JP2001088242A - プレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

プレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板

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JP2001088242A JP26920499A JP26920499A JP2001088242A JP 2001088242 A JP2001088242 A JP 2001088242A JP 26920499 A JP26920499 A JP 26920499A JP 26920499 A JP26920499 A JP 26920499A JP 2001088242 A JP2001088242 A JP 2001088242A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膜中に6価クロムなどの重金属を含まず、
且つプレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に
優れた表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系又はAl系めっき鋼板の表面に、
クロムを含まない皮膜、好ましくは特定の複合酸化物皮
膜を形成し、その上層に、溶剤系熱硬化型樹脂と、固形
潤滑剤である融点130℃以下、数平均分子量5000以下の
ポリエチレン樹脂と、防錆添加剤とを主成分とする樹皮
皮膜であって、前記溶剤系熱硬化型樹脂が、水酸基含有
ウレタンプレポリマーと、硬化剤であるブロックポリイ
ソシアネートプレポリマー及びアミノ樹脂の中から選ば
れる少なくとも1種を主成分とするとともに、前記水酸
基含有ウレタンプレポリマーが、ポリエーテルポリオー
ル、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエス
テルポリオールの中から選ばれる少なくとも1種のポリ
オールと、イソシアネート化合物と、2価アルコールを
主成分とする樹脂皮膜を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途などに最適な表面処理鋼板であって、製品を取扱
う作業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、
さらには使用環境下における製品からの有害物質の揮発
・溶出などの環境問題に適応するために、製造時および
製品中に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、
水銀などの重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼
板に関するものであり、特に、潤滑油を塗布しなくても
優れた潤滑性及びプレス成形性を示し、且つプレス成形
後の外観性及び耐食性にも優れた表面処理鋼板に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)
を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸又はその塩
類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施さ
れた鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理
は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことができる経
済的な処理方法である。
【0003】しかし、クロメート処理は公害規制物質で
ある6価クロムを使用するものであるため、処理工程に
おいてクロム酸塩が人体に悪影響を与えること、排水処
理後のクロムスラッジの廃棄処理が困難であること、ま
たクロメート処理後の製品から6価クロムが溶出するお
それがあることなど、種々の問題を有している。このた
め、クロム酸類の使用管理基準が厳しくなるにしたが
い、クロメート処理工場の管理、排水処理、クロメート
処理物による二次汚染などが問題とされ、これに対応し
て各工場では排水関係をクローズド化し、クロムイオン
が外部に排出されるのを極力防止する対策を講じてい
る。また、ユーザーにおいてクロメート処理鋼板に付着
した防錆油やプレス油を脱脂する工程で、アルカリ系の
脱脂液を用いる際には、脱脂液中へのクロムの溶出がか
なり多くなるため、脱脂液の脱クロム処理が必要とな
る。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術が数多く提案されている。このうち
有機系化合物や有機樹脂を利用した方法もいくつか提案
されており、例えば、以下のような方法を挙げることが
できる。
【0005】(1)タンニン酸を用いる方法(例えば、
特開昭51−71233号) (2)エポキシ樹脂とアミノ樹脂とタンニン酸を混合し
た熱硬化性塗料を用いる方法(例えば、特開昭63−9
0581号) (3)水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成
物を用いる方法(例えば、特開平8−325760号)
などのようなタンニン酸のキレート力を利用する方法
【0006】(4)ヒドラジン誘導体水溶液をブリキ又
は亜鉛鉄板の表面に塗布する表面処理方法(例えば、特
公昭53−27694号、特公昭56−10386号) (5)アシルザルコシンとベンゾトリアソールとの混合
物にアミンを付加させて得られたアミン付加塩を含む防
錆剤を用いる方法(例えば、特開昭58−130284
号) (6)ベンゾチアゾール化合物などの複素環化合物とタ
ンニン酸を混合した処理剤を用いる方法(例えば、特開
昭57−198267号)
【0007】一方、クロメート皮膜を第1層皮膜、有機
樹脂皮膜を第2層皮膜とする有機複合被覆鋼板が、複写
機などの事務機器、音響機器、家電製品などの材料とし
て幅広く使用されている。そのなかでも、潤滑油を塗布
しなくても優れた潤滑性、プレス成形性、プレス成形後
外観性及び耐食性を示す高潤滑防錆鋼板が、モーターカ
バー、カトリッシ式タンクなどに用いられている。この
種の高潤滑防錆鋼板としては、例えば下記の提案があ
る。 (7)特許第2848194号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には以下に述べるような問題がある。まず、
上記(1)〜(4)の方法はいずれも耐食性の面で問題
がある。すなわち、上記(1)の方法では耐食性が不十
分であり、また処理後の均一な外観が得られない。ま
た、上記(2)の方法は、特に亜鉛系又はアルミニウム
系めっき表面に直接、薄膜状(0.1〜5μm)の防錆
皮膜を形成することを狙いとしたものではなく、このた
め亜鉛系又はアルミニウム系めっき表面に薄膜状に適用
したとしても十分な防食効果は得られない。また、上記
(3)の方法についても同様に耐食性が不十分である。
【0009】さらに上記(4)の方法は亜鉛系又はアル
ミニウム系めっき鋼板について適用したものではなく、
また、仮に亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板に適用
