JP4502687B2 - 耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板とその製法、および表面処理剤 - Google Patents

耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板とその製法、および表面処理剤 Download PDF

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Description

本発明は表面処理された亜鉛系メッキ鋼板に関し、特に、亜鉛系メッキ層の上に、有害な6価クロムを一切含まず、しかも、特に耐テープ剥離性に優れ、或はさらにアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に優れた表面処理層が形成された亜鉛系メッキ鋼板とその製法、さらには該表面処理に用いる表面処理剤に関するものである。
家電用、建築材料用、自動車用等に適用される鋼板としては、耐食性の観点から亜鉛系メッキ鋼板が汎用されている。しかし、亜鉛系メッキのみでは耐食性(耐白錆性)が不充分である他、塗装下地として使用する場合に塗料との密着性も確保し難いことから、改善策としてリン酸塩処理やクロメート処理が行われている。下地処理としてリン酸塩処理を行うと、塗膜との密着性はかなり改善されるが、リン酸塩処理のままでは白錆抑制効果が乏しいため汎用性を欠く。
一方、クロメート処理の場合、白錆抑制効果には優れているものの、そのままでは塗膜との密着性が充分でない。そこでこれを改善すると共に、高耐食性、耐指紋性、潤滑性等の機能をも付与することを目的とし、クロメート処理層の上に1μm程度の薄膜被覆を施した多機能製品が開発され、家電メーカーを中心に汎用されてきた。
しかしながら、クロメート処理には有害な6価クロムを使用するため公害の原因になるという問題があり、特に近年、環境保全に対する意識が高まってくるにつれてクロメート処理は回避される傾向にある。そこで、クロメートを用いない(ノンクロメート)表面処理法が数多く提案され、実用化されている。
例えば特許文献1には、水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成物を用いる亜鉛含有金属メッキ鋼板用の表面処理剤、さらには当該処理剤を金属メッキ表面にロールコートしてなる耐食性に優れた表面処理鋼板が開示されている。しかしこの技術は、クロメート処理を廃して直接有機系皮膜で亜鉛系メッキ層を被覆しているため、塗膜密着性が充分でない。また、表面処理亜鉛系メッキ鋼板では、塗膜密着性の向上等を期して、プレス加工等で表面に塗布された油を除去して清浄化するためにアルカリ脱脂が行われるが、該アルカリ脱脂後の耐食性が悪くなるという問題があった。
こうした問題を改善し得るものとして、特許文献2には、イオン交換シリカを含有する有機皮膜を、亜鉛系メッキ鋼板の上に直接、或はリチウムシリケートやリン酸塩処理等の下地処理層上に被覆し、耐食性、アルカリ脱脂後の耐食性、塗膜密着性等を高めた有機被覆鋼板が開示されている。
また特許文献3には、亜鉛系メッキ鋼板を、シリカやシリカゾルとリン酸化合物、および特定金属の酸化物や水酸化物を好適比率で含む酸性処理液で処理した後、加熱乾燥することによって、所定厚みの化成処理皮膜を形成した耐食性に優れた表面処理鋼板が開示されている。しかし、シリカゾルやリン酸塩、金属水酸化物のような無機系処理剤を塗布乾燥したままの皮膜にはピンホール等が形成され易いため、アルカリ脱脂等を行ったときに、ピンホールから腐食性の液が浸入し、耐食性不足になることがある。そこで、この特許文献3では、化成処理皮膜の上に有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜を形成し、アルカリ脱脂後の耐食性や塗膜密着性を高めている。
一方、特許文献4には、第1層として亜鉛系メッキ、第2層として多価金属の第1リン酸塩と金属酸化物ゾルの混合水溶液を塗布・乾燥してなる非晶質塗膜、第3層として有機塗膜を形成し、多層構造とすることにより耐食性や塗膜密着性を高めた表面処理鋼板が開示されている。
また特許文献5には、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、第1層として、SiO2微粒子とリン酸化合物とからなる所定厚さの複合酸化物皮膜を形成し、その上に、OH基またはCOOH基を有する有機高分子をベース樹脂とする所定厚さの有機皮膜を形成することにより、耐食性、アルカリ脱脂後の耐食性、塗膜密着性を改善した有機被覆鋼板が開示されている。
さらに、特許文献6には、Al、Si、Pを特定の比率で含む表面改質層が形成されたノンクロメート系で、クロメート処理鋼板と同等の耐食性を示す表面処理亜鉛系メッキ鋼板が開示されている。
特開平8−325760号公報 特開2000−144448号公報 特開2000−144444号公報 特開2000−129460号公報 特開2001−11645号公報 特開2003−293151号公報
上述したように、ノンクロメート処理については幾つかの課題に対して様々の改良技術が提案され、各種の性能向上が図られてきた。しかし本発明者らの最近の経験によると、改良されたノンクロメート処理が施された亜鉛系メッキ鋼板であっても、耐テープ剥離性が充分でないという重大な問題を内包していることが明らかになってきた。
すなわち、表面処理鋼板は、帯状鋼板をロール巻きにして出荷され、需要者でコイルを巻き戻してから切り板として使用されるが、その際、使い残しコイルの端部を粘着テープで仮止めして保管されることがある。また切り板は、打抜き、塗油、プレス加工、アルカリ脱脂等の工程を経てAV製品ケースや部品に加工されるが、その際に、ケースや部品の表面に、品番やサイズ、グレード等を表示した粘着ラベルを仮止めのために貼付することがある。テープ剥離とは、需要者が上記粘着テープや粘着ラベルを剥離する際に、亜鉛系メッキ表面の上塗り皮膜がテープと共にメッキ表面から剥離する現象をいい、表面処理鋼板の品質上極めて重要な問題であり、これが発生すると重大な製品欠陥となる。
このテープ剥離は、旧来の上層に薄膜被覆を施したクロメート処理系の表面処理鋼板では殆ど起こっておらず、従って、テープ剥離を防止するための「耐テープ剥離性の改善」といった課題自体、従来は認識されていなかった。
ところが、本発明者らがノンクロメート系の亜鉛系メッキ鋼板について改良研究を進めるうち、ノンクロメート処理系の表面処理鋼板では、上述した耐テープ剥離性の良・不良が発生することが分ってきた。特に、表面に粘着テープやラベルを貼った状態で長期間保管した場合、或は、船舶輸送等を想定して高温多湿条件で保管した場合に発生し易いことが明らかとなり、「耐テープ剥離性」が極めて重要な製品特性の一つになることが分ってきた。
しかし、「テープ剥離」という問題自体が殆ど認識されていない状況の下では、「耐テープ剥離性の改善」といった課題自体を生じる余地がなく、その改善手段についても、前述したノンクロメート処理系メッキ鋼板に関して既に開示されている技術では不充分であり、当然のことながら具体的な方法は開発されていない。
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、ノンクロメート処理系の表面処理亜鉛系メッキ鋼板を対象とし、特に耐テープ剥離性、さらにはアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板とその製法を提供すると共に、この処理に有用な表面処理剤を提供することを課題として掲げた。
上記課題を解決することのできた本発明は、亜鉛系メッキ鋼板における亜鉛系メッキ層の上に、少なくとも、表面改質層と上塗り皮膜が形成されている表面処理亜鉛系メッキ鋼板であって、前記表面改質層が、Si換算で1〜30mg/m2のSiO2と、0.5〜15mg/m2のPおよび0.4〜10mg/m2のAlを含むことを特徴とする耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板である。
上記表面改質層に含まれるSi、P、Alの含有量(質量比)が、下記式(1)、(2)の関係、
0.5≦Si/P≦20……(1)
0.7≦P/Al≦6 ……(2)
を満たす態様は、一段と優れた耐テープ剥離性を発揮すると共に、特に、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が優れたものとなる。
上記表面改質層は、有機樹脂を含むものであることが好ましく、この有機樹脂は、表面改質層をFT−IRで観察したときに有機樹脂の構造に由来する吸収強度が0.1〜15となるように含まれているとよい。
