JP3312590B2 - 接着強度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

接着強度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法

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JP3312590B2 JP36842697A JP36842697A JP3312590B2 JP 3312590 B2 JP3312590 B2 JP 3312590B2 JP 36842697 A JP36842697 A JP 36842697A JP 36842697 A JP36842697 A JP 36842697A JP 3312590 B2 JP3312590 B2 JP 3312590B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、打ち抜き、剪断、
プレス加工等の加工後に加圧・加熱(加熱圧着)により
接着して用いられる接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にモーター、トランス等の電気機器
に利用される鉄芯は、渦電流損を低減するために表面に
絶縁皮膜が形成された電磁鋼板を、所定形状に打ち抜き
または剪断加工した後、積層し、次いで溶接、カシメま
たは接着剤により固着することにより製造されている。
【0003】しかし、溶接やカシメによる固着方法で
は、絶縁皮膜が破壊されて鉄芯が電気的に短絡すること
により渦電流損の増加を招いたり、機械的または熱的ひ
ずみにより磁気特性の劣化が生じやすいという欠点があ
る。また、接着剤による固着方法では、打ち抜きまたは
剪断加工した鋼板に一枚毎に接着剤を塗布する必要があ
り、この作業に多大の時間と労力を要し、作業効率が劣
るという問題がある。
【0004】このような従来技術に対して、加圧・加熱
(加熱圧着)によって接着作用が得られる接着型絶縁皮
膜を予め電磁鋼板の表面に形成することで、上記接着剤
の塗布工程を省略できるようにした接着鉄芯用電磁鋼板
が知られており、従来、これに関して以下のような技術
が提案されている。 (1) 特公昭52−8988号公報には、溶剤型の熱可塑
性樹脂と熱硬化性樹脂を乳化剤により水エマルジョン化
した処理液を鋼板表面に塗布し乾燥させた積層鉄心用表
面被覆鋼板が示されている。
【0005】(2) 特許第2574698号公報には、ガ
ラス転移点が60℃以上の熱可塑性アクリル樹脂エマル
ジョン(A)、エポキシ樹脂エマルジョン(B)、アミ
ン系エポキシ樹脂硬化剤及び特定の成膜助剤を主成分と
し、成分(A)と成分(B)の樹脂固形分重量比が
(A)/(B)=70/30〜95/5である水系接着
型絶縁被覆組成物を鋼板表面に塗布し、乾燥させた接着
鉄芯用電磁鋼板が示されている。
【0006】(3) 特開平7−268307号公報には、
ガラス転移点が80℃以上の熱可塑性樹脂エマルジョ
ン、エポキシ樹脂エマルジョン及び水性フェノール樹脂
からなる高温接着強度に優れた水系熱接着型被覆組成物
が示されている。 (4) 特許第2529053号公報には、モノマー中に窒
素原子及び硫黄原子を含有しないアクリル系樹脂エマル
ジョンとエポキシ樹脂エマルジョン、及びエポキシ樹脂
と反応する酸無水物系エポキシ硬化剤あるいはメチロー
ル基含有初期縮合物を主成分とする混合液を鋼板面に塗
布し乾燥させることを特徴とする、塗布乾燥時やアルミ
ダイキャスト時に臭気の少ない接着用表面被覆電磁鋼板
の製造方法が示されている。
【0007】(5) 特許第2613725号公報には、鋼
板表面に予め潜在性硬化剤を配合したアクリル変性エポ
キシ樹脂エマルジョン(エポキシ樹脂に潜在性硬化剤を
配合した後、アクリル樹脂と反応させてエポキシ樹脂と
潜在性硬化剤の周囲を被覆した後、エマルジョン化した
もの)を主成分とする混合液を塗布し、不完全状態に焼
き付けることを特徴とする、塗料安定性に優れ、塗布乾
燥時の臭気の少ない接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法
が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
技術により得られる接着鉄芯用表面被覆電磁鋼板には、
以下のような問題がある。上記(1)の表面被覆鋼板は、
皮膜中のベース樹脂の約40%以上が熱可塑性樹脂から
なるため、常温での接着強度はある程度得られるもの
の、高温環境下では熱可塑性樹脂の軟化が生じ、十分な
レベルの接着強度が得られない。また、水性化に大量の
乳化剤を使用しているため耐食性にも劣っている。
【0009】上記(2)の接着鉄芯用電磁鋼板は、皮膜中
のベース樹脂の70%以上が熱可塑性樹脂からなるた
め、常温での接着強度はある程度得られるものの、高温
環境下では熱可塑性樹脂の軟化が生じ、十分なレベルの
接着強度が得られない。上記(3)の水系熱接着型被覆組
成物により得られる接着型絶縁皮膜は、10μm(乾燥
膜厚)程度の比較的厚い膜厚の場合には十分な接着強度
が得られるが、5〜6μm(乾燥膜厚)若しくはそれ以
下の比較的薄い膜厚の場合には、十分な接着強度が得ら
れない。
【0010】上記(4)の製造方法により得られる表面被
覆電磁鋼板は、塗布乾燥時やアルミダイキャスト時にお
ける臭気の発生は改善されるものの、高温環境下におけ
る十分なレベルの接着強度が得られない。上記(5)の表
面被覆電磁鋼板は、常温での接着強度及び長期保存後の
接着強度には優れるが、高温環境下での接着強度には劣
っている。
【0011】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、鉄芯材料として加熱圧着された
後に、常温はもとより150℃程度の高温環境下でも十
分な接着強度を有し、さらに接着鉄芯用電磁鋼板として
の耐ブロッキング性及び耐食性にも優れた接着鉄芯用電
磁鋼板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、接着鉄芯
用電磁鋼板の皮膜構成及びその製造条件と常温及び高温
環境下での接着強度、耐食性、耐ブロッキング性等との
関係について鋭意検討を重ね、その結果、以下のような
知見を得た。
【0013】1) 塗料組成物を構成するベース樹脂の主
成分としてエポキシ系樹脂を主体とする特定の樹脂を使
用することにより、常温及び高温環境下での良好な接着
強度を得ることができる。また特に、塗料組成物中での
ベース樹脂の形態が接着鉄芯用電磁鋼板の性能に大きな
影響を及ぼし、ベース樹脂として特定の水分散型樹脂ま
たは水溶解型樹脂を用いることにより、優れた接着強度
と良好な耐食性及び耐ブロッキング性が得られる。さら
に好ましくは、上記特定の水分散型樹脂と水溶解型樹脂
とを特定の割合で複合添加することにより、最も優れた
接着強度が得られる。
【0014】2) 硬化剤としては、高温環境下での優れ
た接着強度を得るという観点からレゾール型フェノール
樹脂が好適であるが、このレゾール型フェノール樹脂中
の未反応フェノール化合物及びモノメチロール化フェノ
ール化合物の含有量が接着強度及び耐食性に極めて大き
な影響を及ぼし、これらの含有量が10重量%を上回る
と上記性能を劣化させることが判った。また、上記成分
を可能な限り低減させるための方法について検討を行っ
た結果、塩基性触媒の存在下でビスフェノール化合物と
ホルムアルデヒドとを特定の割合で且つ特定の反応条件
下で反応させることにより、レゾール型フェノール樹脂
全成分中にジメチロール化体以上のメチロール化体成分
が90重量%以上、好ましくは95重量%以上含有する
組成物が得られることが判った。さらに、このようなレ
ゾール型フェノール樹脂と潜在性硬化剤を複合添加する
ことにより、高温環境下での接着強度がより一層向上す
る。
【0015】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 樹脂成分として、エポキシ系樹脂100重量部(固
形分)に対して、全成分中にジメチロール化体以上のメ
チロール化体成分を90重量%以上含有するレゾール型
フェノール樹脂を含む硬化剤が1〜40重量部(固形
分)の割合で配合された水系塗料組成物を、電磁鋼板の
少なくとも片面に乾燥膜厚で1.0〜12μmになるよ
うに塗布し、到達板温で100〜300℃になるように
焼き付けることを特徴とする接着強度、耐食性及び耐ブ
ロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
【0016】[2] 樹脂成分として、エポキシ系樹脂10
0重量部(固形分)に対して、下記[i]に示すレゾー
ル型フェノール樹脂を含む硬化剤が1〜40重量部(固
形分)の割合で配合された水系塗料組成物を、電磁鋼板
の少なくとも片面に乾燥膜厚で1.0〜12μmになる
ように塗布し、到達板温で100〜300℃になるよう
に焼き付けることを特徴とする接着強度、耐食性及び耐
ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方
法。 [i]ビスフェノール化合物1モルとホルムアルデヒド
4〜10モルを、または、ビスフェノール化合物1モル
に対して無置換1価フェノール、p−置換1価フェノー
