JP3840409B2 - 塗装耐食性及び耐孔あき腐食性に優れた耐食性鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塗装耐食性及び耐孔あき腐食性の双方に優れた鋼板に関するものであり、特に孔あき腐食が問題となる自動車、産業用機械、建築物等の工業分野に利用し得る薄鋼板として、極めて有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
Feは大気中でも腐食する為、工業用途に利用される鋼板は、種々の使用環境下に曝しても良好な腐食防止効果を発揮することが要求されている。
【0003】
例えば自動車用鋼板は、顕著な温度変化、高速で飛来する石、寒冷地で用いられる融雪剤等による影響を受ける等、非常に厳しい腐食環境下で使用されている。従って、特に自動車の足回り等に使用される重要保安部品用鋼板では、水分や塩分等が溜まり易い箇所(例えば足回りの溶接継手部、フード、ドアのヘミング部等)が腐食して孔があかないこと(耐孔あき腐食性);塗装鋼板では、塗膜に生じた欠陥部分が腐食して表面外観を損なわないこと(塗装耐食性)等が要求される。更に、寒冷地域では、冬季に道路凍結防止剤(C1-イオン含有)を使用したり、滑り止めの目的で道路に砂利を散布するが、C1-イオンによって鋼板の腐食が促進され、砂利によって塗膜が破壊される、という極めて苛酷な乾湿環境下に繰返し曝される為、特に優れた耐食性能が要求されている。
【0004】
そこで上記要求特性に応えるべく、母材(鋼板自体)及び塗膜の耐食性を高める為の方法が種々提案されている。
【0005】
このうち母材の鋼中成分を制御して耐孔あき腐食性等を高める方法として、▲1▼特開平2−22416号及び▲2▼特開平4−235250号が挙げられる。このうち前者の公報▲1▼では、極低C化し、Cu及びPを組合わせること(更にCa、Ceを添加)により優れた耐孔あき腐食性が得られること;極低C及び高Mnの組合わせにより優れた点溶接性が得られることが開示されている。また、後者の公報▲2▼では、Cu−P系の高耐食性鋼板において、Si及びNiを最小限添加し、SiとNb或いはBを所定範囲に制御することにより耐食性のみならず機械的特性も改善されることが記載されている。
【0006】
ところが上記▲1▼及び▲2▼の鋼板は、特に自動車用途等に適用するには必ずしも充分満足のいくものではなかった。これらはいずれもCu−P系の耐食性鋼板であり、Cuを実質的に0.1〜0.15%以上と多く添加しているが、リサイクル性を考慮すると、できるだけ添加量を少なくすることが推奨される。更に上記▲2▼の如くSiを添加することは酸洗性に悪影響を及ぼす。従って、これらの鋼板は、特に塩化物環境下における耐孔あき腐食性に劣り、塗膜の欠陥部から腐食が進行する恐れがある他、成形性や溶接性等の点で問題がある。
【0007】
一方、塗膜を構成する塗料成分による耐食性改善方法としては、ジンクリッチ塗料(高濃度Zn粉末塗料)が汎用されている。ジンクリッチ塗料は、無機或いは有機のバインダーに高濃度のZn粉末(固形分でZnを50%以上)を含有するもので、苛酷な環境下に使用される防錆塗料の代表的なものである。その防錆機構は、主にZnの電気化学的犠牲保護作用(ZnはFeに比べて電気化学的に卑な金属である為、Feが溶出する前にZnがいわば犠牲となって溶出し、これによりFeの溶出を抑制する)、およびZnの腐食生成物(亜鉛錆)による大気遮断作用によると考えられている。しかしながら、使用環境下によっては、所望の防錆効果を長期間確保できないという問題があった。
【0008】
そこで、ジンクリッチ塗料の更なる耐食性向上を目指して、種々の提案がなされている。例えば▲3▼特開平8−73778号公報には、Znフレークとアルミニウムフレークとアルコールを混合して得られた顔料スラリーと、珪素系結合剤を主成分とするジンクリッチ塗料が;また、▲4▼特開平8−170033号公報には、ポリイソシアネート系展色剤、Zn粉末、および鱗片状酸化鉄を含有する塗料が、夫々開示されている。しかしながら、これらは、使用するバインダー(結着剤)や他の添加剤が制限される等、製造上の問題がある他、塗料との密着性が低下する等の不具合も抱えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、溶接性や加工性、リサイクル性等の塗装鋼板一般に要求される特性を具備しつつ、しかも孔あき腐食、及び塗膜欠陥部からの腐食を有効に抑制し得る塗装鋼板であって、特に自動車用薄鋼板として極めて有用な鋼板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
