下の通りである。
【0012】[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、(γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
化合物として含まれる場合を含む)と、 を含有し、膜厚
が0.005〜3μmまたは上記成分(α)とP
換算での上記成分(β)と金属換算での上記成分(γ)
合計付着量が6〜3600mg/mである複合酸化
物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除
く)を有し、その上部に第2層皮膜として、OH基およ
び/またはCOOH基を有する有機高分子樹脂(A)を
基体樹脂とする膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有す
ることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0013】[2] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、(δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μ
mまたは上記成分(α)とP換算での上記成分
(β)と金属換算での上記成分(δ)の合計付着量が6
〜3600mg/mである複合酸化物皮膜(但し、有
機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除く)を有し、その
上部に第2層皮膜として、OH基および/またはCOO
H基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とする
厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴とす
る耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0014】[3] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、(γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
化合物として含まれる場合を含む)と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μ
mまたは上記成分(α)とP換算での上記成分
(β)と金属換算での上記成分(γ)と金属換算での上
記成分(δ)の合計付着量が6〜3600mg/m
ある複合酸化物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複合酸
化物皮膜を除く)を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、OH基および/またはCOOH基を有する有機高分
子樹脂(A)を基体樹脂とする膜厚が0.1〜5μmの
有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。
【0015】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの有機被覆鋼
板において、複合酸化物皮膜中に含まれる成分(γ)が
Mg(但し、化合物および/または複合化合物として含
まれる場合を含む)であることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。 [5] 上記[2]または[3]の有機被覆鋼板において、複合酸
化物皮膜中に含まれる成分(δ)がNi、Mn(但し、
いずれも化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)の中から選ばれる1種または2種である
ことを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0016】[6] 上記[1]の有機被覆鋼板において、複
合酸化物皮膜が成分(α)、(β)および(γ)とし
て、 (α)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.01〜3
000mg/m (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.01〜3000mg/m (γ)Mg(但し、化合物および/または複合化合物と
して含まれる場合を含む)をMg換算量で0.01〜1
000mg/m 、を含有し、成分(α)、(β)およ
び(γ)の上記付着量の合計が6〜3600mg/m
であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0017】[7] 上記[2]または[5]の有機被覆鋼板にお
いて、複合酸化物皮膜が成分(α)、(β)および
(δ)として、 (α)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.01〜3
000mg/m (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.01〜3000mg/m (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)を金属換算量で0.01〜1000mg
/m 、を含有し、成分(α)、(β)および(δ)の
上記付着量の合計が6〜3600mg/m であること
を特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0018】[8] 上記[3]または[5]の有機被覆鋼板にお
いて、複合酸化物皮膜が成分(α)、(β)、(γ)お
よび(δ)として、 (α)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.01〜3
000mg/m (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.01〜3000mg/m (γ)Mg(但し、化合物および/または複合化合物と
して含まれる場合を含む)をMg換算量で0.01〜1
000mg/m (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)を金属換算量で0.01〜1000mg
/m 、を含有し、成分(α)、(β)、(γ)および
(δ)の上記付着量の合計が6〜3600mg/m
あることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0019】[9] 上記[1]、[3]、[5]〜[8]のいずれかの
有機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中の成分(γ)
がMg(但し、化合物および/または複合化合物として
含まれる場合を含む)であり、且つ成分(γ)と成分
(α)との割合が、成分(γ)のMg換算量と成分
(α)のSiO 換算量とのモル比[Mg/SiO
で1/100〜100/1の範囲であることを特徴とす
る耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0020】[10] 上記[1]、[3]、[5]〜[9]のいずれか
の有機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中の成分
(γ)がMg(但し、化合物および/または複合化合物
として含まれる場合を含む)であり、且つ成分(β)と
成分(γ)との割合が、成分(β)のP 換算量と
成分(γ)のMg換算量とのモル比[P /Mg]
で1/100〜100/1の範囲であることを特徴とす
る耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0021】[11] 上記[2]〜[5]、[7]〜[10]のいずれか
の有機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中の成分
(δ)と成分(α)との割合が、成分(δ)の金属換算
量Me(但し、2種以上の金属を含む場合はその合計
量)と成分(α)のSiO 換算量とのモル比[Me/
SiO ]で1/100〜100/1の範囲であること
を特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0022】[12] 上記[2]〜[5]、[7]〜[11]のいずれか
の有機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中の成分
(β)と成分(δ)との割合が、成分(β)のP
換算量と成分(δ)の金属換算量Me(但し、2種以上
の金属を含む場合はその合計量)とのモル比[P
/Me]で1/2〜2/1の範囲であることを特徴とす
る耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0023】[13] 上記[1]〜[12]のいずれかの有機被覆
鋼板において、有機皮膜が、基体樹脂100重量部(固
形分)に対して無機系防錆顔料(a)を1〜100重量
部(固形分)含有することを特徴とする耐食性に優れた
有機被覆鋼板。 [14] 上記[1]〜[12]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、有機皮膜が、基体樹脂100重量部(固形分)に対
して固形潤滑剤(b)を1〜80重量部(固形分)含有
することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0024】[15] 上記[1]〜[12]のいずれかの有機被覆
鋼板において、有機皮膜が、基体樹脂100重量部(固
形分)に対して無機系防錆顔料(a)を1〜100重量
部(固形分)、固形潤滑剤(b)を1〜80重量部(固
形分)含有することを特徴とする耐食性に優れた有機被
覆鋼板。 [16] 上記[13]または[15]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)がシリカ化
合物、リン酸塩、カルシウム化合物の中から選ばれる1
種または2種以上であることを特徴とする耐食性に優れ
た有機被覆鋼板。
【0025】[17] 上記[16]の有機被覆鋼板において、
有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)がイオン交換シリカ
であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [18] 上記[16]の有機被覆鋼板において、有機皮膜中の
無機系防錆顔料(a)が微粒子シリカであることを特徴
とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0026】[19] 上記[16]の有機被覆鋼板において、
有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)がイオン交換シリカ
(c)と微粒子シリカ(d)からなり、且つイオン交換
シリカ(c)と微粒子シリカ(d)の含有量(固形分)
の重量比(c)/(d)が1/99〜99/1であるこ
とを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [20] 上記[16]の有機被覆鋼板において、有機皮膜中の
無機系防錆顔料(a)がリン酸亜鉛(e)および/また
はリン酸アルミニウム(f)であることを特徴とする耐
食性に優れた有機被覆鋼板。
【0027】[21] 上記[16]の有機被覆鋼板において、
有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)がリン酸亜鉛(e)
および/またはリン酸アルミニウム(f)とカルシウム
化合物(g)からなり、且つリン酸亜鉛(e)および/
またはリン酸アルミニウム(f)の合計の含有量(固形
分)とカルシウム化合物(g)の含有量(固形分)の重
量比(e,f)/(g)が1/99〜99/1であるこ
とを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0028】[22] 上記[16]、[17]、[19]のいずれかの
有機被覆鋼板において、有機皮膜中のイオン交換シリカ
(c)がCaイオン交換シリカであることを特徴とする
耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [23] 上記[22]の有機被覆鋼板において、Caイオン交
換シリカの平均粒子径が4μm以下であることを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0029】[24] 上記[22]または[23]の有機被覆鋼板
において、Caイオン交換シリカのCa濃度が2〜8w
t%であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。 [25] 上記[1]〜[24]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、OH基および/またはCOOH基を有する有機高分
子樹脂(A)が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする
耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0030】[26] 上記[1]〜[25]のいずれかの有機被覆
鋼板において、OH基および/またはCOOH基を有す
る有機高分子樹脂(A)が、エポキシ樹脂および/また
は変性エポキシ樹脂であることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。 [27] 上記[1]〜[26]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、複合酸化物皮膜中に含まれる成分(α)が酸化ケイ
素であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0031】[28] 上記[27]の有機被覆鋼板において、
酸化ケイ素の一次粒子径が8nm以下であることを特徴
とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [29] 上記[27]または[28]の有機被覆鋼板において、複
合酸化物皮膜中に成分(α)として含まれる酸化ケイ素
のSiO 換算量が、複合酸化物皮膜の合計付着量に対
する重量割合で5〜95wt%であることを特徴とする
耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0032】[30] 上記[27]〜[29]のいずれかの有機被
覆鋼板において、複合酸化物皮膜が成分(α)および
(β)として、 (α)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.01〜3
000mg/m (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.01〜3000mg/m 、を含有し、成分
(α)および(β)の上記付着量の合計が6〜3600
mg/m であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。
【0033】
【0034】[31] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.001〜6.0モル/L、 (ハ)Mg、Ca、Sr、Baの各金属イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のう
ちの少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる
1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
0.001〜3.0モル/L、を含有するpH0.5〜
5の酸性水溶液で処理し、しかる後、加熱乾燥すること
により、めっき鋼板表面に第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
化合物として含まれる場合を含む)と、を含有し、膜厚
が0.005〜3μmまたは上記成分(α)とP
換算での上記成分(β)と金属換算での上記成分(γ)
の合計付着量が6〜3600mg/mである複合酸化
物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除
く)を形成し、次いで、その上部に上記[1]〜[3]、[13]
〜[26]に記載のいずれかの有機皮膜構成成分を含む有機
皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、加熱乾燥することに
より、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を形成すること
を特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
【0035】[32] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.001〜6.0モル/L、 (ニ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの各金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以上
を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3.0
モル/L、を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液で処
理し、しかる後、加熱乾燥することにより、めっき鋼板
表面に第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)と、を含有し、膜厚が0.005〜3μ
mまたは上記成分(α)とP換算での上記成分
(β)と金属換算での上記成分(δ)の合計付着量が6
〜3600mg/mである複合酸化物皮膜(但し、有
機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除く)を形成し、次
いで、その上部に上記[1]〜[3]、[13]〜[26]に記載のい
ずれかの有機皮膜構成成分を含む有機皮膜形成用の塗料
組成物を塗布し、加熱乾燥することにより、膜厚が0.
1〜5μmの有機皮膜を形成することを特徴とする耐食
性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
【0036】[33] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.001〜6.0モル/L、 (ハ)Mg、Ca、Sr、Baの各金属イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のう
ちの少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる
1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
