JPH10137683A - 防錆被覆組成物の塗装方法、並びに耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材 - Google Patents

防錆被覆組成物の塗装方法、並びに耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材

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JPH10137683A
JPH10137683A JP17281297A JP17281297A JPH10137683A JP H10137683 A JPH10137683 A JP H10137683A JP 17281297 A JP17281297 A JP 17281297A JP 17281297 A JP17281297 A JP 17281297A JP H10137683 A JPH10137683 A JP H10137683A
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zinc
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basic compound
coating
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Kazumi Daitoku
一美 大徳
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシジンクプライマーや無機ジンクプラ
イマー、耐熱無機ジンクプライマー等の亜鉛を大量に含
有したショッププライマーとの馴染みが良く、しかも、
ショッププライマーの表面をpH8〜13に制御して酸
性域又は塩基性域における亜鉛の急速な溶出を抑制し、
ショッププライマー中に含まれる亜鉛の犠牲防食作用を
長期間に渡り維持することができる防錆被覆組成物の塗
装方法、耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材を提供す
る。 【解決手段】 ジンクリッチ系のショッププライマーを
塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含有
するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
とを含有する防錆被覆組成物を塗装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジンクリッチ系の
ショッププライマーを塗装した鋼材の表面に耐疵性及び
耐食性に優れた防錆被覆組成物を塗装する防錆被覆組成
物の方法、耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、造船や建築、鉄塔等の屋外耐久構
造物に対する寿命向上要求を背景として、ジンクリッチ
系のショッププライマーの優れた耐食性が新たに注目さ
れるようになっている。中でもエポキシジンクプライマ
ーや無機ジンクプライマー、耐熱無機ジンクプライマー
は著しい需要の伸びを見せている。しかし、より優れた
製品に対する要求基準は年々高度化し、特に造船におい
ては、上記したジンクリッチ系のショッププライマーの
上塗りに対して一段と優れた耐食性を有する塗料が要求
されている。従来、このジンクリッチ系のショッププラ
イマーに適する上塗り塗料として、塩化ゴム系、ビニル
系、ピュアエポキシ系、タールエポキシ系、ピュアウレ
タン系、変性ウレタン系の塗料が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の上塗り塗料では、未だ、以下の解決すべき課題を有
していた。即ち、従来の上塗り塗料はジンクリッチ系の
ショッププライマーとの馴染みが悪く、このため、ジン
クリッチ系のショッププライマーに含まれる大量の亜鉛
が、pH8未満の酸性域から弱アルカリ域及びpH13
を越える塩基性域で水に溶解すると共に、上塗り塗料も
劣化し易く、白錆が発生し易いという問題があった。そ
こで、本発明者等は、特開平7−53898号公報に
「樹脂成分100重量部に対し、アルカリ基を含有する
スラグを10〜300重量部配合してなる防錆被覆組成
物」を提案し、この防錆被覆組成物を軟鉄板表面に塗っ
たとき、優れた耐食性を得られることが判った。しか
し、より厳しい耐食性が要求される船舶や橋梁、鉄塔等
の屋外鋼構造材のような用途に対しては、更に高度な耐
食性そして耐疵性が望まれていた。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、エポキシジンクプライマーや無機ジンクプライ
マー、耐熱無機ジンクプライマー等の亜鉛を大量に含有
したショッププライマーとの馴染みが良く、しかも、シ
ョッププライマーの表面をpH8〜13に制御して酸性
域又は塩基性域における亜鉛の急速な溶出を抑制し、シ
ョッププライマー中に含まれる亜鉛の犠牲防食作用を長
期間に渡り維持することができる防錆被覆組成物の塗装
方法、並びにその塗装方法による耐疵性及び耐食性に優
れた塗装鋼材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の防錆被覆組成物の塗装方法は、ジンクリッチ系の
ショッププライマーを塗装した鋼材の表面に、樹脂成分
と、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜1
3の粉状塩基性化合物とを含有する防錆被覆組成物を塗
装する。請求項2記載の防錆被覆組成物の塗装方法は、
請求項1記載の防錆被覆組成物の塗装方法において、前
記アルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13
の粉状塩基性化合物の含有量は、前記樹脂成分100重
量部に対し、10〜300重量部である。
【0006】請求項3記載の防錆被覆組成物の塗装方法
は、ジンクリッチ系のショッププライマーを塗装した鋼
材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含有するスラグ