上記課題を解決し得た本発明に係る塗装耐食性及び耐孔あき腐食性に優れた塗装鋼板は、ジンクリッチ塗料が施された塗装鋼板であって、該鋼板は、鋼中成分として、
C :0.001〜0.10%、
Si:0.5%以下(0%を含む)、
Mn:0.05〜2.0%、
0.03%<Ti+Zr<0.4%(Zrが0%の場合を含む)、
Cu:0.03〜0.5%、
Ni:0.03〜0.5%、
P :0.020〜0.1%、
S :0.01%以下(0%を含む)、
Ca:0.02%以下(0%を含む)、
A1:0.003〜0.20%
を含有し、更に好ましくは、
V :0.10%以下、
Mo:0.25%以下、
Nb:0.10%以下、
Mg:0.02%以下、
Ce:0.02%以下、及び
La:0.02%以下
よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するところに要旨を有するものである。
【0011】
上記塗料は、Znより卑な金属の金属塩を含有することが好ましく、該金属塩の平均粒径を1μm以下に制御すると、一層優れた耐食性効果を長期間発揮させることができる。
【0012】
本発明の塗装鋼板は、自動車用材料として極めて有用である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、例えば自動車用等に用いられる鋼板に要求される特性として、溶接性や加工性、強度等の機械的特性、リサイクル性に優れることは勿論のこと、良好な耐孔あき腐食性を備えており、更には、鋼板に塗膜を施したときの塗装耐食性も良好な鋼板を提供すべく、特にジンクリッチ塗料を用いた塗装鋼板を中心に検討を重ねてきた。前述した通り、ジンクリッチ塗料は優れた防錆作用を有するが、使用環境(特に塩化物存在下)によっては、充分な特性が得られないという実情に鑑み、更なる特性改善を目指したのである。
【0014】
その結果、所定の成分組成に制御された鋼板にジンクリッチ塗料を塗布すれば、母材自体の耐食性が高められるのみならず、ジンクリッチ塗料の優れた耐食効果も、使用環境にかかわらず良好に発揮され、塗膜の耐食性が著しく向上すること;この様な効果は、ジンクリッチ塗料に所定の金属塩を添加することにより一層高められ、極めて優れた防錆効果が長期間持続されることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
具体的には、
▲1▼鋼中成分のうち、特にTi及びZrを適切に制御することにより、C1-イオン存在下等で顕著に見られるFeの腐食生成物(鉄錆、特にβ錆)が緻密化される結果、耐孔あき腐食性が向上するのみならず、これら元素の添加により、塗膜中に含まれるZnの腐食生成物(亜鉛錆)も緻密化される結果、(そのメカニズムは詳細には明らかになってはいないが)緻密化した生成物が亜鉛錆層の隙間を埋めるようにして沈殿し、塗膜の欠陥部が修復されて塗装耐食性も向上すると考えられること;
▲2▼更に、ジンクリッチ塗料中に、Znよりも卑な金属の金属塩を添加することにより、Znの溶出が抑制される結果、塗装耐食性が一層向上することが明らかになった。
【0016】
この様に本発明は、ジンクリッチ塗料が施された塗装鋼板の耐食性(塗装耐食性及び耐孔あき腐食性)を長時間良好に発揮することのできる鋼板の成分組成、更にはジンクリッチ塗料の好ましい組成を突き止めたところに技術的意義が存在するものである。
【0017】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0018】