したとしても、得られる皮膜はネットワーク構造を有し
ていないため十分なバリヤー性がなく、このため耐食性
が不十分である。また、特公昭53−23772号、特
公昭56−10386号には皮膜の均一性向上を狙いと
してヒドラジン誘導体水溶液に水溶性高分子化合物(ポ
リビニルアルコール類、マレイン酸エステル共重合体、
アクリル酸エステル共重合体など)を混合することが開
示されているが、ヒドラジン誘導体水溶液と水溶性高分
子化合物との単なる混合物では十分な耐食性は得られな
い。
【0010】さらに、上記(5)、(6)の方法も亜鉛
系又はアルミニウム系めっき鋼板表面に短時間で防錆皮
膜を形成することを狙いとしたものではなく、また、仮
に処理剤をめっき鋼板表面に塗布したとしても、酸素や
水などの腐食因子へのバリヤー性がないため優れた耐食
性は得られない。また、(6)の方法については、添加
剤として樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル樹脂など)と
の混合についても述べられているが、ベンゾチアゾール
化合物などの複素環化合物と樹脂との単なる混合物では
十分な耐食性は得られない。
【0011】また、上記(1)〜(6)の方法はいずれ
も、プレス加工などで表面に塗布した油を除去するため
に、スプレーなどによるpH9〜11程度のアルカリ脱
脂を行うような実用条件においては、アルカリ脱脂によ
って皮膜が剥離または損傷し、耐食性を保持できないと
いう問題がある。したがって、これらの方法は、防錆皮
膜を形成する方法としては実用に適したものではない。
【0012】一方、上記(7)の高潤滑防錆鋼板は、第
1層皮膜であるクロメート皮膜により耐食性を得るもの
であり、皮膜中に6価クロムを含有する点で環境適合型
の表面処理鋼板ではない。したがって本発明の目的は、
このような従来技術の課題を解決し、皮膜中に6価クロ
ムなどの重金属を含まず、製造工程や使用する際にも安
全、無害であって、しかもプレス成形性、プレス成形後
の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜
としてクロムを含まない皮膜、好ましくは特定の複合酸
化物皮膜を形成し、その上層に第2層皮膜として特定の
高潤滑性有機樹脂皮膜を形成することにより、皮膜中に
環境や人体に有害なクロムを含有させることなく、プレ
ス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表
面処理鋼板が得られることを見い出した。本発明はこの
ような知見に基づきなされたもので、その特徴とする構
成は以下の通りである。
【0014】[1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、第1層皮膜としてクロムを含まな
い膜厚が0.005〜3μmの皮膜が形成され、その上
部に第2層皮膜として、下記(A)、(B)及び(C)
を主成分とする膜厚が0.1〜10μmの樹脂皮膜が形
成された表面処理鋼板であって、 (A)溶剤系熱硬化型樹脂:100重量部(固形分の割
合) (B)固形潤滑剤として、融点が130℃以下、数平均
分子量が5000以下のポリエチレン樹脂:1.0〜3
0重量部(固形分の割合) (C)防錆添加剤:3〜80重量部(固形分の割合) 前記樹脂皮膜中の溶剤系熱硬化型樹脂が下記(イ)及び
(ロ)を主成分とすることを特徴とするプレス成形性、
プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼
板。 (イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウ
レタンプレポリマー (a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選
ばれる少なくとも1種のポリオール (b)イソシアネート化合物 (c)2価アルコール (ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレ
ポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる少なくとも1
【0015】[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、第
1層皮膜が、下記(α)及び(β)を含有する複合酸化
物皮膜であることを特徴とするプレス成形性、プレス成
形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (α)リン酸及び/又はリン酸化合物 (β)シリカ [3] 上記[1]の表面処理鋼板において、第1層皮膜が、
下記(α)、(β)及び(γ)を含有する複合酸化物皮
膜であることを特徴とするプレス成形性、プレス成形後
の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (α)リン酸及び/又はリン酸化合物 (β)シリカ (γ)Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Mn、Fe、C
o、Zn、Al、Liの中から選ばれる少なくとも1種
の元素
【0016】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼
板において、第2層皮膜に含まれる溶剤系熱硬化型樹脂
が、ガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型
樹脂からなることを特徴とするプレス成形性、プレス成
形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 [5] 上記[4]の表面処理鋼板において、ガラス転移温度
が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂が、硬化後のガ
ラス転移温度が50℃以下である低ガラス転移温度の溶
剤系熱硬化型樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃
超である高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂からな
ることを特徴とするプレス成形性、プレス成形後の外観
性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0017】[6] 上記[5]の表面処理鋼板において、低
ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂[i]と高ガラス
転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂[ii]の配合比が、固
形分の重量比で[i]/[ii]=9/1〜1/9であ
ることを特徴とするプレス成形性、プレス成形後の外観
性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、
第2層皮膜に固形潤滑剤として含まれるポリエチレン樹
脂が、融点90〜130℃、粒子径20μm以下である
ことを特徴とするプレス成形性、プレス成形後の外観性
