JP4591654B2 - 水性塗料組成物及び該塗料組成物の製造方法 - Google Patents

水性塗料組成物及び該塗料組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機溶剤の不存在下に共重合してなる、COOH基を有する特定のアクリル系共重合体を一種の高分子乳化剤として用いて、エチレン性不飽和モノマーを種々の方法で水の存在下にラジカル重合してなるポリマーエマルジョンを含有する水性塗料組成物に関する。詳しくは、衛生性、耐レトルト性、加工性、密着性に優れる塗膜を形成し得る水性塗料組成物であって、有機溶剤を留去する必要がないので、生産性、経済性に優れる水性塗料組成物に関する。さらに詳しくは飲料や食品を収容する缶の内面被覆に好適に用いられる水性塗料組成物及びにそれを用いて缶内面を被覆してなる被覆缶に関する。
ビスフェノールA(以下BPAと略す)とエピクロルヒドリンとを原料として合成されるBPA型エポキシ樹脂は、耐煮沸性、加工性、密着性に優れた塗膜を形成する機能を有することから、缶内外面被覆用塗料に好適に用いられている。
缶内面被覆用水性塗料には、従来から、BPA型エポキシ樹脂をアクリル樹脂で変性し、カルボキシル基などを分子中に導入した水分散型アクリル変性エポキシ樹脂が主にして使用されている。
BPA型エポキシ樹脂以外で、BPA型エポキシ樹脂と同等の加工性、密着性を持つ樹脂として、乳化重合により合成したエマルジョン型アクリル樹脂がある。乳化重合で合成したエマルジョン型アクリル樹脂は、一般に非常に高分子量になることが知られており、樹脂が高分子量になることで、加工性、密着性が得られると考えられる。
しかし、一般に乳化重合には界面活性剤が用いられるので、硬化塗膜中に界面活性剤が含まれることとなる。この界面活性剤が硬化塗膜の耐レトルト性悪化の原因となるので、現状では、乳化重合により合成したエマルジョン型アクリル樹脂を缶内面被覆用塗料に使用するには至っていない。
耐レトルト性悪化の原因である界面活性剤を用いずに、その代わりにカルボキシル基をもつアクリル系共重合体を塩基性化合物で中和させて水に溶解ないし分散させ、その水溶液ないし水性分散体を用いる方法が、提案された(特許文献1:特開2002−155234号公報参照)。即ち、特許文献1には、上記水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和単量体の水性分散体を重合してなる、ソープフリー型アクリル樹脂エマルジョンが缶用水性塗料組成物に用い得る旨記載されている。特許文献1に記載される缶用水性塗料組成物は、加工性、密着性、耐レトルト性に優れる塗膜を形成し得る。
ところで、一般に乳化重合は溶剤の存在しない状態で行うことが多く、溶剤が存在しても、系全体中の溶剤の割合があまり多くないほうが好ましい。溶剤の割合が多い場合、重合の転化率が十分に得られない場合や、重合物から形成される塗膜の物性が悪化する場合がある。
従って、溶液重合によって得たアクリル系共重合体を高分子乳化剤として乳化重合の際に用いるためには、アクリル系共重合体重合時の溶剤を留去しておく必要がある。溶剤留去は、生産性低下の原因ともなり、コストを上昇させる原因ともなる。
有機溶剤を使用せずに、溶剤留去工程を省ければ、生産性及び経済性向上を図ることができる。
しかし、特許文献1に開示される高分子乳化剤は、カルボキシル基以外にも塗膜形成時の硬化に寄与する架橋性官能基を有する。従って、有機溶剤を使用せずに、高分子乳化剤を得ようとすると、重合時にゲル化が起こり、合成できない。
特開2002−155234号公報
本発明の課題は、溶剤留去工程を経ることなく、BPA由来の構成成分を全く用いず、焼付け後の硬化塗膜の耐煮沸性を悪化させる界面活性剤を実質的に用いずに、加工性、密着性に優れる塗膜を形成し得る、生産性、経済性に優れる缶内面被覆用水性塗料組成物及びそれを用いて缶内面を被覆してなる被覆缶を提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、界面活性剤を用いずに、架橋性官能基としてカルボキシル基のみを有するアクリル系共重合体を高分子乳化剤として、これを塩基性化合物で中和することにより水に溶解ないし分散させ、この高分子乳化剤を用いてアクリルモノマーを乳化し、乳化重合を行うことにより得られるポリマーエマルジョンとフェノール樹脂とを含有する水性塗料組成物が生産性、経済性に優れると共に、加工性、密着性、耐レトルト性に優れる塗膜を形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第1の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
水(G)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(3)、及びフェノール樹脂(6)
を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物に関する。
また、第2の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合してなるアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶 液ないしエマルジョン(2)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(4)、及びフェノール樹脂(6)を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物に関する。
また、本発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする上記発明のいずれかに記載の被覆缶用水性塗料組成物に関する。
さらに、本発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリ ルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有せず、
かつ、
エチレン性不飽和モノマー(b)及び(e)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないことを特徴とする上記発明のいずれかに記載の被覆缶用水性塗料組成物に関する。
また、本発明は、缶内面被覆用であることを特徴とする上記発明のいずれかに記載の被覆缶用水性塗料組成物に関する。
