JP2000290782A - 非クロム型表面処理金属材 - Google Patents
非クロム型表面処理金属材Info
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Abstract
ム型表面処理金属材を提供する。 【解決手段】 防錆皮膜を、(1)固形分として有機樹
脂100重量部とチオカルボニル基含有化合物0.1〜
50重量部を含む厚さが0.2〜5μmの皮膜か、ある
いは(2)固形分として有機樹脂100重量部とバナジ
ウム酸化合物0.1〜20重量部を含む厚さが0.2〜
5μmの皮膜とし、皮膜中のインヒビター成分のチオカ
ルボニル基含有化合物又はバナジウム酸化合物の下地金
属材料表面との界面に近い領域における濃度を皮膜の外
表面に近い領域のそれより高くする。
Description
自動車用等に用いられる、6価クロムを含有せずに耐食
性に優れた非クロム型表面処理金属材に関する。
めっき鋼板は、海水等の塩分を含む雰囲気又は高温多湿
の雰囲気では、表面に白錆が発生して外観を著しく損ね
たり、素地鉄面に対する防錆力が低下したりする。
防錆処理剤が利用されており、例えば特開平3−131
370号公報には、オレフィン−α,β−エチレン性不
飽和カルボン酸共重合体樹脂ディスパージョンに水分散
性クロム化合物と水分散性シリカを含有させた樹脂系処
理剤が記載されている。
は、既知の処理剤の中で耐食性が最も良好なものとして
認識されている。とは言え、クロメート処理による皮膜
は有害元素であることが知られている6価クロムを含有
しており、そのため6価クロムを含有しない表面処理金
属板への要求が高まっている。
理剤が、特開平8−239776号公報、特開平8−6
7834号公報に記載されており、これらでは硫化物や
イオウを用いている。しかし、イオウはもちろん硫化物
の中には特有な臭気を放つものがあり、これらの処理剤
の取扱いは必ずしも容易でなかった。
リアジンチオール化合物を用いた処理剤も提案されてお
り、例えば特開昭53−31737号公報には、ジチオ
ール−S−トリアジン誘導体を添加した水溶性防食塗料
が開示されている。ところが、この水溶性防食塗料は、
軟鋼、銅、真ちゅうなどの防食を目的としており、特に
基材が銅や真ちゅうの場合により密着しやすいように調
製されている。従って、亜鉛等の金属表面に対する防錆
剤としては不十分である。
オカルボニル基含有化合物と、水に難溶又は不溶性の有
機化合物を混合して得られる金属との反応性エマルショ
ンが記載されている。しかし、このエマルションも、
銅、ニッケル、スズ、コバルト、アルミニウム等及びそ
れらの合金と反応するものであり、亜鉛等の金属表面に
対する防錆剤としてはやはり不十分である。
でもって、亜鉛系めっき鋼板の防錆にも有効なトリアジ
ンチオール含有防錆コーティング剤を開示した。しか
し、トリアジンチオールは高価な化合物であり、そのた
めもっと安価な防錆処理剤が利用できることは有益なこ
とである。
使用しない、亜鉛又は亜鉛合金の表面処理方法として、
特開昭54−71734号公報及び特開平3−2265
84号公報に記載されているものがある。特開昭54−
71734号公報に記載の処理法は、ミオイノシトール
の2〜6個の結合リン酸エステル又はその塩類を0.5
〜100g/lと、チタン弗化物及びジルコニウム弗化
物のうちの少なくとも一方を金属換算で0.5〜30g
/lと、チオ尿素又はその誘導体1〜50g/lとを含
有する水溶液で、亜鉛又は亜鉛合金を表面処理するもの
である。この方法は、亜鉛表面に保護層としての不動態
皮膜を形成するためにチタン弗化物又はジルコニウム弗
化物を必要としている。特開平3−226584号公報
では、Ni2+とCo2+の一方又は両方を0.02g/l
以上と、アンモニア及び1級アミン基を有する化合物の
うちの少なくとも1種とを含有しているpH5〜10の
水溶液である表面処理剤が使用されている。この処理剤
は、塗装密着性及び塗装後の耐食性をコバルト又はニッ