0.001〜3.0モル/L、 (ニ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの各金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以上
を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3.0
モル/L、を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液で処
理し、しかる後、加熱乾燥することにより、めっき鋼板
表面に第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
化合物として含まれる場合を含む)と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)と、を含有し、膜厚が0.005〜3μ
mまたは上記成分(α)とP換算での上記成分
(β)と金属換算での上記成分(γ)と金属換算での上
記成分(δ)の合計付着量が6〜3600mg/m
ある複合酸化物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複合酸
化物皮膜を除く)を形成し、次いで、その上部に上記
[1]〜[3]、[13]〜[26]に記載のいずれかの有機皮膜構成
成分を含む有機皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、加熱
乾燥することにより、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜
を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板の製造方法。
【0037】[34] 上記[31]〜[33]のいずれかの製造方
法において、複合酸化物皮膜形成用の水溶液中の添加成
分(イ)が酸化ケイ素であることを特徴とする耐食性に
優れた有機被覆鋼板の製造方法。[35] 上記[31]〜[34] のいずれかの製造方法において、
複合酸化物皮膜形成用の水溶液中の添加成分(ロ)がリ
ン酸アンモニウムであることを特徴とする耐食性に優れ
た有機被覆鋼板の製造方法。
【0038】[36] 上記[31]、[33]〜[35]のいずれかの
製造方法において、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液
中の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを含む水溶性イ
オン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物の中か
ら選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする
耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。[37] 上記[32]〜[36] のいずれかの製造方法において、
複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ニ)
がNiイオン、Mnイオン、Niを含む水溶性イオン、
Mnを含む水溶性イオン、Niを含む化合物、Mnを含
む化合物、Niを含む複合化合物、Mnを含む複合化合
物の中から選ばれる1種または2種以上であることを特
徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
【0039】[38] 上記[31]、[33]〜[35]、[37]のいず
れかの製造方法において、複合酸化物皮膜形成用の酸性
水溶液中の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを含む水
溶性イオン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物
の中から選ばれる1種または2種以上であり、且つ添加
成分(ハ)と添加成分(イ)との割合が、添加成分
(ハ)のMg換算量と添加成分(イ)のSiO換算量
とのモル比[Mg/SiO]で1/100〜100/
1の範囲であることを特徴とする耐食性に優れた有機被
覆鋼板の製造方法。
【0040】[39] 上記[31]、[33]〜[35]、[37]、[38]
のいずれかの製造方法において、複合酸化物皮膜形成用
の酸性水溶液中の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを
含む水溶性イオン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合
化合物の中から選ばれる1種または2種以上であり、且
つ添加成分(ロ)と添加成分(ハ)との割合が、添加成
分(ロ)のP換算量と添加成分(ハ)のMg換算
量とのモル比[P/Mg]で1/100〜100
/1の範囲であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板の製造方法。
【0041】[40] 上記[32]〜[39]のいずれかの製造方
法において、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添
加成分(ニ)と添加成分(イ)との割合が、添加成分
(ニ)の金属換算量Meと添加成分(イ)のSiO
算量とのモル比[Me/SiO]で1/100〜10
0/1の範囲であることを特徴とする耐食性に優れた有
機被覆鋼板の製造方法。
【0042】[41] 上記[32]〜[40]のいずれかの製造方
法において、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添
加成分(ロ)と添加成分(ニ)との割合が、添加成分
(ロ)のP換算量と添加成分(ニ)の金属換算量
Meとのモル比[P/Me]で1/2〜2/1の
範囲であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板の製造方法。
【0043】本発明の有機被覆鋼板の基本的な特徴は、
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表
面に、第1層皮膜として、(α)酸化物微粒子と、
(β)リン酸および/またはリン酸化合物とを含有し、
さらに、(γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれ
る1種または2種以上の金属(但し、化合物および/ま
たは複合化合物として含まれる場合を含む)、および/
または(δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、A
l、La、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の
金属(但し、化合物および/または複合化合物として含
まれる場合を含む)を含有する(好ましくは、主成分と
して含有する)複合酸化物皮膜を形成し、さらにその上
部に第2層皮膜として、OH基および/またはCOOH
基を有する有機高分子樹脂(A)(好ましくは熱硬化性
樹脂、さらに好ましくはエポキシ樹脂および/または変
性エポキシ樹脂)を基体樹脂とする有機皮膜を形成した
点にある。
【0044】また、第1層皮膜である上記複合酸化物皮
膜は、成分(α)としてSiO微粒子を特定の付着量
で、成分(β)としてリン酸および/またはリン酸化合
物を特定の付着量で、それぞれ含有させることが好まし
い。また、複合酸化物皮膜が上記成分(γ)および/ま
たは成分(δ)をさらに含む場合には、成分(α)とし
てSiO微粒子を、成分(β)としてリン酸および/
またはリン酸化合物をそれぞれ特定の付着量で含有させ
るとともに、成分(γ)としてMg、Mgを含む化合
物、Mgを含む複合化合物の中から選ばれる1種または
2種以上(マグネシウム成分)を特定の付着量で、上記
成分(δ)(特に好ましくは、Ni、Mn、Niを含む
化合物、Mnを含む化合物、Niを含む複化合物、Mn
を含む複化合物の中から選ばれる1種または2種以上)
を特定の付着量で、それぞれ含有させることが好まし
い。
【0045】このような特定の複合酸化物皮膜と有機皮
膜とからなる二層皮膜構造による防食機構は必ずしも明
らかでないが、第1層皮膜の複合酸化物皮膜による以下
に述べるような腐食抑制効果と第2層皮膜の皮膜形成樹
脂によるバリヤー作用とが複合化することにより、薄膜
でありながらクロメート皮膜に匹敵する耐食性が得られ
る。
【0046】上記第1層皮膜である複合酸化物皮膜の防
食機構については必ずしも明確でないが、緻密で難溶性
の複合酸化物皮膜がバリヤー性皮膜として腐食因子を遮
断すること、酸化ケイ素(SiO微粒子)などの酸化
物微粒子が金属とリン酸および/またはリン酸化合物と
とともに安定で緻密なバリヤー皮膜を形成すること、酸
化物微粒子が酸化ケイ素(SiO微粒子)である場合
に酸化ケイ素から放出されるケイ酸イオンが腐食環境下
で塩基性塩化亜鉛を形成してバリヤー性を向上させるこ
と、などにより優れた防食性能が得られるものと考えら
れる。また、リン酸および/またはリン酸化合物は複合
酸化物皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠
陥部で腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜
鉛イオンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化
合物としてそこに沈殿生成物を形成するものと考えられ
る。
【0047】また、上記のような作用効果は、上述した
ように複合酸化物皮膜の成分(α)としてSiO微粒
子を特定の付着量で、成分(β)としてリン酸および/
またはリン酸化合物を特定の付着量で、それぞれ含有さ
せた場合に特に効果的に得られる。
【0048】また、第1層皮膜である複合酸化物皮膜が
上記成分(γ)を含有する場合の防食機構については、
上述したように緻密で難溶性の複合酸化物皮膜がバリヤ
ー性皮膜として腐食因子を遮断すること、また、酸化ケ
イ素(SiO微粒子)などの酸化物微粒子がMgなど
のアルカリ土類金属とリン酸および/またはリン酸化合
物とともに安定で緻密なバリヤー皮膜を形成すること、
酸化物微粒子が酸化ケイ素(SiO微粒子)である場
合に酸化ケイ素から放出されるケイ酸イオンが腐食環境
下で塩基性塩化亜鉛を形成してバリヤー性を向上させる
こと、などにより優れた防食性能が得られるとともに、
さらに皮膜に欠陥が生じた場合でも、カソード反応によ
ってOHイオンが生成して界面がアルカリ性になること
により、アルカリ土類金属の可溶性成分であるMgイオ
ンやCaイオンなどがMg(OH)、Ca(OH)
として沈殿し、緻密で難溶性の生成物として欠陥を封鎖
し、腐食反応を抑制するものと考えられる。また、上述
したようにリン酸および/またはリン酸化合物は複合酸
化物皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠陥
部で腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜鉛
イオンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化合
物としてそこに沈殿生成物を形成するものと考えられ
る。以上のように、アルカリ土類金属とリン酸および/
またはリン酸化合物は皮膜欠陥部での自己修復作用を示
すものと考えられる。
【0049】また、上記成分(γ)の中でも、マグネシ
ウム成分を含有する場合に特に優れた耐食性が得られ
る。これは、Mgは他のアルカリ土類金属に較べて水酸
化物の溶解度が低く、難溶塩を形成しやすいためである
と考えられる。また、上記のような作用効果は、上述し
たように複合酸化物皮膜の成分(α)としてSiO
粒子を特定の付着量で、成分(β)としてリン酸および
/またはリン酸化合物を特定の付着量で、成分(γ)と
してマグネシウム成分を特定の付着量で、それぞれ含有
させた場合に特に顕著に得られる。
【0050】また、第1層皮膜である複合酸化物皮膜が
上記成分(δ)を含有する場合の防食機構については、
上述したように緻密で難溶性の複合酸化物皮膜がバリヤ
ー性皮膜として腐食因子を遮断すること、酸化ケイ素
(SiO微粒子)などの酸化物微粒子が金属とリン酸
および/またはリン酸化合物とともに安定で緻密なバリ
ヤー皮膜を形成すること、酸化物微粒子が酸化ケイ素
(SiO微粒子)である場合に酸化ケイ素か放出され
るケイ酸イオンが腐食環境下で塩基性塩化亜鉛を形成し
てバリヤー性を向上させること、などにより優れた防食
性能が得られるとともに、さらに上記成分(δ)はいず
れもアルカリ域においてリン酸成分と難溶性の金属塩を
形成しやすいことから、腐食反応において酸素のカソー
ド反応の結果、OHイオンが生成してアルカリ環境とな
った場合に上記金属塩が腐食サイトを封鎖し、高いバリ
ヤー効果をもたらすものと考えられる。また、上述した
ようにリン酸および/またはリン酸化合物は複合酸化物
皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠陥部で
腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜鉛イオ
ンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化合物と
してそこに沈殿生成物を形成するものと考えられる。
【0051】また、上記成分(δ)の中でも、マンガン
成分および/またはニッケル成分を含有する場合に特に
良好な耐食性が得られる。これは、上記金属成分とリン
酸成分とにより形成される金属塩がアルカリ環境におい
て特に溶解しにくいことによるものと考えられる。ま
た、上記成分(δ)のリン酸塩がアルカリ域において難
溶性であるため、この成分(δ)はアルカリ脱脂後の耐
食性の向上にも有効である。このような成分(δ)を含
む複合酸化物皮膜と第2層皮膜とを組み合わせることに
より、複合酸化物皮膜単独の場合に較べて耐食性及びア
ルカリ脱脂後の耐食性の顕著な向上が認められる。これ
は複合酸化物皮膜成分と第2層皮膜成分との相乗効果に
より、優れた耐食性及びアルカリ脱脂後の耐食性が発現
するためであると考えられる。さらに、上記のような作
用効果は、上述したように複合酸化物皮膜の成分(α)
としてSiO微粒子を特定の付着量で、成分(β)と
してリン酸および/またはリン酸化合物を特定の付着量
で、成分(δ)を特定の付着量で、それぞれ含有させた
場合に特に顕著に得られる。また、上述した作用効果の
点からして、上記成分(γ)と成分(δ)を複合添加す
ることにより、特に優れた耐食性が得られる。
【0052】上記第2層皮膜である有機皮膜の防食機構
についても必ずしも明確でないが、OH基および/また
はCOOH基を有する有機高分子樹脂(A)(好ましく
は熱硬化性樹脂、さらに好ましくはエポキシ樹脂および
/または変性エポキシ樹脂)が架橋剤との反応により緻
密なバリヤー皮膜を形成し、このバリヤー皮膜は、酸素
などの腐食因子の透過抑制能に優れ、また分子中のOH
基やCOOH基により素地との強固な結合力が得られる
ため、特に優れた耐食性が得られるものと考えられる。
【0053】また、本発明の有機被覆鋼板では、その有
機皮膜に無機系防錆顔料(a)、好ましくは下記するよ
うな特定の無機系防錆顔料を添加することにより、防食
性能がさらに高まる。まず、本発明の有機被覆鋼板にお
いて、上記のような特定の有機高分子樹脂(A)からな
る有機皮膜中に無機系防錆顔料(a)としてイオン交換
シリカ(c)を適量配合することにより、さらに優れた
防食性能(皮膜欠陥部での自己修復作用)を得ることが
できる。この特定の有機皮膜中にイオン交換シリカ
(c)を配合したことにより得られる防食機構は、以下
のようなものであると考えられる。
【0054】すなわち、腐食環境下でNaイオンなどの
カチオンが侵入すると、イオン交換作用によりシリカ表
面のCaイオンやMgイオンが放出され、さらに、腐食
環境下でのカソード反応によりOHイオンが生成してめ
っき界面近傍のpHが上昇すると、イオン交換シリカか
ら放出されたCaイオン(またはMgイオン)がCa
(OH)またはMg(OH)としてめっき界面近傍
に沈殿し、緻密で難溶性の生成物として欠陥を封鎖し、
腐食反応を抑制する。また、溶出した亜鉛イオンはCa
イオン(またはMgイオン)と交換されてシリカ表面に
固定される効果も考えられる。
【0055】また、本発明の有機被覆鋼板において、上
記のような特定の有機高分子樹脂(A)からなる有機皮
膜中に無機防錆顔料(a)として微粒子シリカ(b)を
適量配合することによっても耐食性を向上させることが
できる。すなわち、特定の有機皮膜中にヒュームドシリ
カやコロイダルシリカ等のような比表面積の大きい微粒
子シリカ(平均一次粒子径5〜50nm、好ましくは5
〜20nm、さらに好ましくは5〜15nm)を配合す
ることにより、塩基性塩化亜鉛等の緻密で安定な腐食生
成物の生成を促進し、酸化亜鉛(白錆)の発生を抑制で
きる。
【0056】さらに、本発明の有機被覆鋼板において、
上記のような特定の有機高分子樹脂(A)からなる有機
皮膜中に無機防錆顔料(a)としてイオン交換シリカ
(a)と微粒子シリカ(b)を複合添加することによ
り、さらなる耐食性向上効果が得られる。イオン交換シ
リカは多孔質シリカを主体としており、一般に粒子径が
1μm以上と比較的大きいため、Caイオンが放出され
た後はシリカとしての防錆効果はあまり期待できない。
このためヒュームドシリカやコロイダルシリカ等のよう
な比表面積の大きい微粒子シリカ(一次粒子径5〜50
nm、望ましくは5〜20nm、さらに望ましくは5〜
15nm)を併用することにより、塩基性塩化亜鉛など
の緻密で安定な腐食生成物の生成が促進され、酸化亜鉛
(白錆)の生成を抑制できるものと考えられ、このよう
なイオン交換シリカと微粒子シリカの複合的な防錆機構
によって、特に優れた防食効果が得られるものと推定さ
れる。
【0057】さらに、本発明の有機被覆鋼板において、
上記のような特定の有機高分子樹脂(A)からなる有機
皮膜中に無機系防錆顔料(a)としてリン酸亜鉛(e)
および/またはリン酸アルミニウム(f)を適量配合す
ることによっても、特に優れた防食性能(皮膜欠陥部で
の自己修復作用)を得ることができる。この特定の有機
皮膜中にリン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミ
ニウム(f)を配合したことにより得られる防食機構
は、以下の反応ステップで進行するものと考えられる。
【0058】[第1ステップ]:腐食環境下において、
めっき金属である亜鉛やアルミニウムなどが溶出する。 [第2ステップ]:リン酸亜鉛および/またはリン酸ア
ルミニウムが加水分解反応を起こし、リン酸イオンに解
離する。 [第3ステップ]:溶出した亜鉛イオンやアルミニウム
イオンがリン酸イオンと錯形成反応を起こし、緻密で難
溶性の保護皮膜が生成し、これが皮膜欠陥部を封鎖し、
腐食反応を抑制する。
【0059】さらに、本発明の有機被覆鋼板において、
上記のような特定の有機高分子樹脂(A)からなる有機
皮膜中に無機系防錆顔料(a)としてリン酸亜鉛(e)
および/またはリン酸アルミニウム(f)とカルシウム
化合物(g)を複合添加することにより、さらなる耐食
性向上効果が得られる。この理由は、以下のように考え
られる。リン酸亜鉛および/またはリン酸アルミニウム
