JP2010248567A - 耐食性に優れた表面処理鋼材 - Google Patents

耐食性に優れた表面処理鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】高塩化物環境において、大気腐食に対して保護作用を有する、緻密な酸化物からなる保護性さび層を鋼材の表面に早期に生成し、高耐食性の母材との相乗効果により、高い耐塩性を有する表面処理鋼材を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:2.5%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、Cu/Sn比が1以下である組成を有する鋼材であって、その表面あるいはその鋼材の表面錆層に、Al3+イオンをAl換算で0.1〜5質量%と、Fe3+イオンとの生成定数Kが下記(1)式を満たす1種または2種以上のアニオン化合物(但し、フッ素イオン、リン酸イオンおよび水酸イオンの化合物を除く)を1〜40質量%含有する有機樹脂組成物の被膜を乾燥膜厚として5〜50μmを有することを特徴とする表面処理鋼材。
2.5<logK ・・・ (1)式
さらに、Ti、Nb、Mo、W、V、Ca、Mg及びREMのうちの1種または2種以上を含んでもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、大気腐食、特に塩分が飛来する海岸地帯や、岩塩などの凍結防止剤が散布される地域、さらには海洋鋼構造物のような塩化物環境下における大気腐食に対して保護作用を有する、緻密な酸化物からなる保護性さび層を鋼材の表面に早期に生成し、高耐食性の母材との相乗効果により耐塩性に優れた表面処理鋼材に関する。
一般に、鋼にCu、Cr、Ni、P等の合金元素を添加することにより、大気中での腐食に対する抵抗性(耐候性)を向上させることができ、これらの元素を添加した鋼は「耐候性鋼」と呼ばれて、橋梁などの構造用鋼として使用されている。
耐候性鋼では、大気腐食の進行に伴って、その表面に、大気腐食に対して保護作用を有する、α−FeOOH(鉱物名:ゲーサイト)を主体とする緻密な鉄系酸化物からなるさび層(以下「保護性さび層」という)が形成され、その後の鋼材の腐食が著しく抑制される。そのため、塗装等の防食処理を施さずに使用することができ、構造物の維持管理(メンテナンス)コストを低減することができる。しかし、保護性さび層が形成されるまでに数年から10年以上かかり、その間に赤さび、流れさび等が発生するという景観上の問題がある。
さらに、塩分が飛来する海浜や海岸地帯、あるいは岩塩等が融雪剤、凍結防止剤等として散布される山間部や寒冷地といった、塩化物環境においては、塩化物によって上記の保護性さび層の生成が阻害され、鋼材が著しく腐食するという、別の問題がある。即ち、塩化物環境では、塩化物イオンを取り込むことで結晶構造が安定になるβ−FeOOH(鉱物名:アカガネアイト)が生成し易い。そのため、α−FeOOHを主体とする保護性さび層が生成する代わりに、層状剥離さびに代表される、β−FeOOHを多く含む保護性の乏しいさびが形成される結果、腐食が進行することになる。電気化学的に不活性なα−FeOOHとは異なり、β−FeOOHは電気化学的に活性であるため、β−FeOOHの生成は、Feの溶出反応(酸化反応)の対反応としてカソード反応(還元反応)を担う可能性があり、これが腐食を促進すると考えられている。
安定さびを早期に生成することができる鋼材として、特許文献1には硫酸クロムまたは硫酸銅を1〜65質量%含む有機樹脂塗料を被覆した表面処理鋼材が、特許文献2には、下層に硫酸クロムを0.1〜15質量%含む乾燥膜厚5〜50μmの有機樹脂塗膜を有し、上層に硫酸クロムを含まない乾燥膜厚5〜20μmの有機樹脂塗膜を有する表面処理鋼材が開示されている。これらのいずれの手法も、保護性さび層の生成を促進し、早期に高耐食性を示すため、耐候性の著しい改善が可能であることが実証されている。
塩化物が飛来する地域に効果を発揮する耐候性鋼材として、例えば、特許文献3に示されるように、Niを添加した鋼材が知られている。さらに近年では特許文献4に示されるように高飛来塩分環境でも使用できるSnを含有した鋼材が発明されている。
特許文献5には、鋼材の表面あるいは鋼材のさび層に、硫酸アルミニウムを乾燥質量で1〜65質量%含む有機樹脂塗料を用いて乾燥膜厚5〜150μmの被膜を形成する、耐候性に優れた鋼材の表面処理方法が開示されている。
特開平6−226198号公報 特開2001−81575号公報 特開平11−172370号公報 特開2008−163374号公報 特開平8−13158号公報
上記の特許文献1〜3に記載の手法は、クロムまたはニッケルといったいわゆる重金属を多量に使用する。さらに特許文献3で提案されたニッケル(Ni)含有量を増加させた耐候性鋼材の場合、耐候性はある程度改善されるが、鋼材自体のコストが高くなり、橋梁等の用途に使用される材料としては高価なものになる。これを避けるため、Ni含有量を少なくすると、耐候性はさほど改善されず、飛来塩分量が多い場合には、鋼材の表面に層状の剥離さびが生成し、腐食が著しく、長期間の使用に耐えられないという問題が生じる。
特許文献4の手法は、母材の耐食性もよく、一般的な塗装に対する耐剥離性を著しく高めたものであるが、保護性さび生成により耐食性を向上させるわけではない。
特許文献5の手法は、環境を考慮し硫酸アルミニウムを添加することで保護性さびを生成させるものであるが、使用初期に表面に硫酸アルミニウムが析出し景観性が劣る場合があった。また、上記特許文献5の手法は、極めて厳しい塩分環境では十分な耐食性が得られなかった。
本発明は、従来の鋼材が内包する上述のような問題を解決すべく、高塩化物環境において、大気腐食に対して保護作用を有する、緻密な酸化物からなる保護性さび層を鋼材の表面に早期に生成し、高耐食性の母材との相乗効果により、耐塩性に優れた表面処理鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの知見を踏まえて、飛来塩分量の多い環境での腐食について鋼材の組成について検討した。この結果、このような環境下では、FeCl溶液の乾湿繰り返しが腐食の本質的な条件となり、Fe3+の加水分解によりpHが低下した状態で、かつFe3+が酸化剤として作用することによって腐食が加速されることを見出した。
このときの腐食反応は、以下に示すとおりである。
カソード反応としては、主として、次の反応が起こる。
