JP5390839B2 - 切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、家庭用電気製品、自動車部品、建材等の素材として好適に使用可能なクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板に関し、特に鋼板を切断した際に露出する端面の耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板に関するものである。
家電製品や自動車部品などの用途には、防錆性の要求から亜鉛めっき皮膜および化成処理皮膜が形成された鋼板が汎用されているが、環境への配慮から、クロメートフリー化成処理皮膜が被覆された亜鉛めっき鋼板(以下、ノンクロめっき鋼板と呼ぶ場合がある。)が用いられている。このノンクロめっき鋼板を所定寸法に切断したとき切断端面に鋼素地が露出するが、このような切断端面を有するノンクロめっき鋼板を高温多湿の環境下に保管すると、切断端面部分から腐食が進行して赤錆が発生するという端面腐食の問題が生じる。端面腐食の問題は、特に上記鋼板の主要ユーザー地域である中国南部や東南アジア沿岸部で、深刻化している。
参考のため、ノンクロめっき鋼板を切断した際の切断端面を図1に示す。図1に示すように、切断端面は、(i)シャー刃などの剪断加工によって生成され、亜鉛めっき皮膜やクロメートフリー化成処理皮膜を含む剪断面と、(ii)下地鋼板の破断によって生成され、素地鋼板が露出した破断面に大別される。素地鋼板が露出した切断端面では、めっき皮膜による防錆効果が得られないため、特に結露が生じ易い高温高湿環境下にノンクロめっき鋼板を保管すると、数日で赤錆が発生してしまう。
このような事情に鑑み、本願出願人は、切断端面耐食性に優れたノンクロめっき鋼板を特許文献1〜3などに開示している。また、非特許文献1には、切断端面耐食性に優れたノンクロめっき鋼板の提供を直接の目的とするものではないが、耐食性に関連して、MnSの含有量が多くなるほど耐食性が低下することが記載されている。
特開2005−225052号公報 特開2006−28582号公報 特開2004−346341号公報 「ステンレス鋼、高合金鋼の介在物制御」、西山記念技術講座、日本鉄鋼協会、平成16年10月、p.247
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は鋼板を切断した時に現れる切断端面の耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
上記課題を解決し得た切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板とは、下地鋼板の上に亜鉛めっき皮膜及びクロメートフリー化成処理皮膜が施された鋼板であって、前記下地鋼板に存在する直径0.1〜5.0μmの介在物中に含まれるAl、Mn、およびSは、前記下地鋼板全体に占める割合で、Al:100ppm(質量ppmの意味。以下、同じ。)以下、Mn:150ppm以下、S:150ppm以下を満足するところに要旨を有するものである。
上記下地鋼板は、C:0.05%(質量%の意味。以下、同じ。)以下(0%を含まない)、Si:0.01%以下(0%を含まない)、Mn:0.05〜0.30%、Al:0.002〜0.040%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.010%以下(0%を含まない)を含有し、残部が鉄および不可避不純物であることが好ましい。
上記下地鋼板は必要に応じて、Ti:0.01〜0.10%や、B:0.0001〜0.003%を更に含有することが好ましい。
また、上記クロメートフリー化成処理皮膜の膜厚は0.05〜5μmであり、且つ、上記皮膜は金属吸着腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属吸着腐食防止剤としては、例えば、キレート剤またはその塩、亜硝酸塩、アミノカルボン酸誘導体、ポリリン酸塩系化合物、カテキン、または有機アミン塩を用いることが好ましい。
本発明では、下地鋼板に存在する直径0.1〜5.0μmの比較的小さな介在物中のAl量、Mn量およびS量を適切に制御しているため、切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
本発明者らは、切断端面の耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板(以下、ノンクロめっき鋼板で代表させる場合がある。)を提供するため、特に下地鋼板(素地鋼板)が露出した破断面の組成に着目し、鋭意研究を重ねた。その結果、下地鋼板に存在する介在物のうち直径0.1〜5.0μmと比較的小さな介在物中のAl量、Mn量、およびS量を適切に制御すれば、切断端面耐食性が向上することを見出し、本発明を完成した。また、切断端面耐食性の更なる向上には、上述した破断面だけでなく剪断面の化成処理皮膜を適切に制御することが好ましいことも見出した。