また、表面改質層の付着量は4.2〜130mg/m2の範囲であることが好ましい。
本発明の表面処理亜鉛系メッキ鋼板においては、上塗り皮膜が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を主成分とするエマルジョン組成物から得られる樹脂皮膜であって、このエマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体以外に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モルに相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モルに相当する1価の金属の化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤をエマルジョン組成物の固形分100質量%に対し1〜20質量%含むものであることが好ましい実施形態である。この構成の樹脂皮膜は、塗装性、潤滑性、加工性、耐食性等の各種特性を備えることができ、さらに、脱脂工程後の耐テープ剥離性にも優れている。
また本発明の表面処理剤は、耐テープ剥離性に優れた上記亜鉛系メッキ鋼板を得るために有用なSiO2含有リン酸系表面処理剤であって、固形分濃度が0.01〜14.5%(質量%を意味する、以下同じ)であり、この処理剤に含まれるSi、P、Alの量と組成比(質量比)が下記の要件、
Si:0.002〜4.5%
P :0.0005〜1.5%
Al:0.0001〜0.5%
1.5≦Si/P≦60、4.5≦Si/Al≦230
を満たすところに特徴がある。
上記表面処理剤は、さらに有機樹脂を含んでいてもよく、このときの有機樹脂は、水溶性が好ましい。また、上記有機樹脂は、表面処理剤中に、固形分で0.01〜3g/l含まれていることが好ましい。
本発明の製造方法に係る発明は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、上記要件を満たす表面処理剤により表面処理剤層を形成した後、水洗して、この表面処理剤層から余剰のPおよび/またはAlを除去し、その後乾燥することにより表面改質層を形成することを特徴とする。なお、表面処理剤層はスプレーコーティング法によって形成することが好ましい。
亜鉛系メッキ鋼板における亜鉛系メッキ層の上に、特定量のSi、P、Alと、必要に応じて有機樹脂を含む表面処理剤によって表面改質層を形成したので、耐テープ剥離性、さらには、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が優れたものとなった。また、上塗り皮膜として、特定のエマルジョン組成物から得られる皮膜を選択することで、塗装性、潤滑性、加工性、耐食性等の各種特性に優れ、かつ、脱脂工程後の耐テープ剥離性においても卓越した性能を有する皮膜が形成された表面処理亜鉛系メッキ鋼板を提供することができた。本発明の製造方法は、耐テープ剥離性、特にアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板を製造する好適な方法である。
本発明の表面処理亜鉛系メッキ鋼板は、ノンクロメート系処理剤により形成された表面改質層を有するものであることを前提とする発明である。本発明が適用される亜鉛系メッキ鋼板としては、亜鉛単独メッキ鋼板の他、亜鉛−Ni、亜鉛−Fe、亜鉛−Al等の亜鉛系合金メッキ鋼板が全て適用でき、またメッキ法も溶融メッキ法、電気メッキ法、蒸着メッキ法等いずれも採用可能である。
本発明は、ノンクロメート系処理亜鉛系メッキ鋼板の分野において本発明者らが初めて提示する新たな解決課題である『耐テープ剥離性』を高めるための手段として、上記表面改質層中に、Si換算で1〜30mg/m2のSiO2と、0.5〜15mg/m2のPおよび0.4〜10mg/m2のAlを含有させるところに最大の特徴を有している。
なお、本発明における『耐テープ剥離性』とは、前記したように、表面処理亜鉛系メッキ鋼板に粘着ラベルや粘着テープを貼付して放置した後、これを引き剥がす際に表面処理層が一緒に剥離してしまうことのない耐剥離特性であり、この耐テープ剥離性の程度は、テープ剥離試験に供される粘着テープの種類、殊に粘着剤の粘着力やその中に含まれる溶剤や可塑剤等の種類等によって異なってくる。
なぜならば、テープ剥離により上塗り樹脂皮膜や表面改質層が剥離する最大の理由は、粘着テープの粘着剤中に含まれる溶剤や可塑剤等が、表面改質層やその上に形成される上塗り皮膜を通して亜鉛系メッキ層表面にまで拡散・浸透し、接合界面に蓄積されることによって接合力が低下するためと思われ、粘着テープに含まれる溶剤や可塑剤等の種類や含有率によって、耐テープ剥離性はかなり変わってくると思われるからである。
しかし、通常の粘着テープに粘着剤として配合される溶剤や可塑剤等の種類や配合量に多少の違いはあるとしても、それらの特にSiO2含有層に対する拡散・浸透速度に極端な違いはないと思われるので、本発明では、後述の実施例で示したように、一応の評価基準として“スリオンテック社製のフィラメントテープ「品番#9510」”および“ニチバン社製の「セロハンテープ」”を代表例として選択使用した時の耐テープ剥離性で評価している。
本発明に係る上記表面改質層中の主成分となるシリカ(SiO2)とは、例えばコロイダルシリカや珪酸塩等に由来して含まれてくる酸化シリコンであって、これらのシリカは本質的に無機質素材であり亜鉛系メッキ層との親和性が良好であるため、上塗り皮膜の下地層として形成することによって、亜鉛系メッキ層と上塗り皮膜との間の耐剥離特性を高める作用を発揮する。
前記したように、テープ剥離を起こす原因の1つに、粘着テープ等の粘着剤中に含まれる溶剤や可塑剤等の拡散性成分が移動することで、各層界面の接合力を低下させていると考えられる。しかし、本発明の表面改質層中に主成分として含まれるシリカは、上塗り皮膜層から拡散・浸透してくる溶剤や可塑剤等に対して優れたバリア効果を発揮し、亜鉛系メッキ表面方向への侵入、あるいは上塗り皮膜や表面改質層界面での拡散を阻止する機能を発揮するものと考えられる。このため、適量のシリカを含有させた表面改質層を形成しておくと耐テープ剥離性は飛躍的に向上する。そして本発明者らがこうしたシリカの耐テープ剥離性改善作用を有効に発揮させるための量的関係について追究したところ、表面改質層中のシリカ含量をSi換算で1〜30mg/m2の範囲(2.14〜64.3mg/m2のSiO2)に調整することによって、優れた耐テープ剥離性が発揮されることが確認された。
シリカ含量がSi換算で1mg/m2未満では、上述したバリア層としての機能が不充分となり、満足のいく耐テープ剥離性が発揮され難くなる。従って表面改質層中のシリカ含量は、Si換算で1mg/m2以上必要である。シリカ含量の下限は、Si換算で2mg/m2とするのが好ましく、より好ましい下限は2.5mg/m2である。
そして、シリカ含量が多くなるにつれて上記バリア層としての機能は高まっていくが、シリカ含量が過度に多くなると、耐テープ剥離性は却って低下傾向を示す。この理由は次のように考えている。すなわち、表面改質層中のシリカは、その量が少ない間は微粒子の集合体として存在するが、シリカ量が多くなると、微粒子が多層積層状態になってくると思われる。このような多層積層状態のシリカ微粒子層同士の結合力が必ずしも強いとはいえないため、テープ剥離の際に、その力が多層積層状態のシリカ微粒子層を剥がす方向に加わり、シリカ微粒子層が層間剥離を起こしてしまうと考えられる。こうした表面改質層自体の剪断破壊による層間剥離を可及的に抑えるには、当該表面改質層中のシリカ含量をSi換算で30mg/m2以下に抑制すべきである。表面改質層中のシリカ含量がこの上限値を超えると、耐テープ剥離性は明らかに低下傾向を示す。なお、表面改質層中のシリカ含量を過度に多くすることは経済的にも無駄となるので、この点で好ましい上限はSi換算で15mg/m2、さらに好ましい上限は10mg/m2、最も好ましい上限は8mg/m2である。
本発明のシリカ含有表面改質層には、PとAlも含まれる。表面改質層を製造するに当たっては、亜鉛系メッキ層の表面をエッチングして、適度に粗面化されたメッキ層の表面にコロイダルシリカ等に由来するシリカ微粒子を沈着させるのがよく、エッチング成分としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等を使用することができるが、特に好ましいのは、エッチング成分として、リン酸、重リン酸、亜リン酸、重亜リン酸等のアルミニウム塩(以下、単にリン酸アルミニウム塩化合物という)を使用し、これに適量のコロイダルシリカを分散させた酸性の水性液を表面改質剤として使用する方法である。このため、生成する表面改質層には、PとAlとが含まれるのである。
