JPH10330883A - 耐端面錆性に優れる表面処理鋼板 - Google Patents

耐端面錆性に優れる表面処理鋼板

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JPH10330883A
JPH10330883A JP9191698A JP9191698A JPH10330883A JP H10330883 A JPH10330883 A JP H10330883A JP 9191698 A JP9191698 A JP 9191698A JP 9191698 A JP9191698 A JP 9191698A JP H10330883 A JPH10330883 A JP H10330883A
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steel sheet
rust
face
less
resistance
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Katsuhei Kikuchi
勝平 菊池
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
Setsuo Mejika
節男 女鹿
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 切断加工端面の耐錆性に優れる表面処理鋼板
を提供する。 【構成】 C:0.01〜0.08wt%、Si:0.04wt%以下、M
n:0.40wt%以下、 P:0.040 wt%以下、S:0.015 w
t%以下を含み、かつこのMnとSは、Mn(wt%)×S(w
t%)≦0.0030を満足し、さらにSとPは、S(wt%)
×P(wt%)≦0.00020 を満足する範囲で含有する、鋼
板の少なくとも片面に、片面当たりのZn付着量5g/m
2 以上の亜鉛系のめっき層を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として屋内の
大気中で使用する、家電、建材、事務機器等の強度部材
として供される、亜鉛系めっきを施した表面処理鋼板に
関し、特に剪断加工機による切断端面の耐錆性(耐端面
錆性)に優れる表面処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき、すなわち、Zn単独のほ
か、Zn−Ni,Zn−Fe,Zn−Al,Zn−C
r,Zn−Ni−Co,Zn−Al−Crなどの2元合
金、多元合金を含む各種のめっきを施した表面処理鋼板
は、優れた耐食性を有していることから、家電、建材、
事務機器等の製品の部材として広く使用されている。こ
れらの製品部材は、その生産工程で、鋼板の片面または
両面に亜鉛系めっきを施した表面処理鋼板に、上下一対
の工具を備えた剪断加工機により、剪断、打ち抜き(ブ
ランキング)、穴あけ(パンチング)、縁取り(トリミ
ング)など何らかの機械的切断加工を行い、切断によっ
て得られた表面処理鋼板を、必要に応じて、所定の形状
に成形して製造される。
【0003】従来、これらの表面処理鋼板は、製品部材
として一旦使用されると、ユーザーから粗大ゴミとして
廃棄されるか、解体してスクラップ化されるのが一般的
であった。これに対し、最近、地方自治体では廃棄物処
分場の拡大が限界にきていることから、あるいは、省資
源や省エネルギーを通じて、地球環境を保護するという
観点から、この製品部材を、鉄資源として回収再利用す
るのみならず、その一部を原形を保ったまま回収して、
製品の一部としてそのまま再利用するという気運が高ま
りつつある。このような情勢の下では、最終製品の製造
者自らが、販売した製品をそのまま、あるいはその一部
の部材を回収し、製品の一部として再利用するようにな
つてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
表面処理鋼板を使用して製造した各種の製品は、大気環
境で使用中に、その切断端面に徐々に赤錆が発生して、
使用時の外観を悪化させるばかりか、上述した再利用に
