JP3412538B2 - 耐食性に優れた有機被覆鋼板 - Google Patents

耐食性に優れた有機被覆鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途等に最適な有機被覆鋼板に関し、製品を取扱う作
業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さら
には使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶
出などの環境問題に適応するために、下地となる化成処
理皮膜にクロメート皮膜を適用しなくても優れた耐食性
が得られ、また、化成処理皮膜にクロメート皮膜を適用
した場合には、耐食性だけでなく優れた耐クロム溶出性
が得られる環境適応型表面処理鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板等には、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系め
っき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向
上させる目的で、クロム酸、重クロム酸またはその塩類
を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施され
た鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理は
耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことができる経済
的な処理方法である。クロメート皮膜の防食機構は、3
価クロムの水和酸化物によるバリヤー効果と6価クロム
による自己修復作用によるものと考えられている。
【0003】クロメート処理方法には、反応型、電解
型、塗布型がある。このうち、塗布型クロメート処理に
ついては、処理液中の6価クロムと3価クロムの比率を
コントロールしたり、シリカを添加する等の方法により
優れた耐食性が得られることから、最近、表面処理鋼板
としての使用量も急速に伸びている。また、反応型や電
解型クロメート処理の場合には、クロメート皮膜の耐食
性を補う目的で、クロメート処理の直後に6価クロムを
含む処理液でシーリング処理を行う場合がある。
【0004】しかし、6価クロムは公害規制物質である
ため、クロメート皮膜から6価クロムが溶出するのを抑
制する必要がある。例えば、塗布型クロメート処理鋼板
のプレス加工時に付着した防錆油、プレス油をアルカリ
脱脂する場合に、アルカリ脱脂液中への6価クロム溶出
を抑制する必要がある。また、反応型クロメート処理鋼
板や電解型クロメート処理鋼板の表面に耐食性向上の目
的で行われるクロムシーリング処理においても、同様の
配慮が必要となる。このためクロメート皮膜から6価ク
ロムが溶出しないクロメート処理の必要性が高まってい
る。
【0005】このようなことから、塗布型クロメート処
理皮膜のアルカリ脱脂時のクロム溶出を抑制し、しかも
耐食性を向上するための各種検討が行われている。この
方法の一つとして、クロメート処理液中の3価クロム/
6価クロムの還元率を高める方法が知られているが、処
理液中の還元率を高めると耐食性が低下するため還元率
の上昇には限界がある。また、この方法の他にも、以下
のような方法が開示されている。
【0006】(イ)クロメート処理の乾燥温度を板温で
150〜250℃とし、樹脂を塗布しら後、再び150
〜250℃で乾燥する方法(特開平4−28878号) (ロ)上層の水系樹脂皮膜に還元剤を添加することによ
り、クロムイオンの溶出を抑制する方法(特開平7−1
80069号) (ハ)上層のエポキシエステル樹脂皮膜中にポリエチレ
ンオキシオールを添加して、クロムイオンの溶出を抑制
する方法(特開平7−243055号)
【0007】一方、クロメート処理そのものが人体や環
境に悪影響を及ぼすおそれがあるという観点から、クロ
メート処理によらない無公害な処理技術が数多く提案さ
れている。このうち有機系化合物や有機樹脂を利用した
方法もいくつか提案されており、例えば、以下のような
方法を挙げることができる。
【0008】(1)タンニン酸を用いる方法(例えば、
特開昭51−71233号) (2)エポキシ樹脂とアミノ樹脂とタンニン酸を混合し
た熱硬化性塗料を用いる方法(例えば、特開昭63−9
0581号) (3)水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成
物を用いる方法(例えば、特開平8−325760号)
等のようなのタンニン酸のキレート力を利用する方法
【0009】(4)ヒドラジン誘導体水溶液をブリキま
たは亜鉛鉄板の表面に塗布する表面処理方法(例えば、
特公昭53−27694号、特公昭56−10386
号) (5)アシルザルコシンとベンゾトリアソールとの混合
物にアミンを付加させて得られたアミン付加塩を含む防
錆剤を用いる方法(例えば、特開昭58−130284
号) (6)ベンゾチアゾール化合物などの複素環化合物とタ
ンニン酸を混合した処理剤を用いる方法(例えば、特開
昭57−198267号)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、クロム溶出の
抑制を目的とした上記(イ)〜(ハ)の従来技術には、
以下のような問題がある。まず、上記(イ)の方法は、
上層の有機樹脂皮膜中を若干の6価クロムイオンが透過
するために、クロム溶出の抑制には限界がある。また、
上記(ロ)の方法は、クロメート皮膜中の6価クロムを
3価クロムに還元することを狙いとしたものであるが、
クロム溶出の抑制に限界があるだけでなく、耐食性を低
下させてしまう問題がある。さらに、上記(ハ)の方法
は、6価クロムをポリエチレンオキシオールによって錯
形成することを期待したものであるが、(ロ)の方法と
同様に耐食性を低下させてしまう問題がある。
【0011】また、クロメート処理を用いない上記
(1)〜(6)の従来技術にも以下のような問題があ
る。まず、上記(1)〜(4)の方法はいずれも耐食性
等の面で問題がある。すなわち、上記(1)の方法では
耐食性が不十分であり、また処理後の均一な外観が得ら
れない。また、上記(2)の方法は、特に亜鉛系または
アルミニウム系めっき表面に直接、薄膜状(0.1〜5
μm)の防錆皮膜を形成することを狙いとしたものでは
なく、このため亜鉛系またはアルミニウム系めっき表面
に薄膜状に適用したとしても十分な防食効果は得られな
い。また、上記(3)の方法についても同様に耐食性が
不十分である。
【0012】さらに上記(4)の方法は亜鉛系またはア
ルミニウム系めっき鋼板について適用したものではな
く、また、仮に亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板
に適用したとしても、得られる皮膜はネットワーク構造
を有していないため十分なバリヤー性がなく、このため
耐食性が不十分である。また、特公昭53−23772
号、特公昭56−10386号には皮膜の均一性向上を
狙いとしてヒドラジン誘導体水溶液に水溶性高分子化合
物(ポリビニルアルコール類、マレイン酸エステル共重
合体、アクリル酸エステル共重合体等)を混合すること
が開示されているが、ヒドラジン誘導体水溶液と水溶性
高分子化合物との単なる混合物では十分な耐食性は得ら
れない。
【0013】さらに、上記(5)、(6)の方法も亜鉛
系またはアルミニウム系めっき鋼板表面に短時間で防錆
皮膜を形成することを狙いとしたものではなく、また、
仮に処理剤をめっき鋼板表面に塗布したとしても、酸素
や水などの腐食因子へのバリヤー性がないため優れた耐
食性は得られない。また、(6)の方法については、添
加剤として樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル樹脂等)と
の混合についても述べられているが、ベンゾチアゾール
化合物などの複素環化合物と樹脂との単なる混合物では
十分な耐食性は得られない。
【0014】また、上記(1)〜(6)の方法はいずれ
も、プレス加工などで表面に塗布した油を除去するため
に、スプレー等によるpH9〜11程度のアルカリ脱脂
を行うような実用条件においては、アルカリ脱脂によっ
て皮膜が剥離または損傷し、耐食性を保持できないとい
う問題がある。したがって、これらの方法は、防錆皮膜
を形成する方法としては実用に適したものではない。
【0015】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、下地となる化成処理皮膜にクロ
メート皮膜を適用しなくても優れた耐食性が得られ、ま
た、化成処理皮膜にクロメート皮膜を適用した場合に
は、耐食性だけでなく優れた耐クロム溶出性が得られる
有機被覆鋼板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成された
化成処理皮膜の上層に、特定のキレート形成樹脂皮膜を
形成することにより、さらに、好ましくはこのキレート
形成樹脂皮膜中に特定の防錆添加剤を適量配合すること
により、化成処理としてクロメート処理を用いることな
く優れた耐食性が得られること、また、化成処理として
クロメート処理を用いた場合には、従来のクロメート処
理鋼板に較べて格段に優れた耐食性が得られるととも
に、その特定のキレート形成樹脂皮膜により優れた耐ク
ロム溶出性が得られることを見い出した。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような知見
に基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の
通りである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、皮膜形成有
機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活性水素を有
するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合
物(B)との反応生成物を含む膜厚が0.1〜5μmの
有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。
【0018】[2] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換
シリカ(a)とを含み、該イオン交換シリカ(a)の含
有量が前記反応生成物100重量部(固形分)に対して
1〜100重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5
μmの有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れ
た有機被覆鋼板。
【0019】[3] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、微粒子シリ
カ(b)とを含み、該微粒子シリカ(b)の含有量が前
記反応生成物100重量部(固形分)に対して1〜10
0重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有
機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被
覆鋼板。
【0020】[4] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換
シリカ(a)と、微粒子シリカ(b)とを含み、前記イ
オン交換シリカ(a)および前記微粒子シリカ(b)の
合計の含有量が前記反応生成物100重量部(固形分)
に対して1〜100重量部(固形分)であり、且つイオ
ン交換シリカ(a)と微粒子シリカ(b)の含有量(固
形分)の重量比(a)/(b)が1/99〜99/1で
ある、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを
特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0021】[5] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、固形潤滑剤
(c)とを含み、該固形潤滑剤(c)の含有量が前記反
応生成物100重量部(固形分)に対して1〜80重量
部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜
を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0022】[6] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換
シリカ(a)と、固形潤滑剤(c)とを含み、前記イオ
ン交換シリカ(a)の含有量が前記反応生成物100重
量部(固形分)に対して1〜100重量部(固形分)、
前記固形潤滑剤(c)の含有量が前記反応生成物100
重量部(固形分)に対して1〜80重量部(固形分)で
ある、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを
特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0023】[7] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、微粒子シリ
カ(b)と、固形潤滑剤(c)とを含み、前記微粒子シ
リカ(b)の含有量が前記反応生成物100重量部(固
形分)に対して1〜100重量部(固形分)、前記固形
潤滑剤(c)の含有量が前記反応生成物100重量部
(固形分)に対して1〜80重量部(固形分)である、
膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0024】[8] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部
に、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物
が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活
性水素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換
シリカ(a)と、微粒子シリカ(b)と、固形潤滑剤
(c)とを含み、前記イオン交換シリカ(a)および前
記微粒子シリカ(b)の合計の含有量が前記反応生成物
100重量部(固形分)に対して1〜100重量部(固
形分)であり、且つイオン交換シリカ(a)と微粒子シ
リカ(b)の含有量(固形分)の重量比(a)/(b)
が1/99〜99/1であり、前記固形潤滑剤(c)の
含有量が前記反応生成物100重量部(固形分)に対し
て1〜80重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5
μmの有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れ
た有機被覆鋼板。
【0025】[9] 上記[1]〜[8]のいずれかの有機被覆鋼
板において、皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ基含有
樹脂(D)であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。 [10] 上記[1]〜[9]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)が、活性
水素を有するピラゾール化合物および/または活性水素
を有するトリアゾール化合物であることを特徴とする耐
食性に優れた有機被覆鋼板。
【0026】[11] 上記[1]〜[10]のいずれかの有機被覆
鋼板において、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)が活性水素含有化合物(B)中に10〜100モ
ル%含まれることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆
鋼板。 [12] 上記[9]〜[11]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、エポキシ基含有樹脂(D)が下記式(1)で示され
るエポキシ樹脂であることを特徴とする耐食性に優れた
有機被覆鋼板。
【化2】 [13] 上記[2]、[4]、[6]、[8]〜[12]のいずれかの有機
被覆鋼板において、有機皮膜中のイオン交換シリカがC
a交換シリカであることを特徴とする耐食性に優れた有
機被覆鋼板。 [14] 上記[13]の有機被覆鋼板において、Ca交換シリ
カの平均粒子径が4μm以下であることを特徴とする耐
食性に優れた有機被覆鋼板。 [15] 上記[13]または[14]の有機被覆鋼板において、C
a交換シリカのCa濃度が2〜8wt%であることを特
徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0027】本発明の有機被覆鋼板の基本的な特徴は、
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表
面に化成処理皮膜を形成し、その上層に、皮膜形成有機
樹脂(A)と一部または全部の化合物が活性水素を有す
るヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物
(B)とを反応させることにより、皮膜形成用樹脂
(A)にキレート形成基としてヒドラジン誘導体(C)
を付与し、この反応生成物であるキレート形成樹脂を含
む有機皮膜を形成した点にある。
【0028】このような特定の反応生成物からなる有機
皮膜による防食機構については必ずしも明らかではない
が、その機構は以下のように推定できる。すなわち、単
なる低分子量のキレート化剤ではなく、皮膜形成有機樹
脂にヒドラジン誘導体を付与することによって、(1)緻
密な有機高分子皮膜により酸素や塩素イオンなどの腐食
因子を遮断する効果が得られること、(2)ヒドラジン誘
導体が第1層皮膜の表面と強固に結合して安定な不動態
化層を形成できること、(3)腐食反応によって溶出した
亜鉛イオンを皮膜中のフリーのヒドラジン誘導体がトラ
ップし、安定な不溶性キレート化合物層を形成するた
め、界面でのイオン伝導層の形成が抑制されて腐食の進
行が抑制されること、などの作用効果により腐食の進行
が効果的に抑制され、優れた耐食性が得られるものと考
えられる。
【0029】また、このような有機皮膜をクロメート皮
膜の上層に形成した場合には、有機皮膜自体のバリヤー
効果がクロメート皮膜からの6価クロムの溶出を抑制す
るだけでなく、有機樹脂中のヒドラジン誘導体がクロメ
ート皮膜から溶出した6価クロムを捕捉するため、優れ
た耐クロム溶出性が得られるものと考えられる。
【0030】以上の結果、下地の化成処理皮膜として6
価クロムを含有しない化成処理皮膜(例えば、リン酸塩
処理皮膜等)を用いた場合でも、クロメート皮膜に匹敵
する優れた耐食性が得られ、また、化成処理皮膜として
クロメート皮膜を用いた場合には、これと有機皮膜によ
る防食効果が複合化されるため、従来のクロメート処理
鋼板に較べて格段に優れたが耐食性が得られ、しかも優
れた耐クロム溶出性が得られるものと考えられる。
【0031】また、皮膜形成有機樹脂(A)として、特
にエポキシ基含有樹脂を用いた場合には、エポキシ基含
有樹脂と架橋剤との反応により緻密なバリヤー皮膜が形
成され、このバリヤー皮膜は酸素などの腐食因子の透過
抑制能に優れ、また、分子中の水酸基により素地との優
れた結合力が得られるため、特に優れた耐食性が得られ
る。さらに、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)
として、特に活性水素を有するピラゾール化合物および
/または活性水素を有するトリアゾール化合物を用いる
ことにより、より優れた耐食性が得られる。
【0032】従来技術のように皮膜形成有機樹脂に単に
ヒドラジン誘導体を混合しただけでは、腐食抑制の向上
効果はほとんど認められない。その理由は、皮膜形成有
機樹脂の分子中に組み込まれていないヒドラジン誘導体
は、腐食環境下で溶出した亜鉛とキレート化合物を形成
するものの、そのキレート化合物は低分子量のため緻密
なバリヤー層にはならないためであると考えられる。こ
れに対して、本発明のように皮膜形成有機樹脂の分子中
にヒドラジン誘導体を組み込むことにより、格段に優れ
た腐食抑制効果が得られる。
【0033】また、本発明の有機被覆鋼板では、上記の
ような特定の反応生成物からなる有機皮膜中にイオン交
換シリカ(a)を適量配合することにより、さらに優れ
た防食性能(皮膜欠陥部での自己修復作用)を得ること
ができる。この特定の有機皮膜中にイオン交換シリカ
(a)を配合したことにより得られる防食機構は、以下
のようなものである考えられる。まず、腐食環境下では
めっき皮膜から溶出した亜鉛イオンを上記ヒドラジン誘
導体がトラップすることによりアノード反応が抑制され
る。一方、腐食環境下でNaイオンなどのカチオンが侵
入すると、イオン交換作用によりシリカ表面のCaイオ
ンやMgイオンが放出され、さらに、腐食環境下でのカ
ソード反応によりOHイオンが生成してめっき界面近傍
のpHが上昇すると、イオン交換シリカから放出された
Caイオン(またはMgイオン)がCa(OH)2また
はMg(OH)2としてめっき界面近傍に沈殿し、緻密
で難溶性の生成物として欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制
する。また、溶出した亜鉛イオンはCaイオン(または
Mgイオン)と交換されてシリカ表面に固定される効果
も考えられる。そして、このようなヒドラジン誘導体と
イオン交換シリカの両防食作用が複合化されて、特に優
れた防食効果が得られるものと考えられる。
【0034】一般の有機皮膜中にイオン交換シリカを配
合した場合でもある程度の防食効果は得られるが、本発
明のように特定のキレート変性樹脂からなる有機皮膜中
にイオン交換シリカを配合したことにより、キレート変
性樹脂によるアノード反応部での腐食抑制効果と、イオ
ン交換シリカによるカソード反応部での腐食抑制効果と
が複合化し、これによりアノード、カソード両腐食反応
が抑制される結果、極めて優れた防食効果が発揮される
ものと考えられる。さらに、このような複合化された防
食効果は皮膜の傷部や欠陥部の腐食抑制にも有効であ
り、皮膜に優れた自己修復作用を付与することができ
る。
【0035】また、本発明の有機被覆鋼板では、上記の
ような特定の反応生成物からなる有機皮膜中に微粒子シ
リカ(b)を適量配合することによっても耐食性を向上
させることができる。すなわち、特定の有機皮膜中にヒ
ュームドシリカやコロイダルシリカ等のような比表面積
の大きい微粒子シリカ(平均一次粒子径5〜50nm、
好ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜15n
m)を配合することにより、塩基性塩化亜鉛等の緻密で
安定な腐食生成物の生成を促進し、酸化亜鉛(白錆)の
発生を抑制できる。
【0036】さらに、本発明の有機被覆鋼板では、上記
のような特定の反応生成物からなる有機皮膜中にイオン
交換シリカ(a)と微粒子シリカ(b)を複合添加する
ことにより、さらなる耐食性向上効果が得られる。イオ
ン交換シリカは多孔質シリカを主体としており、一般に
粒子径が1μm以上と比較的大きいため、Caイオンが
放出された後はシリカとしての防錆効果はあまり期待で
きない。このためヒュームドシリカやコロイダルシリカ
等のような比表面積の大きい微粒子シリカ(一次粒子径
5〜50nm、望ましくは5〜20nm、さらに望まし
くは5〜15nm)を併用することにより、塩基性塩化
亜鉛などの緻密で安定な腐食生成物の生成が促進され、
酸化亜鉛(白錆)の生成を抑制できるものと考えられ、
このようなイオン交換シリカと微粒子シリカの複合的な
防錆機構によって、特に優れた防食効果が得られるもの
と推定される。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−
Mgめっき鋼板、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき
皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複
合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼
板)等を用いることができる。
【0038】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の有機被覆鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板等を用い
ることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に
予めNi等の薄目付めっきを施し、その上に上記のよう
な各種めっきを施したものであってもよい。めっき方法
としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中
での電解)、溶融法および気相法のうち、実施可能ない
ずれの方法を採用することもできる。
【0039】また、後述するような二層皮膜をめっき皮
膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないように
するため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカ
リ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調
整処理、酸性の表面調整処理)等の処理を施しておくこ
とができる。また、有機被覆鋼板の使用環境下での黒変
(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、必
要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオン(Ni
イオン、Coイオン、Feイオン)を含む酸性またはア
ルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくことも
できる。また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用
いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄
族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオン)
を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上
含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中
の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。
【0040】次に、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に形成される化成処理皮膜につい
て説明する。この化成処理皮膜はめっき鋼板の活性度を
抑制し、耐食性、密着性を向上する目的で形成されるも
ので、その種類は特に限定されず、6価クロムを含有し
ない化成処理皮膜、クロメート皮膜のいずれでもよい。
【0041】6価クロムを含有しない化成処理皮膜とし
ては、例えば、(1)リン酸塩処理皮膜(2)モリブデ
ートまたはタングステート処理皮膜、リン酸/モリブデ
ン酸処理皮膜などの不動態化皮膜、(3)酸化リチウム
等のアルカリ金属酸化物と酸化ケイ素からなるアルカリ
シリケート処理皮膜(4)3価クロムからなる複合酸化
物皮膜(5)酸化チタン、酸化ジルコニウムからなる酸
化物皮膜等の無機系皮膜を適用することができる。
【0042】また、上記無機系皮膜以外に、例えば、
(6)薄膜有機樹脂皮膜(0.1〜2μm)または有機
複合シリケート皮膜(7)タンニン酸、フィチン酸、ホ
スホン酸等のキレート形成有機皮膜(8)上記(1),
(2),(3)のいずれかの無機系皮膜中に有機樹脂を
配合した複合皮膜等を適用することができる。上記のな
かでも特に酸化ケイ素を含有する難溶性皮膜(例えば、
アルカリシリケート皮膜等)が、亜鉛の白錆を抑制する
観点から最も望ましい。
【0043】上記化成処理皮膜中には、加工性、耐食性
を向上させることを目的として、有機樹脂を配合するこ
とができる。この有機樹脂としては、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチレン共重合
体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド樹脂、ポリ
エステル樹脂、エチレン樹脂等を用いることができる。
これらは水溶性樹脂および/または水分散性樹脂として
供給できる。さらに、これらの水分散性樹脂に加えて、
水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ブ
タジエンラバー(SBR,NBR,MBR)、メラミン
樹脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物等
を架橋剤として併用することが有効である。
【0044】また、上記の化成処理皮膜には、さらに耐
食性を向上させるための添加剤として、ポリリン酸塩、
リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛等)、モリブデン酸塩、リンモリブ
デン酸塩(リンモリブデン酸アルミニウム等)、有機リ
ン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸
塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属塩、ア
ルカリ金属塩)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジ
ン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩
等)、有機化合物(ポリエチレングリコール)等を皮膜
組成物に添加してもよい。
【0045】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料等)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ
系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、無機顔料(酸化チ
タン)、キレート剤(チオール等)、導電性顔料(例え
ば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リ
ン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カップリン
グ剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加す
ることができる。
【0046】また、有機被覆鋼板の使用環境下での黒変
(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、こ
れらの化成処理皮膜に鉄族金属イオン(Niイオン、C
oイオン、Feイオン)の1種以上、好ましくはNiイ
オンを添加してもい。この場合、鉄族金属イオンの濃度
は、処理組成物中の(β)アルカリ土類金属イオン1モ
ルに対して1/10000モル以上あれば所望の効果が
得られる。鉄族金属イオンの濃度の上限は特に定めない
が、濃度の増加に伴い耐食性に影響を及ぼさない程度と
する。これらの化成処理皮膜の膜厚は3μm以下とす
る。膜厚が3μmを超えると、加工性、導電性が低下す
るためである。下限は特に定めないが、耐食性向上効果
が認められる膜厚とすればよい。
【0047】次に、化成処理皮膜としてクロメート皮膜
を適用する場合について説明する。クロメート皮膜とし
ては、反応型クロメート処理皮膜、電解型クロメート処
理皮膜、塗布型クロメート処理皮膜のいずれでもよい。
塗布型クロメート処理皮膜は、部分的に還元されたクロ
ム酸水溶液を主成分とし、これに必要に応じて下記〜
の成分の中から選ばれる1種以上を添加したクロメー
ト処理液を用い、このクロメート処理液をめっき鋼板に
塗布し、水洗することなく乾燥させることにより得るこ
とができる。
【0048】 水溶性または水分散性のアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂等の有機樹脂 シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜
鉛等の酸化物のコロイド類および/または粉末 モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸等の酸
および/またはその塩類 リン酸、ポリリン酸等のリン酸類 ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ
化物、リン酸フッ化物等のフッ化物 亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、鉄
イオン等の金属イオン リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等の導電性微
粉末 フッ化水素 シランカップリング剤
【0049】また、この塗布型クロメート処理では、6
価Crの含有量を抑制するために、クロメート処理液中
の還元率を高めることが有効である。特に、処理液中の
6価クロムの割合を低減させて、6価Cr/全Crの比
率(固形分)を0.1以下、望ましくは0.01以下と
したクロメート処理液を用いるのが有効である。このよ
うなクロメート処理液を調整する方法としては、無水ク
ロム酸水溶液に還元剤として過剰のシュウ酸および/ま
たはオキシカルボン酸を添加して還元率を高めるととと
もに、pH上昇によって還元生成物である3価Crが沈
殿しないようにするため、リン酸等でpHを低下させる
ことことが有効であり、これにより3価Crを主成分と
するクロメート皮膜を安定して得ることができる。塗布
型クロメート処理は、通常、ロールコーター法により処
理液を塗布するが、浸漬法やスプレー法により塗布した
後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量を調整
することも可能である。
【0050】電解クロメート処理皮膜は、例えば、部分
的に還元されたクロム酸水溶液と硫酸を主成分とし、必
要に応じて、 金属イオン(例えば、Zn、Ni、Co、Fe、M
g、Mn、Al、Ca等のイオン)、 酸化物のコロイド類および/または微粉末(シリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸
化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン等) 塩素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、リン酸イ
オン等のアニオン ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ
化物、ホウ素フッ化ホウ素物、リン酸フッ化物等のフッ
化物 ポリエチレングリコール、水系アクリル樹脂等の有
機化合物 の中から選ばれる1種以上が添加され、pH1〜5に調
整されたクロメート処理液を用い、めっき鋼板を30〜
70℃の温度で0.5〜40C/dm2の電気量で陰極
電解することによって得ることができる。
【0051】反応型クロメート皮膜は、例えば、無水ク
ロム酸と硫酸を主成分とし、全Cr中の3価Crの含有
量が50重量%以下、好ましくは20〜35重量%であ
って、必要に応じて適量の金属イオン(例えば、Znイ
オン、Coイオン、Niイオン、Feイオン等)や他の
鉱酸類(例えば、リン酸、塩酸、フッ酸等)等が添加さ
れたクロメート処理液を用い、クロメート処理液でめっ
き鋼板を処理することにより得ることができる。
【0052】これらのクロメート皮膜の付着量は、金属
クロム換算で1〜1000mg/m2、望ましくは5〜
200mg/m2、特に望ましくは10〜100mg/
2とする。付着量が1mg/m2未満では耐食性が不十
分であり、一方、1000mg/m2超えるとクロメー
ト皮膜にクラックが形成されたり、溶接性が低下するな
どの問題が生じる。
【0053】次に、上記化成処理皮膜の上部に形成され
る有機皮膜について説明する。本発明において、化成処
理皮膜の上部に形成される有機皮膜は、皮膜形成有機樹
脂(A)と一部または全部の化合物が活性水素を有する
ヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物
(B)との反応生成物を含み、必要に応じて防錆添加剤
等の添加剤が適量配合された膜厚が0.1〜5μmの有
機皮膜である。
【0054】皮膜形成有機樹脂(A)の種類としては、
一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)と反応
して、皮膜形成有機樹脂に活性水素含有化合物(B)が
付加、縮合などの反応により結合でき、且つ皮膜を適切
に形成できる樹脂であれば特別な制約はない。この皮膜
形成有機樹脂(A)としては、例えば、エポキシ樹脂、
変性エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系共重合体樹脂、ポリブタ
ジエン樹脂、フェノール樹脂、およびこれらの樹脂の付
加物または縮合物などを挙げることができ、これらのう
ちの1種を単独で、または2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0055】また、皮膜形成有機樹脂(A)としては、
反応性、反応の容易さ、防食性などの点から、樹脂中に
エポキシ基を含有するエポキシ基含有樹脂(D)が特に
好ましい。このエポキシ基含有樹脂(D)としては、一
部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘
導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)と反応し
て、皮膜形成有機樹脂に活性水素含有化合物(B)が付
加、縮合などの反応により結合でき、且つ皮膜を適切に
形成できる樹脂であれば特別な制約はなく、例えば、エ
ポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有モノマ
ーと共重合したアクリル系共重合体樹脂、エポキシ基を
有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウ
レタン樹脂、およびこれらの樹脂の付加物もしくは縮合
物などが挙げられ、これらのエポキシ基含有樹脂の1種
を単独で、または2種以上混合して用いることができ
る。また、これらのエポキシ基含有樹脂(D)の中で
も、めっき表面との密着性、耐食性の点からエポキシ樹
脂、変性エポキシ樹脂が特に好適である。