また、本発明は、上記発明のいずれかに記載の被覆缶用水性塗料組成物で、缶内面を被覆してなることを特徴とする被覆缶に関する。
また、本発明は、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共 重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A) を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
該モノマーエマルジョン(1)を水に滴下し、上記モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(3)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチ レン性不飽和モノマー(e)を塊状重合し、アクリル系共重合体(E)を得、該アクリル系共重合体(E)を塩基性化合物(F)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体を得、
前記モノマーエマルジョン(1)を、前記アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体に滴下し、モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(4)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法に関する。
本発明より、BPA由来の構成成分を全く用いず、加工性、密着性、耐レトルト性に優れる塗膜を形成し得る缶内面被覆用水性塗料組成物を生産性よく、経済性よく提供することができる。
まず、被乳化成分(A)について説明する。
第1、第2の発明における被乳化成分(A)は、後述するアクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)で中和させて水(D)に溶解ないし分散させたものによって、乳化される成分である。即ち、被乳化成分(A)とアクリル系共重合体(B)と塩基性化合物(C)と水(D)とがモノマーエマルジョン(1)を形成し、このモノマーエマルジョン(1)を水(G)の存在下にラジカル重合することにより、本発明の水性塗料組成物の主成分たるポリマーエマルジョン(3)が得られる。あるいは、上記モノマーエマルジョン(1)を、後述するアクリル系共重合体(E)と塩基性化合物(F)と水と水(G)とを含有してなるポリマー水溶液ないしポリマーエマルジョンの存在下にラジカル重合することにより、本発明の水性塗料組成物の主成分たるポリマーエマルジョン(4)が得られる。
また、第3の発明に記載するようにモノマーエマルジョン(1)でなく、エチレン性不飽和モノマー(A1)のみを、後述するアクリル系共重合体(E)と塩基性化合物(F)と水(G)とを含有してなるポリマー水溶液ないしポリマーエマルジョンの存在下にラジカル重合することによって、主成分たるポリマーエマルジョン(5)を得ることもできる。
第1、第2の発明における被乳化成分(A)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルを含有しない。
そこで、第1〜第3の発明におけるエチレン性不飽和モノマー(A1)について説明する。
エチレン性不飽和モノマー(A1)には、通常の乳化重合を行う際、乳化される成分であるエチレン性不飽和モノマーと同等のものを用いることができる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)の例としては、
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、
スチレン、メチルスチレン等の芳香族系モノマー、
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリルアミド、
グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
また、2官能モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド系モノマー、2官能モノマー及びCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することによって、被乳化成分(A)をラジカル重合してなるポリマーに架橋性官能基を導入することができる。架橋性官能基を導入することによって、塗膜の硬化性、またその他の物性がより向上するので好ましい。
また、エチレン性不飽和モノマー(A1)が2官能モノマーを少なくとも1種含有することによって、被乳化成分(A)をラジカル重合してなるポリマーに架橋構造を導入することができる。架橋構造を導入することによって、その後形成される塗膜の耐溶剤性、またその他の物性がより向上するので好ましい。2官能モノマーを使用する場合、その使用量は、エチレン性不飽和モノマー(A1)100重量%中に5〜30重量%であることが好ましい。
また、エチレン性不飽和モノマー(A1)として、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないエチレン性不飽和モノマー(A1)を用い、かつ後述するCOOH基を有するアクリル系共重合体(B)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E)としても上記のようなアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を含有しないものを用いればアマイドフリーのポリマーエマルジョンを得ることもできる。
その際、エチレン性不飽和モノマー(A1)に2官能モノマーを含有させると、アマイドフリーでかつ塗膜の耐溶剤性、またその他の物性をより向上させ得るポリマーエマルジョンを得ることもできる。
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和モノマー(A1)100重量%中に、多くとも20重量%以下であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーは、親水性が高いために乳化されにくく、これが多すぎる場合には、重合時のブツの原因となり易いからである。