Fe3++e→Fe2+ (Fe3+の還元反応)
そして、この反応以外にも、次のカソード反応も併発する。
2HO+O+2e→4OH
2H+2e→H
一方、上記のFe3+の還元反応に対して、次のアノード反応が起こる。
アノード反応:Fe→Fe2++2e (Feの溶解反応)
従って、腐食の総括反応は、次の(2)式のとおりである。
2Fe3++Fe→3Fe2+ ・・・・・・(2)式
上記(2)式の反応により生成したFe2+は、空気酸化によってFe3+に酸化され、生成したFe3+は再び酸化剤として作用し、腐食を加速する。この際、Fe2+の空気酸化の反応速度は低pH環境では一般に遅いが、濃厚塩化物溶液中では加速され、Fe3+が生成され易くなる。このようなサイクリックな反応のため、塩分量が非常に多い環境では、Fe3+が常に供給され続けるため、鋼の腐食が加速され、耐食性が著しく劣化することになることが判明した。
このように、飛来塩分量が非常に多い環境では、さび層による保護は期待できないため、鋼自身のアノード溶解反応を遅くすることによって、鋼の腐食を遅らせるのが有効である。
上述の塩分環境における腐食のメカニズムを基に、種々の合金元素の耐候性への影響について検討した結果、次の(a)〜(h)に示す知見を得た。
(a) Snは、Sn2+として溶解し、2Fe3++Sn2+→2Fe2++Sn4+なる反応によりFe3+の濃度を低下させることで、上記(2)式の反応を抑制する。Snには、さらにアノード溶解を抑制するという作用もある。
(b) Cuは、従来から飛来塩分の多い環境において耐食性改善効果の基本とされていた元素であり、比較的濡れ時間が長い環境において耐食性改善効果は見られる。しかしながら、塩化物濃度がさらに大きくなり、局部的にpHが下がるような環境、例えば塩分が付着し、湿度が変化することにより乾湿が繰り返され、β−FeOOHが生成するような比較的ドライな環境では、Cuはむしろ腐食を促進することを知見した。
(c) Niは、従来から耐食性を向上させる合金元素として知られているが、Snと複合添加した場合には、飛来塩分の多い環境における耐食性改善効果が無く、多量に添加すると、逆に耐候性を劣化させることが判明した。このNiの挙動は、Ni添加量が増すほど耐候性が向上するという従来の知見とは相反するものである。
(d) Crは、単独添加した場合には、飛来塩分量の多い環境において耐候性を劣化させるが、Snと複合添加した場合には、飛来塩分量の多い環境での耐候性を向上させる効果を発揮する。
(e) Alを含有させると海浜耐候性が向上する。
(f) Nはアンモニアとして溶解し、腐食界面のpHを上昇させる作用を有する。飛来塩分量の多い環境では、上記Fe3+の加水分解によりpHが低下するが、Nを含有させることにより、腐食界面のpH低下が抑制され、耐候性および塗膜剥離性が向上する。
(g) 上記の(a)〜(f)で述べた合金元素を含有させた材料に、さらに、Ti、Nb、Mo、W、V、CaおよびMgから選んだ1種または2種以上を含有させても、海浜耐候性の改善に効果がある。
(h) さらに、REMを含有させると、鋼材の溶接性が改善される。
また、鋼材の表面を表面処理することでより高い耐食性を得ることについても検討した結果、塩化物環境では、塩素イオンを取り込むことで結晶構造が安定になるβ−FeOOHが生成し易いが、β−FeOOHは、さびの保護性を著しく低下させる上、電気化学的に活性で腐食反応を促進する。従って、塩分飛来量の多い塩化物環境下における鋼材の耐候性を改善するには、そのような塩化物環境下においてもβ−FeOOHが生成しないようにして、保護性の高いα−FeOOHを主体とする保護性さび層を早期に生成させることが有効であることが分かった。
そして、本発明者らは、この観点からさびの生成挙動について検討した結果、特定のカチオンと特定のアニオンを含有する有機樹脂被膜を鋼材表面に形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明者らは、下記の(i)〜(q)に示す知見を得た。
(i) β−FeOOHの生成反応時に、特定のアニオンが共存すると、対イオンであるカチオン種によらず、β−FeOOHが微細化するだけでなく、β−FeOOHの生成量が低下する。この共存アニオンの量が増えると、β−FeOOHの生成が実質的に防止され、α−FeOOHが優先的に生成するようになる。
(j) アルミニウムイオン(Al3+)が共存すると、鋼材のさびは、Fe3−δ(マグネタイト)からα−FeOOH主体のさびとなる。
(k) なお、共存アニオンによる上記効果は、そのアニオンのFe3+との生成定数Kによって、次のとおり判定できる。
Fe3+イオンとの生成定数Kで用いる「生成定数」とは、生成という観点から見た平衡定数のことであり、特に錯体化学の分野でよく用いられる用語である。錯体形成反応の場合、金属イオンをM、配位子をLとした時、下記(3)式で示される錯体形成反応の平衡定数が生成定数となる。
M+nL⇔ML ・・・ (3)式
この生成定数が大きいほど、(3)式の平衡反応は右方向(錯体形成方向)に進行する。従って、生成定数は、形成された錯体の安定度を表すことから、安定度定数と呼ばれることもある。
上記の錯体形成反応は、次の(a)式〜(n)式に示すように、配位子Lが1つずつ配位しながら逐次的に進行する(配位数が1つずつ増えた錯体が順に生成する)。
M+L=ML ・・・ (a)式
ML+L=ML ・・・ (b)式
・・・・・・・・・
MLn−1+L=ML ・・・ (n)式
これらの(a)式〜(n)式の各反応の平衡定数(即ち、生成定数)は、次の(a')式〜(n')式で示される。
=[ML]/[M][L] ・・・ (a')式
=[ML]/[ML][L] ・・・ (b')式
・・・・・・・・・
=[ML]/[MLn−1][L] ・・・ (n')式
ここで、[ ]内はそれぞれの成分のモル濃度(mol/dm)である。
本発明において、アニオンに関して規定した「Fe3+イオンとの生成定数K」とは、そのアニオンをL、Fe3+をMとした時の上記(a)式で示される反応(即ち、中心金属イオンのFe3+にアニオンLが配位子として1つだけ配位した錯体MLを生成する反応)の平衡定数を意味する。具体的には、この錯体形成反応は下記(4)式で示され(式中、Fe3+を便宜上「Fe」で表す)、生成定数Kは下記(5)式にて求められる値となる。
Fe+L=FeL ・・・ (4)式
=[FeL]/[Fe][L] ・・・ (5)式