本発明の耐食性鋼板は、ジンクリッチ塗料が施された塗装鋼板において、鋼中成分として、C:0.001〜0.10%、Si:0.5%以下(0%を含む)、Mn:0.05〜1.5%、0.03%<Ti+Zr<0.4%(Zrが0%の場合を含む)、Cu:0.03%以上0.1%以下、Ni:0.03〜0.1%、P:0.020〜0.1%、S:0.01%以下(0%を含む)、Ca:0.02%以下(0%を含む)、A1:0.003〜0.05%を含有するところに特徴がある。
【0019】
まず、本発明に用いられる鋼中成分のうち、耐食性向上に寄与する元素を中心に説明する。
【0020】
0.03%<Ti+Zr<0.4%(Zrが0%の場合を含む)
TiとZrは本発明を最も特徴付ける元素であり、鉄錆及び亜鉛錆を緻密化させることにより、耐孔あき腐食性及び塗装耐食性の向上に寄与するものである。
【0021】
本発明者らは、独自に開発したX線回折法(XRD)による錆定量分析法に基づき、錆生成物について検討したところ、Ti、更にZrは、鉄錆(特に塩化物環境下で顕著に見られるβ錆)を緻密化できることを見出した。鉄錆は、鋼中のFeがFe2+(Fe3+)イオンとなって溶出し、水酸化物若しくは酸化物へ変化したものであるが、Feイオンが溶出する際、鋼中の添加元素もFeと同時に溶出し、錆の生成を促進することが知られている。その生成を抑制するのに上記元素が有効に作用するのである。
【0022】
更に本発明者らの検討結果により、Ti及びZrは、塗膜中の亜鉛錆も緻密化し得ることが明らかになった。腐食が進行し、塗膜も侵されると亜鉛錆が生じるが、上記元素を添加すると、これらが亜鉛錆中に取込まれて該錆が微細化・緻密化される結果、大気が遮断されてジンクリッチ塗料の消耗速度が低下し、塗膜の耐食性が改善される。また、上記元素を添加すると、腐食が更に進行して鋼板に孔があいたとしても、孔に緻密な亜鉛錆が溜まる為、耐孔あき腐食性も高められるものと考えられる。この様にTi及びZrが、鉄錆のみならず亜鉛錆も緻密化し得、耐孔あき腐食性のみならず塗装耐食性の改善効果も発揮することは本発明者らによって始めて見出された知見である。
【0023】
この様な作用を有効に発揮させる為には、TiとZrを合計で0.03%以上添加する。好ましくは0.035%以上、より好ましくは0.05%以上である。但し、合計添加量が0.4%を超えると、加工性や靭性が劣化する。好ましくは0.3%以下である。
【0024】
尚、Ti及びZrのいずれも、上述した作用を有するが、本発明では、Zrが0%の場合も含み得る。Zrに比べ、Tiの方が、より優れた耐食作用を発揮する為である。
【0025】
更に本発明では、上記Ti,Zrの他、Cu,P,Ni等を添加して耐食性の更なる向上を図る他、Sを制御して腐食の起点を低減させている。
【0026】
Cu:0.03〜0.5%
Cuは鉄錆を緻密化して耐食性向上に寄与する元素であり、Pと共に添加することにより、耐食作用が一層高められる。かかる作用を有効に発揮させる為に0.03%以上(好ましくは0.05%以上)添加する。しかしながら、過剰に添加すると加工性が低下し、経済性、リサイクル性等に劣る為、上限を0.5%とする。好ましくは0.3%以下であり、より好ましくは0.1%未満である。
【0027】
P:0.020〜0.1%
Pも耐食性向上に有効な元素であり、特にCuやNiとの複合効果により、その作用は著しく高められる。具体的にはPは、Cu、Ni、Ti等によって微細化された錆生成物(鉄錆及び亜鉛錆)を鋼材表面に沈殿させ、塗膜欠陥部を修復するものと考えられる。更に、Pが錆生成物(錆層)に取込まれることにより、イオン選択性が発現され、有害なC1-イオンの侵入を排除して耐食性が向上すると考えられる。この様なP添加による作用は、特にリン酸塩処理等の表面処理鋼板において有効である。更にPは、プレス加工性を確保しながら強度を調整する作用も有する。
【0028】
これらの作用を有効に発揮させる為には0.020%以上(好ましくは0.03%以上)添加する。しかしながら、0.1%を超えて添加すると、溶接性の悪化や加工による脆化を招く。好ましくは0.08%以下である。
【0029】
Ni:0.03〜0.5%