エチレン性不飽和モノマー(A1)は、該モノマー(A1)から形成され得る重合体のガラス転移温度が30〜100℃となるようなものを用いることが好ましく、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となるようなものを用いることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃未満の重合体を形成し得るようなエチレン性不飽和モノマー(A1)を用いて形成されるポリマーエマルジョンを飲料缶等の内面被覆に使用すると、内容物の香りや味を吸着してしまい易い。他方、ガラス転移温度が100℃を超える重合体を形成し得るようなエチレン性不飽和モノマー(A1)を用いて形成される複合樹脂エマルジョンの場合は、塗膜の加工性が劣る傾向にある。
尚、エチレン性不飽和モノマー(A1)から形成され得る重合体のガラス転移温度は、各モノマーからそれぞれ形成され得る各ホモポリマーのガラス転移温度と、重合に供されるエチレン性不飽和モノマー(A1)の組成比とから常法に従って計算によって求められる。
次に、アクリル系共重合体(B)について説明する。
アクリル系共重合体(B)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステル含有しない被乳化成分(A)を乳化する、高分子乳化剤としての役割を担う。
一般に、高分子乳化剤は、疎水性成分を水媒体中で乳化する役割をもち、そのために、親水性部分と疎水性部分とを有することが必須である。
アクリル系共重合体(B)は、親水性部分としてCOOH基を有している。COOH基を有するアクリル系共重合体(B)は、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を必須成分として含有するエチレン性不飽和モノマー(b)を共重合してなるものである。COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)は、共重合に供されるモノマー100重量%中少なくとも10重量%以上含まれることが好ましく、20〜50重量%含まれることがより好ましい。
また、COOH基を有するアクリル系共重合体(B)は、疎水性部分を有することが好ましい。そこで、芳香環を有するエチレン性不飽和モノマーもしくは炭素原子数6以上のアルキル鎖を有するエチレン性不飽和モノマーを共重合成分に有することが好ましい。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)の形成に供されるエチレン性不飽和モノマー(b)は、COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)は含有しない。COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないことによって、COOH基を有するアクリル系共重合体(B)を有機溶剤の不存在下に重合、即ち塊状重合によって得ることができる。
塊状重合は一般に高温で重合するため、その重合温度でCOOH基以外に架橋反応し得る官能基をもつエチレン性不飽和モノマー(b2)を用いれば、重合時ゲル化が起こり、合成できない。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)の共重合成分であるCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)としては、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸が挙げられる。
COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)としては、上記エチレン性不飽和モノマー(A1)の場合と同様ものが例示できる。
例えば、COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマー、グリシジルメタクリレート、カレンズMOI(昭和電工製)が例示できる。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)は、数平均分子量2000〜60000であることが好ましく、数平均分子量5000〜20000であることがより好ましい。数平均分子量が2000よりも小さいと、乳化力が低下する傾向にあり、重合時のブツや沈降物の原因となり易い。数平均分子量が60000よりも大きい場合も同様である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)の酸価は、20〜400(mgKOH/g)であることが好ましく、100〜300(mgKOH/g)であることがより好ましい。酸価が20(mgKOH/g)よりも小さいと、乳化力が低下する傾向にあり、重合時のブツや沈降物の原因となり易い。酸価が400(mgKOH/g)よりも大きい場合も同様である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、30〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃未満だと、缶の中に収容される飲料物の香りや味が変わり易い。一方、ガラス転移温度が、100℃を超えると塗膜の加工性が低下する傾向にある。
次にモノマーエマルジョン(1)について説明する。
モノマーエマルジョン(1)は、上記したようにエチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルを含有しない被乳化成分(A)、アクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有する。(A)〜(D)を一気に混合することもできるが、アクリル系共重合体(B)をあらかじめ塩基性化合物(C)で中和させて、水(D)に溶解ないし分散させておき、この中和水溶液ないし分散体で被乳化成分(A)を乳化することが好ましい。(A)〜(D)は、通常の方法で攪拌するにより、乳化することもできるし、高速で攪拌したり、シェアをかけたりすることにより、乳化しても良い。
また、 塩基性化合物(C)の量は、アクリル系共重合体(B)中のCOOH基の全部ではなく一部を中和し得ることが好ましい。具体的には、塩基性化合物(C)は、アクリル系共重合体(B)中のCOOH基100モル%に対して、30〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましい。
本発明で用いられる塩基性化合物(C)としては、ジメチルアミノエタノールのようなアミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