【0056】上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ノボラック型フェノールなど
のポリフェノール類とエピクロルヒドリンなどのエピハ
ロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなる
か、若しくはこのグリシジル基導入反応生成物にさらに
ポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる
芳香族エポキシ樹脂、さらには脂肪族エポキシ樹脂、脂
環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独
で、または2種以上を混合して使用することができる。
これらのエポキシ樹脂は、特に低温での皮膜形成性を必
要とする場合には数平均分子量が1500以上であるこ
とが好適である。
【0057】上記変性エポキシ樹脂としては、上記エポ
キシ樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反
応させた樹脂を挙げることができ、例えば、乾性油脂肪
酸を反応させたエポキシエステル樹脂、アクリル酸また
はメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成
分で変性したエポキシアクリレート樹脂、イソシアネー
ト化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などを
例示できる。
【0058】上記エポキシ基含有モノマーと共重合した
アクリル系共重合体樹脂としては、エポキシ基を有する
不飽和モノマーとアクリル酸エステルまたはメタクリル
酸エステルを必須とする重合性不飽和モノマー成分と
を、溶液重合法、エマルション重合法または懸濁重合法
等によって合成した樹脂を挙げることができる。
【0059】上記重合性不飽和モノマー成分としては、
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−,
iso−若しくはtert−ブチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸ま
たはメタクリル酸のC1〜24アルキルエステル;アク
リル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ア
クリルアミド、アクリロニトリル、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミドのC1〜4アルキルエーテル化物;N,N−ジエ
チルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることがで
きる。
【0060】また、エポキシ基を有する不飽和モノマー
としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアク
リレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
タ)アクリレート等、エポキシ基と重合性不飽和基を持
つものであれば特別な制約はない。また、このエポキシ
基含有モノマーと共重合したアクリル系共重合体樹脂
は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂
などによって変性させた樹脂とすることもできる。
【0061】前記エポキシ樹脂として特に好ましいの
は、ビスフェノールAとエピハロヒドリンとの反応生成
物である下記(1)式に示される化学構造を有する樹脂
であり、このエポキシ樹脂は特に耐食性に優れているた
め好ましい。
【化3】 このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂の製造法は
当業界において広く知られている。また、上記化学構造
式において、qは0〜50、好ましくは1〜40、特に
好ましくは2〜20である。なお、皮膜形成有機樹脂
(A)は、有機溶剤溶解型、有機溶剤分散型、水溶解
型、水分散型のいずれであってもよい。
【0062】本発明では皮膜形成有機樹脂(A)の分子
中にヒドラジン誘導体を付与することを狙いとしてお
り、このため活性水素含有化合物(B)の少なくとも一
部(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン
誘導体(C)であることが必要である。
【0063】皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ基含有
樹脂である場合、そのエポキシ基と反応する活性水素含
有化合物(B)として例えば以下に示すようなものを例
示でき、これらの1種または2種以上を使用できるが、
この場合も活性水素含有化合物(B)の少なくとも一部
(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン誘
導体であることが必要である。 ・活性水素を有するヒドラジン誘導体 ・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物 ・アンモニア、カルボン酸などの有機酸 ・塩化水素などのハロゲン化水素 ・アルコール類、チオール類 ・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級ア
ミンと酸との混合物である4級塩化剤
【0064】前記活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)としては、例えば、以下のものを挙げることがで
きる。 カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリ
チル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン
酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オ
キシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノ
ンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミド等のヒドラジ
ド化合物; ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メ
チル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾ
ール等のピラゾール化合物;
【0065】 1,2,4−トリアゾール、3−アミ
ノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,
4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリ
アゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,
2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メ
チル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェ
ニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒド
ロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジ
ン等のトリアゾール化合物;
【0066】 5−フェニル−1,2,3,4−テト
ラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,
3,4−テトラゾール等のテトラゾール化合物; 5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール等のチアジアゾール化合物; マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾ
ン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブ
ロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ
−3−ピリダゾン等のピリダジン化合物
【0067】また、これらのなかでも、5員環または6
員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有する
ピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適であ
る。これらのヒドラジン誘導体は1種を単独で、または
2種以上を混合して使用することができる。
【0068】活性水素含有化合物(B)の一部として使
用できる上記活性水素を有するアミン化合物の代表例と
しては、例えば、以下のものを挙げることができる。 ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエ
チルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノ
プロピルアミンなどの1個の2級アミノ基と1個以上の
1級アミノ基を含有するアミン化合物の1級アミノ基
を、ケトン、アルデヒド若しくはカルボン酸と例えば1
00〜230℃程度の温度で加熱反応させてアルジミ
ン、ケチミン、オキサゾリン若しくはイミダゾリンに変
性した化合物;
【0069】 ジエチルアミン、ジエタノールアミ
ン、ジ−n−または−iso−プロパノールアミン、N
−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミ
ンなどの第2級モノアミン; モノエタノールアミンのようなモノアルカノールア
ミンとジアルキル(メタ)アクリルアミドとをミカエル
付加反応により付加させて得られた第2級アミン含有化
合物; モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、
2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2
−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテ
ル等のアルカノールアミンの1級アミノ基をケチミンに
変性した化合物;
【0070】活性水素含有化合物(B)の一部として使
用できる上記4級塩化剤は、活性水素を有しないヒドラ
ジン誘導体または第3級アミンはそれ自体ではエポキシ
基と反応性を有しないので、これらをエポキシ基と反応
可能とするために酸との混合物としたものである。4級
塩化剤は、必要に応じて水の存在下でエポキシ基と反応
し、エポキシ基含有樹脂と4級塩を形成する。
【0071】4級塩化剤を得るために使用される酸は、
酢酸、乳酸などの有機酸、塩酸などの無機酸のいずれで
もよい。また、4級塩化剤を得るために使用される活性
水素を有しないヒドラジン誘導体としては、例えば3,
6−ジクロロピリダジンなどを、また、第3級アミンと
しては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチ
ルアミン、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミ
ン、メチルジエタノールアミンなどを挙げることができ
る。
【0072】皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部
の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)か
らなる活性水素含有化合物(B)との反応生成物は、皮
膜形成有機樹脂(A)と活性水素含有化合物(B)とを
10〜300℃、好ましくは50〜150℃で約1〜8
時間程度反応させて得られる。
【0073】この反応は有機溶剤を加えて行ってもよ
く、使用する有機溶剤の種類は特に限定されない。例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアル
コール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エ
チレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモ
ノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル等の水酸基を含有す
るアルコール類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素等を例示でき、これらの1種または2種以上を使用す
ることができる。また、これらのなかでエポキシ樹脂と
の溶解性、塗膜形成性等の面からは、ケトン系またはエ
ーテル系の溶剤が特に好ましい。
【0074】皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部
の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)か
らなる活性水素含有化合物(B)との配合比率は、固形