ケルの析出によって付与するため、Ni2+とCo2+の一
方又は両方を必要としている。これらの金属イオンを含
有する処理剤は、廃水処理時の負荷が大きくなる等の不
都合があった。
含まないこれまでの防錆剤は、耐食性の点でクロム含有
防錆剤に及ばず、そのほかにも上述のように不都合な点
があった。そこで、クロム含有防錆剤に取って代わり、
しかも上述の不都合のない新しい防錆剤の開発が強く望
まれていた。
して、本願の出願人らは、水性樹脂、チオカルボニル基
含有化合物及びリン酸イオンを含み、且つ任意に微粒シ
リカを含む防錆コーティング(特願平10−36265
号)を開発した。また、水性樹脂、チオカルボニル基含
有化合物及び微粒シリカを含有し、リン酸イオンを含ま
ない防錆コーティング(特願平10−36264号)を
開発した。更に、水性樹脂とバナジウム酸化合物とを含
み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物、リン酸
イオン及び微粒シリカのうちの少なくとも1種を更に含
む防錆コーティング(特願平10−36267号)を開
発した。
クロムを含まず、且つ耐食性に優れているので、従来の
クロメート系処理剤に代わって、亜鉛めっき又は亜鉛合
金めっき鋼等の亜鉛被覆鋼はもちろん、アルミニウム被
覆鋼(Al被覆鋼)や無被覆鋼等の防錆剤としての利用
が期待される。そしてこれらの新しい防錆コーティング
剤固有の耐食性を更に向上させることは、これらの防錆
コーティング剤で表面処理した金属材の実用性を更に高
めてその利用を促進する上で、大変有益なことである。
非クロム型表面処理金属材を提供することを目的とする
ものである。
処理金属材は、一つの側面において、下地金属材料の表
面にインヒビター成分を含有する防錆皮膜を備え、この
防錆皮膜が、固形分として有機樹脂100重量部とイン
ヒビター成分のチオカルボニル基含有化合物0.1〜5
0重量部を含む厚さが0.2〜5μmの皮膜であり、こ
の皮膜の下地金属材料表面との界面に近い領域における
チオカルボニル基含有化合物濃度が皮膜の外表面に近い
領域のそれより高いことを特徴とする。
量部(PO4 として)のリン酸化合物のインヒビター成
分と1〜500重量部の微粒シリカのうちの少なくとも
1種以上を任意に含むことができる。
ム型表面処理金属材は、下地金属材料の表面にインヒビ
ター成分を含有する防錆皮膜を備え、この防錆皮膜が、
固形分として有機樹脂100重量部とインヒビター成分
のバナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含む厚さが
0.2〜5μmの皮膜であり、この皮膜の下地金属材料
表面との界面に近い領域におけるバナジウム酸化合物濃
度が皮膜の外表面に近い領域のそれより高いことを特徴
とする。
部のチオカルボニル基含有化合物のインヒビター成分、
0.01〜20重量部(PO4 として)のリン酸化合物
のインヒビター成分及び1〜500重量部の微粒シリカ
のうちの少なくとも1種以上を任意に含むことができ
る。
基含有化合物である場合も、バナジウム酸化合物である
場合も、好ましくは、皮膜の厚さのうちの下地金属材料
との界面から30%の領域に、皮膜に添加されたインヒ
ビター成分(必須インヒビター成分のほかに、任意のイ
ンヒビター成分を含有する場合にはそれらを含めた、全
種類のインヒビター成分)の全量の50重量%以上が存
在する。
する金属材料は、亜鉛被覆鋼、アルミニウム被覆鋼(A
l被覆鋼)及び無被覆鋼である。亜鉛被覆鋼は、具体的
には、亜鉛めっき、亜鉛とFe、Ni、Co、Cr、M
g、Al、Si、Mn等の1種又は2種以上とからなる
合金めっきを施した鋼材をさし、めっき方法は特に限定
されるものではなく、電気めっき法、溶融めっき法、真
空めっき法等いずれでもよい。鋼材としては、特に限定
されないが冷延鋼板、熱延鋼板、厚板、棒鋼、鋼管、線
材等の鋼材でよい。
る前に、例えば脱脂等の任意の表面処理を施してもよ
い。
錆皮膜として、(1)固形分として有機樹脂100重量
部とチオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部を
含む厚さが0.2〜5μmの皮膜か、あるいは(2)固
形分として有機樹脂100重量部とバナジウム酸化合物
0.1〜20重量部を含む厚さが0.2〜5μmの皮膜
を有する。
いる。この有機樹脂は、水中に水性樹脂と防錆皮膜のそ
の他の成分とを含む組成物を塗布後に乾燥して得られる
ものである。ここでの水性樹脂とは、水溶性樹脂のほ
か、本来不水溶性でありながらエマルジョンやサスペン
ジョンのように不溶性樹脂が水中に微分散された状態に
なり得るもの(水分散性樹脂)を含めていう。
樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリ
ルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、
その他の加熱硬化型の樹脂などを例示でき、架橋可能な
樹脂であることがより好ましい。特に好ましい樹脂は、
アクリルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び
両者の混合樹脂である。水性樹脂は2種類以上を混合し
てあるいは共重合して使用してもよい。
ル基含有化合物又はバナジウム酸化合物を必須成分とし
て含むことにより、その防錆効果が著しく向上する。
あって、金属表面に吸着し易く、また酸化力も優れてい
るので、金属表面を不動態化することにより防錆効果を
奏する。特に、チオカルボニル基含有化合物におけるチ
オール基のイオンは、金属表面の活性なサイトに吸着さ
れて防錆効果を発揮すると考えられる。
脂皮膜の架橋促進剤として作用し、樹脂皮膜のミクロポ
アを少なくして、水や塩素イオンなどの有害イオンを効
率よく遮断する効果も有し、これも防錆効果に寄与する
と考えられる。
物とは、下式で表されるチオカルボニル基
や酸又はアルカリの存在する条件においてチオカルボニ
ル基含有化合物を放出することのできる化合物をも含む
ことができる。代表的には、
ば、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、エチルチオ尿
素、ジエチルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、チオペン
タール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシア
ヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−
チオウラゾールなどや、下式
は、例えば−H、−CH3 、−CH2 CH3 、−C6 H
5 等を表す)、例として、チオホルムアミド、チオアセ
トアミド、チオプロピオンアミド、チオベンズアミド、
チオカルボスチリル、チオサッカリンなどや、下式
Rは、例えば−H、−CH3 等を表す)、例として、チ
オホルムアルデヒド、チオアセトアルデヒドなどや、下
式
例えば−CH3 、−C6 H5 等を表す)、例として、チ
オ酢酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸などや、下式
(1)の構造を有する化合物、例えば、チオクマゾン、
チオクモチアゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チ
オピリン、チオベンゾフェノンなど、が例示される。
化合物の量は、固形分として、有機樹脂100重量部に
対して0.1〜50重量部がよい。チオカルボニル基含
有化合物の含有量が0.1重量部より少ないと、上述の
効果が目立たなくなり、50重量部より多いと、それに
伴う経費の上昇に見合うだけの効果が期待できなくな
る。
ンヒビター成分として防錆皮膜中に単独に含ませること
ができ、あるいはバナジウム酸化合物を必須インヒビタ
ー成分とする防錆皮膜中に追加の任意成分として含ませ
てもよい。チオカルボニル基含有化合物とバナジウム酸
化合物が共存する場合には、それらの共同作用により防