は到底適するものではなかった。さらに、例えば、家電
製品の場合には、もし使用中の部材に端面錆が発生して
いると、錆の欠落等による電気的な短絡の発生などのト
ラブルも懸念されていた。
【0005】このような切断端面における錆(端面錆)
発生の問題は、特に、表面処理鋼板としてPCM(Prec
oated Metal)鋼板を採用した場合に、しばしば典型的に
みられた。ここに、PCM鋼板とは、製品加工メーカー
で通常行う塗装を、鋼板メーカーが母板の状態で予め塗
装を施したものをいい、例えば、亜鉛系めっきの上に、
りん酸塩処理あるいはクロメート処理等の化成処理を行
い、その上に、塩化ビニールあるいはポリエステルなど
の樹脂を用いた塗装あるいはラミネートを施したものを
いう。上記端面錆の発生は、PCM鋼板では塗装を行っ
た後で切断加工するため、この加工端面で地鉄が露出
し、しかもこの露出部の多くは塗装を行わないために起
こるものである。したがって、このような端面錆の発生
は、めっきのままの状態はもちろん、めっき後クロメー
ト処理などの化成処理を施した場合や、PCM鋼板のよ
うに鋼板面に被覆を施した場合でも、鋼板端面が露出し
たときに、同様に危惧されるものであった。
【0006】このような状況から、めっき、めっき−化
成処理、またはめっき−化成処理−樹脂被覆処理のいず
れかの工程を経て製造された亜鉛系めっき表面処理鋼板
を、切断加工したままの状態で、すなわち切断加工後に
端面塗装など特別な防錆処理を行わない状態で大気中で
使用する場合に、切断端面での錆が発生しない材料が開
発されれば、前述したような製品部材の再利用が可能と
なり、製品コストの低減も可能になると期待される。し
かしながら、従来から行われてきた、表面処理鋼板につ
いての研究は、例えば特開平2−156042号公報に開示さ
れるように、殆どが、自動車向けなどの用途を念頭にし
たものであった。このため、これら技術が指向した耐食
性は、もっぱら平板の耐孔空き性、腐食減量や塗装後の
耐食性についてであり、上述したような切断端面におけ
る下地鋼板の耐錆性については、全くといってよいほど
関心が払われず、その報告も見当たらない。
【0007】そこで、本発明の目的は、亜鉛系めっきを
施した表面処理鋼板における、従来技術が抱えているこ
のような問題点に鑑み、製品部材の再利用を可能とする
ための耐端面錆性に優れる表面処理鋼板を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上掲の目的
を実現すべく、耐端面錆性について鋼成分の側面から研
究を重ねた。その結果、鋼成分およびこれらの間の関係
を一定範囲に制御することにより、耐端面錆性を、従来
の表面処理鋼板よりも格段に向上させることができるこ
とを知見し、この発明を完成するに至った。その要旨構
成は下記のとおりである。
【0009】(1) C:0.01〜0.08wt%、Si:0.04wt%以
下、Mn:0.4 wt%以下、P:0.04wt%以下、S:0.015
wt%以下を含み、かつこのMnとSは、Mn(wt%)×S
(wt%)≦0.003 を満足し、さらにSとPは、S(wt
%)×P(wt%)≦0.0003を満足する範囲で含有する鋼
板の少なくとも片面に、片面当たりのZn付着量5g/m
2 以上の亜鉛系のめっき層を形成してなることを特徴と
する耐端面錆性に優れる表面処理鋼板。
【0010】(2) Mn、SおよびPが、0.25×Mn(wt%)
×S(wt%)+S(wt%)×P(wt%)≦0.0009を満足
する範囲で含有する鋼板にめっき層を形成してなる上記
(1)に記載の耐端面錆性に優れる表面処理鋼板。
【0011】(3) 上記亜鉛系のめっき層の表面に、シリ
カ含有クロメート被膜層を、あるいは前記クロメート被
膜層の表面にさらに樹脂被覆層を形成してなることを特
徴とする、上記 (1)または(2) のいずれかに記載の耐端
面錆性に優れる表面処理鋼板。
【0012】
【発明の実施の形態】発明者らは、大気中、とくに屋内
使用環境下における鋼板の腐食が、自動車の腐食などNa
Clの存在により起こる腐食とは異なり、大気中の水蒸気