本発明では、上記(1)式に示したように、(5)式で求められるFe3+との生成定数Kの対数(logK)が2.5より大きいアニオンLの化合物を使用する。
生成定数は多くの化学文献に記載されているが、文献により値が異なることがある。本発明では、生成定数の権威ある文献として知られる、John A. Dean編「LANGE'S HANDBOOK OF CHEMISTRY」、McGraw−Hill Book Co.(1973)に掲載されている生成定数の値を採用する。なお、近年のデータとして、W.Stumm,J.J.Morgan「Aquatic Chemistry−Chemcal Equilibriaand Ratesin Natural Waters」,Third Edition,Wiely−Inerscience(1996)の値があるものは、後者の値を採用する。
(l) 以上より、生成定数Kで特定したアニオン化合物とAl3+カチオンとを含有させた有機樹脂組成物の塗膜は、塩化物の飛来量の大きい塩化物環境下での耐候性が向上することが判明した。この効果は上述した従来技術からは予測することができない現象である。
特許文献4に提案されているように、アルミニウムイオンの供給源として、硫酸アルミニウムを使用すると、雨水と硫酸アルミニウムが容易に反応し、処理された鋼材表面に結合水を持つ硫酸アルミニウム(白色)が析出し、外観を大きく損ねる場合がある。しかしながら、本発明の表面処理鋼材を用いる場合、母材自体が耐酸性能を示すため外観を損ねることはなく、効率的にAl並びにアニオン(硫酸イオン)の効果が顕著に表れる。
(m) また、本発明では、Alがさび層に含有されること、さらにアニオン化合物を含有させることによりβ−FeOOHの生成抑制のみならず、母材中のSnもさび層に含有されることになり、単に耐食鋼材上に表面処理を施した場合とは異なり想定を上回る効果が発揮されることが判明した。すなわち、供給されるAlイオンと母材から溶けだしたSnイオンとが高塩化物環境下においてFeとともに複合酸化物を形成し、保護性を高め、さらに、高飛来環境において鋼材表面の低pH化を抑制するとともに、共存するアニオン化合物の効果によりβ−FeOOHが生成しないため、本発明の鋼材の耐食性との相乗効果により、超長期の耐食性が維持できるものと考えられる。
(n) 生成定数Kで特定したアニオン化合物とAl3+カチオンとを含有させた有機樹脂組成物の塗膜を鋼材の表面に形成するためには、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り等、通常の塗付方法を採用することができる。この際、塗装作業に適した粘度になるように、溶剤で希釈して塗布してもよい。溶剤を用いたときは、塗装後に自然乾燥により蒸散させてもよいし、加熱乾燥してもよい。なお、有機樹脂組成物を鋼材の表面に塗付した直後は一般に鋼材の鋼そのものであるが、経時後は有機樹脂組成物の被膜の直下にさび層、特に保護性さび層が形成される。したがって、鋼材の表面とは、そのようなさび層、好ましくは保護性さび層を表面に有する場合も包含する。
(o) そして、アニオン化合物としては、有機酸化合物を用いるのが好ましい。また、有機樹脂組成物中の有機樹脂の含有量は、有機樹脂組成物の被膜を形成される際に用いられる溶剤を除いて、10〜50質量%含有させるのが好ましい。
(p) 被膜には、所望により1種または2種以上の顔料をさらに含有していてもよい。
(q) 有機樹脂組成物の被膜を有してなる表面処理鋼材は、その上にさらに乾燥膜厚20〜1000μmの有機樹脂塗膜を有していてもよい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであり、その要旨は、次の(1)〜(6)の鋼材にある。以下、総称して、本発明ということがある。
(1) 質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:2.5%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、Cu/Sn比が1以下である組成を有する鋼材であって、その表面あるいはその鋼材の表面錆層に、Al3+イオンをAl換算で0.1〜5質量%と、Fe3+イオンとの生成定数Kが下記(1)式を満たす1種または2種以上のアニオン化合物(但し、フッ素イオン、リン酸イオンおよび水酸イオンの化合物を除く)を1〜40質量%含有する有機樹脂組成物の被膜を乾燥膜厚として5〜50μmを有することを特徴とする表面処理鋼材。
2.5<logK ・・・ (1)式
(2) 鋼材の化学組成として、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.3%以下、Nb:0.1%以下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、V:1.0%以下、Ca:0.1%以下およびMg:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする、上記(1)の表面処理鋼材。
(3) 鋼材の化学組成として、Feの一部に代えて、質量%で、REMを0.02%以下含有するものであることを特徴とする、上記(1)または(2)の表面処理鋼材。
(4) 有機樹脂組成物の被膜中のAl3+イオンの供給源がアルミニウム塩であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの表面処理鋼材。
(5) 有機樹脂組成物の被膜中のアニオン化合物が有機酸化合物であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの表面処理鋼材。
(6) 有機樹脂組成物の被膜の上に、さらに乾燥膜厚20〜1000μmの有機樹脂被膜を有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの表面処理鋼材。
本発明の表面処理鋼材は、高塩化物環境において、大気腐食に対して保護作用を有する、緻密な酸化物からなる保護性さび層を鋼材の表面に早期に生成し、高耐食性の母材との相乗効果により、高い耐塩性を有している。海浜耐候性に優れた材料として最適であり、海浜地域における橋梁等の鋼構造物や、融雪塩や凍結防止剤が散布される地域における橋梁等の構造物に使用するミニマムメンテナンス材料として、土木および建築分野等において広く適用することができる。
以下に、本発明に係る表面処理鋼材について、主に、その鋼材の組成および有機樹脂組成物の被膜について説明する。なお、合金元素の含有量「%」は、いずれも「質量%」を意味する。
