JP2006124797A - 塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板 - Google Patents

塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装鋼板一般に要求される特性を具備しつつ、孔あき腐食および塗膜欠陥部からの腐食を従来以上に有効に抑制できる塗装鋼板、とくに自動車用塗装鋼板を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】C、Si、Al、Mn、Cu、Ni、PそしてTi、Zrを含有する塗装鋼板において、0.03%<Ti+Zr<0.4%となるように成分を調整し、表面に、飽和水溶液のpH値が10.5以上である周期律表IIAの金属の酸化物または水酸化物の1種以上を含有する
高濃度亜鉛末塗料の塗膜を形成するか、または高濃度亜鉛末塗料の塗膜の上に、同上酸化物または水酸化物を含有する防食層を形成した塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、とくに孔あき腐食が問題になる自動車、各種産業用機械あるいは建築構造物等に使用される塗装鋼板であって、塗装耐食性はもとより耐孔あき腐食性にもすぐれた耐食性塗装鋼板に関する。
この種塗装鋼板には広範な用途があるが、激しい温度変化や、高速で飛来してくる砂石類あるいは寒冷地での融雪剤による激しい腐食環境に直面する自動車の足まわりに使用される重要保安部品用塗装鋼板にあっては、とくに熔接継ぎ手部、フード、ドアのヘミング部等の場合、耐孔あき腐食性が要求され、同時に塗装耐食性も要求される。
ことに、融雪剤の塩素イオンによる鋼板の腐食や砂利による塗膜の破壊損傷はきわめてきびしい。
このような問題に対して、鋼板の材質面および塗料の成分面からそれぞれ研究が行なわれ、下記の発明が公開されている。
特開平2‐22416号公報 特開平4‐235250号公報 特開平8‐73778号公報 特開平8−170033号公報 特許文献1と2は、いずれも鋼成分を改良してその耐候性を向上した発明であり、同3はいわゆる高濃度亜鉛末塗料(ジンクリッチ塗料)に工夫を加えた発明である。しかし、最近の過酷ともいえる環境下に使用される自動車用鋼板等として適用するには、まだ耐食性等に不十分さを残している。すなわち、特許文献1の自動車足回り用亜鉛めっき鋼板は、C成分を極低化し、またCuおよびP両成分の組み合わせ、さらにCa、Ceを添加することにより、耐孔あき腐食性を高めている。同時に、C成分の極低化と高Mn成分との組み合わせで点溶接性をも向上させている。また特許文献2のCu−P系高耐食性鋼板は、SiおよびNi両成分を最小限添加し、かつSi、NbあるいはB成分を所定範囲に制御することにより、耐食性と機械的特性を向上しようとしている。
しかし、以上2種の耐食性鋼板は、ともにCu:0.1〜0.15%を含有するCu−P系の鋼板であるから、自動車に適用しようとすれば、昨今のリサイクル適性の観点から、逆にCu成分量を抑えなければならない。また、特許文献2のように、Si成分の添加は、酸洗性にはよくない。これらの鋼板は、塩化物環境下での耐孔あき腐食性に劣り、塗膜の欠陥部から腐食が進行するおそれがあり、また成形性や溶接性あるいはリサイクル対応にも問題を残している。
つぎに、(特許文献3と4)は、防食塗料の面から対策を講じようとするが、
この種の塗料としては、亜鉛の電気化学的犠牲保護作用および亜鉛錆による大気遮断作用を利用する、いわゆるジンクリッチ塗料が使用されるものの、防錆効果の長期間確保に難点を残している。(特許文献3)は、亜鉛フレークとアルミニウムフレークをアルコールと混合した顔料スラリーおよび珪酸系結合剤を主成分とするジンクリッチ塗料を開示し、また特許文献4は、ポリイソシアネート系展色剤、亜鉛末および燐片状酸化鉄を配合した塗料を開示する.しかし、これらの塗料は、バインダーや添加剤の選択に制約があったり、塗料としての密着性に難点を残す。
なお、下記特許文献5は、本発明者がさきに開発したジンクリッチ系塗料の耐食性鋼板であるが、さらに強力な耐食性が要求されるようになっている。
特開2003−171732号公報
本発明は、溶接性や加工性、さらにリサイクル適性等の塗装鋼板一般に要求される基本的な特性を具備した上で、自動車用鋼板等に特有の孔あきおよび塗膜欠陥部からの腐食を、従来以上に抑制すべきを課題とする。そして、この課題を解決するために、鋼組成および塗料成分の双方から改良された耐食性塗装鋼板を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)C:0.001〜0.10%、Si:0.5%以下(0を含む)、Al:0.003〜0.20%、Mn:0.05〜2.0%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、P:0.020〜0.1%およびS:0.01%以下(0を含む)を含有し、かつ0.03%<Ti+Zr<0.4%(Zr:0を含む)であって、残部鉄および不可避の不純物からなる鋼板の表面に、50%以上の亜鉛を含有する高濃度亜鉛末塗料を基剤とし、飽和水溶液中のpH値が10.5以上を示す周期律表IIA族の金属の酸化物または水酸化物の1種以上を含有する塗
