JP2023119906A - 鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化物を含む乾湿繰り返し環境において優れた耐食性を発揮する鋼材を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.01~0.20%、Si:0.01~1.0%、Mn:0.05~3.00%、P:0.150%以下、S:0.030%以下、Al:1.500%以下、N:0.001~0.010%、Sn:0.01~0.50%、In:0.001~0.20%、Cu:1.0%以下、Ni:5.00%以下、Cr:9.00%以下、残部:Feおよび不純物であり、P:0.050%超、Al:0.100%超、Ni:1.00%超、およびCr:1.00%超から選択される1種以上を含有する、鋼材。【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼材に関する。
鋼材の腐食を加速する因子として、塩化物の影響が極めて大きいことがよく知られている。例えば、海浜地域においては海水の飛沫はないものの、海塩粒子の飛来により腐食が促進される。また、内陸部においても、冬季には路面凍結を防ぐために塩化物を含む凍結防止剤を散布するなど、塩化物による腐食はいたる所で問題となっている。
このような、海岸地域等に比べて比較的塩化物量が低い屋外では、耐候性鋼が用いられている。耐候性鋼は、大気中での曝露により腐食される過程で、鋼材表面に腐食要因の透過を抑制する保護性の高いさび層を形成することにより、腐食速度を著しく低下させた鋼材である。このさび層の保護性により、腐食速度が著しく低下する特徴を有するため、耐候性鋼を使用した橋梁等は、無塗装のまま数十年間の供用に耐え得ることが知られている。また、耐候性鋼に塗装した場合には、塗装後耐食性に優れることが知られている。
例えば、特許文献1には、Cu、Ni、Crを複合して含有させた耐候性鋼が開示されている。特許文献2には、Cu、Nb、Snを複合して含有させた耐候性鋼が開示されている。
特開2000-17383号公報 国際公開第2014/181534号
しかし、特許文献1および2に記載の耐候性鋼では、さび層は数年~数十年間かけて徐々に形成されるものである。すなわち、腐食因子である塩化物イオンなどの基材への透過を十分に防止することができるさび層が形成されるまでの間は、基材の腐食は進行することになる。特許文献1および2に記載の耐候性鋼では、さび層が形成されるまでの間における基材の耐食性について、検討の余地が残されている。
本発明は、上記の課題を解決し、塩化物を含む乾湿繰り返し環境において優れた耐食性を発揮する鋼材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の鋼材を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.01~0.20%、
Si:0.01~1.0%、
Mn:0.05~3.00%、
P:0.150%以下、
S:0.030%以下、
Al:1.500%以下、
N:0.001~0.010%、
Sn:0.01~0.50%、
In:0.001~0.20%、
Cu:1.0%以下、
Ni:5.00%以下、
Cr:9.00%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
P:0.050%超、
Al:0.100%超、
Ni:1.00%超、および、
Cr:1.00%超、
から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
(2)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:1.0%以下、および
W:1.0%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)に記載の鋼材。
(3)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Sb:0.30%以下、
Co:1.0%以下、
As:0.30%以下、
Ce:0.50%以下、
Bi:0.10%以下、
Se:0.50%以下、
Pb:0.50%以下、
Hf:0.20%以下、
Zn:0.10%以下、
Ga:0.10%以下、
Sr:0.020%以下、
Ba:0.020%以下、
Ge:0.10%以下、
Sc:0.010%以下、および
Sm:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
(4)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.20%以下、
Zr:0.20%以下、
Nb:0.10%以下、
V:0.50%以下、
B:0.010%以下、
Ta:0.10%以下、
Te:0.50%以下、
Y:0.10%以下、
La:0.10%以下、
Nd:0.010%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、および
REM:0.0150%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)~(3)のいずれかに記載の鋼材。
(5)前記鋼材の表面の少なくとも一部に、防食処理が施された、
上記(1)~(4)のいずれかに記載の鋼材。
本発明によれば、塩化物を含む乾湿繰り返し環境において優れた耐食性を発揮する鋼材が得られる。
