JP7299489B2 - 化成処理鋼板 - Google Patents
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Description
亜鉛系めっき鋼板は、腐食環境において亜鉛などのめっき成分が優先的に溶解することで、鋼板などの下地の金属が腐食することを抑制する。さらには溶解しためっき成分は、白錆と呼ばれる腐食生成物として下地の金属や亜鉛系めっきの表面上に形成することで、腐食の進行を抑制する。
特許文献3では、吸水性樹脂と、気化性防錆剤とから成る混合物を多孔質フィルム製容器内に収容したことを特徴とする気化性防錆剤について示しており、気化性防錆剤はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアンモニウムカルバネート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールのうち少なくとも1種類からなり、多孔質フィルム製容器が水蒸気またはガス透過性フィルム材で構成された袋体であることを示している。
<1>
鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記めっき層上に、(A)ホスホン酸誘導体、(B1)安息香酸誘導体、(B2)亜硝酸塩、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体から選択されるいずれか一つ以上の物質を含有する皮膜と、
を有する化成処理鋼板。
<2>
前記皮膜が、(A)ホスホン酸誘導体を分類A、(B1)安息香酸誘導体および(B2)亜硝酸塩を分類B、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体を分類Cで分類したとき、前記分類A~Cで分類された物質のうち、少なくとも二つ以上の分類の物質を含む<1>に記載の化成処理鋼板。
<3>
前記皮膜が、少なくとも、前記(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体の少なくとも一方を含有する<1>又は<2>に記載の化成処理鋼板。
<4>
前記(A)ホスホン酸誘導体が、一分子中に2つ以上のホスホン酸基を有する化合物である<1>~<3>のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
<5>
前記(B1)安息香酸誘導体が、分子中にアミノ基を有する化合物である<1>~<4>のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
<6>
前記(B2)亜硝酸塩が、アルカリ金属、マグネシウム、またはアルカリ土類金属の亜硝酸塩である<1>~<5>のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
<7>
前記皮膜が、樹脂、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、シリカ、りん酸、およびリン酸塩から選択されるいずれか一つ以上をさらに含む<1>~<6>のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
<8>
前記皮膜の前記鋼板片面あたりの付着量が10mg・m-2以上2000mg・m-2以下であり、
前記めっき層の前記鋼板片面あたりの付着量が1g・m-2以上10g・m-2以下である<1>~<7>のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
また、めっき層を有する鋼板を「めっき鋼板」、「亜鉛を含有するめっき層を有する鋼板」を「亜鉛系めっき鋼板」とも称する。
また、「皮膜」を「化成処理膜」とも称する。
鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記めっき層上に、(A)ホスホン酸誘導体、(B1)安息香酸誘導体、(B2)亜硝酸塩、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体から選択されるいずれか一つ以上の物質を含有する皮膜(以下「化成処理膜」とも称する)と、
を有する。
そして、本発明の化成処理鋼板は、次の知見により見出された。
切断端面やカット疵部、加工部などのめっきの割れや下地の鋼板が露出するところにおいて、一般的なめっきの腐食による白錆の発生に先行して、化成処理膜下のめっきが黒く変色する現象が生じる。
鋼板は、めっき層が形成される対象の鋼板である。鋼板は、特に限定されるものではない。鋼板としては、例えば、極低C型(フェライト主体組織)、Al-k型(フェライト中にパーライトを含む組織)、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等のいずれの型の鋼板を用いてもよい。
亜鉛系めっき(亜鉛を含有するめっき層)としては、亜鉛めっき、亜鉛-ニッケルめっき、亜鉛-鉄めっき、亜鉛-クロムめっき、亜鉛-アルミニウムめっき、亜鉛-チタンめっき、亜鉛-マグネシウムめっき、亜鉛-マンガンめっき、亜鉛-アルミニウム-マグネシウムめっき、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコンめっき等の亜鉛系めっきが挙げられる。