まず、本発明を最も特徴付ける下地鋼板の介在物について詳述する。
本発明における介在物とは、下地鋼板の鋼中元素(Al、Mn、Tiなど)を含む複合化合物や、圧延、焼鈍などの製造過程で析出するなどして形成される析出物を意味する。具体的には、上記鋼中元素を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等の化合物が挙げられ、例えば、Alを含有する介在物(代表的にはAlの酸化物であるAl23など)、Mnを含有する介在物(代表的にはMnの硫化物であるMnSなど)等が挙げられる。
そして本発明では、下地鋼板中に存在する様々なサイズの介在物のうち直径0.1〜5.0μmと比較的サイズの小さい「微小介在物」中に含まれるAl、Mn、およびSの各含有量が切断端面耐食性に大きな影響を与えることを突き止めたところに最大の特徴を有している。上記直径を超えるサイズの大きい「粗大介在物」の組成は、おそらく切断端面耐食性には殆ど影響を及ぼしていないことが調査により判明した。そこで本発明では、上記微小介在物のサイズの上限を5.0μmとした。また、上記微小介在物のサイズの下限を0.1μmとしたのは、後述するように当該介在物は電解抽出分析法によって抽出するが、直径0.1μm未満の介在物は抽出不可能であるためである。
なお、前述した非特許文献1には、切断端面耐食性との関係ではないがMnSが耐食性に悪影響を及ぼすことは開示されているものの、介在物のサイズが切断端面耐食性に対してどのような影響を及ぼしているかについて、何も教示していない。ここで述べられている耐食性とは平板表面における耐食性であり、さらにSUSや高合金鋼の表面状態はCrや合金元素の酸化物で覆われており本願の切断端面における破断面のようなFeの新生面とは全く異なるため、その腐食メカニズムも全く異なる。
介在物サイズの違いが耐食性に対してどのような影響を及ぼしているのかは詳細には不明であるが、小さい介在物が端面に微細に分散して露出することで局部的な腐食を促進していると推察される。
上述したように、本発明で対象とする直径0.1〜5.0μmの微小介在物中には、下地鋼板中の鋼中元素を含む介在物が含まれ、Al含有介在物やMn含有介在物が代表的に例示される。あるいは、下地鋼板中にTiを含有する場合は、Ti含有介在物も含まれる。
ここで、上記Al含有介在物としては、Alの酸化物(Al23)、炭化物、窒化物、または炭窒化物などが挙げられる。Alが直径5.0μm以下の微小介在物中に存在すると、切断端面における結露水中での浸漬電位(腐食電位)が卑へと移行し、腐食を招くと考えられるため、本発明では、上記微小介在物中のAl量を100ppm以下と定めた。上記微小介在物中のAl量は少なければ少ないほど良く、好ましくは90ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下である。なお、上記微小介在物中のAl量の下限は特に制限されないが、実現可能な下限値は約1.0ppm程度である。
また、上記Mn含有介在物としては、Mnの硫化物(MnS)、MnO等が挙げられ、代表的にはMnSが例示される。MnSが直径5.0μm以下の微小介在物中に存在すると、切断端面耐食性を低下させるため、本発明では、上記微小介在物中のMn量を150ppm以下、S量を150ppm以下と定めた。上記微小介在物中のMn量は少なければ少ない程良く、好ましくは140ppm以下、より好ましくは130ppm以下である。同様にS量も少なければ少ない程良く、好ましくは140ppm以下、より好ましくは130ppm以下である。上記微小介在物中のMn量およびS量の下限は特に制限されないが、実現可能な下限値は、Mn量で1.0ppm程度、S量で1.0ppm程度である。
所望の切断端面耐食性を確保するためには、本発明で対象とする上記微小介在物中のAl、Mn、Sの含有量が上記のように低減されていれば良く、これら以外の成分は特に限定されない。例えば、上記微小介在物には、Al、Mn、S以外に、N、O、C、Siなども含まれるが、これらの成分については、下地鋼板や製造過程などによって当該微小介在物中に不可避的に導入され得るレベルの含有量を許容し得る。同様に、本発明では、下地鋼板に選択成分としてTiやBを含有する場合があるが、これらについても同様であり、当該微小介在物中に不可避的に導入され得るレベルの含有量を許容することができる。
本発明において、一層良好な切断端面耐食性を得るためには、下地鋼板のみならずクロメートフリー化成処理皮膜も適切に制御することが有用である。具体的には、クロメートフリー化成処理皮膜の膜厚を適切に制御すると共に、当該化成処理皮膜中に、所定の金属吸着腐食防止剤を含有させることが好ましい。
ここで、上記クロメートフリー化成処理皮膜の膜厚は、0.05〜5μmであることが好ましい。上記化成処理皮膜の膜厚が0.05μm未満であると、所望の切断端面耐食性が有効に発揮されず、一方、5μmを超えると導電性が低下するからである。上記化成処理皮膜の好ましい膜厚は0.5〜3.0μmである。