ル、o−置換1価フェノールの中から選ばれる1種以上
の1価フェノールを合計で0.5モル以下の割合で混合
したフェノール類1モルとホルムアルデヒド4〜10モ
ルを、塩基性触媒の存在下、反応温度50〜65℃、反
応系内のpH8.0〜9.0で反応させて得られ、全成
分中にジメチロール化体以上のメチロール化体成分を9
0重量%以上含有するレゾール型フェノール樹脂
【0017】[3] 上記[2]の製造方法において、塗料組
成物中のレゾール型フェノール樹脂が、塩基性触媒とし
てアルカリ金属水酸化物を用いて製造されたフェノール
樹脂であることを特徴とする接着強度、耐食性及び耐ブ
ロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
【0018】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法に
おいて、固形分の割合でエポキシ系樹脂の55重量%以
上が下記[ii]に示す水分散型樹脂からなることを特徴
とする接着強度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れた
接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。 [ii]下記重量比の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分
子量アクリル系樹脂(b)からなるグラフト化物 (a)/(b)=55/45〜95/5(固形分重量
比)
【0019】[5] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法に
おいて、固形分の割合でエポキシ系樹脂の1〜45重量
%が下記[iii]に示す水溶解型樹脂からなることを特
徴とする接着強度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れ
た接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。 [iii]数平均分子量が300〜3000、酸価が20
〜300の高酸価エポキシ樹脂
【0020】[6] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法に
おいて、エポキシ系樹脂が下記[ii]に示す水分散型樹
脂(A)と下記[iii]に示す水溶解型樹脂(B)とを
固形分重量比で(A)/(B)=55/45〜99/1
の割合で配合した樹脂であることを特徴とする接着強
度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電
磁鋼板の製造方法。 [ii]下記重量比の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分
子量アクリル系樹脂(b)からなるグラフト化物 (a)/(b)=55/45〜95/5(固形分重量
比) [iii]数平均分子量が300〜3000、酸価が20
〜300の高酸価エポキシ樹脂
【0021】[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法に
おいて、硬化剤がレゾール型フェノール樹脂と潜在性硬
化剤とからなり、固形分の割合でレゾール型フェノール
樹脂100重量部に対する潜在性硬化剤の配合量が2〜
200重量部であることを特徴とする接着強度、耐食性
及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製
造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細をその限定理
由とともに説明する。本発明法による製造の対象は、加
圧・加熱(加熱圧着)することにより接着作用が得られ
る絶縁皮膜(接着型絶縁皮膜)を有する接着鉄芯用電磁
鋼板である。本発明において接着型絶縁皮膜を形成すべ
き基板となる鋼板は、モーターやトランス等の電気機器
に利用される鉄芯用の電磁鋼板である。このような電磁
鋼板としては、無方向性電磁鋼板または方向性電磁鋼板
が一般的であるが、これ以外にも軟鋼板、ステンレス鋼
板、その他の特殊鋼板等でもよく、基板となる鋼板は限
定されない。本発明の効果はこれらいずれの鋼板を基板
とした場合でも得ることができる。
【0023】また、基板となる電磁鋼板は、その表面に
予め亜鉛系めっきまたは他の金属めっき皮膜、化成処理
皮膜、無機系または無機−有機系の絶縁皮膜等の表面処
理の1種または2種以上を施したものでもよく、本発明
において電磁鋼板の表面とは、これら表面処理皮膜を有
する場合にはその最上層皮膜の表面をいうものとする。
【0024】本発明の製造方法では、上記の電磁鋼板の
表面に水系ベース樹脂と硬化剤を主成分とする水系塗料
組成物を塗布し、焼き付けることにより皮膜を形成する
が、前記水系ベース樹脂としてはエポキシ系樹脂を用い
る。先ず、本発明者らが水系塗料組成物のベース樹脂と
なる各種水系樹脂と接着強度との関係について検討した
結果、水系塗料組成物のベース樹脂としてはエポキシ系
樹脂が最適であることが判った。
【0025】後述する実施例の塗料組成物No.83、
No.84を用いた比較例に示されるように、水系塗料
組成物のベース樹脂としてアクリル樹脂やウレタン樹脂
を用いた場合には、常温での接着強度は得られるもの
の、高温環境下における十分な接着強度は得られない。
これは、アクリル樹脂は熱可塑性樹脂であるため高温で
皮膜の軟化が生じ、このために高温接着強度が劣ったも
のとなり、また、ウレタン樹脂は高温になるとウレタン
結合が解離しやすくなり、このため十分な高温接着強度
が得られなくなるからであると考えられる。
【0026】これに対して、エポキシ系樹脂及びその硬
化剤からなる皮膜は、常温および高温環境下ともに優れ
た接着強度を示す。これは、エポキシ系樹脂と硬化剤が
鉄芯製造時の加熱圧着により3次元架橋構造を形成し、
この架橋構造により高温環境下でも皮膜の軟化が生じに
くく、これによって優れた高温接着強度が得られるから
であると考えられる。
【0027】本発明で使用するエポキシ系樹脂は、常温
で液体または固体状であってモノマー中に2つ以上のエ
ポキシ基を有するエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノー
ルA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、
ナフタレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾ
ールノボラック型、グリシジルエステル型、脂環型のエ
ポキシ樹脂)等を主体とするものであり、これを従来公
知の水性化方法(例えば、乳化剤を使用した強制乳化
法、或いはアクリル樹脂の保護コロイドを利用した水性
化法等)により水性化したものを使用できる。
【0028】また、ベース樹脂であるエポキシ系樹脂の
少なくとも一部として、特定の水分散型樹脂または特定
の高酸価エポキシ樹脂からなる水溶解型樹脂を使用する
こと、さらに好ましくはこれら水分散型樹脂と水溶解型
樹脂とを特定の割合で混合して使用することにより、特
に優れた接着強度と耐食性が得られる。
【0029】すなわち、ベース樹脂の少なくとも一部と
して、高分子量エポキシ樹脂と高分子量アクリル系樹脂
のグラフト化物である下記[ii]に示す水分散型樹脂、
または高酸価エポキシ樹脂である下記[iii]に示す水
溶解型樹脂を用いることにより、優れた接着強度と良好
な耐食性、耐ブロッキング性を有する皮膜が得られる。 [ii]下記重量比の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分
子量アクリル系樹脂(b)からなるグラフト化物 (a)/(b)=55/45〜95/5(固形分重量
比) [iii]数平均分子量が300〜3000、酸価が20
〜300の高酸価エポキシ樹脂
【0030】上記[ii]に示す水分散型樹脂である高分
子量エポキシ樹脂(a)と高分子量アクリル系樹脂
(b)のグラフト化物は、(a)/(b)の固形分重量
比を55/45〜95/5とする。この重量比が55/
45未満では、高分子量アクリル系樹脂の比率が過剰
(熱可塑成分が過剰)であるため高温環境下での接着強
度が劣る。一方、重量比が95/5を超えるとベース樹
脂が水系塗料組成物中で分散しにくくなり、塗料安定性
が劣る。また、特に優れた高温接着強度を得る場合に
は、(a)/(b)の固形分重量比を70/30〜90
/10とすることが望ましい。
【0031】上記グラフト化物において、高分子量エポ
キシ樹脂(a)の数平均分子量は1200〜8000で
あることが好ましい。数平均分子量が1200未満では
皮膜の耐食性及び高温接着強度が劣るため好ましくな
く、一方、数平均分子量が8000を超えると塗料安定
性が劣るため好ましくない。また、このような観点から
高分子量エポキシ樹脂のより好ましい数平均分子量は2
000〜7000、特に望ましくは2500〜7000
である。
【0032】また、高分子量アクリル系樹脂(b)の数
平均分子量が5000〜100000程度であることが
好ましい。数平均分子量が5000未満では耐ブロッキ
ング性、接着強度が劣るため好ましくなく、一方、数平
均分子量が100000を超えると塗料組成物が高粘度