鋼材にP、Al、Ni、およびCrから選択される1種以上を、一定量以上含有させることで、鋼材を使用するにつれて鋼材表面に保護性さびおよび/または不動態皮膜が形成される。その結果、鋼材の耐食性を向上させることができる。保護性さびと、不動態皮膜とでは、鋼材表面における厚さは異なるものの、いずれも鋼材表面を酸化物が覆うことにより鋼材の耐食性を向上させることができる。
しかし、鋼材の腐食を抑制するために十分な保護性さびおよび/または不動態皮膜が形成されるまでの間に、鋼材が塩化物を含む乾湿繰り返し環境に曝されると、FeCl溶液の乾湿繰り返しが生じ、Fe3+の加水分解により腐食界面のpHが低下した状態で、かつFe3+が酸化剤として作用することによって、腐食が加速する。
このときの腐食反応は、以下に示すとおりである。
カソード反応:Fe3++e→Fe2+(Fe3+の還元反応)
アノード反応:Fe→Fe2++2e(Feの溶解反応)
したがって、腐食の総括反応は、下記(i)式のとおりである。
2Fe3++Fe→3Fe2+ ・・・(i)
上記(i)式の反応により生成したFe2+は、空気酸化によりFe3+に酸化され、生成したFe3+は再び酸化剤として腐食が加速する。この際、Fe2+の空気酸化の反応速度は低pH環境では一般に遅いが、塩化物溶液中ではFe3+が生成されやすくなる。このようなサイクリックな反応のため、塩化物を含む環境において鋼の耐食性が著しく劣化する。
酸性化した腐食界面のpHは、鋼材表面に付着する雨水等によって中性化されるが、上記の反応により再び低下する。このように、乾湿繰り返し環境において、腐食界面のpHは酸性から中性の領域で連続的に変化する。
さらに、低pH環境では以下に示す水素イオンの還元反応が進行し、Fe溶解のアノード反応が促進される。
2H+2e→H
アノード溶解反応を抑制するためには、Snを鋼中に含有させることが有効である。Snは、腐食環境において陽イオンSn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。さらに、Snは、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減することによっても、Fe3+の腐食促進作用を抑制することができる。
また、Sn表面における水素発生反応の進行速度は、Fe表面と比較して小さいことが知られている。そのため、鋼表面にSn層を形成することで水素発生反応を抑制し、結果として鋼のアノード溶解反応を抑制することができる。
具体的には、Sn2+のアンダーポテンシャル析出(UPD)により、使用環境中で鋼材表面に極めて薄い金属Sn層を形成させることで、耐食性を向上させることができる。
このように、Snはアノード溶解反応を抑制し耐食性を向上させることができる。しかし、SnはpHが2未満の強酸性環境において非常に有効である一方、弱酸性環境におけるアノード溶解反応の抑制については、改善の余地が残されている。
本発明者らは、このような塩分環境におけるSnの効果を基に、さらにpHが変動する環境における耐食性を向上させるために、種々の金属元素と、アノード溶解反応との関係について詳細に研究した。その結果、下記の(a)~(c)に示す知見を得た。
(a)Inは腐食環境において陽イオンIn3+となって溶解し、酸塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する。
(b)In表面における水素発生反応の進行速度は、Fe表面と比較して小さい。そのため、In3+のアンダーポテンシャル析出(UPD)によって、使用環境中で鋼材表面に極めて薄い金属In層を形成させることで、Feのアノード溶解反応を大幅に抑制できる。これにより、Inが微量でも耐食性を大幅に向上させることができる。
(c)Sn2+のUPDが、pH2未満の強酸性環境で起こるのに対し、In3+のUPDは、pH3~5の弱酸性環境で生じる。そのため、SnとInとを同時に含有させることで、乾湿繰り返しによって生じるpHの変化に対して、それぞれ単独で含有させるよりも優れた腐食抑制効果を得ることができる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
(A)化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.01~0.20%
Cは材料としての強度を確保するために必要な元素である。しかし、過剰に含有させると溶接性が著しく低下する。また、C含有量の増大とともに、pHが低下する環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大するため、耐食性が低下する。そのため、C含有量は0.01~0.20%とする。C含有量は0.02%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.18%以下であるのが好ましく、0.16%以下であるのがより好ましい。
Si:0.01~1.0%
Siは脱酸に必要な元素である。しかし、過剰に含有させると母材および溶接継手部の靱性が損なわれる。そのため、Si含有量は0.01~1.0%とする。Si含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.80%以下であるのが好ましく、0.60%以下であるのがより好ましい。
Mn:0.05~3.00%
Mnは低コストで鋼の強度を高める作用を有する元素である。しかし、過剰に含有させると溶接性が劣化するとともに継手靱性も劣化する。そのため、Mn含有量は0.05~3.00%とする。Mn含有量は0.20%以上であるのが好ましく、0.40%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は2.50%以下であるのが好ましく、2.00%以下であるのがより好ましい。