1.鋼材の組成
C:0.001〜0.15%
Cは、鋼の強度を確保するために必要な合金元素であるが、多量に含有させると鋼材の溶接性が劣化する。したがって、C含有量は0.15%を上限とする。また、0.001%未満になると所定の強度が確保できないので、下限は0.001%とする。望ましい範囲は、0.005%〜0.15%である。
Si:2.5%以下
Siは、製鋼時の脱酸に必要な合金元素である。同じく脱酸剤としての働きをするAlを含有する場合には、特に添加をしなくてもよいが、Al含有量が0.005%未満の場合には、0.4%以上含有させるのが望ましい。一方、Siを2.5%を超えて含有させると、鋼の靱性が損なわれる。したがって、Siの含有量は2.5%以下とする。また、Siには耐食性を向上させる効果もある。この効果を確実に得たい場合には、0.1%以上添加するのが好ましい。
Mn:0.5%を超え2.5%以下
Mnは、低コストで鋼の強度を高める作用効果を有する元素であり、鋼中のSの含有量が低い場合には、一般に塩分環境における耐食性を向上させる作用を有する。しかしながら、鋼中のSと結合してMnSを形成し、このMnSが腐食の起点となり、耐食性を劣化させる。また、機構は不明であるが、Niと共存する場合にはMnの含有量が2.5%を超えると耐食性が劣化する。したがって、Mnの含有量は2.5%以下とする。望ましくは1.5%以下とする。なお、構造用鋼としての強度を維持するためには、Mnを0.5%を超えて含有させる必要がある。
P:0.03%未満
Pは、不純物として含有されるが、濃厚塩化物環境での過度のPの含有は耐食性を劣化させるため、できるだけ少なくする必要がある。したがって、その含有量は0.03%未満とする。
S:0.005%以下
Sは、不純物として含有されるが、Mnと結合すると非金属介在物のMnSを形成して腐食の起点となり易く、耐食性を劣化させる。したがって、Sの含有はできるだけ少なくする必要があるので、その上限は0.005%とする。
Cu:0.05%未満
Cuは、一般的に耐候性を向上させる基本元素とされ、全ての海浜耐候性鋼や耐食鋼に添加されているが、高飛来塩分下の比較的ドライな環境においては、むしろ耐食性を低下させる。またSnと共存すると鋼材製造時に割れが生じる原因にもなる。したがって、Cuの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Cu含有量は0.05%未満とする必要がある。
Ni:0.05%未満
Niは、一般的に飛来塩分量の多い環境下での海浜耐候性を著しく向上させる元素として従来から鋼中に添加され、Ni系耐候性鋼として開発・実用化されてきている。しかし、理由は定かではないが、Snと複合添加した場合には、耐食性の改善効果がないばかりか、Snによる耐候性改善効果を低下させるという悪影響が現れる。したがって、Niの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Ni含有量は0.05%未満とする必要がある。
Cr:0.01〜3.0%
Crは、塩分量がそれほど多くない環境では耐食性の向上が期待できるが、塩分量が多い環境において鋼のアノード溶解反応を促進し耐候性を劣化させる。ところが、Snを含有する場合には、塩分量が多い環境においても、Cr含有による耐食性の向上効果が発揮される。この効果は含有量0.01%以上で発揮されるが、3.0%を超えると局部腐食感受性が高まるとともに、溶接性が劣化する。したがって、Cr含有量は0.01〜3.0%とする必要がある。なお、Crの含有量の望ましい範囲は0.05〜1.0%である。
Al:0.003〜0.1%
Alは、0.003%以上含有させると耐食性が向上するが、含有量が0.1%を超えると鋼が脆化し易くなる。したがって、Alの含有量は0.003〜0.1%とする。
N:0.001〜0.1%
Nは、アンモニアとなって溶解し、塩分量の多い環境におけるFe3+の加水分解によるpH低下を抑制することで、塩分環境における耐食性を向上させる効果を有する。この効果はNを0.001%以上含有させることにより得られ、0.1%を超えると飽和する。したがって、Nの含有量は0.001〜0.1%とする。含有量の望ましい範囲は0.002〜0.08%である。
Sn:0.03〜0.50%
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高塩分環境における耐食性を向上させる。また、Snには鋼のアノード溶解反応を抑制し耐食性を向上させる作用がある。さらに、Snを含有することにより、塩分が多い環境においてもCrの耐候性を向上させる効果が発揮される。
これらの作用は、Snを0.03%以上含有させることにより得られ、0.50%を超えると飽和する。したがって、Snの含有量は0.03〜0.50%とする。Snの含有量の望ましい範囲は0.03〜0.20%である。
Cu/Sn比:1以下
本発明のようにSnを含有する鋼の場合には、Cuの含有による耐食性の低下が著しい。また、鋼材を製造する際、Cuの含有による圧延割れの原因ともなる。このため、Cu/Sn比、すなわち、Si含有量に対するCu含有量の比を1以下とする必要がある。
本発明の表面処理鋼材は、上記の合金元素の他に、さらにTi、Nb、Mo、W、V、CaおよびMgよりなる群から選ばれた1種または2種以上を含有してもよいし、また、REMを含有してもよい。これらの元素の含有させてもよい理由とそのときの含有量は、次の通りである。
Ti:0.3%以下
Tiは、TiCを形成してCを固定することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐食性を向上させる。また、TiSの形成によりSを固定することによって、腐食の起点となるMnSの形成を抑える。しかしながら、Tiの含有量が0.3%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は0.3%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Tiを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Nb:0.1%以下