錆作用を発揮するものと考えられる。
合、それはクロム酸化合物と同様の防錆作用を奏する。
すなわち、バナジウム酸化合物は、防錆皮膜形成用の組
成物の塗布時に金属材の表面に不動態皮膜を形成して防
錆効果を奏する。更に、バナジウム酸化合物は、金属表
面(特に亜鉛めっき表面)に腐食部位が発生した場合に
も、皮膜中に存在するバナジウム酸イオンが腐食部位に
作用して腐食反応を抑制する効果もあるものと考えられ
る。
ナジウム酸アンモニウム、バナジウム酸ナトリウム、バ
ナジウム酸カリウムなどを用いることができる。
て、有機樹脂50〜100重量部に対して0.1〜20
重量部の範囲内がよい。0.1重量部より少ないと防錆
効果が十分でなく、20重量部より多くても防錆効果は
飽和して不経済になる。
分であるチオカルボニル基含有化合物あるいはバナジウ
ム酸化合物のほかに、任意の追加のインヒビター成分を
含むことができる。チオカルボニル基含有化合物が必須
成分の場合には、防錆皮膜は任意のインヒビター成分と
してリン酸化合物を含むことができ、一方、バナジウム
酸化合物が必須成分の場合には、チオカルボニル基含有
化合物及びリン酸化合物のうちの少なくとも1種以上を
含むことができる。
ンヒビター成分のチオカルボニル基含有化合物あるいは
バナジウム酸化合物は、先に述べたように、金属表面の
活性なサイトに吸着されて防錆効果を発揮するが、任意
成分のリン酸化合物は、金属表面の不活性なサイトに作
用して活性な表面を形成し、そこにチオカルボニル基含
有化合物又はバナジウム酸化合物が吸着されるようにす
ることで防錆効果を発揮するものと考えられる。また、
リン酸化合物も樹脂皮膜の架橋促進剤として作用し、樹
脂皮膜のミクロポアを少なくして、水や塩素イオンなど
の有害イオンを効率よく遮断する効果を有し、これも防
錆効果に寄与すると考えられる。
む化合物であればよいが、例えば、リン酸アンモニウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどを使用する
ことができる。
重量部に対して、リン酸イオンとして0.01〜20重
量部の範囲内である。リン酸化合物が0.01重量部未
満では防錆効果が十分に発揮されず、一方20重量部を
超えるとかえって防錆効果が低下したり、コーティング
溶液の状態で樹脂がゲル化したりして不具合が生じるこ
とがある。
ビター成分とともに、あるいは任意のインヒビター成分
を含むことなく、微粒シリカを含むことができる。防錆
皮膜が微粒シリカを含む場合、その防錆作用(耐食性)
は著しく促進される。しかも耐食性に加えて、皮膜形成
時の乾燥性、形成した皮膜の耐擦傷性、密着性も改良で
きる。
径をもつために水中に分散させた場合に安定に水分散状
態を維持でき、半永久的に沈降が認められないような特
性を有するシリカを総称していうものである。上記微粒
シリカとしては、ナトリウムなどの不純物が少なく、弱
アルカリ系のものであれば、特に限定されない。例え
ば、「スノーテックスN」(日産化学工業社製)、「ア
デライトAT−20N」(旭電化工業社製)などの市販
のシリカゲル、または市販のアエロジル粉末シリカなど
を用いることができる。
分として、有機樹脂100重量部に対して1〜500重
量部であることが好ましい。1重量部未満では添加の効
果が少なく、500重量部を超えると耐食性向上の効果
が飽和して不経済であるほか、皮膜が硬くなりすぎ皮膜
割れ、剥離などが発生して耐食性が低下することもあ
る。
ると、バナジウム酸化合物が微粒シリカの表面に吸着し
て、相乗的に防錆効果が奏せられる。この意味で、微粒
シリカがアンモニウム吸着型や酸化アルミニウム被覆型
の場合には、吸着し易いので防錆効果が向上して好適で
ある。
けるインヒビター濃度が一様でなく、皮膜の厚さのうち
の下地金属材料との界面に近い領域における全インヒビ
ター種(必須インヒビター成分のほかに、任意のインヒ
ビター成分が共存する場合それを含めた、全てのインヒ
ビター種)の濃度の方が遠い方の領域における濃度より