亜鉛系めっきは、異種金属元素または不純物として、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を少量含有しためっき、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させためっきも挙げられる。
つまり、化成処理鋼板には、亜鉛系めっきと他の種類のめっきとを組み合わせた複層めっきを有いてもよい。
皮膜は、インヒビターとして、(A)ホスホン酸誘導体、(B1)安息香酸誘導体、(B2)亜硝酸塩、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体から選択されるいずれか一つ以上の物質を含有する。
そして、皮膜は、分類A~Cで分類された物質のうち、少なくとも二つ以上の分類の物質を含むことが好ましい。それにより、さらなる耐食性および外観性の向上が図られる。
特に、皮膜は、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体の少なくとも一方を含有することが好ましい。それにより、さらなる耐食性および外観性の向上が図られる。
ホスホン酸誘導体は、基本構造である-P(=O)(OH)2を有した化合物であり、基本構造を含むものであれば、特に限定されるものではない。
ホスホン酸誘導体としては、より好ましくは、一分子中にホスホン酸基を2つ以上有する化合物である。ホスホン酸誘導体は、下地の鋼板上で沈殿皮膜を形成すると考えられ、一分子中のホスホン酸基が多いと、より沈殿皮膜の形成能が高いためと推定される。
安息香酸誘導体は、基本構造C6H5-COO-を含むものであれば特に限定されるものではない。耐食性および外観性の向上の観点から、より好ましくは、一分子中にアミノ基を有する化合物である。安息香酸誘導体は、下地の鋼上に酸化皮膜を形成すると考えられ、アミノ基を含有すると酸化皮膜の形成能が高くなるものと推定される。
亜硝酸塩は、基本構造である亜硝酸イオンNO2を有した化合物であり、基本構造を含むものであれば特に限定されるものではない。より好ましくは、アルカリ金属、マグネシウムまたはアルカリ土類金属の亜硝酸塩である。
皮膜には、樹脂、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、シリカ、りん酸、およびリン酸塩から選択されるいずれか一つ以上をさらに含んでもよい。これら物質を含むと、さらに、化成処理液塗布後の成膜性、水分や腐食性イオン等の腐食因子に対する皮膜のバリア性(緻密性)、めっき面への皮膜密着性などが向上し、皮膜の耐食性の底上げに寄与する。
樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等、公知の有機樹脂を使用することができる。下地金属板との密着性を更に高めるためには、分子鎖中に強制部位や極性官能基をもつ樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等)の少なくとも1種を使用することが好ましく、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の少なくとも1種を使用することが更に好ましい。
樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂の含有量が、60質量%超であると、その他の皮膜構成成分の割合が低下し、耐食性以外の皮膜として求められる性能が低下する場合がある。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング社、チッソ社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社等から販売されている物質が挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルエトキシシラン、N-〔2-(ビニルベンジルアミノ)エチル〕-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げられる。
シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジルコニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモ二ウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等が挙げられる。
ジルコニウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤及びジルコニル塩の含有量は、皮膜中に5質量%以上80質量%以下で含有することが好ましい。より好ましくは、20質量%以上70質量%である。含有量が5質量%未満であると、基材との密着性や耐食性の向上効果が得られない場合があり、80質量%超であると、加工性が低下する場合がある。
