JP4591653B2 - 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物 - Google Patents

複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4591653B2
JP4591653B2 JP2003289701A JP2003289701A JP4591653B2 JP 4591653 B2 JP4591653 B2 JP 4591653B2 JP 2003289701 A JP2003289701 A JP 2003289701A JP 2003289701 A JP2003289701 A JP 2003289701A JP 4591653 B2 JP4591653 B2 JP 4591653B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooh group
water
group
monomer
cooh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003289701A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005060460A (ja
Inventor
譲司 三上
博美 石井
順一 青木
州弘 乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2003289701A priority Critical patent/JP4591653B2/ja
Publication of JP2005060460A publication Critical patent/JP2005060460A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4591653B2 publication Critical patent/JP4591653B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、エチレン性不飽和モノマーとポリエステルとを含有する被乳化成分、COOH基を有するアクリル系共重合体及びCOOH基を有するポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH基含有成分、塩基性化合物及び水を含有するモノマーエマルジョンを、水の存在下にラジカル重合してなる複合樹脂エマルジョンを含有する水性塗料組成物に関する。詳しくは、衛生性、耐煮沸性に優れ、臭気吸着性能が低く、加工性、密着性に優れる水性塗料組成物に関し、さらに詳しくは飲料や食品を収容する缶の内面被覆に好適に用いられる水性塗料組成物及びにそれを用いて缶内面を被覆してなる被覆缶に関する。
ビスフェノールA(以下BPAと略す)とエピクロルヒドリンとを原料として合成されるBPA型エポキシ樹脂は、耐煮沸性、加工性、密着性に優れた塗膜を形成する機能を有することから、缶内外面被覆用塗料に好適に用いられている。
缶内面被覆用水性塗料には、従来から、BPA型エポキシ樹脂をアクリル樹脂で変性し、カルボキシル基などを分子中に導入した水分散型アクリル変性エポキシ樹脂が主にして使用されている。
BPA型エポキシ樹脂以外で、BPA型エポキシ樹脂と同等の加工性、密着性を持つ樹脂として、乳化重合により合成したエマルジョン型アクリル樹脂がある。乳化重合で合成したエマルジョン型アクリル樹脂は、一般に非常に高分子量になることが知られており、樹脂が高分子量になることで、加工性、密着性が得られると考えられる。
しかし、一般に乳化重合には界面活性剤が用いられるので、硬化塗膜中に界面活性剤が含まれることとなる。この界面活性剤が硬化塗膜の耐レトルト性悪化の原因となるので、現状では、乳化重合により合成したエマルジョン型アクリル樹脂を缶内面被覆用塗料に使用するには至っていない。
耐レトルト性悪化の原因である界面活性剤を用いずに、その代わりにカルボキシル基をもつアクリル系共重合体を塩基性化合物で中和させて水に溶解ないし分散させ、その水溶液ないし水性分散体を用いる方法が、提案された(特許文献1:特開2002−155234号公報参照)。即ち、特許文献1には、上記水溶液ないし水性分散体にの存在下に、エチレン性不飽和単量体の水性分散体を重合してなる、ソープフリー型アクリル樹脂エマルジョンが缶用水性塗料組成物に用い得る旨記載されている。特許文献1に記載される缶用水性塗料組成物は、加工性、密着性、耐レトルト性に優れる塗膜を形成し得る。
しかし、特許文献1に記載される缶用水性塗料組成物から加工性に富む塗膜を形成するためには、ガラス転移温度の低い成分で塗膜を形成する必要があった。その結果、形成される硬化塗膜が、飲料物に含まれる水以外の低分子成分を吸着してしまい、飲料物の香りや味を変えてしまうという問題があった。
他方、ガラス転移温度の高い成分を使用すると、塗膜の吸着性能は低くなり、香りや味の変化は抑えられる。しかし、硬化塗膜の加工性が損なわれる。
特開2002−155234号公報
本発明の課題は、BPA由来の構成成分を全く用いず、焼付け後の硬化塗膜の耐煮沸性を悪化させる界面活性剤を実質的に用いずに、加工性、密着性に優れ、かつ飲料物の香り、味の変化を引き起こさない、塗膜を形成し得る缶内面被覆用水性塗料組成物及びそれを用いて缶内面を被覆してなる被覆缶を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、界面活性剤を用いずに、カルボキシル基をもつアクリル系共重合体もしくはポリエステルを高分子乳化剤として、塩基性化合物で中和することにより水に溶解ないし分散させ、乳化される成分としてアクリルモノマーだけでなく、アクリルモノマーにポリエステルを加えたものを用いて、乳化重合を行うことにより得られる複合樹脂エマルジョンが、衛生性に優れ、加工性、密着性に優れ、かつ飲料物の香り、味の変化を引き起こさない、缶内面被覆用水性塗料組成物を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第1の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)及びCOOH基を有するポリエステル(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を製造する工程、
水(G)の存在下に、得られたモノマーエマルジョン(1)を滴下しラジカル重合することで複合樹脂エマルジョンを製造する工程、
を含むことを特徴とする缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第2の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)及びCOOH基を有するポリエステル(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を製造する工程、
COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)及びCOOH基を有するポリエステル(E2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶液ないしエマルジョン(2)の存在下に、得られたモノマーエマルジョン(1)を滴下しラジカル重合することで複合樹脂エマルジョンを製造する工程、
を含むことを特徴とする缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第3の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第4の発明は、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)の少なくとも一方が、N−アルコキシアルキ ル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有するモノマーを共重合してなる共重合体であることを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第5の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)との重量比が、(A1)/(A2)=99/1〜10/90であることを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第6の発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)との合計100重量部に対して、
COOH基含有成分(B)と必要に応じて用いられるCOOH含有成分(E)との合計が1〜300重量部を含有することを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第7の発明は、COOH基含有成分(B)とCOOH含有成分(E)とが、(B)/(E)=10/0〜2/8(重量比)であることを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第8の発明は、ポリエステル(A2)が、エチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第9の発明は、塩基性化合物(C)が、COOH基含有成分(B)中のCOOH基の一部を中和し得ることを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