Nbには、Tiと同様、NbCを形成することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐食性を向上させる効果がある。しかしながら、Nbの含有量が0.1%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は0.1%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Nbを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Mo:1.0%以下
Moは、溶解して酸素酸イオンMoO 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。しかしながら、Moの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は1.0%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Moを0.01%以上含有させるのが好ましい。
W:1.0%以下
Wは、Moと同様、溶解して酸素酸イオンMoO 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。しかしながら、Wの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は1.0%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Wを0.01%以上含有させるのが好ましい。
V:1.0%以下
Vは、MoやWと同様、溶解して酸素酸イオンMoO 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。しかしながら、Vの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は1.0%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Vを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Ca:0.1%以下
Caは、鋼中に酸化物の形で存在し、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、腐食の促進を抑える効果がある。しかしながら、Caの含有量が0.1%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は0.1%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Caを0.0001%以上含有させるのが好ましい。
Mg:0.1%以下
Mgは、Caと同様、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。しかしながら、Mgの含有量が0.1%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は0.1%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、Mgを0.0001%以上含有させるのが好ましい。
REM:0.02%以下
REMは、鋼の溶接性を向上させる目的で含有させることができる。しかしながら、REMの含有量が0.02%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、その含有量の上限は0.02%とする。なお、この効果を確実に発現させるために、REMを0.0001%以上含有させるのが好ましい。なお、REMとは、ランタニドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称であり、これらの元素のうちの1種又は2種以上を含有させることができる。なお、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
本発明にかかる表面処理鋼材は、上記の必須元素あるいはさらに上記の任意元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼材である。なお、鋼中にオキサイド等の介在物が微細分散されている鋼も本発明の重防食被覆鋼材に含まれる。
ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明に係る表面処理鋼材は、飛来塩分量が多い環境下においても十分な耐候性を有している。海浜耐候性に優れた材料として最適であり、海浜地域における橋梁等の構造物や、融雪塩や凍結防止剤が散布される地域における橋梁等の構造物に使用するミニマムメンテナンス材料として、土木および建築分野等において広く適用することができる。そして、その形状としては、板材、管材、棒材、H型鋼などの異形鋼材を含む多様な形状とすることができる。鋼材の厚みは一般に3mm以上とすることが好ましい。
2.有機樹脂組成物の被膜
塩化物環境における鋼材の腐食では、鉄の溶出反応によってまずFe2+が生成し、これが大気中の酸素によりFe3+に酸化された後、主に、保護性に乏しいβ−FeOOHとして沈殿して、鋼材の腐食が促進されると考えられる。同時に、Fe3−δも多量に生成する。このFe3−δは電子伝導性が高く、腐食反応におけるカソード反応(酸素還元反応)のサイトとして働くため、腐食を加速する。また、前述した通り、β−FeOOHは、塩素イオン(Cl)を取り込むことで結晶構造が安定化する。
本発明では、Al3+イオンと特定のアニオン化合物を含有する樹脂被膜を鋼材の表面に形成するように表面処理を行うことによって、鉄がイオン化した際に生ずるβ−FeOOHが微細化され、さらにその生成も抑制され、かつFe3−δへの転換が抑制されることにより、優先的にα−FeOOHが生成して、α−FeOOHを主体とする保護性さび層の早期形成が可能となり、塩化物環境下での鋼材の耐候性を著しくすることができる。従って、表面処理に用いる有機樹脂組成物が、有機樹脂と溶剤に加えて、Al3+イオンの供給源と上記(1)式を満たす特定のアニオンの供給源とを含有する。
Al3+イオンの供給源はアルミニウム塩の形態でよい。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、リン酸アルミニウム等の無機塩、酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等の有機酸との塩を用いることができる。アルミニウム塩は、1種または2種以上を使用することができる。