となり、鋼板への塗布が困難となる。
【0033】高分子量エポキシ樹脂(a)と高分子量ア
クリル系樹脂(b)のグラフト化物は、例えば下記の方
法により得ることができる。 (I) 高分子量エポキシ樹脂とカルボキシル基含有ア
クリル系樹脂とを、有機溶剤溶液中で第3級アミンの存
在下にエステル付加反応させる。 (II) 有機溶剤溶液中、ベンゾイルパーオキサイド等
のラジカル発生剤の存在下に、高分子量エポキシ樹脂に
ラジカル重合性不飽和単量体をグラフト重合反応させ
る。
【0034】上記(I)、(II)の反応に用いる高分子
量エポキシ樹脂とは、例えば、エピクロルヒドリンとビ
スフェノールとをアルカリ触媒の存在下に高分子量まで
縮合させたもの、エピクロルヒドリンとビスフェノール
とをアルカリ触媒の存在下で低分子量のエポキシ樹脂に
縮合させ、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノール
とを重付加反応させることにより得られたもの等が挙げ
られ、またその他、二塩基酸を組合せたエポキシエステ
ル樹脂であってもよい。ここで2塩基酸としては、 一般式 HOOC−(CH2)n−COOH (式中、nは1〜12の整数を示す)で示される化合物
が好適に用いられ、具体的にはコハク酸、アジピン酸、
ヒメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンニ
酸、ヘキサヒドロフタル酸等を例示できる。また、ビス
フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルFが好適に使用され、これらを混合して用いてもよ
い。
【0035】上記高分子量エポキシ樹脂の好ましい数平
均分子量については上述した通りであり、そのような高
分子量エポキシ樹脂の具体例としては、例えばシェル化
学社製のエピコート1004(エポキシ当量:約90
0、数平均分子量:約1400)、エピコート1007
(エポキシ当量:約1700、数平均分子量:約290
0)、エピコート1009(エポキシ当量:約350
0、数平均分子量:約3750)、エピコート1010
(エポキシ当量:約4500、数平均分子量:約550
0)等が挙げられる。なお、これらの高分子量エポキシ
樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。
【0036】グラフト化物を構成する高分子量エポキシ
樹脂の1分子当りのエポキシ基の数に特に制限はない
が、高分子量エポキシ樹脂とカルボキシル基含有アクリ
ル系樹脂とのグラフト化物を得る場合には、反応形態に
よりエポキシ基の数は適宜選択される。すなわち、反応
形態が上記(I)のエステル付加反応である場合には、
エポキシ樹脂1分子当りエポキシ基は平均0.5〜2.
0個、好ましくは0.5〜1.6個であるのがよい。ま
た、反応形態が上記(II)のエポキシ樹脂主鎖の水素引
き抜きによるカルボキシル基含有アクリル系モノマーを
含むアクリル系モノマーのグラフト反応である場合に
は、エポキシ樹脂中にエポキシ基は実質上存在しなくて
もよい。
【0037】上記(I)のエステル化反応に用いられる
カルボキシル基含有アクリル系樹脂としては、下記
[a]群のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単
量体の中から選ばれる少なくとも1種を重合または共重
合させて得られるアクリル系樹脂、または下記[a]群
のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体の中
から選ばれる少なくとも1種と、これら[a]群の単量
体と共重合可能な下記[b]群のラジカル重合性不飽和
単量体の中から選ばれる少なくとも1種とを共重合させ
て得られるアクリル系樹脂を例示できる。
【0038】[a]アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、クロトン酸等のようなαまたはβエ
チレン性不飽和カルボン酸 [b]:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルア
クリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のよ
うな、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素原子数が1
〜8個のヒドロキシアルキルエステル、:メチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、
n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、
イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレー
ト、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアク
リレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリ
レート、ステアリルメタクリレート、アクリル酸デシル
等のような、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素原子
数が1〜24個のアルキルまたはシクロアルキルエステ
ル、:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル
アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等
のような、官能性アクリルまたはメタクリルアミド、
:スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等
のような芳香族ビニル単量体、:プロピオン酸ビニ
ル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、ベオバ
モノマー(シェル化学社製)等のようなビニル単量体
【0039】上記の不飽和単量体の好ましい組み合せ例
として、例えば、下記のものを例示できる。 (イ)メタクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキ
シル/アクリル酸 (ロ)スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチ
ル/メタクリル酸 (ハ)スチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸 (ニ)メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリ
ル酸
【0040】上記カルボキシル基含有アクリル系樹脂の
調整は、例えば、上記した不飽和単量体をラジカル重合
開始剤の存在下に溶液重合法で重合または共重合させる
ことにより容易に行うことができる。高分子量アクリル
系樹脂の数平均分子量については先に述べた通りであ
り、したがって上記カルボキシル基含有アクリル系樹脂
も同様の数平均分子量を有することが好ましい。また、
カルボキシル基含有アクリル系樹脂の酸価は樹脂固形分
で通常50〜500程度の範囲がよい。酸価が50未満
では塗料組成物の塗料安定性が劣るため好ましくなく、
一方、酸価が500を超えると塗料組成物が高粘度とな
り、鋼板への塗布が困難となる。
【0041】上記(I)のエステル付加反応において使
用される高分子量エポキシ樹脂とカルボキシル基含有ア
クリル系樹脂の固形分濃度に特に制限はないが、これら
樹脂の最適粘度を有する範囲であることが望ましい。ま
た、エステル付加反応において使用する第3級アミン
は、高分子量エポキシ樹脂のエポキシ基に対して通常
0.1〜1当量の範囲で使用するのがよい。上記エステ
ル化反応は従来公知の方法で行うことができ、例えば高
分子量エポキシ樹脂の有機溶剤溶液とカルボキシル基含
有アクリル系樹脂の有機溶剤溶液とを均一に混合した
後、第3級アミン水性溶液の存在下で、通常60〜13
0℃の反応温度において約1〜6時間の反応を実質的に
エポキシ基が消費されるまで行うのがよい。
【0042】高分子量エポキシ樹脂と高分子量アクリル
系樹脂のグラフト化物を前記(II)のグラフト重合反応
によって得る場合に使用するラジカル重合性不飽和単量
体としては、前記(I)のエステル付加反応において使
用するカルボキシル基含有アクリル系樹脂の製造に用い
られる前記[a]群および[b]群のラジカル重合性不
飽和単量体と同様の単量体を挙げることができ、この場
合、[a]群のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽
和単量体の中から選ばれる少なくとも1種、または
[a]群のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単
量体の中から選ばれる少なくとも1種と[b群]のラジ
カル重合性不飽和単量体の中から選ばれる少なくとも1
種が用いられる。
【0043】上記グラフト重合反応において、高分子量
エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和単量体の配合割合
に特に制限はないが、最終的に製造されたグラフト化物