上記金属吸着腐食防止剤とは、金属面(本発明においては下地鋼板の表面)に吸着して金属の腐食を防止するものを意味する。金属吸着腐食防止剤による切断端面耐食性の向上メカニズムは以下のように推察される。すなわち、切断端面の腐食は結露水が主な原因となって発生するが、結露は化成処理皮膜上でも発生する。金属吸着腐食防止剤を化成処理皮膜中に含有させると、結露時の水分によって金属吸着腐食防止剤が溶出して破断面が覆われるため、下地鋼板の腐食が防止され、切断端面の耐食性が向上するようになる。
本発明に用いられる好ましい金属吸着腐食防止剤は、キレート剤またはその塩、亜硝酸塩、アミノカルボン酸誘導体、ポリリン酸塩系化合物、カテキン、または有機アミン塩である。これらは公知の耐食性向上剤であるが、クロメートフリー化成処理皮膜中に添加することによって切断端面耐食性が向上し、前述した下地鋼板の微小介在物制御による切断端面耐食性効果と相まって、極めて優れた特性が発揮されるようになる。
以下、上記金属吸着腐食防止剤を具体的に説明する。
(キレート剤またはその塩)
本発明に用いられるキレート剤には、ポリマーキレート剤および低分子量キレート剤の両方が含まれる。
このうち前者のポリマーキレート剤としては、例えばアミン類(例えば、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、トリブチレンテトラミンなどのテトラアミン類;テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、テトラブチレンペンタミンなどのペンタアミン類;ペンタエチレンヘキサミンなどのヘキサアミン類など)の重合体、ピペラジン類(例えば、1−アミノエチルピペラジンなど)の重合体、環状イミン類(例えば、ポリエチレンイミン、メチルポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイミンなど)の重合体などが挙げられる。上記キレート剤はカルボキシル基を更に有していても良く、これにより、金属の吸着効果が一層高められる。後記する実施例では、カルボキシメチルポリエチレンイミンを用いている。
また、後者の低分子量キレート剤としては、EDTA、DTPA、HEDP、EDTMP、NTA、HEDTAなどが代表的に例示され、これらの塩類(キレート剤中に含まれる複数の酸官能基の一部または全部が中和されたもの)も含まれる。これらのうち、上記キレート剤の塩類を用いることが好ましく、これにより、クロメートフリー皮膜の原料である水性エマルジョン組成物(後述する。)への溶解性が向上する。
上記低分子量キレート剤の塩類としては、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩などが挙げられる。好ましい塩類としては、(1)Naイオンを含むNa塩、(2)Naイオンを含み、かつMg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む「Na・他の金属の複合塩類」、(3)アミンイオンまたはアンモニウムイオンを含む「アミン塩またはアンモニウム塩」、(4)アミンイオンまたはアンモニウムイオンを含み、かつNa、Mg、Ca、Co、Zn、MnおよびFeの各金属イオンから選ばれる少なくとも1種を含む「アミンまたはアンモニウム・金属の複合塩類」などが挙げられる。
例えばEDTAを例に挙げて説明すると、EDTAの一ナトリウム塩(EDTA・Na)、二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、三ナトリウム塩(EDTA・3Na)、四ナトリウム塩(EDTA・4Na)が含まれる。さらに、EDTAの複数の酸官能基の一部がNaOHなどにより中和され、他の酸官能基がアミンにより中和された「Na・アミン塩」として、例えばキレスト(株)製の「キレストM−50:EDTA・2Na・アミン塩」などが挙げられる。
上記のキレート剤は市販品を用いても良い。例えばキレスト株式会社製のEDTA系のキレート剤として、キレストMg−40、キレストM−50、キレストODなど;DTPA系としてキレストP、キレストPS、キレストPC−45など;HEDP系としてキレストPH−212、キレストPH−214など;EDTMP系としてキレストHP−540など;NTAとしてキレスト70、キレストNTAなど;HEDTAとしてキレストHなどが挙げられる。
(亜硝酸塩)
上記亜硝酸塩としては、代表的には亜硝酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。このうち好ましいのは、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムの亜硝酸塩から選択される少なくとも1種である。また後記する有機アミンの亜硝酸塩として好ましいのはジシクロヘキシルアミンの亜硝酸塩である。
上記亜硝酸塩は、結露水による加水分解によって耐食性が発揮されると推察され、初期防錆能、長期防錆能、高温多湿下での防錆能のすべてに優れた作用を発揮する化合物である。
(アミノカルボン酸誘導体)