本発明で用いるAl3+は、その対アニオンが本発明で規定するアニオンとの塩であってもよい。その場合には、1種類の化合物によって、Al3+イオンと本発明で規定するアニオンの両方を有機樹脂組成物中に供給することができる。
有機樹脂組成物中のAl3+イオンの含有量は、有機樹脂組成物中の溶剤を除く全固形分に基づいて0.1〜5質量%である。この含有量は、対アニオンを含む化合物(塩)全体の質量ではなく、Al換算してなる質量%である。有機樹脂組成物の全固形分に基づく質量%とは、溶剤等の揮発成分を除外した全成分(不揮発分)の合計量に基づく質量%のことであり、乾燥後の有機樹脂組成物の被膜中における質量%と実質的に等しい。
前述したAl3+イオンの効果を得るには、有機樹脂組成物の被膜中のAl3+イオンの量が0.1質量%以上必要である。ただし、この量が5質量%を超えると、被膜のバインダーとなる有機樹脂が不足して被膜が脆くなるとともに、被膜表面から鋼界面に到達する貫通孔が形成されて、流れさびが発生しやすくなる。また、表面に白色の析出物が生成し、景観性を劣化させる。
有機樹脂組成物中に含有させるアニオン化合物は、Fe3+イオンに対する生成定数(以下、単に生成定数という)Kの対数が、上記(1)式、即ち、2.5<logKを満たす、生成定数の大きな(即ち、Fe3+との錯体の安定度が高い)アニオン化合物であることが必要となる。かかるアニオン化合物が鋼材の表面に存在すると、前述したように、塩化物環境で生成するβ−FeOOHが微細化され、さらにはその生成を抑制することができる。
汎用鋼材(普通鋼材、耐候性鋼材)に対して、表面処理剤として硫酸アルミニウムを使用すると、雨水と硫酸アルミニウム並びに母材の鋼材が容易に反応し、処理された鋼材表面に結合水を持つFeを含む硫酸アルミニウム(白色)が析出し、外観を大きく損ねる場合がある問題があった。これに対して、本発明の鋼材を用いる場合、母材自体が耐酸性能を示すため外観を損ねず効率的にAl並びにアニオン(硫酸イオン)の効果が顕著に表れるため、効率的に性能が発揮される。
生成定数Kの対数(logK)が2.5より高いアニオンは、無機、有機を問わずに上記効果を発揮する。logKが2.5以下のアニオンは、β−FeOOHの生成抑制効果が低いため、上記効果は発揮されない。
なお、ハロゲンイオン化合物は一般に、logKの値が2.5より小さく、塩素と同様に、β−FeOOH結晶構造の安定化作用を示し、α−FeOOHの生成を阻害する。ハロゲンイオン化合物のうち、フッ素(F)イオン化合物はlogK=5.28であって、上記(1)式を満たすものの、他のハロゲンイオン化合物と同様に、β−FeOOH結晶構造の安定化作用を示し、α−FeOOHの生成を阻害するので、本発明において使用するのに好ましくない。
また、リン酸および水酸(OH)の各イオン化合物は、logKが2.5より高いものの、次の理由で、本発明において使用するのに好ましくない。リン酸イオン化合物は、K値が高くβ−FeOOHの生成抑制効果をもつが、土壌中に固定化される懸念がある。また水酸イオン化合物は、実際にはアルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム等)として添加されることになるが、強アルカリ性のため、取扱いに危険性があるので、好ましくない。
本発明で使用できるアニオン化合物としては、下記の酸化合物(カッコ内は上記文献記載のlogKの値)を例示することができる:硫酸(4.0)、蟻酸(3.1)、シュウ酸(9.1)、酢酸(4.0)、グリコール酸(4.7)、プロピオン酸(3.45)、乳酸(6.4)、酒石酸(7.5)、クエン酸(13.5)。アニオン化合物は有機酸化合物に限定されるものではないが、樹脂との相溶性を考えると、有機酸化合物が好ましい。
一般に、β−FeOOHの生成抑制効果は、アニオンのlogKの値が大きいほど高くなる。従って、好ましいアニオンは、logKの値が3以上、さらに好ましくは5以上、非常に好ましくは10以上のものである。その意味で、logKの値が5以上である、シュウ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸の各イオンの使用が好ましい。中でも樹脂との相溶性を考慮すると酒石酸イオンまたはクエン酸イオンの使用が特に好ましい。
上記アニオンは、雨水等と接触して容易にイオン化するように、水溶性化合物の形態で使用する。化合物は、そのアニオンの遊離酸でもよく、適当なカチオンとの塩でもよい。塩としては、重金属以外のカチオンとの塩が好ましく、中でも、一般に安価で取り扱いが容易で、水溶性も高いNa塩やK塩といったアルカリ金属塩が適当である。
上記アニオンの水溶性化合物は1種または2種以上を使用することができる。化合物が2種以上である場合、同じアニオンの2種以上の異なる化合物でもよく、異なる2種以上のアニオンの化合物でもよい。アニオン種が異なる2種以上の化合物を使用する場合には、logKの大きなアニオン種の化合物が性能を支配することとなる。従って、少なくとも1種の上記のアニオン化合物が有機樹脂組成物中に含まれている限り、例えば、アルミニウム化合物の対イオン等として、logKが2.5以下のアニオンが有機樹脂組成物に共存していてもかまわない。
有機樹脂組成物への上記アニオンの適正な添加量は、そのアニオンの生成定数にも依存する。当然ながら、logKが2.5より大きければ大きいほど、Fe3+とClとの錯体形成を阻害する効果が高いため、添加量が少なくてすむ。一般に、上記アニオンのアニオンとしての含有量(2種以上使用する場合は合計量)は、有機樹脂組成物の全固形分に基づいて1〜40質量%とする。
塩分が飛来する厳しい大気腐食環境中であってもβ−FeOOHの生成抑制とFe3−δの変態抑制効果を得るには、有機樹脂組成物の被膜が1質量%以上の上記アニオン化合物を含有する必要がある。上記アニオン化合物の量が40質量%を超えると、有機樹脂組成物中の可溶分が多くなりすぎて、被膜の崩壊が早まり、十分な保護性さび層が形成される前に、腐食因子に曝されることになって、厳しい腐食環境における耐候性を保証することができない。上記アニオン化合物の含有量の好ましい範囲は3〜35質量%である。
有機樹脂組成物は、上記のAl3+イオンおよびアニオンに加えて、バインダーの有機樹脂と溶剤を含有する。溶剤は、水と有機溶剤のいずれも可能である。有機樹脂は、溶剤に溶解していてもよく、あるいはエマルジョン状態であってもよい。