中の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分子量アクリル系
樹脂(b)の固形分重量比が上述した範囲に入るように
適宜選択される。使用するラジカル重合性不飽和単量体
としては、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単
量体が全ラジカル重合性不飽和単量体中の固形分の割合
で20〜80重量%含まれるものが特に好ましい。ま
た、グラフト重合反応に用いられるラジカル発生剤は、
ラジカル重合性不飽和単量体に対して通常3〜15重量
%の範囲で使用するのがよい。
【0044】上記グラフト重合反応は従来公知の方法で
行うことができ、例えば80〜150℃に加熱された高
分子量エポキシ樹脂の有機溶剤溶液に、ラジカル発生剤
を均一に混合したラジカル重合性不飽和単量体を1〜3
時間を要して添加し、更に同温度を1〜3時間保持する
ことによって行うことができる。
【0045】上記(I)のエステル付加反応や上記(I
I)のグラフト重合反応において使用される有機溶剤と
しては、高分子量エポキシ樹脂およびカルボキシル基含
有アクリル系樹脂を溶解し、且つこれらの樹脂の反応物
のカルボン酸塩を水で希釈する場合にエマルジョンの形
成に支障を来たさないような、水と混合可能な有機溶剤
であればよく、このような有機溶剤であれば従来公知の
いずれのものも使用できる。
【0046】このような有機溶剤の代表例としては、イ
ソプロパノール、ブチルアルコール、2−ヒドロキシ−
4−メチルペンタン、2−エチルヘキシルアルコール、
シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル等のアルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤及びカル
ビトール系溶剤を挙げることができる。また、水と混和
しない不活性有機溶剤も使用可能であり、このような有
機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げ
られる。
【0047】上記高分子量エポキシ樹脂(a)と高分子
量アクリル系樹脂(b)のグラフト化物は、塩基性化合
物で樹脂中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和す
ることによって水分散性樹脂とすることができる。カル
ボキシル基を中和するのに用いられる塩基性化合物とし
ては従来公知のものを広く使用することができ、例え
ば、任意の第1級アミン、第2級アミン、第3級アミ
ン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0048】具体的には、メチルアミン、エチルアミ
ン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ヘ
キシルアミン、モノエタノールアミン、プロパノールア
ミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミ
ン、ジヘキシルアミン、メチルエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルエタノー
ルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエタノ
ールアミン、トリブチルアミン、ジメチルn−ブチルア
ミン、トリプロピルアミン、γ−ピコリン、テトラヘキ
シルアンモニウムヒドロキサイド等を例示できる。この
ような中和剤の使用量としては、反応物中のカルボキシ
ル基に対して、通常0.1〜2の中和当量で用いられる
のがよい。この中和剤による中和処理も従来公知の方法
で行うことができる。
【0049】以上述べたような高分子量エポキシ樹脂
(a)と高分子量アクリル系樹脂(b)のグラフト化物
である水分散型樹脂は、ベース樹脂中に占める割合を固
形分の割合で55重量%以上、好ましくは70重量%以
上とする。この水分散型樹脂の割合が55重量%未満で
は目的とする優れた特性は得られない。
【0050】次に、上記[iii]に示す水溶解型樹脂で
ある高酸価エポキシ樹脂は、その数平均分子量が300
未満では皮膜の耐ブロッキング性が劣る。一方、数平均
分子量が3000を超えると接着強度が低下する傾向が
ある。また、エポキシ樹脂の酸価が20未満では接着強
度が低下する傾向があり、一方、300を超えると塗料
組成物の粘度が高くなり、鋼板への塗布が困難となる。
このような観点からエポキシ樹脂のより好まし数平均分
子量は700〜2500、酸価は30〜60である。
【0051】上記水溶解型エポキシ樹脂の製法に特別な
制限はなく、公知の方法のいずれの方法で製造してよ
い。例えば、エピコート828(油化シェル社製のエポ
キシ樹脂,エポキシ当量184〜194)をビスフェノ
ールAと重合させ、必要とする分子量を得た後、トリメ
リット酸等のような多塩基酸を付加重合して得られた樹
脂をアミン中和することによって得ることができる。
【0052】この高酸価エポキシ樹脂である水溶解型樹
脂のベース樹脂中に占める割合は固形分の割合で1〜4
5重量%とする。この水溶解型樹脂の割合が1重量%未
満では添加による特性改善効果が十分に得られず、一
方、45重量%を超えると逆に耐食性、接着強度が劣化
するとともに、塗料安定性にも劣る。
【0053】また、ベース樹脂であるエポキシ系樹脂と
して、上記[ii]に示す水分散型樹脂(A)と上記[ii
i]に示す水溶解型樹脂(B)を固形分重量比で(A)
/(B)=55/45〜99/1の割合で配合した樹脂
を用いることにより、特に優れた接着強度を得ることが
できる。水溶解型樹脂(A)と水溶解型樹脂(B)の配
合比(A)/(B)が99/1を超えると両者を複合添
加することによる効果が十分に得られず、一方、55/
45未満では耐食性、接着強度が劣化するとともに、塗
料安定性にも劣る。このような観点から(A)/(B)
の固形分重量比のより好ましい範囲は70/30〜95
/5である。
【0054】このように特定の水分散型樹脂と水溶解型
樹脂を複合添加することにより良好な接着強度が得られ
るメカニズムは必ずしも明確ではないが、その一因とし
て、高酸価で低分子量の水溶解型エポキシ樹脂が皮膜に
導入されることにより、樹脂の架橋密度が増加する効
果、基板との接着力が向上する効果が得られることが考
えられる。
【0055】硬化剤としては、全成分中にジメチロール
化体以上のメチロール化体成分を90重量%以上含有す
るレゾール型フェノール樹脂を含むものを使用する。レ
ゾール型フェノール樹脂全成分中に含まれるジメチロー
ル化体以上のメチロール化体成分が90重量%未満で
は、本発明が目的とする優れた接着強度及び耐食性が得
られない。また、特に優れた性能を得るためには、全成
分中にジメチロール化体以上のメチロール化体成分を9
5重量%以上含有するレゾール型フェノール樹脂を使用
すること好ましい。
【0056】このようなレゾール型フェノール樹脂は、
ビスフェノール化合物1モルとホルムアルデヒド4〜1
0モルを、または、ビスフェノール化合物1モルに対し
て無置換1価フェノール、p−置換1価フェノール、o
−置換1価フェノールの中から選ばれる1種以上の1価
フェノールを合計で0.5モル以下の割合で混合したフ
ェノール類1モルとホルムアルデヒド4〜10モルを、
塩基性触媒の存在下、反応温度50〜65℃、反応系内
のpH8.0〜9.0で反応させることにより得ること
ができる。
【0057】上記レゾール型フェノール樹脂の製造に用
いられるフェノール化合物としては、例えば、ビスフェ
ノールA[すなわち、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン]、ビスフェノールF[すなわち、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン]、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1,1−イソブタン等を挙げるこ
とができる。これらのうちビスフェノールAおよびビス
フェノールFが特に好適である。
【0058】上記フェノール化合物は単独で用いる場合
と、さらに次に挙げる他のフェノール類と併用して用い
る場合とがある。この併用して用いられる他のフェノー
ル類としては、石炭酸等の1価フェノール;p−クレゾ
ール、o−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p
−エチルフェノール、p−t−アミルフェノール、p−
ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シク
ロヘキシルフェノール等のオルトあるいはパラ置換1価
フェノール等が挙げられる。これらフェノール類は1種
または2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】ビスフェノール化合物に対して上記の1価
フェノール類を混合して用いる場合の1価フェノール類
の混合割合としては、ビスフェノール化合物1モルに対
して合計で0.5モル以下、好ましくは0.15モル〜
0.3モル程度とするのがよい。ビスフェノール化合物
1モルに対する上記1価フェノール類の混合割合が0.
