JP6701792B2 - 塗装耐食鋼材及び耐食鋼材の防食方法 - Google Patents
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Description
[1] 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
P:0.001〜0.20%
を含有し、
S:0.05%以下、
Cr:0.30%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
前記鋼材の表面、又は、前記鋼材の表面に存在するさび層に接するSn含有層とを有し、
前記Sn含有層はSnイオン供給物質とバインダーとを含有し、
前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする塗装耐食鋼材。
[2] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Ti:0.150%以下、
Mo:1.00%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[1]に記載の塗装耐食鋼材。
[3] 前記鋼材が、更に、質量%で、
W:1.00%以下、
Ni:0.50%未満、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の塗装耐食鋼材。
[4] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
[5] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
[6] 前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の酸可溶性の金属イオン供給物質を含有し、
前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
[7] 前記Sn含有層に接する有機樹脂層を有し、前記有機樹脂層は、10〜100μmの膜厚であることを特徴とする上記[1]〜[6]の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
[8] 前記Sn含有層は、5〜50μmの膜厚であることを特徴とする上記[1]〜[7]の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
[9] 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
P:0.001〜0.20%
を含有し、
S:0.05%以下、
Cr:0.30%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、
前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする耐食鋼材の防食方法。
[10] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Ti:0.150%以下、
Mo:1.00%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[9]に記載の耐食鋼材の防食方法。
[11] 前記鋼材が、更に、質量%で、
W:1.00%以下、
Ni:0.50%未満、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[9]又は[10]に記載の耐食鋼材の防食方法。
[12] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[9]〜[11]の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
[13] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[9]〜[12]の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
[14] 全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする上記[9]〜[13]の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
[15] 前記Sn含有層を形成した後、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする上記[9]〜[14]の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
[16] 前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする上記[9]〜[15]の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
Cは、強度を向上させる元素であり、0.001%以上を含有させることが必要である。好ましくはC量を0.01%以上とする。一方、C量が0.20%を超えると耐食性が劣化するため、C量を0.20%以下とする。好ましくは、C量を0.10%以下とし、より好ましくは0.05%以下とする。
Siは、脱酸及び強度の向上に寄与する元素であり、0.01%以上を含有させることが必要である。好ましくはSi量を0.05%以上とする。一方、2.50%を超えるSiを含有させると熱延スケールの固着や靱性の低下の原因となるため、Si量を2.50%以下に制限する。好ましくはSi量を1.00%以下、より好ましくは0.50%以下とする。
Mnは、強度及び靭性を向上させる元素であり、0.10%以上を添加する。好ましくはMn量を0.20%以上とし、より好ましくは0.50%以上とする。一方、2.0%以上のMnを添加すると、粗大なMnSが生成し、耐食性や機械特性が劣化するため、Mn量を2.0%以下とする。好ましくはMn量を1.50%以下とし、より好ましくは1.20%以下とする。
Cuは、上述のように、本発明では重要な元素であり、緻密なさび層を形成させ、耐食性を顕著に発現する極めて重要な元素である。耐食性を確保するために、Cu量を0.10%以上とすることが必要である。好ましくはCu量を0.20%以上とする。一方、1.00%を超えてCuを添加すると製造性が低下するため、Cu量を1.00%以下とする。好ましくはCu量を0.70%以下、より好ましくは0.40%以下とする。
Pは、保護性さびの形成を助長させるため、0.001%以上を含有させてもよい。保護性さびの形成を重視する場合は、好ましくはP量を0.02%以上、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.09%以上とする。一方、Pは、鋼材の機械特性や製造性を低下させる元素でもあることから、P量の上限を0.20%以下にすることが必要である。機械特性を重視する場合は、P量を0.10%以下にすることが好ましい。
Sは、不純物であり、熱間加工性や鋼材の機械特性を低下させるため、S量を0.05以下に制限する。好ましくはS量を0.02%以下、より好ましくは0.015%以下とする。
Crは、耐候性を高める元素であるが、塗膜疵部で局部腐食を著しく進行させるため、Cr量を0.30%以下に制限する。より好ましくはCr量を0.20%以下、更に好ましくは0.10%以下とする。Crは、焼入れ性を高めて強度を向上させる元素でもあり、0.01%以上を含有させてもよい。
更に、塗装耐食性を向上させるために、Ti、Moの一方又は両方を含有させることができる。
Moは、Cuと同時に添加することにより、塗装疵部での耐食性を向上させる元素である。Mo量は0.01%以上が好ましく、より好ましくは0.10%以上とする。一方、Moは高価な元素であるため、コストの観点からMo量は1.00%以下が好ましく、より好ましくは0.50%以下とする。
TiもCuと同時に添加することにより、塗装疵部での耐食性を向上させる元素である。Ti量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくはTi量を0.03%以上とする。更に好ましくは、0.08%である。一方、0.150%超のTiを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、Ti量の上限は0.150%以下が好ましい。