及び耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0018】[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの表面処理鋼
板において、第2層皮膜に含まれる防錆添加剤が、シリ
カ、イオン交換シリカ、ケイ酸カルシウム、酸化セリウ
ム、リン酸、リン酸塩、縮合リン酸塩、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、チオール類の
中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする
プレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れ
た表面処理鋼板。 [9] 上記[8]の表面処理鋼板において、防錆添加剤の少
なくとも一部が、粒子径3μm以下のCaイオン交換シ
リカ及び/又はケイ酸カルシウムであることを特徴とす
るプレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優
れた表面処理鋼板。 [10] 上記[8]又は[9]の表面処理鋼板において、防錆添
加剤の少なくとも一部が、Caイオン交換シリカ及び/
又はケイ酸カルシウムとリン酸及び/又はリン酸塩であ
ることを特徴とするプレス成形性、プレス成形後の外観
性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、Z
n−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板
(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn
−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Z
n−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき
鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−
Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例え
ば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al
合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−
Al−Mg合金めっき鋼板、さらにはこれらのめっき鋼
板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散さ
せた亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO
散めっき鋼板)などを用いることができる。
【0020】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の表面処理鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、例え
ば、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼
板などを用いることができる。また、めっき鋼板として
は、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その
上に上記のような各種めっきを施したものであってもよ
い。めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解又
は非水溶媒中での電解)、溶融法及び気相法のうち、実
施可能ないずれの方法を採用することもできる。
【0021】また、後述するような二層皮膜をめっき皮
膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないように
するため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカ
リ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調
整処理、酸性の表面調整処理)などの処理を施しておく
ことができる。また、表面処理鋼板の使用環境下での黒
変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、
必要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオン(N
iイオン、Coイオン、Feイオン)を含む酸性又はア
ルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくことも
できる。また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用
いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄
族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオン)
を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上
含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中
の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。
【0022】次に、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に形成される第1層皮膜について説
明する。この第1層皮膜としてはクロムを含有しない皮
膜であれば特別な制限はないが、特に、皮膜構成要素と
して(α)リン酸及び/又はリン酸化合物、(β)シリ
カ、さらに好ましくは(γ)Mg、Ca、Sr、Ba、
Ni、Mn、Fe、Co、Zn、Al、Liの中から選
ばれる少なくとも1種の元素を含有する、好ましくはこ
れらを主成分として含有する複合酸化物皮膜とすること
により、格段の防錆効果を得ることができる。
【0023】前記成分(α)であるリン酸及び/又はリ
ン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポ
リリン酸、これらの金属塩や化合物などを皮膜組成物中
に添加することにより皮膜成分として配合することがで
きる。皮膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形態には
特別な制限はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか
否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸、リン酸化合
物のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。
【0024】前記成分(β)であるシリカとしては、コ
ロイダルシリカやヒュームドシリカなどを用いることが
