JP5532009B2 - 早期錆熟成耐候性鋼材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
錆を促進させる方法としては、腐食性の物質を塗布して乾燥することが考えられるが、季節によって湿度が異なるため、好ましい色の錆外観を安定して得るは難しい。
(1) 耐候性鋼材の表面が、少なくとも、モル比で0.1≦Cu/P≦20のCuとP、および塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種以上の塩を含む処理層で覆われていることを特徴とする早期錆熟成耐候性鋼材。
(3) 前記耐候性鋼材が、P:0.01〜0.15質量%、Cu:0.10〜1.0質量%、及びNi:0.10〜5.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする(1)または(2)に記載の早期錆熟成耐候性鋼材。
(4) 前記耐候性鋼材が、付加成分としてさらに、Si:0.10〜1.0質量%、Cr:0.01〜3.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする(3)に記載の早期錆熟成耐候性鋼材。
(6) 前記錆層が、鋼材に近い側に、更に、クロム、銅、リンから選ばれる1種以上の元素が存在していることを特徴とする(5)に記載の早期錆熟成耐候性鋼材
(9) 前記処理液を、Cuの付着量が1〜200 mg/m2、Pの付着量が1〜30mg/m2となるよう前記耐候性鋼材表面に塗布することを特徴とする(7)または(8)に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
(10) 前記耐候性鋼材が、P:0.01〜0.15質量%、Cu:0.10〜1.0質量%、及びNi:0.10〜5.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
(11) 前記耐候性鋼材料が、付加成分としてさらに、Si:0.10〜1.0質量%、Cr:0.01〜3.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする(10)に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
ここで、早期とは2日から1週間程度のことを云う。また、意匠性とは、建築物の壁などに、塗装せずにそのまま用いても美麗な褐色(焦げ茶色)の落ち着いた錆外観をもたらすものを云う。
本発明による耐候性鋼材は、その表面が、モル比で0.1≦Cu/P≦20のCuイオンとリン酸、および塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種以上の塩を含む処理層で覆われていることを特徴とする、早期錆熟成耐候性鋼材である。
Pはリン酸により、Cuはその硫酸塩または塩化物から処理層となるため、処理液の濃度および最適pHの関係より、モル比が0.1≦Cu/P≦20の間が好ましい状態の範囲とした。
また、一回あたり均一に処理液で処理するとき、処理液の濃度から、CuとPの付着量は、Cuでは1〜300mg/m2が最適な範囲であり、Pでは1〜30mg/m2が最適な範囲である。表面に処理斑が起きた場合の処理の繰り返しは、3回も繰り返せば十分であることから、Cuが付着量として1〜200mg/m2、Pが付着量として1〜30mg/m2が好ましい範囲である。
塗布する量は、鋼材が均一に濡れる塗布量であれば、例えば0.1〜5mg/cm2(鋼材表面1cm2当たり0.10〜5mg)で、十分な効果が発現できる。乾燥は、室温、例えば25℃±15℃、で行うのが良い。加熱乾燥すると、乾燥が早くなり鋼材との充分に反応しない可能性があるからである。
一方、pHが2.6を越えると、鋼材面の鉄の溶解性が悪くなり、処理液の濡れ性が劣るため、均一な処理となり難く、錆の生成が促進されないだけでなく、均一な錆形成がなされにくくなるからである。
鉄よりも電気化学的電位が貴のCu2+イオン以外のCo2+、Ni2+、Ag+金属イオンも酸化作用のあるイオンとして用いられるが、価格面などから銅が最も望ましい。
Cu/Pのモル比が0.1未満では、Cuイオンの量が少なく、錆を形成させるのに充分な促進作用が得られない。
一方、Cu/Pの比が20を超えると、鋼材表面の大部分がCuで覆われてしまうため、やはり錆の形成が抑制されるからCu/Pは20以下とする。
また、付着量は、上記の条件を満たし、1回あたりCuが1〜200 mg/m2、Pが1〜30mg/m2の範囲で付着するのが望ましい。
塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、これらの塩の飽和塩水の平衡湿度が、相対湿度でそれぞれ、15%、33.6%、32.3%と低いため、冬季のような低湿度環境でも乾燥が遅くなるために湿度が高い季節と同様に褐色の錆が形成されると考えられる。
これらの塩の処理液中の好ましい添加量範囲は、添加量が1質量%以下では効果が少なく、10質量%以上ではほぼ効果が一定となるから1〜10質量%である。さらに好ましくは3〜5質量%である。
Pを含む上記の元素が鋼材表面の錆層中に存在することで、早期に良好な褐色外観を有する錆層が形成されるとともに緻密で安定な錆層となるため、腐食因子となる塩素元素が錆層内部に侵入することなく、表層部にとどまっているためと考えられる。
前述のように安定錆形成能を有する耐候性鋼材であれば、その組成は特に限定されるものではないが、特にP:0.01〜0.15質量%、Cu:0.10〜1.0質量%、及びNi:0.10〜5.0質量%から選ばれた1種以上を含有すると、安定錆の早期形成、形成される錆の意匠性の点で好ましい。付加成分としてさらに、Si:0.10〜1.0質量%、Cr:0.01〜3.0質量%から選ばれた1種以上をさらに含有するとより好ましい。