シリカの種類としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカを挙げられる。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA-ST(日産化学工業社製)、アデライトAT-20N、AT-20A(旭電化工業社製)、アエロジル200(日本アエロジル社製)等を挙げられる。
シリカとしては、平均粒子径が5nm以上20nm以下の球状シリカが好ましい。この球状シリカを適用すると、耐食性を向上させる上で好ましい。
シリカの含有量が、20質量%超であると、皮膜が脆くなり、本発明の化成処理鋼板を成形加工する際の加工追従性が低下する場合がある。
りん酸及びその塩としては、特に限定されないが、例えば、りん酸、りん酸のアンモニウム塩、りん酸のアルカリ金属塩、りん酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
りん酸及びその塩の含有量が、20質量%超であると、皮膜が脆くなり、本発明の化成処理鋼板を成形加工する際の皮膜の加工追従性が低下する場合がある。
皮膜の鋼板片面あたりの付着量は、特に限定されるものではないが、10mg・m-2以上2000mg・m-2以下であることが好ましい。皮膜の付着量が、10mg・m-2未満では、皮膜による効果が十分に得られ難くなることがあり、2000mg・m-2を超えると、皮膜成分の有機比率が小さい場合、皮膜が凝集破壊しやすくなり、基材金属板への密着性が低下することがある。安定した効果と経済性の観点から、より好ましい皮膜の付着量の範囲は、50mg・m-2以上1000mg・m-2以下である。
亜鉛系めっき層の鋼板片面あたりの付着量は、特に限定されないが、1g・m-2以上10g・m-2以下であることが好ましい。より好ましくは3g・m-2以上8g・m-2以下である。
亜鉛系めっき層の付着量が、1g・m-2未満であると、付着量が小さすぎて不めっき部分が発生し、めっきによる防食効果が発揮されないことがある。また、亜鉛系めっき層の付着量が10g・m-2超であると、耐食性は高いが、めっきが黒く変色する現象は発生しにくい。
皮膜は、化成処理液を塗布した後、塗膜を焼付乾燥することで形成されることが好ましい。化成処理液の塗布方法に特に制限はないが、公知のロールコート、スプレー塗布、バーコート、浸漬、静電塗布等を適宜使用することができる。
化成処理液の製造方法は特に限定されないが、例えば、各々の皮膜形成成分を混合し、ディスパーで攪拌し、溶解もしくは分散する方法が挙げられる。各々の皮膜形成成分の溶解性、又は分散性を向上させるために、必要に応じて、公知の親水性溶剤等を添加してもよい。
焼付乾燥方法は特に制限はなく、あらかじめ鋼板を加熱しておくか、塗布後に鋼板を加熱するか、又はこれらを組み合わせて乾燥を行ってもよい。
加熱方法に特に制限はなく、熱風、誘導加熱、近赤外線、直火等を単独もしくは組み合わせて使用することができる。
焼付乾燥温度については、めっき鋼板の到達板温度で50℃以上150℃以下であることが好ましく、70℃以上130℃以下であることがより好ましい。到達温度が50℃未満であると、皮膜の乾燥が不十分で基材との密着性や耐食性が低下する場合があり、150℃超であると、皮膜の焼付硬化が過剰になり、耐食性や加工性が低下する場合がある。焼付乾燥時間は1秒以上20秒以下であることが好ましい。1秒未満であると焼付硬化が不十分となるおそれがあり、20秒超であると、生産性が低下する。
使用した亜鉛系めっき鋼板の種類を表1に示す。めっき鋼板には、板厚0.5mmの軟鋼板を使用した。亜鉛系めっき鋼板は、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥して使用した。
化成処理膜を形成するためのコーティング剤は、表2から表5に示すインヒビターと、表6に示す樹脂、表7に示すシランカップリング剤、表8に示すジルコニウム化合物、表9に示すシリカ、表10に示すりん酸またはその塩とを、表11~表17に示す配合量(乾膜の添加濃度=化成処理膜(皮膜)の固形分に対する質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。次いで、前記(1)で準備した亜鉛系めっき鋼板の表面に該コーティング剤を所定の付着量になるようにロールコーターで塗装し、所定の基板到達温度で乾燥させることで化成処理膜を形成した。
上記(2)で得られた化成処理板から試験板を採取し、試験板について、下記に示す評価方法および評価基準にて評価した。
試験板(50×100mmサイズ)の端面をテープシールなどで保護することなく、切断したままの状態でJIS Z 2371(2015)に準拠した塩水噴霧試験(SST)を24時間及び72時間実施した。試験後の試験板の端面からのめっきの変色幅を測定し、下記の評価基準で評価した。
評点5:変色幅が5mm未満
評点4:変色幅が5mm以上10mm未満
評点3:変色幅が10mm以上15mm未満
評点2:変色幅が15mm以上20mm未満
評点1:変色幅が20mm以上