コロイダルシリカとリン酸アルミニウム塩化合物を含む酸性水性液を表面処理剤として使用すると、酸性水性液によって亜鉛系メッキ層の表面がエッチングされながら、亜鉛系メッキ層の表面にリン酸アルミニウムの中でも難溶性(水またはアルカリ性水溶液に溶けにくい)のAlPO4やAl2(HPO43主体の反応層(表面改質層)が形成される。この反応層にシリカ微粒子が沈着して取り込まれることでリン酸アルミニウムとシリカ微粒子が複合一体化する。また、エッチングにより粗面化された亜鉛系メッキ層との間で緻密な反応層が形成され、この反応層の上に形成される上塗り皮膜との結合も緻密で強固なものとなるため、耐テープ剥離性が著しく向上する。また後述するように、上記酸性水溶液に有機樹脂の水性液を含有させておくと、得られる表面改質層中のシリカ微粒子の沈着状態を一層強固なものとすることができる。
難溶性のAlPO4やAl2(HPO43を主体とするリン酸アルミニウムとシリカ微粒子が複合一体化した反応層は、例えば硝酸等をエッチング剤として用いて得た表面改質層よりも優れた耐アルカリ性を有しているので、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性においても優れた性能を発揮する。ただし、エッチング成分として上記リン酸アルミニウム塩化合物を用いてシリカ含有表面改質層を形成した場合、表面改質層に含まれるPとAlの各含有量によっては、表面改質層の耐アルカリ性やアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に差異を生じることがわかった。特に、表面改質層が厚くなって、層中のリン酸アルミニウム量が多くなると、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が低下する傾向が認められたのである。
表面改質層が薄い場合、表面改質層と亜鉛メッキ層とは近接しているので、亜鉛メッキ層がエッチングされることによって亜鉛が溶出し、処理剤中のH+がH2ガスに還元されるので、亜鉛メッキ層に近接する表面改質層付近のpHが上昇し、アルカリ性側に傾く。このようにpH上昇が大きい雰囲気下ではAlPO4やAl2(HPO43が多く生成し、これらの難溶性リン酸アルミニウムとシリカ微粒子が複合一体化した反応層が形成され、耐テープ剥離性、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が非常に向上する。しかし、表面改質層が厚膜となってくると、形成されつつある表面改質層の表面と亜鉛メッキ層とは距離が離れるため、亜鉛の溶出に伴う前記pHの影響が及びにくくなって、表面改質層の表面付近の雰囲気は表面処理剤本来の酸性となるので、難溶性のAlPO4やAl2(HPO43よりも水に溶けやすい(アルカリのアタックを受けやすい)Al(H2PO43が生成しやすくなる。この水溶性のAl(H2PO43が表面改質層の最表層に多く存在すると、アルカリの浸食を受けたときに上記水溶性成分が表面改質層から溶出してしまうため、このことによって表面改質層の耐アルカリ性が低下して、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が低下すると考えられる。
しかし、本発明では、後述するように表面改質層の厚みを特定範囲に定めることと、層中のPとAlの量を特定範囲に定めることで、安定した優れた耐テープ剥離性とアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を確保することができた。よって、本発明では、表面改質層中のP含量は0.5〜15mg/m2の範囲に、またAl含量は0.4〜10mg/m2の範囲に制御する必要がある。P含量が0.5mg/m2未満、Al含量が0.4mg/m2未満では、エッチング作用が不足し、それによる緻密な反応層が形成されにくい上に、シリカ微粒子の沈着促進による耐テープ剥離性向上効果が有効に発揮されないことがある。より好ましいP含量の下限は0.6mg/m2であり、より好ましいAl含量の下限は0.5mg/m2である。また、P含量やAl含量が過度に多くなると、上述したように耐アルカリ性不足のAl(H2PO43が表面改質層の中に含まれるようになり、アルカリの浸食を受けて表面改質層から溶出し易くなる。P含量の好ましい上限は9mg/m2であり、さらに好ましい上限は7.2mg/m2であり、最も好ましい上限は5mg/m2である。Al含量の好ましい上限は8mg/m2であり、さらに好ましい上限は6.3mg/m2であり、最も好ましい上限は4.4mg/m2である。
さらに、表面改質層中に含まれるSi、P、Alの各含有量の比率が、下記式(1)及び(2)の関係
0.5≦Si/P≦20……(1)
0.7≦P/Al≦6 ……(2)
を満たす場合は、一層優れた耐テープ剥離性とアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を確保することができる。
上記Si/Pが0.5未満では、表面改質層中のSiO2の比率が相対的に不足気味となるため、耐テープ剥離性が低下傾向となる。逆にこの比が20を超えると、シリカ含量に比べてリン酸アルミニウムの量が不足することになり、難溶性のAlPO4やAl2(HPO43による前記効果が有効に発揮されにくくなる。こうした観点から、表面改質層中のSi/Pのより好ましい比率の下限は1である。また、より好ましい上限は15、さらに好ましい上限は10である。
上記式(2)におけるP/Alが0.7未満では、リン酸不足に由来したエッチング不足のために、耐テープ剥離性が低下する傾向にある。逆に6を超えてこの比が高くなり過ぎると、エッチング処理後に生成する難溶性のAlPO4やAl2(HPO43の量が減少して緻密な反応層の形成が不充分となり、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性の改善効果が小さくなる。よって、P/Alを0.7以上6以下とすることで、適度のエッチング作用を確保しつつ難溶性のリン酸アルミニウムの生成を助長して充分量の反応層を形成させることができる。より好ましいP/Alの下限は1で、上限は4である。
なお、上記Si/PやP/Alの調整は、表面処理剤中のシリカ、珪酸塩、リン酸成分およびAl成分の含有量を調整したり、後述するように表面改質層を形成する際に水洗を行い、過剰のリン酸成分やAl成分を洗浄除去する等によって調整すればよい。また、表面改質層中のSi、P、Alの量は、それぞれ例えば蛍光X線法等によって確認することができる。
表面改質層中にシリカを含有させるだけでなく、P、Alを特定量含ませることで、さらにはSi、PおよびAlの含有比率を適正範囲に制御することで、得られる表面改質層はピンホール欠陥等のない一層緻密なものとなり、乾燥条件下の耐テープ剥離性はもとより、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性においても卓越した性能を示す。
本発明では、前記表面改質層にさらに有機樹脂を含有させてもよい。有機樹脂は、表面改質層を形成する際に、シリカ微粒子を強固に表面改質層中に沈着させて、耐テープ剥離性、さらには、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を一層向上させる効果を有するからである。有機樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができ、単独で、または2種以上を併用して使用することができる。
これらの有機樹脂の中でも水溶性の有機樹脂を用いることが好ましく、有機酸によって構成される有機樹脂を使用することが特に好ましい。有機酸によって構成される有機樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸が好適であり、酸基の一部または全部を塩基で中和したものを用いてもよい。上述したように、表面改質層を形成する際には、酸性水溶液を使用して亜鉛系メッキ層をエッチングすることが好ましいが、有機酸を構成成分とする有機樹脂は専ら水溶性であるし、このような有機樹脂を含有する水性液は酸性となるので、上記酸性水性液へ配合する際の安定性や作業性に優れている。ポリ(メタ)アクリル酸を用いる場合の重量平均分子量は2000以上が好ましい。より好ましくは10000以上、さらに好ましくは100000以上である。なお、有機酸によって構成される有機樹脂の塩を用いるときの塩基としては、アンモニアや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が使用可能である。