が凝結して生成した凝結水の存在によって起こることに
鑑み、切断端面で凝結水が存在しても、良好な耐端面錆
性を発揮する鋼成分について研究調査した。その結果、
端面錆は従来の平坦な部位での発錆と異なり、鋼板端面
部のとくにその破断部は凸凹の表面であり、大半の初期
錆がこの部位での結露によってもたらされるものである
ことを知見した。そして、鋼成分における個々の含有範
囲と成分相互の関係を制御して、錆の起点を極力低減す
ることにより、耐端面錆性を改善しうることを見いだし
たのである。
【0013】さらに説明すると、本発明は、マイルドな
大気環境下での初期錆の発生に関しており、腐食が主と
して凝結した水分 (結露) により促進される環境を対象
としている。また、剪断破断による破壊を受けた場所が
混在する端面部という局部を扱った特殊な表面形状下で
の錆発生に関するものである。従って、本発明の内容
は、従来から知られている平滑な面を対象にモデル的に
行われた初期錆発生における知見とは明らかに異にして
いる。すなわち、剪断部は亜鉛めっきおよびその上層に
存在するクロメートあるいは樹脂が存在し、耐食性を保
持するとともに、金属鉄が露出している破断部への犠牲
防食性効果を発揮する。また、破断部は剪断加工時に引
きちぎられているために、決して平坦ではない。その破
断部の凹凸形状は鋼中成分および熱履歴により異なる
が、その形状により大気中の湿分の凝結 (結露) の仕方
が異なる。すなわち、凸面の水面では蒸気圧が高くな
り、凹面では逆に低くなる。実際、蒸気圧pは曲率半径
の逆数1/rと比例し、この現象は毛細管凝結と呼ばれ
る。そこで、ごみなどのすきまや凹面では平面に比べて
水を呼び込みやすく、結露しやすい。本発明は、このよ
うな結露下の環境を対象として複雑な表面形状下の端面
錆の発生をできるだけ遅らせ、またリサイクル可能な程
度に錆が目立たなくした新たなる材料の提供を提案して
いる。以下に、これらの限定理由を説明する。
【0014】C:0.01〜0.08wt% Cは、プレス加工性の点からは少ない方が有利である
が、0.01wt%未満では本発明が対象としている剪断加工
用途では、だれ変形が大きくて切断時のばり(かえり)
が大きくなり、また強度が低下し強度部材としての使途
に不適となる。一方、0.08wt%を超えると、材料強度が
増し、せん断抵抗が大きくなって加工性が悪くなるだけ
でなく、せん断面が小さく(破断面が大きく)なる。し
たがって、C量は0.01〜0.08wt%、好ましくは0.015 〜
0.060 wt%の範囲とする。
【0015】Si:0.04wt%以下 Siは、製鋼上必要な成分であるが、あまり多量に含まれ
ると表面処理性が劣化するので、0.04wt%以下に制限す
る。
【0016】Mn:0.4 wt%以下 Mnは、Siと同様に、製鋼上必要な成分であるが、あまり
多量に含まれると耐端面錆性が劣化するので、0.4 wt%
以下に制限する。なお、好ましいMn量は0.2 wt%以下、
さらに好ましくは0.1 wt%以下である。
【0017】P:0.04wt%以下 Pは、耐孔空き性の点から、あるいは耐候性の点から有
効な成分とされているが、本発明における端面錆性の点
からは、含有量が少ない方が有効である。その理由とし
て、凹凸のある破断部に結露した際、Pの一部が溶解し
局部電池を形成し、錆の起点となっていると思われるか
らである。なお、好ましいP量は0.015wt%以下、さら
に好ましくは0.010 wt%以下である。
【0018】S:0.015 wt%以下 Sは、耐端面錆性に有害な元素であり、少ない方が好ま
しい。とくに、S量が0.015 wt%を超えると、この悪影
響が大きくなるので、上限を0.015 wt%とする必要があ
る。なお、好ましいS量は0.010 wt%以下、より好まし
くは0.005 wt%以下、さらに好ましくは0.0025wt%以下
である。
【0019】Mn(wt%)×S(wt%)≦0.003 Mn(wt%)×S(wt%)の値が0.003 を超えると、耐端
面錆性が低下する。これは、MnS系介在物が凝縮水中に
溶解して端面錆の起点となるからと思われる。したがっ