による自己修復作用は、上述のようにめっき金属の溶出
(第1ステップ)をトリガーとしているため、腐食の極
く初期には腐食反応を抑制するものの、腐食反応を完全
には抑制することはできない。これに対して亜鉛やアル
ミニウムよりも卑な金属であるカルシウム化合物を併用
することによって、上述のトリガーとしてめっき金属で
はなくカルシウムの優先溶出を作用させ、これによりめ
っき金属の溶出に依存することなく腐食反応を抑制する
ことができる。このような機構により、リン酸亜鉛およ
び/またはリン酸アルミニウムとカルシウム化合物との
併用による複合的な防錆効果が得られるものと考えられ
る。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−
Mg合金めっき鋼板、さらにはこれらのめっき鋼板のめ
っき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛
系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO分散めっき
鋼板)などを用いることができる。
【0061】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の有機被覆鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用
いることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面
に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記の
ような各種めっきを施したものであってもよい。めっき
方法としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶
媒中での電解)、溶融法および気相法のうち、実施可能
ないずれの方法を採用することもできる。
【0062】また、後述するような二層皮膜をめっき皮
膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないように
するため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカ
リ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調
整処理、酸性の表面調整処理)などの処理を施しておく
ことができる。また、有機被覆鋼板の使用環境下での黒
変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、
必要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオン(N
iイオン、Coイオン、Feイオン)を含む酸性または
アルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくこと
もできる。また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として
用いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に
鉄族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオ
ン)を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm
以上含有させておくことができる。この場合、めっき皮
膜中の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。
【0063】次に、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に形成される第1層皮膜である複
合酸化物皮膜について説明する。この複合酸化物皮膜
は、従来の酸化リチウムと酸化ケイ素からなる皮膜組成
物に代表されるアルカリシリケート処理皮膜とは全く異
なり、 (α)酸化物微粒子(好ましくは、SiO微粒子)
と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、さらに、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
化合物として含まれる場合を含む)、および/または、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)と、を含有する(好ましくは、主成分と
して含有する)複合酸化物皮膜である。
【0064】上記成分(α)である酸化物微粒子として
は、耐食性の観点から特に酸化ケイ素(SiO微粒
子)が好ましい。また、このような酸化ケイ素のなかで
もコロイダルシリカが最も好ましい。コロイダルシリカ
としては、例えば、商品名で日産化学工業(株)製のス
ノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックス
OXS、スノーテックスOUP、スノーテックスAK、
スノーテックスO40、スノーテックスOL、スノーテ
ックスOL40、スノーテックスOZL(以上、酸性溶
液)、スノーテックスXS、スノーテックスS、スノー
テックスNXS、スノーテックスNS、スノーテックス
N、スノーテックスQAS−25、スノーテックスLS
S−35、スノーテックスLSS−45、スノーテック
スLSS−75(以上、アルカリ性溶液)、触媒化成工
業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI−350、
カタロイドSI−40、カタロイドSA(以上、アルカ
リ性溶液)、カタロイドSN(酸性溶液)、旭電化工業
(株)製のアデライトAT−20〜50、アデライトA
T−20N、アデライトAT−300、アデライトAT
−300S(以上、アルカリ性溶液)、アデライトAT
20Q(酸性溶液)などを用いることができる。
【0065】これらの酸化ケイ素(SiO微粒子)の
中でも、特に粒子径が14nm以下のもの、さらに好ま
しくは8nm以下のものが耐食性の観点から望ましい。
また、酸化ケイ素としては、乾式シリカ微粒子を皮膜組
成物溶液に分散させたものを用いることもできる。この
乾式シリカとしては、例えば、商品名で日本アエロジル
(株)製のアエロジル200、アエロジル3000、ア
エロジル300CF、アエロジル380などを用いるこ
とができ、なかでも粒子径12nm以下、さらに好まし
くは7nm以下のものが望ましい。
【0066】酸化物微粒子としては、上記の酸化ケイ素
のほかに、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなどのコロイド
溶液、微粉末などを用いることもでき、これら酸化物微
粒子の1種または2種以上を用いることができる。耐食
性および溶接性の観点から上記成分(α)の好ましい付
着量は0.01〜3000mg/m、より好ましくは
0.1〜1000mg/m、さらに好ましくは1〜5
00mg/mである。
【0067】上記成分(β)であるリン酸および/また
はリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン
酸、ポリリン酸、メタリン酸など、これらの金属塩や化
合物などの1種または2種以上を皮膜組成物中に添加す
ることにより皮膜成分として配合することができる。ま
た、皮膜組成物に有機リン酸やそれらの塩(例えば、フ
ィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及
びこれらの金属塩)の1種以上を添加してもよい。ま
た、そのなかでも第一リン酸塩が皮膜組成物溶液の安定
性の面から好適である。
【0068】また、リン酸塩として第一リン酸アンモニ
ウム、第二リン酸アンモニウム、第三リン酸アンモニウ
ムの1種以上を皮膜組成物溶液に添加すると、耐食性が
改善される傾向が認められた。その理由は明らかでない
が、これらのアンモニウム塩を使用した場合には、皮膜
組成物溶液のpHを高くしても液がゲル化しない。一般
にアルカリ域では金属塩が不溶性となるため、pHの高
い皮膜組成物溶液から皮膜が形成される場合に、より難
溶性の化合物が乾燥過程で生じるものと考えられる。
【0069】皮膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形
態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であ
るか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸、リン酸
化合物のイオン性、溶解度についても特別な制約はな
い。耐食性および溶接性などの観点から上記成分(β)
の好ましい付着量はP 量換算で0.01〜300
0mg/m、より好ましくは0.1〜1000mg/
、さらに好ましくは1〜500mg/mである。
【0070】上記成分(γ)である特定のアルカリ土類
金属成分(Mg、Ca、Sr、Ba)は、これらの1種
以上が皮膜中に取り込まれていることが必要である。ア
ルカリ土類金属が皮膜中に存在する形態は特に限定され
ず、金属として、或いは酸化物、水酸化物、水和酸化
物、リン酸化合物、配位化合物などの化合物若しくは複
合化合物として存在してよい。これらの化合物、水酸化
物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などのイオ
ン性、溶解度などについても特に限定されない。
【0071】また、これらアルカリ土類金属成分のなか
でも、特に優れた耐食性を得るにはMg(マグネシウム
成分)を用いるのが最も好ましい。Mgの添加が最も顕
著に耐食性を向上させるのは、Mgは他のアルカリ土類
金属に較べて水酸化物の溶解度が低く、難溶塩を形成し
やすいためであると考えられる。皮膜中に成分(γ)を
導入する方法としては、Mg、Ca、Sr、Baのリン
酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などとして皮膜組成物に
添加すればよい。耐食性および皮膜外観の低下防止の観
点から上記成分(γ)の好ましい付着量は金属量換算で
0.01〜1000mg/m、より好ましくは0.1
〜500mg/m、さらに好ましくは1〜100mg
/mある。
【0072】上記成分(δ)である特定の金属成分(L
i、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、La、C
e)は、これらの1種以上が皮膜中に取り込まれている
ことが必要である。これらの金属が皮膜中に存在する形
態は特に限定されず、金属として、或いは酸化物、水酸
化物、水和酸化物、リン酸化合物などの化合物若しくは
複合化合物として存在してよい。これらの化合物、水酸
化物、水和酸化物、リン酸化合物などのイオン性、溶解
度などについても特に限定されない。
【0073】また、これらの金属成分の中でも、特に優
れた耐食性を得るにはMn(マンガン成分)および/ま
たはNi(ニッケル成分)を用いるのが最も好ましい。
Mnおよび/またはNiの添加が最も効果的に耐食性を
向上させるのは、これらの金属成分とリン酸成分とによ
り形成される金属塩は他の金属のそれに較べてアルカリ
環境下における溶解度が低いためであると考えられる。
皮膜中に成分(δ)を導入する方法としては、Li、M
n、Fe、Co、Ni、Zn、Al、La、Ceのリン
酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの1種または2種以
上を皮膜組成物に添加すればよい。耐食性および皮膜外
観の低下防止の観点から上記成分(δ)の好ましい付着
量は金属量換算で0.01〜1000mg/m、より
好ましくは0.1〜500mg/m、さらに好ましく
は1〜100mg/mある。また、本発明では上記成
分(γ)と成分(δ)とを上述した条件で複合添加して
もよい。
【0074】
【0075】複合酸化物皮膜中には、耐食性をさらに向
上させるための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、
リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリ
ブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、
フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの
金属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例
えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカル
バミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレン
グリコールなど)などの1種または2種以上を配合して
もよい。
【0076】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性ア
ゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例
えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えば、チオー
ルなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、
ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ
型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・
シアヌル酸付加物などの1種または2種以上を添加する
こともできる。
【0077】また、複合酸化物皮膜中には、有機被覆鋼
板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一
種)を防止する目的で、鉄族金属イオン(Niイオン,
Coイオン,Feイオン)の1種以上を添加してもよ
い。なかでもNiイオンの添加が最も好ましい。この場
合、鉄族金属イオンの濃度としては、処理組成物中の金
属量換算での成分(γ)1モルまたは成分(δ)1モル
に対して1/10000モル以上あれば所望の効果が得
られる。鉄族イオン濃度の上限は特に定めないが、濃度
の増加に伴い耐食性に影響を及ぼさない程度とするのが
好ましい。
【0078】複合酸化物皮膜の膜厚は0.005〜3μ
m、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.
1〜1μm、さらに好ましくは0.2〜0.5μmとす
る。複合酸化物皮膜の膜厚が0.005μm未満では耐
食性が低下する。一方、膜厚が3μmを超えると、溶接
性などの導電性が低下する。また、複合酸化物皮膜をそ
の付着量で規定する場合、上記成分(α)と、
換算での上記成分(β)と、上記成分(γ)および/ま
たは成分(δ)の金属換算量を含めた合計付着量を6〜
3600mg/m、好ましくは10〜1000mg/
、さらに好ましくは50〜500mg/m、特に
好ましくは100〜500mg/m、最も好ましくは
200〜400mg/mとすることが適当である。こ
の合計付着量が6mg/m未満では耐食性が低下し、
一方、合計付着量が3600mg/mを超えると、導
電性が低下するため溶接性などが低下する。
【0079】以下、本発明において特に優れた性能を得
るための複合酸化物皮膜の好ましい条件について述べ
る。まず、優れた耐食性を得るためには、複合酸化物皮
膜中の成分(α)を酸化ケイ素とし、そのSiO換算
量を複合酸化物皮膜の全皮膜付着量に対する重量割合で
5〜95wt%の範囲、好ましくは10〜60wt%の
範囲とすることが適当である。酸化ケイ素の量を上記の
範囲にした場合に特に優れた耐食性が得られる理由は必
ずしも明らかでないが、酸化ケイ素のみでは得られない
バリヤー性をリン酸成分が補完して緻密な膜を形成し、
且つリン酸成分、酸化ケイ素のそれぞれの腐食抑制作用
の相乗効果により優れた耐食性が発現されるものと考え
られる。
【0080】また、複合酸化物皮膜に、成分(γ)およ
び/または成分(δ)を添加するに際しては、成分
(α)としてSiO微粒子を特定の付着量で、成分
(β)としてリン酸および/またはリン酸化合物を特定
の付着量でそれぞれ含有させるとともに、成分(γ)
してMg(但し、化合物および/または複合化合物とし
て含まれる場合を含む)を特定の付着量で、成分(δ)
を特定の付着量でそれぞれ含有させることが好ましい。
【0081】まず、上記成分(α)であるSiO微粒
子の好ましい条件は先に述べた通りである。このSiO
微粒子の皮膜中での付着量はSiO換算で0.01
〜3000mg/m、より好ましくは0.1〜100
0mg/m、さらに好ましくは1〜500mg/
、特に好ましくは5〜100mg/mとすること
が適当である。SiO微粒子のSiO換算での付着
量が0.01mg/m未満では酸化ケイ素から放出さ
れるケイ素成分の耐食性への寄与が小さく、十分な耐食
性が得られない。一方、SiO換算での付着量が30
00mg/mを超えると、導電性が低下するため溶接
性などが劣化する。なお、皮膜中に上記成分(α)を導
入するには、皮膜形成用組成物にコロイダルシリカなど
のケイ酸ゾルを添加するとよい。これに好適なコロイダ
ルシリカは先に例示した通りである。
【0082】上記成分(β)であるリン酸および/また
はリン酸化合物の皮膜中への導入方法や皮膜中での存在
形態に特別な制限がないことは先に述べた通りである。
また、複合酸化物皮膜中に成分(γ)としてマグネシウ
ム成分が共存する場合には、皮膜中のリン酸化合物の形
態として、リン酸マグネシウムのリン酸塩、あるいは縮
合リン酸塩などの形態も可能である。また、このような
リン酸化合物を皮膜中に導入する方法としては、処理組
成物中にリン酸塩、有機リン酸及びその塩(例えば、フ
ィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及
びこれらの金属塩など)の1種または2種以上を添加す
ることが可能である。
【0083】リン酸および/またはリン酸化合物の皮膜
中での付着量はP換算で0.01〜3000mg
/m、より好ましくは0.1〜1000mg/m
さらに好ましくは1〜500mg/mとすることが適
当である。リン酸及び/またはリン酸化合物のP
換算での付着量が0.01mg/m未満では耐食性が
低下する。一方、P換算での付着量が3000m
g/mを超えると皮膜の導電性が低下するため溶接性
が劣化する。
【0084】上記成分(γ)であるマグネシウム成分が
皮膜中に存在する形態は特に限定されず、金属として、
或いは酸化物、水酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、
配位化合物などの化合物若しくは複合化合物として存在
してよい。これらの化合物、水酸化物、水和酸化物、リ
ン酸化合物、配位化合物などのイオン性、溶解度などに
ついても特に限定されない。このマグネシウム成分の皮
膜中での付着量はMg換算で0.01〜1000mg/
、より好ましくは0.1〜500mg/m、さら
に好ましくは1〜100mg/mすることが適当であ
る。マグネシウム成分のMg換算での付着量が0.01
mg/m未満ではマグネシウム成分の耐食性への寄与