できる。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学
工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックスO
S、スノーテックスOXS、スノーテックスOUP、ス
ノーテックスAK、スノーテックスO40、スノーテッ
クスOL、スノーテックスOL40、スノーテックスO
ZL(以上、酸性溶液)、スノーテックスXS、スノー
テックスS、スノーテックスNXS、スノーテックスN
S、スノーテックスN、スノーテックスQAS−25、
スノーテックスLSS−35、スノーテックスLSS−
45、スノーテックスLSS−75(以上、アルカリ性
溶液)、触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロ
イドSI−350、カタロイドSI−40、カタロイド
SA(以上、アルカリ性溶液)、カタロイドSN(酸性
溶液)、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20〜
50、アデライトAT−20N、アデライトAT−30
0、アデライトAT−300S(以上、アルカリ性溶
液)、アデライトAT20Q(酸性溶液)などを用いる
ことができる。
【0025】また、これらシリカの中でも、特に粒子径
が14nm以下のもの、さらには好ましくは8nm以下
のものが耐食性の観点から望ましい。また、シリカとし
ては、乾式シリカ微粒子を皮膜組成物溶液に分散させた
ものを用いることもできる。この乾式シリカとしては、
例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジル200、
アエロジル300、アエロジル300CF、アエロジル
380などを用いることができ、なかでも粒子径12n
m以下、さらに好ましくは7nm以下のものが望まし
い。上記のシリカに加えて、酸化アルミニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモ
ンなどのコロイド溶液、微粉末などを配合することもで
きる。
【0026】前記成分(γ)であるMg、Ca、Sr、
Ba、Ni、Mn、Fe、Co、Zn、Al、Liの中
から選ばれる1種以上の元素は耐食性の向上に効果があ
る。これらの元素が皮膜中に存在する形態にも特別な制
限はなく、金属として、或いは酸化物、水酸化物、水和
酸化物、リン酸化合物、配位化合物などの化合物若しく
は複合化合物として存在してよい。これらの酸化物、水
酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などの
イオン性、溶解度などについても特に制限はない。上述
した各元素は、その元素を含むリン酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、塩化物などを皮膜組成物に添加することにより皮膜
中に含有させることができる。また、耐食性の観点から
は、上記元素群の中でも特にMg、Ca、Ni、Mn、
Alが望ましい。
【0027】以上の成分(α)、成分(β)及び成分
(γ)を皮膜構成要素として(好ましくは主成分とし
て)含有する複合酸化物皮膜は、例えば、コロイダルシ
リカ:0.001〜3M(=mol/l、以下同様)
(望ましくは、0.01〜1M)、リン酸マグネシウ
ム:0.001〜2M(望ましくは、0.01〜1M)
を含有するpH1〜5(望ましくは、pH2〜4)の皮
膜組成物を、前記めっき鋼板表面に塗布して加熱乾燥す
ることにより形成できる。
【0028】前記複合酸化物皮膜中には、皮膜の加工
性、耐食性をさらに向上させることを目的として、有機
樹脂を配合することができる。この有機樹脂としては、
例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、
アクリル−エチレン共重合体、アクリル−スチレン共重
合体、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂
などを用いることができる。これらは水溶性樹脂及び/
又は水分散性樹脂として皮膜中に導入できる。さらに、
これらの水系樹脂に加えて、水溶性エポキシ樹脂、水溶
性フェノール樹脂、水溶性ブタジエンラバー(SBR、
NBR、MBR)、メラミン樹脂、ブロックイソシアネ
ート、オキサゾリン化合物などを架橋剤として併用する
ことが有効である。
【0029】前記複合酸化物皮膜中には、耐食性を抑制
するための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、リン
酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウ
ム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリブ
デン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、
フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの
金属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例
えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカル
バミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレン
グリコールなど)などを配合してもよい。
【0030】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性ア
ゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例
えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えば、チオー
ルなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、
ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ
型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・
シアヌル酸付加物などを添加することもできる。
【0031】また、複合酸化物皮膜中には、表面処理鋼
板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一
種)を防止する目的で、鉄族金属イオン(Niイオン,
Coイオン,Feイオン)の1種以上を添加してもよ
い。なかでもNiイオンの添加が最も好ましい。この場
合、鉄族金属イオンの濃度としては、皮膜組成物中の金
属量換算で1/10000M(mol/L)以上あれば
所望の効果が得られる。鉄族イオン濃度の上限は特に定
めないが、濃度の増加に伴い耐食性に影響を及ぼさない
程度とするのが好ましい。
【0032】上記成分(α)、成分(β)及び成分
(γ)を皮膜構成要素として含有する複合酸化物皮膜の
防食機構については必ずしも明確でないが、まず、緻密
で難溶性の複合酸化物皮膜がバリヤー性皮膜として腐食
因子を遮断するとともに、シリカから供給されるケイ酸