第10の発明は、フェノール樹脂、アミノ樹脂及び下記式(1)もしくは(2)で示されるトリメリット酸エステル無水物からなる群より選ばれる少なくとも1 種の成分を有することを特徴とする上記いずれかの発明の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法である。
Figure 0004591653
Figure 0004591653
11の発明は、上記の製造方法により得られた缶内面被覆用水性塗料組成物で、缶内面を被覆してなることを特徴とする被覆缶である。
本発明より、衛生性に優れ、加工性、密着性に優れ、かつ飲料物の香り、味の変化を引き起こさない塗膜を形成し得る缶内面被覆用水性塗料組成物を提供することができる。
まず、被乳化成分(A)について説明する。
被乳化成分(A)は、後述するCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)及びCOOH基を有するポリエステル(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH基含有成分(B)を塩基性化合物(C)で中和させて水(D)に溶解ないし分散させたものによって、乳化される成分である。即ち、被乳化成分(A)とCOOH基含有成分(B)と塩基性化合物(C)と水(D)とがモノマーエマルジョン(1)を形成し、このモノマーエマルジョン(1)を水(G)の存在下にラジカル重合することにより、本発明の水性塗料組成物の主成分たる複合樹脂エマルジョンが得られる。
被乳化成分(A)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する。
そこで、エチレン性不飽和モノマー(A1)について説明する。
エチレン性不飽和モノマー(A1)には、通常の乳化重合を行う際、乳化される成分であるエチレン性不飽和モノマーと同等のものを用いることができる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)の例としては、
(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、
スチレン、メチルスチレン等の芳香族系モノマー、
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマー(A1)としては、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド系モノマー、及びCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することによって、被乳化成分(A)をラジカル重合してなる複合樹脂に架橋性官能基を導入することができる。架橋性官能基を導入によって、塗膜の硬化性、またその他の物性がより向上するので好ましい。
なお、エチレン性不飽和モノマー(A1)として、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないエチレン性不飽和モノマー(A1)を用い、かつ後述するCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)としても上記のようなアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を含有しないものを用いればアマイドフリーの複合樹脂エマルジョンを得ることもできる。
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和モノマー(A1)100重量%中に、多くとも20重量%以下であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーは、親水性が高いために乳化されにくく、これが多すぎる場合には、重合時のブツの原因となり易いからである。
エチレン性不飽和モノマー(A1)は、該モノマー(A1)から形成され得る重合体のガラス転移温度が30〜100℃となるようなものを用いることが好ましく、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となるようなものを用いることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃未満の重合体を形成し得るようなエチレン性不飽和モノマー(A1)を用いて形成される複合樹脂エマルジョンを飲料缶等の内面被覆に使用すると、内容物の香りや味を吸着してしまい易い。他方、ガラス転移温度が100℃を超える重合体を形成し得るようなエチレン性不飽和モノマー(A1)を用いて形成される複合樹脂エマルジョンの場合は、塗膜の加工性が劣る傾向にある。
尚、エチレン性不飽和モノマー(A1)から形成され得る重合体のガラス転移温度は、各モノマーからそれぞれ形成され得る各ホモポリマーのガラス転移温度と、重合に供されるエチレン性不飽和モノマー(A1)の組成比とから常法に従って計算によって求められる。
次に、ポリエステル(A2)について説明する。
ポリエステル(A2)も、エチレン性不飽和モノマー(A1)と同様、後述するCOOH基含有成分(B)によって乳化される成分である。
ポリエステル(A2)の役割を以下に述べる。
ポリエステル(A2)を用いずに、エチレン性不飽和モノマー(A1)のみをCOOH基含有成分(B)で乳化し、水性媒体中でラジカル重合した場合、加工性、密着性、耐煮沸性に優れる塗膜を形成しようとすると、反面飲料物の香り、味の変化を引き起こしてしまう。ポリエステル(A2)をエチレン性不飽和モノマー(A1)と併用すると、飲料物の香りや味の変化を生じさせずに、加工性等に優れる塗膜が得られる。
即ち、飲料物の香りや味の変化を生じさせないように、比較的高いガラス転移温度の共重合体を形成し得るエチレン性不飽和モノマー(A1)を用いつつ、エチレン性不飽和モノマー(A1)の共重合体よりも一般に加工性に優れるポリエステルを併用することにより、吸着低減と加工性向上とを共に満足することができる。
ポリエステル(A2)は、常法に従いグリコール成分と酸成分を反応させることによって得られる。
グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
酸成分としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、(無水)マレイン酸、(無水)トリメリット酸等が挙げられる。
なお、上述した酸成分とモノアルコールとのエステル化物を酸成分として用いることもできる。この例としては、テレフタル酸のメタノールとのエステル化物であるジメチルフタル酸等が挙げられる。
ポリエステル(A2)を構成するグリコール成分、酸成分のうち、少なくともいずれか一方にエチレン性不飽和二重結合を有するものを用いると、ポリエステル(A2)にエチレン性不飽和二重結合を導入することができる。エチレン性不飽和二重結合を有するポリエステル(A2)を用いると、後述するラジカル重合時に、ポリエステル(A2)がエチレン性不飽和モノマー(A1)とも共重合する。
さらに、ポリエステル(A2)として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエステルを用いれば、ラジカル重合時、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とが架橋し得る。即ち、複合樹脂エマルジョンを構成する分散粒子が、粒子内架橋構造を有することとなり、塗膜の硬化性、また硬化塗膜の物性がより向上する。
ポリエステル(A2)は、数平均分子量800〜10000であることが好ましく、数平均分子量1000〜5000であることがより好ましい。数平均分子量が800よりも小さいと、塗膜の加工性が不十分となり易い。
ポリエステル(A2)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とともに乳化されるので、エチレン性不飽和モノマー(A1)との相溶性が良いことが好ましい。ポリエステル(A2)の数平均分子量が10000よりも大きいとエチレン性不飽和モノマー(A1)との相溶性が悪化し易くなり、ポリエステル(A2)が乳化されにくくなり、重合時のブツや沈降物の原因となりなり易い。
エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)との重量比は、(A1)/(A2)=99/1〜10/90であるが好ましく、90/10〜60/40であることがより好ましい。
エチレン性不飽和モノマー(A1)が、被乳化成分(A)100重量%中に99重量%よりも多く含まれると、ポリエステル(A2)が相対的に少なすぎるため、加工性の向上があまり期待できない。一方、エチレン性不飽和モノマー(A1)が10重量%未満の場合、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)からなる被乳化成分(A)の重合性が乏しくなり得、また被乳化成分(A)自体がモノマーエマルジョン(1)を形成し難くなる。