装を形成した塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
(2)上記(1)に記載された鋼板の表面に、50%以上の亜鉛を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成し、その上に、飽和水溶液中のpH値が10.5以上を示す周期律表IIA族の金属の酸化物または水酸化物の
1種以上を含有する防食層を形成した塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
(3)上記(1)または(2)に記載された鋼板であって、Ca:0.002%以下を追加的に含有する塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(4)上記(1)〜(3) のいずれかに記載された鋼板であって、V:0.10%以下、Mo:0.25%以下、Nb:0.10%以下,Mg:0.02%以下、Ce:0.02%以下およびLa:0.02%以下の1種以上を追加的に含有する塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(5)上記(1)〜(4)に記載のいずれかに記載された塗装鋼板であって、Ca(OH)2、CaO、Sr(OH)2、SrO、BaO、Ba(OH)2、MgOまたはLa(OH)3の1種以上を、0.3〜30%の範囲で追加的に含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(6)亜鉛より電気化学的に卑な金属の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した上記(1)〜(5)のいずれかに記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性鋼板、
(7)りん酸塩(りん酸マグネシウム・カルシウム・アルミニウム・カリウム・ナトリウム)、りんモリブデン酸塩(りんモリブデン酸アルミニウム・ナトリウム・カリウム)、モリブデン酸カルシウムおよびメタほう酸バリウムの1種以上からなる金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した上記(6)に記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(8) 平均粒径1μm以下の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した上記(6)または(7)に記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(9)0.1〜20%の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した上記(6)〜(8)のいずれかに記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板、
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載された自動車用の塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板である。
本発明は、母材となるべき鋼板の成分組成とその表面に塗布されるべき塗材の配合との相対的な関係に着目して、塗装鋼板の塗装耐食性はもとより耐孔あき腐食性を大きく改善した。すなわち、鋼板自体については、溶接性や機械的加工性さらにはリサイクル性についての性能を満足させた上で、さらに、従来以上に孔あき腐食および塗層欠陥部からの腐食を確実に抑制できるようになった。
本発明の耐食性鋼板は、母材鋼板の基本成分として、C:0.001〜0.10%およびMn:0.05〜2.0%を普通程度に含有する。Cは強化元素であるが、0.10%を超えると、セメンタイト等の炭化物を多く発生し、地鉄との間に生ずる電位差が腐食を促進する。したがって、強度向上と耐孔あき腐食とのかねあいから、好ましくは0.07%以下がよい。また、Mnは、S成分による高温割れの防止および鋼強度確保のためであるが、加工性や靭性の低下およびMnS生成による耐食性劣化の点から2.0%を限度とし、好ましくは1.5%以下がよい。
つぎに、本発明の課題である耐食性に寄与する鋼中成分について説明する。鉄錆を緻密にして安定な錆層の生成を促進するために、Al:0.003〜0.20%を含ませるが、鋼板の溶接性およびリサイクル適性の点をも加味すると、0.005〜0.15%が好ましく、さらには0.05%以下がもっとも好ましい。
鋼板の鉄錆および塗膜由来の亜鉛錆を緻密化し、耐孔あき腐食性および塗装耐食性の向上を図るために、鋼中のTiおよびZrはきわめて特徴的であり、0.03%<Ti+Zr<0.4%の量範囲(Zr:0%でもよい)に調整する。両元素は、鉄錆および亜鉛錆を緻密化し、耐孔あき腐食性および塗装耐食性の向上に寄与する重要な成分である。