表面改質層中の有機樹脂は、例えば、FT−IRで表面改質層を観察することで、有機樹脂の構造(エステル結合、カルボキシル基、ケトン、アミノ基、ヒドロキシル基、及び、炭素−水素結合等)に由来するFT−IRのピークがスペクトルに現れるので、その存在を把握することができる。そして、本発明では、有機樹脂の構造に由来するFT−IRの吸収強度が0.1〜15となるように有機樹脂を存在させることが好ましい。前記FT−IRの吸収強度は、表面改質層中の有機樹脂の含有量を指標するものであり、FT−IRの吸収強度を一定の範囲とすることによって、耐テープ剥離性およびアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を向上させることができる。
本発明には、上記表面改質層を形成するために用いられる表面処理剤も含まれる。この表面処理剤はコロイダルシリカ等のシリカ微粉末を含む溶液状のリン酸系処理剤であるが、固形分濃度を0.01〜14.5質量%とし、処理剤に含まれるSi、P、Alの量(質量%、以下単に%とする)と組成比(質量比)が下記の要件
Si:0.002〜4.5%
P :0.0005〜1.5%
Al:0.0001〜0.5%
1.5≦Si/P≦60、4.5≦Si/Al≦230
を満たすように調整することが望ましい。
表面処理剤の固形分濃度が0.01%未満では、一回の処理で満足のいく厚さの表面改質層を形成するのが困難となり、多数回の処理が必要になるため実際的でなく、また14.5%を超えて過度に高濃度になると、処理剤中の気液界面等に固形物が生成し易くなり、押し疵やブツ等の製品不良が発生し易くなる傾向が生じてくる。こうした点を考慮してより好ましい固形分濃度は0.05%以上、10%以下、さらに好ましくは0.1%以上、5%以下である。
また表面処理剤中のSi濃度が0.002%未満では、表面改質層において前記バリア層の主体となるシリカ含量が不足気味となり、満足な耐テープ剥離性が得られ難くなる。他方、Si濃度が4.5%を超えると、表面処理剤中に占めるシリカの含有比率が過度に高くなって表面改質層中のシリカ含量が過多となり、耐テープ剥離性が却って低下傾向を示すようになる。こうした傾向を踏まえて、表面処理剤中のより好ましいSi濃度の下限は0.01%、さらに好ましい下限は0.03%である。また、より好ましい上限は4%、さらに好ましい上限は3%である。なお、表面処理剤中のSi濃度は、主としてコロイダルシリカ等として配合されるSiO2、さらには珪酸塩等の配合量によって調整すればよい。
ここで、表面処理剤にシリカ源として配合することのできるコロイダルシリカとしては、例えば、「スノーテックス」シリーズ(日産化学工業社製のコロイダルシリカ)の「O」、「OS」、「OL」、「OXS」、「OUP」等が好ましく、珪酸塩としては、Na4SiO4やNa2SiO3等が好ましい。
一方、表面処理剤中のP濃度は、リン酸、重リン酸、亜リン酸、重亜リン酸等として配合されるリン酸系化合物の量に依存し、主としてエッチング効果と緻密な反応層の形成性を支配する重要な因子となる。P濃度が低過ぎると、エッチング作用不足となる他、前述した緻密なリン酸アルミニウム系反応層の形成も不充分になってシリカ微粒子の沈着促進効果も低下するので、表面改質層の密着性や耐アルカリ性が不充分となりがちである。従って処理剤中のP濃度は0.0005%以上とするのが好ましい。より好ましい下限は0.001%、さらに好ましい下限は0.01%である。
但し、表面処理剤中のP濃度が過度に高くなると、亜鉛系メッキ表面のエッチング量の制御が困難となり、製品が外観不良になる傾向が生じるほか、表面処理剤タンク等が腐食し易くなるといった実操業上の問題も生じてくるので、1.5%以下とすることが好ましい。より好ましい上限は1%、さらに好ましい上限は0.5%である。
また、表面処理剤中のAl濃度は、主としてリン酸等のアルミニウム塩、さらには必要により添加されることのあるAlの水酸化物等の量に依存するが、特にリン酸等によるエッチング工程で緻密な反応層として生成する難溶性のリン酸アルミニウムの生成源となり、シリカの沈着を促進して表面改質層の密着性や耐アルカリ性を高める上で重要な機能を果たす。こうした作用を有効に発揮させるには、処理剤中のAl濃度を少なくとも0.0001%以上、好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.001%以上に調整することが望ましい。しかしAl濃度が過度に高くなると、処理液中の気液界面等に固形物が生成し易くなり、押し疵やブツの如き製品不良を生じ易くなるので、0.5%以下に低減させる。より好ましい上限は0.4%、さらに好ましい上限は0.2%である。
表面処理剤中のSi/PとSi/Alは、前述した表面処理の初期に生成するリン酸アルミニウム主体の緻密な反応層の生成量とシリカの沈着量に影響を及ぼし、Si含量に対してP含量やAl含量が不足する場合は、相対的にエッチング不足になって、リン酸アルミニウム主体の反応層の緻密さや生成量が不充分になるばかりでなく、シリカに対する沈着促進作用も低下し、耐テープ剥離性およびアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が不充分となるおそれがある。逆にSi含量に対してP含量やAl含量が過度に多くなると、前記反応層中のシリカ濃度が不足気味となり、耐テープ剥離性が不充分となるおそれがある。
これらの観点から、上記表面処理剤中に含まれるSi/Pは、1.5以上、60以下とするのが好ましく、より好ましくは1.8以上で、20以下である。Si/Alは、4.5以上、230以下とするのが好ましく、6以上、100以下がより好ましい。
なお、上記下地用表面処理剤中のSi、P、Al含量を上記好適範囲に調整する方法は特に制限されないが、Si含量は表面処理剤中のシリカや珪酸塩等の含有量に、P含量は同処理剤中のリン酸やリン酸塩等の含有量に、Al含量は同処理剤中のAlのリン酸塩や水酸化物等の含有量に、それぞれ依存するので、表面処理剤中のこれら成分の含有量を適正に制御することによって行えばよい。
また、上記表面処理剤が前記した有機樹脂を含む場合、表面処理剤中の有機樹脂の添加濃度は、有機樹脂の固形分で0.01〜3g/lであることが好ましい。添加濃度が0.01g/l未満の場合には有機樹脂の添加効果がほとんど発現せず、添加濃度が3g/lを超える場合にはアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が劣化することがある。
本発明において、表面処理剤として特に好ましいのは、コロイダルシリカと、リン酸や重リン酸、亜リン酸、重亜リン酸等のアルミニウム塩化合物と、有機樹脂(好ましくはポリ(メタ)アクリル酸またはその塩)とを含む酸性水性液である。この表面処理剤を使用すれば、前記したように、酸性水性液下で鋼板表面の亜鉛系メッキ層がエッチングされながら、亜鉛系メッキ層表面に難溶性のリン酸アルミニウム主体の緻密な反応層が形成されると共に、反応層にシリカが沈着し、有機樹脂の作用も相まって確実に取り込まれることで、エッチングにより溶出した亜鉛との間で緻密な反応層が形成され、優れた耐テープ剥離性とアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を示す表面改質層となる。
より具体的には、表面処理剤100%中、各成分の固形分は、リン酸(または重リン酸、亜リン酸、重亜リン酸)Al;0.002〜5.0(より好ましくは0.01〜1.0)%、コロイダルシリカ;0.004〜10(より好ましくは0.05〜3)%が好ましく、有機樹脂を0.1〜3g/l含み、pHが1.5〜4.0の範囲の酸性水性液である形態が好ましい。表面処理剤の組成をこれらの範囲とし、好ましくは水洗等を行うことで、表面改質層の組成を前記した範囲に調整することができるためである。
亜鉛系メッキ鋼板を上記表面処理剤で処理する方法としては、浸漬法、スプレー塗工法、ロールコーティング法等公知のコーティング手段を採用できる。浸漬法の場合は、大体0.1〜10秒程度浸漬することが好ましい。スプレーによるコーティング法は、亜鉛系メッキとの反応を促進させるうえで、より好ましい方法であり、その際の好ましいスプレー圧力は20〜500kPa(約0.2〜5.0kgf/cm2)、好ましいスプレー時間は0.1〜10秒の範囲である。
上記表面処理剤で亜鉛系メッキ鋼板を表面処理して表面処理剤層(水洗・乾燥後は表面改質層となる層をいう)を形成した後は、適度に水洗することによって可溶性成分を除去することが好ましい。その後、例えば30〜150℃程度に加熱して水分を乾燥除去することにより、表面改質層が得られる。この際の水洗は、最終的に得られる表面改質層の特に耐アルカリ性、ひいてはアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を高める上で重要な処理工程となる。すなわち、本発明者らが種々の実験で確認したところによると、前述した表面処理剤で処理した後そのまま乾燥したり、あるいは焼付した表面改質層の場合、この表面改質層中のP含量およびAl含量が多いことがあり、前述した表面改質層の好適P含量0.5〜15mg/m2や好適Al含量0.4〜10mg/m2を超え、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を確保し難くなることが確認された。