5モルを超えると、得られるフェノール樹脂成分中に未
反応体やモノメチロール化体が多く残り、これを硬化剤
として使用した場合、皮膜の接着性及び耐食性が著しく
損なわれる。
【0060】レゾール型フェノール樹脂は、上記のフェ
ノール化合物とホルムアルデヒドとを公知の塩基性触媒
の存在下で反応させることによって得ることができる。
この塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物類;リン酸
三ナトリウム等の塩基性塩類;トリエチルアミン等のア
ミン類等を用いることができるが、この中でもアルカリ
金属水酸化物類が特に好ましい。
【0061】本発明で使用するような、全成分中にジメ
チロール化体以上のメチロール化体成分を90重量%以
上含有するレゾール型フェノール樹脂を製造するために
は、フェノール化合物に対するホルムアルデヒドの配合
量と反応系のpHおよび温度が極めて重要である。すな
わち、ホルムアルデヒドの配合量は、フェノール化合物
1モル当たり4〜10モル、好ましくは6〜8モルの範
囲であって、且つフェノール化合物の理論官能基水素原
子に対してより過剰のホルムアルデヒドを使用すること
が必要である。
【0062】前記フェノール化合物1モルに対するホル
ムアルデヒドの配合量が4モル未満では、得られるレゾ
ール型フェノール樹脂成分中のジメチロール化体以上の
メチロール化体成分が少なく、目的とする皮膜性能を得
ることができない。一方、ホルムアルデヒドの配合量が
10モルを超えると未反応のホルムアルデヒドが過剰と
なるため、安全衛生上や臭気等の面で大きな問題を生じ
る。
【0063】また、反応系のpHはホルムアルデヒドが
フェノール化合物の官能性水素原子と反応するのに極め
て重要な因子である。レゾール型フェノール樹脂を製造
するには反応系のpHをアルカリ性側にする必要があ
り、本発明においてはpH8.0〜9.0、好ましくは
pH8.3〜8.8の範囲が適当である。反応系がpH
8.0未満では自己縮合反応が優先し、一方、pH9.
0を超えると反応系のアルカリ濃度が高くなるため反応
後に水洗洗浄する工数が増加し、生産性や廃液処理に多
大な問題が生じることになる。
【0064】さらに、反応温度は自己縮合反応を抑制す
るために50〜65℃、好ましくは55℃〜60℃とい
う比較的低温とすることが必要である。反応温度が50
℃未満ではメチロール化の反応時間が非常に長くなり、
生産性に大きな影響を与える。なお、以上のようにして
製造されるレゾール型フェノール樹脂は、それ自体公知
の手段により精製される。
【0065】硬化剤中におけるレゾール型フェノール樹
脂の割合は固形分割合で30重量%以上とすることが好
ましい。したがって、硬化剤中にはレゾール型フェノー
ル樹脂以外の硬化剤が一部含まれていてもよく、例え
ば、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリ
アミン、ポリアミドポリアミン、変性ポリアミン等のよ
うなポリアミン系硬化剤、一官能性酸無水物(無水フタ
ル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ
無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水
メチルナジック酸、無水クロレンディック酸等)、2官
能性酸無水物(無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アン
ヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカル
ボン酸無水物等)、遊離酸酸無水物(無水トリメリット
酸、ポリアゼライン酸無水物等)等のような酸無水物系
硬化剤、ノボラック型フェノール樹脂、ユリア樹脂、メ
ラミン樹脂等のようなメチロール基含有初期縮合物、潜
在性硬化剤等が含まれていてもよい。
【0066】水系塗料組成物中での硬化剤の配合量は、
固形分の割合でエポキシ系樹脂100重量部に対して1
〜40重量部、好ましくは3〜25重量部とする。硬化
剤の配合量が1重量部未満では加熱圧着時に十分な硬化
が行われず、接着強度及び耐食性が劣る。一方、硬化剤
の配合量が40重量部を超えると塗料組成物が増粘した
り、造膜性が悪くなり、このため耐食性、接着強度が劣
る。
【0067】また、硬化剤として、上述したレゾール型
フェノール樹脂と潜在性硬化剤を特定の割合で複合添加
することにより、皮膜の接着強度はさらに向上する。す
なわち、硬化剤として上記レゾール型フェノール樹脂と
潜在性硬化剤を複合添加し、潜在性硬化剤の配合量を固
形分の割合でフェノール樹脂100重量部に対して2〜
200重量部、特に好ましくは3〜100重量部とする
ことにより、接着強度はさらに向上する。
【0068】上記レゾール型フェノール樹脂と潜在性硬
化剤を複合添加した場合の潜在性硬化剤の配合量の適正
範囲を調べるため、板厚0.5mmの電磁鋼板の表面に
エポキシ系樹脂(表1に記載のベース樹脂No.8):
100重量部(固形分)、レゾール型フェノール樹脂
(表2に記載のフェノール樹脂No.1):5重量部
(固形分)とし、レゾール型フェノール樹脂100重量
部(固形分)に対する潜在性硬化剤(日本エヌエヌシー
(株)製の“エポルジョンHA50”)の配合量(固形
分)を変えた水系塗料組成物を乾燥膜厚が5μmになる
ように塗布し、到達板温200℃で焼き付けることによ
り接着鉄芯用電磁鋼板を作成し、潜在性硬化剤の配合量
が高温接着強度(この高温接着強度は後述する実施例に
記載の評価法により評価した)に及ぼす影響を調べた。
【0069】その結果を図1に示す。同図によれば、レ
ゾールフェノール樹脂100重量部に対する潜在性硬化
剤の配合量が2重量部未満でも、また200重量部を超
えても、レゾール型フェノール樹脂と潜在性硬化剤の複
合添加による顕著な高温接着強度は得られていない。ま
た、特にフェノール樹脂100重量部に対する潜在性硬
化剤の配合量が3〜100重量部の範囲において最も優
れた高温接着強度が得られている。
【0070】本発明で使用する潜在性硬化剤としては、
ジシアンジアミド、メラミン、有機酸ジヒドラジド、ア
ミンイミド、ケチミン、第3アミン塩、イミダゾール
塩、3フッ化ホウ素アミン塩、マイクロカプセル型硬化
剤(硬化剤をカゼインなどで形成したマイクロカプセル
中に封入し、加熱・加圧によりマイクロカプセルを破
り、樹脂と硬化反応するもの)、モレキュラーシーブ型
硬化剤(吸着性化合物の表面に硬化剤を吸着させたもの
で、加熱により吸着分子を放出し、樹脂と硬化反応する
もの)等が挙げられる。
【0071】本発明で用いる塗料組成物は、上述した水
系のエポキシ系樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とす
るものであるが、塗料組成物中にエポキシ系樹脂以外
に、一部他のベース樹脂成分が含まれることは妨げず、
例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、
シリーコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のような合成樹脂、ナイロン、ポリスル
ファイド、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリビニ
ルホリマールのようなエラストマー等が、塗料組成物の
樹脂成分中の割合(固形分の割合)で35重量%以下含
まれてもよい。また、樹脂成分以外に、シリカやアルミ
ナ等の酸化物微粒子、導電性物質、難溶性クロム酸塩等
の防錆添加剤、着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔
料、フタロシアニン系有機顔料等)、着色染料(例え
ば、アゾ系染料、アゾ系金属錯塩染料等)、成膜助剤、
分散性向上剤、消泡剤等の1種以上を配合することも可
能である。
【0072】本発明の製造法では、上記塗料組成物を電
磁鋼板の表面に塗布し、焼き付けることにより積層接着
用皮膜を形成するが、その皮膜厚は乾燥膜厚で1.0〜
12μmとする。皮膜厚が1.0μm未満では接着強度
が不十分であり、一方、皮膜厚が12μmを超えると接
着強度が飽和するだけでなく、占積率が低下するので好
ましくない。このような接着強度と占積率の観点からよ
り好ましい皮膜厚は3μm〜10μm、さらに好ましく
は5〜8μmである。塗料組成物を鋼板面に塗布する方
法は任意である。通常はロールコーター法により塗布す
るが、浸漬法やスプレー法により塗布した後に、エアー
ナイフ法やロール絞り法により塗布量を調整することも
可能である。
【0073】また、塗料組成物を塗布した後の焼付処理
は、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用いて行
なうことができる。焼付温度は、到達板温で100〜3
00℃とする。到達板温が100℃未満では鉄芯製造の
ために加熱圧着する前の皮膜の硬化が不十分であるた
め、耐食性、耐ブロッキング性が劣る。一方、到達板温
が300℃を超えると加熱圧着前の皮膜の硬化が進みす
ぎ、加熱圧着時に皮膜が十分な軟化溶融を生じなくなる
ため皮膜どうしの界面が溶け合わず、その結果、接着強
度は劣ったものとなる。このような観点からより好まし
い焼付温度は130〜230℃であり、これにより特に
優れた接着強度、耐食性、耐ブロッキング性を得ること
ができる。
【0074】焼付処理時の昇温速度は特に限定されない
が、2〜80℃/sec程度が好ましい。昇温速度が2
℃/sec未満では鋼板の製造効率が悪いため好ましく
なく、一方、80℃/secを超えると塗膜にワキが生
じる恐れがあり、塗膜外観が劣化しやすい。
【0075】
【実施例】板厚0.5mmの電磁鋼板に塗料組成物をロ
ールコーターにより塗布した後、焼付処理して接着鉄芯
用電磁鋼板を製造し、得られた接着鉄芯用電磁鋼板の接
着強度、耐ブロッキング性、耐食性を評価した。また、
塗料組成物の塗料安定性の評価も行った。塗料組成物に
使用したベース樹脂の組成を表1〜表4に、同じく硬化
剤であるフェノール樹脂の組成を表5に、塗料組成物の
組成と塗料安定性の評価結果を表6〜表8に、接着鉄芯
用電磁鋼板の製造条件(焼付温度および乾燥膜厚)と性
能評価の結果を表9〜表15に示す。以下に塗料組成物
の調整法と接着鉄芯用電磁鋼板の各性能評価の方法を示
す。
【0076】[塗料組成物の調整] [1.] ベース樹脂の調整 水系ベース樹脂を構成する水分散型樹脂(A)と水溶解
型樹脂(B)の製法を以下に示す。これら水分散型樹脂
(A)と水溶解型樹脂(B)を表1〜表4に示す固形分
重量比(B)/(A)で配合し、さらに必要に応じてエ
ポキシ樹脂(C)(日本エヌエヌシー(株)製の“エポ
ルジョン EA−55”)を表4に示す固形分重量比
(A)/(C),(B)/(C)で配合し、ベース樹脂
とした。
【0077】[1.1.] エステル付加反応による水分散型
樹脂(A)の製法 芳香族系エポキシ樹脂の有機溶剤溶液とカルボキシル基
含有アクリル系樹脂の有機溶剤溶液とを均一に混合した
後、第3級アミン水溶液の存在下で60〜130℃の反
応温度において約1〜6時間エステル付加反応させ、水
分散型樹脂(A)を得る。具体的な製造例として、表1
のベース樹脂No.5で用いた水分散型樹脂の製法を下
記(a)〜(c)に示す。
【0078】(a) 高分子量エポキシ樹脂溶液の製造 還流冷却器、撹拌器、温度計および窒素ガス吹き込み装
置を付した反応装置に、エピコート828(油化シェル
社製のエポキシ樹脂,エポキシ当量184〜194)5
00部、ビスフェノールA286部、トリ−n−ブチル
アミン0.5部及びメチルイソブチルケトン86部を仕
込み、窒素気流下で135℃に加熱したところ、内容物
は180℃まで発熱した。これを160℃まで冷却し、
約3時間反応を行ってエポキシ価0.025、溶融粘度
(25℃における樹脂40%のブチルカルビトール溶液
のガードナーホルト粘度)Z8の90%エポキシ樹脂溶
液を得た。
【0079】(b) カルボキシル基含有アクリル系樹脂溶
液の製造 還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロート及び窒素導入
口を備えた4ツ口フラスコにブタノール400部を採取
した。メタクリル酸174部、スチレン87部、エチル
アクリレート29部及びベンゾイルパーオキサイド(7
5%水湿潤物)14.5部をビーカーに採取し、よく混
合撹拌し、予備混合物を調整した。前記フラスコ中のブ
タノールの温度を105℃に加熱し、この温度において
前記予備混合物を滴下ロートから3時間にわたって滴下
した。同温度で更に2時間保持し、共重合反応を完了さ
せた。次いで、2−ブトキシエタノール290部を加え
て粘度370センチストークス、樹脂酸価400、固形
分30%のカルボキシル基含有アクリル系樹脂溶液を得
た。
【0080】(c) 水分散型樹脂の製造 反応容器に下記(1)〜(4)を入れて窒素気流下で115℃
に加熱し、樹脂成分を溶解させた。溶解後105℃まで
冷却し、下記(5)と(6)をこの順に加え、105℃で3時
間保持した。この反応の終了時点では、酸価は51であ
った。次いで下記(7)を30分間を要して添加し、固形
分25%の安定な水分散型樹脂(A)を得た。 (1)前記(a)で得られたエポキシ樹脂溶液 267部 (2)前記(b)で得られたアクリル系樹脂溶液 200部 (3)n−ブタノール 66部 (4)2−ブトキシエタノール 47部 (5)脱イオン水 3.2部 (6)ジメチルアミノエタノール 5.3部 (7)脱イオン水 612部
【0081】[1.2.] グラフト重合反応による水分散型
エポキシ樹脂(A)の製法 表2のベース樹脂No.18で用いた水分散型樹脂の製
法を以下に示す。還流冷却器、撹拌器、温度計および窒
素ガス吹き込み装置を付した反応装置に下記(1)〜(3)を
入れて窒素気流下で115℃に加熱し、樹脂成分を溶解
させた。次いで(4)〜(7)の混合物を1時間を要して滴下
し、さらに115℃で2時間反応させた。その後80℃
まで冷却した後、下記(8)を添加し、温度を80℃に保