次に、アクリル系共重合体(E)について説明する。
アクリル系共重合体(E)は、アクリル系共重合体(B)と同様に被乳化成分(A)に対し、乳化剤成分として機能するものである。アクリル系共重合体(B)は、モノマーエマルジョン(1)の形成時、及び重合中並びに重合後のポリマーエマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、本発明において必須の成分である。一方、アクリル系共重合体(E)は、主として重合中並びに重合後のポリマーエマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、このアクリル系共重合体(E)を補助的に併用することによって、ポリマーエマルジョンの乳化、分散状態をより安定に保つことができる。アクリル系共重合体(E)を用いる場合、アクリル系共重合体(B)と同様にCOOH基の一部を塩基性化合物で中和したものを用いることが好ましい。
アクリル系共重合体(E)を塊状重合で得るためには、アクリル系共重合体(B)の場合と同様にCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を共重合に供する。アクリル系共重合体(E)の好適な数平均分子量、酸価、ガラス転移温度は、アクリル系共重合体(B)の場合と同様である。
第1の発明の場合、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)は、5〜300重量部であることが好ましく、10〜200重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)とを用いる第2の発明の場合は、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)は好ましい範囲が2つあり、20〜100重量部と、1〜5重量部である。
被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)が20〜100重量部のときは、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計は、20〜300重量部であることが好ましく、30〜200重量部であることがさらに好ましい。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)が1〜5重量部のときは、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、2〜20重量部であることが好ましく、また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計は、5〜300重量部であることが好ましく、10〜200重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
アクリル系共重合体(B)は用いずにアクリル系共重合体(E)のみを用いる第3の発明の場合、被乳化成分(A)100重量部に対してアクリル系共重合体(E)は、5〜300重量部であることが好ましく、10〜200重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(E)が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(E)が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(E)が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
次にポリマーエマルジョン(3)、(4)について説明する。
ポリマーエマルジョン(3)は、モノマーエマルジョン(1)を、水(G)の存在下に、ポリマーエマルジョン(4)は、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)の存在下に、それぞれラジカル重合してなるものである。
例えば、水(G)、またはアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を入れた反応容器に、モノマーエマルジョン(1)を添加することによって得ることができる。重合開始剤は、反応容器内に入れておいてもよいし、モノマーエマルジョン(1)内に入れておいてもよいし、あるいはモノマーエマルジョン(1)とは別に反応容器内に添加してもよい。
用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
次にポリマーエマルジョン(5)について説明する。
ポリマーエマルジョン(5)は、モノマー(A1)を、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)の存在下にラジカル重合してなるものである。
例えば、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を入れた反応容器に、モノマー(A1)を添加することによって得ることができる。重合開始剤は、反応容器内に入れておいてもよいし、モノマー(A1)内に入れておいてもよいし、あるいはモノマー(A1)とは別に反応容器内に添加してもよい。
用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ポリマーエマルジョン(3)〜(5)は、被乳化成分(A)から構成される樹脂成分とアクリル系共重合体(B)、(E)とが不均一な構造の複合樹脂組成物を形成しつつ、全体としては安定した分散状態を呈するものと考えられる。即ち、被乳化成分(A)から構成される樹脂成分の多い部分と、アクリル系共重合体(B)、(E)の多い部分とが局所的に存在するものと考察される。
ポリマーエマルジョン(3)〜(5)の分散粒子の不均一な構造故に、焼付け後の硬化塗膜も完全に均一な構造にはなりにくいと考えられ、被乳化成分(A)に由来する樹脂成分の多い部分と、アクリル系共重合体(B)、(E)の多い部分とが局所的に存在すると考えられる。
被乳化成分(A)のうち、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有する場合には、被乳化成分(A)に由来する樹脂成分の多い部分を硬化、架橋させることができる。
次に、本発明の水性塗料組成物について説明する。
本発明の水性塗料組成物は、上記ポリマーエマルジョン(3)〜(5)の少なくとも1種とフェノール樹脂(6)とを含有するものである。