及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物と、亜鉛粉
末とを含有する防錆被覆組成物を塗装する。請求項4記
載の防錆被覆組成物の塗装方法は、請求項3記載の防錆
被覆組成物の塗装方法において、前記アルカリ基を含有
するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
と亜鉛粉末の含有量は、前記樹脂成分100重量部に対
し、10〜300重量部である。
【0007】請求項5記載の防錆被覆組成物の塗装方法
は、請求項3又は4記載の防錆被覆組成物の塗装方法に
おいて、前記アルカリ基を含有するスラグ及び/又はp
H8〜13の粉状塩基性化合物の含有量(α)と、前記
亜鉛粉末の含有量(β)との比が、α:β=(90:1
0)〜(10:90)の範囲である。請求項6記載の防
錆被覆組成物の塗装方法は、請求項1〜5のいずれか1
項に記載の防錆被覆組成物の塗装方法において、前記樹
脂成分は、平均分子量300〜3000及び/又はエポ
キシ当量180〜2200のエポキシ樹脂と、硬化剤と
を含有する。
【0008】請求項7記載の耐疵性及び耐食性に優れた
塗装鋼材は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防錆
被覆組成物の塗装方法により製造されている。即ち、耐
疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材とは、鋼板あるいはH
形やL形等の形鋼であり、ジンクリッチ系のショップ
プライマーを塗装した鋼材の表面に、アルカリ基を含有
するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
と樹脂成分とを混合した防錆被覆組成物を塗装した塗装
鋼材や、前記防錆被覆組成物に、更に、亜鉛粉末を入
れた防錆被覆組成物を使用した塗装鋼材をいう。
【0009】前記の塗装鋼材の場合、アルカリ基を含
有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合
物の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10〜3
00重量部であってよく、また、前記の塗装鋼材の場
合、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜1
3の粉状塩基性化合物と亜鉛粉末の含有量は、樹脂成分
100重量部に対し、10〜300重量部であってよ
い。
【0010】また、前記の塗装鋼材の場合、アルカリ
基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基
性化合物の含有量(α)と、亜鉛粉末の含有量(β)と
の比が、α:β=(90:10)〜(10:90)の範
囲であってよく、更に、樹脂成分は、平均分子量300
〜3000及び/又はエポキシ当量180〜2200の
エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有してもよい。
【0011】なお、ジンクリッチ系のショッププライマ
ーとしては、有機シリケートの部分加水分解縮合物に亜
鉛粉末を40〜95wt%含有させたものや、エポキシ
樹脂に亜鉛粉末を40〜95wt%含有させたもの等が
挙げられ、具体的には、エポキシジンクプライマーや、
無機ジンクプライマー等の防錆用下塗り塗料(鋼材から
みれば上塗り塗料)が挙げられる。また、このジンクリ
ッチ系のショッププライマーを鋼材の表面に塗装して形
成される皮膜(又はジンクリッチ皮膜という)の膜厚
は、特に規定されるものではないが、通常、5〜25μ
mとするのが望ましい。これは、前記皮膜の膜厚が5μ
m未満になると、耐食性が低下する傾向が現れ、また、
逆に、前記皮膜の膜厚が25μmを越えると、塗膜の割
れや剥離を生じてやはり耐食性が低下する傾向が現れる
からである。
【0012】また、樹脂成分としては、エポキシ樹脂、
アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシエステル樹
脂、塩化ゴム樹脂、塩素化オレフィン樹脂、フッ素樹
脂、ビニル樹脂、ビニルブチラール樹脂、石油樹脂、キ
シレン樹脂、脂環族系オリゴマー樹脂、アルキド樹脂、
アクリル化アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹
脂、ウレタン化アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、繊維
素系樹脂等、更に、エポキシ樹脂ポリオール、アクリル
樹脂ポリオール、ポリエステル樹脂ポリオール等が挙げ
られる。
【0013】また、前記エポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適で
あるが、低分子量の各種変性エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ
樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル系樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種
以上混合したもの、更に前記エポキシ樹脂ポリオールも
挙げられる。また、ビスフェノールAグリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂に石油樹脂、キシレン樹脂、脂環族系
オリゴマー樹脂、クロマン樹脂、インデン樹脂、ポリブ
タジエン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノー
ル樹脂等のいずれか1種又は2種以上混合したものも使
用することができる。
【0014】また、硬化剤としては、スラグがアルカリ
性のため耐アルカリ性の強いエポキシ樹脂及びポリアミ
ド樹脂、ポリアミン系樹脂等の硬化剤、フェノール樹
脂、塩化ゴム樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹
脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、エポキシポリオール樹
脂、アクリルポリオール樹脂、ポリブタジエンポリオー
ル樹脂及びイソシアネート系硬化剤が挙げられる。特
に、エポキシ樹脂硬化剤としては、ポリアミド系硬化
剤、脂肪族又は芳香族系ポリアミン系硬化剤、ケチミン
系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等が挙げられ、更に、
前記ポリオールの硬化剤としては、トルエンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート、メチレンジイソシ
アネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート等の
イソシアネート類が挙げられる。
【0015】また、エポキシ樹脂は、平均分子量300
〜3000及び/又はエポキシ当量180〜2200の
ものが望ましい。これは、平均分子量が300及び/又
はエポキシ当量が180未満であると、硬化後の塗膜の
機械的強度、耐水性、耐食性等の性能が低下する傾向が
現れ、また、逆に、平均分子量が3000及び/又はエ
ポキシ当量が2200を越えると、溶剤に溶け難くなっ
て塗料の固形分が少なくなり、重防食における厚塗りの
塗装が難しくなる傾向が現れるからである。
【0016】また、アルカリ基を含有するスラグとして
は、高炉徐冷スラグや高炉水砕スラグ等の高炉スラグ、
ステンレススラグ等の転炉スラグや電炉スラグ等が挙げ
られる。なお、上述したアルカリ基を含有するスラグ
は、通常、pH9〜12.6(塩基度(CaO/SiO
2 )2〜5)である。また、pH8〜13の粉状塩基性
化合物としては、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグ
ネシウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、水酸化カル
シウム、水酸化バリウム、メタホウ酸バリウム、ポルト
ランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント等の
単体組成物あるいは二種以上の混合や複合組成物が挙げ
られる。更に、粉状塩基性化合物としての粒度は50μ
m以下であり、塗膜の強度及び分散性から1μm〜10
μmが好ましい。なお、「pH8〜13の粉状塩基性化
合物」と限定した理由は、この粉状塩基性化合物のpH
が前記範囲外になると、鋼材の表面に塗布されたジンク
リッチ系のショッププライマー中の亜鉛の溶出速度が急
速に大きくなって、亜鉛の犠牲防食作用が長続きしなく
なるからである。
【0017】また、前記スラグや、前記粉状塩基性化合
物、亜鉛粉末の粒径は、0.1〜100μmとするのが
望ましい。これは、前記粒径が0.1μm未満になる
と、防錆被覆組成物中で過剰の凝集が進行して、防錆被
覆組成物の調整や鋼材への塗布作業が困難となる傾向が
現れるからである。また、逆に、前記粒径が100μm
を越えると、樹脂成分による前記スラグや前記粉状塩基
性化合物の粉末粒子の保持力が弱くなって、局部的に塗
膜の薄い部分が生じて、防食性が低下するからである。
また、前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合物の含
有量、若しくは、亜鉛粉末を含有する場合、前記スラグ
及び/又は前記粉状塩基性化合物と亜鉛粉末の含有量
は、樹脂成分100重量部に対し、10〜300重量部
とするのが望ましい。
【0018】これは、前記含有量が10重量部未満にな
ると、防錆被覆組成物中のアルカリ分が少なくなって、
この防錆被覆組成物を塗装した鋼材表面をアルカリ性に
保つことができなくなるからである。また、逆に、前記
含有量が300重量部を越えると、この防錆被覆組成物
を鋼材表面に塗装してなる塗膜が粗となり、この結果、
水分の透過が多くなってアルカリ成分が急激に溶出して
防錆効果が持続せず、白錆や赤錆が発生し易くなるから
である。また、亜鉛粉末を含有する場合、前記スラグ及
び/又は前記粉状塩基性化合物の含有量(α)と、亜鉛
粉末の含有量(β)との比は、α:β=(90:10)
〜(10:90)の範囲とするのが望ましい。これは、
前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合物の含有量が
90を越えると、亜鉛粉末の犠牲防食作用効果が低下す
る傾向が現れ、また、逆に、前記スラグ及び/又は前記
粉状塩基性化合物の含有量が10未満になると、白錆が
発生し易くなるからである。
【0019】なお、上述した防錆被覆組成物には、着色
顔料として、二酸化チタン、カーボンブラック、グラフ
ァイト、鱗片状酸化鉄、酸化鉄、酸化クロム等の無機顔
料、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属粉、ガラス
フレーク、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系
等の有機顔料を使用することができる。また、防錆顔料
として、亜酸化鉛、鉛丹、シアナミド鉛、硫酸鉛、鉛酸
カルシウム、ジンククロメート、ストロンチウムクロメ
ート、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン
酸亜鉛、リン酸アルミ等を使用することもできる。ま
た、体質顔料として、炭酸カルシウム、タルク、カオリ
ン、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、コロイダルシ
リカ、マイカ等も使用することができる。更に、可塑剤
として、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、フタル
酸エステル系、エーテル系のものを使用することもでき
る。
【0020】また、有機溶剤として、トルエン、キシレ
ン、中〜高沸点芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素
系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系
溶剤、グリコールエーテル系溶剤等が使用できる。その
他、表面調整剤、分散剤、色分かれ防止剤、沈殿防止
剤、タレ防止剤、消泡剤等の塗料添加剤を使用すること
もできる。また、この防錆被覆組成物をジンクリッチ系
のショッププライマーを塗装した鋼材の表面に塗装して
形成される皮膜(又は防錆皮膜という)の膜厚は10〜
100μm、好ましくは30〜80μmとするのが望ま
しい。これは、前記皮膜の膜厚が30μm未満になる
と、耐食性が低下する傾向が現れ、特に10μm未満に
なるとその傾向が著しくなり、また、逆に、前記皮膜の
膜厚が80μmを越えると、塗膜の割れや剥離を生じて
やはり耐食性が低下する傾向が現れ、特に100μmを
越えるとその傾向が著しくなるからである。
【0021】本発明者等は、ジンクリッチ系のショップ
プライマーを塗装した鋼材の表面をpH8〜13のアル
カリ性雰囲気とすることにより、鋼材の表面にジンクリ
ッチ系のショッププライマーを塗布して形成されたジン
クリッチ皮膜中の亜鉛の腐食速度を極めて遅くすること
ができ、長期に渡って安定した防錆性能を有する塗装鋼
材を得ることができることを知見し得た。
【0022】従って、請求項1、2、6記載の防錆被覆
組成物の塗装方法においては、ジンクリッチ系のショッ
ププライマーを塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、ア
ルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉
状塩基性化合物とを含有する防錆被覆組成物を塗装する
ので、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜中よりアルカリ
基を含有するスラグ(通常pH9〜12.6)及び/又
はpH8〜13の粉状塩基性化合物が徐々に溶出して、
塗装鋼材の表面をアルカリ性に保つことができると共
に、たとえ、防錆皮膜下に存するジンクリッチ皮膜中の
亜鉛が溶出しても、この亜鉛とアルカリ基を含有するス
ラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物とが反
応して水酸化亜鉛を生成して更にアルカリ性に保つこと
ができ、この結果、防錆皮膜下のジンクリッチ皮膜中の
亜鉛の腐食速度を極めて遅くすることができ、長期に渡
り安定した防錆性能を付与することができる。また、塗
装鋼材の表面に存する防錆皮膜は樹脂成分中にアルカリ
基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基
性化合物の粉末粒子を分散させたものであるため、外力
に対して保護力が強いだけでなく、疵が付き難いという
効果を奏することができる。特に、アルカリ基を含有す
るスラグは、平均硬度HV 700〜900程度を有する
Al23 やSiO2 を多量に含むため、外力に対して
極めて高い保護力を有する効果を奏することができる。
【0023】特に、請求項2記載の防錆被覆組成物の塗
装方法においては、アルカリ基を含有するスラグ及び/
又はpH8〜13の粉状塩基性化合物の含有量を、樹脂
成分100重量部に対し、10〜300重量部とするの
で、例えば、樹脂成分の含有量に対するアルカリ基を含
有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合
物の含有量が少なくて、塗装鋼材の表面に存する防錆皮
膜のアルカリ分が少なくなり、これにより、塗装鋼材の
表面をアルカリ性に保つことができなくなって防錆効果
が低下したり、また、樹脂成分の含有量に対するアルカ
リ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩
基性化合物の含有量が多くて、塗装鋼材の表面に存する
防錆皮膜が粗密になってしまい、この結果、防錆皮膜中
のアルカリ分が簡単に溶出して、防錆効果が低下したり
するのを防止することができ、従って、塗装鋼材の表面
を常にアルカリ性に保って確実な防錆効果を奏すること
ができる。
【0024】また、請求項3〜6記載の防錆被覆組成物
の塗装方法においては、ジンクリッチ系のショッププラ
イマーを塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、アルカリ
基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基
性化合物と、亜鉛粉末とを含有する防錆被覆組成物を塗
装するので、前記と同様、塗装鋼材の表面に存する防錆
皮膜中よりアルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH
8〜13の粉状塩基性化合物が徐々に溶出して、塗装鋼
材の表面をアルカリ性に保つことができると共に、亜鉛
粉末が溶出してアルカリ基を含有するスラグ及び/又は
pH8〜13の粉状塩基性化合物と水酸化亜鉛を生成し
て更にアルカリ性に保つことができ、この結果、更に防
錆皮膜下のジンクリッチ皮膜中の亜鉛の腐食速度を極め
て遅くすることができ、長期に渡り安定した防錆性能を
付与することができる。また、塗装鋼材の表面に存する
防錆皮膜は樹脂成分中にアルカリ基を含有するスラグ及
び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物や亜鉛粉末の
粒子を分散させたものであるため、外力に対して保護力
が強いだけでなく、疵が付き難いという効果を奏するこ
とができる。特に、アルカリ基を含有するスラグは、平
均硬度HV 700〜900程度を有するAl23 やS
iO2 を多量に含むため、外力に対して極めて高い保護
力を有する効果を奏することができる。
【0025】特に、請求項4記載の防錆被覆組成物の塗
装方法においては、アルカリ基を含有するスラグ及び/
又はpH8〜13の粉状塩基性化合物と亜鉛粉末の含有
量は、樹脂成分100重量部に対し、10〜300重量
部であることにより、前記と同様、例えば、樹脂成分の
含有量に対するアルカリ基を含有するスラグ及び/又は
pH8〜13の粉状塩基性化合物の含有量が少ない場
合、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜のアルカリ分が少
なくなり、これにより、塗装鋼材の表面をアルカリ性に
保つことができなくなって防錆効果が低下したり、ま
た、樹脂成分の含有量に対するアルカリ基を含有するス
ラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物の含有
量が多い場合、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜が粗密
になってしまい、この結果、防錆皮膜中のアルカリ分が
簡単に溶出して、防錆効果が低下したりするのを防止す
ることができ、従って、塗装鋼材の表面を常にアルカリ
性に保って確実な防錆効果を奏することができる。
【0026】請求項5記載の防錆被覆組成物の塗装方法
においては、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はp
H8〜13の粉状塩基性化合物の含有量(α)と、亜鉛
粉末の含有量(β)との比を、α:β=(90:10)
〜(10:90)の範囲とするので、アルカリ基を含有
するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
の含有量が多くて亜鉛粉末の犠牲防食作用効果が低下し
たり、また、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はp
H8〜13の粉状塩基性化合物の含有量が少なくて、塗
装鋼材の表面をアルカリ性に保つことができず、亜鉛の
溶出が進行して防錆効果が低下したりするのを防止する
ことができる。
【0027】請求項6記載の防錆被覆組成物の塗装方法
においては、樹脂成分は、平均分子量300〜3000
及び/又はエポキシ当量180〜2200のエポキシ樹
脂と、硬化剤とを含有することにより、エポキシ樹脂の
平均分子量及び/又はエポキシ当量が小さくて塗膜の機
械的強度、耐水性、耐食性等の性能が低下したり、ま
た、エポキシ樹脂の平均分子量及び/又はエポキシ当量
が多くて溶剤に溶け難くなり、厚塗りの塗装ができずに
防錆効果が低下したりするのを防止することができる。
【0028】請求項7記載の耐疵性及び耐食性に優れた
塗装鋼材においては、請求項1〜6のいずれか1項に記
載の防錆被覆組成物の塗装方法により形成されているの
で、前記と同様、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜中よ
りアルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13
の粉状塩基性化合物が徐々に溶出して、塗装鋼材の表面
をアルカリ性に保つことができると共に、防錆皮膜中又
はたとえジンクリッチ皮膜中の亜鉛が溶出してもアルカ
リ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩
基性化合物と水酸化亜鉛を生成して更にアルカリ性に保
つことができ、防錆皮膜下のジンクリッチ皮膜中の亜鉛
の腐食速度を極めて遅くして、長期に渡り安定した防錆
性能を付与することができる。更に、塗装鋼材の表面に
存する防錆皮膜は樹脂成分中にアルカリ基を含有するス
ラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物や亜鉛
粉末の粒子を分散させたものであるため、外力に対して
保護力が強く、また、疵が付き難いという効果を奏する
ことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。なお、各実施の形態につき同様の構
成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】(第1の実施の形態)まず、図1を参照し
て、本発明の第1の実施の形態に係る耐疵性及び耐食性
に優れた塗装鋼材Aについて説明する。図示するよう
に、本実施の形態に係る耐疵性及び耐食性に優れた塗装
鋼板Aは、鋼板10の表面に形成された厚さ5〜25μ
mのジンクリッチ皮膜11と、このジンクリッチ皮膜1
1の表面に形成された厚さ10〜100μmの防錆皮膜
12とを有している。
【0031】次に、本実施の形態に係る耐疵性及び耐食
性に優れた塗装鋼板Aの製造方法について説明する。ま
ず、表面仕上げした鋼板10の表面にジンクリッチ系の
ショッププライマーを刷毛塗り又はスプレー塗り等した
後、適当な期間自然乾燥する等してジンクリッチ皮膜1
1を形成した後、このジンクリッチ皮膜11の表面にア
ルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉
状塩基性化合物を含有する防錆被覆組成物を前記と同
様、刷毛塗り又はスプレー塗り等した後、適当な期間自
然乾燥する等して防錆皮膜12を形成する。
【0032】なお、この防錆被覆組成物のアルカリ基を
含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化
合物の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10〜
300重量部であると共に、前記樹脂成分は、平均分子
量300〜3000及び/又はエポキシ当量180〜2
200のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する。
【0033】以上のように本実施の形態に係る耐疵性及
び耐食性に優れた塗装鋼板Aによれば、ジンクリッチ系
のショッププライマーを塗装した鋼板10の表面に、樹
脂成分と、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はpH
8〜13の粉状塩基性化合物を含有する防錆被覆組成物
を塗布してなるので、塗装鋼板Aの表面に存する防錆皮
膜12中より前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合
物が徐々に溶出して、塗装鋼板Aの表面をアルカリ性に
保つことができると共に、たとえ、防錆皮膜12下に存
するジンクリッチ皮膜11中の亜鉛が溶出しても、前記
スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合物と反応して水酸
化亜鉛を生成してアルカリ性に保つことができ、この結
果、防錆皮膜12下のジンクリッチ皮膜11中の亜鉛の
腐食速度を極めて遅くして、長期に渡り安定した防錆性
能を付与することができる。
【0034】また、塗装鋼板Aの表面に存する防錆皮膜
12は樹脂成分中に前記スラグ及び/又は前記粉状塩基
性化合物の粉末粒子を分散させたものであるため、外力
に対して保護力が強く、また、疵が付き難いという効果
も奏する。また、前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性
化合物の含有量を、樹脂成分100重量部に対し、10
〜300重量部とするので、塗装鋼板Aの表面を常にア
ルカリ性に保って確実な防錆効果を奏することができ
る。更に、前記樹脂成分は、平均分子量300〜300
0及び/又はエポキシ当量180〜2200のエポキシ
樹脂と、硬化剤とを含有するので、防錆皮膜12の機械
的強度や、耐水性、耐食性等の性能が低下するのを防止
して確実な保護及び防錆効果を奏することができる。
【0035】(第2の実施の形態)次に、図2を参照し
て、本発明の第2の実施の形態に係る耐疵性及び耐食性
に優れた塗装鋼板Bについて説明する。図示するよう
に、本実施の形態に係る耐疵性及び耐食性に優れた塗装
鋼板Bは、鋼板10の表面に形成された厚さ5〜25μ
mのジンクリッチ皮膜11と、このジンクリッチ皮膜1
1の表面に形成された厚さ10〜100μmの防錆皮膜
13とを有している。
【0036】次に、本実施の形態に係る耐疵性及び耐食
性に優れた塗装鋼板Bの製造方法について説明する。ま
ず、本発明の第1の実施の形態と同様に、鋼板10の表
面にジンクリッチ系のショッププライマーを刷毛塗り又
はスプレー塗り等した後、適当な期間自然乾燥する等し
てジンクリッチ皮膜11を形成した後、このジンクリッ
チ皮膜11の表面にアルカリ基を含有するスラグ及び/
又はpH8〜13の粉状塩基性化合物と、亜鉛粉末とを
含有する防錆被覆組成物を刷毛塗り又はスプレー塗り等
した後、適当な期間自然乾燥する等して防錆皮膜13を
形成する。
【0037】なお、この防錆被覆組成物のアルカリ基を
含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化
合物と亜鉛粉末の含有量は、樹脂成分100重量部に対
し、10〜300重量部であると共に、アルカリ基を含
有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合
物の含有量(α)と、亜鉛粉末の含有量(β)との比
が、α:β=(90:10)〜(10:90)の範囲で
ある。更に、前記樹脂成分は、平均分子量300〜30
00及び/又はエポキシ当量180〜2200のエポキ
シ樹脂と、硬化剤とを含有する。
【0038】以上のように本実施の形態に係る耐疵性及
び耐食性に優れた塗装鋼板Bによれば、本発明の第1の
実施の形態に係る耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼板A
と同様な効果が得られる他、防錆被覆組成物中に亜鉛粉
末を含有するので、前記と同様、塗装鋼板Bの表面に存
する防錆皮膜13中より前記スラグ及び/又は前記粉状
塩基性化合物が徐々に溶出して、塗装鋼板Bの表面をア
ルカリ性に保つことができると共に、防錆皮膜13中の
亜鉛粉末が溶出して前記スラグ及び/又は前記粉状塩基
性化合物と水酸化亜鉛を生成してアルカリ性に保つこと
ができ、この結果、更に防錆皮膜13下のジンクリッチ
皮膜11中の亜鉛の腐食速度を極めて遅くして、長期に
渡り安定した防錆性能を付与することができる。
【0039】もちろん、前記と同様、塗装鋼板Bの表面
に存する防錆皮膜13が樹脂成分中に前記スラグ及び/
又は前記粉状塩基性化合物や亜鉛粉末の粒子を分散させ
たものであるため、外力に対して保護力が強く、また、
疵が付き難い。また、前記スラグ及び/又は前記粉状塩
基性化合物と亜鉛粉末の含有量を、樹脂成分100重量
部に対し10〜300重量部とするので、前記と同様、
塗装鋼板Bの表面を常にアルカリ性に保って確実な防錆
効果を奏することができる。また、前記スラグ及び/又
は前記粉状塩基性化合物の含有量(α)と、亜鉛粉末の
含有量(β)との比を、α:β=(90:10)〜(1
0:90)の範囲とするので、前記と同様、塗装鋼板B
の表面を常にアルカリ性に保って確実な防錆効果を奏す
ることができる。更に、前記樹脂成分は、平均分子量3
00〜3000及び/又はエポキシ当量180〜220
0のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含有するので、前記と
同様、防錆皮膜13の機械的強度や、耐水性、耐食性等
の性能が低下するのを防止して確実な保護及び防錆効果
を奏することができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明の第1、第2の実施の形態に係
る耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼板の確認試験を行っ
た結果について説明する。 (実施例1〜7、比較例1〜5)まず、本発明の第1、
第2の実施の形態に係る耐疵性及び耐食性に優れた塗装
鋼板と同様に、鋼板の一例である板厚0.7mmの低炭
素冷延鋼板上に表1〜表4に示すジンクリッチ系のショ
ッププライマーを塗布して厚さ15μmのジンクリッチ
皮膜を形成した後、このジンクリッチ系のショッププラ
イマーを塗布した低炭素冷延鋼板上に防錆被覆組成物を
塗布して厚さ70μmの防錆皮膜を形成して塗装鋼板を
作製した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】なお、ジンクリッチ系のショッププライマ
ーを塗布した低炭素冷延鋼板上に防錆被覆組成物を塗布
する方法は以下の通りである。まず、エポキシ樹脂の一
例であるエポキシ当量450〜500のエポキシ樹脂を
70wt%含有するキシレン溶液(油化シェル(株)社
製:商品名エピコート♯1001:以下、エポキシ樹脂
70%のキシレン溶液という)に、アルカリ基を含有す
るスラグの一例である高炉水砕スラグ(新日鉄化学
(株)社製:商品名エスメント:pH11.0)、pH
8〜13の粉状塩基性化合物の一例であるメタホウ酸バ
リウム(堺化学工業(株)社製:商品名ビューサン11
M−1:pH10.2)、亜鉛粉末(本庄ケミカル社
製:商品名F500)、着色顔料の一例である二酸化チ
タン5重量部、有機溶剤の一例であるキシレン6重量
部、同じく有機溶剤の一例であるイソブタノール4重量
部を加えてトータル100重量部とし、ガラスイーズペ
イントシェイカーで60分間分散した。
【0046】次に、この分散液100重量部に対し、硬
化剤の一例であるポリアミドアミン系硬化剤(旭電化
(株)社製:商品名アデカハードナーEH−306(固
形分70%))10重量部、及びこの硬化剤の専用薄め
液(重量比;キシレン:イソブタノール:メチルイソブ
チルケトン(MIBK)=60:20:20)10重量
部を加え、混合した後、ジンクリッチ系のショッププラ
イマーを塗布した低炭素冷延鋼板上に刷毛塗りし20℃
で10日間自然乾燥した。そして、低炭素冷延鋼板表面
のジンクリッチ皮膜及び防錆皮膜の総膜厚(最終乾燥膜
厚)が85±5μmになるようにした。なお、表1〜表
4中「アルカリ塗料」とはアルカリ基を含有するスラグ
とpH8〜13の粉状塩基性化合物の合計量(単位:重
量部)である。また、アルカリ基を含有するスラグ、及
び粉状塩基性化合物のpHは、イオン交換水900ml
にアルカリ基を含有するスラグ及び粉状塩基性化合物を
それぞれ100g加えて攪拌し、24時間放置後、20
℃においてガス電極pHメーターで測定したものであ
る。
【0047】次いで、以上のように作製された塗装鋼板
(実施例1〜7、比較例1〜5)について、JIS K
5400 7.1に基づき、塗装鋼板の塗膜状態(塗
膜の表面状態)を目視で観察した。観察項目はつや・む
ら・しわ・へこみ・はじき・つぶなどである。そして、
塗膜の外観が清浄であるものを「○」、清浄でないもの
を「×」、多少清浄でない部分が認められるものを
「△」で評価した。また、JIS K 5400 8.
5.2に基づき、碁盤目法に依る付着性試験を行った。
なお、碁盤目法では、JIS G 4401に規定する
カッターナイフで、碁盤目上の切り傷を付けた(切り傷
のすきま間隔は2mm、ます目の大きさは25mm)
後、塗装鋼板の表面に粘着テープを貼り、次いで、剥が
した後の塗膜の付着状態を目視によって観察した。
【0048】また、JIS K 5400 8.4に基
づき、耐疵付き性試験を行い、鉛筆引っ掻き値を求め
た。なお、塗膜の硬さを鉛筆の芯で塗膜を引っ掻き、塗
膜に疵が付いたときの鉛筆の濃度記号で評価した。更
に、JIS K 5400 9.1の条件に基づき、試
験時間1500時間の塩水噴霧試験を行った。なお、塗
装鋼板には、JIS G 4401に規定するカッター
ナイフで素地に達するクロスカット疵を入れて試験し
た。また、この塩水噴霧試験の評価は表5に示す通りと
した。その結果を表1〜表4に示す。
【0049】
【表5】
【0050】この結果、表1から明らかなように、実施
例1、2では、(アルカリ塗料+亜鉛粉末:樹脂成分)
がそれぞれ10:100、90:100であるため、塗
膜状態、碁盤目法に依る付着性試験、耐疵付き性試験、
及び、塩水噴霧試験で良好な結果が得られた。一方、比
較例1では、(アルカリ塗料+亜鉛粉末:樹脂成分)が
5:100であるため、塗膜状態は良いが、碁盤目法に
依る付着性試験、耐疵付き性試験、及び、塩水噴霧試験
で良好な結果が得られなかった。
【0051】また、表2から明らかなように、実施例
3、4では、(アルカリ塗料+亜鉛粉末:樹脂成分)が
それぞれ12:100、100:100であるため、前
記と同様、全ての項目で良好な結果が得られたが、比較
例2では、(アルカリ塗料+亜鉛粉末:樹脂成分)が
8:100であるため、前記と同様、塗膜状態は良い
が、残る項目では良好な結果が得られなかった。
【0052】また、表3から明らかなように、実施例5
〜7では、(アルカリ塗料+亜鉛粉末:樹脂成分)がそ
れぞれ40:100、160:100、240:100
であるため、前記と同様、全ての項目で略良好な結果が
得られたが、比較例3では、(アルカリ塗料+亜鉛粉
末:樹脂成分)が316:100であるため、塗膜状態
は良くなく、残る項目でも、良好な結果が得られなかっ
た。
【0053】また、表4から明らかなように、比較例
4、5では、アルカリ基を含有するスラグやpH8〜1
3の粉状塩基性化合物を含まないため、全ての項目で良
好な結果が得られなかった。また、炭素を0.15重量
%含有し、板厚みが6mmの一般構造用H形鋼に前述と
同様の水準で塗装を行ったが、本発明の範囲の塗装条件
のものはいずれも良好な結果が得られた。
【0054】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1、2、6記載の防錆被覆組成物の塗装方法において
は、ジンクリッチ系のショッププライマーを塗装した鋼
材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含有するスラグ
及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物とを含有す
る防錆被覆組成物を塗装するので、塗装鋼材の表面に存
する防錆皮膜中の前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性
化合物が徐々に溶出して塗装鋼材の表面をアルカリ性に
保ち、長期に渡り安定した防錆性能を維持することがで
きると共に、樹脂成分中に前記スラグ及び/又は前記粉
状塩基性化合物を分散して高い強度を保つことができ、
高い耐疵性を奏することができる。特に、請求項2記載
の防錆被覆組成物の塗装方法においては、アルカリ基を
含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化
合物の含有量を、樹脂成分100重量部に対し、10〜
300重量部とするので、塗装鋼材の表面を常にアルカ
リ性に保って更に確実な防錆効果を奏することができ
る。
【0056】請求項3〜6記載の防錆被覆組成物の塗装
方法においては、ジンクリッチ系のショッププライマー
を塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含
有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合
物と、亜鉛粉末とを含有する防錆被覆組成物を塗装する
ので、前記と同様、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜中
の前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合物や亜鉛が
徐々に溶出して塗装鋼材の表面をアルカリ性に保ち、長
期に渡り安定した防錆性能を維持することができると共
に、樹脂成分中に前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性
化合物や亜鉛粉末を分散して高い強度を保つことがで
き、高い耐疵性を奏することができる。特に、請求項4
記載の防錆被覆組成物の塗装方法においては、アルカリ
基を含有するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基
性化合物と亜鉛粉末の含有量は、樹脂成分100重量部
に対し、10〜300重量部であるので、前記と同様、
塗装鋼材の表面を常にアルカリ性に保って更に確実な防
錆効果を奏することができる。
【0057】請求項5記載の防錆被覆組成物の塗装方法
においては、アルカリ基を含有するスラグ及び/又はp
H8〜13の粉状塩基性化合物の含有量(α)と、亜鉛
粉末の含有量(β)との比を、α:β=(90:10)
〜(10:90)の範囲とするので、前記と同様、塗装
鋼材の表面を常にアルカリ性に保って更に確実な防錆効
果を奏することができる。請求項6記載の防錆被覆組成
物の塗装方法においては、樹脂成分は、平均分子量30
0〜3000及び/又はエポキシ当量180〜2200
のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含有するので、前記と同
様、防錆皮膜の機械的強度や、耐水性、耐食性等の性能
が低下するのを防止して更に確実な保護及び防錆効果を
奏することができる。
【0058】請求項7記載の耐疵性及び耐食性に優れた
塗装鋼材においては、請求項1〜6のいずれか1項に記
載の防錆被覆組成物の塗装方法により形成されているの
で、前記と同様、塗装鋼材の表面に存する防錆皮膜中の
前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性化合物や亜鉛が徐
々に溶出して塗装鋼材の表面をアルカリ性に保ち、長期
に渡り安定した防錆性能を維持することができると共
に、樹脂成分中に前記スラグ及び/又は前記粉状塩基性
化合物や亜鉛粉末を分散して高い強度を保つことがで
き、高い耐疵性を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る耐疵性及び耐
食性に優れた塗装鋼板の説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る耐疵性及び耐
食性に優れた塗装鋼板の説明図である。
【符号の説明】
A 耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼板(塗装鋼板) B 耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼板(塗装鋼板) 10 鋼板 11 ジンクリ
ッチ皮膜 12 防錆皮膜 13 防錆皮膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジンクリッチ系のショッププライマーを
    塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含有
    するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
    とを含有する防錆被覆組成物を塗装することを特徴とす
    る防錆被覆組成物の塗装方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ基を含有するスラグ及び/
    又はpH8〜13の粉状塩基性化合物の含有量は、前記
    樹脂成分100重量部に対し、10〜300重量部であ
    ることを特徴とする請求項1記載の防錆被覆組成物の塗
    装方法。
  3. 【請求項3】 ジンクリッチ系のショッププライマーを
    塗装した鋼材の表面に、樹脂成分と、アルカリ基を含有
    するスラグ及び/又はpH8〜13の粉状塩基性化合物
    と、亜鉛粉末とを含有する防錆被覆組成物を塗装するこ
    とを特徴とする防錆被覆組成物の塗装方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ基を含有するスラグ及び/
    又はpH8〜13の粉状塩基性化合物と亜鉛粉末の含有
    量は、前記樹脂成分100重量部に対し、10〜300
    重量部であることを特徴とする請求項3記載の防錆被覆
    組成物の塗装方法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ基を含有するスラグ及び/
    又はpH8〜13の粉状塩基性化合物の含有量(α)
    と、前記亜鉛粉末の含有量(β)との比が、α:β=
    (90:10)〜(10:90)の範囲であることを特
    徴とする請求項3又は4記載の防錆被覆組成物の塗装方
    法。
  6. 【請求項6】 前記樹脂成分は、平均分子量300〜3
    000及び/又はエポキシ当量180〜2200のエポ
    キシ樹脂と、硬化剤とを含有することを特徴とする請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の防錆被覆組成物の塗装
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防
    錆被覆組成物の塗装方法により形成されたことを特徴と
    する耐疵性及び耐食性に優れた塗装鋼材。
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