が小さく、十分な耐食性が得られない。一方、Mg換算
での付着量が1000mg/mを超えると、皮膜中に
過剰のマグネシウムが可溶性成分として存在し、皮膜外
観の低下を引き起こす。
【0085】皮膜中に上記成分(γ)であるマグネシウ
ム成分を導入するには、Mgのリン酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、塩化物や酸化マグネシウム微粒子などの1種または
2種以上を皮膜形成用組成物に添加すればよい。特に、
本発明の複合酸化物皮膜はリン酸成分を構成成分として
含有しているため、リン酸マグネシウムなどのリン酸塩
を処理組成物に添加するとよい。この場合、リン酸マグ
ネシウムの形態は特に規定されないが、オルトリン酸
塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、亜リン酸塩、次
亜リン酸塩などいずれの形態も可能である。
【0086】また、上記成分(δ)の金属成分の皮膜中
での存在形態、各金属成分を皮膜中に導入する方法につ
いては先に述べた通りである。この成分(δ)の皮膜中
での付着量は、先に述べたように金属量換算で0.01
〜1000mg/m、より好ましくは0.1〜500
mg/m、さらに好ましくは1〜100mg/m
ることが適当であり、付着量が0.01mg/mでは
金属成分の耐食性への寄与が小さいため十分な耐食性が
得られず、一方、付着量が1000mg/mを超える
と、皮膜中に過剰の金属成分が可溶性成分として存在す
るため皮膜外観の低下を引き起こす。また、この成分
(δ)としては、特に耐食性の観点からNi、Mn(但
し、いずれも化合物および/または複合化合物として含
まれる場合を含む)の中から選ばれる1種または2種が
好ましい。
【0087】また、成分(γ)としてマグネシウム成分
を含有する場合において特に優れた耐食性を得るために
は、複合酸化物皮膜中の成分(γ)であるマグネシウム
成分と成分(α)であるSiO微粒子との割合を、成
分(γ)のMg換算量と成分(α)のSiO換算量と
のモル比[Mg/SiO]で1/100〜100/
1、より好ましくは1/10〜10/1、さらに好まし
くは1/2〜5/1の範囲とすることが適当である。マ
グネシウム成分とSiO微粒子との割合を上記の範囲
とした場合に特に優れた耐食性が得られる理由は必ずし
も明らかではないが、マグネシウム成分とSiO微粒
子との割合が上記の範囲となる場合に、SiO微粒子
から放出されるケイ素成分とマグネシウム成分のそれぞ
れの腐食抑制作用の相乗効果が特に顕著に発現されるた
めであると推定される。
【0088】また、同様の観点から、複合酸化物皮膜中
の成分(β)であるリン酸および/またはリン酸化合物
と成分(γ)であるマグネシウム成分との割合を、成分
(β)のP換算量と成分(γ)のMg換算量との
モル比[P/Mg]で1/100〜100/1、
より好ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは
1/2〜2/1とすることが適当である。リン酸および
/またはリン酸化合物とマグネシウム成分との割合を上
記の範囲とした場合に特に優れた耐食性が得られる理由
は必ずしも明らかではないが、リン酸および/またはリ
ン酸化合物とマグネシウム成分との割合が上記の範囲と
なる場合に、リン酸および/またはリン酸化合物とマグ
ネシウム成分のそれぞれの腐食抑制作用の相乗効果が特
に顕著に発現されるためであると推定される。
【0089】また、最も優れた耐食性を得るためには、
複合酸化物皮膜中の成分(γ)であるマグネシウム成分
と成分(α)であるSiO微粒子との割合を、成分
(γ)のMg換算量と成分(α)のSiO換算量との
モル比[Mg/SiO]で1/100〜100/1、
より好ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは
1/2〜5/1の範囲とし、且つ複合酸化物皮膜中の成
分(β)であるリン酸および/またはリン酸化合物と成
分(γ)であるマグネシウム成分との割合を、成分
(β)のP換算量と成分(γ)のMg換算量との
モル比[P/Mg]で1/100〜100/1、
より好ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは
1/2〜2/1とすることが適当である。
【0090】マグネシウム成分とSiO微粒子とリン
酸および/またはリン酸化合物の割合を上記の範囲とし
た場合に最も優れた耐食性が得られる理由は、上述した
ような各成分のそれぞれの腐食抑制作用の相乗効果が特
に顕著に発現されることと、皮膜形成時におけるめっき
素地との反応に起因した皮膜形態が適正化されること、
などによるものと推定される。
【0091】また、成分(δ)を含有する場合において
特に優れた耐食性を得るためには、複合酸化物皮膜中の
成分(δ)である金属成分と成分(α)であるSiO
微粒子との割合を、成分(δ)の金属換算量Meと成分
(α)のSiO換算量とのモル比[Me/SiO
で1/100〜100/1、より好ましくは1/10〜
10/1、さらに好ましくは1/2〜5/1の範囲とす
ることが適当である。成分(δ)とSiO微粒子との
割合を上記の範囲とした場合に特に優れた耐食性が得ら
れる理由は必ずしも明らかではないが、成分(δ)であ
る金属成分とSiO微粒子との割合が上記の範囲とな
る場合に、SiO微粒子から放出されるケイ素成分と
金属成分のそれぞれの腐食抑制作用の相乗効果が特に顕
著に発現されるためであると推定される。
【0092】また、同様の観点から、複合酸化物皮膜中
の成分(β)であるリン酸および/またはリン酸化合物
と成分(δ)である金属成分との割合を、成分(β)の
換算量と成分(δ)の金属換算量Meとのモル
比[P/Me]で1/2〜2/1とすることが適
当である。リン酸および/またはリン酸化合物と成分
(δ)である金属成分との割合を上記の範囲とした場合
に特に優れた耐食性が得られる理由は必ずしも明らかで
はないが、リン酸成分の溶解性はリン酸と金属の割合に
よって変化するため、皮膜の難溶性が上記の範囲にある
場合に特に優れており、皮膜のバリヤー性がより高くな
るものと考えられる。
【0093】また、最も優れた耐食性を得るためには、
複合酸化物皮膜中の成分(δ)である金属成分と成分
(α)であるSiO微粒子との割合を、成分(δ)の
金属換算量Meと成分(α)のSiO換算量とのモル
比[Me/SiO]で1/100〜100/1、より
好ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは1/
2〜5/1の範囲とし、且つ複合酸化物皮膜中の成分
(β)であるリン酸および/またはリン酸化合物と成分
(δ)である金属成分との割合を、成分(β)のP
換算量と成分(δ)の金属換算量Meとのモル比[P
/Me]で1/2〜2/1とすることが適当であ
る。
【0094】上記金属成分とSiO微粒子とリン酸お
よび/またはリン酸化合物の割合を上記の範囲とした場
合に最も優れた耐食性が得られる理由は、上述したよう
な各成分のそれぞれの腐食抑制作用の相乗効果が特に顕
著に発現されることと、皮膜形成時におけるめっき素地
との反応に起因した皮膜形態が適正化されること、など
によるものと推定される。
【0095】この複合酸化物皮膜において、上記成分
(α)のSiO換算での付着量と、上記成分(β)の
換算での付着量と、上記成分(γ)および/ま
たは成分(δ)の金属換算での付着量を含めた合計は、
6〜3600mg/m、より好ましくは10〜100
0mg/m、さらに好ましくは50〜500mg/m
とすることが適当である。この合計付着量が6mg/
未満では耐食性が十分でなく、一方、合計付着量が
3600mg/mを超えると導電性が低下するため溶
接性などが劣化する。
【0096】次に、上記複合酸化物皮膜の上部に第2層
皮膜として形成される有機皮膜について説明する。有機
皮膜の基体樹脂としては、OH基および/またはCOO
H基を有する有機高分子樹脂(A)を用いる。また、そ
のなかでは熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂
または変性エポキシ樹脂が最も好ましい。OH基および
/またはCOOH基を有する有機高分子樹脂としては、
例えば、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹
脂、アクリル系共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共
重合体樹脂、アルキッド樹脂、ポリブタジエン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミン樹脂、ポ
リフェニレン樹脂類及びこれらの樹脂の2種以上の混合
物若しくは付加重合物等が挙げられる。
【0097】(1)エポキシ樹脂 エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ノボラック等をグリシジルエーテル化したエポ
キシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド、
エチレンオキサイドまたはポリアルキレングリコールを
付加し、グリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、さら
には脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリエ
ーテル系エポキシ樹脂等を用いることができる。これら
エポキシ樹脂は、特に低温での硬化を必要とする場合に
は、数平均分子量1500以上のものが望ましい。な
お、上記エポキシ樹脂は単独または異なる種類のものを
混合して使用することもできる。
【0098】変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ
樹脂中のエポキシ基またはビドロキシル基に各種変性剤
を反応させた樹脂が挙げられる。例えば乾性油脂肪酸中
のカルボキシル基を反応させたエポキシエステル樹脂、
アクリル酸、メタクリル酸等で変性したエポキシアクリ
レート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレタ
ン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂にイソシアネート化
合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂にアルカノ
ールアミンを付加したアミン付加ウレタン変性エポキシ
樹脂等を挙げることができる。
【0099】上記ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、
単核型若しくは2核型の2価フェノールまたは単核型と
2核型との混合2価フェノールを、アルカリ触媒の存在
下にほぼ等モル量のエピハロヒドリンと重縮合させて得
られる重合体である。単核型2価フェノールの代表例と
してはレゾルシン、ハイドロキノン、カテコールが挙げ
られ、2核型フェノールの代表例としてはビスフェノー
ルAが挙げられ、これらは単独で使用しても或いは2種
以上を併用してもよい。
【0100】(2)ウレタン樹脂 ウレタン樹脂としては、例えば、油変性ポリウレタン樹
脂、アルキド系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリ
ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカー
ボネート系ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。 (3)アルキド樹脂 アルキド樹脂としは、例えば、油変性アルキド樹脂、ロ
ジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、
スチレン化アルキド樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、
アクリル変性アルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹
脂、高分子量オイルフリーアルキド樹脂等を挙げること
ができる。
【0101】(4)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸及び
その共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合
体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ポリ
メタクリル酸エステル及びその共重合体、ウレタン−ア
クリル酸共重合体(またはウレタン変性アクリル樹
脂)、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ、さ
らにこれらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂等によって変性させた樹脂を用いてもよ
い。
【0102】(5)エチレン樹脂(ポリオレフィン樹
脂) エチレン樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、カルボキ
シル変性ポリオレフィン樹脂などのエチレン系共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン系
アイオノマー等が挙げられ、さらに、これらの樹脂を他
のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等によ
って変性させた樹脂を用いてもよい。 (6)アクリルシリコン樹脂 アクリルシリコン樹脂としては、例えば、主剤としてア
クリル系共重合体の側鎖又は末端に加水分解性アルコキ
シシリル基を含み、これに硬化剤を添加したもの等が挙
げられる。これらのアクリルシリコン樹脂を用いた場
合、優れた耐候性が期待できる。
【0103】(7)フッ素樹脂 フッ素樹脂としては、フルオロオレフィン系共重合体が
あり、これには例えば、モノマーとしてアルキルビニル
エーテル、シンクロアルキルビニルエーテル、カルボン
酸変性ビニルエステル、ヒドロキシアルキルアリルエー
テル、テトラフルオロプロピルビニルエーテル等と、フ
ッ素モノマー(フルオロオレフィン)とを共重合させた
共重合体がある。これらフッ素樹脂を用いた場合には、
優れた耐候性と優れた疎水性が期待できる。
【0104】また、樹脂の乾燥温度の低温化を狙いとし
て、樹脂粒子のコア部分とシェル部分とで異なる樹脂種
類、または異なるガラス転移温度の樹脂からなるコア・
シェル型水分散性樹脂を用いることができる。また、自
己架橋性を有する水分散性樹脂を用い、例えば、樹脂粒
子にアルコキシシラン基を付与することによって、樹脂
の加熱乾燥時にアルコキシシランの加水分解によるシラ
ノール基の生成と樹脂粒子間のシラノール基の脱水縮合
反応を利用した粒子間架橋を利用することができる。ま
た、有機皮膜に使用する樹脂としては、有機樹脂をシラ
ンカップリング剤を介してシリカと複合化させた有機複
合シリケートも好適である。
【0105】本発明では有機皮膜の耐食性や加工性の向
上を狙いとして、特に熱硬化性樹脂を用いることが望ま
しい。この場合、尿素樹脂(ブチル化尿素樹脂等)、メ
ラミン樹脂(ブチル化メラミン樹脂)、ブチル化尿素・
メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、
ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物、フェノ
ール樹脂等の硬化剤を配合することができる。
【0106】以上述べた有機樹脂の中で、耐食性、加工
性、塗装性を考慮すると、エポキシ樹脂、エチレン系樹
脂が好ましく、特に、酵素などの腐食因子に対して優れ
た遮断性を有する熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキ
シ樹脂が特に好適である。これらの熱硬化性樹脂として
は、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性変性エポキシ樹
脂、エポキシ基含有モノマーと共重合したアクリル系共
重合体樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、
エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、及びこれらの樹
脂の付加物もしくは縮合物などが挙げられ、これらのエ
ポキシ基含有樹脂の1種を単独で、または2種以上混合
して用いることができる。
【0107】本発明では、有機皮膜中にさらに無機系防
錆顔料(a)を添加することが好ましい。無機系防錆顔
料としては、イオン交換シリカ、微粒子シリカなどのシ
リカ化合物、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化アンチモン、ポリリン酸塩(例えば、
ポリリン酸アルミ:商品名でテイカ(株)製のテイカK
−WHITE80、テイカK−WHITE84、テイカ
K−WHITE105、テイカK−WHITE G10
5、テイカK−WHITE90)、リン酸塩(例えば、
リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜リン酸亜鉛
など)、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩(例え
ば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)などが使用で
きる。また、これらのなかでも特に、イオン交換シリカ
(c)、微粒子シリカ(d)などのシリカ化合物、リン
酸亜鉛(e)、リン酸アルミニウム(f)などのリン酸
塩、カルシウム化合物(g)のうちの1種または2種以
上を配合した場合に耐食性が特に良好となる。
【0108】有機樹脂皮膜中での無機系防錆顔料(a)
の配合量は、基体樹脂100重量部(固形分)に対し
て、1〜100重量部(固形分)、好ましくは5〜80
重量部(固形分)、さらに好ましくは10〜50重量部
(固形分)とすることが適当である。無機系防錆顔料
(a)の配合量が1重量部未満では、耐アルカリ脱脂後
の耐食性向上効果が小さく、一方、配合量が100重量
部を超えると、耐食性などが低下するので好ましくな
い。
【0109】無機系防錆顔料(a)として用いられるイ
オン交換シリカ(c)は、カルシウムやマグネシウムな
どの金属イオンを多孔質シリカゲル粉末の表面に固定し
たもので、腐食環境下で金属イオンが放出されて沈殿膜
を形成する。また、このイオン交換シリカの中でもCa
イオン交換シリカが最も好ましい。Caイオン交換シリ
カとしては任意のものを用いることができるが、平均粒
子径が6μm以下、望ましくは4μm以下のものが好ま
しく、例えば、平均粒子径が2〜4μmのものを用いる
ことができる。Caイオン交換シリカの平均粒子径が6
μmを超えると耐食性が低下するとともに、塗料組成物
中での分散安定性が低下する。
【0110】Caイオン交換シリカ中のCa濃度は1w
t%以上、望ましくは2〜8wt%であることが好まし
い。Ca濃度が1wt%未満ではCa放出による防錆効
果が十分に得られない。なお、Caイオン交換シリカの
表面積、pH、吸油量については特に限定されない。以
上のようなCaイオン交換シリカとしては、商品名でW.