て、Mn(wt%)×S(wt%)の値は0.003 以下、好まし
くは0.0005以下、より好ましくは0.000125以下の範囲と
する。ただし、上記値を0.0001未満といった低い値にす
るためには、極低Sにする必要があり、脱硫コストの上
昇を招き、技術的にも困難を伴うので、下限は0.0001程
度に止めるのがよい。
【0020】S(wt%)×P(wt%)≦0.0003 Pは、従来、含有量が多いと大気酸化によりりん酸を形
成し、インヒビターとして作用するとされていた。しか
し、発明者らの実験では、S(wt%)×P(wt%)の値
が0.0003を超えると、耐端面錆性が低下するという事実
を見いだした。この理由は必ずしも明らかではないが、
Sが0.015 wt%以下の低S領域では、インヒビターとし
ての効果よりも、MnSとPとの相互作用により、Pが端
面錆の起点となるからであるため、あるいはまた、もし
りん酸が形成されたとしても、凝結水中でこれが解離し
酸として作用し端面錆の発生を促進するため、であるこ
となどが考えられる。したがって、S(wt%)×P(wt
%)の値は、0.0003以下、好ましくは0.0002以下、より
好ましくは0.000075以下、さらに好ましくは0.0000125
以下の範囲とする。ただし、この値を0.00001 未満とい
った低い値にするためには、極低S、極低Pが必要であ
り、脱硫コスト、脱りんコストの上昇を招き、また技術
的にも困難を伴うので、下限は0.00001 程度に止めるの
がよい。
【0021】0.25×Mn(wt%)×S(wt%)+S(wt
%)×P(wt%)≦0.0009 端面錆発生とMn×S, S×Pとの相関性を調べたとこ
ろ、端面錆は、前記のMn×S, S×Pの他に、Mn×Sに
係数をかけたものとS×Pとの合計量にも影響され、上
記式で示される値が、赤錆発生率5%までのサイクル数
と高い相関を有することがわかった。そして、この結果
から、MnとPとでは、赤錆の起点に及ぼす影響の重みが
異なっており、Mn×SはS×Pの1/4の影響を与える
とした場合に両者は等価に扱えること、また、端面錆の
抑制に対して、この式の値も小さくすることが有効であ
ることが導かれた。具体的には、上記式で示す値は0.00
09以下に規制することが好ましく、より好ましくは0.00
05以下、さらに好ましくは0.0002以下であり、さらに一
層好ましくは0.0001以下である。
【0022】上記以外の鋼成分として、Alは脱酸剤とし
て0.01〜0.08wt%含有されていることが好ましい。この
他さらに、Mo, B, V, Cr, Ni, Cuを不純物程度含有し
ていてもよい。
【0023】表面処理 本発明の表面処理鋼板は、上述した成分の鋼板の表面の
少なくとも片面に、犠牲防食を有する亜鉛系のめっきを
施すことにより、耐端面錆性をより一層向上させること
ができる。めっきの方法としては、溶融めっき、電気め
っき、蒸着めっき等いかなる方法でもよい。また、めっ
き金属は、Zn単一系のほか、Zn−Ni、Zn−F
e、Zn−Al、Zn−Crの2元系など、多元合金あ
るいはZn−SiO2、Zn−SiO2−Co, Zn−SiO2−Cr, Zn−樹
脂などの分散めっきなど亜鉛系のめっきであればいかな
るものでもその効果が発揮される。めっきの付着量は、
片面あたり、Zn付着量に換算して、5g/m2 以上必
要である。付着量が5g/m2 未満では、切断端面にお
けるZnによる犠牲防食作用が不十分である。なお、付
着量の上限は特に定める必要はないが、150 g/m 2
超えてもさらなる効果が期待できないので、150 g/m
2 で十分である。
【0024】本発明の効果は、上記亜鉛系めっきのまま
でも得られるが、さらに、未塗装で使用する場合の平板
部の赤錆対策、塗装などの被覆処理を行って使用する場
合の平板部の耐食性向上、あるいは耐食性以外の耐指紋
性の付与などのために、亜鉛系めっきを行ったのち、ク
ロメート処理などの化成処理、あるいはさらに被覆処理
を施すことは良好な耐端面錆性とともに平板部の特性を
付与する上で望ましい。本発明鋼板の主たる用途となる