試験板(50×100mmサイズ)の端面をテープシールなどで保護することなく、切断したままの状態でJIS Z 2371(2015)に準拠した塩水噴霧試験(SST)を24時間及び72時間実施した。試験後の試験板の端面からのめっきの赤錆幅を測定し、下記の評価基準で評価した。
評点5:赤錆幅が2mm未満
評点4:赤錆幅が2mm以上5mm未満
評点3:赤錆幅が5mm以上8mm未満
評点2:赤錆幅が8mm以上10mm未満
評点1:赤錆幅が10mm以上
試験板(50×100mmサイズ)の端面をテープシールした後、試験板中央に7 mmのエリクセン押し出しを行い、JIS Z 2371(2015)に準拠した塩水噴霧試験(SST)を24時間及び72時間実施した。試験後の試験板のエリクセン加工により押し出された円形部におけるめっき変色割合を測定し、下記の評価基準で評価した。
評点5:変色の面積割合が10%未満
評点4:変色の面積割合が10%以上20%未満
評点3:変色の面積割合が20%以上30%未満
評点2:変色の面積割合が30%以上40%未満
評点1:変色の面積割合が40%以上
評価結果を表11~表17に示す。
表11は、本発明のインヒビターを添加していない化成処理板の評価試験結果である。
表12は、本発明のインヒビターを添加したときの、その他の成分を変えた化成処理板の評価試験結果である。
表13は、乾燥温度を変えて成膜した化成処理板の評価試験結果である。
表14は、亜鉛系めっき鋼板のめっきの付着量の異なる原板に化成処理膜を成膜した化成処理板の評価試験結果である。
表15は、化成処理膜の付着量を変えた化成処理板の評価試験結果である。
表16は、亜鉛系めっき原板を変えて成膜した化成処理板の評価試験結果である。
表17は、化成処理膜へ添加するインヒビターの種類、添加濃度を変えた化成処理板の評価試験結果である。
また、ホスホン酸誘導体においてはホスホン酸基数が2つ以上の場合(No.50とNo.No.51、56、61との比較参照)、安息香酸誘導体ではアミノ基を含有する場合(No.62とNo.67、72-74との比較参照)、モノシクロヘキシルアミン誘導体またはジシクロヘキシルアミン誘導体を含有する場合(No.85、86、91と、No.50、60、79と比較参照)、含有するインヒビターの種類が多い場合(No.105-114とNo.50、60、79と比較参照)において、さらに高い耐食性を示す傾向が見られた。
また化成処理膜中の樹脂やシランカップリング剤、ジルコニウム化合物、りん酸またはその塩との組合せでも耐食性が向上することが示された。
Claims (8)
- 鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記めっき層上に、(A)ホスホン酸誘導体、(B1)安息香酸誘導体、(B2)亜硝酸塩、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体から選択されるいずれか一つ以上の物質を含有する、クロメートフリーの皮膜と、
を有し、
前記(A)ホスホン酸誘導体が、ニトリロトリスメチルホスホン酸三ナトリウム(NTMP・3Na)、ニトリロトリスメチルホスホン酸五ナトリウム(NTMP・5Na)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸ナトリウム水和物(エチドロン酸二ナトリウム水和物)(HEDP・2Na)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸ジナトリウム(エチドロン酸四ナトリウム)(HEDP・4Na)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸ナトリウム(PBTC・5Na)、N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTMP・8H)、アレンドロン酸一ナトリウム三水和物、フェニルホスホン酸二ナトリウム水和物、1,4-フェニレンジホスホン酸の内のいずれか一つ以上であって、
前記(A)ホスホン酸誘導体の含有量は、皮膜固形分に対して0.1質量%以上15質量%以下であり
前記(B1)安息香酸誘導体が、安息香酸ナトリウム、2-アミノ安息香酸ナトリウム、3-アミノ安息香酸ナトリウム、4-アミノ安息香酸ナトリウム、2-ニトロ安息香酸ナトリウム、3-ニトロ安息香酸ナトリウム、4-ニトロ安息香酸ナトリウム、m-トルイル酸ナトリウム(3-メチル安息香酸ナトリウム)、p-トルイル酸ナトリウム(4-メチル安息香酸ナトリウム)、3-クロロ安息香酸ナトリウム、4-クロロ安息香酸ナトリウム、3-アセチル安息香酸ナトリウム、4-アセチル安息香酸ナトリウム、5-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5-アミノサリチル酸ナトリウム)、3-ブロモ安息香酸ナトリウム、4-ブロモ安息香酸ナトリウム、2-アミノ-3-ブロモ安息香酸ナトリウム(3-ブロモアントラニル酸ナトリウム)、4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム二水和物(4-アミノサリチル酸ナトリウム二水和物)、安息香酸カルシウム三水和物、安息香酸亜鉛、安息香酸マグネシウム三水和物、4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸カルシウム七水和物(4-アミノサリチル酸カルシウム七水和物))、モノシクロヘキシルアミン安息香酸、ジシクロヘキシルアミン安息香酸、ジイソプロピルアミン安息香酸、モノエタノールアミン安息香酸、エチルモルフォリン安息香酸の内のいずれか一つ以上であって、