次に、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)について説明する。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを乳化する、高分子乳化剤としての役割を担う。
一般に、高分子乳化剤は、疎水性成分を水媒体中で乳化する役割をもち、そのために、親水性部分と疎水性部分とを有することが必須である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、親水性部分としてCOOH基を有している。COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーを共重合してなものである。COOH基を有するエチレン性不飽和モノマーは、共重合に供されるモノマー100重量%中少なくとも10重量%以上含まれることが好ましく、20〜50重量%含まれることがより好ましい。
また、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、疎水性部分を有することが好ましい。そこで、芳香環を有するエチレン性不飽和モノマーもしくは炭素原子数6以上のアルキル鎖を有するエチレン性不飽和モノマーを共重合成分に有することが好ましい。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、通常の方法で溶剤中で溶液重合によって得ることができ、可能であれば、水媒体中での重合による合成や、塊状重合による合成も可能である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)の共重合成分であるCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸が挙げられる。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)が、COOH基以外に架橋反応性の官能基をもたない場合、アクリル系共重合体(B1)は塊状重合によって合成することができる。
一般に、乳化重合は溶剤の存在しない状態で行うことが多く、溶剤が存在しても、系全体中の溶剤の割合があまり多くないほうが好ましい場合が多い。溶剤の割合が多い場合、重合の転化率が悪くなったり、物性が悪くなったりする場合がある。
故に、被乳化成分(A)を乳化重合する際に、溶液重合によって得たアクリル系共重合体(B1)を高分子乳化剤として用いるためには、アクリル系共重合体(B1)重合時の溶剤を留去しておく必要がある場合が多い。溶剤留去は、コストの上昇につながる。
そこで、溶剤不存在下でアクリル系共重合体(B1)を塊状重合によって合成できれば、その後の工程で溶剤を留去する必要がなくなり、コストを削減することができる。
塊状重合は一般に高温で重合するため、その重合温度で架橋反応し得る官能基をもつアクリルモノマーを用いれば、重合時ゲル化が起こり、合成できない。
COOH基を有するエチレン性不飽和モノマー以外に、架橋性の官能基を有するモノマーを用いなければ、塊状重合時に架橋反応が生じない。従って、このような場合、ゲル化することなく有機溶剤を用いずにモノマーを重合させることができ、コストの低減にも寄与することができる。
また、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)を構成し得るCOOH基を有するエチレン性不飽和モノマー以外の成分としては、上記エチレン性不飽和モノマー(A1)と同様ものが例示できる。
例えば、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有するモノマーを共重合してなる共重合体であることもできる。
N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーは、硬化塗膜を形成する際に自己架橋反応したり、後述するフェノール樹脂等とも架橋できる。また、これらは、(メタ)アクリルアミドとも架橋反応を行う。
これにより、硬化塗膜の硬化性、またその他の物性がより向上する。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)は、数平均分子量2000〜30000であることが好ましく、数平均分子量5000〜20000であることがより好ましい。数平均分子量が2000よりも小さいと、乳化力が低下する傾向にあり、重合時のブツや沈降物の原因となり易い。数平均分子量が30000よりも大きい場合も同様である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)の酸価は、20〜400(mgKOH/g)であることが好ましく、100〜300(mgKOH/g)であることがより好ましい。酸価が20(mgKOH/g)よりも小さいと、、乳化力が低下する傾向にあり、重合時のブツや沈降物の原因となり易い。酸価が400(mgKOH/g)よりも大きい場合も同様である。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)のガラス転移温度は、30〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃未満だと、缶の中に収容される飲料物の香りや味が変わり易い。一方、ガラス転移温度が、100℃を超えると塗膜の加工性が低下する傾向にある。
次にCOOH基を有するポリエステル(B2)について説明する。
COOH基を有するポリエステル(B2)も、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)同様、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを乳化する、高分子乳化剤としての役割を担う。
COOH基を有するポリエステル(B2)は、高分子乳化剤として必要な親水性部分としてCOOH基を有している。
COOH基を有するポリエステル(B2)は、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)と同様の数平均分子量、酸価、ガラス転移温度を有することが好ましい。
COOH基を有するポリエステル(B2)は、ポリエステル(A2)と同様にグリコール成分と酸成分とを常法に従い反応させて得ることができる。
次にモノマーエマルジョン(1)について説明する。
モノマーエマルジョン(1)は、上記したようにエチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)、COOH基含有成分(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有する。(A)〜(D)を一気に混合することもできるが、COOH基含有成分(B)をあらかじめ塩基性化合物(C)で中和させて、水(D)に溶解ないし分散させておき、この中和水溶液ないし分散体で被乳化成分(A)を乳化することが好ましい。(A)〜(D)は、通常の方法で攪拌するにより、乳化することもできるし、高速で攪拌したり、シェアをかけることにより、乳化しても良い。
また、塩基性化合物(C)の量は、COOH基含有成分(B)中のCOOH基の全部ではなく一部を中和し得ることが好ましい。具体的には、塩基性化合物(C)は、COOH基含有成分(B)中のCOOH基100モル%に対して、30〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましい。
本発明で用いられる塩基性化合物(C)としては、ジメチルアミノエタノールのようなアミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
本発明は、エチレン性不飽和モノマー(A1)及びポリエステル(A2)を被乳化成分(A)とするので、エチレン性不飽和モノマー(A1)のみを被乳化成分とする場合に比して、モノマーエマルジョン(1)を形成し難い。即ち、COOH基含有成分(B)と塩基性化合物(C)と水(D)との混合物を、エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)と混合し、通常の方法で攪拌しただけでは、うまく乳化させることができないこともある。
そのような場合には、高速で攪拌したり、シェアをかけ撹拌し、強制的に乳化することが好ましい。このモノマーエマルジョン(1)の段階で、安定した乳化状態を確保できないと、重合時にブツが発生したり、沈降したりし易くなる。
尚、乳化を補助する目的で溶剤を加えることもできる。一般に、乳化重合は溶剤の存在しない状態で行うことが多いが、ある特定の溶剤は、乳化を補う役割をすることがある。
次に、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)及びCOOH基を有するポリエステル(E2)からなる群より選ばれる1種以上のCOOH基含有成分(E)について説明する。