高くなっていることにある。好ましくは、皮膜の厚さの
うちの下地金属材料との界面から30%の領域に、皮膜
に添加されたインヒビターの全量の70重量%以上が存
在する。
インヒビター濃度が上昇していることによって、特に、
金属材の加工部(皮膜に亀裂が入りやすい)、キズ入り
部、端面部の耐食性が向上する。このような部分では、
防錆皮膜の下地の金属材料が外部雰囲気に露出されやす
く、腐食が発生しやすくなるが、本発明によれば金属表
面近くにインヒビター成分が濃縮されているので、その
防錆作用が促進されるものと考えられる。この防錆作用
の促進は、特に、水の存在する腐食環境において顕著に
認められる。これは、金属材料に近い領域の濃縮された
インヒビター成分が水に溶出して、露出された金属面に
対する防錆効果を発揮するためと考えられる。
外の成分を含むこともできる。例えば、顔料、界面活性
剤などを挙げることができる。また、有機樹脂とシリカ
粒子、顔料との親和性を向上させ、更に有機樹脂と下地
金属との密着性などを向上させるためにシランカップリ
ング剤もしくはその加水分解縮合物又はそれらの両方を
配合してもよい。ここでの「シランカップリング剤の加
水分解縮合物」とは、シランカップリング剤を原料と
し、加水分解重合させたシランカップリング剤のオリゴ
マーのことをいう。
O2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(Zr
O2 )、炭化カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリウム
(BaSO4 )、アルミナ(Al2 O3 )、カオリンク
レー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2 O3 、Fe3
O4 )などの無機顔料や、有機顔料などの各種着色顔料
などを用いることができる。
ング剤としては特に制限はないが、好ましいものとして
は、例えば以下のものを挙げることができる:ビニルメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−
(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,
N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エ
チレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン。
ニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)
−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピ
ル〕エチレンジアミンである。これらシランカップリン
グ剤は1種類を単独で使用してもよいし、または2種類
以上を併用してもよい。
として、有機樹脂100重量部に対して、0.01〜2
0重量部であることが好ましい。シラン化合物の添加量
が0.01重量部未満になると添加効果の低下が認めら
れ、耐食性、上塗り塗装密着性向上効果が不足し、20
重量部を越えるとコーティング溶液の状態で樹脂がゲル
化したりして不具合が生じることがある。
(1)水中に所定の成分(有機樹脂のもとになる水性樹
脂、インヒビター成分、その他の任意の成分)を含むコ
ーティング剤組成物を調製し、下地の金属材料に塗布
し、塗膜を加熱、乾燥する方法、(2)インヒビター含
有水溶液(水性樹脂を含有することなく、インヒビター
成分、その他の任意の成分を含有する水溶液)を金属材
料に任意の方法で塗布乾燥し、その上層に水中に所定の
成分(有機樹脂のもとになる水性樹脂、インヒビター成
分、その他の任意の成分)を含むコーティング剤組成物
を塗布し、塗膜を加熱、乾燥する方法、もしくは、
(3)インヒビター成分濃度の異なるコーティング剤
(有機樹脂のもとになる水性樹脂、インヒビター成分、
その他の任意の成分)を複数回繰り返し塗布、加熱、乾
