JP4591654B2 - 水性塗料組成物及び該塗料組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
缶内面被覆用水性塗料には、従来から、BPA型エポキシ樹脂をアクリル樹脂で変性し、カルボキシル基などを分子中に導入した水分散型アクリル変性エポキシ樹脂が主にして使用されている。
しかし、一般に乳化重合には界面活性剤が用いられるので、硬化塗膜中に界面活性剤が含まれることとなる。この界面活性剤が硬化塗膜の耐レトルト性悪化の原因となるので、現状では、乳化重合により合成したエマルジョン型アクリル樹脂を缶内面被覆用塗料に使用するには至っていない。
従って、溶液重合によって得たアクリル系共重合体を高分子乳化剤として乳化重合の際に用いるためには、アクリル系共重合体重合時の溶剤を留去しておく必要がある。溶剤留去は、生産性低下の原因ともなり、コストを上昇させる原因ともなる。
しかし、特許文献1に開示される高分子乳化剤は、カルボキシル基以外にも塗膜形成時の硬化に寄与する架橋性官能基を有する。従って、有機溶剤を使用せずに、高分子乳化剤を得ようとすると、重合時にゲル化が起こり、合成できない。
水(G)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(3)、及びフェノール樹脂(6)
を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物に関する。
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合してなるアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶 液ないしエマルジョン(2)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(4)、及びフェノール樹脂(6)を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物に関する。
かつ、
エチレン性不飽和モノマー(b)及び(e)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないことを特徴とする上記発明のいずれかに記載の被覆缶用水性塗料組成物に関する。
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A) を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
該モノマーエマルジョン(1)を水に滴下し、上記モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(3)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法に関する。
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチ レン性不飽和モノマー(e)を塊状重合し、アクリル系共重合体(E)を得、該アクリル系共重合体(E)を塩基性化合物(F)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体を得、
前記モノマーエマルジョン(1)を、前記アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体に滴下し、モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(4)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法に関する。
第1、第2の発明における被乳化成分(A)は、後述するアクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)で中和させて水(D)に溶解ないし分散させたものによって、乳化される成分である。即ち、被乳化成分(A)とアクリル系共重合体(B)と塩基性化合物(C)と水(D)とがモノマーエマルジョン(1)を形成し、このモノマーエマルジョン(1)を水(G)の存在下にラジカル重合することにより、本発明の水性塗料組成物の主成分たるポリマーエマルジョン(3)が得られる。あるいは、上記モノマーエマルジョン(1)を、後述するアクリル系共重合体(E)と塩基性化合物(F)と水と水(G)とを含有してなるポリマー水溶液ないしポリマーエマルジョンの存在下にラジカル重合することにより、本発明の水性塗料組成物の主成分たるポリマーエマルジョン(4)が得られる。
そこで、第1〜第3の発明におけるエチレン性不飽和モノマー(A1)について説明する。
エチレン性不飽和モノマー(A1)には、通常の乳化重合を行う際、乳化される成分であるエチレン性不飽和モノマーと同等のものを用いることができる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)の例としては、
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、
スチレン、メチルスチレン等の芳香族系モノマー、
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリルアミド、
グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
また、2官能モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド系モノマー、2官能モノマー及びCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
また、エチレン性不飽和モノマー(A1)が2官能モノマーを少なくとも1種含有することによって、被乳化成分(A)をラジカル重合してなるポリマーに架橋構造を導入することができる。架橋構造を導入することによって、その後形成される塗膜の耐溶剤性、またその他の物性がより向上するので好ましい。2官能モノマーを使用する場合、その使用量は、エチレン性不飽和モノマー(A1)100重量%中に5〜30重量%であることが好ましい。
その際、エチレン性不飽和モノマー(A1)に2官能モノマーを含有させると、アマイドフリーでかつ塗膜の耐溶剤性、またその他の物性をより向上させ得るポリマーエマルジョンを得ることもできる。
尚、エチレン性不飽和モノマー(A1)から形成され得る重合体のガラス転移温度は、各モノマーからそれぞれ形成され得る各ホモポリマーのガラス転移温度と、重合に供されるエチレン性不飽和モノマー(A1)の組成比とから常法に従って計算によって求められる。
アクリル系共重合体(B)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステル含有しない被乳化成分(A)を乳化する、高分子乳化剤としての役割を担う。
一般に、高分子乳化剤は、疎水性成分を水媒体中で乳化する役割をもち、そのために、親水性部分と疎水性部分とを有することが必須である。
アクリル系共重合体(B)は、親水性部分としてCOOH基を有している。COOH基を有するアクリル系共重合体(B)は、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を必須成分として含有するエチレン性不飽和モノマー(b)を共重合してなるものである。COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)は、共重合に供されるモノマー100重量%中少なくとも10重量%以上含まれることが好ましく、20〜50重量%含まれることがより好ましい。
また、COOH基を有するアクリル系共重合体(B)は、疎水性部分を有することが好ましい。そこで、芳香環を有するエチレン性不飽和モノマーもしくは炭素原子数6以上のアルキル鎖を有するエチレン性不飽和モノマーを共重合成分に有することが好ましい。
塊状重合は一般に高温で重合するため、その重合温度でCOOH基以外に架橋反応し得る官能基をもつエチレン性不飽和モノマー(b2)を用いれば、重合時ゲル化が起こり、合成できない。
COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)としては、上記エチレン性不飽和モノマー(A1)の場合と同様ものが例示できる。