家電、建材、事務機器等の利用分野においては、耐指紋
性も重要な製品特性の一つであるが、上記クロメート処
理は耐指紋性の向上にも有効な処理となる。
【0025】クロメート処理により、亜鉛系のめっき層
の表面に生成させる被膜としては、特に、Cr付着量を
10〜80mg/m2(金属Cr換算)、シリカ付着量を50〜35
0 mg/m2とするシリカ含有クロメート被膜層が望まし
い。というのは、クロメート被膜層中のCrが金属Cr
換算で10mg/m2未満では、耐指紋性が悪く、また亜鉛め
っきの白錆発生の抑制も劣り、結果として端面部の犠牲
防食性効果を劣化させる方向に働く。一方80mg/m2を超
えると6価Crの溶出量が多くなり、製品加工メーカー
におけるアルカリ脱脂液を汚染させることにもなり、ま
た経済的にも不利になるからである。また、シリカ含有
量が50mg/m2未満では耐指紋性が悪く、亜鉛めっきの白
錆発生の抑制が劣り、350 mg/m2を超えると6価Crの
溶出量が多くなり、製品加工メーカーのアルカリ脱脂液
を汚染することなどの弊害があり、また経済的にも不利
になるからである。こうしたクロメート被膜層の上に、
必要によっては、さらに樹脂被覆層を形成することも可
能である。樹脂被覆層を形成することによって、さらに
平坦部の耐食性と耐指紋性を長期に安定化させることが
できる。樹脂被覆層の付着量としては、0.1 〜3.0 g/
2 が好ましい。0.1 g/m2 未満では樹脂被覆層の効
果がなく、3.0 g/m2 を超えて形成しても樹脂被覆層
の効果は飽和し、経済的に不利となる。
【0026】
【実施例】表1、表2に示す成分組成を有し、残部が実
質的にFeからなり、板厚0.6 〜2.0 mmの低炭素鋼板
に、片面当たりのZn付着量2〜60g/m2 で電気亜鉛
めっき (一部溶融Znめっきあり) を施した。次いで、ク
ロメート処理を、Cr還元率(3価Cr/全Cr)40%
のクロメート液に、液相シリカ(日産化学製スノーテッ
クスO)を添加し、この処理液を金属Cr換算で最大75
mg/m2 まで塗布し、100 〜300 ℃で焼き付ける方法
で行った。また、一部のものについては、さらに、カル
ボキシル基を含むポリオレフィン樹脂と、エポキシ樹脂
と、コロイダルシリカとを含有する水分散液を塗布し焼
付けて樹脂層を被覆した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】このようにして得られた表面処理鋼板を、
剪断機により切断(剪断条件は、板厚に対する剪断部の
長さの割合:30〜60%)し、耐端面錆性を調査した。耐
錆性の評価は、切断した供試サンプルを、一旦20℃に保
持した後、温度30℃、湿度85%の恒温恒湿試験機に入れ
て結露を生じさせ、1日保管した。この処理を1サイク
ルとして、赤錆発生率(=端面の赤錆面積/端面の被検
総面積)5%までのサイクル数を観察し、このサイクル
数が31以上を◎、21〜30を○、11〜20を△、10以下を×
として評価した。なお、赤錆発生率はサイクル毎に、目
視あるいは断面写真を画像解析することにより求めるこ
どかできる。また、耐指紋性は、白色ワセリンを薄く塗
布し、その前後のハンターLab表色系 (JIS Z 8730)
SMカラーコンピュータSM3(スガ試験機製) によ
り、ΔE=[(ΔL)2 +(Δa)2 +(Δb)2
1/2 を計算し、ΔEが2.0 未満を◎、2.0 〜3.0 を○、
3.0 超〜5.0 を△、5.0 超を×として評価した。耐端面
錆性および耐指紋性の調査結果を、Zn付着量とともに
表3、表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表1〜表4に示す結果から明らかなよう
に、本発明に従う表面処理鋼板は、いずれもサイクル数
25以上の成績を示し、良好な耐端面錆性を有している
ことがわかる。また、耐指紋性にも優れていることも示
される。これに対し、比較例では、いずれも耐端面錆性
が劣っている。
【0033】上記実施例における、端面錆発生促進試験
は、実機における端面錆発生傾向と良好な相関があるこ
とを予め確認して採用したものである。なお、従来の試