燥を行い、インヒビター成分濃度の異なる層を複数層形
成させる方法など、特に限定されるものではなく、防錆
皮膜全体で請求項記載の内容になっていればいずれの方
法で行っても構わない。このように、防錆皮膜中のイン
ヒビター濃度に勾配をもたせ、下地金属材料との界面に
近い方の濃度をより高くする方法は、限定はされない
が、例えば、(2)もしくは(3)の方法を用いるとよ
り容易に本発明の防錆皮膜を形成させることができる。
製して差し支えない。一般には、固形分(水以外の成
分)を1〜80重量部、水を99〜20重量部含有する
コーティング剤組成物が、塗布とその後の加熱・乾燥の
観点から好ましい。コーティング剤組成物の塗布方法
は、特に限定されず、一般に公知の塗布方法、例えばロ
ールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸
漬などが採用できる。
脂を硬化させ、架橋性樹脂の場合は樹脂を架橋させる。
塗膜の加熱・乾燥(焼付け)は、熱風炉、誘導加熱炉、
近赤外線炉、直火炉などを用いる公知の方法、又はこれ
らを組み合わせた方法で行えばよい。あるいは、これら
の強制乾燥を用いずに、自然乾燥してもよく、金属材料
を予熱しておいてこれにコーティング剤組成物を塗布後
自然乾燥してもよい。また、使用する水性樹脂の種類に
よっては、紫外線や電子線などのエネルギー線により硬
化させることもできる。加熱温度としては、50〜25
0℃がよい。50℃未満では水分の蒸発速度が遅く十分
な成膜性が得られないので、防錆力が不足する。一方2
50℃を超えると、有機樹脂の熱分解などが生じるの
で、防食性、耐水性が低下し、また外観も黄変する問題
がある。70〜200℃がより好ましい。また、加熱・
乾燥後の冷却は、水冷、空冷、自然冷却等の公知の方
法、又はこれらを組み合わせた方法で行えばよい。
複数層の場合は合計の膜厚)は、0.2μm以上が好適
である。0.2μm未満では、防錆力(耐食性)が不足
する。一方膜厚が厚くなると、防錆力(耐食性)にそれ
以上の向上がそれほど認められなくなり、不経済であ
る。そこで、膜厚は5μmを上限とするのが適当であ
る。
言うまでもなく、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
板厚0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板を下地とし、表1〜
4に示す防錆皮膜組成の表面処理剤を全固形分として2
0重量%含む水性コーティング液もしくはインヒビター
成分含有水溶液をロールコーターで塗布し、熱風乾燥炉
で乾燥して防錆皮膜を形成した。防錆皮膜を複数層から
形成する場合は、前記の塗布、乾燥を繰り返し作業し、
防錆皮膜を形成した。皮膜の厚み(μm)と乾燥条件
(焼付板温)は表1〜4中に示した。また、形成した防
錆皮膜の全体組成、皮膜厚み、及び皮膜厚みのうちの金
属材との界面から30%の領域のインヒビター成分濃度
を、表5〜8に示した。使用した処理液の安定性は良好
で、常温で3ケ月放置した後も、初期とほぼ同等の品質
を保持していた。また、めっき付着量が片面あたり60
g/m2 の板厚0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板、めっき
付着量が片面あたり40g/m2 の板厚0.8mmの合金
化溶融亜鉛めっき鋼板、めっき付着量が片面あたり20
g/m2 の板厚0.8mmの亜鉛−ニッケル合金めっき鋼
板(ニッケル含有率11重量%)を原板とした表面処理
鋼板も同じ方法で評価した。表1〜4にめっき種類を表
示した。EGは電気亜鉛めっき鋼板、GIは溶融亜鉛め
っき鋼板、GAは合金化溶融亜鉛めっき鋼板、ZNは亜
鉛−ニッケル合金めっき鋼板である。
ら30%の領域のインヒビター濃度(%)については以
下の装置、方法にて測定、算出した。まず、前記の方法
で作製した表1〜8の内容の防錆皮膜を形成した試料
(表面処理鋼板)の表面を金蒸着した後、試料をエポキ