COOH基含有成分(E)は、COOH基含有成分(B)と同様に被乳化成分(A)に対し、乳化剤成分として機能するものである。COOH基含有成分(B)は、モノマーエマルジョン(1)の形成時、及び重合中並びに重合後の複合樹脂エマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、本発明において必須の成分である。一方、COOH基含有成分(E)は、主として重合中並びに重合後の複合樹脂エマルジョンにとって、乳化剤成分として機能するものであり、このCOOH基含有成分(E)を補助的に併用することによって、複合樹脂エマルジョンの乳化、分散状態をより安定に保つことができる。COOH基含有成分(E)を用いる場合、COOH基含有成分(B)と同様にCOOH基の一部を塩基性化合物で中和したものを用いることが好ましい。
COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)としては、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)と同様のものを挙げることができる。
塊状重合で得るには適さないが、後述する理由によってCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)の少なくとも一方が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有するモノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
また、COOH基を有するポリエステル(E2)としては、COOH基を有するポリエステル(B2)と同様のものを挙げることができる。
COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)とCOOH基を有するアクリル系共重合体(E1)とを併用することもできるし、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)とCOOH基を有するポリエステル(E2)を併用することもできるし、COOH基を有するポリエステル(B2)とCOOH基を有するアクリル系共重合体(E1)とを併用することもできるし、COOH基を有するポリエステル(B2)とCOOH基を有するポリエステル(E2)とを併用することもできる。
被乳化成分(A)100重量部に対して、COOH基含有成分(B)と必要に応じて用いられるCOOH基含有成分(E)との合計は、1〜300重量部であることが好ましく、10〜200重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
被乳化成分(A)100重量部に比して、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が1重量部より少ない場合、被乳化成分(A)が、乳化されにくくなり得る。また、被乳化成分(A)100重量部に対して、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部より多い場合、焼き付け硬化後の塗膜の加工性の向上があまり期待できない。被乳化成分(A)は、ラジカル重合によって、非常に高分子量になる成分であり、これが硬化塗膜の加工性の向上に寄与することとなる。従って、乳化剤成分たるCOOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)との合計が300重量部よりも多くなると、相対的に被乳化成分(A)が少なくなり、その結果硬化塗膜の加工性の向上があまり期待できなくなる。
また、COOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)とは、(B)/(E)=10/0〜2/8(重量比)であることが好ましく、9/1〜5/5(重量比)であることが好ましく、8/2〜6/4(重量比)であることがより好ましい。COOH基含有成分(B)が相対的に少ないと、モノマーエマルジョン(1)の分散安定性が損なわれやすい。
次に複合樹脂エマルジョンについて説明する。
複合樹脂エマルジョンは、モノマーエマルジョン(1)を水(G)の存在下に、またはCOOH基含有成分(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)の存在下に、ラジカル重合してなるものである。
例えば、水(G)、またはCOOH基含有成分(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を入れた反応容器に、モノマーエマルジョン(1)を添加することによって得ることができる。重合開始剤は、反応容器内に入れておいてもよいし、モノマーエマルジョン(1)内に入れておいてもよいし、あるいはモノマーエマルジョン(1)とは別に反応容器内に添加してもよい。
用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ポリエステル(A2)を含む被乳化成分(A)をラジカル重合することにより、エチレン性不飽和モノマー(A1)から形成される重合体とポリエステル(A2)とが混然一体化し、エチレン性不飽和モノマー(A1)から形成される重合体とポリエステル(A2)とが複合化したことによって、全体がさらに高分子量化し、加工性が向上すると共に香気成分等の吸着も低減できたものと考えられる。
そして、複合樹脂エマルジョンは、被乳化成分(A)から構成される樹脂成分とCOOH基含有成分(B)、(E)とが不均一な構造の複合樹脂を形成しつつ、全体としては安定した分散状態を呈するものと考えられる。即ち、被乳化成分(A)から構成される樹脂成分の多い部分と、COOH基含有成分(B)、(E)の多い部分とが局所的に存在するものと考察される。
複合樹脂エマルジョンの分散粒子の不均一な構造故に、焼付け後の硬化塗膜も完全に均一な構造にはなりにくいと考えられ、被乳化成分(A)に由来する樹脂成分の多い部分と、COOH基含有成分(B)、(E)の多い部分とが局所的に存在すると考えられる。
被乳化成分(A)のうち、エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有する場合には、被乳化成分(A)に由来する樹脂成分の多い部分を硬化、架橋させることができる。
また、COOH基含有成分(B)、(E)として、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを共重合成分としてなるCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、(E1)を用いると、これら高分子乳化剤成分が局所的に集中している部分を効果的に硬化・架橋することができる。
次に、本発明の水性塗料組成物の硬化・架橋について説明する。
水性塗料組成物から硬化塗膜を形成するには、焼付け時に、硬化・架橋反応が起こることが重要であるが、様々な態様が可能である。
被乳化成分(A)に含まれるポリエステル(A2)がOH基を有する場合には、乳化剤であるCOOH基含有成分(B)やCOOH基含有成分(E)中COOH基とが、エステル化反応し得る。
また、上記したように被乳化成分(A)のうち、エチレン性不飽和モノマー(A1)がアミド系モノマーを含有したり、アクリル系共重合体(B1)、(E1)がアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を有する場合には、これらが相互に硬化・架橋したり、自己架橋したりする。
本発明の水性塗料組成物は、上記した複合樹脂エマルジョンの他にフェノール樹脂、アミノ樹脂、トリメリット酸エステル無水物等の硬化剤を1種又は2種以上含有することができる。
フェノール樹脂は、自己架橋反応する他、COOH基含有成分(B)、(E)中のCOOH基とも反応し得る。また、被乳化成分(A)やCOOH基含有成分(B)、(E)がOH基を有する場合には、フェノール樹脂は、これら水酸基とも反応し得る。さらに、エチレン性不飽和モノマー(A1)がアミド系モノマーを含有したり、アクリル系共重合体(B1)、(E1)がアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を有する場合には、フェノール樹脂は、これら架橋性官能基とも反応し得る。
本発明において用いられるフェノール樹脂としては、メタクレゾール骨格のもの、パラクレゾール骨格のもの等が、メタクレゾール骨格のものが好ましい。
フェノール樹脂を用いる場合には、複合樹脂100重量部に対して、フェノール樹脂は1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがより好ましい。
例えば、エチレン性不飽和モノマー(A1)として、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないエチレン性不飽和モノマー(A1)を用い、かつCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)としても上記のようなアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を含有しないものを用いればアマイドフリーの複合樹脂エマルジョンを得ることができる。
そして、複合樹脂エマルジョンを得る際にポリエステル(A2)としてエチレン性不飽和二重結合を有するものを用い、得られた複合樹脂エマルジョンにさらにフェノール樹脂を硬化剤として配合すれば、加工性に優れる塗膜を形成し得、アマイドフリーでかつ硬化性に優れる水性塗料組成物を提供できる。
