JP2013014816A - 角形鋼管用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.10〜0.40%、Mn:1.20〜1.50%、Al:0.003〜0.06%、Ti:0.005〜0.050%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ下記式で定義されるCeqが0.34以上を満たす鋼素材を900〜1200℃に加熱した後、圧延を開始し、Ar3点以上で圧延終了後、Ar3点以下からAr3点−400℃以下まで水冷し、その後、500℃以下での焼戻しする角形鋼管用鋼板の製造方法およびそれにより得られる角形鋼管用鋼板。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
【選択図】 なし
Description
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼材の強度を上昇させるのに極めて有効な元素である。強度を確保するためには、0.05%以上含有させる必要がある。一方、0.20%を超えると、硬化組織が形成され、成形時に表面疵が発生しやすくなり、靭性も劣化する。したがって、C含有量は0.05〜0.20%とした。
Siは、Alとともに製鋼時の脱酸剤として有効な元素であり、鋼の強度上昇にも極めて有効である。しかし、その含有量が0.10%未満ではこれらの効果が得られない。一方、含有量が0.40%を超えると靭性が劣化する。したがって、Si含有量は0.10〜0.40%とした。
Mnは、焼き入れ性を向上させ、鋼の強度および靭性を確保する上で重要な元素である。しかし、その含有量が1.20%未満では靭性向上への効果が低い。一方、Mnを1.50%を超えて含有させると、これらの効果が飽和するばかりでなく、連続鋳造によるスラブの製造時に中心偏析の主要因となる。したがって、Mn含有量は1.20〜1.50%とした。
Alは製鋼時の脱酸剤として有効な元素であり、0.003%以上含有させる必要がある。一方、0.06%を超えて含有させると靭性を劣化させる。したがって、Al含有量は0.003〜0.06%とした。
Tiは、Nと結合してTiNとしてスラブ中に微細に析出し、加熱時のオーステナイト粒の粗大化を抑制するので、圧延組織の微細化に有効である。また、TiNが鋼中に存在すると、溶接時に熱影響部の粗大化を抑制する。このため、Tiは母材および溶接部の靭性を改善する上で必要な元素である。これらの効果はその含有量が0.005%未満では不十分であるが、0.050%を超えて含有させると溶接部の低温靭性を劣化させる。したがって、Ti含有量は0.005〜0.050%とした。
Nbは、熱間圧延時の未再結晶温度域を広げ制御圧延を容易にし、強度および靭性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.05%を超えて含有させると溶接熱影響部の靭性を劣化させるので、Nbを含有させる場合の上限を0.05%とする。上記の効果は、Nbを0.005%以上含有させた場合に顕著となる。
Cuは、母材の強度を高める作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.40%を超えて含有させると鋳片の表面性状を劣化させるので、Cuを含有させる場合の上限を0.40%とする。上記の効果は、Cuを0.05%以上含有させた場合に顕著となる。
Niは、鋼中に固溶して靭性を高め、かつ焼き入れ性を向上させることにより強度を高める作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、1.0%を超えて含有させると焼き入れ性が過剰となり溶接熱影響部靭性が劣化するので、Niを含有させる場合の上限を1.0%とする。上記の効果は、Niを0.05%以上含有させた場合に顕著となる。
Crは、安価に焼き入れ性を高めることができ、強度を高める作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.50%を超えて含有させると溶接熱影響部靭性が劣化するので、Crを含有させる場合の上限を0.50%とするのが良い。上記の効果は、Crを0.03%以上含有させた場合に顕著となる。
Moは、焼き入れ性を高め強度を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.50%を超えて含有させると溶接熱影響部靭性が劣化するので、Moを含有させる場合の上限を0.50%以下とするのが良い。上記の効果は、Moを0.03%以上含有させた場合に顕著となる。
Vは、炭窒化物を析出することにより強度を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.050%を超えて含有させると溶接熱影響部靭性が劣化するので、Vを含有させる場合の上限を0.05%とするのが良い。上記の効果は、Vを0.005%以上含有させた場合に顕著となる。
Caは、介在物の形状を調整して溶接部靭性を改善させる作用を有するので、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.0050%を超えて含有させると効果が飽和するため、Caを含有させる場合の上限を0.0050%とするのが良い。上記の効果は、Caを0.0005%以上含有させた場合に顕著となる。
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元し、酸化剤としてのFe3+濃度を低減させることにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。また、Snには鋼のアノード溶解反応を抑制し耐食性を向上させる作用がある。そのため、必要に応じてSnを含有させても良い。しかしながら、0.50%を超えて含有させるとこれらの効果が飽和するため、Snを含有させる場合の上限を0.50%とするのが良い。Sn含有量の上限は、0.40%とするのがより望ましい。上記の効果は、Snを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。Snは、0.10%以上含有させることがより望ましい。
上記の化学組成を有する場合であっても、降伏強度が上昇することがあるため、本発明の鋼素材においては、下記式で表されるCeqを0.34以上となるように、化学組成を調整しなければならない。低い降伏比は、鋼の組織を軟質相としてのフェライトおよび硬質相としてのベイナイト・マルテンサイトを混在させ複相組織とすることで達成できる。Ceqを0.34以上とすることにより、複相組織が得られやすくなり、降伏比を抑え、かつ塑性変形能を向上させることができる。なお、下記式は、JIS G3136に規定されている「炭素当量」の式と同様である。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
上記の化学組成を有する鋼素材を用いて角形鋼管用鋼板を製造しても、本発明が目的とする性能を満足しない場合がある。そこで、鋼板から角形鋼管を製造した場合にも表面疵が発生せず、角部においては一定以上の靭性を有し、かつ、角部以外では降伏比が80%以下である高強度鋼板の製造方法について以下に説明する。
加熱工程では、角形鋼管用鋼板の圧延素材として上述の化学組成を有するスラブを900〜1200℃の温度域に加熱する。スラブを900℃以上に加熱するのは、オーステナイト変態させて、均一な組織とするためである。一方、スラブ加熱温度を1200℃以下とするのは、結晶粒の粗大化を防止し、靭性を確保するためである。
スラブ加熱後、スラブの圧延を開始し所定の寸法とする。このとき、鋼板表面温度がAr3点以下で圧延を行うと、生成したフェライトを加工することとなり、降伏応力が上昇し、その結果、降伏比が上昇してしまうため、Ar3点以上で圧延終了させる必要がある。なお、Ar3点は下記計算式により求める。
Ar3点=910−273C+25Si−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo−5Cu−1620Nb
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
圧延工程に続く水冷工程では、鋼板表面温度がAr3点以下からAr3点−400℃以下まで水冷を行う。前述の圧延工程では、Ar3点以上で圧延を終了させるため、圧延後は鋼板表面温度がAr3点以下の温度となるまで空冷して、水冷工程を開始することになる。
水冷工程後は、さらに、表層の塑性変形能を改善し、かつ一定以上の靭性を確保するため、焼戻しを行う。このとき、高温での焼戻しは降伏強度の上昇を招くため好ましくない。よって、鋼板表面温度が500℃以下の温度で焼戻しを行う。
以上のような製造方法により製造した鋼板は、板厚25mm以上という厚みの鋼板においても、表層の一様伸びが8%以上となる。表層の一様伸びが8%以上となれば、その表層の変形能が優れ、角形鋼管製造時にも表面疵は発生しない。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.10〜0.40%、Mn:1.20〜1.50%、Al:0.003〜0.06%、Ti:0.005〜0.050%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ下記式で定義されるCeqが0.34以上を満たす鋼素材を900〜1200℃に加熱した後、圧延を開始し、Ar3点以上で圧延終了後、Ar3点以下からAr3点−400℃以下まで水冷し、その後、500℃以下での焼戻しすることを特徴とする角形鋼管用鋼板の製造方法。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。 - 質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.10〜0.40%、Mn:1.20〜1.50%、Al:0.003〜0.06%、Ti:0.005〜0.050%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ下記式で定義されるCeqが0.34以上を満たす鋼素材を900〜1200℃に加熱した後、圧延を開始し、Ar3点以上で圧延終了後、Ar3点以下から水冷し、Ar3点−400℃以上Ar3点−200℃以下の温度域で水冷を終了し、その後、空冷することを特徴とする角形鋼管用鋼板の製造方法。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、式中の各元素記号は、溶接材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。 - 鋼素材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにNb:0.05%以下を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の角形鋼管用鋼板の製造方法。
- 鋼素材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにCu:0.40%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下およびV:0.050%以下から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の角形鋼管用鋼板の製造方法。
- 鋼素材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにCa:0.0050%以下を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の角形鋼管用鋼板の製造方法。
- 鋼素材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにSn:0.50%以下を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の角形鋼管用鋼板の製造方法。
- 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼板であって、表層の一様伸びが8%以上であることを特徴とする板厚25mm以上の引張強度が530MPa以上であることを特徴とする角形鋼管用鋼板。
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