シ樹脂中に垂直に埋め込み、その断面を10度の傾斜を
かけて研磨した。その試料の研磨面の防錆皮膜部分を厚
み方向に以下の装置、条件で分析、算出した。 装置:EPMA−1500(ELECTRON PRO
BE MICROANALYZER、島津製作所社製) 分析方法:線分析 加速電圧:15kV、分析径:1μm、ステップサイ
ズ:0.1μm 元素:S、Va、P 算出式:防錆皮膜の金属界面から30%の部分の(S+
Va+P)強度の積分値/防錆皮膜中の全(S+Va+
P)強度の積分値×100 (%)
下の通りである。
社製) ウレタン系:「ボンタイターHUX−320」(旭電化
社製) アクリル系:「AP−1058(12)」(東亜合成社
製) エポキシ系:「ポリゾール8500」(昭和高分子社
製) ポリエステル系:「ペスレジンA−124G」(高松油
脂社製) ウレタンオレフィン系:上記オレフィン系とウレタン系
を固形分換算で1:1に混合したもの
業社製)
(関東化学社製)をリン酸イオン濃度が表1〜4中の重
量部になるように処理剤に溶かした。
1級(関東化学社製)
BE−403」(信越化学社製) B:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン「K
BM−403」(信越化学社製) C:ビニルトリメトキシシラン「KBM−1003」
(信越化学社製) D:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン「KBE−603」(信越化学社製) E:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン「KB
M−803」(信越化学社製)
価を行い、表9〜12に示した結果を得た。 1.仕上がり外観 目視による処理膜の外観を判定し、評点を付けた。評点
は、5は均一、4は極く僅かにムラあり、3は部分的に
ムラあり、2は全体的にムラあり、1は全面にムラがひ
どい、とした。
の碁盤目テープ法(すきま間隔1mm)によって判定し、
以下に示した基準によって評点付けした。加工部耐食性
は、JIS K 5400の8.2に規定されるエリク
セン試験機で押し出して、押し出した部分をテープ剥離
して皮膜の剥離を目視によって判定し、以下の基準によ
って評点付けした。
は、メチルバイオレットの0.1%アセトン溶液で皮膜
を染色し、染色された部分には皮膜が存在し、染色され
ない部分には皮膜が存在しない、として皮膜の密着性を
判定した。処理膜の外観評価についても同様である。
(日本ペイント社製)を乾燥皮膜25μmとなるように
スプレーで塗布して、150℃で20分間熱風炉で乾燥
焼付後、密着性を評価した。評価は、平板密着性はJI
S K 5400の8.5.2に記載の碁盤目テープ法
(すきま間隔1mm)によって判定した。加工部耐食性
は、JIS K 5400の8.2に規定されるエリク
セン試験機で7mm押し出して、押し出した部分をテープ
剥離して皮膜の剥離を目視によって判定した。以下の基
準によって評点付けした。
騰水に30分浸漬し24時間放置した後に、上述の方法
でオルガセレクト100を塗装した後の塗膜の密着性を
調べた。
を目視で判定し、評点を付けた。評点は、5は指紋跡が
見えない、4は極く僅かに指紋跡が見える、3は指紋跡
が見える、2は指紋跡が目立つ、1は指紋跡が非常に目
立つ、とした。
に塗布し、この油をエタノールをしみこませたガーゼで
拭き取り、皮膜の跡残りを目視で判定して評点を付け
た。油汚れ等をきれいにするために、エタノールでふき
取る作業が行われることがあり、このときに皮膜が損傷
を受けないかどうかを評価するための試験である。評点
は、5は跡残りなし、4は極く僅かに跡残りあり、3は
跡残りあり、2は跡残りが目立つ、1は跡残りが非常に
目立つ、とした。
と、エリクセン7mm加工部(エリクセンで7mm押し出し
た鋼板の端面部と裏面をシール)と、クロスカット部
(カッターナイフで素地金属板に達する深さで×印のよ
うにキズをつけた鋼板の端面部と裏面をシール)につい