硬化剤として用い得るアミノ樹脂について説明する。
アミノ樹脂は、自己架橋反応する他、被乳化成分(A)やCOOH基含有成分(B)、(E)がOH基を有する場合には、アミノ樹脂は、これら水酸基とも反応し得る。さらに、エチレン性不飽和モノマー(A1)がアミド系モノマーを含有したり、アクリル系共重合体(B1)、(E1)がアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を有する場合には、アミノ樹脂は、これら架橋性官能基とも反応し得る。
本発明において用いられるアミノ樹脂としては、ベンゾグアナミン骨格、メラミン骨格、尿素骨格等種々の骨格のものが挙げられ、ベンゾグアナミン骨格のものが好ましい。
アミノ樹脂を用いる場合には、複合樹脂100重量部に対して、アミノ樹脂は1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがより好ましい。
本発明においては、下記式(1)もしくは(2)に示されるトリメリット酸エステル無水物も硬化剤として用いることができる。
これらトリメリット酸エステル無水物は、被乳化成分(A)やCOOH基含有成分(B)、(E)がOH基を有する場合に、これら水酸基と反応し得る。
下記式(1)で示されるトリメリット酸エステル無水物は、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、下記式(2)で示されるトリメリット酸エステル無水物は、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテートであり、下記式(1)で示されるエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートがより好ましい。
式(1)で示される無水物は、新日本理化(株)より,リカシッド TMEG−X(但し、Xは,100,200,500,600)、また式(2)で示される無水物は、同様に新日本理化(株)より,リカシッド TMA−X(但し、XはCまたは10,および15)としてとして入手することができる。
Figure 0004591653
Figure 0004591653
例えば、エチレン性不飽和モノマー(A1)として、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを含有しないエチレン性不飽和モノマー(A1)を用い、かつCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)としても上記のようなアミド系モノマーに由来する架橋性官能基を含有しないものや、COOH基を有するポリエステル(B2)、(E2)を用いれば、アマイドフリーかつホルマリンフリーの複合樹脂エマルジョンを得ることができる。
そして、複合樹脂エマルジョンを得る際にポリエステル(A2)としてエチレン性不飽和二重結合を有するものを用い、得られた複合樹脂エマルジョンにさらに上述のトリメリット酸エステル無水物を硬化剤として配合すれば、加工性に優れる塗膜を形成し得、アマイドフリー、ホルマリンフリーでかつ硬化性に優れる水性塗料組成物を提供できる。
以下に合成例、比較合成例、実施例、比較例により本発明を説明する。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ表す。
[合成例1]COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−1)の合成
反応容器にn−ブタノールを400g仕込み、90℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマー400gとBPO12gの混合物を4時間かけて滴下して、合成を行った。モノマー組成は、スチレン40%、エチルアクリレート22%、メタクリル酸38%とした。滴下終了後1時間ごとに2回、さらにBPOを2.4gずつ加え、数平均分子量約10000、ガラス転移温度約38℃、酸価255(mgKOH/g)のCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1−1)の固形分50%溶液を得た。
その後、ジメチルアミノエタノールを79.1g加え、その後水を加えて、減圧して、水とブタノールを共沸させ、ブタノールを完全に留去した。
これにより、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−1)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例2]COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−2)の合成
反応容器にn−ブタノールを400g仕込み、90℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマー400gとBPO12gの混合物を4時間かけて滴下して、合成を行った。モノマー組成は、スチレン27%、エチルアクリレート15%、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド20%、メタクリル酸38%とした。滴下終了後1時間ごとに2回、さらにBPOを2.4gずつ加え、数平均分子量約10000、ガラス転移温度約38℃、酸価255(mgKOH/g)のCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1−2)の固形分50%溶液を得た。
その後、ジメチルアミノエタノールを79.1gを加え、その後水を加えて、減圧して、水とブタノールを共沸させ、ブタノールを完全に留去した。
これにより、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−2)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例3]COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−3)の合成
反応容器にn−ブタノールを400g仕込み、90℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマー400gとBPO12gの混合物を4時間かけて滴下して、合成を行った。モノマー組成は、スチレン30%、エチルアクリレート32%、メタクリル酸38%とした。滴下終了後1時間ごとに2回、さらにBPOを2.4gずつ加え、数平均分子量約10000、ガラス転移温度約38℃、酸価255(mgKOH/g)のCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1−3)の固形分50%溶液を得た。
その後、ジメチルアミノエタノールを79.1g加え、その後水を加えて、減圧して、水とブタノールを共沸させ、ブタノールを完全に留去した。
これにより、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−3)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例4]COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−4)の合成
反応容器にn−ブタノールを400g仕込み、90℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマー400gとBPO12gの混合物を4時間かけて滴下して、合成を行った。モノマー組成は、スチレン25%、エチルアクリレート27%、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド10%、メタクリル酸38%とした。滴下終了後1時間ごとに2回、さらにBPOを2.4gずつ加え、数平均分子量約10000、ガラス転移温度約38℃、酸価255(mgKOH/g)のCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1−4)の固形分50%溶液を得た。
その後、ジメチルアミノエタノールを79.1g加え、その後水を加えて、減圧して、水とブタノールを共沸させ、ブタノールを完全に留去した。
これにより、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1−4)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例5]COOH基を有するポリエステル(B2−1)の合成
反応容器にイソフタル酸を224g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を232g、エチレングリコールを134g、ジエチレングリコールを100g、トリメチロールプロパンを108g仕込み、常圧下、窒素雰囲気で攪拌して、昇温しながら、脱水を行い、ゆっくりと230℃まで昇温させた。その後、230℃で30分間減圧を行った。その後、180度℃まで降温させてから、無水トリメリット酸を192g加え、常圧下、窒素雰囲気で1時間攪拌し、数平均分子量約10000、ガラス転移温度約38℃、酸価255(mgKOH/g)のCOOH基を有するポリエステル(B2−1)を得た。