Niは、鉄錆を緻密化して耐食性を高める他、特に、表面性状の向上に有用である。例えばCu添加鋼では表面にヘゲ疵が発生し易いが、鋼中にNiを添加すると、この欠疵を有効に防止することが可能である。また、Niは鋼材の活性溶解抑制(即ち、腐食し難くなる)も有している。この様な作用を有効に発揮させる為には、Niを0.03%以上(好ましくは0.05%以上)添加する。尚、その上限は特に限定されないが、Niは高価であり、リサイクル性にも劣ることから、0.5%以下(好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.1%以下)とする。また、Cuの添加量に応じてNi量を適切に制御することが推奨され、例えば、耐食性や表面性状等の観点からCuを0.20%を超えて添加する場合には、NiをCu量の半分程度に制御することが好ましい。
【0030】
S:0.01%未満(0%を含む)
Sは本発明の耐食性向上作用を確保する為に有害な元素であり、0.01%未満に制御することが必要である。Sは鋼中で金属元素等と結合して硫化物系介在物を形成するが、この介在物と金属との間で電位差が生じ、腐食の起点となって耐食性が低下する他、偏析等の問題が生じるからである。S含有量は少なければ少ない程良く、本発明では0%も含まれるが、経済性等を考慮すれば、下限を0.001%程度とすれば良い。
【0031】
Si:0.5%未満(0%を含む)
Siは、脱酸及びプレス加工性を確保しながら強度を調整するのに有効な元素であるが、更に、鉄錆の微細化効果も有している。この様な作用を有効に発揮させる為には、0.2%以上添加することが好ましい。しかしながら、過剰に添加すると熱延時に鋼板表面に濃化し、鋼板の酸洗性が低下する為、その上限を0.5%未満とする。好ましくは0.4%以下である。
【0032】
Ca:0.02%以下(0%を含む)
Caは孔食防止に有効な元素である。Feの腐食が進行すると孔食内部で腐食反応が起こって酸性化し、更に腐食が促進するが、Caの添加により、Feと同時にCaも溶解し、孔食内部をアルカリ性にして孔食の進展を阻止するものと考えられる。この様な作用を有効に発揮させる為には0.0005%以上添加することが推奨される。但し、0.02%を超えて添加しても上記作用は飽和してしまう他、鋼の脆化を招く為、その上限を0.02%とする。
【0033】
A1:0.003〜0.2%
A1は鉄錆を緻密化し、安定な錆層の生成を促進する作用がある。この様な作用は0.003%以上(好ましくは0.005%以上)添加することによって有効に発揮され、Tiとの複合添加により当該作用は著しく向上する。しかしながら、過剰に添加すると溶接性が低下する他、リサイクル性にも劣る為、その上限を0.2%(好ましくは0.15%、より好ましくは0.05%)とする。
【0034】
以上が、主に、耐食性向上に有用な元素であるが、その他の基本成分は以下の通りである。
【0035】
C:0.001〜0.10%
Cは鋼の強化元素として有用であり、その為に、0.001%以上(好ましくは %以上)添加する。但し、添加量が0.10%を超えると、セメンタイト等の炭化物(通常の製造工程において、腐食時にカソードとなる)が多量に生成し、炭化物と地鉄の間に生じる電位差によって腐食が促進し、耐食性が低下する。強度向上と耐孔あき腐食性との兼ね合い等を考慮すれば、上限を0.07%とすることが推奨される。
【0036】
Mn:0.05〜2.0%
Mnは、Sによる高温割れを防止すると共に、強度の調整に有効な元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、0.05%以上(好ましくは0.1%以上)添加する。但し、過剰に添加すると全伸びが著しく低下し、加工性に劣る為、その上限を2.0%とする。好ましくは1.5%以下である。
【0037】
本発明の基本成分は上記の通りであるが、更に耐食性を高める目的で、下記元素の少なくとも一種を添加することが推奨される。
【0038】
V:0.10%以下、Mo:0.25%以下、Nb:0.10%以下、Mg:0.02%以下、Ce:0.02%以下、及びLa:0.02%以下よりなる群から選択される少なくとも一種
これらの元素はいずれも、耐食性向上に寄与する元素であり、夫々、単独で、或いは2種以上を併用することができる。
