JP7087486B2 - 鋼板 - Google Patents
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Description
前記母材の化学組成が、質量%で、
C:0.04%を超えて0.20%以下、
Si:0.1~1.0%、
Mn:0.3~2.5%、
P:0.01%以下、
S:0.01%以下、
Sn:0.01~0.50%、
Al:0.001~0.01%、
N:0.0005~0.01%、
W:0~0.5%、
Mo:0~0.5%、
Ti:0~0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記スケール層は、マグネタイトを主体とする層を含み、
前記マグネタイトを主体とする層の、ラマン分光分析において650cm-1付近に現れるピークの半値幅が25~80であり、
前記鋼板の色彩が、Lab色空間で、L*=2~20、a*=-20~10、b*=-10~20である、
鋼板。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、材料としての強度を確保するために必要な元素であり、0.04%を超えて含有させる必要がある。しかし、0.20%を超えて含有させると溶接性が著しく低下する。また、C含有量の増大とともに、pHが低下する環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大するため、耐食性が低下する。このため、Cの含有量は0.04を超えて0.20%以下とする。C含有量は0.05%以上であるのが好ましい。また、C含有量は0.18%以下であるのが好ましく、0.16%以下であるのがより好ましい。
Siは、高温環境では、スケール中でファイアライト等の鉄シリコン酸化物を形成する。スケール中にファイアライトが形成されるとスケールの密着性が向上するだけでなく、スケール厚が過大になるのを防止し、結果的に赤スケールの発生を抑制する。そのため、Si含有量を0.1%以上とする必要がある。しかし、スケール中のファイアライトの存在量が過剰となると、それを経由して形成される結晶性の高いFe3O4およびFe2O3が多量に形成され、赤スケールが発生する結果となる。また、Siは酸化されやすくスケール中の酸素分圧を低下させるため、Si含有量が過剰であるとかえって密着性を低下させる要因となる。したがって、Si含有量は0.1~1.0%とする。Si含有量は0.2%以上であるのが好ましく、0.85%以下であるのが好ましい。
Mnは、鋼板の強度上昇に必要な元素である。Mn含有量が0.3%未満であると、高強度鋼板の製造が難しくなる。一方、2.5%を超えて含有させると加工性を保つことが難しくなる。このため、Mn含有量は0.3~2.5%とする。Mn含有量は、0.4%以上であるのが好ましく、2.0%以下であるのが好ましい。
Pは、強度上昇に有効かつ耐食性向上に有益な元素であり、従来、耐食性鋼板に活用されてきた。しかし、P含有量が0.01%を超えると、鋼板製造時にスラブ脆化(割れ)の起因となる。したがって、P含有量は0.01%以下とする。P含有量は0.008%以下であるのが好ましい。
Sは、Mnと結合し、硫化物であるMnSを形成する。この硫化物は変形しやすく、圧延によって伸張し鋼材中に存在し、鋼材の曲げ性、加工性を劣化させる。特に、高強度鋼材では、割れ感受性を高めるため、S含有量はできるだけ少なくする必要がある。したがって、S含有量は0.01%以下とする。S含有量は0.008%以下であるのが好ましい。
Snは、塩化物を含む大気環境および酸性環境における耐食性を大幅に向上させる作用を有する元素である。これらの効果を得るには、Sn含有量を0.01%以上とする必要がある。高温環境では、Snが母材に含まれると鋼材表面にSn酸化物を含むスケールが生じる。その結果、Snはスケール中の母材界面に濃化し、スケールの密着性を低下させる要因となる。また、Snが母材に含まれると赤スケールが生成しやすくなる傾向がある。そのため、Sn含有量は0.01~0.50%とする。耐食性と赤スケール発生防止との両立を考慮すると、Sn含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.20%以下であるのが好ましい。
Alは、鋼の耐腐食性を向上させる元素である。また、Pと同様に、ファイアライトの形成を抑制し、結果的に赤スケールの発生を防止する効果も有する。それらの効果を得るためにはAl含有量を0.001%以上とする必要がある。一方、Al含有量が0.01%を超えると、上記の効果は飽和する。したがって、Al含有量は0.001~0.01%とする。なお、Alを多量に含有させると鋼板が脆化しやすくなるだけでなく、耐腐食性もかえって悪化するため、Al含有量は0.008%以下とするのが好ましい。