験方法は、実機における端面錆発生との関係を考慮した
ものではなかった。発明者らが検討したところ、端面錆
発生促進試験方法としては、上記実施例で用いた条件が
最適であるが、使用する環境に合わせて変えることがで
きる。すなわち、試験片の冷却保持温度を10〜30℃の範
囲とし、恒温恒湿試験では温度25〜40℃、湿度75〜95%
の範囲とし、また、恒温恒湿試験機に保持する時間は前
記実施例での1日としてもよいが、5〜10分程度に短縮
してもよい。これは、結露が恒温恒湿試験機に入れて10
分以内に消失しこの間に錆発生が完了するからである。
このような条件での端面錆促進試験を行っても、本発明
はすべて優れた耐端面錆性を発揮するのはもちろんのこ
と、実際に事務機器内に強度部材として採用した時にも
優れた耐端面錆性を有しており、回収部材の再利用が可
能となる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐端面錆性に優れる表面処理鋼板を提供することが可能
となる。また、本発明によれば、Zn系のめっきしたま
まの状態、めっき後に化成処理した状態、あるいはめっ
き−化成処理後に樹脂被覆処理した状態のいずれの場合
であっても、耐端面錆性が良好な表面処理鋼板が得られ
る。また、めっき後の化成処理によりクロメート被膜層
を形成した場合には、耐端面錆性に加えて耐指紋性にも
優れた表面処理鋼板が得られる。したがって、本発明に
よれば、切断加工後に端面塗装などの特別な処理を行う
ことなく、耐端面錆性を向上させ得るので、製品コスト
の大幅な低減が可能となる。また、製品部材の再利用が
可能となり、地球環境の保護に貢献するところ大であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01〜0.08wt%、 Si:0.04wt%以下、 Mn:0.4 wt%以下、 P:0.04 wt%以下、 S:0.015 wt%以下 を含み、かつこのMnとSは、Mn(wt%)×S(wt%)≦
    0.003 を満足し、さらにSとPは、S(wt%)×P(wt
    %)≦0.0003を満足する範囲で含有する鋼板の少なくと
    も片面に、片面当たりのZn付着量5g/m2 以上の亜鉛
    系のめっき層を形成してなることを特徴とする耐端面錆
    性に優れる表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 Mn、SおよびPが、0.25×Mn(wt%)×
    S(wt%)+S(wt%)×P(wt%)≦0.0009を満足す
    る範囲で含有する前記鋼板に前記めっき層を形成してな
    る請求項1に記載の耐端面錆性に優れる表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 前記亜鉛系のめっき層の表面に、シリカ
    含有クロメート被膜層を、あるいは前記クロメート被膜
    層の表面にさらに樹脂被覆層を形成してなることを特徴
    とする、請求項1または2のいずれかに記載の耐端面錆
    性に優れる表面処理鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126764A (ja) * 2008-11-27 2010-06-10 Kobe Steel Ltd 切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板
JP2015045086A (ja) * 2013-07-31 2015-03-12 Jfeスチール株式会社 切断端面の耐食性に優れた鋼板およびその製造方法

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JP2010126764A (ja) * 2008-11-27 2010-06-10 Kobe Steel Ltd 切断端面耐食性に優れたクロメートフリー化成処理亜鉛めっき鋼板
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