すなわち、先に従来技術の項でも説明した通り、亜鉛系メッキ鋼板の表面をシリカ微粒子とリン酸アルミニウム塩を含む処理剤で処理することによって、亜鉛系メッキ鋼板の耐食性やアルカリ脱脂後の耐食性を高める方法自体は公知であり、この表面処理は、有機系上塗り皮膜の密着性を高めるための下地処理として有効であることも確認されている。ところが本発明者らが確認したところ、前掲の特許文献を含めて、シリカ微粒子とリン酸アルミニウム塩を含む上記表面処理剤によって形成される表面改質層にはかなり多量のリン酸アルミニウム成分が含まれており、その量は例えばP換算で30mg/m2程度以上、Al換算で15mg/m2程度以上にも達する場合があることがわかった。そして、これらPとAl含量が高いと、特にアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に少なからぬ悪影響を及ぼしていること、また、これらPとAl含量を前述した好適範囲にまで低減して、さらに難溶性(耐アルカリ性に優れた)で緻密な表面改質層とするには、上記下地表面処理の後に水洗処理を施し、表面処理剤層中に含まれるリン酸アルミニウムのうちの水可溶性の成分(主としてAl(H2PO4 3 )を予め溶出除去することが簡便で望ましいことを突き止めたのである。
水洗法としては、浸漬法やスプレー法等が考えられ、水洗条件は、表面処理剤層内に含まれるリン酸系アルミニウム成分中の水可溶性成分含量によって適宜変更すればよいが、浸漬法の場合は水洗時間を0.5〜15秒程度とし、またスプレー法の場合は、水洗時間を0.5〜15秒程度、スプレー圧力を20〜500kPa(約0.2〜5kgf/cm2)程度にすれば、上記水可溶性成分をより効率よく除去できるので好ましい。
亜鉛系メッキ鋼板上における表面改質層の付着量としては、その下限は特に制限されないが、水洗処理後の乾燥塗膜として4.2mg/m2以上とすることが望ましい。少な過ぎると、亜鉛系メッキ表面を均一に覆い難くなるため耐テープ剥離性が不足気味となる。付着量の下限は7mg/m2がより好ましく、8mg/m2がさらに好ましい。しかし、逆に多過ぎると、前記したように、表面改質層中に生成するリン酸アルミニウムが難溶性のAlPO4やAl2(HPO43から水に溶けやすいAl(H2PO43へと変わっていく上に、亜鉛系メッキ表面のエッチング不足により反応層の緻密さが下降気味となり、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が劣化傾向を示す。よって、表面改質層の総付着量は130mg/m2以下とすることが望ましい。付着量の上限は65mg/m2がより好ましく、50mg/m2がさらに好ましく、37mg/m2が最も好ましい。なお、この表面改質層の総付着量は、例えば蛍光X線分析等で、表面改質層中のSi、P、Alの定量を行い、これらの付着量から、SiO2、AlPO4、Zn3(PO42、Al23が改質層中に生成していると仮定して、計算される値である。表面改質層の付着量の好適範囲の目安を厚みで表すと、比重を2として0.0021〜0.0657μmである。
本発明の表面処理亜鉛系メッキ鋼板は、上記した本発明の特徴的な表面改質層が形成されたものであるが、さらに、この表面改質層の上に、直接、または他の層を介して、耐食性、耐指紋性、加工性、塗膜密着性等の特性付与またはその向上を期して、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、アミノプラスト系樹脂等による各種有機系の上塗り皮膜が積層される。
中でも、上塗り皮膜として、特定のエマルジョン組成物から形成された樹脂皮膜を備える構成の表面処理亜鉛系メッキ鋼板が好ましい。この樹脂皮膜(上塗り皮膜)形成のために用いられるエマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体(中和状態も含む)を主成分とし、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モル(20〜80モル%)に相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モル(2〜40モル%)に相当する1価の金属の化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤をエマルジョン組成物の固形分100質量%に対し0.5〜20質量%含み、沸点100℃超のアミンおよびアンモニアは、実質的に含まない。
なお、上記エマルジョン組成物から得られる樹脂皮膜は、塗装性、潤滑性、加工性、アース性等の各種特性に優れ、かつ、脱脂工程後の耐食性や耐テープ剥離性にも優れており、これらの知見は本発明者等によって、既に特願2004−30231として出願されている。
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の共重合体である。公知の高温高圧重合法等で重合することにより、共重合体を得ることができる。共重合体としては、ランダムが最も好ましいが、ブロック共重合体や、不飽和カルボン酸部分がグラフトしたような共重合体でも良い。エチレンの一部に変えてプロピレンまたは1−ブテン等のオレフィン系モノマーを用いてもよく、さらに本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他の公知のビニル系モノマーを一部共重合(10質量%程度以下)してもよい。エチレンに対する不飽和カルボン酸の共重合比率は、モノマー全量を100質量%とした時に、不飽和カルボン酸が10〜40質量%であることが好ましい。
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体はカルボキシル基を有しているので、有機塩基や金属イオンで中和することにより、エマルジョン化(水分散体化)が可能となる。このとき、有機塩基として沸点100℃以下のアミンを用いる。沸点が100℃を超えるアミン類は、樹脂塗膜を乾燥させたときに鋼板上に残存しやすく、上塗り皮膜の吸水性が増すため、耐食性や耐テープ剥離性の低下を招く。よって、上塗り皮膜形成のために用いられるエマルジョン組成物には、沸点100℃超のアミン類は含まれない。また、アンモニアの添加効果も認められなかったため、アンモニアも含まれていない。なお、上記沸点は、大気圧下での沸点を採用する。
沸点100℃以下のアミン(以下、上記アミン類という)の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルピロリジン、テトラメチルジアミノメタン、トリメチルアミン等の3級アミン;N−メチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン;プロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、1,2−ジブチルプロピルアミン、3−ペンチルアミン等の1級アミン等が挙げられ、1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも3級アミンが好ましく、最も好ましいものはトリエチルアミンである。
上記アミン類の量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し、0.2〜0.8モル(20〜80モル%)の範囲とする。この範囲であれば、耐食性や耐テープ剥離性が良好だからである。上記アミン類が0.2モルより少ないと、エマルジョン中の樹脂粒子の粒径が大きくなって、上記効果が発揮されないが、0.8モルを超えるとエマルジョン組成物が増粘してゲル化することがあるため、好ましくない。より好ましい上記アミン類の量の上限は0.6モル、さらに好ましくは0.5モルであり、より好ましい上記アミン類の量の下限は0.3モルである。
エマルジョン組成物の調製には、1価の金属イオンも用いられる。耐溶剤性や皮膜硬度の向上に効果的である。1価の金属の化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含むことが好ましく、これらの金属の水酸化物、炭酸化物または酸化物が好ましい。中でも、NaOH、KOH、LiOH等が好ましく、NaOHが最も性能が良く好ましい。また、2価以上の金属の化合物は添加することによる効果が認められないため、用いない。