P:0.150%以下
Pは過剰に含有させると鋼材の機械的特性および製造性を低下させる。そのため、P含有量は0.150%以下とする。P含有量は0.100%以下であるのが好ましい。P含有量の下限は特に規定する必要はなく、つまりP含有量は0%でもよいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量は0.0001%以上としてもよい。
S:0.030%以下
Sは鋼材中に不純物として存在する元素である。Sは鋼中に腐食の起点となるMnSを形成し、その含有量が過剰であると、耐食性の低下が顕著になる。そのため、S含有量は0.030%以下とする。S含有量は0.025%以下であるのが好ましく、0.020%以下であるのがより好ましい。S含有量の下限は特に規定する必要はなく、つまりS含有量は0%でもよいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、S含有量は0.0001%以上としてもよい。
Al:1.500%以下
Alは過剰に含有させると、フェライト相変態の温度範囲が極めて広くなり製造過程での鋳片割れなどの原因となる。そのため、Al含有量は1.500%以下とする。加工性を考慮すると、Al含有量は1.300%以下であるのが好ましい。また、耐食性、製造性およびコストのバランスを考慮すると、Al含有量は1.200%以下であるのがより好ましい。
Alは鋼の脱酸に有効な元素である。そのため、Al含有量は0.005%以上としてもよい。Alによる脱酸効果を安定的に得るためには、Al含有量を0.010%以上とすることが好ましく、0.030%以上とすることがより好ましい。
N:0.001~0.010%
Nは、窒化物を形成する元素であり、結晶粒を微細化して機械特性等の向上に寄与する元素である。しかし、過剰に含有させると窒化物に起因して機械特性が劣化する。そのため、N含有量は0.001~0.010%とする。粗大なフェライトの生成を抑制するためには、N含有量を0.002%以上であるのが好ましく、0.003%以上であるのがより好ましい。また、N含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.006%以下であるのがより好ましい。
Sn:0.01~0.50%
Snは腐食環境においてSn2+として溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。さらに、Sn2+にはアンダーポテンシャル析出(UPD)によって鋼のアノード溶解反応を大幅に抑制する作用があることから、微量で耐食性を大幅に向上させることができる。しかし、過剰に含有させても前記の効果は飽和するばかりでなく、母材および大入熱溶接継手の靱性が劣化する。そのため、Sn含有量は0.01~0.50%とする。Sn含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、Sn含有量は0.40%以下であるのが好ましく、0.30%以下であるのがより好ましい。
In:0.001~0.20%
Inは腐食環境においてIn3+として溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。さらに、In3+にはUPDによって鋼のアノード溶解反応を大幅に抑制する作用があることから、微量で耐食性を大幅に向上させることができる。しかし、過剰に含有させても前記の効果は飽和するばかりでなく、母材の靱性が劣化する。そのため、In含有量は0.001~0.20%とする。In含有量は0.010%以上であるのが好ましく、0.020%以上であるのがより好ましい。また、In含有量は0.15%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。
ここで、InとSnとを同時に含有させることにより、塩化物を含む乾湿繰り返し環境において優れた耐食性を得ることができる理由を説明する。上述のとおり、塩化物を含む乾湿繰り返し環境においては、腐食界面のpHは酸性から中性の領域で連続的に変化する。
鋼材が腐食界面のpHが2未満の環境に晒された場合、鋼中のSnはSn2+イオンとして存在する方が安定であるため、母材からSnがSn2+イオンとして溶出する。その後、特定の電位域となると、UPDにより、Snが鋼材表面に単原子層として析出し、鋼材のアノード溶解反応を抑制する。そして、腐食界面のpHが3程度まで上昇すると、Sn2+は安定に存在できなくなるため、Snの一部は酸化物となる。その結果、鋼材表面にSnの単原子層および/または酸化Sn層が形成される。酸化Sn層も鋼材の腐食抑制効果を有するため、鋼材は酸性から中性の腐食環境下においても優れた耐食性を発揮する。
一方、鋼材が腐食界面のpHが3~5の環境に晒された場合、Sn2+イオンの溶出は生じない。しかし、InがIn3+イオンとして安定に存在できるため、母材からInがIn3+イオンとして溶出し、特定の電位域となると、UPDにより、Inが鋼材表面に単原子層として析出し、鋼材のアノード溶解反応を抑制する。その後、腐食界面のpHが2以下に低下すると、Inは溶解してしまうが、SnがSn2+として溶出し、鋼材表面に単原子層を形成し、鋼材のアノード溶解反応を抑制する。
以上のようにして、InとSnとを同時に含有させることにより、塩化物を含む乾湿繰り返し環境において、pHの変動に合わせてInおよび/またはSnが鋼材表面に単原子層を形成する。その結果、効果的に鋼材の耐食性を向上させることができる。