【0039】
このうちVは鉄錆の緻密化に有用であり、更に鋼の強化及び加工性改善にも寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.01%添加することが推奨される。但し、Vは高価であり、0.10%を超えて添加しても効果が飽和してしまい、鋼が脆化することから、その上限を0.10%以下に制御することが推奨される。
【0040】
MoもVと同様、耐食性向上、鋼の強化及び加工性改善に有用な元素である。特にモリブデン酸は塩素イオンの侵入を阻止するので、塩化物環境下の腐食防止に有用である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.01%以上添加することが推奨される。但し、Moは高価であり、0.25%を超えて添加しても効果が飽和する為、上限を0.25%とする。
【0041】
Nbも、固溶Ti量を増加させ、耐食性の改善に寄与する他、鋼の強化及び加工性の向上に有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、0.01%以上添加することが推奨される。しかしながら、Nbは高価であり、0.10%を超えて添加すると鋼が脆化する為、その上限を0.10%とする。
【0042】
その他、Mg、Ce及びLaはCaと同様、鋼材の溶解に伴うpH低下を抑制し、鋼の腐食を抑制して耐食性向上に寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、Mg:0.005%以上、Ce:0.005%以上、La:0.005%以上添加することが推奨される。但し、過剰に添加してもその作用は飽和してしまう為、上限を、各元素につき、夫々、0.02%とすることが推奨される。
【0043】
以上が本発明の好ましい成分組成であり、残部:Feおよび不純物である。
【0044】
次に、本発明に用いられる塗料(ジンクリッチ塗料)について説明する。
【0045】
本発明では、塗料中にZnを固形分で、50%以上含有するジンクリッチ塗料を使用する。上述した通り、ジンクリッチ塗料は優れた防錆作用を有するが、使用環境下によっては、この様な作用が低下することが指摘されている。ところが本発明の如く、成分組成が適切に制御された鋼板にジンクリッチ塗料を塗布すれば、苛酷な環境下に曝されたとしても、Zn系塗料本来の優れた犠牲防食作用及び環境遮断作用を有効に発揮させることが可能になった。
【0046】
この様な作用を更に長時間発揮させる為には、上記塗料に、Znより卑な金属の金属塩を添加することが好ましい。これにより、塗料自体による防錆作用(亜鉛錆の溶解抑制作用)が著しく高められるからである。
【0047】
この様な作用を発揮する金属としては、Znより卑なものであれば特に限定されず、例えば、K、Ca、Na、Ba、Al、Mg等が挙げられる。本発明では、上記金属を金属塩として使用するが、例えばリン酸塩(リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、リンモリブデン酸塩(リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸カリウム等)、モリブデン酸塩(モリブデン酸カルシウム等)、メタホウ酸塩(メタホウ酸バリウム等)等が挙げられる。なかでもリン酸マグネシウム、リンモリブデン酸アルミニウムは溶解時にpHを上昇させ、Znの溶解抑制作用が顕著に得られる為、極めて有用である。
【0048】
耐食性を更に改善する為には、上記金属塩を微粒子形状とすることが好ましい。微粒子の方がZn粉末間の隙間に侵入し易く、接触面積が増大するからである。尚、その程度は微細である程好ましいが、製造面や取扱い性等を考慮して、電子顕微鏡等で確認したときの平均粒径を1μm以下(より好ましくは0.5μm以下)に制御することが推奨される。尚、一次粒子のみならず凝集した後の二次粒子においても、平均粒径を1μm以下とすることが好ましい。
【0049】