バインダーの有機樹脂は特に制限されない。エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が使用できる。特に、ブチラール樹脂単独、またはブチラール樹脂とそれに相溶性のある他の樹脂(例えば、メラミン樹脂やフェノール樹脂等)との混合物が、適度の被膜の透湿性がある(それにより保護性さび層がより早期に形成される)点で好ましい。エチルシリケート樹脂のような無機樹脂も採用することができる。
有機樹脂組成物中には、有機樹脂組成物の被膜を形成される際に溶剤を用いる場合には、その溶剤を除いて、有機樹脂を10〜50質量%含有させるのが好ましい。有機樹脂組成物中の有機樹脂の含有量が10質量%未満では、有機樹脂組成物として鋼材表面に塗装したときに、均一な被膜が得られず、強度および付着力が小さくなることがある。一方、50質量%を超えると、有機樹脂組成物の被膜を通して浸透する水分量が少なくなるので、保護性さび層の生成が遅延する。有機樹脂の含有量のより好ましい範囲は、溶剤を除いて、20〜40質量%である。
有機樹脂組成物には、上記成分以外に、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、α−FeOOH、酸化鉄等の着色顔料、ならびにタルク、シリカ、マイカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料をそれぞれ1種または2種以上添加することができる。
その他、チキソ剤、分散剤、酸化防止剤等、慣用されている添加剤を加えてもよい。また、リン酸を含有させることも可能であり、初期の流れさび流出防止には有効である。但し、前述したように、リン酸イオンは本発明の上記アニオンには含まれないので、その場合でも、上記(1)式を満たす他のアニオンを有機樹脂組成物に存在させる必要がある。
有機樹脂組成物は、使用時に塗装作業に適した粘度になるように、有機溶剤等の溶剤で希釈して濃度を調整してもよい。鋼材表面への塗装方法は、常法に従って、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り等の方法で行うことができるため、場所を選ばずに施工することができ、既存の構造物にも適用可能である。工場で塗装する場合には、ロールコート、浸漬等の他の塗装方法も採用できる。処理する鋼材は、予めショットブラスト、グリッドブラストまたはサンドブラスト等の物理的手段により、あるいは酸洗またはアルカリ脱脂などの化学的手段により、表面からさびを除去しておくことが好ましい。
溶剤は塗装後に自然乾燥により蒸散させることが好ましいので、そのような溶剤を選択することが好ましい。但し、加熱乾燥することも可能である。
塗装は、有機樹脂組成物の被膜が、乾燥後に5〜50μmの厚みに形成されるように行うことが好ましい。被覆の厚みが5〜50μmの範囲であると、塩化物環境でも適切な保護性さび層が早期に生成する。より好ましい被膜厚みは20〜50μmの範囲内である。
3.その他
こうして形成された上記のカチオンとアニオンとを含有する有機樹脂組成物の被膜の上に、さらに、通常の有機樹脂被膜を塗付することもできる。特に飛来塩分量が高い場合には好適である。塗膜厚としては乾燥膜厚で20〜1000μmが好ましい。
すなわち、本発明にかかる有機樹脂組成物の被膜の上に、有機樹脂塗膜を塗付すると、耐候性をさらに向上させることができる。この有機樹脂塗膜は特に限定されるものではないが、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等のうちの1種または2種以上からなる樹脂が有機樹脂層の形成に使用できる。公知の体質顔料、着色顔料も添加することができる。さらに公知の防錆顔料も添加することもできる。
表1に示した化学組成を有するNo.1〜No.26の鋼について、150Kg真空溶解炉で溶製し、インゴットに鍛造した後、1100℃に加熱後、圧延を行って、厚さ4mm×幅150mm×長さ1000mmの寸法の鋼材を作製した。次いで、この鋼材の表裏面を機械研削し、厚さ3.2mm×幅70mm×長さ150mmの試験片を切り出した。なお、本実施例で作製した鋼材の酸素含有量は0.0001〜0.005%の範囲であった。
Figure 2010248567
別途、表2及び表3に示す組成を有する有機樹脂組成物を作成した。この有機樹脂組成物は、有機樹脂、Al3+イオン供給源、アニオン種の化合物、顔料[硫酸バリウム/タルク(質量比で4/1)混合物と酸化鉄(ベンガラ)]、その他添加剤(チキソ剤、沈降防止剤)に適量の溶剤(芳香族炭化水素溶剤およびアルコール系溶剤)を加えたものであって、粘度(B型粘度計測定)は200〜1000cpsである。表中の各成分の添加量(mass%)は、いずれも溶剤を除外した有機樹脂組成物の全固形分に基づく質量%である。
Figure 2010248567
Figure 2010248567
上記の試験鋼材の全面にこの有機樹脂組成物をエアスプレーにより塗装し、溶剤を蒸散させて被膜を乾燥させ、表2および表3に示した膜厚の乾燥被膜を形成した。
得られた表面処理試験片をSAE(Society of Automotive Engineers)J2334試験により評価した。SAEJ2334試験は、次に湿る乾湿繰り返しの条件で行う加速試験であり、腐食形態が大気暴露試験に類似しているとされている(長野博夫、山下正人、内田仁著:環境材料学、共立出版(2004)、p.74参照)。本試験は、飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。
湿潤:50℃、100%RH、6時間、
塩分付着:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl、0.075質量%NaHCO水溶液浸漬、0.25時間、
乾燥:60℃、50%RH、
17.75時間を1サイクル(合計24時間)とした。
SAEJ2334試験を所定サイクル終了後(最大240サイクル)、各試験片の表面の残存処理剤、さび層を除去し、板厚減少量を測定した。試験結果を表2及び表3に示す。同表における「腐食減量」は、試験片の平均の板厚減少量であり、試験前後の重量減少と試験片の表面積を用いて算出したものである。