Cu:1.0%以下
Cuは低pH環境における鋼のアノード溶解を抑制することにより耐食性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく、脆化を起こす原因となる。したがって、Cu含有量は1.0%以下とする。Cu含有量は0.80%以下であるのが好ましい。Cuは含有されなくてもよく、下限は0%である。しかし、上記効果を安定的に得るためには、Cu含有量を0.02%以上とすることが好ましく、0.03%以上とすることがより好ましい。
Ni:5.00%以下
NiはCuと同様に、低pH環境における鋼のアノード溶解を抑制することにより耐食性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく、コストの著しい上昇につながる。そのため、Ni含有量は5.00%以下とする。Ni含有量は、3.50%以下であるのが好ましい。Niは含有されなくてもよく、下限は0%である。
Cr:9.00%以下
Crは耐食性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると粗大なフェライトの結晶粒が形成され、製造性および機械特性を損なう。そのため、Cr含有量は9.00%以下とする。Cr含有量は8.00%以下であるのが好ましく、7.50%以下であるのがより好ましい。Crは含有されなくてもよく、下限は0%である。
P、Al、Ni、およびCrから選択される1種以上
P、Al、Ni、およびCrは、鋼材表面に保護性さびおよび/または不動態皮膜を形成し、鋼材の耐食性を向上させる効果を有する元素である。したがって、これらの元素から選択される1種以上を、以下に示す範囲において含有させる。各元素の含有量の限定理由について説明する。
P:0.050%超
Pは保護性さびの形成を助長させる効果を有する元素である。そのため、その効果を得たい場合は、P含有量は0.050%超とする。P含有量は0.060%以上であるのが好ましく、0.070%以上であるのがより好ましい。
Al:0.100%超
Alは不動態皮膜を形成することで鋼材の耐食性を向上させる作用を有する元素である。そのため、その効果を得たい場合は、Al含有量は0.100%超とする。加工性を考慮すると、Al含有量は0.500%以上であるのが好ましい。また、耐食性、製造性およびコストのバランスを考慮すると、0.850%以上であるのがより好ましい。
Ni:1.00%超
Niは保護性さびの形成によって耐食性を向上させる効果を有する元素である。また、NiはX線的非晶質さびまたはα-FeOOHに含有されることで、微細化し、保護性さびの緻密性を向上させることにより物質の透過を抑制する性質を有する元素でもある。そのため、その効果を得たい場合は、Ni含有量は1.00%超とする。Ni含有量は2.00%以上であるのが好ましい。
Cr:1.00%超
Crは不動態皮膜を形成することで鋼材の耐食性を向上させる作用を有する元素である。特に、CrとAlとを同時に含有させることにより、上記効果が顕著に発現する。そのため、その効果を得たい場合は、Cr含有量は1.00%超とする。Cr含有量は1.30%以上であるのが好ましく、2.00%超であるのがより好ましく、3.00%以上、4.00%以上であるのがさらに好ましい。
本発明に係る鋼材は、上記の化学組成を有し、残部がFeおよび不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明の鋼材の化学組成においては、Feの一部に代えて、下記の元素から選択される1種以上を、以下に示す範囲において含有させてもよい。各元素の限定理由について説明する。
Mo:1.0%以下
Moは溶解して酸素酸イオンMoO 2-の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制する作用効果を有する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが大幅に上昇する。したがって、Mo含有量は1.0%以下とする。Mo含有量は0.70%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Mo含有量を0.01%以上とすることが好ましく、0.02%以上とすることがより好ましい。
W:1.0%以下
WはMoと同様に、溶解して酸素酸イオンWO 2-の形で存在し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制する作用効果を有する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが大幅に上昇する。したがって、W含有量は1.0%以下とする。W含有量は0.70%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、W含有量を0.01%以上とすることが好ましく、0.02%以上とすることがより好ましい。
Sb:0.30%以下
Sbは酸性環境での耐食性を向上させる作用を有する元素であり、低pH環境において鋼のアノード溶解反応を抑制するとともに、水素ガス発生反応およびFe3+の還元反応を抑制することで塩化物環境における耐食性を向上させるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると靱性が著しく劣化する。したがって、Sb含有量は0.30%以下とする。Sb含有量は0.15%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Sb含有量を0.05%以上とすることが好ましく、0.08%以上とすることがより好ましい。