R.Grace & Co.製のSHIELDEX C303(平均
粒子径2.5〜3.5μm、Ca濃度3wt%)、SH
IELDEX AC3(平均粒子径2.3〜3.1μ
m、Ca濃度6wt%)、SHIELDEX AC5
(平均粒子径3.8〜5.2μm、Ca濃度6wt
%)、富士シリシア化学(株)製の SHIELDEX
(平均粒子径3μm、Ca濃度6〜8wt%)、SHI
ELDEX SY710(平均粒子径2.2〜2.5μ
m、Ca濃度6.6〜7.5wt%)などを用いること
ができる。
【0111】有機皮膜中にイオン交換シリカ(c)を添
加した場合の防食機構は先に述べた通りであり、特に本
発明では特定の有機高分子樹脂とイオン交換シリカとを
複合化することにより、特定の有機高分子樹脂皮膜によ
るバリヤー作用と、イオン交換シリカによるカソード反
応部での腐食抑制効果とが複合化することによって極め
て優れた防食効果が発揮される。
【0112】有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)として
イオン交換シリカ(c)を用いる場合、その配合量は、
基体樹脂100重量部(固形分)に対して、1〜100
重量部(固形分)、好ましくは5〜80重量部(固形
分)、さらに好ましくは10〜50重量部(固形分)と
することが適当である。イオン交換シリカ(c)の配合
量が1重量部未満では、耐アルカリ脱脂後の耐食性向上
効果が小さい。一方、配合量が100重量部を超える
と、耐食性が低下するので好ましくない。
【0113】無機系防錆顔料(a)として用いられる微
粒子シリカ(d)はコロイダルシリカ、ヒュームドシリ
カのいずれでもよい。コロイダルシリカとしては、水系
皮膜形成樹脂をベースとする場合には、例えば、商品名
で日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテ
ックスN、スノーテックス20、スノーテックス30、
スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテック
スS、触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイ
ドSI−350、カタロイドSI−40、カタロイドS
A、カタロイドSN、旭電化工業(株)製のアデライト
AT−20〜50、アデライトAT−20N、アデライ
トAT−300、アデライトAT−300S、アデライ
トAT20Qなどを用いることができる。
【0114】また、溶剤系皮膜形成樹脂をベースとする
場合には、例えば、商品名で日産化学工業(株)製のオ
ルガノシリカゾルMA−ST−M、オルガノシリカゾル
IPA−ST、オルガノシリカゾルEG−ST、オルガ
ノシリカゾルE−ST−ZL、オルガノシリカゾルNP
C−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST、オルガ
ノシリカゾルDMAC−ST−ZL、オルガノシリカゾ
ルXBA−ST、オルガノシリカゾルMIBK−ST、
触媒化成工業(株)製のOSCAL−1132、OSC
AL−1232、OSCAL−1332、OSCAL−
1432、OSCAL−1532、OSCAL−163
2、OSCAL−1722などを用いることができる。
【0115】特に、有機溶剤分散型シリカゾルは、分散
性に優れ、ヒュームドシリカよりも耐食性に優れてい
る。また、ヒュームドシリカとしては、例えば、商品名
で日本アエロジル(株)製のAEROSIL R97
1、AEROSIL R812、AEROSIL R81
1、AEROSIL R974、AEROSIL R20
2、AEROSILR805、AEROSIL 13
0、AEROSIL 200、AEROSIL300、
AEROSIL 300CFなどを用いることができ
る。
【0116】微粒子シリカは、腐食環境下において緻密
で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生
成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐
食の促進を抑制することができると考えられている。耐
食性の観点からは、微粒子シリカは粒子径が5〜50n
m、望ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜1
5nmのものを用いるのが好ましい。
【0117】有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)として
微粒子シリカ(d)を用いる場合、その配合量は、基体
樹脂100重量部(固形分)に対して、1〜100重量
部(固形分)、好ましくは5〜80重量部(固形分)さ
らに好ましくは10〜30重量部(固形分)とすること
が適当である。微粒子シリカ(d)の配合量が1重量部
未満では、耐アルカリ脱脂後の耐食性向上効果が小さ
い。一方、配合量が100重量部を超えると、耐食性や
加工性が低下するので好ましくない。
【0118】また、本発明では有機皮膜中に無機系防錆
顔料(a)としてイオン交換シリカ(c)と微粒子シリ
カ(d)を複合添加することにより、特に優れた耐食性
が得られる。すなわち、イオン交換シリカ(c)と微粒
子シリカ(d)とを複合添加することにより、両者の複
合的な防錆機構によって特に優れた防食効果が得られ
る。
【0119】有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)として
イオン交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)を複合添
加する場合、その配合量は、基体樹脂100重量部(固
形分)に対して、イオン交換シリカ(c)および微粒子
シリカ(d)の合計の配合量で1〜100重量部(固形
分)、好ましくは、5〜80重量部(固形分)であっ
て、且つイオン交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)
の配合量(固形分)の重量比(c)/(d)を99/1
〜1/99、好ましくは95/5〜40/60、さらに
好ましくは90/10〜60/40とすることが適当で
ある。
【0120】イオン交換シリカ(c)および微粒子シリ
カ(d)の合計の配合量が1重量部未満では、耐アルカ
リ脱脂後の耐食性向上効果が小さい。一方、合計の配合
量が100重量部を超えると塗装性や加工性が低下する
ので好ましくない。また、イオン交換シリカ(c)と微
粒子シリカ(d)の重量比(c)/(d)が1/99未
満では耐食性が劣り、一方、重量比(c)/(d)が9
9/1を超えるとイオン交換シリカ(c)と微粒子シリ
カ(d)の複合添加による効果が十分に得られなくな
る。
【0121】無機系防錆顔料(a)として用いられるリ
ン酸亜鉛(e)やリン酸アルミニウム(f)は、そのリ
ン酸イオンの骨格や縮合度などに特別な制限はなく、正
塩、二水素塩、一水素塩或いは亜リン酸塩のいずれでも
よく、また、正塩はオルトリン酸塩のほか、ポリリン酸
塩などの全ての縮合リン酸塩を含む。例えば、リン酸亜
鉛としては商品名でキクチカラー(株)製のLFボウセ
イZP−DL、リン酸アルミニウムとしては商品名でテ
イカ(株)製のテイカK−WHITEなどを適用でき
る。これらリン酸亜鉛(e)やリン酸アルミニウム
(f)は、腐食環境下において加水分解によってリン酸
イオンに解離し、溶出金属と錯形成反応を起こすことに
より保護皮膜を形成する。
【0122】有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)として
リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム
(f)を用いる場合、その配合量は、基体樹脂100重
量部(固形分)に対して、1〜100重量部(固形
分)、好ましくは5〜80重量部(固形分)、さらに好
ましくは10〜50重量部(固形分)とすることが適当
である。リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミ
ニウム(f)の配合量が1重量部未満では、耐アルカリ
脱脂後の耐食性向上効果が小さい。一方、配合量が10
0重量部を超えると、耐食性が低下するので好ましくな
い。
【0123】また、本発明では有機皮膜中に無機系防錆
顔料(a)としてリン酸亜鉛(e)および/またはリン
酸アルミニウム(f)とともにカルシウム化合物(g)
を複合添加することにより、特に優れた耐食性が得られ
る。すなわち、リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸
アルミニウム(f)とカルシウム化合物(g)とを複合
添加することにより、両者の複合的な防錆機構によって
特に優れた防食効果が得られる。
【0124】カルシウム化合物(g)は、カルシウム酸
化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでも
よく、これらの1種または2種以上を使用できる。ま
た、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのよ
うなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、
リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシ
ウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオ
ンを含む複塩を使用してももよい。カルシウム化合物
は、腐食環境下においてめっき金属よりも優先的に溶出
することにより、めっき金属の溶出をトリガーとせずに
リン酸イオンと錯形成反応を起こして緻密で難溶性の保
護皮膜を形成し、腐食反応を抑制するものと考えらる。
【0125】有機樹脂皮膜中の無機系防錆顔料(a)と
してリン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウ
ム(f)とカルシウム化合物(g)を複合添加する場
合、その配合量は、基体樹脂100重量部(固形分)に
対して、リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミ
ニウム(f)とカルシウム化合物(g)の合計の配合量
で1〜100重量部(固形分)、好ましくは、5〜80
重量部(固形分)であって、且つリン酸亜鉛(e)およ
び/またはリン酸アルミニウム(f)とカルシウム化合
物(g)の配合量(固形分)の重量比(e,f)/
(g)を99/1〜1/99、好ましくは95/5〜4
0/60、さらに好ましくは90/10〜60/40と
することが適当である。
【0126】リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸ア
ルミニウム(f)とカルシウム化合物(g)の合計の配
合量が1重量部未満では、耐アルカリ脱脂後の耐食性向
上効果が小さい。一方、合計の配合量が100重量部を
超えると、耐食性が低下するので好ましくない。また、
リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム
(f)とカルシウム化合物(g)の配合量(固形分)の
重量比(e,f)/(g)が1/99未満では耐食性が
劣り、一方、重量比(e,f)/(g)が99/1を超
えるとリン酸亜鉛および/またはリン酸アルミニウム
(e,f)とカルシウム化合物(g)の複合添加による
効果が十分に得られなくなる。
【0127】また、有機皮膜中には上述した各種の無機
系防錆顔料に加えて、腐食抑制剤として、有機リン酸お
よびその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホス
ホン酸、ホスホン酸塩およびこれらの金属塩、アルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩など)、有機インヒビター
(例えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオ
カルバミン酸塩など)などを添加できる。
【0128】有機皮膜中には、さらに必要に応じて、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤(b)を配合
することができる。本発明に適用できる固形潤滑剤とし
ては、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらの
1種または2種以上を用いることができる。 (1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など (2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレ
ン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビ
ニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
【0129】また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物
(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレン
ビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カル
シウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物
(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンな
ど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリア
ルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種ま
たは2種以上を用いてもよい。
【0130】以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエ
チレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、例えば、商品名でヘキスト社製の
セリダスト9615A、セリダスト 3715、セリダ
スト 3620、セリダスト 3910、三洋化成(株)
製のサンワックス 131−P、サンワックス 161−
P、三井石油化学(株)製のケミパール W−100、
ケミパール W−200、ケミパール W−500、ケミ
パール W−800、ケミパール W−950などを用い
ることができる。
【0131】また、フッ素樹脂微粒子としては、テトラ
フルオロエチレン微粒子が最も好ましく、例えば、商品
名でダイキン工業(株)製のルブロン L−2、ルブロ
ン L−5、三井・デュポン(株)製のMP1100、
MP1200、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)
製のフルオンディスパージョン AD1、フルオンディ
スパージョン AD2、フルオン L141J、フルオン
L150J、フルオンL155Jなどが好適である。
また、これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテト
ラフルオロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑
効果が期待できる。
【0132】有機皮膜中での固形潤滑剤(b)の配合量
は、基体樹脂100重量部(固形分)に対して、1〜8
0重量部(固形分)、好ましくは3〜40重量部(固形
分)とすることが適当である。固形潤滑剤(b)の配合
量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量
が80重量部を超えると塗装性が低下するので好ましく
ない。
【0133】本発明の有機被覆鋼板が有する有機皮膜
は、通常、有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、これ
に必要に応じて、無機系防錆顔料(a)、固形潤滑剤
(b)および硬化剤などが添加されるが、さらに必要に
応じて、添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多
環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色
染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ
系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンな
ど)、キレート剤(例えば、チオールなど)、導電性顔
料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属
粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カ
ップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタン
カップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物な
どを添加することができる。
【0134】また、上記基体樹脂および添加成分を含む
皮膜形成用の塗料組成物は、通常、溶媒(有機溶剤およ
び/または水)を含有し、さらに必要に応じて中和剤な
どが添加される。以上述べたような有機皮膜は上記複合
酸化物皮膜の上部に形成される。有機皮膜の乾燥膜厚は
0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さらに好
ましくは0.5〜2μmとする。有機皮膜の膜厚が0.
1μm未満では耐食性が不十分であり、一方、膜厚が5
μmを超えると導電性、加工性が低下する。
【0135】次に、本発明の有機被覆鋼板の製造方法に
ついて説明する。本発明の有機被覆鋼板は、上述した複
合酸化物皮膜の構成成分を含む処理液で亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面を処理(処理
液を塗布)した後、加熱乾燥させ、次いでその上層に、
上述した有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とし、必要に
応じて無機系防錆顔料(a)、固形潤滑剤(b)などが
添加された塗料組成物を塗布し、加熱乾燥させることに
より製造される。なお、めっき鋼板の表面は、上記処理
液を塗布する前に必要に応じてアルカリ脱脂処理し、さ
らに密着性、耐食性を向上させるために表面調整処理な
どの前処理を施すことができる。
【0136】
【0137】また、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面を処理液で処理し、上記成分
(α)、(β)および(γ)を含有する複合酸化物皮膜
を形成するには、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.001〜6.0モル/L、を含有し、これら
添加成分(イ)および(ロ)に加えて、さらに、 (ハ)Mg、Ca、Sr、Baの各金属イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金
属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のう
ちの少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる
1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
0.001〜3.0モル/L、を含有し、さらに必要に
応じて上述した各添加成分(有機樹脂成分、鉄族金属イ
オン、腐食抑制剤、その他の添加剤)を添加したpH
0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しかる後加熱乾燥さ
せることが好ましい。
【0138】また、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面を処理液で処理し、上記成分
(α)、(β)および(δ)を含有する複合酸化物皮膜
を形成するには、上述した添加成分(イ)および(ロ)
に加えて、さらに、(ニ)Li、Mn、Fe、Co、N
i、Zn,Al、La、Ceの各金属イオン、前記金属
のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属
のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のうち
の少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる1
種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
0.001〜3.0モル/L、を含有し、さらに必要に
応じて上述した各添加成分(有機樹脂成分、鉄族金属イ
オン、腐食抑制剤、その他の添加剤)を添加したpH
0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しかる後加熱乾燥さ
せることが好ましい。
【0139】さらに、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニ
ウム系めっき鋼板表面を処理液で処理し、上記成分
(α)、(β)、(γ)および(δ)を含有する複合酸
化物皮膜を形成するには、上述した添加成分(イ)、
(ロ)、(ハ)および(ニ)を含有し、さらに必要に応
じて上述した各添加成分(有機樹脂成分、鉄族金属イオ
ン、腐食抑制剤、その他の添加剤)を添加したpH0.