なお、有機樹脂組成物からなる表面処理剤が何らかの不具合により剥離等が生じた場合を想定して、無処理(無塗装)の鋼材自体の耐食性試験も同様に実施した。SAEJ2334試験、160サイクルならびに、β−FeOOHが生成する塩分付着乾湿繰り返し試験を行った。塩分付着乾湿繰り返し試験は、鋼材を厚さ3mm×幅50mm×長さ50mmに切り出し、予め塩分付着量が1mg/cmになるように塩水を塗布し、40℃の恒温高湿槽にいれ、4時間40%RH、4時間80%RHを1サイクルとして繰り返し、30サイクル毎に、さらに1mg/cmになるように塩水を塗布する試験である。本実施例では、0.171mol/LのNaCl水溶液3mLを鋼材表面全面に塗布して塩分を付着させた。本試験は150サイクル実施し、各試験片の表面のさび層を除去し、板厚減少量を測定した。SAEJ2334試験ならびに塩分付着乾湿繰り返し試験結果を表2及び表3に示す。
有機樹脂組成物による表面処理を施した鋼材をSAEJ2334試験240サイクル後、生成したさびをX線回折法により定量分析した。まず、各供試材に生成したさび層をカッターナイフにより採取した。採取したさび試料をデシケーター内で1週間以上乾燥した後、ZnO粉末(和光純薬製、粒径約5μm)を内部標準物質として、粉末X線回折法により、さび構成化合物の定量分析を行った。粉末X線回折用試料は予め採取したさび重量に対して一定重量比(本発明中では30%)のZnOを混ぜ、めのう乳鉢によりさびとZnOが均一に分散するように混合した。
X線回折測定は理学電気(株)製RU200型を用い、Coターゲット、電圧−電流は30kV−100mAとして、走査速度2゜/minで測定を行った。予め標準試薬であるα−FeOOH、γ−FeOOH(レアメタリック社製)、Fe3−δ(高純度化学製)、およびFeCl水溶液を100℃で加水分解して合成したβ−FeOOHを用いて作製した検量線を用い、得られたX線回折パターンの強度より、定量分析を行った。なお、さび採取時に混入する母材鋼材も、予め腐食していない鋼材を、さび採取時と同様にカッターナイフで鋼材を削りだし、鋼材粉末を用いた検量線を用いて定量を行った。
用いた各成分の回折面は、α−FeOOH[(011)反射]、γ−FeOOH[(020)反射]、β−FeOOH[(110)反射]、Fe[(220)反射]、Fe[(110)反射]である。こうして定量されたさび中のβ−FeOOHの量(質量%)により、表4に判断基準にしたがって、6段階評価した。評点が大きいほど、β−FeOOHの生成率が低く、α−FeOOHを主体とする保護性さび層の生成率が高いことを意味する。その結果を、腐食減量厚みと共に、表2及び表3に示す。
Figure 2010248567
本発明の表面処理鋼材は、表2及び表3の結果から明らかなように、本発明例に係る鋼材では、いずれも本発明で規定する化学組成の鋼材、処理剤配合量を満足しているので、保護性さび生成により優れた耐食性を示している。
これに対して、比較例のNo.23、No.24は母材成分により著しい腐食はないものの、処理剤に保護性さび生成促進成分が不足するため、腐食減量の増大が観察される。No.25はlogK値が2.5を超えるアニオンの添加不足となりβ−FeOOHの生成が抑制されず被膜としての機能を失うと腐食量が増大した。またNo.26は膜厚が3μmと薄すぎると効果が小さい。No.27はアニオン添加量が40を超えると塗装直後から処理被膜の密着力が殆どなく、処理剤端部より剥離が観察されたため試験を中止した。No.28はAl3+イオンが多量であり、80サイクル前には表面に白色物質が析出したため試験を中止した。
No.29は鋼材成分が本発明の規定範囲から外れるため、初期は有機樹脂組成物により耐食性が維持できるが、一度腐食が始まると大きく腐食が進行する。またNo.30及び31は耐食性は良いものの圧延後に微小の割れが観察された。No.32はアニオン量が本発明から外れるため密着耐久性が低く、160サイクル前に処処理剤が端面から剥離した。No.33は鋼材成分が本発明から外れ、母材自体の耐酸性能が劣るため、初期に白色生成生物により外観不良が生じた。
本発明の表面処理鋼材は、高塩化物環境において、大気腐食に対して保護作用を有する、緻密な酸化物からなる保護性さび層を鋼材の表面に早期に生成し、高耐食性の母材との相乗効果により、高い耐塩性を有している。海浜耐候性に優れた材料として最適であり、海浜地域における橋梁等の鋼構造物や、融雪塩や凍結防止剤が散布される地域における橋梁等の構造物に使用するミニマムメンテナンス材料として、土木および建築分野等において広く適用することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:2.5%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、Cu/Sn比が1以下である組成を有する鋼材であって、その表面あるいはその鋼材の表面錆層に、Al3+イオンをAl換算で0.1〜5質量%と、Fe3+イオンとの生成定数Kが下記(1)式を満たす1種または2種以上のアニオン化合物(但し、フッ素イオン、リン酸イオンおよび水酸イオンの化合物を除く)を1〜40質量%含有する有機樹脂組成物の被膜を乾燥膜厚として5〜50μmを有することを特徴とする表面処理鋼材。
    2.5<logK ・・・ (1)式
  2. 鋼材の化学組成として、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.3%以下、Nb:0.1%以下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、V:1.0%以下、Ca:0.1%以下およびMg:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理鋼材。
  3. 鋼材の化学組成として、Feの一部に代えて、質量%で、REMを0.02%以下含有するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面処理鋼材。
  4. 有機樹脂組成物の被膜中のAl3+イオンの供給源がアルミニウム塩であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の表面処理鋼材。
  5. 有機樹脂組成物の被膜中のアニオン化合物が有機酸化合物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の表面処理鋼材。
  6. 有機樹脂組成物の被膜の上に、さらに乾燥膜厚20〜1000μmの有機樹脂被膜を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載の表面処理鋼材。
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