持しながら撹拌下にて下記(9)を30分を要して徐々に
添加し、固形分30%の安定な水分散型樹脂(A)を得
た。 (1)前記[1.1.]の(a)で得られたエポキシ樹脂溶液 283部 (2)n−ブタノール 121部 (3)2−ブトキシエタノール 117部 (4)メタクリル酸 27部 (5)スチレン 13.5部 (6)アクリル酸エチル 4.5部 (7)過酸化ベンゾイル 3部 (8)ジメチルアミノエタノール 14.8部 (9)脱イオン水 416.2部
【0082】[1.3.] 水溶解型樹脂(B)の製法 エピコート828(油化シェル社製のエポキシ樹脂,エ
ポキシ当量184〜194)をビスフェノールAと重合
させて必要とする分子量とした後、トリメリット酸(T
MA)等のような多塩基酸を付加重合して得られた樹脂
をアミン中和し、水溶解型樹脂を得る。具体的な製造例
として、表1のベース樹脂No.22で用いた水溶解型
樹脂の製法を以下に示す。
【0083】還流冷却器、撹拌器、温度計および窒素ガ
ス吹き込み装置を付した反応装置に、エピコート828
(油化シェル社製のエポキシ樹脂,エポキシ当量184
〜194)226.5部、ビスフェノールA168.9
部、トリ−n−ブチルアミン2.0部及びメチルイソブ
チルケトン69.8部を仕込み、窒素気流下で135℃
に加熱したところ、内容物は200〜210℃まで発熱
した。これを200℃まで冷却し、約3時間反応を行っ
てエポキシ価0.004、溶融粘度(25℃における樹
脂40%のブチルカルビトール溶液のガードナーホルト
粘度)X〜Yの85%エポキシ樹脂溶液を得た。次い
で、冷却を行い釜内温度が130℃となったら無水トリ
メリット酸(TMA)を32.58部仕込み、樹脂酸価
が41〜45になるまで反応を行い、樹脂酸価が40〜
45になった時点で冷却した。その後エチレングリコー
ルモノブチルエーテル500.28部で希釈し、45%
の高酸価エポキシ樹脂を得た。この高酸価エポキシ樹脂
130部に25%アンモニア水6.5部、ブチルセロソ
ルブ16.2部を加え、撹拌下、脱イオン水140部を
徐々に加え固形分20%の水溶解型樹脂(B)を得た。
【0084】[2.] 硬化剤の調整 表5に示すレゾール型フェノール樹脂No.1〜No.
8の合成法を以下に示す。なお、表5にはフェノール樹
脂の合成に使用したフェノール類及びホルムアルデヒド
の配合量と、得られたフェノール樹脂のHPLC分析に
よる分析値を示してある。
【0085】(a) フェノール樹脂No.1:ビスフェノ
ールA1モルに37%ホルマリン7モル(CH2O換
算)を加え、触媒として水酸化ナトリウム0.02モル
を添加し、60℃にて10時間反応させた。この間、p
Hを8.5で一定に保つためさらに水酸化ナトリウム
0.05モルを10時間かけて添加した。反応後、リン
酸水溶液を中和剤として樹脂を洗浄し、ナトリウムイオ
ンが10ppm以下になるまで洗浄を繰り返した。さら
に、n−ブタノールで共沸脱水し、系内水分が0.5%
以下になるように水分を除去し、目的とするレゾール型
フェノール樹脂(固形分80重量%)を得た。このフェ
ノール樹脂のジメチロール化体以上のメチロール化体成
分の含有量は98.3%である。
【0086】(b) フェノール樹脂No.2〜No.4:
フェノール類の種類と配合を変えた以外は上記フェノー
ル樹脂No.1の合成法と同様の条件で反応を行い、レ
ゾール型フェノール樹脂(固形分80重量%)を得た。
これらのフェノール樹脂のジメチロール化体以上のメチ
ロール化体成分の含有量は、フェノール樹脂No.2:
96.4%、フェノール樹脂No.3:94.3%、フ
ェノール樹脂No.4:96.0%である。
【0087】(c) フェノール樹脂No.5:ビスフェノ
ールA1モルに37%ホルマリン7モル(CH2O換
算)を加えて50℃に加熱し、触媒として水酸化ナトリ
ウム0.04モルを添加し、100℃にて1時間反応さ
せた。反応終了後、上記フェノール樹脂No.1の場合
と同様の方法を経てレゾール型フェノール樹脂(固形分
80重量%)を得た。このフェノール樹脂のジメチロー
ル化体以上のメチロール化体成分の含有量は88.3%
である。
【0088】(d) フェノール樹脂No.6〜No.8:
フェノール類の種類と配合を変えた以外は上記フェノー
ル樹脂No.5の合成法と同様の条件で反応を行い、レ
ゾール型フェノール樹脂(固形分80重量%)を得た。
これらのフェノール樹脂のジメチロール化体以上のメチ
ロール化体成分の含有量は、フェノール樹脂No.6:
77.3%、フェノール樹脂No.7:89.8%、フ
ェノール樹脂No.8:88.8%である。
【0089】[3.] 塗料組成物の調整 表1〜表4に示すベース樹脂と表5に示す硬化剤(フェ
ノール樹脂)及び潜在性硬化剤を用い、これらを混合・
撹拌して表6〜表8に示すNo.1〜No.82の塗料
組成物を得た。これら塗料組成物中の不揮発分の割合は
全て20wt%とした。
【0090】また、表8に示すNo.83のアクリル樹
脂エマルジョンとNo.84のウレタン樹脂エマルジョ
ンは、下記により得られたものである。 (a) アクリル樹脂エマルジョン:メチルメタクリレート
90重量部、スチレン15重量部、アクリル酸10重量
部、エチルアクリレート10重量部からなるモノマー混
合物を水中で常法により乳化重合し、アクリル樹脂エマ
ルジョンを作成した。 (b) ウレタン樹脂エマルジョン:旭電化工業(株)製の
“アデカボンダイターHUX−240”を用いた。
【0091】[塗料安定性の評価]塗料組成物を40℃
で7日間静置し、塗料のゲル化または沈降物の有無によ
り評価した。 ○:塗料組成物のゲル化及び沈降物は認められない。 ×:塗料組成物のゲル化または沈降物が認められる。
【0092】[接着鉄芯用電磁鋼板の性能評価] (a) 常温接着強度 25mm×50mmのサイズに切断した接着鉄芯用電磁
鋼板を、重ね合わせ部が25mm×12.5mmになる
ように皮膜形成面どうしを重ね合わせ、圧力10kgf
/cm2で加圧した状態で図2に示す昇温パターンで加
熱圧着した。これを常温雰囲気下で引張り試験機により
引張り、破壊するまでの最大荷重を測定し、この最大荷
重を剪断面積(接着面積)で割った引張り剪断強度で接
着強度を評価した。評価基準を下記に示す。 ◎ :160kgf/cm2以上 ○+:140kgf/cm2以上、160kgf/cm2
未満 ○ :120kgf/cm2以上、140kgf/cm2
未満 △ :100kgf/cm2以上、120kgf/cm2
未満 × :100kgf/cm2未満
【0093】(b) 高温接着強度 前記(a)による常温接着強度の評価試験と同様の方法で
作成、加熱圧着したサンプルを150℃雰囲気下で引張
り試験機により引張り、破壊するまでの最大荷重を測定
し、この最大荷重を剪断面積(接着面積)で割った引張
り剪断強度で接着強度を評価した。評価基準を下記に示
す。 ◎ :80kgf/cm2以上 ○+:60kgf/cm2以上、80kgf/cm2未満 ○ :40kgf/cm2以上、60kgf/cm2未満 △ :20kgf/cm2以上、40kgf/cm2未満 × :20kgf/cm2未満