この1価の金属の化合物の量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対して、0.02〜0.4モル(2〜40モル%)の範囲とする。上記金属化合物量が0.02モルより少ないと乳化安定性が不充分となるが、0.4モルを超えると、得られる樹脂皮膜の吸湿性(特にアルカリ性溶液に対して)が増大し、脱脂工程後の耐食性や耐テープ剥離性が劣化するため好ましくない。より好ましい金属化合物量の下限は0.03モル、さらに好ましい下限は0.1モルであり、より好ましい金属化合物量の上限は0.5モル、さらに好ましい上限は0.2モルである。
上記アミン類と上記1価の金属化合物のそれぞれの使用量の好ましい範囲は上記したとおりであるが、これらはいずれもエチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基を中和してエマルジョン化するために用いられる。従って、これらの合計量(中和量)が多すぎると、エマルジョン組成物のの粘度が急激に上昇して固化することがある上に、過剰なアルカリ分は耐食性劣化の原因となるため、揮発させるために多大なエネルギーが必要となるため好ましくない。しかし、中和量が少なすぎると乳化性に劣るため、やはり好ましくない。従って、上記アミン類と上記1価の金属化合物の合計使用量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し、0.3〜1.0モルの範囲とすることが好ましい。
上記アミン類と1価の金属イオンによるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和工程(エマルジョン化工程)では、沸点100℃以下のアミンと1価の金属の化合物とを略同時に共重合体へと添加するか、沸点100℃以下のアミンを先に添加することが望ましい。理由は定かではないが、沸点100℃以下のアミンを後添加すると、耐食性・耐テープ剥離性の向上効果が不充分となることがあるためである。
上記エマルジョン組成物には、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤が配合される。上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を化学的に架橋させ、皮膜強度の向上を図るためである。架橋剤量は、エマルジョン組成物中の固形分100質量%のうち、1〜20質量%(より好ましくは5〜10質量%)とする。1質量%より少ないと、化学結合による架橋の効果が不充分となり、耐食性・耐テープ剥離性の向上効果が発揮されにくい。一方、20質量%を超えて配合すると、樹脂皮膜の架橋密度が過度に高くなりすぎて硬度が上昇し、プレス加工時の変形に追従できなくなることからクラックが発生し、その結果耐食性や塗装性を低下させるため好ましくない。なお、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に対する架橋剤量の比率としては、共重合体中のカルボキシル基量に応じて架橋剤量を適宜変更することが望まれるが、通常、共重合体100質量部に対し、架橋剤を0.5〜50質量部(より好ましくは5〜20質量部)とすることが好ましい。
カルボキシル基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤としては特に限定されないが、ソルビトールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類や、ポリグリシジルアミン類等のグリシジル基含有架橋剤;4,4’−ビス(エチレンイミンカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トルエンビスアジリジンカルボキシアミド等の2官能アジリジン化合物;トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、トリス〔1−(2−メチル)アジリジニル〕ホスフィンオキサイド、トリメチロールプロパントリス(β−アジリジニルプロピオネート)、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、テトラメチルプロパンテトラアジリジニルプロピオネート等の3官能以上のアジリジン化合物あるいはこれらの誘導体等のアジリジニル基含有架橋剤が好適例として挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも、アジリジニル基含有架橋剤が好ましい。なお、多官能アジリジンと、1官能アジリジン(エチレンイミン等)を併用してもよい。
上記エマルジョン組成物には、固形分換算で5〜40質量%(より好ましくは20〜30質量%)のシリカ粒子を含有させてもよい。耐食性、塗装性、耐疵付き性等の向上に効果的であると共に、脱脂後の耐食性および耐テープ剥離性の改善にも有効である。シリカ粒子量が少ないとこれらの効果が発現しにくいが、多すぎると、シリカ粒子の割合が過度に高くなって造膜性が低下し、乾燥工程の際に樹脂皮膜にクラックが入ることがあり、耐食性低下につながるため好ましくない。また、シリカ粒子が増磨剤として作用するようになり、皮膜の潤滑性を高め、摩擦係数を低下させて、加工時における金型の摩耗を生じ、金型の寿命を縮めることもある。
上記のようなシリカ粒子の効果を最大限に得るには、シリカ粒子の平均粒子径が1〜200nmの範囲にあることが好ましい。シリカ粒子の粒子径が200nmを超えると、樹脂皮膜の表面を粗くして、緻密な樹脂皮膜を形成することができず、さらに、シリカ粒子が増磨剤としても作用するので、加工性が劣化する。シリカ粒子の粒子径が小さいほうが皮膜の耐食性は向上するが、極端に微小な粒子となると、上記効果が飽和してしまうので、粒子径の下限は1nmが好ましい。特に、脱脂後の耐食性を重視する場合は、シリカ粒子の平均粒子径を4〜20nmの範囲とするとよい。このようなシリカ粒子は、通常、コロイダルシリカとして知られており、例えば、「スノーテックス」シリーズ(日産化学工業社製のコロイダルシリカ)の「XS」、「SS」、「40」、「N」、「UP」等を好適に用いることができる。
本発明のエマルジョン組成物には、ワックスが含まれていることが好ましい。ワックスが固形分換算で0.5〜20質量%(より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%)の範囲で含まれていると、得られる樹脂皮膜の潤滑性、耐疵付き性、プレス加工や打ち抜き加工の際に必要な深絞り性、打ち抜き性、耐金型摩耗性、加工時における摺動面の耐黒化性が良好となる。ただし、ワックス量が多すぎると、ワックスが軟化・液化あるいはブルーミングして、樹脂皮膜と後塗装の塗膜の界面や表面改質層と樹脂皮膜の界面に濃化するので、脱脂後の耐食性や耐テープ剥離性が劣化するため好ましくない。
ワックスとしては特に限定されず、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の天然ワックス;ポリエチレン等の合成ワックス;これらの混合物等の公知のワックスがいずれも使用可能である。軟化点は、80〜140℃のものを選択することが好ましい。最も好適なワックスは球形ポリエチレンワックスであり、平均粒子径が0.1〜3μm(より好ましくは0.3〜1.0μm)のものが好ましい。潤滑性、打ち抜き性、耐金型摩耗性および深絞り性の顕著な向上を図れるからである。球形ポリエチレンワックスとしては、例えば、「ダイジェットE−17」(互応化学社製)、「KUE−1」、「KUE−5」、「KUE−8」(三洋化成工業社製)、「ケミパール」シリーズ(三井化学社製)の「W−100」、「W−200」、「W−300」、「W−400」、「W−500」、「W−640」、「W−700」等や、「エレポンE−20」(日華化学社製)等のような市販品を好適に用いることができる。
本発明で用いられるエマルジョン組成物は、必須成分であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、上記アミン類、1価の金属の化合物、アジリジン化合物等の架橋剤、さらに必要に応じて用いられるシリカ粒子、ワックス等を含むものであることが好ましい。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、これらの樹脂成分がエマルジョン組成物の固形分の50質量%以上となるように、アジリジン化合物、シリカ粒子、ワックス等の量を調整することが望ましい。