5〜5の酸性水溶液で処理し、しかる後加熱乾燥させる
ことが好ましい。
【0140】添加成分(イ)である酸化物微粒子として
は酸化ケイ素(SiO微粒子)が最も好ましい。この
酸化ケイ素は酸性水溶液中で安定な水分散性のSiO
微粒子であればよく、市販のシリカゾルや水分散性のケ
イ酸オリゴマーなどを用いることができる。但し、ヘキ
サフルオロケイ酸などのフッ化物は腐食性が強く、人体
への影響も大きいため、作業環境への影響などの観点か
ら使用しないことが望ましい。
【0141】処理液中での酸化物微粒子の添加量(酸化
ケイ素の場合はSiO量としての添加量)は0.00
1〜3.0モル/L、好ましくは0.05〜1.0モル
/L、さらに好ましくは0.1〜0.5モル/Lとす
る。酸化物微粒子の添加量が0.001モル/L未満で
は添加による効果が十分でなく、耐食性が劣る。一方、
添加量が3.0モル/Lを超えると皮膜の耐水性が悪く
なり、結果的に耐食性も劣化する。
【0142】添加成分(ロ)であるリン酸および/また
はリン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、
トリポリリン酸などのポリリン酸、メタリン酸およびこ
れらの無機塩(例えば、第一リン酸アルミニウムな
ど)、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸
塩などのリン酸含有の化合物が、水溶液中で溶解した際
に生じるアニオン、或いは金属カチオンとの錯イオンと
して存在している形態、遊離酸として存在している形
態、無機塩として水分散状態で存在している形態など全
てを含み、本発明におけるリン酸成分の量は酸性水溶液
中で存在するこれら全ての形態の合計をP換算と
して規定する。
【0143】処理液中でのリン酸および/またはリン酸
化合物の添加量はP換算で0.001〜6.0モ
ル/L、好ましくは0.02〜1.0モル/L、さらに
好ましくは0.1〜0.8モル/Lとする。リン酸およ
び/またはリン酸化合物の添加量が0.001モル/L
未満では添加による効果が十分でなく、耐食性が劣る。
一方、添加量が6.0モル/Lを超えると過剰のリン酸
イオンが湿潤環境においてめっき皮膜と反応し、腐食環
境によってはめっき素地の腐食を促進し、変色やシミ状
錆発生の要因となる。また、添加成分(ロ)としては、
耐食性の優れた複合酸化物を得ることができるため、リ
ン酸アンモニウム塩を使用することも有効である。リン
酸アンモニウム塩としては、第一リン酸アンモニウム、
第二リン酸アンモニウムなどの1種または2種以上を用
いることが好ましい。
【0144】処理液中での上記添加成分(ハ)の添加量
は、金属量換算の合計で0.001〜3.0モル/L、
好ましくは0.01〜0.5モル/Lとする。これらの
合計の添加量が0.001モル/L未満では添加による
効果が十分に得られず、一方、添加量が3.0モル/L
を超えると、逆にこれらの成分が皮膜のネットワークを
阻害するようになり、緻密な皮膜ができにくくなる。ま
た、金属成分が皮膜から溶出しやすくなり、環境によっ
ては外観が変色するなどの欠陥を生じる。
【0145】また、上記の添加成分(ハ)の中でもMg
成分が最も顕著に耐食性を向上させる。また、このMg
成分の処理液中での存在形態はMgを含む化合物や複合
化合物でもよいが、特に優れた耐食性を得るためには金
属イオンまたはMgが含まれる水溶性イオンの形態が特
に好ましい。なお、添加成分(ハ)のイオンを金属塩と
して供給するために、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イ
オン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどのアニオンが処理
液中に添加されてもよい。
【0146】処理液中での上記添加成分(ニ)の添加量
は、金属量換算の合計で0.001〜3.0モル/L、
好ましくは0.01〜0.5モル/Lとする。これらの
合計の添加量が0.001モル/L未満では添加による
効果が十分に得られず、一方、添加量が3.0モル/L
を超えると、逆にこれらの成分が可溶性カチオンとな
り、皮膜のネットワークを阻害するようになり、緻密な
皮膜ができにくくなる。また、上記の添加成分(ニ)の
中でもNi(ニッケル成分)および/またはMn(マン
ガン成分)が最も顕著に耐食性を向上させる。なお、添
加成分(ニ)のイオンを金属塩として供給するために、
リン酸イオン以外に塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどのアニオンが処理液
中に添加されてもよい。
【0147】上記添加成分(ハ)および/または添加成
分(ニ)を含む処理液は、酸性水溶液である点が重要で
ある。すなわち、処理液を酸性とすることにより亜鉛な
どのめっき成分が溶解しやすくなるため、化成処理皮膜
とめっき界面に亜鉛などのめっき成分を含むリン酸化合
物層が形成され、これにより両者の界面結合が強化され
る結果、耐食性に優れた皮膜になるものと推定される。
また、酸性水溶液のpHは0.5〜5、好ましくは2〜
4とすることが好ましい。処理液がpH0.5未満では
処理液の反応性が高くなり過ぎるため皮膜に微細な欠陥
部が形成され、耐食性が低下する。一方、処理液がpH
5を超えると処理液の反応性が低くなり、上述したよう
なめっき方面と皮膜との界面の結合が不十分となり、こ
の場合も耐食性が低下する。
【0148】以下、本発明において特に良好な性能を有
する複合酸化物皮膜を得るための処理液の好ましい条件
について説明する。
【0149】まず、先に述べた成分(α)および(β)
として、 (α)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.01〜3
000mg/m (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.01〜3000mg/m 、を含有し、これ
成分(α)および(β)に加えて、さらに成分(γ)
として、 (γ)Mg、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物
からなる群の中から選ばれる1種以上をMg換算量で
0.01〜1000mg/m、を含有し、成分
(α)、(β)および(γ)の上記付着量の合計が6〜
3600mg/mである複合酸化物皮膜を形成する場
合には、上記複合酸化物皮膜形成用の水溶液中に、添加
成分(イ)および(ロ)として、 (イ)SiO 微粒子をSiO 換算量で0.001〜
3.0モル/L、好ましくは0.05〜1.0モル/
L、さらに好ましくは0.1〜0.5モル/L (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
算量で0.001〜6.0モル/L、好ましくは0.0
2〜1.0モル/L、さらに好ましくは0.1〜0.8
モル/L、を含有し、これら 添加成分(イ)および
(ロ)に加えて、さらに添加成分(ハ)として、 (ハ)Mgイオン、Mgを含む水溶性イオン、Mgを含
む化合物、Mgを含む複合化合物の中から選ばれる1種
または2種以上をMg換算量で0.001〜3.0モル
/L、好ましくは0.01〜0.5モル/L、を含有
し、さらに必要に応じて上述した各添加成分(鉄族金属
イオン、腐食抑制剤、その他の添加剤)を添加したpH
0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しかる後加熱乾燥さ
せることが好ましい。
【0150】また、上記成分(α)および(β)に加え
て、さらに成分(δ)として、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
(但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
る場合を含む)、を含有し、成分(α)、(β)および
(δ)の上記付着量の合計が6〜3600mg/m2で
ある複合酸化物皮膜を形成する場合には、上記複合酸化
物皮膜形成用の水溶液中に、上記添加成分(イ)および
(ロ)に加えて、さらに添加成分(ニ)として、 (ニ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
a、Ceの各金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以上
を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3.0
モル/L、好ましくは0.01〜0.5モル/L、を含
有し、さらに必要に応じて上述した各添加成分(鉄族
属イオン、腐食抑制剤、その他の添加剤)を添加したp
H0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しかる後加熱乾燥
させることが好ましい。
【0151】また、上記成分(α)および(β)に加え
て成分(γ)および(δ)を含有し、これら成分
(α)、(β)、(γ)および(δ)の上記付着量の合
計が6〜3600mg/mである複合酸化物皮膜を形
成する場合には、複合酸化物皮膜形成用の水溶液中に上
記添加成分(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)を含有
させ、さらに必要に応じて上述した各添加成分(有機樹
脂成分、鉄族金属イオン、腐食抑制剤、その他の添加
剤)を添加したpH0.5〜5の酸性水溶液で処理し、
しかる後加熱乾燥させることが好ましい。上記添加成分
(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の添加条件と添加
量の限定理由は先に述べた通りである。
【0152】また、複合酸化物皮膜中の成分(γ)と成
分(α)との割合を、成分(γ)のMg換算量と成分
(α)のSiO換算量とのモル比[Mg/SiO
で1/100〜100/1の範囲とするためには、複合
酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ハ)と添
加成分(イ)との割合を、添加成分(ハ)のMg換算量
と添加成分(イ)のSiO換算量とのモル比[Mg/
SiO]で1/100〜100/1の範囲とすればよ
い。
【0153】また、複合酸化物皮膜中の成分(γ)と成
分(α)との割合を、成分(γ)のMg換算量と成分
(α)のSiO換算量とのモル比[Mg/SiO
でより好ましい範囲である1/10〜10/1、さらに
好ましい範囲である1/2〜5/1の範囲とするには、
複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ハ)
と添加成分(イ)との割合を、添加成分(ハ)のMg換
算量と添加成分(イ)のSiO換算量とのモル比[M
g/SiO]で1/10〜10/1、さらに好ましく
は1/2〜5/1の範囲とすることが適当である。
【0154】さらに、複合酸化物皮膜中の成分(β)と
成分(γ)との割合を、成分(β)のP換算量と
成分(γ)のMg換算量とのモル比[P/Mg]
で1/100〜100/1の範囲とするには、複合酸化
物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ロ)と添加成
分(ハ)との割合を、添加成分(ロ)のP換算量
と添加成分(ハ)のMg換算量とのモル比[P
Mg]で1/100〜100/1の範囲とすればよい。
【0155】また、複合酸化物皮膜中の成分(β)と成
分(γ)との割合を、成分(β)のP換算量と成
分(γ)のMg換算量とのモル比[P/Mg]で
より好ましい範囲である1/10〜10/1、さらに好
ましい範囲である1/2〜2/1とするには、複合酸化
物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ロ)と添加成
分(ハ)との割合を、添加成分(ロ)のP換算量
と添加成分(ハ)のMg換算量とのモル比[P
Mg]で1/10〜10/1、さらに好ましくは1/2
〜2/1とすることが適当である。
【0156】複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添
加成分(ロ)と添加成分(ハ)との割合を調整する際、
予めマグネシウム成分とリン酸成分のモル比を規定して
得られる、第一リン酸マグネシウム水溶液などを用いる
と、他のアニオン成分が処理液中に混在しないため好ま
しい。但し、第一リン酸マグネシウム水溶液を用いる場
合、モル比[P/Mg]の値が小さくなると同化
合物の水溶液中での安定性が低下するため、モル比[P
/Mg]は1/2以上が好適である。
【0157】一方、第一リン酸マグネシウム水溶液のモ
ル比[P/Mg]が大きくなると、処理液のpH
が低くなるためめっき素地との反応性が大きくなり、こ
の結果、反応ムラによる皮膜の不均一な生成が生じて耐
食性に影響を与える。したがって、マグネシウム成分と
リン酸成分のモル比を規定して得られる、第一リン酸マ
グネシウム水溶液を用いる場合には、モル比[P
/Mg]は2/1以下とすることが好適である。
【0158】また、最も優れた耐食性を得るために、複
合酸化物皮膜中の成分(γ)と成分(α)との割合を、
成分(γ)のMg換算量と成分(α)のSiO換算量
とのモル比[Mg/SiO]で1/100〜100/
1、より好ましくは1/10〜10/1、さらに好まし
くは1/2〜5/1とし、且つ複合酸化物皮膜中の成分
(β)と成分(γ)との割合を、成分(β)のP
換算量と成分(γ)のMg換算量とのモル比[P
/Mg]で1/100〜100/1、より好ましくは1
/10〜10/1、さらに好ましくは1/2〜2/1と
するためには、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の
添加成分(ハ)と添加成分(イ)との割合を、添加成分
(ハ)のMg換算量と添加成分(イ)のSiO換算量
とのモル比[Mg/SiO]で1/100〜100/
1、好ましくは1/10〜10/1、さらに好ましくは
1/2〜5/1の範囲とし、且つ添加成分(ロ)と添加
成分(ハ)との割合を、添加成分(ロ)のP換算
量と添加成分(ハ)のMg換算量とのモル比[P
/Mg]で1/100〜100/1、好ましくは1/1
0〜10/1、さらに好ましくは1/2〜2/1とする
ことが適当である。
【0159】また、複合酸化物皮膜中の成分(δ)と成
分(α)との割合を、成分(δ)の金属換算量Meと成
分(α)のSiO換算量とのモル比[Me/Si
]で1/100〜100/1の範囲とするために
は、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分
(ニ)と添加成分(イ)との割合を、添加成分(ニ)の
金属換算量Meと添加成分(イ)のSiO換算量との
モル比[Me/SiO]で1/100〜100/1の
範囲とすればよい。
【0160】また、複合酸化物皮膜中の成分(δ)と成
分(α)との割合を、成分(δ)の金属換算量Meと成
分(α)のSiO換算量とのモル比[Me/Si
]でより好ましい範囲である1/10〜10/1、
さらに好ましい範囲である1/2〜5/1の範囲とする
には、複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分
(ニ)と添加成分(イ)との割合を、添加成分(ニ)の
金属換算量Meと添加成分(イ)のSiO換算量との
モル比[Me/SiO]で1/10〜10/1、さら
に好ましくは1/2〜5/1の範囲とすることが適当で
ある。
【0161】さらに、複合酸化物皮膜中の成分(β)と
成分(δ)との割合を、成分(β)のP換算量と
成分(δ)の金属換算量Meとのモル比[P/M
e]で1/2〜2/1の範囲とするには、複合酸化物皮
膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ロ)と添加成分
(ニ)との割合を、添加成分(ロ)のP換算量と
添加成分(ニ)の金属換算量Meとのモル比[P
/Me]で1/2〜2/1の範囲とすればよい。
【0162】また、最も優れた耐食性を得るために、複
合酸化物皮膜中の成分(δ)と成分(α)との割合を、
成分(δ)の金属換算量Meと成分(α)のSiO
算量とのモル比[Me/SiO]で1/100〜10
0/1、より好ましくは1/10〜10/1、さらに好
ましくは1/2〜5/1とし、且つ複合酸化物皮膜中の
成分(β)と成分(δ)との割合を、成分(β)のP
換算量と成分(δ)の金属換算量Meとのモル比
[P/Me]で1/2〜2/1とするためには、
複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中の添加成分(ニ)
と添加成分(イ)との割合を、添加成分(ニ)の金属換
算量Meと添加成分(イ)のSiO換算量とのモル比
[Me/SiO]で1/100〜100/1、好まし
くは1/10〜10/1、さらに好ましくは1/2〜5
/1の範囲とし、且つ添加成分(ロ)と添加成分(ニ)
との割合を、添加成分(ロ)のP換算量と添加成
分(ニ)の金属換算量Meとのモル比[P/M
e]で1/2〜2/1とすることが適当である。
【0163】処理液中にはさらに、添加成分(ホ)とし
て、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、
前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンの
中から選ばれる1種以上を適量添加することができ、こ
のような鉄族金属を添加することにより、鉄族金属を添
加しない場合に生じる、湿潤環境下におけるめっき極表
層の腐食に起因した黒変現象が回避できる。また、これ
らの鉄族金属のなかでも特にNiの効果が高く、微量で
も優れた効果が認められる。但し、Ni、Coなどの鉄
族金属の過剰添加は耐食性劣化につながるため、適量の
添加が必要である。
【0164】上記添加成分(ホ)の添加量としては、金
属量換算で、金属量換算での添加成分(ハ)1モルまた
は添加成分(ニ)1モルに対して1/10000〜1モ
ル、望ましく1/10000〜1/100モルの範囲と
することが好ましい。添加成分(ホ)の添加量が添加成
分(ハ)1モルまたは添加成分(ニ)1モルに対して1
/10000モル未満では添加による効果が十分でな
く、一方、添加量が1モルを超えると上記のように耐食
性が劣化する。
【0165】処理液中には、上記添加成分(イ)〜
(ホ)のほかに、先に述べた皮膜中への添加成分を適量
添加してもよい。
【0166】めっき鋼板表面に処理液をコーティングす
る方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式の
いずれでもよく、塗布方式ではロールコーター(3ロー
ル方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイ
コーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。ま
た、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理、
スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法によ
り塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うこ
とも可能である。処理液の温度に特別な制約はないが、
常温〜60℃程度が適当である。常温以下では冷却など
のための設備が必要となるため不経済であり、一方、6
0℃を超えると水分が蒸発し易くなるため処理液の管理
が難しくなる。
【0167】上記のように処理液をコーティングした
後、通常、水洗することなく加熱乾燥を行うが、本発明
で使用する処理液は下地めっき鋼板との反応により難溶
性塩を形成するため、処理後に水洗を行ってもよい。コ
ーティングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であ
り、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、
赤外線炉などの手段を用いることができる。この加熱乾
燥処理は到達板温で50〜300℃、望ましくは80〜
200℃、さらに望ましくは80〜160℃の範囲で行
うことが好ましい。加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜
中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、
加熱乾燥温度が300℃を超えると非経済的であるばか
りでなく、皮膜に欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下
する。
【0168】以上のようにして亜鉛系めっき鋼板または
アルミニウム系めっき鋼板の表面に複合酸化物皮膜を形
成した後、その上層に先に述べたような有機皮膜形成用
の塗料組成物を塗布する。塗料組成物を塗布する方法と
しては、塗布法、浸漬法、スプレー法などの任意の方法
を採用できる。塗布法としては、ロールコーター(3ロ
ール方式、2ロール方式等)、スクイズコーター、ダイ
コーターなどのいずれの方法を用いてもよい。また、ス
クイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理またはス
プレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により
塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うこと
も可能である。
【0169】塗料組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく、加熱乾燥を行うが、塗料組成物の塗布後に水洗工
程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ドライヤ
ー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いる
ことができる。加熱処理は、到達板温で50〜350
℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが望
ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多量
に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が35
0℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠
陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0170】本発明は、以上述べたような有機皮膜を両
面または片面に有する鋼板を含むものである。したがっ
て、本発明鋼板の形態としては、例えば、以下のような
ものがある。 (1)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−公知のリン酸塩処理皮膜など (3)両面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜 (4)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜 (5)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−有機皮膜
【0171】
【実施例】[実施例1]表2〜表17に示す第1層皮膜
形成用の処理液(皮膜組成物)と、表18に示す第2層
皮膜形成用の樹脂組成物を調整した。表18に示す樹脂
組成物にはイオン交換シリカ、表19に示す微粒子シリ
カ、表20に示す固形潤滑剤を適宜配合し、塗料用分散
機(サンドグラインダー)を用いて必要時間分散させて
所望の塗料組成物とした。上記イオン交換シリカとして