例えば、COOH基以外の架橋反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマー、グリシジルメタクリレート、カレンズMOI(昭和電工製)が例示できる。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)の酸価は、20〜400(mgKOH/g)であることが好ましく、100〜300(mgKOH/g)であることがより好ましい。酸価が20(mgKOH/g)よりも小さいと、乳化力が低下する傾向にあり、重合時のブツや沈降物の原因となり易い。酸価が400(mgKOH/g)よりも大きい場合も同様である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、30〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃未満だと、缶の中に収容される飲料物の香りや味が変わり易い。一方、ガラス転移温度が、100℃を超えると塗膜の加工性が低下する傾向にある。
モノマーエマルジョン(1)は、上記したようにエチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルを含有しない被乳化成分(A)、アクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有する。(A)〜(D)を一気に混合することもできるが、アクリル系共重合体(B)をあらかじめ塩基性化合物(C)で中和させて、水(D)に溶解ないし分散させておき、この中和水溶液ないし分散体で被乳化成分(A)を乳化することが好ましい。(A)〜(D)は、通常の方法で攪拌するにより、乳化することもできるし、高速で攪拌したり、シェアをかけたりすることにより、乳化しても良い。
また、 塩基性化合物(C)の量は、アクリル系共重合体(B)中のCOOH基の全部ではなく一部を中和し得ることが好ましい。具体的には、塩基性化合物(C)は、アクリル系共重合体(B)中のCOOH基100モル%に対して、30〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましい。
アクリル系共重合体(E)は、アクリル系共重合体(B)と同様に被乳化成分(A)に対し、乳化剤成分として機能するものである。アクリル系共重合体(B)は、モノマーエマルジョン(1)の形成時、及び重合中並びに重合後のポリマーエマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、本発明において必須の成分である。一方、アクリル系共重合体(E)は、主として重合中並びに重合後のポリマーエマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、このアクリル系共重合体(E)を補助的に併用することによって、ポリマーエマルジョンの乳化、分散状態をより安定に保つことができる。アクリル系共重合体(E)を用いる場合、アクリル系共重合体(B)と同様にCOOH基の一部を塩基性化合物で中和したものを用いることが好ましい。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)が20〜100重量部のときは、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計は、20〜300重量部であることが好ましく、30〜200重量部であることがさらに好ましい。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)が1〜5重量部のときは、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、2〜20重量部であることが好ましく、また、被乳化成分(A)100重量部に対して、アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計は、5〜300重量部であることが好ましく、10〜200重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(E)との合計が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
また、被乳化成分(A)100重量部に対して、水(D)は、50〜500重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(E)が5重量部より少ない場合、被乳化成分(A)や重合後のポリマーが乳化されにくくなり易い。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるアクリル系共重合体(E)が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(E)が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
ポリマーエマルジョン(3)は、モノマーエマルジョン(1)を、水(G)の存在下に、ポリマーエマルジョン(4)は、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)の存在下に、それぞれラジカル重合してなるものである。
例えば、水(G)、またはアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を入れた反応容器に、モノマーエマルジョン(1)を添加することによって得ることができる。重合開始剤は、反応容器内に入れておいてもよいし、モノマーエマルジョン(1)内に入れておいてもよいし、あるいはモノマーエマルジョン(1)とは別に反応容器内に添加してもよい。
用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ポリマーエマルジョン(5)は、モノマー(A1)を、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)の存在下にラジカル重合してなるものである。
例えば、アクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を入れた反応容器に、モノマー(A1)を添加することによって得ることができる。重合開始剤は、反応容器内に入れておいてもよいし、モノマー(A1)内に入れておいてもよいし、あるいはモノマー(A1)とは別に反応容器内に添加してもよい。
用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ポリマーエマルジョン(3)〜(5)の分散粒子の不均一な構造故に、焼付け後の硬化塗膜も完全に均一な構造にはなりにくいと考えられ、被乳化成分(A)に由来する樹脂成分の多い部分と、アクリル系共重合体(B)、(E)の多い部分とが局所的に存在すると考えられる。
本発明の水性塗料組成物は、上記ポリマーエマルジョン(3)〜(5)の少なくとも1種とフェノール樹脂(6)とを含有するものである。
フェノール樹脂(6)は、自己架橋反応する他、ポリマーエマルジョン(3)〜(5)を構成する高分子乳化剤であるアクリル系共重合体(B)や(E)中のCOOH基、そして被乳化成分(A)がCOOH基を有する場合にはこのCOOH基と反応、硬化し、硬化塗膜を形成する。
また、上記したように被乳化成分(A)のうち、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド系モノマーを含有する場合には、これらアミド系モノマーに由来する官能基が自己架橋したり、フェノール樹脂(6)とも架橋反応したりする。なお、これらアミド系モノマーを使用せず、アクリル系共重合体(B)や(E)がアミド系モノマーを共重合組成に含まなければ、アマイドフリーの水性塗料組成物を得ることもできる。
フェノール樹脂を用いる場合には、複合樹脂100重量部に対して、フェノール樹脂は1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがより好ましい。
耐圧反応容器にモノマー400gを入れて、密閉した状態で、250℃で加熱攪拌しながら、40分間重合し、数平均分子量10000、ガラス転移音素約38℃、酸価255(mgKOH/g)の固形のアクリル系共重合体(B−1)を得た。なお、モノマー組成は、スチレン40%、エチルアクリレート22%、メタクリル酸38%とした。
その後、ジメチルアミノエタノールを157.3g加え、その後水を加えて、アクリル系共重合体(B−1)の固形分25%の水溶液を得た。
耐圧反応容器に圧力釜に150℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマー400gを入れて合成を行った。モノマー組成は、スチレン27%、エチルアクリレート15%、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド20%、メタクリル酸38%とした。しかし、反応途中でゲル化した。
スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8g、[合成例1]で得た固形分25%のアクリル系共重合体(B−1)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−1)を得た。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、55℃である。
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマーエマルジョン(M−1)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−1)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−1)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
スチレン85g、エチルアクリレート40g、[合成例1]で得た固形分25%のアクリル系共重合体(B−1)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−1)を得た。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、50℃である。
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、モノマーエマルジョン(M−1)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−2)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−1)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
反応容器に、固形分25%アクリル系共重合体(B−1)水溶液250gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気下に、スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8gと過硫酸カリウム0.5gを、別々に2時間かけて滴下した。尚、上記モノマーから求められる共重合体のガラス転移温度は、55℃である。
滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のポリマーエマルジョン(PE−3)を得た。
このポリマーエマルジョン(PE−3)20gに、フェノール樹脂として昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%溶液)1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
実施例1で得たポリマーエマルジョン(PE−1)に、フェノール樹脂を加えなかった以外は実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。
実施例1、比較例1、2で得た各塗料を用い、アルミ板にバーコーター#18で塗工し、ガスオーブンを用い雰囲気温度200℃で2分間焼き付け、評価用テストパネルを得て、以下のようにして塗膜の性能を評価した。結果を表1に示す。各評価の方法を以下に説明する。
<外観>テストパネルを目視で評価する。
○:問題なし
△:ややブツあるいは発泡あり
×:著しくブツあるいは発泡あり
◎:200回以上
○:100回以上200回未満
△:50回以上100回未満
×:50回未満
○:0〜2mm未満
△:2mm以上〜6mm未満
×:6mm以上
○:全く剥離なし
△:少し剥離
×:著しく剥離
○:問題なし
△:やや白化
×:著しく白化
○:0個
○:1〜5個
△:6〜39個
×:40個以上
◎+:0.5mA未満
◎ :0.5mA以上〜1.5mA未満
○+:1.5mA以上〜3.0mA未満
○ :3.0mA以上〜5.0mA未満
△ :5.0mA以上〜15.0mA未満
× :15.0mA以上
◎:無味
○:僅かに味がする
△:味がする
×:かなり味がする
Claims (8)
- エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
水(G)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(3)、及びフェノール樹脂(6)
を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物。 - エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合してなるガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を、
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合してなるアクリル系共重合体(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶 液ないしエマルジョン(2)の存在下に、
ラジカル重合してなるポリマーエマルジョン(4)、及びフェノール樹脂(6)
を含有することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物。 - エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。
- エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有せず、
かつ、
エチレン性不飽和モノマー(b)及び(e)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないことを特徴とする請求項項1ないし3いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。 - 缶内面被覆用であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物。
- 請求項1ないし5いずれか記載の被覆缶用水性塗料組成物で、缶内面を被覆してなることを特徴とする被覆缶。
- COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共 重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A)を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
該モノマーエマルジョン(1)を水に滴下し、上記モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(3)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法。 - COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(b)を塊状重合し、ガラス転移温度が30〜100℃のアクリル系共重合体(B)を得、該アクリル系共重合体(B)を塩基性化合物(C)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体を得、
該アクリル系共重合体(B)の水溶液ないし水性分散体の存在下に、エチレン性不飽和モノマー(A1)を含有し、ポリエステルは含有しない被乳化成分(A) を、水に分散し、モノマーエマルジョン(1)を得、
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー(e1)を含有し、COOH基以外の架橋性官能基を有するエチレン性不飽和モノマー(e2)を含有しないエチレン性不飽和モノマー(e)を塊状重合し、アクリル系共重合体(E)を得、該アクリル系共重合体(E)を塩基性化合物(F)の存在下に水に溶解ないし分散せしめ、アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体を得、
前記モノマーエマルジョン(1)を、前記アクリル系共重合体(E)の水溶液ないし水性分散体に滴下し、モノマー(A1)を重合してなるポリマーエマルジョン(4)とフェノール樹脂(6)とを混合することを特徴とする被覆缶用水性塗料組成物の製造方法。
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