前記(B1)安息香酸誘導体の含有量は、皮膜固形分に対して0.1質量%以上15質量%以下であり、
前記(B2)亜硝酸塩が、亜硝酸カルシウム一水和物、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸リチウム、モノシクロヘキシルアミン亜硝酸塩、ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩、モノイソプロピルアミン亜硝酸塩、ジイソプロピルアミン亜硝酸塩、トリエチルアミン亜硝酸塩、ジベンゾイルアミン亜硝酸塩、トリメチルベンゾイルアミン亜硝酸塩、ニトロナフタレンアミン亜硝酸塩、ピリジニウム亜硝酸塩の内のいずれか一つ以上であって、
前記((B2)亜硝酸塩の含有量は、皮膜固形分に対して0.3質量%以上10質量%以下であり、
前記(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体が、モノシクロヘキシルアミン、モノシクロヘキシルアミン亜硝酸塩、モノシクロヘキシルアミンサリチル酸塩、モノシクロヘキシルアミン安息香酸塩、モノシクロヘキシルアミン炭酸塩、モノシクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボン酸塩、モノシクロヘキシルアミンアクリル酸塩の内のいずれか一つ以上であって、
前記(C2)ジシクロヘキシルアミンが、ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩、ジシクロヘキシルアミンサリチル酸塩、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、ジシクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボン酸塩、ジシクロヘキシルアミンアクリル酸塩、ジシクロヘキシルアミンラウリル酸塩の内のいずれか一つ以上であって、
前記(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および、前記(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体の含有量(これら物質の合計の含有量)は、皮膜固形分に対して.1質量%以上15質量%以下であり、
前記皮膜の前記鋼板片面あたりの付着量が10mg・m -2 以上3000mg・m -2 以下であり、
前記めっき層の前記鋼板片面あたりの付着量が3g・m -2 以上15g・m -2 以下であって、
前記皮膜の焼付乾燥温度がめっき鋼板の到達板温度で50℃以上150℃以下である化成処理鋼板。 - 前記皮膜が、(A)ホスホン酸誘導体を分類A、(B1)安息香酸誘導体および(B2)亜硝酸塩を分類B、(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体を分類Cで分類したとき、前記分類A~Cで分類された物質のうち、少なくとも二つ以上の分類の物質を含む請求項1に記載の化成処理鋼板。
- 前記皮膜が、少なくとも、前記(C1)モノシクロヘキシルアミン誘導体、および(C2)ジシクロヘキシルアミン誘導体の少なくとも一方を含有する請求項1又は請求項2に記載の化成処理鋼板。
- 前記(A)ホスホン酸誘導体が、一分子中に2つ以上のホスホン酸基を有する化合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
- 前記(B1)安息香酸誘導体が、分子中にアミノ基を有する化合物である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
- 前記(B2)亜硝酸塩が、アルカリ金属、マグネシウム、またはアルカリ土類金属の亜硝酸塩である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
- 前記皮膜が、樹脂、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、シリカ、りん酸、およびリン酸塩から選択されるいずれか一つ以上をさらに含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
- 前記皮膜の前記鋼板片面あたりの付着量が10mg・m-2以上2000mg・m-2以下であり、
前記めっき層の前記鋼板片面あたりの付着量が3g・m-2以上10g・m-2以下である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の化成処理鋼板。
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