その後、ここで得たCOOH基を有するポリエステル(B2−1)ポリエステル100gにジメチルアミノエタノールを22g加え、水を289g加えて、攪拌し、COOH基を有するポリエステル(B2−1)の固形分25%の水溶液を得た。
[合成例6]ポリエステル(A2−1)の合成
反応容器にイソフタル酸を253g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を262g、エチレングリコールを145g、ジエチレングリコールを97g、トリメチロールプロパンを40g仕込み、常圧下、窒素雰囲気で攪拌して、昇温しながら、脱水を行い、ゆっくりと230℃まで昇温させた。その後、230℃で30分間減圧を行い、数平均分子量約2000のポリエステル(A2−1)を得た。
[合成例7]ポリエステル(A2−2)の合成
反応容器にイソフタル酸を214g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を222g、無水マレイン酸63g、エチレングリコールを154g、ジエチレングリコールを102g、トリメチロールプロパンを43g仕込み、常圧下、窒素雰囲気で攪拌して、昇温しながら、脱水を行い、ゆっくりと230℃まで昇温させた。その後、230℃で30分間減圧を行い、数平均分子量約2000、エチレン性不飽和二重結合を有するポリエステル(A2−2)を得た。
[合成例8]複合樹脂エマルジョン(RE−1)の合成
合成例6で得たポリエステル(A2−1)を25g、スチレン61g、エチルアクリレート24g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド15g、合成例1で得たCOOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−1)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応容器に、COOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)の水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−1)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−1)を得た。
[合成例9]複合樹脂エマルジョン(RE−2)の合成
合成例7で得たポリエステル(A2−2)を25g、スチレン68g、エチルアクリレート32g、合成例1で得たCOOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−2)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、50℃である。
反応容器に、COOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−2)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−2)を得た。
[合成例10]複合樹脂エマルジョン(RE−3)の合成
合成例6で得たポリエステル(A2−1)を25g、スチレン61g、エチルアクリレート24g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド15g、合成例2で得たCOOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−2)水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−3)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応容器に、COOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−2)固形分25%の水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマーエマルジョン(M−3)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−3)を得た。
[合成例11]複合樹脂エマルジョン(RE−4)の合成
合成例7で得たポリエステル(A2−2)を25g、スチレン61g、エチルアクリレート24g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド15g、合成例2で得たCOOH基を有するアクリル系共重合体(B1−2)の固形分25%の水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−4)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応容器に、COOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B1−2)水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−4)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−4)を得た。
[合成例12]複合樹脂エマルジョン(RE−5)の合成
合成例6で得たポリエステル(A2−1)を25g、スチレン61g、エチルアクリレート24g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド15g、合成例5で得たCOOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B2−1)水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−5)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応容器に、COOH基を有する、固形分25%のアクリル系共重合体(B2−1)水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−5)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−5)を得た。
[合成例13]複合樹脂エマルジョン(RE−6)の合成
合成例7で得たポリエステル(A2−2)を25g、スチレン68g、エチルアクリレート32g、合成例5で得たCOOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B2−1)水溶液を150gに、水50gを加えて、特殊機化工業製T.K.ホモミクサーMARKIIで毎分7000回転で15分間攪拌して、モノマーエマルジョン(M−6)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、50℃である。
反応容器に、COOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B2−1)水溶液100gと水200gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−6)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−6)を得た。
[合成例14]アクリルエマルジョン(AE−1)の合成
スチレン32.5g、エチルアクリレート75g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド17.5gに、合成例3で得たCOOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−3)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−7)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、11℃である。
反応容器に、COOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−3)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−7)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のアクリルエマルジョン(AE−1)を得た。
[合成例15]アクリルエマルジョン(AE−2)の合成
スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8gに、合成例1で得たCOOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−8)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応容器に、COOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−1)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−8)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のアクリルエマルジョン(AE−2)を得た。