上記アミノカルボン酸誘導体としては、例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドのアミド類と、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸など、及びこれらの塩類などのような共重合可能な不飽和結合を有するカルボン酸化類との共重合体が挙げられる。
(ポリリン酸系化合物)
上記ポリリン酸系化合物としては、代表的には、トリポリリン酸アルミニウム(AlH2310・2H2O)が例示され、市販品として、例えば、K−フレッシュ#100P(テイカ株式会社製商品名)が挙げられる。上記組成のトリポリリン酸アルミニウムは固体酸であるので、固体塩基と混合して使用することも可能である。各種固体塩基と混合したトリポリリン酸アルミニウムは、市販品を用いても良く、例えば、K−ホワイト82、K105、Ca750(テイカ株式会社製商品名)などをそのまま使用することができる。
(カテキン類)
カテキンはポリフェノール化合物の一種であり、本発明では、防錆剤として通常用いられるカテキン類を使用することができる。具体的には、例えば、タンニン酸、没食子酸、カテキンなどが代表的に例示される。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(有機アミン塩)
上記有機アミン塩としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレンジアミン、ジブチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、o−,m−,p−キシリレンジアミン、3,5−ジアミノクロロベンゼン等の芳香族ポリアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカン系ポリアミンポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の不飽和アミンの重合体;ビニルアミン、アリルアミン等の不飽和アミン等の塩類が挙げられる。前記塩類としては、前述した(キレート剤またはその塩)の欄に説明したものが好ましく例示される。上記有機アミン塩はカルボキシル基を更に有していても良く、これにより、金属の吸着効果が一層高められる。上記ポリアミン類が環状イミンの重合体、不飽和アミンの重合体及びその共重合体の場合には、数平均分子量が300〜200万のものが好ましく、特に1000〜50万のものが好ましい。
上記金属吸着腐食防止剤による切断端面耐食性向上作用を有効に発揮させるためには、クロメートフリー化成皮膜中の金属吸着腐食防止剤の含有量を適切に制御することが好ましい。具体的には、クロメートフリー化成皮膜の原料であるエマルジョン組成物(後述する)の固形分中の、金属吸着腐食防止剤の含有量(固形分で制御)を適切に制御することが好ましい。本発明においてエマルジョン組成物の固形分とは、エマルジョン組成物を加熱乾燥することにより揮発成分(例えば水または有機溶剤など)が蒸発した後に、皮膜としてとどまる固形残分を意味する。よって固形分の中には、樹脂(室温で固形状または液状のものを含む)や無機固形物(例えばシリカ、ワックス)、または金属吸着腐食防止剤などが含まれる。
例えば、上記低分子量キレート剤の好ましい含有量は、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で0.5〜10質量%である。低分子量キレート剤の含有量が0.5質量%未満であると、安定なキレート化合物の生成が不充分であり、切断面耐食性も不充分となる。一方、低分子量のキレート剤が10質量%を超えると耐食性は低下する傾向にある。多量の低分子量キレート剤を添加すると耐食性が低下する理由は詳細には不明であるが、キレート剤と、エマルジョン組成物中に含まれ得る有機樹脂、架橋剤またはシランカップリング剤などが反応することにより、皮膜の造膜性に影響を及ぼすことなどが考えられる。上記化成処理皮膜の造膜性や他の塗膜との密着性の観点から、上記低分子量キレート剤のより好ましい含有量の上限は、エマルジョン組成物の固形分100質量%中に占める比率で5質量%であり、さらに好ましい上限は3質量%であり、より好ましいキレート剤含有量の下限は1質量%である。
上記低分子量キレート剤を除く金属吸着腐食防止剤の含有量は、クロメートフリー化成処理皮膜組成物の固形分の全質量に対して、金属吸着腐食防止剤の固形分で1〜10質量%であることが好ましい。1質量%未満では切断端面耐食性向上作用が有効に発揮されず、また10質量%を超えると化成処理皮膜の粘度が上昇し、塗布性が悪くなるからである。