エマルジョン組成物の調製方法は、まず、必須成分であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を水性媒体と共に、例えば、ホモジナイザー装置等に投入し、必要により70〜250℃の加熱下とし、上記アミン類と1価の金属の化合物を適宜水溶液等の形態で添加して(上記アミン類を先に添加するか、上記アミン類と1価の金属の化合物とを略同時に添加する)、高剪断力で撹拌する。シリカ粒子、ワックス、架橋剤等はいずれの段階で添加してもよいが、架橋剤添加後は架橋反応が進行してゲル化しないように、熱を掛けないようにすることが望ましい。
上記エマルジョン組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、希釈溶媒、皮張り防止剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、乳化剤、造膜助剤、着色顔料、増粘剤、シランカップリング剤、他の樹脂等を適宜添加してもよい。なお、上記エマルジョン組成物に配合することのできる各種添加剤は、上塗り樹脂皮膜形成のために他の樹脂組成物を用いたときにも使用可能である。
金属板上に樹脂皮膜を形成するには、上記エマルジョン組成物を、公知の塗布方法、すなわち、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法等を用いて、金属板表面の片面または両面に塗布して加熱乾燥すればよい。加熱乾燥温度は、用いる架橋剤とカルボキシル基の架橋反応が進行する温度で行うことが好ましい。また、潤滑剤として、球形のポリエチレンワックスを用いる場合は、球形を維持しておく方が後の加工工程での加工性が良好となるので、70〜130℃の範囲で乾燥を行うことが望ましい。
樹脂皮膜の付着量(厚み)は、乾燥後において、0.2〜2.5g/m2が好ましい。薄すぎると、金属板への均一塗工が難しく、加工性、耐食性、塗装性等、目的とするバランスのとれた皮膜特性を得難い。しかし、付着量が2.5g/m2を超えると、コンピュータハウジング等に用いる場合のアース性、すなわち導電性が低下するため好ましくない。さらに、プレス加工の際に樹脂皮膜の剥離量が多くなって、金型への剥離皮膜の付着蓄積が起こり、プレス成形に支障を生じる上、製造コスト的にも無駄である。より好ましい樹脂皮膜付着量の下限は0.5g/m2であり、上限は2.0g/m2である。
表面改質層の上に上記樹脂皮膜を形成することによって、本発明の最も好適な態様の表面処理亜鉛系メッキ鋼板が得られる。この表面処理亜鉛系メッキ鋼板は、用途に応じて加工工程を経た後このまま用いたり、あるいは従来条件による電着塗装・粉体塗装・シルク印刷(130〜160℃、20〜30分程度)を施して用いてもよい。
本発明の表面処理亜鉛系メッキ鋼板は、有害な6価クロムを一切含まない上に、本発明者等が初めて課題として認識した耐テープ剥離性や、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に優れている。また、上塗り皮膜として特定のエマルジョン組成物から得られる皮膜を選択した場合には、塗装性、潤滑性、加工性、耐食性等の各種基本特性に優れると共に、耐テープ剥離性ならびにアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に卓越した皮膜が形成された表面処理亜鉛系メッキ鋼板を提供することができた。従って、例えば自動車用、家電用、建築材料用等に適用される表面処理亜鉛系メッキ鋼板として、幅広く有効に活用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における「%」および「部」は、特に断らない限り、「質量%」および「質量部」を意味する。
実験例1(No.1〜29)
厚さ0.8mmの鋼板の表面に、電気メッキ法により付着量20g/m2の亜鉛メッキを施した亜鉛メッキ鋼板(品番;SECC)をアルカリ脱脂してから水洗、乾燥したものを原板として使用した。表面処理剤には、重リン酸アルミニウム水溶液(日本化学工業社製、固形分50%)とコロイダルシリカ(「スノーテックス−O」;日産化学工業社製)と水とを混合したものを使用した。なお、重リン酸アルミニウム水溶液とコロイダルシリカおよび水の量を変えたり、必要に応じてリン酸あるいは金属アルミニウムを添加することによって、表1および2に示したように処理剤中のSi、P、Alの濃度を変化させ、表面改質層中のSi、P、Alの含量を変えた。
この表面処理剤の中に、前記脱脂後の亜鉛メッキ鋼板を2秒浸漬してから引き上げ、余分な溶液をリンガロールで除去した後、スプレー圧50kPaで5秒間水洗し、40℃で乾燥することにより、亜鉛メッキ層上に表面改質層を形成した。なお、表2のNo.29については水洗を行わなかった。
別途、ポリオレフィン系ディスパージョン(「ケミパールS100」;ケミパールは登録商標;三井化学社製)に、エポキシ系架橋剤(「リカボンドAP355B」;中央理化工業社製)を固形分で5%(上塗り樹脂皮膜形成用組成物の固形分100%としたときの値:以下同じ)、粒子径10〜20nmのシリカ粒子(「スノーテックス40」;日産化学工業社製)を固形分で30%、球形ポリエチレンワックス(「ケミパールW700」;三井化学社製)を固形分で5%となるように配合して撹拌し、上塗り樹脂皮膜形成用組成物を調製した。前記亜鉛メッキ鋼板の表面改質層の上に、上記組成物をバーコートで塗布し、板温90℃で1分加熱乾燥し、付着量1g/m2の上塗り樹脂皮膜が形成された表面処理亜鉛メッキ鋼板を得た。
得られた各供試材について、下記の方法で、表面処理液中のSi、PおよびAlの濃度(%)、表面改質層中のSi、PおよびAlの量(mg/m2)、表面改質層の総付着量(mg/m2)、耐テープ剥離性およびアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性の評価試験を行い、結果を表1に示した。
[評価方法]
(1)表面処理液中のSi、PおよびAlの濃度はICP発光分析装置(セイコーアドバンス社製)により、表面改質層中のSi、PおよびAlの量(mg/m2)は、蛍光X線装置(商品名「MIF−2100」;島津製作所製)により、それぞれ測定した。表面改質層の総付着量(mg/m2)は、蛍光X線分析によるSi、PおよびAlの定量結果を元にして、これらがSiO2、AlPO4、、Zn3(PO42、Al23となって改質層中に生成していると仮定して計算した値である。
(2)耐テープ剥離性
供試材の表面に、フィラメントテープ(#9510;スリオンテック製)を貼り付け、40℃×98%RHの雰囲気で、24時間および48時間保管した後、フィラメントテープを剥離し、上塗り皮膜の残存している面積割合を観察し、下記基準
◎:残存率100%
○〜◎:残存率95%以上100%未満
○:残存率90%以上95%未満
△:残存率:70%以上90%未満
×:残存率70%未満
で評価した。
(3)脱脂後の耐テープ剥離性
アルカリ脱脂剤(「CL−N364S」:日本パーカーライジング社製)を20g/l、60℃に調整した脱脂液に、供試材を2分間浸漬し、引き上げ、水洗、乾燥した後、この供試材表面にセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、24時間後および48時間後に剥離し、上塗り皮膜の残存している面積割合を観察し、上記常態の耐テープ剥離性と同じ基準で評価した。
Figure 0004502687
Figure 0004502687
表1には本発明例を示した。これらはいずれも表面改質層中のSi、P、Al含量やSi/PおよびP/Alは何れも適正範囲に入っており、乾燥状態および脱脂後のいずれにおいても優れた耐テープ剥離性を有している。表2のNo.19は、P/Alが適性範囲より小さいため、本発明例に比べて若干耐テープ剥離性および脱脂後の耐テープ剥離性が劣るものであった。
No.20〜23:表面改質剤中のSi、P、Al濃度の一部または全部に不足があるため表面改質層中のSi、P、Al付着量の一部または全部が規定量に達していない例であり、耐テープ剥離性、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性いずれも本発明例よりも劣っている。
No.24〜28:表面改質剤中のSi、P、Al濃度の一部または全部が高過ぎるため、表面改質層中のSi、P、Al付着量の一部または全部が規定量を超えており、耐テープ剥離性、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性いずれも本発明例よりも劣っている。
No.29:水洗を行わなかったため、表面改質層中のP,Al付着量が規定量を超えており、耐テープ剥離性は良好であるが、過剰量のP,Alによって表面改質層の耐アルカリ性が乏しくなり、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性が悪い。