はCa交換シリカであるW.R.Grace & Co.製のSHIE
LDEX C303(平均粒子径2.5〜3.5μm、
Ca濃度3wt%)を用いた。
【0172】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム
系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処理原板とし
て用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び
水洗乾燥した後、表2〜表17に示す処理液(皮膜組成
物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥させて第1層
皮膜を形成させた。この第1層皮膜の膜厚は、処理液の
固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、
回転速度等)により調整した。次いで、表18に示す塗
料組成物に各種添加剤を配合したものをロールコーター
により塗布し、加熱乾燥して第2層皮膜を形成させ、本
発明例および比較例の有機被覆鋼板を製造した。第2層
皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または
塗布条件(ロールの圧下力、回転速度等)により調整し
た。
【0173】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を第1層
皮膜および第2層皮膜の皮膜構成などとともに表21〜
表81に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評価は以下の
ようにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0174】(2) 耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0175】(3) アルカリ脱脂後の耐白錆性 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
アルカリ処理液CLN−364S(60℃,スプレー2
分)でアルカリ脱脂を行った後、塩水噴霧試験(JIS
−Z−2371)を実施し、所定時間後の白錆面積率で
評価した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0176】(4) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、粘着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0177】(5) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【0184】
【表7】
【0185】
【表8】
【0186】
【表9】
【0187】
【表10】
【0188】
【表11】
【0189】
【表12】
【0190】
【表13】
【0191】
【表14】
【0192】
【表15】
【0193】
【表16】
【0194】
【表17】
【0195】
【表18】
【0196】
【表19】
【0197】
【表20】
【0198】下記の表21〜表81において、表中に記
載してある *1〜*13 は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のNo. *2:表2〜表17に記載のNo. *3:表18に記載のNo. *4:SiO微粒子(α)=SiO微粒子のSiO
換算での付着量 :Mg成分(γ)=Mg、Mgを含む化合物、Mgを含
む複合化合物からなる群の中から選ばれる1種以上のM
g換算での付着量 :P成分(β)=リン酸および/またはリン酸化
合物のP換算での付着量 *5:Mg換算でのMg成分(γ)とSiO換算でのS
iO微粒子(α)とのモル比 *6:P換算でのP成分(β)とMg換算で
のMg成分(γ)(但し、アルカリ土類金属成分がCa
成分、Sr成分またはBa成分の場合には、それぞれの
金属換算でのCa成分、Sr成分またはBa成分)との
モル比 *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対するイオン交
換シリカ(c)の固形分配合量(重量部) *8:表19に記載のNo. *9:樹脂組成物の固形分100重量部に対する微粒子シ
リカ(d)の固形分配合量(重量部) *10:樹脂組成物の固形分100重量部に対するイオン
交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)の合計固形分配合量
(重量部) *11:イオン交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)の固形分
重量比 *12:表20に記載のNo. *13:樹脂組成物の固形分100重量部に対する固形潤
滑剤(b)の固形分配合量(重量部)
【0199】
【表21】
【0200】
【表22】
【0201】
【表23】
【0202】
【表24】
【0203】
【表25】
【0204】
【表26】
【0205】
【表27】
【0206】
【表28】
【0207】
【表29】
【0208】
【表30】
【0209】
【表31】
【0210】
【表32】
【0211】
【表33】
【0212】
【表34】
【0213】
【表35】
【0214】
【表36】
【0215】
【表37】
【0216】
【表38】
【0217】
【表39】
【0218】
【表40】
【0219】
【表41】
【0220】
【表42】
【0221】
【表43】
【0222】
【表44】
【0223】
【表45】
【0224】
【表46】
【0225】
【表47】
【0226】
【表48】
【0227】
【表49】
【0228】
【表50】
【0229】
【表51】
【0230】
【表52】
【0231】
【表53】
【0232】
【表54】
【0233】
【表55】
【0234】
【表56】
【0235】
【表57】
【0236】
【表58】
【0237】
【表59】
【0238】
【表60】
【0239】
【表61】
【0240】
【表62】
【0241】
【表63】
【0242】
【表64】
【0243】
【表65】
【0244】
【表66】
【0245】
【表67】
【0246】
【表68】
【0247】
【表69】
【0248】
【表70】
【0249】
【表71】
【0250】
【表72】
【0251】
【表73】
【0252】
【表74】
【0253】
【表75】
【0254】
【表76】
【0255】
【表77】
【0256】
【表78】
【0257】
【表79】
【0258】
【表80】
【0259】
【表81】
【0260】従来の反応型クロメート処理鋼板として、
無水クロム酸:30g/l、リン酸:10g/l、Na
F:0.5g/l、KTiF:4g/lを含む処理
液を用い、浴温40℃の条件でスプレー処理した後、水
洗・乾燥することにより、クロム付着量(金属クロム換
算)が20mg/mのクロメート処理鋼板を製造し
た。これを本実施例と同様の条件で塩水噴霧試験に供し
たところ、約24時間で白錆が発生した。したがって、
この結果と本実施例の結果からして、本発明の有機被覆
鋼板では従来型のクロメート処理鋼板に較べて格段に優
れた耐食性が得られることが判る。
【0261】[実施例2]第1層皮膜形成用の処理液
(皮膜組成物)として、表2〜表5に示すNo.1〜N
o.15を用いた。また、第2層皮膜形成用の樹脂組成
物(塗料組成物)としては、[実施例1]と同じ表18
に示すものを用いた。これら塗料組成物には表82に示
すリン酸亜鉛および/またはリン酸アルミニウム、表8
3に示すカルシウム化合物、表20に示す固形潤滑剤を
適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用
いて必要時間分散させて所望の塗料組成物とした。
【0262】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム
系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処理原板とし
て用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び
水洗乾燥した後、表2〜表5に示す処理液No.1〜N
o.15(皮膜組成物)をロールコーターで塗布し、加
熱乾燥させて第1層皮膜を形成させた。この第1層皮膜
の膜厚は、処理液の固形分(加熱残分)または塗布条件
(ロールの圧下力、回転速度等)により調整した。次い
で、表18に示す塗料組成物に各種添加剤を配合したも
のをロールコーターにより塗布し、加熱乾燥して第2層
皮膜を形成させ、本発明例および比較例の有機被覆鋼板
を製造した。第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分
(加熱残分)または塗布条件(ロール圧下力、回転速度
等)により調整した。
【0263】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を第1層
皮膜および第2層皮膜の皮膜構成などとともに表84〜
表106に示す。なお、表84〜表106の各実施例に
おいて、第一層皮膜の付着量、成分(α)、(β)及び
(γ)の付着量、モル比(γ)/(α)、モル比(β)
/(γ)については、[実施例1]における同一の処理
組成物を適用した同一の膜厚の第一層皮膜のものと同じ
であるので、表中への記載は省略した。有機被覆鋼板の
品質性能の評価は[実施例1]と同様にして行った。
【0264】
【表82】
【0265】
【表83】
【0266】下記の表84〜表106において、表中に
記載してある*1〜*11は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のNo. *2:表2〜表5に記載のNo. *3:表18に記載のNo. *4:表82に記載のNo. *5:樹脂組成物の固形分100重量部に対するリン酸亜
鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム(f)の固
形分配合量(重量部) *6:表83に記載のNo. *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対するカルシウ
ム化合物(g)の固形分配合量 *8:樹脂組成物の固形分100重量部に対するリン酸亜
鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム(f)とカ
ルシウム化合物(g)の合計固形分配合量(重量部) *9:リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウ
ム(f)とカルシウム化合物(g)の固形分重量比 *10:表20に記載のNo. *11:樹脂組成物の固形分100重量部に対する固形潤
滑剤(b)の固形分配合量(重量部)
【0267】
【表84】
【0268】
【表85】
【0269】
【表86】
【0270】
【表87】
【0271】
【表88】
【0272】
【表89】
【0273】
【表90】
【0274】
【表91】
【0275】
【表92】
【0276】
【表93】
【0277】
【表94】
【0278】
【表95】
【0279】
【表96】
【0280】
【表97】
【0281】
【表98】
【0282】
【表99】
【0283】
【表100】
【0284】
【表101】
【0285】
【表102】
【0286】
【表103】
【0287】
【表104】
【0288】
【表105】
【0289】
【表106】
【0290】従来の反応型クロメート処理鋼板として、
無水クロム酸:30g/l、リン酸:10g/l、Na
F:0.5g/l、KTiF:4g/lを含む処理
液を用い、浴温40℃の条件でスプレー処理した後、水
洗・乾燥することにより、クロム付着量(金属クロム換
算)が20mg/mのクロメート処理鋼板を製造し
た。これを本実施例と同様の条件で塩水噴霧試験に供し
たところ、約24時間で白錆が発生した。したがって、
この結果と本実施例の結果からして、本発明の有機被覆
鋼板では従来型のクロメート処理鋼板に較べて格段に優
れた耐食性が得られることが判る。
【0291】[実施例3]表107〜表112に示す第
1層皮膜形成用の処理液(皮膜組成物)を調整した。ま
た、第2層皮膜形成用の樹脂組成物(塗料組成物)とし
ては、[実施例1]と同じ表18に示すものを用いた。
これら塗料組成物には表113〜表115に示す無機系
防錆顔料、表20に示す固形潤滑剤を適宜配合し、塗料
用分散機(サンドグラインダー)を用いて必要時間分散
させて所望の塗料組成物とした。
【0292】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム
系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処理原板とし
て用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び
水洗乾燥した後、表107〜表112に示す処理液(皮
膜組成物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥させて
第1層皮膜を形成させた。この第1層皮膜の膜厚は、処
理液の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧
下力、回転速度等)により調整した。次いで、表18に
示す塗料組成物に各種添加剤を配合したものをロールコ
ーターにより塗布し、加熱乾燥して第2層皮膜を形成さ
せ、本発明例および比較例の有機被覆鋼板を製造した。
第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)
または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度等)により
調整した。
【0293】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を第1層
皮膜および第2層皮膜の皮膜構成などとともに表116
〜表154に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評価は
[実施例1]と同様にして行った。
【0294】
【表107】
【0295】
【表108】
【0296】
【表109】
【0297】
【表110】
【0298】
【表111】
【0299】
【表112】
【0300】
【表113】
【0301】
【表114】
【0302】
【表115】
【0303】下記の表116〜表154において、表中
に記載してある*1〜*13は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のNo. *2:表107〜表112に記載のNo. *3:表18に記載のNo. *4:SiO微粒子(α)=SiO微粒子のSiO
換算での付着量(mg/m)と皮膜合計付着量に対す
る重量割合(wt%) :P成分(β)=リン酸および/またはリン酸化
合物のP換算での付着量 :金属成分(δ)=Li、Mn、Fe、Co、Ni、Z
n、Al、La、Ceの中から選ばれる1種または2種
以上の金属(但し、化合物および/または複合化合物と
して含まれる場合を含む)の金属換算での付着量 *5:金属換算での成分(δ)とSiO換算でのSiO
微粒子(α)とのモル比 *6:P換算でのP成分(β)と金属換算で
の成分(δ)とのモル比 *7:表113〜表115に記載のNo. *8:樹脂組成物の固形分100重量部に対する無機系防
錆顔料(a)の固形分配合量(重量部) *9:樹脂組成物の固形分100重量部に対する顔料1と
顔料2の合計固形分配合量(重量部) *10:顔料1と顔料2の固形分重量比 *11:表20に記載のNo. *12:樹脂組成物の固形分100重量部に対する固形潤
滑剤(b)の固形分配合量(重量部)
【0304】
【表116】
【0305】
【表117】
【0306】
【表118】
【0307】
【表119】
【0308】
【表120】
【0309】
【表121】
【0310】
【表122】
【0311】
【表123】
【0312】
【表124】
【0313】
【表125】
【0314】
【表126】
【0315】
【表127】
【0316】
【表128】
【0317】
【表129】
【0318】
【表130】
【0319】
【表131】
【0320】
【表132】
【0321】
【表133】
【0322】
【表134】
【0323】
【表135】
【0324】
【表136】
【0325】
【表137】
【0326】
【表138】
【0327】
【表139】
【0328】
【表140】
【0329】
【表141】
【0330】
【表142】
【0331】
【表143】
【0332】
【表144】
【0333】
【表145】
【0334】
【表146】
【0335】
【表147】
【0336】
【表148】
【0337】
【表149】
【0338】
【表150】
【0339】
【表151】
【0340】
【表152】
【0341】
【表153】
【0342】
【表154】
【0343】従来の反応型クロメート処理鋼板として、
無水クロム酸:30g/l、リン酸:10g/l、Na
F:0.5g/l、KTiF:4g/lを含む処理
液を用い、浴温40℃の条件でスプレー処理した後、水
洗・乾燥することにより、クロム付着量(金属クロム換
算)が20mg/mのクロメート処理鋼板を製造し
た。これを本実施例と同様の条件で塩水噴霧試験に供し
たところ、約24時間で白錆が発生した。したがって、
この結果と本実施例の結果からして、本発明の有機被覆
鋼板では従来型のクロメート処理鋼板に較べて格段に優
れた耐食性が得られることが判る。
【0344】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、製造時の処理液や製品の皮膜成分中に6価クロムを
全く含まず、しかも建材、家電、自動車等の用途の有機
被覆鋼板として高度の耐食性を有し、また、皮膜外観、
塗料密着性等にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 28/00 C23C 28/00 A (72)発明者 松崎 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山地 隆文 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 三好 達也 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−208859(JP,A) 特開 平6−173037(JP,A) 特開 平7−62268(JP,A) 特開 平9−241857(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 7/14 B05D 7/24 303 B32B 15/08 C23C 28/00

Claims (41)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
    たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
    化合物として含まれる場合を含む)と、を含有し、膜厚
    が0.005〜3μmまたは上記成分(α)とP
    換算での上記成分(β)と金属換算での上記成分(γ)
    の合計付着量が6〜3600mg/m である複合酸化
    物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除
    く)を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基および/またはC
    OOH基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とす
    る膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴
    とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μmまたは上記成分
    (α)とP 換算での上記成分(β)と金属換算で
    の上記成分(δ)の合計付着量が6〜3600mg/m
    である複合酸化物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複
    合酸化物皮膜を除く)を有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基および/またはC
    OOH基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とす
    る膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴
    とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、第 1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
    たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
    化合物として含まれる場合を含む)と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μmまたは上記成分
    (α)とP 換算での上記成分(β)と金属換算で
    の上記成分(γ)と金属換算での上記成分(δ)の合計
    付着量が6〜3600mg/m である複合酸化物皮膜
    (但し、有機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除く)を
    有し、 その上部に第2層皮膜として、OH基および/またはC
    OOH基を有する有機高分子樹脂(A)を基体樹脂とす
    る膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴
    とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 複合酸化物皮膜中に含まれる成分(γ)
    がMg(但し、化合物および/または複合化合物として
    含まれる場合を含む)であることを特徴とする請求項1
    または3に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 複合酸化物皮膜中に含まれる成分(δ)
    がNi、Mn(但し、いずれも化合物および/または複
    合化合物として含まれる場合を含む)の中から選ばれる
    1種または2種であることを特徴とする請求項2または
    に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 複合酸化物皮膜が成分(α)、(β)お
    よび(γ)として、 (α)SiO微粒子をSiO換算量で0.01〜3
    000mg/m、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.01〜3000mg/m、 (γ)Mg(但し、化合物および/または複合化合物と
    して含まれる場合を含む)をMg換算量で0.01〜1
    000mg/m、 を含有し、成分(α)、(β)および(γ)の上記付着
    量の合計が6〜3600mg/mであることを特徴と