本発明に用いられるクロメートフリー化成処理皮膜の組成は特に限定されず、公知の皮膜を採用することができる。具体的には、例えば、特開2005−264312号公報に記載のようにエマルジョン組成物から形成された樹脂皮膜であってもよく、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に沸点100℃以下のアミン類、1価の金属の化合物、アジリジン化合物等の架橋剤、さらに必要に応じて用いられるシリカ粒子、ワックス等を含んでいても良い。ここで上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の共重合体である。上記共重合体としては、ランダム共重合体が最も好ましいが、ブロック共重合体や、不飽和カルボン酸部分がグラフトしたような共重合体でも良い。またエチレンの一部に変えてプロピレンまたは1−ブテン等のオレフィン系モノマーを用いてもよく、さらに本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他の公知のビニル系モノマーを一部共重合(10質量%程度以下)してもよい。エチレンに対する不飽和カルボン酸の共重合比率は、モノマー全量を100質量%とした時に、不飽和カルボン酸が10〜40質量%であることが好ましい。また、上記公報に記載されているように、化成処理皮膜と亜鉛めっき層の間に表面改質層が形成されていても良く、これにより、皮膜密着性が向上する。詳細は上記公報を参照すれば良い。
あるいは、上記クロメートフリー化成処理皮膜として、例えば特開2006−43913号公報に記載の皮膜を用いても良く、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂水性液と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体水性分散液と、シリカ粒子、およびシランカップリング剤を含有するものであってもよい。ここで上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーを鎖延長剤で鎖延長反応して得られるものであり、前記ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種を使用し、前記ウレタンプレポリマーを構成するポリオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、及び、カルボキシル基を有するポリオールの全てを使用するものが好ましい。また、前記鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミンまたはヒドラジンが好適である。前記1,4−シクロヘキサンジメタノールと前記ポリエーテルポリオールの質量比は、1,4−シクロヘキサンジメタノール:ポリエーテルポリオール=1:1〜1:19であることが好ましい。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレングリコール又はポリテトラメチレンエーテルグリコールが好適である。詳細は、上記公報を参照すればよい。また前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、上述した特開2005−264312号公報に記載されたものと同様のものを用いても良い。
上記のような化成処理皮膜を鋼板表面に塗布するには、ロールコート、スプレー塗装、浸漬塗装、カーテンフローなどの方法を用いることができる。
また、クロメートフリー化成処理皮膜は、クリアー層であることが好ましい。なぜならクリアー層とすることによって該化成処理皮膜の下にある亜鉛めっき皮膜の白色が製品外観に反映されるためである。
本発明の亜鉛めっき皮膜は特に限定されず、亜鉛単独めっきの他、亜鉛−Ni、亜鉛−Fe、亜鉛−Al等の亜鉛系合金めっき等が適用でき、まためっき方法も溶融めっき法、電気めっき法、蒸着めっき法、溶射法などいずれも採用可能である。
次に、本発明に用いられる下地鋼板の組成について説明する。なお、下地鋼板中のAl、Mn、S量については、上述した介在物中に存在するAl、Mn、S量も含む意味である。
上記下地鋼板の組成は特に限定されないが、加工性の観点から、軟鋼を対象とすることが好ましい。具体的には、以下のように鋼中成分を制御することが好ましい。
C:0.05%以下(0%を含まない)
Cは強度向上に有効な元素であり過剰になると強度が高くなりすぎることによって加工性が劣化する元素である。そこで、C量は0.05%以下とすることが好ましい。C量はより好ましくは0.04%以下であり、さらに好ましくは0.03%以下である。C量の下限については、加工性の観点からは特に限定されないが、製鋼能力等を考慮し、おおむね、0.002%程度とすることが好ましい。
Si:0.01%以下(0%を含まない)
Siは固溶強化元素として有効であり過剰になると強度が高くなりすぎることによって加工性が低下する。また過剰になると化成処理性が劣化する。そこでSi量は0.01%以下とすることが好ましい。Si量はより好ましくは0.009%以下、さらに好ましくは0.008%以下である。
Mn:0.05〜0.30%
Mnは、Sと結合してMnSを形成させることにより、固溶Sによる脆化を抑制する作用を有する元素である。そこでMn量は0.05%以上とすることが好ましい。Mn量はより好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。一方、Mn量が過剰になると強度が上昇しすぎて加工性が低下する。そこでMn量は0.30%以下とすることが好ましい。Mn量はより好ましくは0.27%以下であり、さらに好ましくは0.25%以下である。