Wは、高塩化物環境での耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはW量を0.10%以上とする。一方、Wも高価な元素であるため、コストの観点からW量は1.00%以下が好ましく、より好ましくは0.50%以下とする。
Niは、塩化物環境での耐食性を向上させる元素であり、また、本発明の塗装用耐食鋼材のようにCuを含有する場合、製造性を高める効果を発現する。好ましくはNi量を0.01%以上とし、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Niも高価な元素であるため、コストの観点からNi量は0.50%未満が好ましく、より好ましくは0.30%以下、更に好ましくは0.20%以下とする。
Snは、耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはSn量を0.02%以上、更に好ましくはSn量を0.05%以上とする。一方、Snを過剰に含有させると熱間加工性や靭性が低下するので、Sn量は0.50%以下が好ましい。より好ましくはSn量を0.30%以下とする。
Nbは、窒化物を形成する元素であり、結晶粒の微細化や強度の向上を目的として、0.001%以上を含有させてもよい。より好ましくはNb量を0.005%以上とする。一方、0.150%超のNbを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、Nb量の上限は0.150%以下が好ましい。Nb量のより好ましい上限は0.10%以下であり、更に好ましくは0.050%以下とする。
Vは、Nbと同様、窒化物を形成する元素であるが、主に、析出強化による強度の改善のために添加することができる。効果を得るために、V量を0.005%以上とすることが好ましい。より好ましくはV量を0.010%以上とする。一方、0.50%超のVを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、V量の上限は0.50%以下が好ましい。V量のより好ましい上限は0.20%以下であり、更に好ましくは0.30%以下とする。
Taは、強度の向上に寄与する元素であり、0.001%以上を含有させてもよい。また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、Taは耐食性の向上にも寄与し、より好ましくはTa量を0.005%以上とする。一方、Taを過剰に含有させるとコストが上昇するため、Ta量は0.040%以下が好ましい。より好ましくはTa量を0.020%以下とする。
Bは焼入れ性を高めて強度を向上させる元素であり、0.0001%以上を含有させてもよい。より好ましくはB量を0.0003%以上、更に好ましくは0.0005%以上とする。一方、0.010%超のBを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、B量の上限は0.010%以下が好ましい。B量のより好ましい上限は0.005%以下であり、更に好ましくは0.003%以下とする。
更に、脱酸や介在物の制御を目的として、Al、Ca、Mg、REMの1種又は2種以上を含有させることができる。
Alは、脱酸剤であり、0.005%以上を含有させることが好ましく、より好ましくはAl量を0,01%以上、更に好ましくは0.02%以上とする。一方、Alを過剰に含有させると、介在物の増加によって延性や熱間加工性を損なうことがあるため、好ましくはAl量を0.10%以下とする。より好ましくはAl量を0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下とする。
Ca、Mg、希土類元素(REM)は、酸化物や硫化物の制御に用いられる元素であり、それぞれ、0.0005%以上を含有させてもよい。Ca、Mg、希土類元素(REM)は、何れも0.010%を超えて添加すると、機械特性が損なわれる場合があるため、上限は0.010%以下が好ましい。より好ましくは、それぞれ、上限を0.005%以下とする。
(Sn化合物の添加量)×[(Sn原子量)/(Sn化合物の分子量)]
(M化合物の添加量)×[(M原子量)/(M化合物の分子量)]
Claims (16)
- 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
P:0.05〜0.20%
を含有し、
S:0.05%以下、
Cr:0.30%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
前記鋼材の表面、又は、前記鋼材の表面に存在するさび層に接するSn含有層とを有し、
前記Sn含有層はSnイオン供給物質とバインダーとを含有し、
前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする塗装耐食鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Ti:0.150%以下、
Mo:1.00%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗装耐食鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
W:1.00%以下、
Ni:0.50%未満、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の塗装耐食鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。 - 前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の酸可溶性の金属イオン供給物質を含有し、
前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。 - 前記Sn含有層に接する有機樹脂層を有し、前記有機樹脂層は、10〜100μmの膜厚であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
- 前記Sn含有層は、5〜50μmの膜厚であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の塗装耐食鋼材。
- 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
P:0.05〜0.20%
を含有し、
S:0.05%以下、
Cr:0.30%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、
前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする耐食鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Ti:0.150%以下、
Mo:1.00%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項9に記載の耐食鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
W:1.00%以下、
Ni:0.50%未満、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項9又は10に記載の耐食鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。 - 全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
- 前記Sn含有層を形成した後、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする請求項9〜14の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
- 前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする請求項9〜15の何れか1項に記載の耐食鋼材の防食方法。
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