て、塩水噴霧試験(JIS Z 2371に規定される
もの)を、平板及びエリクセン7mm加工部は168時
間、クロスカット部は120時間行った。
は下記のものとした。 10点:異常なし 9点:10点と8点の間 8点:僅かに白錆発生 7〜6点:8点と5点の間 5点:面積の半分に白錆発生 4〜2点:5点と1点の間 1点:全面に白錆発生
ト部の四辺の錆進行幅の最大値の平均が、 ◎:10mm以下 ○:10〜15mm △:15〜20mm ×:20mm以上 とした。
施例1、43ではやや耐指紋性と耐食性が劣り、下層皮
膜中シリカ添加量がない実施例21、67では耐食性が
やや劣り、上層皮膜中シリカ添加量がない実施例37、
84では耐食性がやや劣り、上層防錆皮膜の焼付板温が
低い実施例41、88は耐エタノール性がやや劣るが、
いずれも実用に耐えうるものである。また、原板のめっ
きを変更した例においても、本発明によれば、耐食性、
上塗り塗膜密着性、耐指紋性、耐エタノール性、耐かじ
り性に優れた表面処理鋼板が得られた。
て、防錆皮膜の厚みの薄い比較例1〜3では耐指紋性、
耐食性が劣り、防錆皮膜中へのチオ尿素、バナジウム酸
アンモニウムの添加がない比較例4では密着性、耐食性
が劣り、防錆皮膜中チオ尿素添加量が少ない比較例5で
は耐食性が劣り、防錆皮膜中バナジウム酸アンモニウム
添加量が少ない比較例6では密着性、耐食性が劣り、下
層皮膜中リン酸イオンの添加量が多い比較例7、10、
13では耐食性が劣り、上層皮膜中リン酸イオンの添加
量が多い比較例8、11、14では耐食性、耐エタノー
ル性が劣り、防錆皮膜中シリカの添加量が多い比較例
9、12、15では耐食性、密着性が劣り、防錆皮膜中
の鋼板との界面領域のインヒビター成分濃度が低い比較
例16〜22では、加工部、クロスカット部(傷付き
部)の耐食性が劣る。
有害な6価クロムを含まず、耐食性に優れた非クロム型
表面処理金属材の利用が可能になる。
Claims (6)
- 【請求項1】 下地金属材料の表面にインヒビター成分
を含有する防錆皮膜を備え、この防錆皮膜が、固形分と
して有機樹脂100重量部とインヒビター成分のチオカ
ルボニル基含有化合物0.1〜50重量部を含む厚さが
0.2〜5μmの皮膜であり、この皮膜の下地金属材料
表面との界面に近い領域におけるチオカルボニル基含有
化合物濃度が皮膜の外表面に近い領域のそれより高いこ
とを特徴とする非クロム型表面処理金属材。 - 【請求項2】 前記防錆皮膜が、0.01〜20重量部
(PO4 として)のリン酸化合物のインヒビター成分と
1〜500重量部の微粒シリカのうちの少なくとも1種
以上を更に含む、請求項1記載の非クロム型表面処理金
属材。 - 【請求項3】 前記防錆皮膜の厚さのうちの金属材との
界面から30%の領域に、当該皮膜に添加されたインヒ
ビター成分の全量の50重量%以上が存在する、請求項
1又は2記載の非クロム型表面処理金属材。 - 【請求項4】 下地金属材料の表面にインヒビター成分
を含有する防錆皮膜を備え、この防錆皮膜が、固形分と
して有機樹脂100重量部とインヒビター成分のバナジ
ウム酸化合物0.1〜20重量部を含む厚さが0.2〜
5μmの皮膜であり、この皮膜の下地金属材料表面との
界面に近い領域におけるバナジウム酸化合物濃度が皮膜
の外表面に近い領域のそれより高いことを特徴とする非
クロム型表面処理金属材。 - 【請求項5】 前記防錆皮膜が、0.1〜50重量部の
チオカルボニル基含有化合物のインヒビター成分、0.
01〜20重量部(PO4 として)のリン酸化合物のイ
ンヒビター成分及び1〜500重量部の微粒シリカのう
ちの少なくとも1種以上を更に含む、請求項4記載の非
クロム型表面処理金属材。 - 【請求項6】 前記防錆皮膜の厚さのうちの下地金属材
料との界面から30%の領域に、当該皮膜に添加された
インヒビター成分の全量の50重量%以上が存在する、
請求項4又は5記載の非クロム型表面処理金属材。
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