分の割合で皮膜形成有機樹脂(A)100重量部に対し
て、活性水素含有化合物(B)を0.5〜20重量部、
特に好ましくは1.0〜10重量部とするのが望まし
い。
【0075】また、皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ
基含有樹脂(D)である場合には、エポキシ基含有樹脂
(D)と活性水素含有化合物(B)との配合比率は、活
性水素含有化合物(B)の活性水素基の数とエポキシ基
含有樹脂(D)のエポキシ基の数との比率[活性水素基
数/エポキシ基数]が0.01〜10、より好ましくは
0.1〜8、さらに好ましくは0.2〜4とすることが
耐食性などの点から適当である。
【0076】また、活性水素含有化合物(B)中におけ
る活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の割合は1
0〜100モル%、より好ましくは30〜100モル
%、さら好ましくは40〜100モル%とすることが適
当である。活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の
割合が10モル%未満では有機皮膜に十分な防錆機能を
付与することができず、得られる防錆効果は皮膜形成有
機樹脂とヒドラジン誘導体を単に混合して使用した場合
と大差なくなる。
【0077】本発明では緻密なバリヤー皮膜を形成する
ために、樹脂組成物中に硬化剤を配合し、有機皮膜を加
熱硬化させることが望ましい。樹脂組成物皮膜を形成す
る場合の硬化方法としては、(1)イソシアネートと基体
樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を利用する硬化方
法、(2)メラミン、尿素およびベンゾグアナミンの中か
ら選ばれた1種以上にホルムアルデヒドを反応させてな
るメチロール化合物の一部若しくは全部に炭素数1〜5
の1価アルコールを反応させてなるアルキルエーテル化
アミノ樹脂と基体樹脂中の水酸基との間のエーテル化反
応を利用する硬化方法、が適当であるが、このうちイソ
シアネートと基体樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を
主反応とすることが特に好適である。
【0078】上記(1)の硬化方法で用いるポリイソシア
ネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシア
ネート基を有する脂肪族、脂環族(複素環を含む)また
は芳香族イソシアネート化合物、若しくはそれらの化合
物を多価アルコールで部分反応させた化合物である。こ
のようなポリイソシアネート化合物としては、例えば以
下のものが例示できる。 m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,
4−または2,6−トリレンジイソシアネート、o−ま
たはp−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート
【0079】 上記の化合物単独またはそれらの混
合物と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレ
ングリコールなどの2価アルコール類;グリセリン、ト
リメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエ
リスリトールなどの4価アルコール;ソルビトール、ジ
ペンタエリスリトールなどの6価アルコールなど)との
反応生成物であって、1分子中に少なくとも2個のイソ
シアネートが残存する化合物これらのポリイソシアネー
ト化合物は、1種を単独で、または2種以上を混合して
使用できる。
【0080】また、ポリイソシアネート化合物の保護剤
(ブロック剤)としては、例えば、 メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、オクチルアルコールなどの脂肪族モノアルコール類 エチレングリコールおよび/またはジエチレングリ
コールのモノエーテル類、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,se
c)などのモノエーテル フェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシムなど
のオキシムなどが使用でき、これらの1種または2種以
上と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させること
により、少なくとも常温下で安定に保護されたポリイソ
シアネート化合物を得ることができる。
【0081】このようなポリイソシアネート化合物
(E)は、硬化剤として皮膜形成有機樹脂(A)に対
し、(A)/(E)=95/5〜55/45(不揮発分
の重量比)、好ましくは(A)/(E)=90/10〜
65/35の割合で配合するのが適当である。ポリイソ
シアネート化合物には吸水性があり、これを(A)/
(E)=55/45を超えて配合すると有機皮膜の密着
性を劣化させてしまう。さらに、有機皮膜上に上塗り塗
装を行った場合、未反応のポリイソシアネート化合物が
塗膜中に移動し、塗膜の硬化阻害や密着性不良を起こし
てしまう。このような観点から、ポリイソシアネート化
合物(E)の配合量は(A)/(E)=55/45以下
とすることが好ましい。
【0082】なお、皮膜形成有機樹脂(A)は以上のよ
うな架橋剤(硬化剤)の添加により十分に架橋するが、
さらに低温架橋性を増大させるため、公知の硬化促進触
媒を使用することが望ましい。この硬化促進触媒として
は、例えば、N−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウ
レート、ナフテン酸コバルト、塩化第1スズ、ナフテン
酸亜鉛、硝酸ビスマスなどが使用できる。また、例えば
皮膜形成有機樹脂(A)にエポキシ基含有樹脂を使用す
る場合、付着性など若干の物性向上を狙いとして、エポ
キシ基含有樹脂とともに公知のアクリル、アルキッド、
ポリエステル等の樹脂を混合して用いることもできる。
【0083】本発明では有機皮膜中に防錆添加剤として
イオン交換シリカ(a)および/または微粒子シリカ
(b)を配合することができる。イオン交換シリカは、
カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンを多孔質シ
リカゲル粉末の表面に固定したもので、腐食環境下で金
属イオンが放出されて沈殿膜を形成する。また、このイ
オン交換シリカの中でもCaイオン交換シリカが最も好
ましい。Ca交換シリカとしては任意のものを用いるこ
とができるが、平均粒子径が6μm以下、望ましくは4
μm以下のものが好ましく、例えば、平均粒子径が2〜
4μmのものを用いることができる。Ca交換シリカの
平均粒子径が6μmを超えると耐食性が低下するととも
に、塗料組成物中での分散安定性が低下する。Ca交換
シリカ中のCa濃度は1wt%以上、望ましくは2〜8
wt%であることが好ましい。Ca濃度が1wt%未満
ではCa放出による防錆効果が十分に得られない。な
お、Ca交換シリカの表面積、pH、吸油量については
特に限定されない。
【0084】以上のようなCa交換シリカとしては、W.
R.Grace & Co.製のSHIELDEX C303(平均
粒子径2.5〜3.5μm、Ca濃度3wt%)、SH
IELDEX AC3(平均粒子径2.3〜3.1μ
m、Ca濃度6wt%)、SHIELDEX AC5
(平均粒子径3.8〜5.2μm、Ca濃度6wt
%)、富士シリシア化学(株)製の SHIELDEX
(平均粒子径3μm、Ca濃度6〜8wt%)、SHI
ELDEX SY710(平均粒子径2.2〜2.5μ
m、Ca濃度6.6〜7.5wt%)などを用いること
ができる。有機皮膜中にイオン交換シリカ(a)を添加
した場合の防食機構は先に述べた通りであり、特に本発
明では皮膜形成有機樹脂である特定のキレート変性樹脂
とイオン交換シリカとを複合化することにより、キレー
ト変性樹脂によるアノード反応部での腐食抑制効果と、
イオン交換シリカによるカソード反応部での腐食抑制効
果とが複合化することによって極めて優れた防食効果が
発揮される。
【0085】有機樹脂皮膜中でのイオン交換シリカ
(a)の配合量は、皮膜形成用の樹脂組成物である反応
生成物(皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化
合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からな
る活性水素含有化合物(B)との反応生成物)100重
量部(固形分)に対して、1〜100重量部(固形
分)、好ましくは5〜80重量部(固形分)、さらに好
ましくは10〜50重量部(固形分)とする。イオン交
換シリカ(a)の配合量が1重量部未満では、耐アルカ
リ脱脂後の耐食性向上効果が小さい。一方、配合量が1
00重量部を超えると、耐食性が低下するので好ましく
ない。
【0086】微粒子シリカ(b)はコロイダルシリカ、
ヒュームドシリカのいずれでもよい。コロイダルシリカ
としては、水系皮膜形成樹脂をベースとする場合には、
例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノー
テックス20、スノーテックス30、スノーテックス4
0、スノーテックスC、スノーテックスS(以上、日産
化学工業(株)製)、カタロイドS、カタロイドSI−
350、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カタ
ロイドSN(以上、触媒化成工業(株)製)、アデライ
トAT−20〜50、アデライトAT−20N、アデラ
イトAT−300、アデライトAT−300S、アデラ
イトAT20Q(以上、旭電化工業(株)製)等を用い
ることができる。
【0087】また、溶剤系皮膜形成樹脂をベースとする
場合には、例えば、オルガノシリカゾルMA−ST−
M、オルガノシリカゾルIPA−ST、オルガノシリカ
ゾルEG−ST、オルガノシリカゾルE−ST−ZL、
オルガノシリカゾルNPC−ST、オルガノシリカゾル
DMAC−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST−
ZL、オルガノシリカゾルXBA−ST、オルガノシリ
カゾルMIBK−ST(以上、日産化学工業(株)
製)、OSCAL−1132、OSCAL−1232、
OSCAL−1332、OSCAL−1432、OSC
AL−1532、OSCAL−1632、OSCAL−
1722(以上、触媒化成工業(株)製)を用いること
ができる。特に、有機溶剤分散型シリカゾルは分散性に
優れ、ヒュームドシリカよりも耐食性が優れている。
【0088】また、ヒュームドシリカとしては、例え
ば、AEROSIL R971、AEROSIL R81
2、AEROSIL R811、AEROSIL R97
4、AEROSIL R202、AEROSIL R80
5、AEROSIL 130、AEROSIL 200、
AEROSIL 300、AEROSIL 300CF
(以上、日本アエロジル(株)製)等を用いることがで
きる。
【0089】微粒子シリカは、腐食環境下において緻密
で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生
成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐
食の促進を抑制することができると考えられている。耐
食性の観点からは、微粒子シリカは粒子径が5〜50n
m、好ましくは5〜20nm、より好ましくは5〜15
nmのものを用いるのが好ましい。
【0090】有機樹脂皮膜中での微粒子シリカ(b)の
配合量は、皮膜形成用の樹脂組成物である反応生成物
(皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物)100重量部
(固形分)に対して、1〜100重量部(固形分)、好
ましくは5〜80重量部(固形分)さらに好ましくは1
0〜30重量部(固形分)する。微粒子シリカ(b)の
配合量が1重量部未満では、耐アルカリ脱脂後の耐食性
向上効果が小さい。一方、配合量が100重量部を超え
ると、耐食性や加工性が低下するので好ましくない。
【0091】また、本発明では有機皮膜中にイオン交換
シリカ(a)と微粒子シリカ(b)を複合添加すること
により、特に優れた耐食性が得られる。すなわち、イオ
ン交換シリカ(a)と微粒子シリカ(b)とを複合添加
することにより、先に述べたような両者の複合的な防錆
機構によって特に優れた防食効果が得られる。
【0092】有機皮膜中にイオン交換シリカ(a)と微
粒子シリカ(b)を複合添加する場合の配合量は、皮膜
形成用の樹脂組成物である反応生成物(皮膜形成有機樹
脂(A)と一部または全部の化合物が活性水素を有する
ヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物
(B)との反応生成物)100重量部(固形分)に対し
て、イオン交換シリカ(a)および微粒子シリカ(b)
の合計の配合量で1〜100重量部(固形分)、好まし