フェノール樹脂(6)は、自己架橋反応する他、ポリマーエマルジョン(3)〜(5)を構成する高分子乳化剤であるアクリル系共重合体(B)や(E)中のCOOH基、そして被乳化成分(A)がCOOH基を有する場合にはこのCOOH基と反応、硬化し、硬化塗膜を形成する。
また、上記したように被乳化成分(A)のうち、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド系モノマーを含有する場合には、これらアミド系モノマーに由来する官能基が自己架橋したり、フェノール樹脂(6)とも架橋反応したりする。なお、これらアミド系モノマーを使用せず、アクリル系共重合体(B)や(E)がアミド系モノマーを共重合組成に含まなければ、アマイドフリーの水性塗料組成物を得ることもできる。
本発明において用いられるフェノール樹脂としては、メタクレゾール骨格のもの、パラクレゾール骨格のもの等が挙げられ、メタクレゾール骨格のものが好ましい。
フェノール樹脂を用いる場合には、複合樹脂100重量部に対して、フェノール樹脂は1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがより好ましい。
以下に合成例、比較合成例、実施例、比較例により本発明を説明する。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ表す。
[合成例1]アクリル系共重合体(B−1)の合成
耐圧反応容器にモノマー400gを入れて、密閉した状態で、250℃で加熱攪拌しながら、40分間重合し、数平均分子量10000、ガラス転移音素約38℃、酸価255(mgKOH/g)の固形のアクリル系共重合体(B−1)を得た。なお、モノマー組成は、スチレン40%、エチルアクリレート22%、メタクリル酸38%とした。
その後、ジメチルアミノエタノールを157.3g加え、その後水を加えて、アクリル系共重合体(B−1)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例3]アクリル系共重合体(B−3)の合成
耐圧反応容器に圧力釜に150℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマー400gを入れて合成を行った。モノマー組成は、スチレン27%、エチルアクリレート15%、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド20%、メタクリル酸38%とした。しかし、反応途中でゲル化した。
[実施例1]ポリマーエマルジョン(PE−1)の合成
スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8g、[合成例1]で得た固形分25%のアクリル系共重合体(B−1)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−1)を得た。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、55℃である。
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマーエマルジョン(M−1)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−1)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−1)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
[実施例2]ポリマーエマルジョン(PE−2)の合成
スチレン85g、エチルアクリレート40g、[合成例1]で得た固形分25%のアクリル系共重合体(B−1)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−1)を得た。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、50℃である。
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマーエマルジョン(M−1)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−2)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−1)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
[実施例3]ポリマーエマルジョン(PE−3)の合成
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液250gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8gと過硫酸カリウム0.5gを、別々に2時間かけて滴下した。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、55℃である。
滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−3)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−3)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
[比較例1]
実施例1で得たポリマーエマルジョン(PE−1)に、フェノール樹脂を加えなかった以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。
[塗膜の評価]
実施例1、比較例1、2で得た各塗料を用い、アルミ板にバーコーター#18で塗工し、ガスオーブンを用い雰囲気温度200℃で2分間焼き付け、評価用テストパネルを得て、以下のようにして塗膜の性能を評価した。結果を表1に示す。各評価の方法を以下に説明する。
<外観>テストパネルを目視で評価する。
○:問題なし
△:ややブツあるいは発泡あり
×:著しくブツあるいは発泡あり
<硬化性> 2ポンドハンマーにガーゼを巻きMEKを含浸させ、テストパネルの塗膜上を往復させ、塗膜が溶解するまでの回数を求める。
◎:200回以上
○:100回以上200回未満
△:50回以上100回未満
×:50回未満