発明者が独自開発したX線回折法(XRD)による錆定量分析法によれば、鉄錆、とくに塩化物環境下で顕著に見られるβ錆が、TiおよびZrにより緻密化される事実によることをはじめて確認している。 すなわち、鋼中の鉄が鉄イオン(Fe2+、Fe3+)となって溶出し、さらに水酸化物や酸化物へ転化して錆になる際、鋼中の添加元素が鉄イオンに随伴して共に溶出して錆生成を加速する。しかし、鋼中にTiおよびZrが存在すると、その作用を抑制する。 なお、この機能は、ZrよりTiの方が優位であることを確認しているので、Zrは必須としないが、添加量が0.4%以上では、鋼板の靭性や加工性が劣化するので、好ましくは0.3%以下がよい。また、効果が期待できるのは0.03%以上であるが、0.035%,さらには0.05%がよりよい。
一方、塗装鋼板の腐食が進行し、塗層も侵食されるようになると亜鉛錆が発生する。TiあるいはZrが鋼中にあると、これらが亜鉛錆の内部に取り込まれて錆自体を微細化、緻密化し、大気の遮蔽効果を高め、高濃度亜鉛末塗層の消耗を抑制して耐食性を改善する。さらに、鋼板に孔があくようになっても、その孔に上記の緻密化した亜鉛錆が溜まって充填するようになり、孔あき腐食性を抑えることができる。
また、本発明は、Ti、Zrに加えて、Cu、PおよびNiを添加し、耐食性をさらに向上する。すなわち、Cu:0.03〜0.5%およびP:0.020〜0.1%の添加は、鉄錆を緻密化して耐食性をより一層よくすることができる。ただし、過剰になると、鋼板の加工性が低下し、リサイクル適性も悪化するから、P:0.3%以下さらには0.1%以下が望ましい。また、Niは、鉄錆をより緻密化するのみではなく、鋼板の表面性状を向上するためと、Cu添加で懸念される鋼表面のヘゲ疵の発生防止のために、0.3〜0.5%を添加する。Niは、本来、鋼の活性溶解抑制効果、すなわち鋼の腐食防止作用すなわち難腐食性がすぐれているので、添加量は多い方がよいが、高価であることとリサイクル適性の面で0.5%以下、好ましくは0.3%以下さらには0.1%以下がより好ましい。
本発明は、鋼板の孔食防止目的としてCa:0.02%以下の含有を許容する。すなわち、鉄の腐食時に孔食内部で腐食反応による酸性化がさらに腐食を助長するが、Ca:0.0005%以上を加えておくと,鉄分とともにCaが溶解して孔食内部をアルカリ性にし、孔食の進行を抑制する。ただし、0.02%以上の添加は不要で、かえって鋼を脆化する。
本発明は、鋼中にさらにV:0.10%以下、Mo:0.25%以下、Nb:0.10%以下、Mg:0.02%以下、Ce:0.02%以下およびLa:0.02%以下の1種または2種以上を追加的に添加することがある。これらの元素は、鋼板自体の溶接性や加工性、リサイクル適性等の特性を維持しつつ、塗装耐食性を改善する。
Vは鉄錆の緻密化ならびに鋼の強化と加工性改善に有効に作用するが、0.10%を超えると、有効性が増すよりも鋼が脆化する。Moの添加もVと同様の作用を発揮する上に、塩素イオンの侵入を阻止するので、塩化物環境下の腐食防止が要求される用途に向いている。なお、VおよびMoは0.01%以上の添加が望ましいが、Moは0.25%以上の添加は、高価な割に効果が期待できない。Nbは固溶Tiを増し耐食性の向上に有効であり、かつ鋼の強化と加工性向上にもよいが、V同様0.10%以下でよい。
また、Mg、CeおよびLaの添加は、Ca添加の場合と同様に、鋼の溶解にともなうpH低下すなわち酸性化による鋼の腐食を抑制し、耐食性をよくする。
これらの効果を期待するために、各元素は0.005%以上の添加が望ましいが、0.02%以上は不必要である。
つぎに、上記鋼板の表面に形成される塗層および防食層について説明する。
塗層を形成するのは、50%以上の亜鉛を含有する無機あるいは有機系樹脂を基剤とする高濃度亜鉛末塗料である。有機系としては、エポキシ、ウレタン、ポリエステル樹脂等に、着色顔料として、べんがら、オーカー、チタン白、チタンイエロー、酸化クロムグリーン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等を配合したものである。また、体質顔料として、タルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を配合してよい。 無機系としては、アルキルシリケート樹脂、たとえばエチルシリケート樹脂塗料がよい。
高濃度亜鉛末塗料は、本来優れた防錆機能を有するが、使用環境によっては防錆機能が低下することが知られている。しかし、既述したとおりの成分組成の鋼板と組み合わせることにより、苛酷な環境下に曝されても高濃度亜鉛末塗料本来のすぐれた犠牲防食作用および環境遮断作用を発揮させることができる。
そして、本発明は、高濃度亜鉛末塗料中に、飽和水溶液のpH値が10.5以上を示す周期律表IIA族の金属の酸化物または水酸化物、たとえ
ば酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムを配合する。これによって、鋼材成分による亜鉛錆の緻密化効果および金属塩による亜鉛の溶出抑制に加えて、アルカリ化による亜鉛の溶出抑制や塩基性塩化亜鉛による耐食性の向上効果を発揮する。