くは、5〜80重量部(固形分)であって、且つイオン
交換シリカ(a)と微粒子シリカ(b)の配合量(固形
分)の重量比(a)/(b)を99/1〜1/99、好
ましくは95/5〜40/60、さらに好ましくは90
/10〜60/40とする。
【0093】イオン交換シリカ(a)および微粒子シリ
カ(b)の合計の配合量が1重量部未満では、耐アルカ
リ脱脂後の耐食性向上効果が小さい。一方、合計の配合
量が100重量部を超えると塗装性や加工性が低下する
ので好ましくない。また、イオン交換シリカ(a)と微
粒子シリカ(b)の重量比(a)/(b)が1/99未
満では耐食性が劣り、一方、重量比(a)/(b)が9
9/1を超えるとイオン交換シリカ(a)と微粒子シリ
カ(b)の複合添加による効果が十分に得られなくな
る。
【0094】また、有機皮膜中には上記の防錆添加剤に
加えて、腐食抑制剤として、ポリリン酸塩(例えば、ポ
リリン酸アルミ:テイカ(株)製のテイカK−WHIT
E82、テイカK−WHITE105、テイカK−WH
ITEG105、テイカK−WHITECa650
等)、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素ア
ルミニウム、亜リン酸亜鉛等)、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩(リンモリブデン酸アルミニウム等)、
有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、フィチ
ン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属
塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、有機イン
ヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物
等)等を添加できる。
【0095】有機皮膜中には、さらに必要に応じて、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤(c)を配合
することができる。本発明に適用できる固形潤滑剤とし
ては、例えば、以下のようなものが挙げられる。 (1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレ
ン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビ
ニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等
【0096】また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物
(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレン
ビス脂肪酸アミド等)、金属石けん類(例えば、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシ
ウム、パルミチン酸カルシウム等)、金属硫化物(二硫
化モリブデン、二硫化タングステン)、グラファイト、
フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、
アルカリ金属硫酸塩等を用いてもよい。
【0097】以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエ
チレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダス
ト 9615A、セリダスト 3715、セリダスト 3
620、セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサ
ンワックス 131−P、サンワックス 161−P、三
井石油化学(株)製のケミパール W−100、ケミパ
ール W−200、ケミパールW−500、ケミパール
W−800、ケミパール W−950等を用いることが
できる。
【0098】また、フッ素樹脂微粒子としては、テトラ
フルオロエチレン微粒子が最も好ましく、例えば、ダイ
キン工業(株)製のルブロン L−2、ルブロン L−
5、三井・デュポン(株)製のMP1100、MP12
00、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフル
オンディスパージョン AD1、フルオンディスパージ
ョン AD2、フルオン L141J、フルオン L15
0J、フルオン L155J等が好適である。また、こ
れらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフルオ
ロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が期
待できる。
【0099】有機皮膜中での固形潤滑剤(c)の配合量
は、皮膜形成用の樹脂組成物である反応生成物(皮膜形
成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活性水素
を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有
化合物(B)との反応生成物)100重量部(固形分)
に対して、1〜80重量部(固形分)、好ましくは3〜
40重量部(固形分)とする。固形潤滑剤(c)の配合
量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量
が80重量部を超えると塗装性が低下するので好ましく
ない。
【0100】本発明の有機被覆鋼板が有する有機皮膜
は、通常、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の
化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)から
なる活性水素含有化合物(B)との反応生成物(樹脂組
成物)を主成分とし、必要に応じて、イオン交換シリカ
(a)、微粒子シリカ(b)、固形潤滑剤(c)および
硬化剤等が添加されるが、さらに必要に応じて、添加剤
として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、
フタロシアニン系有機顔料等)、着色染料(例えば、有
機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、
無機顔料(例えば、酸化チタン)、キレート剤(例え
ば、チオール等)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミ
ニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモ
ンドープ型酸化錫等)、カップリング剤(例えば、シラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤等)、メラミ
ン・シアヌル酸付加物等を添加することができる。
【0101】また、上記主成分および添加成分を含む皮
膜形成用の塗料組成物は、通常、溶媒(有機溶剤および
/または水)を含有し、さらに必要に応じて中和剤等が
添加される。上記有機溶剤としては、上記皮膜形成有機
樹脂(A)と活性水素含有化合物(B)との反応生成物
を溶解または分散でき、塗料組成物として調整できるも
のであれば特別な制約なく、例えば、先に例示した種々
の有機溶剤を使用することができる。上記中和剤は、皮
膜形成有機樹脂(A)を中和して水性化するために必要
に応じて配合されるものであり、皮膜形成有機樹脂
(A)がカチオン性樹脂である場合には酢酸、乳酸、蟻
酸などの酸を中和剤として使用することができる。
【0102】以上述べたような有機皮膜は、亜鉛系めっ
き鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成さ
れた化成処理皮膜の上部に形成される。有機皮膜の乾燥
膜厚は0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さ
らに好ましくは0.5〜2μmとする。有機皮膜膜厚が
0.1μm未満では耐食性が不十分であり、一方、膜厚
が5μmを超えると導電性、加工性が低下する。
【0103】次に、本発明の有機被覆鋼板の製造方法に
ついて説明する。本発明の有機被覆鋼板は、亜鉛系めっ
き鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面を化成処
理した後、その上層に、上述した皮膜形成有機樹脂
(A)と一部または全部の化合物が活性水素を有するヒ
ドラジン誘導体(C)からなる活性水素含有化合物
(B)との反応生成物を含み(好ましくは主成分とす
る)、必要に応じてイオン交換シリカ(a)、微粒子シ
リカ(b)、固形潤滑剤(c)等が添加された塗料組成
物を塗布し、加熱乾燥させることにより製造される。な
お、めっき鋼板の表面は、上記処理液を塗布する前に必
要に応じてアルカリ脱脂処理し、さらに密着性、耐食性
を向上させるために表面調整処理等の前処理を施すこと
ができる。
【0104】化成処理皮膜として6価クロムを含まない
化成処理皮膜を形成する場合、処理液をめっき鋼板表面
にコーティングする方法としては、塗布方式、浸漬方
式、スプレー方式のいずれでもよく、塗布方式ではロー
ルコーター(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイ
ズコーター、ダイコーターなどのいずれの塗布手段を用
いてもよい。また、スクイズコーター等による塗布処
理、浸漬処理、スプレー処理の後に、エアナイフ法やロ
ール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の
均一化を行うことも可能である。
【0105】上記のように処理液をコーティングした
後、必要に応じて水洗した後、加熱乾燥を行う。コーテ
ィングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であり、例
えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線
炉などの手段を用いることができる。この加熱乾燥処理
は到達板温で40〜350℃、望ましくは80〜200
℃、さらに望ましくは80〜160℃の範囲で行うこと
が好ましい。加熱乾燥温度が40℃未満では皮膜中に水
分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、加熱乾
燥温度が350℃を超えると非経済的であるばかりでな
く、皮膜に欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下する。
【0106】一方、化成処理皮膜がクロメート皮膜であ
る場合には、上述した塗布型、電解型、反応型のいずれ
かのクロメート処理を行い、必要に応じて水洗した後、
加熱乾燥を行う。処理液をめっき鋼板表面にコーティン
グする方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方
式のいずれでもよく、塗布方式ではロールコーター(3
ロール方式、2ロール方式等)、スクイズコーター、ダ
イコーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。ま
た、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理、ス
プレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により
塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うこと
も可能である。
【0107】クロメート処理後の加熱乾燥方法は任意で
あり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱
炉、赤外線炉などの手段を用いることができる。この加
熱乾燥処理は到達板温で40〜150℃、望ましくは8
0〜140℃の範囲で行うことが好ましい。加熱乾燥温
度が40℃未満では皮膜中に水分が多量に残り、耐食性
が不十分となる。一方、加熱乾燥温度が150℃を超え
ると非経済的であるばかりでなく、皮膜にクラック等の
欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下する。
【0108】以上のようにして亜鉛系めっき鋼板または
アルミニウム系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成
した後、その上層に有機皮膜形成用の塗料組成物を塗布
する。塗料組成物を塗布する方法としては、塗布法、浸
漬法、スプレー法等の任意の方法を採用できる。塗布法
としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方
式等)、スクイズコーター、ダイコーター等のいずれの
方法を用いてもよい。また、スクイズコーター等による
塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナ
イフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一
化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0109】塗料組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく、加熱乾燥を行うが、塗料組成物の塗布後に水洗工
程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ドライヤ
ー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用いるこ
とができる。加熱処理は、到達板温で50〜350℃、
好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが望まし
い。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多量に残
り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が350℃
を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が
生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0110】本発明は、以上述べたような有機皮膜を両
面または片面に有する鋼板を含むものである。したがっ
て、本発明鋼板の形態としては、例えば、以下のような
ものがある。 (1)片面:めっき皮膜−化成処理皮膜−有機皮膜、片
面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−化成処理皮膜−有機皮膜、片
面:めっき皮膜−化成処理皮膜 (3)両面:めっき皮膜−化成処理皮膜−有機皮膜 (4)片面:めっき皮膜−化成処理皮膜−有機皮膜、片
面:めっき皮膜−有機皮膜
【0111】
【実施例】有機皮膜形成用の樹脂組成物(反応生成物)
を以下のようにして合成した。 [合成例1]EP828(油化シェルエポキシ社製,エ
ポキシ当量187)1870部とビスフェノールA91
2部、テトラエチルアンモニウムブロマイド2部、メチ
ルイソブチルケトン300部を四つ口フラスコに仕込
み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポキシ当
量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を得た。この
ものに、エチレングリコールモノブチルエーテル150
0部を加えてから100℃に冷却し、3,5−ジメチル
ピラゾール(分子量96)を96部とジブチルアミン
(分子量129)を129部加えて、エポキシ基が消失
するまで6時間反応させた後、冷却しながらメチルイソ
ブチルケトン205部を加えて、固形分60%のピラゾ
ール変性エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(1)
とする。この樹脂組成物(1)は、皮膜形成有機樹脂
(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を
50mol%含む活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0112】[合成例2]EP1007(油化シェルエ
ポキシ社製,エポキシ当量2000)4000部とエチ
レングリコールモノブチルエーテル2239部を四つ口
フラスコに仕込み、120℃まで昇温して1時間で完全
にエポキシ樹脂を溶解した。このものを100℃に冷却
し、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量8
4)を168部加えて、エポキシ基が消失するまで6時
間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン
540部を加えて、固形分60%のトリアゾール変成エ
ポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(2)とする。こ
の樹脂組成物(2)は、皮膜形成有機樹脂(A)と、活
性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を100mol
%含む活性水素含有化合物との反応生成物である。
【0113】[合成例3]イソホロンジイソシアネート
(イソシアネート当量111)222部とメチルイソブ
チルケトン34部を四つ口フラスコに仕込み、30〜4
0℃に保ってメチルエチルケトキシム(分子量87)8
7部を3時間かけて滴下後、40℃に2時間保ち、イソ
シアネート当量309、固形分90%の部分ブロックイ
ソシアネートを得た。
【0114】次いで、EP828(油化シェルエポキシ
社製、エポキシ当量187)1496部とビスフェノー
ルA684部、テトラエチルアンモニウムブロマイド1
部、メチルイソブチルケトン241部を四つ口フラスコ
に仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポ
キシ当量1090、固形分90%のエポキシ樹脂を得
た。このものに、メチルイソブチルケトン1000部を
加えてから100℃に冷却し、3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール(分子量101)を202部加え
て、エポキシ基が消失するまで6時間反応させた後、上
記固形分90%の部分ブロックイソシアネートを230
部加え100℃で3時間反応させ、イソシアネート基が
消失したことを確認した。さらに、エチレングリコール
モノブチルエーテル461部を加えて、固形分60%の
トリアゾール変成エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成
物(3)とする。この樹脂組成物(3)は、皮膜形成有
機樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を100mol%含む活性水素含有化合物との反
応生成物である。
【0115】[合成例4]EP828(油化シェルエポ
キシ社製、エポキシ当量187)1870部とビスフェ
ノールA912部、テトラエチルアンモニウムブロマイ
ド2部、メチルイソブチルケトン300部を四つ口フラ
スコに仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、
エポキシ当量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を
得た。このものに、エチレングリコールモノブチルエー
テル1500部を加えてから100℃に冷却し、ジブチ
ルアミン(分子量129)を258部加えて、エポキシ
基が消失するまで6時間反応させた後、冷却しながらメ
チルイソブチルケトン225部を加えて、固形分60%
のエポキシアミン付加物を得た。これを樹脂組成物
(4)とする。この樹脂組成物(4)は、皮膜形成有機
樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を含まない活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0116】上記ようにして合成された樹脂組成物
(1)〜(4)に硬化剤を配合し、表3に示す樹脂組成
物(塗料組成物)を作成した。これら塗料組成物にはイ
オン交換シリカ、表4に示す微粒子シリカ、表5に示す
固形潤滑剤を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグライ
ンダー)を用いて必要時間分散させて所望の塗料組成物
とした。上記イオン交換シリカとしてはCa交換シリカ
であるW.R.Grace & Co.製のSHIELDEX C30
3(平均粒子径2.5〜3.5μm、Ca濃度3wt
%)を用いた。
【0117】[実施例1]家電、建材、自動車部品用の
有機被覆鋼板を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さ
Ra:1.0μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたは
アルミニウム系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を
処理原板として用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ
脱脂処理及び水洗乾燥した後、表2に示す処理液と処理
条件で化成処理を施し、化成処理皮膜を形成させた。次
いで、表3に示す塗料組成物をロールコーターにより塗
布し、加熱乾燥して第2層皮膜(有機皮膜)を形成さ
せ、本発明例および比較例の有機被覆鋼板を製造した。
第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)
または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度等)により
調整した。
【0118】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を化成処
理皮膜および有機皮膜の皮膜構成等とともに表6〜表3
1に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評価は以下のよう
にして行った。
【0119】(1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0120】(2) 耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0121】(3) アルカリ脱脂後の耐白錆性 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
アルカリ処理液CLN−364S(60℃,スプレー2
分)でアルカリ脱脂を行った後、塩水噴霧試験(JIS
−Z−2371)を実施し、所定時間後の白錆面積率で
評価した。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0122】(4) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、粘着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0123】(5) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通り。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
【表7】
【0131】
【表8】
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
【表11】
【0135】
【表12】
【0136】
【表13】
【0137】
【表14】
【0138】
【表15】
【0139】
【表16】
【0140】
【表17】
【0141】
【表18】
【0142】
【表19】
【0143】
【表20】
【0144】
【表21】
【0145】
【表22】
【0146】
【表23】
【0147】
【表24】
【0148】
【表25】
【0149】
【表26】
【0150】
【表27】
【0151】
【表28】
【0152】
【表29】
【0153】
【0154】
【表30】
【0155】
【表31】
【0156】[実施例2]家電、建材、自動車部品用の
有機被覆鋼板を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さ
Ra:1.0μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっきまたは
アルミニウム系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を
処理原板として用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ
脱脂処理及び水洗乾燥した後、下記する塗布型クロメー
ト処理、電解型クロメート処理、反応型クロメート処理
のいずれかでクロメート処理し、クロメート皮膜を形成
させた。次いで、表3に示す塗料組成物をロールコータ
ーにより塗布し、加熱乾燥して第2層皮膜(有機皮膜)
を形成させ、本発明例および比較例の有機被覆鋼板を製
造した。第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加
熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度
等)により調整した。
【0157】 反応型クロメート処理 無水クロム酸:30g/l、リン酸:10g/l、Na
F:0.5g/l、K2TiF6:4g/lを含む処理液
を用い、浴温40℃の条件でスプレー処理した後、水洗