Co:1.0%以下
Coは酸性環境での耐食性を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく、鋼材のコストが大幅に上昇する。したがって、Co含有量は1.0%以下とする。Co含有量は0.70%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Co含有量を0.01%以上とすることが好ましく、0.02%以上とすることがより好ましい。
As:0.30%以下
Asは、Sb、Snに比べて効果は顕著ではないが、酸性環境での耐食性の向上に有効な元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると熱間加工性が低下する。したがって、As含有量は0.30%以下とする。As含有量は0.20%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、As含有量を0.02%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましい。
Ce:0.50%以下
Ceは腐食環境においてCe3+として溶出し、塩化物溶液中でのインヒビター作用により鋼のアノード溶解反応を抑制する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると圧延割れの原因となる。したがって、Ceの含有量は0.50%以下とする。Ce含有量は0.15%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Ce含有量を0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることがより好ましい。
Bi:0.10%以下
Biは、Sb、Snに比べて効果は顕著ではないが、酸性環境での耐食性を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると熱間加工性が低下する。したがって、Bi含有量は0.10%以下とする。Bi含有量は0.050%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Bi含有量を0.002%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Se:0.50%以下
Pb:0.50%以下
SeおよびPbは酸性環境での耐食性の向上に有効な元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると熱間加工性が劣化する。したがって、SeおよびPbの含有量は、それぞれ0.50%以下とする。SeおよびPbの含有量は、それぞれ0.15%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、SeおよびPbの含有量を、それぞれ0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることがより好ましい。
Hf:0.20%以下
Hfは鋼材表面に生成するさび層を緻密化して耐食性を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。したがって、Hf含有量は0.20%以下とする。Hf含有量は0.10%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Hf含有量を0.002%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Zn:0.10%以下
Ga:0.10%以下
ZnおよびGaは酸性環境で鋼材表面のカソード反応を抑制し、耐食性を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると母材の靭性および溶接性が劣化する。したがって、ZnおよびGaの含有量は、それぞれ0.10%以下とする。ZnおよびGaの含有量は、それぞれ0.080%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、ZnおよびGaの含有量を、それぞれ0.002%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Sr:0.020%以下
Ba:0.020%以下
SrおよびBaは腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、腐食の促進を抑える作用を有しているので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると母材靭性を低下させることがある。したがって、SrおよびBaの含有量は、それぞれ0.020%以下とする。SrおよびBaの含有量は、それぞれ0.010%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、SrおよびBaの含有量を、それぞれ0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。
Ge:0.10%以下
Geは耐食性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると母材の機械的特性が低下する。したがって、Ge含有量は0.10%以下とする。Ge含有量は0.080%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Ge含有量を0.002%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Sc:0.010%以下