すなわち、高濃度亜鉛末塗料の塗層中の亜鉛が犠牲陽極となって優先的に溶出する際、溶出した亜鉛イオンが下式に示すように加水分解反応を起こしてpH値を下げるのを抑制し、その結果、亜鉛の更なる溶出を抑制することができる。
Zn→Zn2++2e-
Zn2++H2O=ZnOH++H+
ZnOH++H++2OH-→Zn(OH)2+H2O
亜鉛イオンは水酸化亜鉛や塩基性塩化亜鉛等になって不溶化し、その結果、耐食性を増すことになる。この作用は、IIA族金属の酸化物、水
酸化物は、飽和溶液がアルカリ側に高く、塗料への添加量や形態を制御しやすいからである。
なお、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムのほか、酸化カルシウム・ストロンチウム・バリウム、水酸化ストロンチウム・バリウム・ランタン等が使用できる。これらの配合は、0.3%以上で効果があるが、30%以上は塗膜の機能を劣化するおそれがあるので、3〜25%が好ましい。また、これらの粒子は10μm以下に調整し、比表面積をより大にして効果を増大させる。
本発明では、50%以上の亜鉛を含有するだけの高濃度亜鉛末塗料を鋼板に塗布したのち、その上に、上記したIIA族金属の金属塩を含有す
る防食層を塗り重ねても上記効果と同様の結果が得られる。この場合の防食層は、水性樹脂、ポリエステル樹脂あるいはポリエチレン樹脂が使用できる。また、この防食層の厚さは、5〜250μmの範囲がよい。
なお、高濃度亜鉛末塗料中の亜鉛は、バインダーとの関係から90%以下がよい。
また本発明は、高濃度亜鉛末塗層の防食作用をより長期間にわたり継続的に発揮させるために、高濃度亜鉛末塗料に、亜鉛よりも電気化学的に卑な金属の塩類化合物を配合することができる。すなわち、りん酸塩(りん酸マグネシウム・カルシウム・アルミニウム・カリウム・ナトリウム)、りんモリブデン酸塩(りんモリブデン酸アルミニウム・ナトリウム・カリウム)、モリブデン酸カルシウム、あるいはメタほう酸バリウム等がよい。とりわけ、りん酸マグネシウムおよびモリブデン酸アルミニウムは、溶解時にpHを上昇する作用が顕著で、亜鉛の溶解を抑制するのに大変有効である。また、これらの化合物は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下の微粒子に調整して比表面積を大きくし、さらには凝集後の2次粒子もこの程度の平均粒径となるようにして上記効果を確実にする。そして、この化合物は、0.1〜20%の範囲で塗料に配合することとし、これ以上は亜鉛分の必要量が確保できないので、好ましくは10%以下がよい。
(実施例)
本発明の実施鋼および比較鋼の成分組成を表1に、これらの鋼板に形成された塗層および防食層の種類を表2および表3に、そして両者の組み合わせを変えた各種塗装鋼板についての耐食性試験の結果を表4にそれぞれ示す。
表1の組成の各鋼材を実機レベルで溶製後、仕上げ温度910℃および巻き取り温度610℃にて熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延し、次いで連続焼鈍(800℃×1分間)して鋼板に加工し、さらに脱脂処理してから表2の各塗層および防食層を形成した。塗装にあたっては、塗料を塗布したのち、板温約150℃で1分間乾燥し、厚さ25μmの塗層を得た。防食層は、高濃度亜鉛末塗料の塗層上に、ポリエステル系プライマー塗料に各IIA族金属の金属塩を配合した塗料をバーコーターで塗布
し、塗膜を30μmに調整して防食層を得た。金属塩の粒径は、電子顕微鏡(SEM、2000倍)を用いて合計5視野を観察し、その平均値を算出した値を示す。
つぎに、表1の各鋼板に表2の各塗装条件を、本発明の実施例と比較例に分けていろいろ組み合わせた各塗装鋼板について、孔あき腐食性を以下の条件で評価した。各鋼板を70×150mmサイズに切断し、エッジをシールしたのち、自動車材料腐食試験方法(JASO−M609)に準じ、次の3過程を計8時間の1サイクルとするテストを、連続して1日3サイクルを計30日間にわたって実施した。
1.35℃・5%NaCl水溶液を2時間噴霧
2.60℃・4時間乾燥
3.50℃・95%相対湿度下に2時間放置
そして、30日間経過後、サンプルの評価面の錆を除去し、この評価面を等間隔に16区画に分割し、区画ごとに最大孔あき深さを測定し、その平均値を算出した。表3にその結果を示した。なお、評価は、No24の比較材の試験結果の孔あき深さを基準値=1とし、つぎの5段階に規格化した。
◎◎:0.75未満
◎ :0.75以上〜0.85未満
○ :0.85以上〜0.90未満
△ :0.090以上〜0.95未満
× ;0.95以上
また、表3に示した塗装耐食性の評価は、以下の手順で実施した。上記の供試鋼板と同サイズに切断した各鋼板に所定の塗装を行なった後、塗装表面に、カッターナイフで鋼板素地に達する×印(長さ80mm)の疵(人工塗膜欠陥)をつける。そして、各試験片を上記と同じサイクルで、1日3サイクルで計30日間にわたり腐食試験した。そして、30日経過後、疵部からの片側最大膨れ幅を測定し、上記同様に、No24材の膨れ幅を基準=1.0に規格化して評価した。
以上の試験結果から次のことが理解できる。
まず、亜鉛より卑な金属の金属塩を配合した高濃度亜鉛粉末塗料を形成した本発明(No1−22)は十分な耐孔あき腐食性、塗膜耐食性を有する。特に、金属塩を10%以上配合すると塗膜耐食性は一層向上し(No11−22)、複合添加することにより耐孔あき腐食性も優れた効果を発揮する(No18−22)。一方、発明例の所定の組成に満たない鋼材の場合は十分な耐孔あき腐食性、塗膜耐食性を有しない(No23−24)。また、鋼材が所定の組成を満たしていたとしても、防食層を有していないものは十分な耐食性が発揮されない(No25)。
さらに、亜鉛より卑な金属の金属塩を配合した高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成した場合の本発明の実施例に相当するNo1〜22は、耐孔あき腐食性および塗装耐食性の評価が満足できることを明示している。 とくに、金属塩を10%以上配合すると、耐孔あき腐食性は一層向上している(No11〜22)。
Figure 2006124797
Figure 2006124797
Figure 2006124797
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Claims (10)

  1. C:0・001〜0.10%(重量%を示し、以下同様。)、Si:0.5%以下(0を含む)、Al:0.003〜0.20%、Mn:0.05〜2.0%、Cu:0.03〜0.50%、Ni:0.03〜0.5%、P:0.020〜0.1%およびS:0.01%以下(0を含む)を含有し、かつ0.03%<Ti+Zr<0.4%(Zr:0を含む)であって、残部が鉄および不可避の不純物からなる鋼板の表面に、50%以上の亜鉛を含有する高濃度亜鉛末塗料を基剤とし、飽和水溶液のpH値が10.5以上を示す周期律表のIIA族金属の酸
    化物または水酸化物の1種以上を含有する塗層を形成したことを特徴とする塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  2. 請求項1に記載された鋼板の表面に、50%以上の亜鉛を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成し、さらにその上に、飽和水溶液のpH値が10.5以上を示す周期律表のIIA族金属の酸化物または
    水酸化物の1種以上を含有する防食層を形成したことを特徴とする塗装耐食性および耐孔あき腐食性鋼板。
  3. 請求項1または2に記載された鋼板であって、Ca:0.02%以下を追加的に含有することを特徴とする塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された鋼板であって、V:0.10%以下、Mo:0.25%以下、Nb:0.10%以下、Mg:0.02%以下、Ce:0.02%以下およびLa:0.02%以下の1種以上を追加的に含有することを特徴とする塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  5. CaO、Ca(OH)2、BaO、Ba(OH)2、MgO、Sr(OH)2およびLa(OH)3の1種以上を、0.03〜30%の範囲で追加的に含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  6. 亜鉛より電気化学的に卑な金属の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の防食層を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  7. りん酸塩(りん酸マグネシウム・カルシウム・アルミニウム・カリウム・ナトリウム)、りんモリブデン酸塩(りんモリブデン酸アルミニウム・ナトリウム・カリウム)、モリブデン酸カルシウムまたはメタほう酸バリウムの1種以上からなる金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成したことを特徴とする請求項6に記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  8. 平均粒径1μm以下の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗層を形成したことを特徴とする請求項6または7に記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  9. 0.1〜20%の金属塩を含有する高濃度亜鉛末塗料の塗膜を形成したことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載された塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された自動車用の塗装耐食性および耐孔あき腐食性塗装鋼板。
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