・乾燥した。クロム付着量は、処理時間、遊離酸度を変
えることにより調整した。
【0158】 電解型クロメート処理 無水クロム酸:30g/l、硫酸:0.2g/l、浴温
40℃の処理液を用いて陰極電解処理を行い、水洗・乾
燥した。クロム付着量は電解処理の通電量を制御するこ
とにより調整した。
【0159】 塗布型クロメート処理(a) 無水クロム酸水溶液:100g/lに還元剤(澱粉)を
加えて80℃の温度に調整して2時間放置し、無水クロ
ム酸の一部を還元して6価Cr/3価Cr:3/2の水
溶液を調整した。次いで、この水溶液にシリカゾルをシ
リカ/全Cr:6/1になるように添加し、さらに、酸
化亜鉛とリン酸とを溶解させて得られたリン酸亜鉛水溶
液を、PO4イオン/全Cr:1/4、2価Zn/6価
Cr:3/20となるように添加して、クロメート処理
液を調整した。このクロメート処理液を所定濃度に希釈
し、各種めっき鋼板の表面にロールコーターにより塗布
し、水洗することなく板温70〜250℃で加熱乾燥し
た。クロム付着量は、処理液の濃度とコーティング条件
を変えることで調整した。
【0160】 塗布型クロメート処理(b) 無水クロム酸水溶液:20g/l(1L)に還元剤(シ
ュウ酸飽和水溶液:1L)及びリン酸:100mlを徐
々に加えて室温で24時間放置し、無水クロム酸を還元
して6価Cr/全Cr<0.1、pH=1のクロメート
処理液を調整した。このクロメート処理液を所定濃度に
希釈し、各種めっき鋼板の表面にロールコーターにより
塗布し、水洗することなく板温70〜250℃で加熱乾
燥した。クロム付着量は、処理液の濃度とコーティング
条件を変えることで調整した。
【0161】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(耐クロム溶出性、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆
性、塗料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を
クロメート処理皮膜および有機皮膜の皮膜構成等ととも
に表32〜表56に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評
価は以下のようにして行った。
【0162】(1) 耐クロム溶出性(クロム固定率) 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
脱脂剤パルクリーンN364Sによって標準条件での脱
脂処理を行い、脱脂前後のクロムの固定率を測定した。
なお、クロム固定率={(脱脂前のクロム付着量−脱脂
後のクロム付着量)/脱脂前のクロム付着量}×100
(%)である。評価基準は以下のとおりである。 ◎:クロム固定率100% ○:クロム固定率90%以上、100%未満 △:クロム固定率80%以上、90%未満 ×:クロム固定率80%未満
【0163】(2) 耐白錆性 実施例1と同様 (3) アルカリ脱脂後の耐白錆性 実施例1と同様 (4) 塗料密着性 実施例1と同様 (5) 加工性 実施例1と同様
【0164】
【表32】
【0165】
【表33】
【0166】
【表34】
【0167】
【表35】
【0168】
【表36】
【0169】
【表37】
【0170】
【表38】
【0171】
【表39】
【0172】
【表40】
【0173】
【表41】
【0174】
【表42】
【0175】
【表43】
【0176】
【表44】
【0177】
【表45】
【0178】
【表46】
【0179】
【表47】
【0180】
【表48】
【0181】
【表49】
【0182】
【表50】
【0183】
【表51】
【0184】
【表52】
【0185】
【表53】
【0186】
【表54】
【0187】
【表55】
【0188】
【表56】
【0189】従来の反応型クロメート処理鋼板として、
無水クロム酸:30g/l、リン酸:10g/l、Na
F:0.5g/l、K2TiF6:4g/lを含む処理液
を用い、浴温40℃の条件でスプレー処理した後、水洗
・乾燥することにより、クロム付着量(金属クロム換
算)が20mg/m2のクロメート処理鋼板を製造し
た。これを本実施例と同様の条件で塩水噴霧試験に供し
たところ、約24時間で白錆が発生した。したがって、
この結果と本実施例の結果からして、本発明の有機被覆
鋼板では従来型のクロメート処理鋼板に較べて格段に優
れた耐食性が得られることが判る。
【0190】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、下地の化成処理皮膜として6価クロムを含有しない
化成処理皮膜(例えば、リン酸塩処理皮膜等)を用いた
場合でも、クロメート皮膜に匹敵する優れた耐食性が得
られ、また、化成処理皮膜としてクロメート皮膜を用い
た場合には、従来のクロメート処理鋼板に較べて格段に
優れたが耐食性が得られ、しかも優れた耐クロム溶出性
が得られる。したがって、本発明の有機被覆鋼板は、建
材、家電、自動車等の用途の環境適応型表面処理鋼板と
して高い有用性を有している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 26/00 C23C 26/00 A (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 春田 泰彦 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−264307(JP,A) 特開 平12−144448(JP,A) 特開 平7−278844(JP,A) 特開 平7−62268(JP,A) 特開 平9−12931(JP,A) 特開 昭61−7359(JP,A) 特公 昭62−24505(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 30/00

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物を含む膜厚が0.1
    〜5μmの有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に
    優れた有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換シリ
    カ(a)とを含み、該イオン交換シリカ(a)の含有量
    が前記反応生成物100重量部(固形分)に対して1〜
    100重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μm
    の有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、微粒子シリカ
    (b)とを含み、該微粒子シリカ(b)の含有量が前記
    反応生成物100重量部(固形分)に対して1〜100
    重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機
    皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆
    鋼板。
  4. 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換シリ
    カ(a)と、微粒子シリカ(b)とを含み、前記イオン
    交換シリカ(a)および前記微粒子シリカ(b)の合計
    の含有量が前記反応生成物100重量部(固形分)に対
    して1〜100重量部(固形分)であり、且つイオン交
    換シリカ(a)と微粒子シリカ(b)の含有量(固形
    分)の重量比(a)/(b)が1/99〜99/1であ
    る、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特
    徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、固形潤滑剤
    (c)とを含み、該固形潤滑剤(c)の含有量が前記反
    応生成物100重量部(固形分)に対して1〜80重量
    部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜
    を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  6. 【請求項6】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換シリ
    カ(a)と、固形潤滑剤(c)とを含み、前記イオン交
    換シリカ(a)の含有量が前記反応生成物100重量部
    (固形分)に対して1〜100重量部(固形分)、前記
    固形潤滑剤(c)の含有量が前記反応生成物100重量
    部(固形分)に対して1〜80重量部(固形分)であ
    る、膜厚が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特
    徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、微粒子シリカ
    (b)と、固形潤滑剤(c)とを含み、前記微粒子シリ
    カ(b)の含有量が前記反応生成物100重量部(固形
    分)に対して1〜100重量部(固形分)、前記固形潤
    滑剤(c)の含有量が前記反応生成物100重量部(固
    形分)に対して1〜80重量部(固形分)である、膜厚
    が0.1〜5μmの有機皮膜を有することを特徴とする
    耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上部に、
    皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
    性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
    素含有化合物(B)との反応生成物と、イオン交換シリ
    カ(a)と、微粒子シリカ(b)と、固形潤滑剤(c)
    とを含み、前記イオン交換シリカ(a)および前記微粒
    子シリカ(b)の合計の含有量が前記反応生成物100
    重量部(固形分)に対して1〜100重量部(固形分)
    であり、且つイオン交換シリカ(a)と微粒子シリカ
    (b)の含有量(固形分)の重量比(a)/(b)が1
    /99〜99/1であり、前記固形潤滑剤(c)の含有
    量が前記反応生成物100重量部(固形分)に対して1
    〜80重量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μm
    の有機皮膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  9. 【請求項9】 皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ基含
    有樹脂(D)であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7または8に記載の耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  10. 【請求項10】 活性水素を有するヒドラジン誘導体
    (C)が、活性水素を有するピラゾール化合物および/
    または活性水素を有するトリアゾール化合物であること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8ま
    たは9に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  11. 【請求項11】 活性水素を有するヒドラジン誘導体
    (C)が活性水素含有化合物(B)中に10〜100モ
    ル%含まれることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8、9または10に記載の耐食性に優れた
    有機被覆鋼板。
  12. 【請求項12】 エポキシ基含有樹脂(D)が下記式
    (1)で示されるエポキシ樹脂であることを特徴とする
    請求項9、10または11に記載の耐食性に優れた有機
    被覆鋼板。 【化1】
  13. 【請求項13】 有機皮膜中のイオン交換シリカがCa
    交換シリカであることを特徴とする請求項2、4、6、
    8、9、10、11または12に記載の耐食性に優れた
    有機被覆鋼板。
  14. 【請求項14】 Ca交換シリカの平均粒子径が4μm
    以下であることを特徴とする請求項13に記載の耐食性
    に優れた有機被覆鋼板。
  15. 【請求項15】 Ca交換シリカのCa濃度が2〜8w
    t%であることを特徴とする請求項13または14に記
    載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
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