実験例2(No.30〜48)
浸漬法ではなくスプレー法を採用して表面改質層を作成した。すなわち、実験例1における脱脂後の亜鉛メッキ鋼板に、表3に示した組成の表面処理剤(調製方法は実験例1と同じ)をスプレー圧50kPaで2秒吹き付けた後、余分な溶液をリンガロールで除去し、さらに、スプレー圧50kPaで5秒間水洗し、40℃で乾燥することにより、亜鉛メッキ層上に表面改質層を形成した。それ以外については実験例1と同様にして、上塗り皮膜の形成された表面処理亜鉛メッキ鋼板を得た。得られた各供試材を実験例1と同様にして評価し、結果を表3に示した。
Figure 0004502687
実験例3(No.49〜72)
表面処理剤として、前記重リン酸アルミニウム水溶液、コロイダルシリカ(前記「スノーテックス−O」)、3種類のポリアクリル酸、水との混合溶液を使用し、表4(表5も同じ)に示した組成の表面処理剤を調整した。まず、スプレー法(条件は実験例2と同じ)を採用し、上塗り皮膜形成前の表面処理亜鉛メッキ鋼板を得た。これらに、実験例1と同様にして上塗り皮膜を形成したものが、No.49〜60である。
一方、別途、オートクレーブに、水626部と、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸20質量%、メルトインデックス(MI)300)160部とを加え、上記エチレン−アクリル酸共重合体中のカルボキシル基1モルに対し、40モル%のトリエチルアミンと、15モル%のNaOHを添加して、150℃、5Paの雰囲気下で高速撹拌し、エチレン−アクリル酸共重合体のエマルジョンを得た。続いて、上記エマルジョンに、架橋剤として、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン(「ケミタイトDZ−22E」;「ケミタイト」は登録商標;日本触媒社製)を固形分で5%(エマルジョン組成物の固形分を100%としたときの値:以下同じ)と、グリシジル基含有化合物(「エピクロンCR5L」(CR5Lと略す);「エピクロン」は登録商標;大日本インキ化学工業社製)を固形分で5%、粒子径10〜20nmのシリカ粒子(「スノーテックス40」;日産化学工業社製)を固形分で30%、軟化点120℃、平均粒径1μmの球形ポリエチレンワックスを固形分で5%となるように配合して撹拌し、エマルジョン組成物を調製した。前記上塗り皮膜形成前の表面処理亜鉛メッキ鋼板の表面改質層の上に、上記エマルジョン組成物をバーコートで塗布し、板温90℃で1分加熱乾燥し、付着量1g/m2の上塗り樹脂皮膜を形成した(No.61〜72)。
得られた各供試材を実験例1と同様にして評価し、結果を表4および5に示した。表中、PA1は、重量平均分子量(Mw)100000〜200000のポリアクリル酸)、PA2はMw20000〜30000のポリアクリル酸、PA3はMw8000のポリアクリル酸である。なお、表面改質層中の樹脂の吸収強度は、FT−IRにより測定した値であり、分析条件は、以下の通りである。
[FT−IR分析法]
測定方法:高感度反射法(入射角75°、平行偏光で赤外光を照射した)
比較材:金蒸着ミラー
分解能:4cm-1
積算回数:500回
装置:日本電子(株)製JIR−5500型フーリエ変換赤外分光光度計
IR−RSC110反射測定ユニット(角度可変型)
IR−SEM100試料切換ステージ
ポリアクリル酸を添加した鋼板の1496cm-1〜1776cm-1のピーク面積から、ポリアクリル酸を添加していない鋼板の1496cm-1〜1776cm-1のピーク面積を差し引いたものを、表面改質層中のポリアクリル酸に由来する吸収強度とした。
なお、前記表3に記載のNo.38と、表4に記載のNo.52と、ポリアクリル酸ナトリウム(標準試料)について、上記条件で測定したFT−IRスペクトルを、図1〜3に示した。図2のNo.52は、PA1が0.50g/l表面処理剤に含まれていた系であり、表面処理剤中にポリアクリル酸が含まれていないNo.38のスペクトルに認められなかった1346cm-1、1421cm-1、1457cm-1、1592cm-1の吸収が認められた。これらのピークは、図3に示したポリアクリル酸ナトリウムの吸収と一致している。
Figure 0004502687
Figure 0004502687
有機樹脂添加系は、これまでの非添加系よりも、耐テープ剥離性、アルカリ脱脂後の耐テープ剥離性に優れていることがわかる。また、特定の中和方法で中和されたエマルジョン組成物からなる上塗り皮膜が形成された例(表5に示す)は、卓越した耐テープ剥離性およびアルカリ脱脂後の耐テープ剥離性を示すことがわかる。
No.38の表面改質層のFT−IRスペクトル No.52の表面改質層のFT−IRスペクトル ポリアクリル酸ナトリウムのFT−IRスペクトル

Claims (10)

  1. 亜鉛系メッキ鋼板における亜鉛系メッキ層の上に、少なくとも、表面改質層と上塗り皮膜が形成されている表面処理亜鉛系メッキ鋼板であって、前記表面改質層が、Si換算で1〜30mg/m2のSiO2と、0.5〜15mg/m2のPおよび0.4〜10mg/m2のAlを含むと共に、このSi、P、Alの含有量(質量比)が、下記式(1)、(2)の関係を満たし、前記表面改質層の付着量が4.2〜130mg/m2の範囲であることを特徴とする耐テープ剥離性に優れた表面処理亜鉛系メッキ鋼板。
    0.5≦Si/P≦20……(1)
    0.7≦P/Al≦6 ……(2)
  2. 上記表面改質層が、さらに有機樹脂を含むものである請求項1に記載の表面処理亜鉛系メッキ鋼板。
  3. 上記有機樹脂は、表面改質層をFT−IRで観察したときに有機樹脂の構造に由来する吸収強度が0.1〜15となるように含まれているものである請求項に記載の表面処理亜鉛系メッキ鋼板。
  4. 上記有機樹脂は、重量平均分子量が100000以上のポリ(メタ)アクリル酸である請求項2または3に記載の表面処理亜鉛系メッキ鋼板。
  5. 上記上塗り皮膜が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を主成分とするエマルジョン組成物から得られる樹脂皮膜であって、このエマルジョン組成物は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体以外に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.2〜0.8モルに相当する沸点100℃以下のアミンと、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基1モルに対して0.02〜0.4モルに相当する1価の金属の化合物とを含むと共に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤をエマルジョン組成物の固形分100質量%に対し1〜20質量%含むものである請求項1〜のいずれかに記載の表面処理亜鉛系メッキ鋼板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の表面処理亜鉛系メッキ鋼板を製造する方法であって、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、固形分濃度が0.01〜14.5%(質量%を意味する、以下同じ)であり、Si、P、Alの量と組成比(質量比)が下記の要件を満たす表面処理剤により表面処理剤層を形成した後、水洗して、この表面処理剤層から余剰のPおよび/またはAlを除去し、その後乾燥することにより表面改質層を形成することを特徴とする表面処理亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
    Si:0.002〜4.5%
    P :0.0005〜1.5%
    Al:0.0001〜0.5%
    1.5≦Si/P≦60、4.5≦Si/Al≦230
  7. 上記表面処理剤層をスプレーコーティング法によって形成する請求項に記載の製造方法。
  8. 上記表面処理剤が、さらに有機樹脂を含むものである請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 上記有機樹脂は、重量平均分子量が100000以上のポリ(メタ)アクリル酸である請求項に記載の製造方法。
  10. 上記表面処理剤中、上記有機樹脂が、固形分で0.01〜3g/l含まれている請求項8または9に記載の製造方法。
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