上記金属塩は、ジンクリッチ塗料中に、固形分当たり0.1%以上(より好ましくは1.0%以上)添加することが好ましく、これにより、所望の効果を有効に発揮させることができる。但し、20%を超えるとZn粉末の量が減少し、ジンクリッチ塗料本来の防錆作用が損なわれる。より好ましくは10%以下である。
【0050】
上記塗料には、皮膜形成成分(バインダー樹脂)として、シリケートやエポキシ樹脂等が含まれる。更に、塗料に添加通常含まれる公知の添加剤[例えば着色用顔料(酸化チタン、弁柄等)、体質顔料、タレ止め剤、沈降防止剤、発泡抑制剤、塗料安定剤(合成ゼオライト等)、水分除去剤(オルトギ酸メチル等)、カップリング剤、レベリング剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、増感剤等]を、本発明の作用を損なわない範囲で添加することもできる。また、錆面への浸透性向上等の観点から、必要に応じて、有機溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等)等を添加しても良い。
【0051】
次に、本発明の塗装鋼板を製造する方法について説明する。本発明の方法は特に限定されず、通常の製造条件を採用することができる。
【0052】
このうち鋼板は熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板のいずれも用いられる。例えば熱間圧延鋼板は、転炉または電炉で溶製した後、連続鋳造または造塊鋳造を行ってから熱間圧延して製造する。その際、溶製後に脱ガス処理する等、鋳造後の分解圧延等を行うことも可能である。また、冷間圧延鋼板は、上記の熱間圧延を行った後、冷間圧延及び焼鈍すれば良い。
【0053】
次いで、上記の各鋼板に、ジンクリッチ塗料を塗布する。尚、予め、上記鋼板にリン酸塩処理等の化成処理を行うことは、塗装耐食性を高めるうえで極めて有用である。
【0054】
上記塗料の塗装方法は特に限定されず、公知の手段(ディッピング法、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法等)を採用することができる。また、塗膜の膜厚も特に限定されず、乾燥後の膜厚で5〜250μmとすることが推奨される。
【0055】
上記塗装鋼板には、各種用途に応じて、リン酸塩処理等の化成処理を施したり、電着塗装を施しても良い。また、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、超厚膜形エポキシ樹脂タールエポキシ樹脂、エポキシ樹脂MIO塗料、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、フタル酸樹脂、塩化ゴム樹脂等種々の樹脂や、有機皮膜処理等を施しても良い。
【0056】
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0057】
【実施例】
表1に示す種々の化学成分を有する鋼について、実機レベルの溶製を行った後、仕上温度900℃、巻取温度600℃の実機熱間圧延を行い、酸洗後、冷延率70%の冷間圧延、800℃×1分間の連続焼鈍を施して各鋼板を製造した。
【0058】
上記の各鋼板を薄板に加工して脱脂し、耐食性の評価に供した。具体的には、表2に記載の塗料を含むエポキシ系樹脂を塗布した後、板温約100℃で60秒間乾燥し、厚さ20μmの塗膜を施した。使用した金属塩の粒径は、電子顕微鏡(SEM、倍率1000倍)を用いて合計5視野を観察し、その平均粒径を算出した。
【0059】
また、得られた各鋼板の孔あき腐食性を下記条件で評価した。
【0060】
まず、上記鋼板を70mm×150mmのサイズに切断し、エッジをシールした後、自動車材料腐食試験方法(JASO−M609)に準じ、35℃の5%NaCl水溶液を2時間噴霧→60℃で4時間乾燥→50℃・95%相対湿度下で2時間放置というサイクル(1サイクル8時間)を1日3サイクル、合計30日間行った。30日経過後、サンプルの評価面の錆を除去し、評価面を等間隔に16区画に分割して、各区画ごとに最大孔あき深さを測定し、その平均値を算出した。
【0061】