Scは腐食により生成するさび層中に取り込まれ、緻密なさび層を形成して鋼材の全面腐食を抑制する効果を有する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると低温靭性の低下を招くため好ましくない。したがって、Sc含有量は0.010%以下とする。上記効果を安定的に得るためには、Sc含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。
Sm:0.010%以下
Smは耐食性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると母材の機械的特性が低下する。したがって、Sm含有量は0.010%以下とする。Sm含有量は0.0060%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Sm含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
Ti:0.20%以下
Tiは硫化物の形成により腐食の起点となるMnSの形成を抑える作用効果を有する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく鋼材のコストが上昇する。したがって、Ti含有量は0.20%以下とする。Ti含有量は0.15%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Ti含有量を0.001%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Zr:0.20%以下
ZrはTiと同様に、硫化物を形成することにより腐食の起点となるMnSの形成を抑える作用効果を有しているので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなく鋼材のコストが上昇する。したがって、Zr含有量は0.20%以下とする。Zr含有量は0.15%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Zr含有量を0.001%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Nb:0.10%以下
Nbは鋼材の強度を上昇させる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するだけでなくHAZの靭性が低下する。したがって、Nb含有量は0.10%以下とする。Nb含有量は0.050%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Nb含有量を0.001%以上とすることが好ましく、0.003%以上とすることがより好ましい。
V:0.50%以下
VはNbと同様に鋼材の強度を上昇させる元素である。また、MoおよびWと同様に、溶解して酸素酸イオンの形で存在し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制する作用も有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するばかりでなくコストが著しく上昇する。したがって、V含有量は0.50%以下とする。V含有量は0.30%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、V含有量を0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることがより好ましい。
B:0.010%以下
Bは焼入性を向上させて強度を高める元素であるので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると強度を高める効果が飽和し、また、母材、HAZともに靱性劣化の傾向が著しくなる。したがって、B含有量は0.010%以下とする。上記効果を安定的に得るためには、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
Ta:0.10%以下
Taは、鋼材の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じて含有させることができる。また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、Taは耐食性の向上にも寄与することがわかった。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するばかりでなくコストが上昇する。したがって、Ta含有量は0.10%以下とする。Ta含有量は0.060%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Ta含有量を0.001%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Te:0.50%以下
Teは鋼材の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると、靭性および溶接性が低下する。したがって、Te含有量は0.50%以下とする。Te含有量は0.40%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Te含有量を0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。