表1〜3に示す実施例1〜25、および比較例1〜22に示す水準では、一般耐候性鋼(JIS SMA 400AW)と3%Niのニッケル系高耐候性鋼(JIS SMA400W−MOD)のミルスケールつき鋼材から得た試験片(150mm×75mm×5mm)に、ブラスと処理によりミルスケールを除去した後に、表1〜3に示す組成の処理液を、湿度の低い1月の実験室内(相対湿度約35%、平均気温20℃)で鋼材表面が均一に濡れるように1回刷毛塗りした。
評価は目視により行い、評価基準としては、◎:全面に均一外観の褐色錆、○:ほぼ全面が褐色錆で一部に点状の黄色錆、△:全面が黄色錆、×:ほとんど錆無し、とした。
その結果を表1、2に示す。
比較例1の、ブラストしたままの鋼材では、冬季では水を散布してもほとんど錆が生成しない。
比較例2〜3の、Cuイオンだけの場合は、Cuが析出してめっきとなり、暴露試験での良好な錆は得られにくいのがわかる。
比較例4〜7の、リン酸のみの場合は、pHが高い溶液の場合(比較例4〜6)には、塩を添加しても添加しなくても錆生成への効果は無く、比較例7の場合にはリン酸塩と思われる白色の表面となり、錆の生成も促進されなかった。
比較例9〜15より、リン酸とCuが共存しても、Cu/Pの比が本発明から外れる場合には効果が無いのがわかる。
比較例8、16は、Cu/Pの比が適当な範囲にあるが、塩の添加の無いと、褐色の錆外観は1週間では形成されないことがわかる。
比較例17〜18より、pHが低くなり、リン酸が多くなると、リン酸結晶の性質となるために、錆の生成が遅くなる結果となることがわかる。
表3によると、リン酸とCuイオンの両方が無い比較例19,リン酸が無い比較例20の場合は、褐色な外観が得られず、また、Cuイオンが無い比較例21の場合には、均一な褐色な外観が得られないのが解る。リン酸とCuイオンが本発明の範囲にあるが、塩の添加の無い比較例22は、7日後には錆層は形成されるが、実施例23−25よりも塗布1日後の外観では劣り、添加した塩の効果が確認できる。
前記の冬季屋外の結果と上記の結果を総合すると、実施例では、夏冬の季節や湿度の影響なく良好な錆外観を得る効果があることがわかる。
良好な錆外観の得られた実施例2、3の断面を、EPMAで分析した結果、塩素元素が地鉄から遠い側に存在し、塩化物として入れた中のカチオン元素(Mg、Caのいずれか)、リンが地鉄に近い側に存在していることが解った。
一方、比較例5、比較例9の同様の分析の結果では、アニオン元素の塩素とその対のカチオン元素(Mg)はほぼ同じ位置に分布していることが解った。
この結果から、地鉄に近い側にカチオン元素とリン(P)が存在する錆構造となることで、錆の安定化にあまり良くないアニオン元素の塩素が入りにくいために鋼材から遠い側に存在し、その結果良好な外観の錆が形成されると考えられる。
Claims (12)
- 耐候性鋼材の表面が、少なくとも、モル比で0.1≦Cu/P≦20のCuとP、および塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種以上の塩を含む処理層で覆われていることを特徴とする早期錆熟成耐候性鋼材
- 前記処理層中において、Cuが付着量として1〜200mg/m2であり、Pが付着量として1〜30mg/m2であることを特徴とする請求項1に記載の早期錆熟成耐候性鋼材
- 前記耐候性鋼材が、P:0.01〜0.15質量%、Cu:0.10〜1.0質量%、及びNi:0.10〜5.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の早期錆熟成耐候性鋼材。
- 前記耐候性鋼材が、付加成分としてさらに、Si:0.10〜1.0質量%、Cr:0.01〜3.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする請求項3に記載の早期錆熟成耐候性鋼材。
- 前記耐候性鋼表面に経時によって形成される錆層が、鋼材に近い側にリチウム、マグネシウム、カルシウムから選ばれる1種以上の元素が存在し、鋼材から遠い側に塩素が存在している構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の早期錆熟成耐候性鋼材
- 前記錆層が、鋼材に近い側に、さらに、クロム、銅、リンから選ばれる1種以上の元素が存在している構造であることを特徴とする請求項5に記載の早期錆熟成耐候性鋼材
- 耐候性鋼材表面に、pHが2以上2.6未満であり、モル比が0.1≦Cu/P≦20であるCuイオンとリン酸(H3PO4)、および塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種以上の塩1〜10質量%を含む処理液を塗布、乾燥させることを特徴とする早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
- 前記処理液がリン酸(H3PO4)を0.02質量%〜0.15質量%、Cuイオンを0.01〜2.0質量%含有していることを特徴とする請求項7に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
- 前記処理液を、Cuの付着量が1〜200mg/m2、Pの付着量が1〜30mg/m2となるよう前記耐候性鋼材表面に塗布することを特徴とする請求項7または8に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
- 前記耐候性鋼材が、P:0.01〜0.15質量%、Cu:0.10〜1.0質量%、及びNi:0.10〜5.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
- 前記耐候性鋼材が、付加成分としてさらに、Si:0.10〜1.0質量%、Cr:0.01〜3.0質量%から選ばれた1種以上を含有する鋼よりなることを特徴とする請求項10に記載の早期錆熟成耐候性鋼材の製造方法。
- 請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法により得た早期錆熟成耐候性鋼材に、水の散布と乾燥を1日に1回以上行うことを特徴とする錆付耐候性鋼材の製造方法。
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