イオンが腐食環境下で塩基性塩化亜鉛を形成してバリヤ
ー性を向上させることが防食性能の向上に寄与するもの
と考えられる。さらに皮膜に欠陥が生じた場合でも、カ
ソード反応によってOHイオンが生成して界面がアルカ
リ性になることにより、上記成分(γ)が水酸化物が形
成して欠陥部を保護する作用が得られるものと考えられ
る。また、リン酸及び/又はリン酸化合物は複合酸化物
皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠陥部で
腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜鉛イオ
ンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化合物と
してそこに沈殿生成物を形成するものと考えられる。
【0033】第1層皮膜の膜厚は0.005〜3μm、
好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.1〜
1μm、さらに好ましくは0.2〜0.5μmとする。
第1層皮膜の膜厚が0.005μm未満では耐食性が低
下する。一方、膜厚が3μmを超えると、溶接性などの
導電性が低下する。
【0034】次に、上述した第1層皮膜の上部に第2層
皮膜として形成される樹脂皮膜について説明する。この
第2層皮膜は、(A)溶剤系熱硬化型樹脂、(B)固形
潤滑剤である特定の融点及び数平均分子量を有するポリ
エチレン樹脂(微粉末)、及び(C)防錆添加剤を主成
分とする樹脂皮膜である。
【0035】この第2層皮膜のベース樹脂として溶剤系
熱硬化型樹脂を使用する理由は、次の通りである。 溶剤系樹脂は、水系樹脂に較べて樹脂中に添加され
る固形潤滑剤や防錆添加剤などの添加剤との相溶性に優
れており、且つ長期にわたる安定した性能を有してい
る。 熱可塑型樹脂と異なり熱硬化型樹脂には融点が存在
しないので、高温時の機械的強度が高い。したがって、
このような樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物によって
樹脂皮膜を形成すれば、プレス成形時の摩擦熱によって
樹脂皮膜に剥離や損傷が生じにくい。
【0036】本発明で使用する溶剤系熱硬化型樹脂は、
下記(イ)及び(ロ)を主成分とする。 (イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウ
レタンプレポリマー (a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選
ばれる少なくとも1種のポリオール (b)イソシアネート化合物 (c)2価アルコール (ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレ
ポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる少なくとも1
【0037】前記(イ)の水酸基含有ウレタンプレポリ
マーに含まれる前記ポリエーテルポリオールとしては、
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、グリセリンのエチレンオキサイド又はプロピレ
ンオキサイド付加物のような直鎖状ポリアルキレンポリ
オールなどを使用することができる。また、前記ポリエ
ステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と低分子
ポリオールとを反応させて得られる、分子鎖中にOH基
を有する線状ポリエステルを使用することができる。上
記二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン
酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、イソフタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタ
レート、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、又は
前記各酸のエステル類を使用することができる。
【0038】前記ポリエーテルポリエステルポリオール
としては、上述した二塩基酸とポリエーテルポリオール
との混合物、又は二塩基酸と低分子ポリオールとの混合
物を、エステル化反応させて得られる、分子鎖中にOH
基を有する線状ポリエステル、又は、末端にカルボキシ
ル基及び/又は水酸基を有するポリエステルと、アルキ
レンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイドなど)との付加反応によって得られるポ
リエーテルを使用することができる。
【0039】前記(イ)の水酸基含有ウレタンプレポリ
マーに含まれるイソシアネート化合物としては、例え
ば、ヘキサメチレンジイソシアネート、o−,m−,又
はp−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,
6−トリレンジイソシアネート、芳香族環が水素添加さ
れた2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,
3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシア
ネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジメチ
ルベンゼン、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジ
メチルベンゼンなどの、芳香族環を有するイソシアネー
ト化合物を挙げることができ、これらを単独で又は2種
以上を混合して使用することができる。前記(イ)の水
酸基含有ウレタンプレポリマーに含まれる2価アルコー
ルとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレング
リコール、ジエチレングリコール、水添ビスフェノール
Aなどのようなジオール類を使用することができる。
【0040】前記(ロ)の硬化剤であるブロックポリイ
ソシアネートプレポリマーの代表的なものとしては、ポ
リイソシアネートを公知のブロック剤を使用してブロッ
ク化したブロックポリイソシアネートプレポリマー、例
えば、大日本インキ化学工業(株)製のバーノックD−
550、バーノックD−500、バーノックB7−88
7、武田薬品工業(株)製のタケネートN−815−
N、ヘキスト合成(株)製のアヂトール(ADDITOL) V
XL−80などを挙げることができる。
【0041】また、硬化剤であるアミノ樹脂としては、
メラミン尿素アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ス
テログアナミン又はスピログアナミンなどのようなアミ
ノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルム、アセトアル
デヒド、グリオキサールなどのようなアルデヒド成分
と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノールなどのよ
うなアルコール成分とを反応させて得られる樹脂を使用
することができる。
【0042】本発明において第2層皮膜(樹脂皮膜)中
に添加される固形潤滑剤は特定の融点及び数平均分子量
を有するポリエチレン樹脂(微粉末)である。固形潤滑
剤としてポリエチレン樹脂(微粉末)を使用する理由
は、ポリエチレン樹脂が連続プレス成形加工などにおい
て生じる“かじり”や鋼板の破断などを防止し、また、
鋼板に対して摺動、変形および摩耗に対する抵抗を付与
し、鋼板や成形用金型の損傷を防止する作用を有してい
るからである。
【0043】ポリエチレン樹脂は、一般に数平均分子量
が数百〜数百万の結晶性熱可塑性樹脂であり、そのガラ
ス転移点は約−100℃であって常温よりも低く、ま
た、融点は90〜140℃であり、臨界表面張力は約3
0dyne/cmである。したがって、ポリエチレン樹
脂は常温では柔軟な性質を有しており、その濡れ性及び
付着性が低いので、優れた潤滑性を有している。
【0044】ポリエチレン樹脂の融点は潤滑性に影響を
与える。すなわち、その融点が高いほど常温付近におけ
る力学的強度、すなわち変形抵抗が高くなり、ポリエチ
レン樹脂を含有する樹脂皮膜の潤滑性(摺動性)が低下
する。したがって、本発明において固形潤滑剤として使
用するポリエチレン樹脂の融点は、130℃以下である
ことが必要である。融点が130℃を超えるポリエチレ
ン樹脂では、常温付近における変形抵抗が高くなるので
樹脂皮膜の潤滑性が低下する。また、ポリエチレン樹脂
の好ましい融点は90〜130℃の範囲である。
【0045】また、ポリエチレン樹脂の数平均分子量
は、樹脂皮膜のコーティング性及び潤滑性の観点から5
000以下であることが必要である。また、ポリエチレ
ン樹脂は、樹脂皮膜中への分散性および成膜性の観点か
ら粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下、よ
り好ましくは約5μmの微粉末であることが望ましい。
なお、本発明では上述した範囲内の融点、数平均分子量
及び粒子径を有する2種以上のポリエチレン樹脂を混合
して用いてもよい。
【0046】固形潤滑剤であるポリエチレン樹脂の配合
量は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100重量部に対し
て固形分の割合で1.0〜30重量部、好ましくは5〜
20重量とする。溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100重
量部に対するポリエチレン樹脂の配合量が1.0重量部
未満では、潤滑性の向上効果が十分に得られない。一
方、ポリエチレン樹脂の配合量が30重量部を超える
と、樹脂皮膜自体の凝集力および強度が低下する結果、
プレス成形時に樹脂皮膜が剥離しやすくなる問題を生ず
る。
【0047】本発明において第2層皮膜(樹脂皮膜)中
に添加される防錆添加剤は、シリカ、イオン交換シリ
カ、ケイ酸カルシウム、酸化セリウム、リン酸、リン酸
塩、縮合リン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホ
ン酸、ホスホン酸塩、チオール類の中から選ばれる少な
くとも1種である。前記イオン交換シリカは、カルシウ
ムやマグネシウムなどの金属イオンを多孔質シリカゲル
粉末の表面に固定したもので、腐食環境下で金属イオン
が放出されて沈殿膜を形成する。また、イオン交換シリ
カのなかでも、耐食性の観点からCaイオン交換シリカ
が特に好ましく、また、そのなかでも粒子径が3μm以
下のものが最も好ましい。このCaイオン交換シリカと
しては、例えば、シールデックス(W.R.Grace & Co.、
富士シリシア化学など)のものが適用できる。
【0048】前記シリカは、コロイダルシリカ、ヒュー
ムドシリカのいずれでもよい。コロイダルシリカとして
は、例えば、水系皮膜形成樹脂をベースとする場合は、
例えば、日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルな
どを用いることができる。
【0049】また、ヒュームドシリカとしては、例え
ば、日本アエロジル(株)製のアエロジル R971、
アエロジル R812、アエロジル R811、アエロジ
ル R974、アエロジル R202、アエロジル R8
05、アエロジル 130、アエロジル 200、アエロ
ジル 300、アエロジル 300CFなどを用いること
ができる。これらシリカは、腐食環境下で緻密で安定な
亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめ
っき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進
を抑制することができると考えられている。
【0050】前記ケイ酸カルシウム、酸化セリウム、リ
ン酸、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素ア
ルミニウム、亜リン酸亜鉛など)、縮合リン酸塩(例え
ば、ポリリン酸アルミ:テイカ(株)製のテイカK−WH
ITE 80、テイカK−WHITE84、テイカK−WHITE 1
05、テイカK−WHITE G105、テイカK−WHITE9
0)、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホ
ン酸塩、チオール類も格段の防錆効果を発揮する。但
し、特に優れた耐食性を得るという観点からは、Caイ
オン交換シリカ及び/又はケイ酸カルシウムを添加する
ことが好ましい。
【0051】また、以上の防錆添加剤の中から選ばれる
2種類以上のものを複合化(複合添加)することによ
り、より一層の耐食性を発揮することができる。例え
ば、イオン交換シリカとシリカとの複合化、リン酸塩と
イオン交換シリカとの複合化、リン酸塩とケイ酸カルシ
ウムとの複合化、縮合リン酸塩とイオン交換シリカとの
複合化、縮合リン酸塩とケイ酸カルシウムとの複合化、
チオール類とケイ酸カルシウムとの複合化、チオール類
とリン酸塩とケイ酸カルシウムとの複合化、チオール類
とイオン交換シリカとの複合化、チオール類とリン酸塩
とイオン交換シリカとの複合化、フィチン酸とケイ酸カ
ルシウムとの複合化、フィチン酸とイオン交換シリカと
の複合化、などである。また、特に好ましい複合化の形
態は、Caイオン交換シリカ及び/又はケイ酸カルシウ
ムとリン酸及び/又はリン酸塩との複合化である。
【0052】防錆添加剤の配合量は、溶剤系熱硬化性樹
脂の固形分100重量部に対して固形分の割合で3〜8
0重量部、好ましくは5〜40重量部とする。溶剤系熱
硬化性樹脂の固形分100重量部に対する防錆添加剤の
配合量が3重量部未満では、耐食性が不十分である。一
方、防錆添加剤の配合量が80重量部を超えると、潤滑
性、耐黒化性、プレス成形後の耐食性が劣る。
【0053】また、本発明では第2層皮膜(樹脂皮膜)
のベース樹脂である溶剤系熱硬化型樹脂として、ガラス
転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂を使用
することにより、プレス成形性及びプレス成形後の外観
性を一段と向上させることができる。その理由は、次の
通りである。すなわち、ガラス転移温度が低い溶剤系熱