[合成例16]アクリルエマルジョン(AE−3)の合成
スチレン36.3g、エチルアクリレート76.3g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド12.5gに、合成例4で得たCOOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−4)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−9)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、11℃である。
反応容器に、COOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−4)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、上記モノマーエマルジョン(M−9)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のアクリルエマルジョン(AE−3)を得た。
[合成例17]アクリルエマルジョン(AE−4)の合成
スチレン76.3g、エチルアクリレート30g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド18.8gに、合成例2で得たCOOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−2)水溶液を10gを加えて、通常の方法で攪拌して、モノマーエマルジョン(M−10)を得た。尚、上記モノマー組成から求められる共重合体のガラス転移温度は、54℃である。
反応缶に、COOH基を有する固形分25%のアクリル系共重合体(B1−2)水溶液240gと水250gを仕込み、80℃で加熱攪拌しながら、窒素雰囲気で、モノマーエマルジョン(M−10)と過硫酸カリウム0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに2回、さらに過硫酸カリウムを0.05gずつ加え、固形分30%のアクリルエマルジョン(AE−4)得た。
[実施例1]
合成例8で得た水酸基を有する、固形分30%の複合樹脂エマルジョン(RE−1)20gに、昭和高分子製ショウノールCKS−3894(固形分50%)のフェノール樹脂溶液1.2g、ブチルジグリコール2g、ブタノール1gと水8.8gの混合物を加えて水性塗料組成物を得た。
[実施例2〜8]、[比較例1〜4]
実施例1と同様にして表1に示す処方に従って、水性塗料組成物を得た。
尚、実施例3及び4、比較例3及び4では硬化剤は配合しなかった。
実施例7では、アミノ樹脂として、三井サイテック製マイコート106(固形分50%)溶液を用いた。
また、実施例8では、式(1)で示されるトリメリット酸エステル無水物として、新日本理科株式会社製リカシッドTMEG−200を、イソプロピルグリコール/ジメチルジグリコール=3/2の混合溶剤に溶解させて、固形分50%の溶液として用いた。
[塗膜の評価]
実施例1〜8、比較例1〜4で得た各塗料を用い、アルミ板にバーコーター#18で塗工し、ガスオーブンを用い雰囲気温度200℃で2分間焼き付け、評価用テストパネルを得て、以下のようにして塗膜の性能を評価した。結果を表1に示す。
各評価の方法を以下に説明する。
<外観>テストパネルを目視で評価する。
○:問題なし
△:ややブツあるいは発泡あり
×:著しくブツあるいは発泡あり
<硬化性> 2ポンドハンマーにガーゼを巻きMEKを含浸させ、テストパネルの塗膜上を往復させ、塗膜が溶解するまでの回数を求める。
◎:200回以上
○:100回以上200回未満
△:50回以上100回未満
×:50回未満
<耐食性> テストパネルを40×80mmに切断し、塗膜を素地に達するようにクロスカットした後、テストパネルを市販のスポーツ飲料に浸漬したまま、レトルト釜で105℃−30分レトルト処理を行い、その後、その状態で70℃のオーブンに3日間入れた。その後、カット部からの片側の錆発生巾を測定した。
○:0〜2mm未満
△:2mm以上〜6mm未満
×:6mm以上
<耐レトルト密着性> テストパネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で125℃−30分レトルト処理を行い、塗膜の状態を目視で評価した。その塗面にセロハン粘着テープを貼着し、強く剥離したのちの塗面の評価を行った。
○:全く剥離なし
△:少し剥離
×:著しく剥離
<耐レトルト白化> テストパネルを水に浸漬したまま、レトルト釜で125℃−30分レトルト処理を行い、塗膜の白化性について目視で評価した。
○:問題なし
△:やや白化
×:著しく白化
<密着性> JIS K−5400碁盤目テープ法に準拠し、テストパネルに1mm×1mmのマス目を100個作成した後、粘着セロハンテープを貼着し、急激に剥した後の剥がれた碁盤目塗膜の数を数え、下記基準で評価した。
○:0個
○:1〜5個
△:6〜39個
×:40個以上
<加工性> テストパネルを大きさ40mm×50mmに切断し、塗膜を外側にして、試験部位が40mmになるように2つ折りにし、この2つ折りにした試験片の間に厚さ0.26mmのアルミ板を2枚はさみ、1kgの荷重を高さ40cmから折り曲げ部に落下させた後に、折り曲げ先端部に6.0V×6秒通電し、加工性5cm巾の電流値(mA)を測定した。
◎+:0.5mA未満
◎ :0.5mA以上〜1.5mA未満
○+:1.5mA以上〜3.0mA未満
○ :3.0mA以上〜5.0mA未満
△ :5.0mA以上〜15.0mA未満
× :15.0mA以上
<水フレーバー性> 各水性塗料組成物を0.1mmアルミ箔に両面塗工し200℃1分間加熱して硬化させた後(膜厚15〜20ミクロン)、塗板を10cm×25cm(両面500cm2)の大きさに切断する。この塗板を活性炭処理した水道水500gとともに耐熱瓶に入れ、125℃−30分のレトルト処理を行い、その後、風味試験を実施する。風味試験の比較対照として、塗板を入れないブランクも同時に処理する。
◎:無味
○:僅かに味がする
△:味がする
×:かなり味がする
<耐香気吸着性> 容量12リットルのデシケーター中に、200mm×160mmのテストパネル、及び100mgのリモネンをジエチルエーテルに溶解したものを前記塗工板に触れないように入れ、デシケーターの蓋をして密閉し、25℃で24時間静置する。静置後塗装板を取り出し、直ちに二硫化炭素中に塗装板を入れて1時間放置し、塗膜面に吸着したリモネンを抽出し、ガスクロマトグラフィーで吸着していたリモネン量(μg)を求めた。
○: 100μg未満
△: 100μg以上〜500μg未満
△‐: 500μg以上〜2000μg未満
×: 2000μg以上〜5000μg未満
×‐: 5000μg以上
Figure 0004591653

Claims (11)

  1. エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)及びCOOH基を有するポリエステル(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を製造する工程、
    水(G)の存在下に、得られたモノマーエマルジョン(1)を滴下しラジカル重合することで複合樹脂エマルジョンを製造する工程、
    を含むことを特徴とする缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  2. エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)とを含有する被乳化成分(A)、COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)及びCOOH基を有するポリエステル(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(B)、塩基性化合物(C)及び水(D)を含有するモノマーエマルジョン(1)を製造する工程、
    COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)及びCOOH基を有するポリエステル(E2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のCOOH含有成分(E)、塩基性化合物(F)及び水(G)を含有してなるポリマー水溶液ないしエマルジョン(2)の存在下に、得られたモノマーエマルジョン(1)を滴下しラジカル重合することで複合樹脂エマルジョンを製造する工程、