この様にして得られた最大孔あき深さの平均値に応じて、下記の5段階に分けて孔あき腐食性を評価した。
【0062】
◎◎: 80μm未満
◎ : 80μm以上、100μm未満
○ :100μm以上、200μm未満
△ :200μm以上、300μm未満
× :300μm以上
更に塗装耐食性の評価は以下の手順で行った。まず、上記の塗装鋼板を70mm×150mmのサイズに切断し、自動車用のリン酸塩処理とカチオン型電着塗装を行った。塗装面にカッターナイフで、金属板素地に達する×印(長さ80mm)を刻み入れ、上記サイクルを1日3サイクル、合計30日間行った。30日経過後、クロスカット部からの片側最大膨れ幅を測定し、下記基準で塗装耐食性を評価した。
【0063】
◎◎:2.7mm未満
◎ :2.7mm以上、3.0mm未満
○ :3.0mm以上、4.0mm未満
△ :4.0mm以上、5.0mm未満
× :5.0mm以上
これらの結果を表3及び表4に併記すると共に、図1に、TiとZrの合計量と孔あき深さの関係をグラフ化して示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
-
【0068】
このうち表3は、表1に記載の鋼種A〜Pを用い、ジンクリッチ塗料のみ(金属塩を含まない)塗布した例である。
【0069】
まず、No.1〜10は本発明の要件を満足する例であるが、孔あき耐食性及び塗装耐食性の双方に優れている。
【0070】
これに対し、No.11〜16はいずれも、TiとZrの合計が本発明の要件を満足しない例であり、更に耐食性向上に寄与する他の元素の添加量も少ない例である。具体的には、No.11はCu及びNiが非添加で、P量が少なく、S量が多い他、C量も多い例;No.12〜16はいずれも、Cu及びNiの量が少ない例であり、これらはすべて、孔あき耐食性及び塗装耐食性の双方に劣っていた。
【0071】
また、表4は、表1に記載の鋼種Aを用い、表2に記載の様々な金属塩を含有するジンクリッチ塗料で塗装した例である。これらの金属塩含有塗料で塗装した鋼板(No.1〜8)は、金属塩無添加の塗料で塗装した鋼板(No.9)に比べ、孔あき耐食性及び塗装耐食性が共に著しく向上している。
【0072】
【発明の効果】
本発明な上記の様に構成されているので、溶接性や加工性、リサイクル性等の塗装鋼板一般に要求される特性を具備しつつ、孔あき腐食、及び塗膜欠陥部からの腐食を有効に抑制し得る塗装鋼板を提供することができた。本発明の塗装鋼板は、自動車、建築、造船等、腐食が問題となる工業分野に好適に用いられ、特に自動車用薄鋼板として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Ti及びZrの添加量と、最大孔あき深さとの関係を示すグラフである。
Claims (5)
- ジンクリッチ塗料が施された塗装鋼板において、
該鋼板は、鋼中成分として、
C :0.001〜0.10%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.5%以下、
Mn:0.05〜2.0%、
0.03%<Ti+Zr<0.4%、
Cu:0.03〜0.5%、
Ni:0.03〜0.5%、
P :0.020〜0.1%、
S :0.01%以下(0%を含む)、
Ca:0.0005〜0.02%、
A1:0.003〜0.20%
を含有し、残部がFeおよび不純物であることを特徴とする塗装耐食性及び耐孔あき腐食性に優れた塗装鋼板。 - 更に、
V :0.10%以下、
Mo:0.25%以下、
Nb:0.10%以下、
Mg:0.02%以下、
Ce:0.02%以下、及び
La:0.02%以下
よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである請求項1に記載の塗装鋼板。 - 前記塗料は、Znより卑な金属の金属塩を含有するものである請求項2に記載の塗装鋼板。
- 前記金属塩の平均粒径は1μm以下である請求項3に記載の塗装鋼板。
- 自動車用材料とされるものである請求項1〜4のいずれかに記載の塗装鋼板。
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