Y:0.10%以下
La:0.10%以下
YおよびLaは介在物の形態制御に有効で、延性特性の向上に有効であり、また、大入熱溶接継手のHAZ靭性向上にも有効な元素であるため、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると介在物が粗大化して、機械的性質、特に延性および靭性に悪影響を及ぼす。したがって、YおよびLaの含有量は、それぞれ0.10%以下とする。YおよびLaの含有量は、それぞれ0.060%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、YおよびLaの含有量を、それぞれ0.0001%以上とすることが好ましく、0.0050%以上とすることがより好ましい。
Nd:0.010%以下
Ndは組織の微細化を通して靭性改善に寄与する元素であり、必要に応じて含有させることができる。また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、Ndは耐食性の向上にも寄与することがわかった。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するばかりでなくコストが上昇する。したがって、Nd含有量は0.010%以下とする。Nd含有量は0.0080%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Nd含有量を0.0001%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
Ca:0.010%以下
Caは、主に硫化物の形態の制御に用いられる元素であり、必要に応じて含有させることができる。また、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、腐食の促進を抑える作用も有する。ただし、過剰に含有させると機械特性が損なわれる場合がある。したがって、Ca含有量は0.010%以下とする。Ca含有量は0.0050%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Ca含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
Mg:0.010%以下
MgはCaと同様に、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和する。したがって、Mg含有量は0.010%以下とする。Mg含有量は0.0050%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、Mg含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
REM:0.0150%以下
REM(希土類元素)は、Y、Sc、La、Ce、Nd、およびSmを除いて、鋼の溶接性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させることができる。ただし、過剰に含有させると効果が飽和するため、REM含有量は0.0150%以下とする。REM含有量は0.0100%以下であるのが好ましい。上記効果を安定的に得るためには、REM含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
ここで、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScをあわせた17元素の総称である。ただし、本発明では、Y、Sc、La、Ce、NdおよびSmは上述のとおり、別途規定しているので、REMからY、Sc、La、Ce、NdおよびSmを除いた元素のうちの1種の含有量または2種以上の合計含有量をREM含有量と呼ぶ。
(B)防食被膜
上記に説明した本発明の鋼材は、そのまま使用しても良好な耐食性を示す。しかし、その表面に防食処理を施した場合、具体的には有機樹脂または金属からなる防食被膜で表面を被覆した場合には、従来の鋼材に比べ防食被膜の耐久性が向上し、耐食性が一段と向上する。
ここで、有機樹脂からなる防食被膜としては、ビニルブチラール系、エポキシ系、ウレタン系、フタル酸系等の樹脂被膜などが挙げられる。また、金属からなる防食被膜としては、Zn、Al、Zn-Al等のメッキ被膜またはZn、Al、Al-Mgなどの溶射被膜などを挙げることができる。
防食被膜の耐久性が向上するのは、下地である本発明鋼材の腐食が著しく抑制される結果として、防食被膜欠陥部からの下地鋼材腐食に起因する防食被膜のふくれまたは剥離が抑制されるためであると考えられる。
(C)製造方法
本発明に係る鋼材の製造方法については特に制限はない。例えば、上述した化学組成を有するインゴットに対して、熱間圧延を施し、さらに必要に応じて冷間圧延を施して製造される、鋼板、鋼管などが含まれる。熱間圧延を行うに際しての加熱条件については特に制限はなく、通常の条件を採用すればよい。
鋼材を製造する場合は、常法で鋼を溶製し、成分の調整後、鋳造して得られた鋼片を熱間圧延し、さらに必要に応じて冷間圧延を施して製造される。熱間圧延後は、そのまま水冷するか、または空冷した後、再加熱して焼入れてもよい。熱間圧延後は、コイル状に巻き取ってもよい。熱間圧延後、冷間圧延して、さらに熱処理を施してもよい。
鋼管を製造する場合は、鋼板を管状に成形して溶接してもよく、UO鋼管、電縫鋼管、鍛接鋼管、スパイラル鋼管などにすることができる。鋼片に熱間押出または穿孔圧延を施して製造されるシームレス鋼管も本発明の鋼材に含まれる。