【0094】(c) 耐ブロッキング性 20mm×20mmのサイズに切断した接着鉄芯用電磁
鋼板の皮膜形成面どうしを重ね合わせ、加圧力250k
gf/cm2で加圧し、50℃雰囲気下で24時間放置
した後のブロッキングの有無を調べた。評価基準を下記
に示す。 ○:ブロッキング無し ×:ブロッキング有り
【0095】(d) 耐食性 塩水噴霧試験を行い、24時間後の赤錆発生面積率によ
り評価した。評価基準を下記に示す。 ◎:赤錆発生面積率10%未満 ○:赤錆発生面積率10%以上、25%未満 △:赤錆発生面積率25%以上、50%未満 ×:赤錆発生面積率50%以上
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
【表13】
【0109】
【表14】
【0110】
【表15】
【0111】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、モー
ターやトランスの使用環境(常温〜高温)下でも安定し
た接着強度が得られ、しかも耐ブロッキング性、耐食性
にも優れた接着型絶縁皮膜を有する接着鉄芯用電磁鋼板
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗料組成物中の硬化剤としてレゾール型フェノ
ール樹脂と潜在性硬化剤を複合添加した場合において、
レゾール型フェノール樹脂100重量部に対する潜在性
硬化剤の配合量が高温接着強度に及ぼす影響を示すグラ
【図2】実施例で行なった接着鉄芯用電磁鋼板の加熱圧
着の昇温パターンを示す図面
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−162722(JP,A) 特開 平11−162723(JP,A) 特開 平8−24779(JP,A) 特開 平4−180574(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 7/14 H01F 1/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成分として、エポキシ系樹脂100
    重量部(固形分)に対して、全成分中にジメチロール化
    体以上のメチロール化体成分を90重量%以上含有する
    レゾール型フェノール樹脂を含む硬化剤が1〜40重量
    部(固形分)の割合で配合された水系塗料組成物を、電
    磁鋼板の少なくとも片面に乾燥膜厚で1.0〜12μm
    になるように塗布し、到達板温で100〜300℃にな
    るように焼き付けることを特徴とする接着強度、耐食性
    及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂成分として、エポキシ系樹脂100
    重量部(固形分)に対して、下記[i]に示すレゾール
    型フェノール樹脂を含む硬化剤が1〜40重量部(固形
    分)の割合で配合された水系塗料組成物を、電磁鋼板の
    少なくとも片面に乾燥膜厚で1.0〜12μmになるよ
    うに塗布し、到達板温で100〜300℃になるように
    焼き付けることを特徴とする接着強度、耐食性及び耐ブ
    ロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。 [i]ビスフェノール化合物1モルとホルムアルデヒド
    4〜10モルを、または、ビスフェノール化合物1モル
    に対して無置換1価フェノール、p−置換1価フェノー
    ル、o−置換1価フェノールの中から選ばれる1種以上
    の1価フェノールを合計で0.5モル以下の割合で混合
    したフェノール類1モルとホルムアルデヒド4〜10モ
    ルを、塩基性触媒の存在下、反応温度50〜65℃、反
    応系内のpH8.0〜9.0で反応させて得られ、全成
    分中にジメチロール化体以上のメチロール化体成分を9
    0重量%以上含有するレゾール型フェノール樹脂
  3. 【請求項3】 塗料組成物中のレゾール型フェノール樹
    脂が、塩基性触媒としてアルカリ金属水酸化物を用いて
    製造されたフェノール樹脂であることを特徴とする請求
    項2に記載の接着強度、耐食性及び耐ブロッキング性に
    優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 固形分の割合でエポキシ系樹脂の55重
    量%以上が下記[ii]に示す水分散型樹脂からなること
    を特徴とする請求項1、2または3に記載の接着強度、
    耐食性及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼
    板の製造方法。 [ii]下記重量比の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分
    子量アクリル系樹脂(b)からなるグラフト化物 (a)/(b)=55/45〜95/5(固形分重量
    比)
  5. 【請求項5】 固形分の割合でエポキシ系樹脂の1〜4
    5重量%が下記[iii]に示す水溶解型樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項1、2または3に記載の接着強
    度、耐食性及び耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電
    磁鋼板の製造方法。 [iii]数平均分子量が300〜3000、酸価が20
    〜300の高酸価エポキシ樹脂
  6. 【請求項6】 エポキシ系樹脂が下記[ii]に示す水分
    散型樹脂(A)と下記[iii]に示す水溶解型樹脂
    (B)とを固形分重量比で(A)/(B)=55/45
    〜99/1の割合で配合した樹脂であることを特徴とす
    る請求項1、2または3に記載の接着強度、耐食性及び
    耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方
    法。 [ii]下記重量比の高分子量エポキシ樹脂(a)と高分
    子量アクリル系樹脂(b)からなるグラフト化物 (a)/(b)=55/45〜95/5(固形分重量
    比) [iii]数平均分子量が300〜3000、酸価が20
    〜300の高酸価エポキシ樹脂
  7. 【請求項7】 硬化剤がレゾール型フェノール樹脂と潜
    在性硬化剤とからなり、固形分の割合でレゾール型フェ
    ノール樹脂100重量部に対する潜在性硬化剤の配合量
    が2〜200重量部であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5または6に記載の接着強度、耐食性及び
    耐ブロッキング性に優れた接着鉄芯用電磁鋼板の製造方
    法。
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