硬化型樹脂は低温時における柔軟性に優れている。した
がって、このようなガラス転移温度の低い溶剤系熱硬化
型樹脂をベース樹脂とした樹脂皮膜が形成されためっき
鋼板は、プレス成形条件が緩やかな場合又は緩やかな部
分においては、プレス成形性及びプレス成形後の外観性
が良好になる。しかしながら、樹脂皮膜表面が高温にな
るようなプレス成形条件の厳しい場合又は厳しい部分に
おいては、プレス成形時に生ずる摩擦熱のために樹脂皮
膜が軟化して剥離し、この剥離した樹脂皮膜が成形用金
型に付着する結果、プレス成形性及びプレス成形後の外
観性が劣化しやすい。
【0054】一方、ガラス転移温度が高い溶剤系熱硬化
型樹脂は高温強度に優れている。したがって、このよう
なガラス転移温度が高い溶剤系熱硬化型樹脂をベース樹
脂とした樹脂皮膜が形成されためっき鋼板は、樹脂皮膜
表面が高温になるようなプレス成形条件の厳しい場合又
は厳しい部分においても、樹脂皮膜が軟化してめっき鋼
板から剥離するようなことはない。しかしながら、ガラ
ス転移温度の高い溶剤系熱硬化型樹脂は低温時における
柔軟性が悪いために、プレス成形条件が緩やかな場合又
は緩やかな部分においては、樹脂皮膜が粉化して剥離
し、剥離した樹脂皮膜が成形用金型に付着する結果、プ
レス成形性及びプレス成形後の外観性が劣化しやすい。
【0055】以上の点から、樹脂皮膜中のベース樹脂と
してガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化型
樹脂を使用すれば、プレス成形した際の低温時における
柔軟性と高温時における強度をともに樹脂皮膜に付与す
ることができる。ベース樹脂としてガラス転移温度が異
なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂を使用する場合、樹
脂硬化後のガラス転移温度が50℃以下、好ましくは1
0〜50℃の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂
と、樹脂硬化後のガラス転移温度が50℃超、好ましく
は50℃超〜100℃の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬
化型樹脂とによりベース樹脂を構成することが好まし
い。
【0056】また、このようにガラス転移温度が異なる
2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂を使用する場合、低ガラ
ス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂(X)と高ガラス転移
温度の溶剤系熱硬化型樹脂Yの好ましい配合比は、固形
分の重量比で(X)/(Y)=9/1〜1/9、より好
ましくは9/1〜5/5である。上記配合比が9/1を
超えると、プレス成形条件が樹脂皮膜表面が高温になる
ような厳しい場合に、樹脂皮膜が軟化してめっき鋼板か
ら剥離する問題が生じる。一方、上記配合比が1/9未
満では、プレス成形条件が鋼板表面がそれほど高温にな
らないような緩やかな場合に、樹脂皮膜が粉化してめっ
き鋼板から剥離する問題が生じる。
【0057】なお、上述した50℃以下の低ガラス転移
温度を有する溶剤系熱硬化型樹脂及び50℃超の高ガラ
ス転移温度を有する溶剤系熱硬化型樹脂は、水酸基含有
ウレタンプレポリマーの成分組成を調整することによっ
て得ることができる。本発明の第2層皮膜(樹脂皮膜)
中には、上述した固形潤滑剤及び防錆添加剤に加えて、
有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、ジチオ
カルバミン酸塩など)などを添加することできる。
【0058】さらに第2層皮膜中には必要に応じて、添
加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔
料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例え
ば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料
など)、無機顔料(例えば、酸化チタン)、導電性顔料
(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉
末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カッ
プリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカ
ップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物など
を添加することができる。第2層皮膜である樹脂皮膜の
膜厚は0.1〜10μm、好ましくは0.3〜3μm、
さらに好ましくは0.5〜2μmとする。樹脂皮膜の膜
厚が0.1μm未満では耐食性が不十分であり、一方、
膜厚が10μmを超えると導電性、加工性が低下する。
【0059】本発明の表面処理鋼板は、亜鉛系めっき鋼
板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、まず、第1
層皮膜用の皮膜組成物を塗布し加熱乾燥した後、第2層
皮膜用の樹脂組成物を塗布し加熱乾燥することにより製
造することができる。第1層皮膜用の皮膜組成物をめっ
き鋼板表面にコーティングする方法としては、塗布方
式、浸漬方式、スプレー方式のいずれでもよく、塗布方
式ではロールコーター(3ロール方式、2ロール方式な
ど)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの
塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーターなど
による塗布処理、浸漬処理又はスプレー処理の後に、エ
アナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の
均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0060】上記のように皮膜組成物をコーティングし
た後、通常、水洗することなく加熱乾燥を行うが、コー
ティング後に水洗を行ってもよい。コーティングした皮
膜組成物を加熱乾燥する方法は任意であり、例えば、ド
ライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などの
手段を用いることができる。この加熱乾燥処理は到達板
温で40〜350℃、望ましくは80〜200℃、さら
に望ましくは80〜160℃の範囲で行うことが好まし
い。加熱乾燥温度が40℃未満では皮膜中に水分が多量
に残り、耐食性が不十分となる。一方、加熱乾燥温度が
350℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜
にクラックなどの欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下
する。
【0061】以上のようにして亜鉛系めっき鋼板または
アルミニウム系めっき鋼板の表面に第1層皮膜を形成し
た後、その上層に第2層皮膜用の樹脂組成物を塗布す
る。塗料組成物を塗布する方法としては、塗布法、浸漬