また、上述した防食被膜で覆う処理は通常の方法で行えばよい。また、必ずしも鋼材の全面に防食被膜を施す必要はなく、腐食環境に曝される面としての鋼材の片面、鋼管であれば外面または内面だけ、すなわち鋼材表面の少なくとも一部を防食処理するだけでもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、50kgのインゴットとした後、通常の方法で熱間鍛造して、厚さが60mmのブロックを作製した。次いで、上記ブロックを、1120℃で1時間加熱してから熱間圧延し、850℃で厚さ20mmに仕上げ、その後室温まで大気中で放冷して鋼板とした。
Figure 2023119906000001
Figure 2023119906000002
Figure 2023119906000003
そして、各鋼板から、幅60mm、長さ100mm、厚さ3mmの試験片を2つずつ採取し、片方の試験片は、塩化物環境を模擬した、下記の腐食試験に供した。もう一方の試験片については、変性エポキシ系塗料でスプレー塗装により約200μmの防食被膜を試験片全面に形成した上、防食被膜に十字の疵を入れて一部地金を露出させ、同様の腐食試験に供した。
腐食試験は、人工海水溶液を1/10に希釈した水溶液を週に1回試験片の表裏面に塗布する促進大気曝露試験により行った。曝露試験は、工業地帯である兵庫県尼崎市にて6カ月間実施した。
促進大気曝露試験終了後、各試験片の表面のさび層を除去し、板厚減少量を測定した。防食処理された鋼材については、防食被膜疵部の最大腐食深さを測定した。
試験結果を表4に示す。同表における「腐食減量」は、試験片の平均の板厚減少量であり、試験前後の重量減少と試験片の表面積とを用いて算出したものである。また、「腐食深さ」は、塗膜疵部の鋼材表面からの深さの最大値である。
Figure 2023119906000004
表4の結果から明らかなように、比較例である供試鋼No.4および5の鋼材はSnおよびInのいずれか一方のみを含むため、SnおよびInの両方を含む鋼材よりも腐食減量、腐食深さが大きい。
一方、本発明例である供試鋼No.1~3、6~33の鋼材では、いずれも本発明で規定する成分含有量を満足しているため、腐食減量は0.09mm以下、腐食深さは0.08mm以下と小さくなっていた。
本発明に係る鋼材は、塩化物を含む乾湿繰り返し環境下で用いられる、耐食性に優れた耐食鋼として利用可能である。

Claims (5)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.01~0.20%、
    Si:0.01~1.0%、
    Mn:0.05~3.00%、
    P:0.150%以下、
    S:0.030%以下、
    Al:1.500%以下、
    N:0.001~0.010%、
    Sn:0.01~0.50%、
    In:0.001~0.20%、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:5.00%以下、
    Cr:9.00%以下、
    残部:Feおよび不純物であり、
    P:0.050%超、
    Al:0.100%超、
    Ni:1.00%超、および
    Cr:1.00%超、
    から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Mo:1.0%以下、および
    W:1.0%以下、
    から選択される1種以上を含有するものである、
    請求項1に記載の鋼材。
  3. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Sb:0.30%以下、
    Co:1.0%以下、
    As:0.30%以下、
    Ce:0.50%以下、
    Bi:0.10%以下、
    Se:0.50%以下、
    Pb:0.50%以下、
    Hf:0.20%以下、
    Zn:0.10%以下、
    Ga:0.10%以下、
    Sr:0.020%以下、
    Ba:0.020%以下、
    Ge:0.10%以下、
    Sc:0.010%以下、および
    Sm:0.010%以下、
    から選択される1種以上を含有するものである、
    請求項1または請求項2に記載の鋼材。
  4. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
    Ti:0.20%以下、
    Zr:0.20%以下、
    Nb:0.10%以下、
    V:0.50%以下、
    B:0.010%以下、
    Ta:0.10%以下、
    Te:0.50%以下、
    Y:0.10%以下、
    La:0.10%以下、
    Nd:0.010%以下、
    Ca:0.010%以下、
    Mg:0.010%以下、および
    REM:0.0150%以下、
    から選択される1種以上を含有するものである、
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の鋼材。
  5. 前記鋼材の表面の少なくとも一部に、防食処理が施された、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼材。
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