Nは、アンモニアとなって溶解し、飛来塩分量が多い環境において、Fe3+の加水分解によるpH低下を抑制することにより、塩分環境における鋼板の耐腐食性を向上させる効果を有する。この効果を得るためには、N含有量を0.0005%以上とする必要がある。一方、N含有量が0.01%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼板の靭性を劣化させる。したがって、N含有量は0.0005~0.01%とする。
Mo:0~0.5%
Ti:0~0.5%
W、MoおよびTiは、いずれも耐食性を向上させる効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、これらの元素の含有量が0.5%を超えると、効果が飽和し、コストも高くなることから、それぞれの元素の含有量は0.5%以下とする。耐食性を向上させる効果を得るためには、上記の元素から選択される1種以上を0.01%以上含有させるのが好ましい。なお、2種以上の元素を含有させる場合には、その合計含有量は1.0%以下とするのが好ましい。
上述のように、母材の表面に形成されるスケール層は、マグネタイト層を含む。そして、正常なスケールである黒スケール中のマグネタイト層には、結晶性の悪い比較的ブロードなFe3O4型のスケールが存在するのに対して、異常なスケールである赤スケール中のマグネタイト層には、結晶性の良いFe3O4型のスケールが存在する。
本発明に係る鋼板の色彩は、Lab色空間で、L*=2~20、a*=-20~10、b*=-10~20である。赤スケールの生成を防止することによって、鋼板の色彩を上記の範囲に調整することが可能になり、意匠性に優れる鋼板を得ることができる。
本発明に係る鋼板の板厚については特に制限は設けないが、6~30mmであるのが望ましい。
本発明に係る鋼板の製造方法については特に制限は設けないが、例えば、上記で説明した化学組成を有する鋼を、以下に示す条件において、加熱および熱間圧延を行うことによって製造することができる。以下に詳しく説明する。
上記鋼板から長さ20mm、幅20mm、厚さ6mmの試験片を切り出し、樹脂中に埋め込んでスケール層の断面を観察するためのミクロ試料を作製した。顕微ラマン散乱分光分析を行い、スケール層中のマグネタイト層を特定した。顕微ラマン散乱分光分析は、HORIBA Jobin Yvon社 HR800 LDレーザー(532nm)を用いた。レーザー強度は80μWとし、露光時間は10秒以下とした。ラマン散乱分光スペクトルよりFe3O4に特徴的な650cm-1付近のピークの半値幅を測定した。
鋼板の色彩は、顕微ラマン散乱分光分析測定を行う前の上記試験片を用い、コニカミノルタ株式会社製の色差計CR-5を用いて測定を行った。そして、コニカミノルタ株式会社製の色彩管理ソフトウェアCM-S100wを使用して解析することで、Lab色空間での値を求めた。
上記鋼板から長さ100mm、幅60mm、厚さ6mmの試験片を切り出した後、上記試験片を用いて、切断端部を神東塗料株式会社製のネオゴーセイを塗布して防食した。試験片中央部に長さ30mm幅1mmのスケール欠陥部をミニフライス盤で設けた。その後、試験片を50℃、100%RHの湿潤環境にて4h保持した後、同じく50℃、100%RHの環境でUVAランプ(0.77W/m2/nm、340nm)を4時間照射するというサイクル試験を、ISO 11507に準拠し、9サイクル、72h実施した。
Claims (1)
- 母材の表面に厚さが5~50μmのスケール層が形成された鋼板であって、
前記母材の化学組成が、質量%で、
C:0.04%を超えて0.20%以下、
Si:0.1~1.0%、
Mn:0.3~2.5%、
P:0.01%以下、
S:0.01%以下、
Sn:0.01~0.20%、
Al:0.001~0.01%、
N:0.0005~0.01%、
W:0~0.5%、
Mo:0~0.5%、
Ti:0~0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記スケール層は、マグネタイトを主体とする層を含み、
前記マグネタイトを主体とする層の、ラマン分光分析においてFe 3 O 4 に特徴的な650cm-1付近に現れるピークの半値幅が25~80であり、
前記鋼板の色彩が、Lab色空間で、L*=2~20、a*=-20~10、b*=-10~20である、
鋼板。
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