<耐食性> テストパネルを40×80mmに切断し、塗膜を素地に達するようにクロスカットした後、テストパネルを市販のスポーツ飲料に浸漬したまま、レトルト釜で105℃−30分レトルト処理を行い、その後、その状態で70℃のオーブンに3日間入れた。その後、カット部からの片側の錆発生巾を測定した。
○:0〜2mm未満
△:2mm以上〜6mm未満
×:6mm以上
<耐レトルト密着性> テストパネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で125℃−30分レトルト処理を行い、塗膜の状態を目視で評価した。その塗面にセロハン粘着テープを貼着し、強く剥離したのちの塗面の評価を行った。
○:全く剥離なし
△:少し剥離
×:著しく剥離
<耐レトルト白化> テストパネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で125℃−30分レトルト処理を行い、塗膜の白化性について目視で評価した。
○:問題なし
△:やや白化
×:著しく白化
<密着性> JIS K−5400碁盤目テープ法に準拠し、テストパネルに1mm×1mmのマス目を100個作成した後、粘着セロハンテープを貼着し、急激に剥した後の剥がれた碁盤目塗膜の数を数え、下記基準で評価した。
○:0個
○:1〜5個
△:6〜39個
×:40個以上
<加工性> テストパネルを大きさ40mm×50mmに切断し、塗膜を外側にして、試験部位が40mmになるように2つ折りにし、この2つ折りにした試験片の間に厚さ0.26mmのアルミ板を2枚はさみ、1kgの荷重を高さ40cmから折り曲げ部に落下させた後に、折り曲げ先端部に6.0V×6秒通電し、加工性5cm巾の電流値(mA)を測定した。
◎+:0.5mA未満
◎ :0.5mA以上〜1.5mA未満
○+:1.5mA以上〜3.0mA未満
○ :3.0mA以上〜5.0mA未満
△ :5.0mA以上〜15.0mA未満
× :15.0mA以上
<水フレーバー性> 各水性塗料組成物を0.1mmアルミ箔に両面塗工し200℃1分間加熱して硬化させた後(膜厚15〜20ミクロン)、塗板を10cm×25cm(両面500cm2)の大きさに切断する。この塗板を活性炭処理した水道水500gとともに耐熱瓶に入れ、125℃−30分のレトルト処理を行い、その後、風味試験を実施する。風味試験の比較対照として、塗板を入れないブランクも同様に処理する。
◎:無味
○:僅かに味がする
△:味がする
×:かなり味がする
Figure 0004591654

Claims (8)

  1. エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
    水(G)の存在下に、
    ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(3)、及びフェノール樹脂(6)
    を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物。
  2. エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
    COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合してなるアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶 液ないしエマルジョン(2)の存在下に、
    ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(4)、及びフェノール樹脂(6)
    を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物。
  3. エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。
  4. エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有せず、
    かつ、
    エチレン性不飽和モノマー(b)及び(e)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないことを特徴とする請求項項1ないし3いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。
  5. 缶内面被覆用であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物で、缶内面を被覆してなることを特徴とする被覆缶。
  7. COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共 重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
    該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
    該モノマーエマルジョン(1)を水に滴下し、上記モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(3)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法。
  8. COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
    該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A) を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
    COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合し、アクリル系共重合体(E)を得、該アクリル系共重合体(E)を塩基性化合物(F)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体を得、
    前記モノマーエマルジョン(1)を、前記アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体に滴下し、モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(4)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法。
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