JP5682926B2 - 水性金属用接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は水性接着剤に関し、更に詳しくは、予備乾燥工程での耐ブロッキング性及び硬化後の接着性に優れる水性金属用接着剤に関する。
建材、家電、雑貨、自動車部品等の分野においては、予め塗装された金属板(Pre−Coated Metal:PCMと略す)等を成形加工し、接合して製品とするプレコート方式が必要に応じて用いられている。
上記の接合工程において、接合方法としては、機械的に接合する方法、溶接、ろう付け、接着剤による接合等が挙げられる。
これらのうち、機械的に接合する方法では、接合部材がさらに必要となり、コスト高となる場合が多く、溶接は絶縁物である塗膜が存在するPCMでは行なうことが困難である。また、ろう付け(ろう材による結合)は高温の加熱を要することから接合コストが高くなるという問題がある。
機械的に接合する方法、溶接及びろう付けにおいては上記デメリットを有することから、工程面、コスト、簡便性等を総合的に勘案すると接着剤による接合が有利であると考えられる。
金属用の接着剤として適用可能な組成物として、例えば、特許文献1には、活性メチレン系ブロックポリイソシアネートを含有することを主な特徴とするポリウレタン系の熱硬化性組成物が開示され、また、特許文献2には、カルボキシル基を含有する樹脂と、セミカルバジド系官能基を含む化合物とを必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性被覆組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、金属板上に接着性顔料を含有する樹脂塗膜を形成させたことを特徴とする接着性プレコート金属板が開示されている。
金属用の接着剤においては、硬化後の接着性及び、予備乾燥を行う場合における予備乾燥後の耐ブロッキング性に優れていることが求められ、また、近年の環境対応のニーズから水性化が望まれているが、上記特許文献の組成物及び金属板はいずれも接着性、耐ブロッキング性及び水性化の要求をすべて満足するものではなかった。
特開平9−255915号公報 特開平11−80670号公報 特開平8−267660号公報
本発明の目的は、貯蔵安定性、硬化性、予備乾燥後の耐ブロッキング性、硬化後の接着性に優れる水性金属用接着剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ならびにレゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有する接着剤組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、重量平均分子量が20000〜400000の範囲内である、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)、重量平均分子量が20000未満、エポキシ当量が50000g/eq以上のポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)、ならびに、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分(C)を含有することを特徴とする水性金属用接着剤を提供するものである。
本発明の水性金属用接着剤は、特定数平均分子量範囲のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)、実質的にエポキシ基を有しないポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)、ならびに、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分(C)を含有するものであり、貯蔵安定性、接着性及び硬化性に優れ、(予備乾燥後の)耐ブロッキング性及び硬化後の接着性に優れている。
以下、本発明の水性金属用接着剤(以下、「本接着剤」ということがある。)について詳細に説明する。
本発明の水性金属用接着剤は、下記のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)、ならびに、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分(C)を含有することを特徴とする水性金属用接着剤である。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂は、エステル化法、変性エステル化法(直接重合法)、グラフト法等の変性方法によって合成することができる。
エステル化法とは、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーとを共重合してなるカルボキシル基を有するアクリル共重合体中のカルボキシル基の一部と、ビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部とを、例えば有機溶剤中で、エステル化触媒の存在下に加熱してエステル反応せしめることによってエポキシ樹脂を変性する方法である。
変性エステル化法(直接重合法)とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部を、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマー中のカルボキシル基と反応せしめ、樹脂中に重合性不飽和二重結合を導入し、ついで、この樹脂とラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーとを、例えば有機溶剤中で、共重合することによってエポキシ樹脂を変性する方法である。
グラフト法とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂の存在下でベンゾイルパーオキサイドなどのフリーラジカル発生剤を用いて、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーと、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物を、例えば有機溶剤中で、共重合することにより、アクリル共重合体をビスフェノール型エポキシ樹脂にグラフトせしめてエポキシ樹脂を変性する方法である。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂において使用されるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下に縮合して高分子量化させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られる樹脂、及び得られたこれらの樹脂又は上記低分子量エポキシ樹脂に、二塩基酸を反応させてなるエポキシエステル樹脂等をあげることができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、数平均分子量が好ましくは2000〜30000、さらに好ましくは3000〜20000であり、エポキシ当量が好ましくは1000〜15000g/eq、さらに好ましくは1500〜10000g/eqの範囲内であることが、硬化性、接着性及び耐ブロッキング性等の点から好適である。
本明細書において、樹脂の平均分子量は、JIS K 0124−83に準じて行ない、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により、標準ポリスチレンを基準として、測定した。後記製造例等における測定は、GPC装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー(株)製)、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)製、商品名)の4本を用いて、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RI屈折計の条件で行なった。
また、本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものである。ガラス転移温度(Tg)はDSC(示差走査型熱量計)でJISK7121(プラッスチックの転移温度測定方法)に基づいて10℃/分の昇温スピードで測定した値である。下記製造例等における測定は、DSCとして、「SSC5200」(商品名、セイコー電子工業(株)製)を用い、試料をサンプル皿に所定量秤取した後、130℃で3時間乾燥させてから行なった。
上記ビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができる。なかでもビスフェノールF、ビスフェノールAを好適に使用することができる。上記ビスフェノール類は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記エポキシエステル樹脂の製造に用いられる二塩基酸としては、下記式(1)
HOOC−(CHn−COOH ・・・(1)
(式中、nは1〜12の整数である。)で示される化合物を好適に使用することができる。具体的には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロフタル酸等をあげることができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として好適な市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の、JER1007(エポキシ当量約1700、数平均分子量約2900)、JER1009(エポキシ当量約3500、数平均分子量約3750)、JER1010(エポキシ当量約4500、数平均分子量約5500);旭チバ社製の、アラルダイトAER6099(エポキシ当量約3500、数平均分子量約3800);及び三井化学(株)製の、エポミックR−309(エポキシ当量約3500、数平均分子量約3800)等を挙げることができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、上記市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAと低分子量のエポキシ化合物とを反応させて高分子量化したビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の、JER4010P(エポキシ当量約4400、数平均分子量約5500)、JER4007P(エポキシ当量約2300、数平均分子量約3300)等を挙げることができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、上記市販のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと低分子量のエポキシ化合物とを反応させて高分子量化したビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用することができる。
さらに、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂のエポキシ樹脂成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物と、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとを反応させて高分子量化した化合物もエポキシ樹脂として使用することができる。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂において、接着性の観点から特に、エポキシ樹脂として、原料成分であるビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量を基準にして、ビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂を15質量%以上含有する原料成分を反応させることにより得られるエポキシ樹脂、を変性してなるアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1)を好適に使用することができる。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1)のエポキシ樹脂成分において、原料成分中、必須成分であるビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の量は、接着性及び耐ブロッキング性等の観点から、ビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量を基準にして15質量%以上であり、好ましくは18〜90質量%、さらに好ましくは20〜80質量%である。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂において使用されるカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等のモノマーが挙げられ、なかでもメタクリル酸を好適に使用することができる。これらは単独もしくは2種以上を組合せて使用することができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
上記アクリル樹脂変性エポキシ樹脂において使用されるラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーは、上記カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーと共重合可能なモノマーであればよく、求められる性能に応じて適宜選択して使用することができるものであり、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどの芳香族系ビニルモノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−,i−又はt−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−,i−又はt−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド系又はN−置換メタクリルアミド系モノマーなどの1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
その他の重合性不飽和モノマーとしては、特にスチレン及びアクリル酸エチルの混合物を好適に使用することができ、スチレン/アクリル酸エチルの構成質量比が99.9/0.1〜40/60、さらには99/1〜50/50の範囲内であることが好ましい。
上記エステル化法において、カルボキシル基を有するアクリル共重合体は、モノマーの構成比率、種類は特に制限されるものではないが、通常、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーが、全モノマーの総量に対し、15〜80質量%、特に20〜60質量%であることが好ましく、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーが85〜20質量%、特に80〜40質量%であることが好ましい。
カルボキシル基を有するアクリル共重合体の調製は、例えば、上記したモノマー組成物を重合開始剤の存在下、有機溶剤中で溶液重合反応することにより容易に行うことができる。カルボキシル基を有するアクリル共重合体は、酸価が100〜500mgKOH/g、特に100〜400mgKOH/g、重量平均分子量が7500〜150000、特に10000〜100000の範囲内であることが好ましい。
上記エステル化法は、従来公知の方法で行なうことができ、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体との均一な有機溶剤溶液中にエステル化触媒を配合せしめ、実質的にエポキシ基の全てが消費されるまで、通常、60〜130℃の反応温度にて約1〜6時間反応させることによって行うことができる。上記エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどの第3級アミン類やトリフェニルフォスフィンなどの第4級塩化合物等を挙げることができ、なかでも第3級アミン類を好適に使用することができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体との反応における固形分濃度は、反応系が反応に支障のない粘度範囲内である限り特に限定されるものではない。また、エステル付加反応させる際にエステル化触媒を使用する場合には、その使用量はビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して通常、0.1〜1当量の範囲で使用するのがよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリル共重合体の含有割合としては特に制限されるものではないが、通常、ビスフェノール型エポキシ樹脂が60〜90質量%、特に70〜90質量%であることが好ましく、カルボキシル基を有するアクリル共重合体が10〜40質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。
上記グラフト法は、従来公知の方法で行うことができ、例えば80〜150℃に加熱されたビスフェノール型エポキシ樹脂の有機溶剤溶液中に、ラジカル発生剤と、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物との均一な混合溶液を徐々に添加し、同温度に1〜10時間程度保持することによって行なうことができる。上記ラジカル発生剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾイルオクタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を使用することができる。
グラフト法において、エポキシ樹脂成分とカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有する重合性不飽和モノマー成分との使用割合は、特に制限されるものではないが、通常、前者:後者の比が、95〜70質量%:5〜30質量%の範囲内であることが好適である。この場合、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーは、全重合性不飽和モノマー中、20〜80質量%となるよう配合するのがよい。グラフト重合反応におけるラジカル発生剤の使用量は、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有する重合性不飽和モノマー成分の総量に対して通常、3〜15質量%の範囲内であることが好適である。
前記エステル化法(変性エステル化法)においては、エステル付加反応の際に、エポキシ樹脂成分中のエポキシ基にアクリル樹脂中のカルボキシル基がエステル付加反応するので、エポキシ樹脂成分中にエポキシ基が必要であり、エポキシ樹脂1分子当りエポキシ基は平均0.5〜2個、好ましくは0.5〜1.6個の範囲内であることが好ましい。一方、前記グラフト法においては、グラフト反応がエポキシ樹脂主鎖の水素引き抜きによって起こり、グラフト重合反応が進行するので、エポキシ樹脂中にエポキシ基は実質上存在しなくてもよい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂を調製する際の有機溶剤としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、カルボキシル基を有するアクリル共重合体又はカルボキシル基とラジカル重合性不飽和二重結合とを併せ持つモノマーとラジカル重合性不飽和二重結合を有する他のモノマーの混合物とを溶解し、且つこれらの反応生成物であるアクリル樹脂変性エポキシ樹脂を中和、水性化する際にエマルションの形成に支障を来さない有機溶剤である限り、従来公知のものを使用することができる。
上記有機溶媒としては、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤及びカルビトール系溶剤が好ましい。この有機溶剤の具体例としては、イソプロパノール、ブチルアルコール、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
また、有機溶剤としては、上記以外の水と混合し難い有機溶剤もアクリル樹脂変性エポキシ樹脂の水性媒体中での安定性に支障をきたさない範囲で使用可能であり、このような有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等をあげることができる。
本発明の水性金属用接着剤において、接着性等の観点から、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)の固形分総量に対して、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1)を、50〜100質量%、特に60〜100質量%、さらに特に70〜100質量%の範囲内で含有することが好ましい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は、カルボキシル基を有するものであり、水分散性及び貯蔵安定性等の観点から、酸価が10〜160mgKOH/g、特に20〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は、硬化性及び耐ブロッキング性の観点から、重量平均分子量が、20000〜400000であり、特に、30000〜300000、さらに特に、30000〜200000の範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は、耐ブロッキング性及び塗布作業性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が、50〜160℃、特に、60〜150℃、さらに特に、70〜140℃の範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は、塩基性化合物で樹脂中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和することにより水性媒体中に分散可能とすることができる。
上記カルボキシル基の中和に用いられる塩基性化合物としては、アミン類やアンモニアが好適に使用される。上記アミン類の代表例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン類;ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルカノールアミン類;モルホリンなどの環状アミン類などを挙げることができる。アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)の中和度は、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)中のカルボキシル基に対して通常0.1〜2.0当量中和の範囲であることが好ましい。
上記水性媒体は、水のみであってもよいが、水と有機溶剤との混合物であってもよい。上記有機溶剤としては、従来公知のものをいずれも使用でき、前記アクリル樹脂変性エポキシ樹脂の調製の際に使用できる有機溶剤として挙げたものを好適に使用することができる。本発明の水性金属用接着剤おける有機溶剤の量は、水性金属用接着剤の樹脂固形分総量に対して、環境保護の観点等から20質量%以下の範囲であることが望ましい。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)を水性媒体中に中和、分散するには、常法に従えばよく、例えば、中和剤である塩基性化合物を含有する水性媒体中に、撹拌下にアクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)を徐々に添加する方法、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)を塩基性化合物によって中和した後、撹拌下にて、この中和物に水性媒体を添加するか又はこの中和物を水性媒体中に添加する方法等により行なうことができる。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)を水性媒体中に分散した分散体の平均粒子径は、50〜1000nm、特に、100〜500nmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、樹脂粒子の平均粒子径は、サブミクロン粒子アナライザーN4(商品名、ベックマン・コールター株式会社製、粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて測定に適した濃度に希釈して、常温(20℃)にて測定を行った。
ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)
本接着剤の(B)成分であるポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、エポキシ樹脂の骨格を有する熱可塑性樹脂であり、通常、エポキシ樹脂製造のための原料と同様の原科から製造されるものであり、主として、本接着剤の密着性及び耐ブロッキング性に寄与するものである。なお、本接着剤において、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)とは、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)は除かれる概念である。
ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応して合成されたものである場合には、下記構造式で示される反復単位を基本骨格とする構造を有するものである。
Figure 0005682926
ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、分子鎖中にOH基と−O−基(エーテル基)を多数含んでいる。OH基は、基材と水素結合を形成することにより密着性の増大に寄与し、−O−基は、分子内の回転運動が容易な構造であることにより、樹脂の可撓性の増大に寄与する。
本接着剤の(B)成分であるポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、実質的にエポキシ基を有しないものであり、エポキシ当量が50000g/eq以上であり、75000g/eq以上、特に、100000g/eq以上であることが好ましい。
実質的にエポキシ基を有しないポリヒドロキシポリエーテル樹脂を使用することにより、水性の接着剤としての安定性、また、エポキシ基と反応性を有する他成分(及び任意の添加成分)との反応に起因する不具合(例えば増粘等による貯蔵性不良)を解消することができる。
このような上記ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、例えば、以下のような方法により合成することができる。
1.フェノール化合物とエピハロヒドリンとを、等モル量或いはフェノール化合物過剰の条件で、重縮合する方法。
フェノール化合物としては、通常、2価のフェノール化合物が使用され、単核型2価フェノールとしては、例えば、レゾルシン、ハイドロキノン、カテコール等を挙げることができる。ニ核型2価フェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等を挙げることができる。これらのフェノール化合物は単独で、あるいは2種以上を使用することができる。エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン等を使用することができる。
上記において、なかでもビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応させた重合体を好適に使用することができる。
重縮合反応においては、必要に応じて酸又はアルカリ触媒を使用することができる。
2.フェノール化合物とエピハロヒドリンとを、エピハロヒドリン過剰の条件で、重縮合して得られた重合体のエポキシ基と、エポキシ基と反応性を有する化合物とを反応させる方法。
方法2において、フェノール化合物とエピハロヒドリンとの重縮合反応は、方法1と同様にして行なうことができる。方法2においては、フェノール化合物とエピハロヒドリンとの重縮合反応が、エポキシ化合物であるエピハロヒドリン過剰の条件で合成されるため、得られる重縮合反応物は、エポキシ基を有している。
上記方法1及び方法2における重縮合反応は、基本的に前記アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A)中のエポキシ樹脂と同様にして行なうことができる。
具体的には、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下に縮合して高分子量化反応させることにより行うことができる。
あるいは、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより行うことができる。
上記方法2の重縮合反応物としては、前記アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A)で例示したエポキシ樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒等の触媒の存在下に縮合して高分子量化させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られる樹脂等を挙げることができる。
上記方法2において、エポキシ基と反応性を有する化合物としては、例えば、エポキシ基と反応性を有する化合物、具体的には、1価のアミン化合物、1価の酸化合物等を挙げることができる。
1価のアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン等の1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の2級モノアミン;トリエチルアミン等の3級モノアミン等を挙げることができる。
1価の酸化合物としては、例えば、一塩基酸、リン酸化合物等をあげることができる。
一塩基酸としては、例えば、安息香酸、蟻酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ラウリル酸、ステアリン酸等の脂肪酸;ジメチロールプロピオン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸をあげることができる。
リン酸化合物としては、メタリン酸、オルトリン酸、亜リン酸等をあげることができる。
ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)は、密着性及び耐ブロッキング性の観点から、重量平均分子量が20000未満であり、好ましくは500以上かつ20000未満、より好ましくは1000〜15000の範囲内である。
また、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)は、水系化を容易にするため、界面活性剤等により、エマルションの形態であるものであってもよい。界面活性剤としては、通常のノニオン系、アニオン系等の界面活性剤を使用することができる。分散安定性の観点から、ノニオン系の界面活性剤により、エマルションの形態となっているものを好適に使用することができる。
本発明の水性金属用接着剤において、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)の割合(アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)/ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B))は、両者の固形分質量割合で、20/80〜80/20、特に40/60〜80/20の範囲内であることが好ましい。
架橋剤成分(C)
本接着剤の(C)成分である架橋剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤である。
レゾール型フェノール樹脂
レゾール型フェノール樹脂は、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)の架橋剤として働くものであり、フェノールやビスフェノールA等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを反応触媒の存在下で縮合反応させて、メチロール基を導入してなるフェノール樹脂、また導入されたメチロール基の一部を炭素原子数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したものも包含される。レゾール型フェノール樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは300〜4000、より好ましくは400〜3000の範囲内であり、かつベンゼン核1核当りのメチロール基の平均個数が0.3〜3.0個、好ましくは0.5〜3.0個、さらに好ましくは0.7〜3.0個の範囲内であることが好適である。上記レゾール型フェノール樹脂を使用することによって、接着剤としての接着性を向上させることができる。
メラミン樹脂
メラミン樹脂は、メラミンとアルデヒドとの反応により得られる樹脂であり、部分メチロール化メラミン樹脂及び完全メチロール化メラミン樹脂の両者が包含される。また、本発明の接着剤に使用されるメラミン樹脂は、接着性及び硬化性等の観点から、一般に、200〜2000、好ましくは250〜1600、さらに好ましくは300〜1200の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
上記アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、特にホルムアルデヒドが好適である。また、メチロール化メラミン樹脂を適当なアルコールによってメチロール基をさらに部分的にもしくは完全にエーテル化したものも使用することができ、エーテル化に使用し得るアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、なかでも、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂;部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂;部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールの両者で部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂を好適に使用することができる。なかでも、接着性及び硬化性等の観点から、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、特にメチルエーテル化メラミン樹脂を好適に使用することができる。
また、特に、イミノ基含有メチルエーテル化メラミン樹脂、イミノ基含有メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂を硬化性の観点から好適に使用することができる。
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル701」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
上記のうち、イミノ基含有メチルエーテル化メラミン樹脂としては、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル701」を、イミノ基含有メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂としては、「サイメル202」を挙げることができる。
上記メラミン樹脂はそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
また、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂が関与する硬化反応を促進するため、必要に応じて、硬化触媒を使用することができる。この硬化反応を促進するための硬化触媒としては、一般に、スルホン酸化合物、スルホン酸化合物の中和物及びリン酸化合物等を使用することができる。
スルホン酸化合物としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等を挙げることができる。スルホン酸化合物の中和物における中和剤としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリ等の塩基性化合物を挙げることができる。
ブロックポリイソシアネート化合物
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化した化合物である。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物の如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ポリイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが環化重合したイソシアヌレートを好適に使用することができる。
上記ブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好適に使用することができる。
上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
上記ブロックポリイソシアネート化合物はそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
また、ブロックポリイソシアネート化合物の硬化性を向上させるため硬化触媒を使用することもできる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒等を好適に使用することができる。
本発明の水性金属用接着剤において、架橋剤成分(C)の量は、接着性及び硬化性の観点から、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)及び架橋剤成分(C)の固形分総量に対して好ましくは、1〜30質量%であり、さらに好ましくは、3〜25質量%、さらに特に好ましくは、5〜20質量%の範囲内である。
本発明の水性金属用接着剤において、架橋剤成分(C)として、レゾール型フェノール樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物を併用する場合、レゾール型フェノール樹脂樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物の割合(レゾール型フェノール樹脂/ブロックポリイソシアネート化合物)は、両者の固形分質量割合で、99/1〜1/99、特に80/20〜20/80の範囲内であることが好ましい。
本発明の水性金属用接着剤は、さらに必要に応じて着色顔料、光輝性顔料、添加剤(ブロッキング防止剤、潤滑性付与剤、消泡剤等)、有機溶剤等を添加することができる。
上記ブロッキング防止剤としては、体質顔料(例えば、シリカ微粉末、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、シリカ、アルミナホワイト等)、有機微粒子(ナイロン微粒子、ポリオレフィン微粒子、アクリル樹脂微粒子、シリコーンゴム微粒子、ウレタン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、ポリ四弗化エチレン微粒子等)等を挙げることができる。
上記潤滑性付与剤は、接着剤表面に潤滑性を付与するために添加されるものであり、潤滑性付与剤としては、例えば、脂肪酸エステルワックス;ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス;ラノリン、蜜蝋等の動物系ワックス;カルナウバワックス、水蝋等の植物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス等のワックス類を挙げることができる。
本発明の水性金属用接着剤は、ザーンカップNo.3で、20℃で、通常、10〜100秒、好ましくは12〜80秒の粘度に調整して塗布することができる。
本発明の水性金属用接着剤は、ザーンカップNo.3で10〜100秒の粘度で、20〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の固形分質量濃度とすることができる。
本発明の水性金属用接着剤は、接着物である金属上に塗布し乾燥、硬化させることによって、接着物である金属を接着することができる。従って、本発明の接着剤は金属間の接着における用途に対して広く使用することができる。被塗物としては、特に制約はなく、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、各種金属メツキ鋼板等の金属類を挙げることができる。
これらの金属表面への本発明の接着剤の塗布は、例えば、スプレー塗装、刷毛塗り、ローラー塗装、浸漬塗装、ロールコート塗装、カーテンフローコーター塗装等のそれ自体既知の方法で行なうことができる。
本発明の水性金属用接着剤の塗布量は、10〜1000mg/dm、特に20〜500mg/dmの範囲内であることが好ましい。
予備乾燥を行なう場合、予備乾燥は通常、塗布液中の溶剤を揮散させる程度で行なわれ、80〜250℃、特に90〜220℃程度の温度で、5秒間〜40分間、特に10秒間〜30分間で行なうことが好ましい。
本発明の水性金属用接着剤の硬化は、100〜260℃、特に120〜240℃程度の温度で、5秒間〜40分間、特に10秒間〜30分間程度加熱することにより行なうことができる。接着剤を加熱硬化させることにより接着物である金属素材を強固に接着させることができる。
以下、製造例、実施例及び比較例をあげて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
エポキシ樹脂の製造
製造例1
ビスフェノールF及びビスフェノールA併用型エポキシ樹脂(a1)の製造
JER806(三菱化学社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量約170、分子量約320)579部、JER828EL(三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量約187、分子量約350)165部 、ビスフェノールF 410部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.6部を還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下160℃で反応を行った。反応はエポキシ当量で追跡し、約6時間反応させることにより数平均分子量約8000、エポキシ当量約6500g/eqのビスフェノールF及びビスフェノールA併用型エポキシ樹脂(a1)を得た。
また、エポキシ樹脂(a1)の原料成分において、ビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量に対するビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有率は、85.7質量%である。
製造例2
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(a2)の製造
JER806 800部、ビスフェノールF 448部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.6部を還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下160℃で反応を行った。反応はエポキシ当量で追跡し、約6時間反応させることにより数平均分子量約8000、エポキシ当量約7000g/eqのビスフェノールF型エポキシ樹脂(a2)を得た。
また、エポキシ樹脂(a2)の原料成分において、ビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量に対するビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有率は、100質量%である。
製造例3
ビスフェノールF及びビスフェノールA併用型エポキシ樹脂(a3)の製造
JER806 268部、JER828EL 546部、ビスフェノールA 456部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.6部を還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下160℃で反応を行った。反応はエポキシ当量で追跡し、約6時間反応させることにより数平均分子量約7800、エポキシ当量約5600g/eqのビスフェノールF及びビスフェノールA併用型エポキシ樹脂(a3)を得た。
また、エポキシ樹脂(a3)の原料成分において、ビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量に対するビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有率は、21.1質量%である。
製造例4
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(b1)の製造
JER828EL 558部、ビスフェノールA 329部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド0.6部を還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下160℃で反応を行った。反応はエポキシ当量で追跡し、約5時間反応させることにより数平均分子量約11000、エポキシ当量約8000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(b1)を得た。
また、エポキシ樹脂(b1)の原料成分において、ビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量に対するビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有率は、0質量%である。
アクリル樹脂の製造
製造例5
カルボキシル基含有アクリル樹脂(c1)溶液の製造
還流冷却管、温度計、モノマー流量調整器及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、n−ブタノール1096部を仕込み、窒素気流下100℃に加熱した。次に、メタクリル酸210部、スチレン180部、アクリル酸エチル210部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)18部の混合物を約3時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに同温度で2時間撹拌を続け、室温まで冷却することにより、固形分約35質量%のアクリル樹脂(c1)溶液を得た。得られたアクリル樹脂(c1)の酸価は228mgKOH/g、重量平均分子量は約25000であった。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A)の製造
製造例6
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−1)の製造
還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例1で得たエポキシ樹脂(a1)60部、製造例4で得たエポキシ樹脂(b1)25部、製造例5で得たアクリル樹脂(c1)溶液42.9部(固形分15部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル55.6部を仕込み、100℃に加熱し溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノエタノール3.7部を加え、100℃に保持し約1.5時間反応させることにより、樹脂酸価25mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂(A1−1)溶液を得た。
その後、樹脂溶液の温度を70℃とし、脱イオン水218部を徐々に加えて水分散を行った。次いで、過剰の溶剤を除去するために減圧濃縮することにより、固形分約30質量%のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−1)水性分散物を得た。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−1)の重量平均分子量は約123000、ガラス転移温度は125℃、水性分散物の平均粒子径は240nmであった。
製造例7
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−2)の製造
還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例2で得たエポキシ樹脂(a2)60部、JER1256(三菱化学社製、数平均分子量約12000、エポキシ当量約8000のビスフェノールA型エポキシ樹脂溶液、固形分約40%)62.5部(固形分25部)、製造例5で得たアクリル樹脂(c1)溶液42.9部 (固形分15部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル18.1部を仕込み、85℃に加熱し溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノエタノール3.7部を加え、85℃に保持し約1.5時間反応させることにより、樹脂酸価25mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂(A1−2)溶液を得た。
その後、樹脂溶液の温度を70℃とし、脱イオン水218部を徐々に加えて水分散を行った。次いで、過剰の溶剤を除去するために減圧濃縮することにより、固形分約30質量%のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−2)水性分散物を得た。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−2)の重量平均分子量は約134000、ガラス転移温度は115℃、水性分散物の平均粒子径は210nmであった。
製造例8
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−3)の製造
還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例2で得たエポキシ樹脂(a2)85部 、製造例5で得たアクリル樹脂(c1)溶液42.9部(固形分15部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル55.6部を仕込み、100℃に加熱し溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノエタノール3.7部を加え、100℃に保持し約1.5時間反応させることにより、樹脂酸価25mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂(A1−3)溶液を得た。
その後、樹脂溶液の温度を70℃とし、脱イオン水218部を徐々に加えて水分散を行った。次いで、過剰の溶剤を除去するために減圧濃縮することにより、固形分約30質量%のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−3)水性分散物を得た。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−3)の重量平均分子量は約106000、ガラス転移温度は100℃、水性分散物の平均粒子径は220nmであった。
製造例9
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−4)の製造
還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例3で得たエポキシ樹脂(a3)85部、製造例5で得たアクリル樹脂(c1)溶液42.9部(固形分15部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル55.6部を仕込み、100℃に加熱し溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノエタノール3.7部を加え、100℃に保持し約1.5時間反応させることにより、樹脂酸価28mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂(A1−4)溶液を得た。
その後、樹脂溶液の温度を70℃とし、脱イオン水218部を徐々に加えて水分散を行った。次いで、過剰の溶剤を除去するために減圧濃縮することにより、固形分約30質量%のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−4)水性分散物を得た。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1−4)の重量平均分子量は約132000、ガラス転移温度は130℃、水性分散物の平均粒子径は220nmであった。
製造例10
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A2−1)の製造
還流冷却管、温度計及び撹拌機を装着した四つ口フラスコに、製造例4で得たエポキシ樹脂(b1)85部 、製造例5で得たアクリル樹脂(c1)溶液42.9部(固形分15部)及びジエチレングリコールモノブチルエーテル55.6部を仕込み、100℃に加熱し溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノエタノール3.7部を加え、100℃に保持し約1.5時間反応させることにより、樹脂酸価25mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂(A2−1)溶液を得た。
その後、樹脂溶液の温度を70℃とし、脱イオン水218部を徐々に加えて水分散を行った。次いで、過剰の溶剤を除去するために減圧濃縮することにより、固形分約30質量%のアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A2−1)水性分散物を得た。
アクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A2−1)の重量平均分子量は約108000、ガラス転移温度は130℃、水性分散物の平均粒子径は250nmであった。
レゾール型フェノール樹脂(C)の製造
製造例11
レゾール型フェノール樹脂(C1)の製造
反応容器に、石炭酸94部、37%ホルムアルデヒド水溶液243部及び苛性ソーダ1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついで、濾過して苛性ソーダを濾別し、固形分約50%のレゾール型フェノール樹脂(C1)溶液を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂(C1)の重量平均分子量は約1100、ベンゼン核1核当りのメチロール基の平均個数は1.9個であった。
製造例12
レゾール型フェノール樹脂(C2)の製造
反応容器に、ビスフェノールF 150部、37%ホルムアルデヒド水溶液243部及び苛性ソーダ1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついで、濾過して苛性ソーダを濾別し、固形分約50%のレゾール型フェノール樹脂(C2)溶液を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂(C2)は、ビスフェノールF骨格を有しており、重量平均分子量は約1800、ベンゼン核1核当りのメチロール基の平均個数は2.1個であった。
接着剤の製造及び性能試験
実施例1〜22及び比較例1〜5
後記表1及び表2に示す組成にて接着剤を作製し、各接着剤No.1〜27を得た。各接着剤は脱イオン水を用いて固形分濃度が30質量%となるように調整した。なお、接着剤No.23〜27は比較例用の接着剤である。
アルミニウム素材上に、各接着剤をバーコーターにて乾燥膜厚が10μmとなるように塗布し、熱風乾燥機で100℃で10分間予備乾燥させた塗装板を用いて以下の試験を行なった。なお、アルミニウム素材としては、耐ブロッキング性、Tピール接着強度及び接着面充填性の試験には、0.1mm#1000アルミニウムを、せん断接着強度の試験には、0.25mm#5052アルミニウムをそれぞれ使用した。
試験結果を併せて表1及び表2に示す。なお表1及び表2における各成分の量は固形分質量である。
Figure 0005682926
Figure 0005682926
なお、表1及び表2の(注1)〜(注8)は以下のとおりである。
B1(注1):ポリヒドロキシポリエーテル樹脂B1、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とモノエタノールアミンとの付加反応物の乳化物(該付加物に対し、10質量%のノニオン性界面活性剤を使用)、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂B1を固形分として40質量%含有、重量平均分子量5800、エポキシ当量150000g/eq(固形分当り)、粘度1000mP・s。
B2(注2):ポリヒドロキシポリエーテル樹脂B2、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酢酸との付加反応物の乳化物(該付加物に対し、10質量%のノニオン性界面活性剤を使用)、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂B2を固形分として40質量%含有、重量平均分子量5500、エポキシ当量180000g/eq(固形分当り)、粘度900mP・s。
B3(注3):アデカレジンEM−107−50L(商品名)、ADEKA(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルション(ノニオン性乳化剤によりエマルション化)、固形分50%、重量平均分子量約7200、エポキシ当量約1750g/eq(固形分当り)。
C3(注4):サイメル701(商品名)、日本サイテックインダストリーズ(株)製、イミノ基含有メチルエーテル化メラミン樹脂(メチロール基も含有)、固形分82%、重量平均分子量700。
C4(注5):サイメル325(商品名)、日本サイテックインダストリーズ(株)製、イミノ基含有メチルエーテル化メラミン樹脂(メチロール基も含有)、固形分80%、重量平均分子量800。
C5(注6):ブロックポリイソシアネート化合物A、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体のオキシムブロック化物、固形分37質量%、NCO含有率3.6%。
C6(注7):ブロックポリイソシアネート化合物B、ヘキサメチレンジイソシアネートのラクタムブロック化物、固形分100質量%、NCO含有率14.3%。
表1及び表2中における性能試験は以下の方法及び評価基準に従って行った。
接着剤の貯蔵安定性:上記固形分濃度が30質量%となるように調整した各接着剤の貯蔵安定性を下記基準により評価した。
◎:40℃で1ヵ月貯蔵後の接着剤を塗装しても塗面異常(ブツ)が認められない。
○:40℃で2週間貯蔵後の接着剤を塗装しても塗面異常(ブツ)が認められない。
△:40℃で2週間貯蔵後の接着剤を塗装すると塗面異常(ブツ)が認められる。
×:40℃で1週間貯蔵後の接着剤を塗装すると塗面異常(ブツ)が認められる。
耐ブロッキング性:上記塗装板を10cm×10cmの大きさに2枚裁断し、塗装面側同士を合わせて、圧力5kgf/cm、温度50℃で24時間放置した後の剥れ具合(剥し易さ)を以下の基準により評価した。
◎:抵抗なく剥すことができる。
○:塗膜の剥離は認められないが、剥す際、やや抵抗がある。
△:塗膜の剥離がわずかに認められ、剥す際、抵抗がある。
×:剥す際の抵抗が大きく、塗膜が剥離する。
せん断接着強度:上記塗装板を10cm×1cmの大きさに2枚裁断し、塗装面側端の1cmの面積分同士を合わせて、圧力5kgf/cm、温度150℃で20分間乾燥させた。その後、せん断剥離強度をオートグラフにより測定した。
◎:せん断剥離強度が、70kgf以上/1cm
○:せん断剥離強度が、40kgf以上/1cm、かつ、70kgf未満/1cm
△:せん断剥離強度が、10kgf以上/1cm、かつ、40kgf未満/1cm
×:せん断剥離強度が、10kgf未満/1cm
Tピール接着強度:上記塗装板を10cm×1cmの大きさに2枚裁断し、塗装面側同士を合わせて、圧力5kgf/cm、温度150℃で20分間乾燥させた。その後、Tピール剥離強度をオートグラフにより測定した。
◎:Tピール剥離強度が、1.5kgf以上/1cm幅。
○:Tピール剥離強度が、1.0kgf以上/1cm幅、かつ、1.5kgf未満/1cm幅。
△:Tピール剥離強度が、0.5kgf以上/1cm幅、かつ、1.0kgf未満/1cm幅。
×:Tピール剥離強度が、0.5kgf未満/1cm幅。
接着面積:Tピール接着強度測定後の剥離面について、以下の基準で評価した。
◎:接着面積が、全体の90%以上。
○:接着面積が、全体の70%以上、かつ、90%未満。
△:接着面積が、全体の40%以上、かつ、70%未満。
×:接着面積が、全体の40%未満。
なお、接着面積とは、接着面において、一様に完全に全面にわたって接着している状態が接着面積100%であり、完全に全面にわたって接着されておらず、接着されていない部分(空隙部分)がある場合、その部分を除いた接着されている部分の面積である。接着面全面に対する接着されている部分の面積(接着面積)の割合により評価した。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が20000〜400000の範囲内である、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)、重量平均分子量が20000未満、エポキシ当量が50000g/eq以上のポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)、ならびに、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分(C)を含有することを特徴とする水性金属用接着剤。
  2. アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)が、原料成分であるビスフェノール及びビスフェノール型エポキシ樹脂の総量を基準にして、ビスフェノールF及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂を15質量%以上含有する原料成分を反応させることにより得られるエポキシ樹脂、を変性してなるアクリル樹脂変性エポキシ樹脂(A1)を含有することを特徴とする請求項1に記載の水性金属用接着剤。
  3. ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)が、フェノール化合物とエピハロヒドリンとを重縮合させて得られる重合体(B1)を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水性金属用接着剤。
  4. ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)が、フェノール化合物とエピハロヒドリンとを重縮合させて得られる重合体(B1)と、該重合体(B1)中のエポキシ基と反応性を有する化合物とを反応させることにより得られる重合体(B2)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性金属用接着剤。
  5. 架橋剤成分(C)として、重量平均分子量が300〜4000で、かつベンゼン核1核当りのメチロール基の平均個数が0.3〜3.0個であるレゾール型フェノール樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性金属用接着剤。
  6. アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B)の割合(アクリル樹脂変性エポキシ樹脂成分(A)/ポリヒドロキシポリエーテル樹脂成分(B))が両者の固形分質量割合で、20/80〜80/20の範囲内である請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性金属用接着剤。
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