Al:0.002〜0.040%
Alは脱酸の作用を有する元素である。そこでAl量は0.002%以上とすることが好ましい。Al量はより好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.01%以上である。一方、Al量が過剰になると介在物中のAl量が増加して切断端面耐食性を劣化させる。そこでAl量は0.040%以下とすることが好ましい。Al量はより好ましくは0.039%以下、さらに好ましくは0.037%以下である。
P:0.02%以下(0%を含まない)
Pは固溶強化元素であり、過剰になると強度が高くなりすぎて加工性が劣化する。そこでP量は0.02%以下とすることが好ましい。P量は少ないほど良く、より好ましくは0.017%以下、さらに好ましくは0.015%以下である。
S:0.010%以下(0%を含まない)
Sは、固溶Sとして存在すると脆化の原因となり、またMnSとして析出すると切断端面耐食性を低下させる元素である。そこでSは0.010%以下とすることが好ましい。S量は少ないほど良く、より好ましくは0.009%以下、さらに好ましくは0.007%以下である。
本発明に用いられる鋼の好ましい基本成分は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が鋼中に含まれることは当然に許容される。不可避不純物としては例えばNやCrなどが挙げられ、N量は約0.008%以下、Cr量は約0.03%以下である。
さらに本発明に用いられる鋼は、必要に応じて以下の選択成分を含有していてもよい。
Ti:0.01〜0.10%
Tiは炭窒化物形成元素であり、鋼中の固溶C、固溶Nを低減し加工性を向上させる作用を有する。そこでTi量は0.01%以上とすることが好ましい。Ti量はより好ましくは0.02%以上、さらに好ましくは0.03%以上である。一方、Ti量が過剰になると化成処理性および延性が劣化する。そこでTi量は0.10%以下とすることが好ましい。Ti量はより好ましくは0.09%以下、さらに好ましくは0.08%以下である
B:0.0001〜0.003%
Bは耐縦割れ性を向上させるのに有効な元素である。そこで、B量は0.0001%以上とすることが好ましい。B量はより好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.001%以上である。一方、B量が過剰になると加工性が劣化する。そこでB量は0.003%以下とすることが好ましい。B量はより好ましくは0.0025%以下、さらに好ましくは0.002%以下である。
次に、上記クロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
下地鋼板に存在する直径0.1〜5.0μmの微小介在物中のAl量、Si量、およびMn量が低減された上記鋼板を得るためには、鋼を溶製し、連続鋳造を行ってスラブを得た後、熱間圧延、酸洗、冷間圧延し、焼鈍した後、亜鉛めっきを施し、化成処理を行うという一連の工程において、特に冷延後の焼鈍条件を留意することが重要である。具体的には600〜700℃で15〜30時間の焼鈍を行なうことが好ましく、このような長時間の焼鈍をするためにはバッヂ焼鈍が好ましい。従来は、焼鈍温度を上記範囲よりも高くし、かつ焼鈍時間を上記範囲よりも短くし、おおむね、750〜900℃で3分〜6分の範囲に制御していたが、本発明者らの検討結果によれば、焼鈍時間を従来どおりに短くして行なうと、微小介在物中のAl量、Si量、およびMn量が本発明の範囲を超えるようになり、所望とする切断端面耐食性が得られないことが判明した。これは、従来よりも低温で長時間焼鈍することによって微細な介在物の個数が減少するため、その結果直径0.1〜5.0μmの微小介在物中のトータルのAl量、Si量、およびMn量も減少することが原因であると考えられる。
冷延後の焼鈍条件以外の製造条件については通常行われる範囲で適宜定めることができる。例えば、熱間圧延は加熱温度を1050〜1250℃、仕上温度を850〜950℃、巻取温度を500℃以上とすればよく、冷間圧延は冷延率を50%以上とすればよい。
また亜鉛めっきの方法は特に限定されず、溶融亜鉛めっき、電気めっき法、蒸着めっき法、溶射法などを適宜採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
表1に示す成分組成の鋼を真空溶解炉で溶製し、インゴットを作製した。このインゴットを1100℃に加熱し、仕上温度880℃、巻取り温度500℃で熱間圧延を行い、板厚3.2mmの熱延板を得た。続いて、熱間圧延板を酸洗し表面のスケールを除去した後、板厚0.8mmとなるように冷間圧延した。得られた冷延板をアルカリ電解脱脂し、表面に付着した圧延油を除去した後、N2雰囲気下630℃で17時間焼鈍を行った。その後下記の条件で電気めっき、およびクロメートフリー化成処理を施した。