    を含むことを特徴とする缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  3. エチレン性不飽和モノマー(A1)が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1又は2記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  4. COOH基を有するアクリル系共重合体(B1)、COOH基を有するアクリル系共重合体(E1)の少なくとも一方が、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれるアミド系モノマーを少なくとも1種含有するモノマーを共重合してなる共重合体であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  5. エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)との重量比が、(A1)/(A2)=99/1〜10/90であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  6. エチレン性不飽和モノマー(A1)とポリエステル(A2)との合計100重量部に対して、
    COOH含有成分(B)と必要に応じて用いられるCOOH含有成分(E)との合計が1〜300重量部であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  7. COOH基含有成分(B)とCOOH基含有成分(E)とが、(B)/(E)=10/0〜2/8(重量比)であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法
  8. ポリエステル(A2)が、エチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  9. 塩基性化合物(C)が、COOH基含有成分(B)中のCOOH基の一部を中和し得ることを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
  10. フェノール樹脂、アミノ樹脂、及び下記式(1)もしくは(2)で示されるトリメリット酸エステル無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有することを特徴とする請求項1ないし9いずれか記載の缶内面被覆用水性塗料組成物の製造方法。
    Figure 0004591653
    Figure 0004591653
  11. 請求項1ないし10いずれか記載の製造方法により得られた缶内面被覆用水性塗料組成物で、缶内面を被覆してなることを特徴とする被覆缶。
JP2003289701A 2003-08-08 2003-08-08 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物 Expired - Fee Related JP4591653B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003289701A JP4591653B2 (ja) 2003-08-08 2003-08-08 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003289701A JP4591653B2 (ja) 2003-08-08 2003-08-08 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005060460A JP2005060460A (ja) 2005-03-10
JP4591653B2 true JP4591653B2 (ja) 2010-12-01

Family

ID=34367946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003289701A Expired - Fee Related JP4591653B2 (ja) 2003-08-08 2003-08-08 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4591653B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5347217B2 (ja) * 2006-10-18 2013-11-20 東洋インキScホールディングス株式会社 ポリマーエマルジョン含有水性塗料
JP5250993B2 (ja) * 2007-04-04 2013-07-31 東洋インキScホールディングス株式会社 ポリマーエマルジョン含有水性塗料

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002510740A (ja) * 1998-04-04 2002-04-09 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー 水性被覆剤組成物

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH630268A5 (de) * 1978-06-12 1982-06-15 Kaelin J R Oberflaechenbelueftungskreisel.
JPS5887106A (ja) * 1981-11-20 1983-05-24 Toyo Ink Mfg Co Ltd 水性樹脂分散体の製造法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002510740A (ja) * 1998-04-04 2002-04-09 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー 水性被覆剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005060460A (ja) 2005-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2496410C (en) Compositions and methods for coating food cans
US9221977B2 (en) Compositions and methods for coating food cans
JP4661046B2 (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP4165130B2 (ja) 塗料組成物
JP4591653B2 (ja) 複合樹脂エマルジョン含有水性塗料組成物
JP2007238698A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2006249282A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP4591654B2 (ja) 水性塗料組成物及び該塗料組成物の製造方法
JP2006077142A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
EP0328950A1 (en) Coating composition
JP2012184370A (ja) 水性塗料組成物とその製造方法
JP2006077143A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2006249278A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP5347217B2 (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料
JP2008101077A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料
JP2005307065A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2007238700A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2007238699A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
WO2008029454A1 (fr) Composition aqueuse de revêtement
JP2005307066A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2000226542A (ja) 缶被覆用水性樹脂組成物
JP2004083759A (ja) 熱硬化性塗料組成物
JP2008101076A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料
JP2006008830A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物
JP2006008829A (ja) ポリマーエマルジョン含有水性塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100831

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4591653

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees