JP5849868B2 - 耐食性に優れた鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、塩分の飛沫する海浜地域や海洋における鋼構造物、船舶の鋼構造部材など、塩化物イオン(Cl)含有量の高い濃厚塩化物による腐食環境下で用いられる耐食性に優れた鋼材に関する。特に、腐食を抑制ないし防止することが可能で、かつ塗装剥離を抑制ないし防止し、ミニマムメンテナンス化を実現する耐食性に優れた鋼材に関する。
鋼材は、海洋構造物、港湾施設、船舶、建築・土木構造物、自動車など多方面に広く用いられているが、自然環境に曝されると腐食するという問題がある。腐食を防止あるいは抑制する方法として、防錆・防食塗装が行われる場合と、鋼材に合金元素を添加して耐食性を向上させる場合がある。後者の例としては、大気腐食環境で保護性錆層(安定錆層)を生成させて、その後の腐食を抑制することができる低合金耐食鋼材、いわゆる耐候性鋼材などが知られており、橋梁を代表とする多くの鋼構造物に使われている。
ところが、船舶のバラストタンク、海洋・海浜地域や内陸部であっても融雪塩が散布される地域において使用する鋼材のように、塩化物イオン濃度の高い濃厚塩化物による腐食環境下にある場合には、鋼材の表面に保護性のある錆層が形成されず、腐食を抑制する効果が発揮されない。そのため、このような塩化物イオン濃度の高い濃厚塩化物による腐食環境下にあっては、無塗装での耐食鋼材を用いることができなかった。このため、海浜地域などの濃厚塩化物環境下では、普通鋼材に防食塗装を施して使用するのが一般的である。
日本工業規格(JIS)で規格化された耐候性鋼(JISG3114:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)においても、飛来塩分量がNaCl換算で0.05mg/dm/day(0.05mdd)以上の地域、すなわち海浜地域や融雪塩が撒かれる地域(以下、「海浜地域等」と総称することがある。)では、ウロコ状錆や層状錆等の発生による腐食減量が大きいため、無塗装では使用できないように規制されている(建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会:耐候性鋼の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XX)−無塗耐候性橋梁の設計・施工要領(改訂版−1993.3)を参照のこと)。
しかし、海浜地域等では、湿度の高くなる河口付近や、融雪塩を大量に撒くために融雪塩が走行中の車に巻き上げられて飛散し橋梁等に付着し易い山間部等では、厳しい腐食環境となり、橋梁等の鋼材構造物の腐食の進行が速い。また、海岸から少し離れた地域であっても、雨で付着塩分が流されることのない軒下等では、飛来塩分量が1mdd以上の厳しい塩害腐食環境になる。このような厳しい腐食環境下では、腐食による塗膜劣化のため、約10年毎の補修塗装(再塗装)が必要となる。この補修塗装には多大な工数と、維持管理に莫大な費用がかかることから、塗膜寿命の延長化への要望が高い。
耐食性を改善するための塗装下地処理として、クロメート処理が行われる場合がある。クロメート処理は耐食性改善効果が高いが、クロメート処理には6価クロム化合物であるクロム酸を主成分とする水溶液を使用する。そして、クロメート処理により形成された皮膜(クロメート皮膜)も6価クロムを含んでいるから、環境保護の立場からその有害性が問題となっている。
鋼材の防錆・防食塗装の経時後の防食性、耐久性、密着性及び接着性は、鋼材表面の性状が大きく影響する。既設鋼構造物の塗り替え時には、鋼材表面に通常は錆が発生しており、そのような表面に塗料を塗り替え塗装しても塗膜にフクレや剥離が生じてしまうことになるから、鋼材を長期間錆から保護することはできない。
そこで、従来は、塗装前に鋼材表面をブラスト処理やグラインダー等の動工具を用いて除錆した後塗料を塗装する方法や、塗装前に鋼材表面の浮き錆等を除去した後錆転換剤を塗布して赤錆の主成分である脆いオキシ水酸化鉄を黒錆の主成分である硬いFeに変換した後に、塗料を塗装する方法等がとられていた。
しかし、前者の方法では、除錆の際多量の粉塵が生じ、作業環境が悪くなるだけでなく、作業効率も非常に悪いという問題点がある。そして、後者の方法も、やはり手間がかかる上、錆転換剤の塗布後に時間をおかないと塗装を実施できないという問題点がある。
さらに、一般的な塗り替え塗装の場合、塗装前に1種、2種および3種のケレンを鋼材表面に施して除錆しているが、鋼構造物のくぼみ部分や狭隘部分の錆は除去しにくい。また、それらの部分の錆層と鉄素地との界面にはClやSO 2−等の腐食性イオン物質が残存しやすく、水分も存在しやすい。そのため、塗り替え塗装しても、それらの部分での防食性が大幅に低下することになる。錆落としが十分でないと、塗膜が密着不良となり、塗膜の剥離や錆が非常に早く生じることになる。従って、防錆・防食塗装の施工では、できるかぎり高度の錆落としをするべく、10mg/mの錆落とし作業が基準化されている。
しかし、現実には、海洋構造物、港湾施設、船舶、建築・土木構造物、自動車、機械設備、鉄道車両、発電機、大型変圧器などの鋼構造物の環境や部位等の条件によっては高度の錆落とし作業そのものが困難であり、前処理の不備に起因する塗装のトラブルが非常に多い。また、近年錆落とし作業に従事する作業者の不足により、錆落としの作業の簡略化が強く求められるようになってきた。
船舶分野においても腐食と再塗装は大きな問題となっている。タンカーや貨物輸送船等の船舶は、空荷の時でも船体が安定化するようにバラストタンクに海水を注入積載している。海水は、鋼材に対し腐食作用を有し、バラストタンクを構成する鋼材の腐食を促進する。このバラストタンクを構成する鋼材のタンク内壁部の腐食は、バラストタンク内に注入積載された海水が直接に接する部分ではそれほどでなく、海水面上の空間部分(気相部)に接する部分で激しいことが知られている。これは、海水面上の空間部分(気相部)に接する部分が常に湿潤状態にあり、かつ、腐食を起こしたり促進したりする酸素が空気中から十分に供給され続けられることによる。この海水面上の空間部分(気相部)に接する部分の腐食抑制対策としては、従来、タールエポキシ塗料をバラストタンクの内壁面に200μm程度と比較的厚い膜厚で被覆して防食することとしていた。しかし、この方法でも腐食環境が厳しく、塗膜寿命も約10年と短く、補修塗装が必要であった。
このような塩化物環境下で耐食性に優れた鋼材として、特許文献1には、C:0.001〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%、およびSn:0.03〜0.50%を含有し、かつCu/Sn比が1以下である化学組成を有する、耐食性に優れた橋梁用鋼材が提案されている。
特許文献2には、C:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%、Ti:0.005〜0.025%およびN:0.0030〜0.0065%を含有する化学組成を有することを特徴とする大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼材が提案されている。
さらに、特許文献3には、鋼材の化学組成が、C:0.01〜0.20%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.005〜0.3%、N:0.001〜0.008%を含有する鋼材の表面に、無機ジンクリッチペイントの塗膜を塗布したこと特徴とする塗装耐食性に優れた船舶用鋼材が提案されている。
特開2008−163374号公報 特開2011−153382号公報 特開2011−21248号公報
しかし、上記特許文献1では飛来塩分の高い大気腐食環境で優れた耐食性を示すが、年間平均湿度が90%を超えるような湿潤環境においては、塗膜剥離の抑制が十分ではない。
そして、特許文献2および3では、バラストタンクのような厳しい海水環境において優れた塗装耐食性を示すが、鋼材表面にジンクを含むプライマー層を有しているために、長期曝露による塗膜欠陥部における局部的な腐食が進展する可能性がある。厳しい腐食環境においてジンクプライマーを施した塗装鋼材は、塗装剥離を抑制する反面、塗膜欠陥部からの局部腐食が進展し、部材破断に至る事例が報告されている(日本材料学会腐食防食部門委員会資料, No 282, Vol.50, part 5, 2011参照)。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、塗装および無塗装にかかわらず、海洋鋼構造物、海浜地域の鋼構造物、船舶および船舶のバラストタンクなど高温多湿で塩化物が付着する厳しい腐食環境においても優れた耐食性を有する鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、飛来塩分量の多い環境の腐食進行メカニズムについて検討した結果、このような環境下では、FeCl溶液の乾湿繰り返しが腐食の本質的な条件となり、Fe3+の加水分解によりpHが低下した状態で、かつFe3+が酸化剤として作用することによって腐食が加速されることを見出した。
このときの腐食反応は、以下に示すとおりである。
カソード反応としては、主として、次の反応(1)が起こる。
Fe3++e→Fe2+ (Fe3+の還元反応) ・・・・・・(1)
そして、この反応以外に、次のカソード反応(2)および(3)も併発する。
2HO+O+2e→4OH・・・・・・(2)
2H+2e→H・・・・・・(3)
一方、上記のFe3+の還元反応に対して、次のアノード反応(4)が起こる。
アノード反応:Fe→Fe2++2e (Feの溶解反応) ・・・・・・(4)
従って、腐食の総括反応は、次の(5)式のとおりである。
2Fe3++Fe→3Fe2+・・・・・・(5)
上記(5)式の反応により生成したFe2+は、空気酸化によってFe3+に酸化され、生成したFe3+は再び酸化剤として作用し、腐食を加速する。この際、Fe2+の空気酸化の反応速度は低pH環境では一般に遅いが、濃厚塩化物溶液中では加速され、Fe3+が生成され易くなる。このようなサイクリックな反応のため、飛来塩分量が非常に多い環境では、Fe3+が常に供給され続け、鋼材の腐食が加速され、耐食性が著しく劣化することになることが判明した。
また、塩化物環境では、塩化物イオンを取り込むことで結晶構造が安定になるβ−FeOOHが錆層中に生成し易い。しかし、このβ−FeOOHは、錆の保護性を著しく低下させる上に、電気化学的に活性で酸化剤として作用するため腐食反応を促進する。
このように、塩化物環境における鋼材の腐食では、鉄の溶出反応によってまずFe2+が生成し、これが大気中の酸素によりFe3+に酸化された後、主に、保護性に乏しいβ−FeOOHとして沈殿して、鋼材の腐食が促進される。同時に、Fe3−δも多量に生成する。このFe3−δは電子伝導性が高く、腐食反応におけるカソード反応(酸素還元反応)のサイトして働くため、腐食を加速する。
したがって、塩化物イオン濃度の高い濃厚塩化物環境では保護性を有するα−FeOOHからなる錆層の形成は期待できない。しかし、鋼材の合金成分を溶出させることで、腐食促進錆であるβ−FeOOHの結晶生成と結晶成長を抑制し、保護性を有するα−FeOOHを優先的に生成させることができれば、α−FeOOHを主体とする保護性錆の早期形成が可能となり、高濃度の塩化物イオン環境下での鋼材の耐食性を著しく高めることができるとの着想を得た。すなわち、濃厚塩化物環境であっても、α−FeOOHを主体とする保護性錆層を適切に形成することができれば、鋼材に高い耐食性を付与することが期待できる。
そこで、本発明者らは、Snの塩化物水溶液を用いてFeOOHの無機合成を基にした基礎実験を行い、濃厚塩化物環境でも保護性錆のα−FeOOHを形成することができることを知得した。
表1に当該実験条件と結果を示す。0.05〜0.1mol/Lの塩化鉄(III)に対し、Snの塩化物または硫酸塩を添加して、Sn/Feのモル比がそれぞれ、1/1000、1/100および1/10の溶液を作製した。そして、各溶液のpHを調整した後に、80℃で約2日間加熱をして、錆を加速生成させた。生成した錆はX線回折法にて定性分析を行った。比較のために、0.05〜0.1mol/Lの塩化鉄(III)に対し、それぞれ、Ce、Cu、Cr、Ni、Mo、Sbの各塩化物を添加して、Feに対するモル比が1/1000の溶液を作製した。そして、各溶液のpHを調整した後に、80℃で約2日間加熱をして、錆を加速生成させた。生成した錆はX線回折法にて定性分析を行った。表1に示すように、Snの塩化物および硫酸塩については、保護性錆のα−FeOOHが生成した。特に、2価のSnの場合には、広い濃度範囲で、α−FeOOHのみが生成し、より好ましい保護性錆層を形成できることが明らかになった。
Figure 0005849868
さらに、発明者等は、上述の塩化物環境における腐食メカニズムを基に、鋼材の腐食に対するSnの抑制効果を詳細に調査した。
その結果、Snは、Sn2+として溶解し、次の(6)式の反応により、Fe3+の濃度を低下させることが分かった。
2Fe3++Sn2+→2Fe2++Sn4+・・・・・・(6)
このように、Fe3+の濃度を低下させることができるので、 (5)式で示される腐食の総括反応を抑制することができる。さらに、Snには、アノード溶解を抑制し、Sn自体が鋼材の腐食の抑制に有効であることを見出した。
濃厚塩化物環境、すなわち、pHが著しく低下した環境における鋼材の腐食に対するSnの抑制効果は、次の(a)〜(g)に示すメカニズムによるものであると考えられる。
(a) 鋼材表面のSnは、濃厚塩化物環境においてSn2+イオンとして溶解し、前記(4)式のアノード反応(Fe溶解反応)を抑制するので、鉄の溶出を防止することができる。これは、図1の左図に示すように、Sn2+イオンが鋼材表面の吸着活性点に優先的に結合し、塩化物または水酸化物形態の吸着中間体またはFeOHad(adは吸着)の生成を妨害するからである。
(b) また、SnはSn2+イオンとして溶解した後、低pH溶液では鋼材表面の電極電位により還元されて鋼材表面にSnとして析出する。
(c) 鋼材表面に析出したSnは、図1の右図に示すように、酸性環境でのFeの溶解反応(アノード反応)の対反応である、
2H+2e→H
で示される、前記(3)式の水素イオンのカソード反応(還元反応)を著しく抑制する。これは、高水素過電圧によるものと考えられる。
(d) Snの析出は鋼材の溶出部に集中するため、溶解したSn2+は腐食している部分のみに効率的にSnとして析出する。
(e) 一度析出したSnは、腐食が進行するとSn2+として再溶出して,腐食抑制効果を発揮し、腐食している部分に再びSnとして析出する。
(f) 溶存酸素濃度が高い環境では、Sn2+→Sn4+への空気酸化速度が速いことが知られている。空気酸化物であるSn4+はFeのアノード反応により供給された電子によって再びSn2+に還元され、さらにSnとして析出する。このFeのアノード反応を電子供給源としたSnのサイクリックな反応が腐食を抑制する。
(g) したがって、鋼材表面にSnまたはSn2+もしくはSn4+イオンが存在すると、枯渇することなく繰り返し腐食を抑制できる、すなわち、半永久的な腐食抑制効果を得ることができる。
このように、鋼材表面にSnまたはSn2+もしくはSn4+イオンが存在する場合、α−FeOOHによる保護性錆層の防食効果だけでなく、Sn自体の腐食抑制作用も期待できる。したがって、濃厚塩化物環境でもα−FeOOHの形成を促進でき、保護性錆による耐食性により鋼材の腐食を抑制可能である。
鋼材表面に生成する錆層の保護性とは、錆の電気化学的性質(錆のカソード反応耐性)を指標として定義することができる。保護性を有するα−FeOOHは還元され難い性質を有し、腐食を促進するβ−FeOOHやγ−FeOOHは還元されやすい性質を有する。ゆえに、本発明に係る錆の保護性は、保護性錆層中の下記の(A)式で表されるCPの値で評価することが可能であり、CP値が1.0以上であれば保護性錆が生成していると判断できる。
CP=α−FeOOH/(γ−FeOOH+β−FeOOH)・・(A)
ここで、α−FeOOH、β−FeOOHおよびγ−FeOOHは、錆層中のそれぞれの結晶質錆の含有量であり、X線積分値から算出される。
さらに、発明者らは、Sn以外の合金元素の耐食性への影響について調査し、検討した。その結果、次の(h)〜(p)に示す知見が得られた。
(h) Wは腐食環境で酸素酸イオンもしくはポリ酸イオンの形でタングステン酸イオンとして溶解し、鉄のアノード反応を抑制するとともに、錆層に吸着して、錆層を緻密化し、腐食促進因子のClの鋼材面への透過を抑制する作用がある。特に、錆層中にSnとWの両方を含有させると、Sn単独添加の場合に比べて鋼材表面の薄膜水中のFeイオン濃度が低くなり、その結果薄膜水のpHの低下が抑制される。ただし、飛来塩分の多い環境下ではpHが1.0以下の強酸性域まで低下する。強酸性域ではSnが効果的に鉄のアノード反応を抑制するので、WとSnを複合して含有させた場合には、WまたはSnを単独で含有させた場合よりも腐食量を抑えることができる。Wはタングステン酸イオンとして溶解し、錆の緻密化に寄与し、Snによるα―FeOOHの形成を促進する。この結果、高濃度の塩化物イオン環境下での鋼材の耐食性を著しく高めることができる。
(i) Cuは、従来から飛来塩分の多い環境において耐食性改善効果を発揮する基本元素であり、比較的濡れ時間が長い環境において耐食性改善効果は見られる。しかしながら、塩化物濃度がさらに高くなり、局部的にpHが下がるような環境、例えば塩分が付着し、湿度が変化することにより乾湿が繰り返され、β−FeOOHが生成するような比較的ドライな環境では、Cuはむしろ腐食を促進する。
(j) Niは、Snと複合添加した場合には、飛来塩分の多い環境における耐食性改善効果が無く、多量に添加すると、逆に耐候性を劣化させる。このNiの挙動は、Ni添加量が増すほど耐候性が向上するという従来の知見とは相反するものである。
(k) Crは、単独添加した場合には、飛来塩分量の多い環境において耐候性を劣化させるが、Snと複合添加した場合には、飛来塩分量の多い環境での耐候性を向上させる効果を発揮する。
(l) Alを含有させると海浜耐候性が向上する。
(m) Nはアンモニアとして溶解し、腐食界面のpHを上昇させる作用を有する。飛来塩分量の多い環境では、上記Fe3+の加水分解によりpHが低下するが、Nを含有させることにより、腐食界面のpHは中和により低下が抑制され、耐候性および塗膜剥離性が向上する。
(n) さらに、Ti、Nb、V、Ca、CoおよびMoから選んだ1種または2種以上を含有させても、飛来塩分の多い環境下での耐候性の改善に効果がある。
(o) Ceは、鉄のアノード反応のインヒビターとして作用するとともに、保護性の高い錆層の形成に寄与する。
(p) REMは、Ceを除いて、鋼材の溶接性を改善すると共に鋼中硫化物を形成し、腐食の起点となる非金属介在物MnSの生成量を減少させる作用を有する。
(q)鋼材の表面の少なくとも一部を単層または複層の有機または無機の樹脂で被覆することによって、防食処理をすると、耐食性が一段と向上するとともに、耐久性が向上する。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(4)に示す耐食性に優れた鋼材である。
(1) 質量%で、C:0.001%以上0.30%未満、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、W:0.05〜1.0%Sn:0.01〜0.50%およびCe:0.001〜0.5%ならびに残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のCu:0.5%以下およびNi:0.5%以下である化学組成を有し、Cu含有量のSn含有量に対する比Cu/Snが1.0以下である鋼材であって、鋼材表面がSnおよびWの両方を金属換算で合わせて0.5〜200mg/m含有する保護性錆層で覆われており、かつ、保護性錆層中の下記の(A)式で表されるCPの値が1.0以上であることを特徴とする耐食性に優れた鋼材。
CP=α−FeOOH/(γ−FeOOH+β−FeOOH)・・(A)
ここで、α−FeOOH、β−FeOOHおよびγ−FeOOHは、錆層中のそれぞれの結晶質錆の含有量であり、X線積分値から算出される。
(2) さらに、質量%で、Cr:5.0%以下、Al:0.1%以下、N:0.1%以下、Ti:3.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、Ca:0.1%以下、Co:1.0%以下およびMo:1.0%以下のうちの1種もしくは2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)の耐食性に優れた鋼材。
(3) さらに、質量%でCe以外のREMを0.02%以下含有することを特徴とする、上記(1)または(2)の耐食性に優れた鋼材。
(4) 鋼材表面の少なくとも一部に単層または複層の有機または無機の樹脂で被覆することによって防食処理が施されたことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの耐食性に優れた鋼材。
本発明によれば、鋼材中にSnおよびWを含有させることによって、塩化物イオン濃度が高く腐食の厳しい濃厚塩化物環境においても、鋼材表面にα−FeOOHの生成が促進され、SnおよびWを含む保護性錆層が形成されることで鋼材の腐食を抑制して、その塗装寿命を著しく延長することができる。
さらに、錆が残存して残留塩化物が存在する鋼材であっても、同様の効果があるので、塗装寿命を著しく延長することができる。例えば、既設鋼構造物の塗装塗り替え時には、塗装塗り替え間隔を延長でき、メンテナンスコストを低減できる。新規鋼材に限らず既設鋼材にも適用が可能であるので、その有用性は高い。
SnまたはSn化合物の作用効果を模式的に説明する説明図である。左図はアノード反応(Fe溶解反応)の抑制を、そして、右図はその対反応であるカソード反応の抑制を示す。
本発明が適用される鋼材は特に制限されていないが、好ましくは構造用鋼材、特に海洋構造物や港湾施設、船舶、建築・土木構造物、自動車、鉄道などにおいての構造材料として用いられる鋼材である。
本発明が適用される鋼材の材質は、特に鋼種を限定されるものではなく、炭素鋼、低合金鋼等の合金鋼等でよい。耐候性鋼やNi、Al、Sn等を含有する低合金鋼であると、長期の耐久性の観点からは有利である。
本発明が適用される鋼材の形態についても、特に制限されるものではなく、板や棒、形鋼、管、鋳造品などを含む任意の形態でよく、ラインパイプ、配管、橋梁、陸上タンク、バラストタンク等で使用する鋼管の他、鋼管杭、鋼矢板、鉄筋などの種々の形状の鋼材にも適用できる。
(A)鋼材の化学組成について
鋼材の化学組成に関して、その合金元素の作用効果を、その含有量の限定理由とともに、説明する。なお、合金元素の含有量「%」は、いずれも「質量%」を意味する。
C:0.001%以上0.30%未満
Cは、鋼材の強度を確保するために必要な合金元素である。所定の強度を確保するためには0.001%以上が必要である。しかし、Cを多量に含有させると鋼材の溶接性が劣化し、鋼材の耐食性も低下する。したがって、Cの含有量は0.001%以上0.30%未満とする。望ましい上限は0.25%であり、望ましい下限は0.005%である。
Si:0.01〜2.5%
Siは脱酸に必要な元素であり、十分な脱酸効果を得るためにはSiを0.01%以上含有させる必要がある。しかし、2.5%を超えて含有させると鋼材の靱性が損なわれる。したがって、Siの含有量は0.01〜2.5%とする。なお、Siには耐候性を向上させる効果もある。この効果を得たい場合には、0.1%以上含有させるのが好ましい。
Mn:0.5〜2.5%
Mnは低コストで鋼材の強度を高める作用を有する元素であり、構造用鋼材としての強度を維持するためには、Mnを0.5%以上含有させる必要がある。また、鋼材中のSの含有量が低い場合には、一般に高飛来塩分環境における耐候性を向上させる作用を有する。しかしながら、過度のMnは鋼中のSと結合してMnSを形成し、このMnSが腐食の起点となり、耐食性、ひいては耐候性を劣化させる作用を有する。また、機構は不明であるが、Niと共存する場合には、Mnの含有量が2.5%を超えると耐候性が劣化する。したがって、Mnの含有量は2.5%以下とする。望ましくは2.0%以下とする。
P:0.03%以下
Pは、不可避的不純物として含有されるが、濃厚な塩化物環境での過度のPの含有は耐候性を劣化させるため、できるだけ少なくする必要がある。したがって、Pの含有量は0.03%以下とする。
S:0.005%以下
Sは、不可避的不純物として含有されるが、Mnと結合するとMnSを形成して腐食の起点となり易くなり、耐候性を劣化させるため、Sの含有はできるだけ少なくする必要がある。したがって、Sの上限は0.005%とする。
W:0.01〜1.0%
Wは、アノード部が中性環境となるような濡れ環境では、溶解して酸素酸イオンWO 2−の形で存在する。このWO 2−はインヒビターとして作用し、「Fe→Fe2++2e」なるアノード反応(Feの溶解反応)を抑制する。また、WO 2−は錆に吸着して錆層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。この理由は定かではないが、タングステン酸により緻密化した錆層中に不溶性のWとFeの化合物やHWOが存在することとなり、透水やイオン透過への障害物になるためと考えられる。これに対して、アノード部が酸性環境となり、鋼材の腐食がもっとも促進される乾燥または低湿度の環境ではWO 2−はインヒビター作用を示さないが、不溶性のWとFeの化合物やHWOにより錆層の耐透水性や耐イオン透過性を向上させることができるので、結果として乾燥または低湿度の環境であっても耐食性が向上する。これらの効果は、上述のようにSnと共存すると相乗的に向上する。ただし、Wの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇するので、Wの含有量は0.01〜1.0%とする。なお、これらの効果を得るためには、Wを0.05〜0.85%含有させるのが好ましい。
Sn:0.01〜0.50%
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性の塩化物溶液中でのインヒビター作用によりpHの低下したアノードでの腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、飛来塩分の多い環境における耐候性を向上させる。また、Snは腐食を促進する錆となるβ−FeOOHの生成を抑制し、保護性錆となるα−FeOOHの生成を促進する。これらの作用は、Snを0.01%以上含有させることにより得られ、0.50%を超えると飽和する。したがって、Snの含有量は0.01〜0.50%とする。Snの含有量の望ましい範囲は0.03〜0.40%である。
Cu:0.5%以下
Cuは、一般的に耐候性を向上させる基本元素とされ、ほとんどの高耐候性鋼や耐食鋼に添加されている。しかしながら、高飛来塩分下の比較的ドライな環境においては、むしろ耐食性を低下させる。したがって、Cuの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Cuの含有量は0.5%以下とする必要がある。
なお、本発明のようにSnを含有する鋼材の場合には、Cuを共存させると耐候性が低下する場合がある。また、Cuを共存させると鋼材を製造する際、圧延割れの原因ともなる。このため、Cu/Sn比、すなわち、Sn含有量に対するCu含有量の比を1.0以下とする必要がある。
Ni:0.5%以下
Niは、一般的に飛来塩分の多い環境下での耐候性を著しく向上させる元素として従来から鋼中に添加され、Ni系高耐候性鋼として開発・実用化されてきている。しかし、理由は定かではないが、Snと共存させた場合には、耐食性の改善効果がないばかりか、Snによる耐候性改善効果を低下させるという悪影響が現れる。したがって、Niの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Niの含有量は0.5%未満とする必要がある。
本発明に係る鋼材は、上記の化学組成を有し、残部がFeおよび不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして製造工程の種々の要因によって混入する成分を意味する。
本発明に係る鋼材は、上記の成分のほか、必要に応じて、次の第1群から第3群までの少なくとも1群のうちから選んだ1種以上の成分を含有させることができる。以下、これらの群に属する成分について述べる。
第1群の成分:Cr、Al、N、Ti、Nb、V、Ca、Co、Mo
Cr:5.0%以下
Crは、飛来塩分がそれほど多くない環境では保護性錆の形成による耐候性の向上を期待できるが、飛来塩分量が多い環境において鋼材のアノード溶解反応を促進し耐候性を劣化させる。ところが、Snを含有する鋼材の場合には、飛来塩分量が多い環境においても、Cr含有による耐候性の向上効果が発揮されるので、必要に応じてCrを含有させることができる。しかし、Crの含有量が5.0%を超えると局部腐食感受性が高まるとともに、溶接性が劣化する。したがって、Crの含有量の上限は5.0%とする。好ましい上限は3.0%である。なお、この耐候性の向上効果を得るためには、Crを0.01%以上含有させるのが好ましく、0.05%以上含有させるのがより好ましい。
Al:0.1%以下
Alは、鋼材の耐候性を向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。しかし、Alの含有量が0.1%を超えると鋼材が脆化しやすくなる。したがってAlの含有量の上限は0.1%とする。なお、この効果を得るためには、Alを0.003%以上含有させるのが好ましい。
N:0.1%以下
Nは、アンモニアとなって溶解し酸と中和する作用があり、飛来塩分の多い環境におけるFe3+の加水分解によるpH低下を抑制して、塩分環境における耐候性を向上させる効果を有するので、必要に応じて含有させることができる。しかし、含有量が0.1%を超えると飽和する。したがって、Nの含有量の上限は0.1%とする。好ましい上限は0.08%である。なお、この効果を得るためには、Nを0.001%以上含有させるのが好ましく、0.002%以上含有させるのがより好ましい。
Ti:3.0%以下
Tiは、TiCを形成してCを固定することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐候性を向上させ、また、TiSの形成によりSを固定することによって、腐食の起点となるMnSの形成を抑えるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、Tiの含有量が3.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、Tiの含有量の上限は3.0%とする。なお、この効果を得るためには、Tiを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Nb:1.0%以下
Nbには、Tiと同様に、NbCを形成してCを固定することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐候性を向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、Nbの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、Nbの含有量の上限は1.0%とする。なお、この効果を得るためには、Nbを0.01%以上含有させるのが好ましい。
V:1.0%以下
Vは、MoやWと同様に、溶解して酸素酸イオンVO 2−の形で錆に吸着し、錆層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐候性を向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。これらの効果は、Snと共存すると相乗的に向上する。しかしながら、Vの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、Vの含有量の上限は1.0%とする。Vの含有量の好ましい上限は0.85%である。なお、この効果を得るためには、Vを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Ca:0.1%以下
Caは、溶解すると水溶液をアルカリ性にする作用があり、飛来塩分の多い環境におけるFe3+の加水分解によるpHの低下を抑制することで、塩分環境における耐候性を向上させる効果を有するので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、Caの含有量が0.1%を超えると、鋼中にCa介在物が形成され、これが地鉄よりも優先的に溶解することで腐食の起点となる。したがって、Caの含有量の上限を0.1%とする。Caの好ましい上限は0.08%である。この効果を得るためには、Caを0.001%以上含有させるのが好ましく、0.002%以上含有させるのがより好ましい。
Co:1.0%以下
Coは、溶解して錆層に含有されると、錆層にカチオン選択性を付与し、塩化物イオンの透過を抑制することによって耐食性を向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、Coの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、Coの含有量の上限は1.0%とする。なお、この効果を得るためには、Coを0.001%以上含有させるのが好ましい。
Mo:1.0%以下
Moは、Wと同様に、溶解して酸素酸イオンMoO 2−の形で錆に吸着し、錆層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐候性を向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。これらの効果は、Snと共存すると相乗的に向上する。しかしながら、Moの含有量が1.0%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、Moの含有量の上限は1.0%とする。Moの含有量の好ましい上限は0.8%である。なお、この効果を得るためには、Moを0.01%以上含有させるのが好ましい。
第2群の成分:Ce
Ce:0.5%以下
Ceは、溶解するとCe3+として存在し、高濃度の塩化物イオン環境では塩化物を配位したイオンとして存在する。Ceはインヒビターとして、SnやWと同様に、Feのアノード反応を抑制する。また、Snと同様に、腐食を促進する錆β−FeOOHの生成を抑制し、保護性錆α−FeOOHの生成を促進する。よって、必要に応じて含有させることができる。これらの効果は、Snと共存すると相乗的に向上する。しかしながら、Ceを多量に鋼材中に添加すると、圧延割れの原因となる。したがって、Ceの含有量の上限は0.5%とする。Ceの好ましい上限は0.15%である。なお、これらの効果を得るためには、Ceを0.001%以上含有させるのが好ましい。
第3群の成分:Ce以外のREM
Ce以外のREM:0.02%以下
REM(希土類元素)は、Ceを除いて、鋼材の溶接性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、この含有量が0.02%を超えると、この効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが上昇する。したがって、その含有量の上限は0.02%とする。なお、この効果を得るためには、0.0001%以上含有させるのが好ましい。ここで、第3群の成分にかかるREMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素から、上記のCeを除いた元素の総称であり、これらの元素のうちの1種または2種以上を含有させることができる。なお、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
(B)保護性錆層中の化学成分について
本発明に係る鋼材は、鋼材の化学組成を上記のとおりに規定することに加えて、次のとおり、鋼材表面を覆う保護性錆層中の化学成分も規定する必要がある。
本発明においては、錆層中にSnとWの両方が含有されることにより、塩化物環境において著しく高い保護性が発揮される。以下に、その理由を述べる。
鋼材から溶出したSnは、Sn2+となって溶解し、酸性の塩化物溶液中でのインヒビター作用によりpHの低下したアノードでの腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制する。また、Snは腐食を促進する錆となるβ−FeOOHの生成を抑制し、保護性錆となる難還元性のα−FeOOHの生成を促進する。
鋼材から溶出したWは、酸素酸イオンWO 2−や不溶性のWとFeの化合物、HWOとして存在する。特に、酸素酸イオンであるWO 2−は、錆の結晶表面に吸着してインヒビター作用により、「Fe→Fe2++2e」なるアノード反応(Feの溶解反応)を抑制する。また、錆層の透水性やイオン透過性を向上させ、耐食性を向上させる効果がある。このため、錆層にはSnおよびWを含有することになる。
これらの効果を得るためには、保護性錆層中にSnとWの両方を金属換算で合計0.5mg/m以上含有させる必要がある。保護性錆層中のSnとWの合計含有量は多ければ多いほうがよいが、200mg/m以上含有させてもその効果は飽和する。したがって、保護性錆層中のSnとWの合計含有量は金属換算で0.5〜200mg/mとする。好ましくは10〜180mg/mである。なお、保護性錆層中のSnは1.5〜150mg/mが好ましく、5〜100mg/mがより好ましい。そして、保護性錆層中のWは1.5〜180mg/mが好ましく、5〜80mg/mがより好ましい。
このように、錆層中にSnとWの両方を含有させることによって、腐食促進錆であるβ−FeOOHの結晶生成と結晶成長を抑制し、α−FeOOHが優先的に生成して、α−FeOOHを主体とする保護性錆を早期形成が可能となり、高濃度の塩化物イオン環境下での鋼材の耐食性を著しく高めることが出来る。
(C)防食皮膜について
本発明の鋼材は、そのまま使用しても良好な耐食性を示す。しかし、その表面を単層または複層の有機または無機の樹脂で被覆すると、耐食性が一段と向上するとともに、耐久性が向上する。
有機樹脂の種類は特に制限されるものではない。有機樹脂は溶剤に溶解していてもよく、あるいはエマルジョン状態であってもよい。一般的に汎用されている塗料樹脂でも可能であり、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が使用できる。特に、ブチラール樹脂単独、またはブチラール樹脂とそれに相溶性のある他の樹脂(例えば、メラミン樹脂やフェノール樹脂等)との混合物は、適度の被膜の透湿性があり、保護性錆層がより早期に形成され易いので、好ましい。また、無機樹脂としては、エチルシリケート樹脂を挙げることができる。
防食被膜の耐久性が向上するのは、下地である本発明鋼材の腐食が著しく抑制される結果として、防食被膜欠陥部からの下地鋼材腐食に起因する防食被膜のふくれや剥離が抑制されるためであると考えられる。
上記の防食被膜で覆う処理は通常の方法で行えばよい。また、必ずしも鋼材の全面に防食被膜を施す必要はなく、腐食環境に曝される面としての鋼材の片面、鋼管であれば外面または内面だけ、すなわち鋼材表面の少なくとも一部を防食処理するだけでもよい。
表2に示す37種類の化学組成の試験鋼材を、150kg真空溶解炉でそれぞれ溶製し、インゴットに鍛造した後、1100℃に加熱後、圧延を行って、厚さ4mm×幅150mm×長さ1000mmの寸法の鋼材を作製した。
Figure 0005849868
次いで、これらの鋼材の表裏面を機械研削し、厚さ3mm×幅60mm×長さ100mmの試験片を切り出し、ショットブラストにより除錆した。そして、鋼材表面の洗浄と錆層の均一形成をさらに促進するために、鋼材表面を0.1モル濃度の硫酸水溶液で処理した後、炉内温度80℃で加熱乾燥させて無塗装試験片を作製した。さらに、一部の無塗装試験片の両面に、塗料A(中国塗料(株)製バンノー#200)または塗料B(神東塗料(株)製ネオゴーセイプライマーHB)のいずれかの塗料を鋼材表面に塗装し、膜厚200〜350μmの塗装試験片を作製した。得られた試験片をSAE(Society of Automotive Engineers)J2334試験にしたがって、耐食性を評価した。併せて、無塗装試験片についても、塗装試験片と同様に、SAEJ2334試験にしたがって、耐食性を評価した。その結果を表3〜6に示す。
Figure 0005849868
Figure 0005849868
Figure 0005849868
Figure 0005849868
ここで、SAEJ2334試験とは、湿潤:50℃、100%RH、6時間、塩分付着:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl、0.075質量%NaHCO水溶液浸漬、0.25時間、乾燥:60℃、50%RH、17.75時間を1サイクル(合計24時間)という、乾湿繰り返しの条件で行う加速試験であり、飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。この腐食形態が大気暴露試験に類似しているとされている(長野博夫、山下正人、内田仁著:環境材料学、共立出版(2004)、p.74参照)。
SAEJ2334試験240サイクル後に、各試験片の表面の残存塗膜と生成した錆層を除去し、板厚減少量を測定した。塗装試験片については、塗装被膜疵部の最大腐食深さを測定した。ここで、「腐食量」とは、試験片の平均の板厚減少量であり、試験前後の重量減少と試験片の表面積を用いて算出したものである。また、「腐食深さ」は、塗装被膜疵部の鋼材表面からの深さの最大値である。
SAEJ2334試験240サイクル後に、生成した錆をX線回折法により定量分析した。まず、各供試材に生成した錆層をカッターナイフにより採取した。採取した錆試料をデシケーター内で1週間以上乾燥した後、ZnO粉末(和光純薬製、粒径約5μm)を内部標準物質として、粉末X線回折法により、錆構成化合物の定量分析を行った。粉末X線回折用試料は予め採取した錆重量に対して一定重量比(本発明中では30%)のZnOを混ぜ、めのう乳鉢により錆とZnOが均一に分散するように混合したものを用いた。
X線回折測定は理学電気(株)製RU200型を用い、Coターゲット、電圧−電流は30kV−100mAとして、走査速度2°/minで測定を行った。予め標準試薬であるα−FeOOH、γ−FeOOH(レアメタリック社製)、Fe3−δ(高純度化学製)、FeCl水溶液を100℃で加水分解して合成したβ−FeOOHを用いて作製した検量線を用い、得られたX線回折パターンの強度より、定量分析を行った。なお、錆採取時に混入する母材鋼材についても、予め腐食していない鋼材を、錆採取時と同様にカッターナイフで鋼材を削りだし、鋼材粉末を用いた検量線を用いて定量を行った。こうして定量された錆中のα−FeOOH、β−FeOOHおよびγ−FeOOHの量(質量%)を比較した。さらに、一定面積より採取した錆試料を濃塩酸に溶解し、ICP分析によりSn量およびW量の測定をおこなった。
表3と4に示す試験番号1〜37は無塗装での耐食性を評価したものである。ここで、腐食量とは240サイクルのSAEJ2334試験におけるものであり、その目標値は0.45mm以下である。そして、錆層中のCP値は次の(A)式から算出されるものであり、CPの目標値は1.0以上である。
CP=α−FeOOH/(γ−FeOOH+β−FeOOH)・・(A)
ここで、α−FeOOH、β−FeOOHおよびγ−FeOOHは、錆層中のそれぞれの結晶質錆の含有量であり、X線積分値から算出される。
試験番号1〜37のうち、本発明例に係る試験番号2、3、5、6および28(鋼材番号2、3、5、6および28)にあっては、240サイクルのSAEJ2334試験における腐食量はいずれも0.42mm以下であり、耐食性に優れていた。なお、錆層中のCP値はいずれも1.0以上であり、また、錆層中のSnおよびWの合計含有量は金属換算で62.8〜184.3mg/m であった。ここで、試験番号1、4、7〜27および29〜31(鋼材番号1、4、7〜27および29〜31)は参考例である。
これに対して、比較例に係る試験番号32(鋼材番号32)は、錆層中のCP値は0.4と小さく、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で0.4mg/mと少なかったため、SAEJ2334試験における腐食量が0.54mmと大きかった。そして、試験番号33(鋼材番号33)は、錆層中のCP値は0.8と小さく、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で264.4mg/mと大きかったため、SAEJ2334試験における腐食量が0.49mmと大きかった。
比較例に係る試験番号34(鋼材番号34)は、錆層中のCP値は1.0であり、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で53.5mg/mであるため、SAEJ2334試験における腐食量が0.40mmと小さく、優れた耐食性を示した。しかしながら、鋼材中のCu含有量のSn含有量に対する比Cu/Snが5.000と大きいため、鋼材製造時に圧延割れが発生した。
比較例に係る試験番号35(鋼材番号35)は、錆層中のCP値は0.7と小さかったため、SAEJ2334試験における腐食量が0.55mmと大きかった。試験番号36および37(鋼材番号36および37)は、錆層中のCP値はいずれも0.8と小さかったため、SAEJ2334試験における腐食量がそれぞれ0.56mmおよび0.55mmと大きかった。
次に、表5と6に示す試験番号38〜74は塗装部における耐食性を評価したものである。塗膜の塗料種は、塗料A:バンノー#200(中国塗料(株)製)、そして、塗料B:ネオゴーセイプライマーHB(神東塗料(株)製)である。ここで、塗膜剥離面積(%)および腐食深さ(mm)とは、240サイクルのSAEJ2334試験におけるものであり、その目標値は、それぞれ、50%以下および0.70mm以下である。そして、錆層中のCP値は前記(A)式から算出されるものであり、CPの目標値は1.0以上である。
試験番号38〜74のうち、本発明に係る試験番号39、40、42、43および65(鋼材番号2、3、5、6および28)にあっては、塗膜の種類にかかわらず、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積はいずれも49.4%以下であり、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さはいずれも0.69mm以下という値になり、耐食性に優れていた。なお、錆層中のCP値はいずれも1.1以上であり、また、錆層中のSnおよびWの合計含有量は金属換算で61.3〜151.1mg/m であった。ここで、試験番号38、41、44〜64および66〜68(鋼材番号1、4、7〜27および29〜31)は参考例である。
これに対して、比較例に係る試験番号69(鋼材番号32)は、錆層中のCP値は0.4と小さく、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で0.3mg/mと少なかったため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は77.0%と大きく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは1.23mmと大きかった。そして、試験番号70(鋼材番号33)は、錆層中のCP値は0.9と小さく、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で212.2mg/mと大きかったため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は56.7%と大きく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは0.90mmと大きかった。
比較例に係る試験番号71(鋼材番号34)は、錆層中のCP値は1.1であり、かつ、SnおよびWの合計含有量は金属換算で50.2mg/mであるため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は48.2%と小さく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは0.68mmと小さく、優れた耐食性を示した。しかしながら、鋼材中のCu含有量のSn含有量に対する比Cu/Snが5.000と大きいため、鋼材製造時に圧延割れが発生した。
比較例に係る試験番号72(鋼材番号35)は、錆層中のCP値は0.8と小さかったため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は61.0%と大きく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは0.97mmと大きかった。試験番号73(鋼材番号36)は、錆層中のCP値は0.7と小さかったため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は70.5%と大きく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは1.10mmと大きかった。試験番号74(鋼材番号37)は、錆層中のCP値は0.8と小さかったため、SAEJ2334試験における塗膜剥離面積は51.0%と大きく、かつ、塗膜キズ部における最大腐食深さは0.80mmと大きかった。
以上説明したように、本発明の鋼材は、塩化物の多い環境下においても十分な耐食性を有している。よって、さまざまな塩化物環境下で使用される鋼材として適する。特に、塩化物環境下でかつ海上で昼夜激しい温度差に晒され過酷な環境下に置かれるバラストタンクやカーゴオイルタンク用に使用する鋼材として適した特性を有する。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.001%以上0.30%未満、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、W:0.05〜1.0%Sn:0.01〜0.50%およびCe:0.001〜0.5%ならびに残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のCu:0.5%以下およびNi:0.5%以下である化学組成を有し、Cu含有量のSn含有量に対する比Cu/Snが1.0以下である鋼材であって、鋼材表面がSnおよびWの両方を金属換算で合わせて0.5〜200mg/m含有する保護性錆層で覆われており、かつ、保護性錆層中の下記の(A)式で表されるCPの値が1.0以上であることを特徴とする耐食性に優れた鋼材。
    CP=α−FeOOH/(γ−FeOOH+β−FeOOH)・・(A)
    ここで、α−FeOOH、β−FeOOHおよびγ−FeOOHは、錆層中のそれぞれの結晶質錆の含有量であり、X線積分値から算出される。
  2. さらに、質量%で、Cr:5.0%以下、Al:0.1%以下、N:0.1%以下、Ti:3.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、Ca:0.1%以下、Co:1.0%以下およびMo:1.0%以下のうちの1種もしくは2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の耐食性に優れた鋼材。
  3. さらに、質量%でCe以外のREMを0.02%以下含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の耐食性に優れた鋼材。
  4. 鋼材表面の少なくとも一部に単層または複層の有機または無機の樹脂で被覆することによって防食処理が施されたことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の耐食性に優れた鋼材。
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