電気めっき条件
めっき液組成:ZnSO4・7H2O 350g/l
Na2SO4 80g/l
2SO4 20g/l
NiSO4・6H2O 0.9g/l
FeSO4・7H2O 9g/l
Fe2(SO4)3・nH2O(n=9.5) 1.8g/l
Na2MoO4・2H2O 0.03g/l
40%Cr2(SO4)3溶液 0.9g/l
電流密度 :50A/dm2
めっき液温度:60℃
電極(陽極):IrOx電極
めっき付着量:20g/m2
クロメートフリー化成処理条件
本実施例では、特開2005−264312号の実施例に記載の製造方法に基づき、亜鉛めっき層の上に表面改質層およびクロメートフリー化成処理皮膜を順次形成した。
具体的には、上述のようにして電気めっきを施した亜鉛めっき鋼板をアルカリ脱脂してから水洗、乾燥した後、以下の手順で表面改質層を形成した。表面処理剤として、重リン酸アルミニウム水溶液(日本化学工業社製)を固形分で50%(表面改質層形成用組成物の固形分を100%としたときの値:以下同じ)とコロイダルシリカ(「スノーテックス−O」;日産化学工業社製、固形分20%)と水とを混合したものを用意した。この表面処理剤に、前記脱脂後の亜鉛めっき鋼板を2秒浸漬してから引き上げ、余分な溶液をでリンガロールで除去した後、スプレー圧50kPaで5秒間水洗し、40℃で乾燥することにより、亜鉛めっき層の上に表面改質層を形成した。
次に、ポリオレフィン系ディスパージョン(「ケミパールS100」;ケミパールは登録商標;三井化学社製)に、エポキシ系架橋剤(「リカボンドAP355B」;中央理化工業社製)を固形分で5%(クロメートフリー化成処理皮膜形成用組成物の固形分100%としたときの値:以下同じ)、粒子径10〜20nmのシリカ粒子(「スノーテックス40」;日産化学工業社製)を固形分で30%、球形ポリエチレンワックス(「ケミパールW700」;三井化学社製)を固形分で5%になるように配合して撹拌し、クロメートフリー化成処理皮膜形成用組成物を調製した。前記亜鉛めっき鋼板の表面改質層の上に、上記の組成物をバーコートで塗布した後、板温95℃で1分加熱乾燥し、付着量0.5μmのクロメートフリー化成処理皮膜が形成されたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板を得た。
介在物組成の測定方法(電解抽出分析法)
上記の亜鉛めっきおよびクロメートフリー化成処理を施す前の鋼板を切断し、幅方向の中心位置から、長さ20mm×幅10mm×厚さ0.8mmの試料を採取し、非水溶媒系の10%アセチルアセトン電解液に浸漬し、20mA/cm2の電流値で定電流電解し、鋼を溶解した。その溶解液を孔径5.0μmのフィルターに通し、孔径0.1μmのフィルター上に残留した直径0.1〜5.0μmの介在物を採取した。この介在物を灰化した後、炭酸ナトリウム:四ほう酸ナトリウム=2:1の液で加熱してガラス状に溶融し、さらに塩酸:水=1:1の液に溶融して溶液化し、ICP発光分析装置にてAl、Mn、およびSの定量分析を行った。
この方法によれば、上記介在物に含まれる各成分の含有量が算出されるため、下地鋼板全体に占める各成分の組成を計算により算出できる。なお、本実施例で用いた分析装置によれば、下地鋼板全体に占める各成分の量は自動的に算出されるようになる。
切断端面耐食性の評価
上記のクロメートフリー化成処理まで行った鋼板を板厚方向に切断し、幅方向の中心位置から長さ100mm×幅30mm×厚み0.8mmの試料を採取した。試料を脱脂後、塩化ビニル製サンプルラックに設置して恒温恒湿試験を実施した。サンプルの設置位置は、ラック内位置の影響をなくすため任意の4ヵ所にそれぞれ試料を設置した(n=4)。試料の前後には、恒温恒湿試験機内を循環する風がサンプルに直接当たるのを避けるため、長さ100mm×幅50mm×厚さ0.8mmのダミー板を設置した。恒温恒湿試験は、40℃、95%RHに3時間保持後、20℃、60%RHに1時間保持するというサイクルを28日間繰り返し行った。この条件は、結露の発生を想定して設定したものであり、高湿下のサイクル試験を行なっている点で、従来の一般的な切断端面耐食性評価試験に比べて過酷な条件を採用している。試験開始から28日後に切断端面の赤錆の発生状況を拡大鏡(倍率3倍)を用いて観察するとともに、切断端面の写真を撮影し、画像解析により切断端面に占める赤錆の面積率を測定した。このようにして得られた面積率の結果(n=4)の平均値を算出し、下記基準に基づいて切断端面耐食性を評価した。本実施例では、◎および○を、切断端面耐食性に優れると評価した。なお、得られた赤錆の面積率に対して分散分析を実施し、材料毎の面積率の平均値は統計的に有意であることを確認している。
◎:赤錆面積率1.0%未満
○:赤錆面積率1.0%以上2.0%未満
△:赤錆面積率2.0%以上3.0%未満
×:赤錆面積率3.0%以上
結果を表1に示す。
表1より、下地鋼板における介在物中のAl、Mn、S量が本発明の範囲内に制御されたNo.1、3、4、11〜13は切断端面耐食性が良好であったのに対し、上記の含有量が本発明の範囲を外れる上記以外のNo.2、5〜10では、切断端面耐食性が低下した。
実施例2
本実施例では、前述した実施例1において、クロメートフリー化成処理皮膜中に所定の金属吸着腐食防止剤を添加したときの切断端面耐食性効果を調べた。
まず、表2に示す成分組成の鋼種AおよびBを用いること以外は、前述した実施例1と同様にして電気亜鉛めっき鋼板の上に表面改質層を形成した。
次に実施例1で用いたクロメートフリー化成処理皮膜形成用組成物に、表3に示す各種添加剤を固形分で10質量%配合して攪拌し、前記表面改質層の上にバーコートで塗布した。表3の添加剤のうち酸化ジルコニウム以外は、本発明で規定する好ましい化合物である。塗布後、鋼板温度95℃で1分間加熱乾燥し、付着量0.5μmのクロメートフリー化成処理皮膜が形成されたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板を得た。
次いで、実施例1と同様にして、下地鋼板全体に占める介在物中のAl量、Mn量、およびS量を測定すると共に、切断端面耐食性を評価した。
これらの結果を表4、および表5に示す。
まず、鋼種Aを用いた表4について考察する。
鋼種Aは下地鋼板における介在物中のAl、Mn、S量が本発明範囲を外れるものであり、化成処理皮膜中に金属吸着腐食防止剤を含有しないNo.22、および本発明で規定する金属吸着腐食防止剤を含有しないNo.14では切断端面耐食性が劣っている。一方、本発明で規定する金属吸着腐食防止剤を含有させたNo.15〜21では、良好な切断端面耐食性が得られており、上記金属吸着腐食防止剤が切断端面耐食性の向上に寄与していることが確認された。
次に、鋼種Bを用いた表5について、表4と対比しながら考察する。
鋼種Bは下地鋼板における介在物中のAl、Mn、S量が適切に制御されたものである。表5のNo.23〜31と、前述した表4のNo.14〜22とは、下地鋼板に用いられる鋼種が異なるだけで、化成処理皮膜中に含まれる添加剤の種類は同じである。
本発明に規定する好ましい金属吸着腐食防止剤を用いた例について検討すると、鋼種Bを用いたNo.24〜26はそれぞれ、鋼種Aを用いたNo.15〜17と比較して、切断端面耐食性が更に向上していることが分かる。同様に、鋼種Bを用いたNo.28〜29はそれぞれ、鋼種Aを用いたNo.19〜20と比較して、切断端面耐食性が一層向上している。すなわち、下地鋼板の介在物制御と化成処理皮膜中の金属吸着腐食防止剤の添加により、切断端面耐食性が一段と向上していることがわかる。
図1は鋼板の切断端面を示すSEM写真である。

Claims (5)

  1. 冷間圧延後、N2雰囲気下で焼鈍して得られた下地鋼板の上に亜鉛めっき皮膜及びクロメートフリー化成処理皮膜が施された鋼板であって、
    前記下地鋼板は、
    C :0.05%(質量%の意味。以下、同じ。)以下(0%を含まない)、
    Si:0.01%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.05〜0.30%、
    Al:0.002〜0.040%、
    P :0.02%以下(0%を含まない)、
    S :0.010%以下(0%を含まない)
    を含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ
    前記下地鋼板に存在する直径0.1〜5.0μmの介在物中に含まれるAl、Mn、およびSは、前記下地鋼板全体に占める割合で、
    Al:100ppm(質量ppmの意味。以下、同じ。)以下、
    Mn:150ppm以下、
    S :150ppm以下
    を満足することを特徴とする切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記下地鋼板が更に、
    Ti:0.01〜0.10%を含有する請求項1記載のクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記下地鋼板が更に、
    B:0.0001〜0.003%を含有する請求項1または2に記載のクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板。
  4. 前記クロメートフリー化成処理皮膜の膜厚が0.05〜5μmであり、且つ、前記クロメートフリー化成処理皮膜は金属吸着腐食防止剤を含有する請求項1〜のいずれかに記載のクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板。
  5. 前記金属吸着腐食防止剤は、キレート剤またはその塩、亜硝酸塩、アミノカルボン酸誘導体、ポリリン酸塩系化合物、カテキン類、または有機アミン塩である請求項に記載のクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板。
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