    する請求項1に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 複合酸化物皮膜が成分(α)、(β)お
    よび(δ)として、 (α)SiO微粒子をSiO換算量で0.01〜3
    000mg/m、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.01〜3000mg/m、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)を金属換算量で0.01〜1000mg
    /m、を含有し、成分(α)、(β)および(δ)の
    上記付着量の合計が6〜3600mg/mであること
    を特徴とする請求項2または5に記載の耐食性に優れた
    有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 複合酸化物皮膜が成分(α)、(β)、
    (γ)および(δ)として、 (α)SiO微粒子をSiO換算量で0.01〜3
    000mg/m、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.01〜3000mg/m、 (γ)Mg(但し、化合物および/または複合化合物と
    して含まれる場合を含む)をMg換算量で0.01〜1
    000mg/m、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)を金属換算量で0.01〜1000mg
    /m、を含有し、成分(α)、(β)、(γ)および
    (δ)の上記付着量の合計が6〜3600mg/m
    あることを特徴とする請求項3または5に記載の耐食性
    に優れた有機被覆鋼板。
  9. 【請求項9】 複合酸化物皮膜中の成分(γ)がMg
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)であり、且つ成分(γ)と成分(α)と
    の割合が、成分(γ)のMg換算量と成分(α)のSi
    換算量とのモル比[Mg/SiO]で1/100
    〜100/1の範囲であることを特徴とする請求項1、
    3、5、6、7または8に記載の耐食性に優れた有機被
    覆鋼板。
  10. 【請求項10】 複合酸化物皮膜中の成分(γ)がMg
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)であり、且つ成分(β)と成分(γ)と
    の割合が、成分(β)のP換算量と成分(γ)の
    Mg換算量とのモル比[P/Mg]で1/100
    〜100/1の範囲であることを特徴とする請求項1、
    3、5、6、7、8または9に記載の耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  11. 【請求項11】 複合酸化物皮膜中の成分(δ)と成分
    (α)との割合が、成分(δ)の金属換算量Me(但
    し、2種以上の金属を含む場合はその合計量)と成分
    (α)のSiO換算量とのモル比[Me/SiO
    で1/100〜100/1の範囲であることを特徴とす
    請求項2、3、4、5、7、8、9または10に記載
    の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  12. 【請求項12】 複合酸化物皮膜中の成分(β)と成分
    (δ)との割合が、成分(β)のP換算量と成分
    (δ)の金属換算量Me(但し、2種以上の金属を含む
    場合はその合計量)とのモル比[P/Me]で1
    /2〜2/1の範囲であることを特徴とする請求項2、
    3、4、5、7、8、9、10または11に記載の耐食
    性に優れた有機被覆鋼板。
  13. 【請求項13】 有機皮膜が、基体樹脂100重量部
    (固形分)に対して無機系防錆顔料(a)を1〜100
    重量部(固形分)含有することを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または1
    2に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  14. 【請求項14】 有機皮膜が、基体樹脂100重量部
    (固形分)に対して固形潤滑剤(b)を1〜80重量部
    (固形分)含有することを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に
    記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  15. 【請求項15】 有機皮膜が、基体樹脂100重量部
    (固形分)に対して無機系防錆顔料(a)を1〜100
    重量部(固形分)、固形潤滑剤(b)を1〜80重量部
    (固形分)含有することを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に
    記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  16. 【請求項16】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    シリカ化合物、リン酸塩、カルシウム化合物の中から選
    ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求
    項13または15に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  17. 【請求項17】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    イオン交換シリカであることを特徴とする請求項16
    記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  18. 【請求項18】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    微粒子シリカであることを特徴とする請求項16に記載
    の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  19. 【請求項19】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    イオン交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)からな
    り、且つイオン交換シリカ(c)と微粒子シリカ(d)
    の含有量(固形分)の重量比(c)/(d)が1/99
    〜99/1であることを特徴とする請求項16に記載の
    耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  20. 【請求項20】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム
    (f)であることを特徴とする請求項16に記載の耐食
    性に優れた有機被覆鋼板。
  21. 【請求項21】 有機皮膜中の無機系防錆顔料(a)が
    リン酸亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム
    (f)とカルシウム化合物(g)からなり、且つリン酸
    亜鉛(e)および/またはリン酸アルミニウム(f)の
    合計の含有量(固形分)とカルシウム化合物(g)の含
    有量(固形分)の重量比(e,f)/(g)が1/99
    〜99/1であることを特徴とする請求項16に記載の
    耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  22. 【請求項22】 有機皮膜中のイオン交換シリカ(c)
    がCaイオン交換シリカであることを特徴とする請求項
    16、17または19に記載の耐食性に優れた有機被覆
    鋼板。
  23. 【請求項23】 Caイオン交換シリカの平均粒子径が
    4μm以下であることを特徴とする請求項22に記載の
    耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  24. 【請求項24】 Caイオン交換シリカのCa濃度が2
    〜8wt%であることを特徴とする請求項22または2
    に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  25. 【請求項25】 OH基および/またはCOOH基を有
    する有機高分子樹脂(A)が、熱硬化性樹脂であること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7 、8、
    9、10、11、12、13、14、15、16、1
    7、18、19、20、21、22、23または24
    記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  26. 【請求項26】 OH基および/またはCOOH基を有
    する有機高分子樹脂(A)が、エポキシ樹脂および/ま
    たは変性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
    2、13、14、15、16、17、18、19、2
    0、21、22、23、24または25に記載の耐食性
    に優れた有機被覆鋼板。
  27. 【請求項27】 複合酸化物皮膜中に含まれる成分
    (α)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
    13、14、15、16、17、18、19、20、2
    1、22、23、24、25または26に記載の耐食性
    に優れた有機被覆鋼板。
  28. 【請求項28】 酸化ケイ素の一次粒子径が8nm以下
    であることを特徴とする請求項27に記載の耐食性に優
    れた有機被覆鋼板。
  29. 【請求項29】 複合酸化物皮膜中に成分(α)として
    含まれる酸化ケイ素のSiO換算量が、複合酸化物皮
    膜の合計付着量に対する重量割合で5〜95wt%であ
    ることを特徴とする請求項27または28に記載の耐食
    性に優れた有機被覆鋼板。
  30. 【請求項30】 複合酸化物皮膜が成分(α)および
    (β)として、 (α)SiO微粒子をSiO換算量で0.01〜3
    000mg/m、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.01〜3000mg/m、 を含有し、成分(α)および(β)の上記付着量の合計
    が6〜3600mg/mであることを特徴とする請求
    項27、28または29に記載の耐食性に優れた有機被
    覆鋼板。
  31. 【請求項31】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
    系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.001〜6.0モル/L、 (ハ)Mg、Ca、Sr、Baの各金属イオン、前記金
    属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金
    属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のう
    ちの少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる
    1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
    0.001〜3.0モル/L、を含有するpH0.5〜
    5の酸性水溶液で処理し、しかる後、加熱乾燥すること
    により、めっき鋼板表面に第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
    たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
    化合物として含まれる場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μmまたは上記成分
    (α)とP換算での上記成分(β)と金属換算で
    の上記成分(γ)の合計付着量が6〜3600mg/m
    である複合酸化物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複
    合酸化物皮膜を除く)を形成し、次いで、その上部に
    求項1、2、3、13、14、15、16、17、1
    8、19、20、21、22、23、24、25または
    26に記載の有機皮膜構成成分を含む有機皮膜形成用の
    塗料組成物を塗布し、加熱乾燥することにより、膜厚が
    0.1〜5μmの有機皮膜を形成することを特徴とする
    耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  32. 【請求項32】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
    系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.001〜6.0モル/L、 (ニ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの各金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
    1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
    1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
    含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以上
    を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3.0
    モル/L、 を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しか
    る後、加熱乾燥することにより、めっき鋼板表面に第1
    層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μmまたは上記成分
    (α)とP換算での上記成分(β)と金属換算で
    の上記成分(δ)の合計付着量が6〜3600mg/m
    である複合酸化物皮膜(但し、有機樹脂を含有する複
    合酸化物皮膜を除く)を形成し、次いで、その上部に
    求項1、2、3、13、14、15、16、17、1
    8、19、20、21、22、23、24、25または
    26に記載の有機皮膜構成成分を含む有機皮膜形成用の
    塗料組成物を塗布し、加熱乾燥することにより、膜厚が
    0.1〜5μmの有機皮膜を形成することを特徴とする
    耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  33. 【請求項33】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
    系めっき鋼板の表面を、少なくとも、 (イ)酸化物微粒子を0.001〜3.0モル/L、 (ロ)リン酸および/またはリン酸化合物をP
    算量で0.001〜6.0モル/L、 (ハ)Mg、Ca、Sr、Baの各金属イオン、前記金
    属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金
    属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属のう
    ちの少なくとも1種を含む複合化合物の中から選ばれる
    1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で
    0.001〜3.0モル/L、 (ニ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの各金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
    1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
    1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
    含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以上
    を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3.0
    モル/L、 を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液で処理し、しか
    る後、加熱乾燥することにより、めっき鋼板表面に第1
    層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸および/またはリン酸化合物と、 (γ)Mg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる1種ま
    たは2種以上の金属(但し、化合物および/または複合
    化合物として含まれる場合を含む)と、 (δ)Li、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、L
    a、Ceの中から選ばれる1種または2種以上の金属
    (但し、化合物および/または複合化合物として含まれ
    る場合を含む)と、 を含有し、膜厚が0.005〜3μmまたは上記成分
    (α)とP換算での上記成分(β)と金属換算で
    の上記成分(γ)と金属換算での上記成分(δ)の合計
    付着量が6〜3600mg/mである複合酸化物皮膜
    (但し、有機樹脂を含有する複合酸化物皮膜を除く)
    形成し、次いで、その上部に請求項1、2、3、13、
    14、15、16、17、18、19、20、21、2
    2、23、24、25または26に記載の有機皮膜構成
    成分を含む有機皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、加熱
    乾燥することにより、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜
    を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板の製造方法。
  34. 【請求項34】 複合酸化物皮膜形成用の水溶液中の添
    加成分(イ)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求
    項31、32または33に記載の耐食性に優れた有機被
    覆鋼板の製造方法。
  35. 【請求項35】 複合酸化物皮膜形成用の水溶液中の添
    加成分(ロ)がリン酸アンモニウムであることを特徴と
    する請求項31、32、33または34に記載の耐食性
    に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  36. 【請求項36】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを含む水溶性イオ
    ン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物の中から
    選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする
    求項31、33、34または35に記載の耐食性に優れ
    た有機被覆鋼板の製造方法。
  37. 【請求項37】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ニ)がNiイオン、Mnイオン、Niを含
    む水溶性イオン、Mnを含む水溶性イオン、Niを含む
    化合物、Mnを含む化合物、Niを含む複合化合物、M
    nを含む複合化合物の中から選ばれる1種または2種以
    上であることを特徴とする請求項32、33、34、3
    5または36に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製
    造方法。
  38. 【請求項38】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを含む水溶性イオ
    ン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物の中から
    選ばれる1種または2種以上であり、且つ添加成分
    (ハ)と添加成分(イ)との割合が、添加成分(ハ)の
    Mg換算量と添加成分(イ)のSiO換算量とのモル
    比[Mg/SiO]で1/100〜100/1の範囲
    であることを特徴とする請求項31、33、34、35
    または37に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造
    方法。
  39. 【請求項39】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ハ)がMgイオン、Mgを含む水溶性イオ
    ン、Mgを含む化合物、Mgを含む複合化合物の中から
    選ばれる1種または2種以上であり、且つ添加成分
    (ロ)と添加成分(ハ)との割合が、添加成分(ロ)の
    換算量と添加成分(ハ)のMg換算量とのモル
    比[P/Mg]で1/100〜100/1の範囲
    であることを特徴とする請求項31、33、34、3
    5、37または38に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼
    板の製造方法。
  40. 【請求項40】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ニ)と添加成分(イ)との割合が、添加成
    分(ニ)の金属換算量Meと添加成分(イ)のSiO
    換算量とのモル比[Me/SiO]で1/100〜1
    00/1の範囲であることを特徴とする請求項32、3
    3、34、35、36、37、38または39に記載の
    耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  41. 【請求項41】 複合酸化物皮膜形成用の酸性水溶液中
    の添加成分(ロ)と添加成分(ニ)との割合が、添加成
    分(ロ)のP換算量と添加成分(ニ)の金属換算
    量Meとのモル比[P/Me]で1/2〜2/1
    の範囲であることを特徴とする請求項32、33、3
    4、35、36、37、38、39または40に記載の
    耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
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