法、スプレー法などの任意の方法を採用できる。塗布法
としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方
式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいず
れの方法を用いてもよい。また、スクイズコーターなど
による塗布処理、浸漬処理又はスプレー処理の後に、エ
アナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の
均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0062】樹脂組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく加熱乾燥を行うが、樹脂組成物の塗布後に水洗を行
ってもよい。加熱乾燥処理には、ドライヤー、熱風炉、
高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができ
る。加熱処理は、到達板温で50〜350℃、好ましく
は80℃〜250℃の範囲で行うことが望ましい。加熱
温度が50℃未満では皮膜の硬化が十分でないため、耐
食性が不十分となる。また、加熱温度が350℃を超え
ると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じて
耐食性が低下するおそれがある。
【0063】本発明は、以上述べたような樹脂皮膜を両
面または片面に有する鋼板を含むものである。したがっ
て、本発明の表面処理鋼板の形態としては、例えば、以
下のようなものがある。 (1)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−樹脂皮膜、
片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−樹脂皮膜、
片面:めっき皮膜−公知のリン酸塩処理皮膜など (3)両面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−樹脂皮膜 (4)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−樹脂皮膜、
片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜 (5)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−樹脂皮膜、
片面:めっき皮膜−有機皮膜
【0064】
【実施例】表1及び表2に示す第1層皮膜形成用の皮膜
組成物を調整した。また、第2層皮膜形成用の樹脂組成
物を以下のように調製した。まず、溶剤系熱硬化型樹脂
を得るため水酸基含有ウレタンプレポリマーとして、表
3に示すNo.1〜8の水酸基含有ウレタンプレポリマー
を調製した。以下に、表3のNo.1の水酸基含有ウレタ
ンプレポリマーの製造例について述べる。
【0065】加熱装置、攪拌機、水分離器及び温度計を
備えた反応装置を使用し、この装置内にポリエステルポ
リオールである芳香族ポリエステルポリオール(AR):9
15重量部と脂肪族ポリエステルポリオール(AL):9
15重量部を供給し、これらを不活性雰囲気下において
加熱して融解した。この融解したポリエステルポリオー
ルを攪拌しながら100℃に加熱し、その温度で30〜
60分間保温し、次いで脱水した。
【0066】次いで、融解した上記原料の温度を70℃
まで冷却し、その温度下において、2価アルコールであ
る1,4−ブタンジオール:28重量部、イソシアネー
ト化合物であるジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート:313重量部、反応触媒であるジブチルチン
ラウリレート:0.55重量部及び溶剤であるシクロヘ
キサノン:940重量部をそれぞれ添加して混合し、5
〜10時間反応させた。上記混合物が所定の粘度になっ
た後、2価アルコールである1,3−ブタンジオール:
10重量部を加えて反応を終了させた。さらに、溶剤で
あるシクロヘキサノン:4150重量部を加え、不揮発
分:30%、粘度:1400cpsの水酸基含有ウレタ
ンプレポリマーを調製した。
【0067】表3に示したNo.2〜No.8の水酸基含有ウ
レタンプレポリマーについても、上述した調製方法に準
じた方法によって調製した。このようにして調製された
No.1〜No.8の水酸基含有ウレタンプレポリマーに、ブ
ロックポリイソシアネートプレポリマー(硬化剤)であ
るヘキサメチレンジイソシアネート3量体をNCO/O
N=1/1の等量比で添加し、No.1〜No.8の水酸基含
有ウレタンプレポリマーとブロックポリイソシアネート
プレポリマー(硬化剤)とからなる8種類の溶剤系熱硬
化型樹脂を調製した。このようにして得られた溶剤系熱
硬化型樹脂の硬化後のガラス転移温度を表3に併せて示
す。第2層皮膜形成用の樹脂組成物は、上記のようにし
て得られた溶剤系熱硬化型樹脂の1種又は2種を混合し
たものに防錆添加剤と、表4に示す固形潤滑剤を適宜配
合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて必
要時間分散させることにより得た。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】家電、建材、自動車部品用の表面処理鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に電気亜鉛めっき又は溶融亜鉛めっきを
施しためっき鋼板を処理原板として用い、このめっき鋼
板の表面をアルカリ脱脂処理及び水洗乾燥した後、第1
層皮膜用の皮膜組成物をロールコーターで塗布し、加熱
乾燥させた。この第1層皮膜の膜厚は、皮膜組成物の固
形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回
転速度など)により調整した。次いで、第2層皮膜用の
樹脂組成物をロールコーターにより塗布し、加熱乾燥さ
せて本発明例および比較例の表面処理鋼板を製造した。
第2層皮膜の膜厚は、樹脂組成物の固形分(加熱残分)
または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)によ
り調整した。
【0073】このようにして得られた表面処理鋼板の品
質性能(潤滑性、プレス成形性、耐黒化性、プレス成形
後の耐食性)を、以下のような試験により評価した。 (1) 潤滑性 図1に示す試験機を用いて潤滑性の試験を行った。この
試験機は、箱状の枠2の一側2aの内側に固定されたフ
ラット面を有する雌ダイス1と、この雌ダイス1と向き
合い、所定高さの実質的に水平な突条3を有する雄ダイ
ス4と、この雄ダイス4を支持し、雄ダイス4を雌ダイ
ス1に向けて水平移動させるための、枠2の他側2bに
固定された油圧シリンダ5とからなっている。前記雄ダ
イス4は、油圧シリンダ5のロッド5aにロードセル6
を介して固定されている。なお、雄ダイス4の突条3の
幅は10mmであり、その先端の長さは1mmである。
【0074】この試験装置による潤滑性の試験では、各
供試材から切り出された試験片7を雌ダイス1と雄ダイ
ス4との間の間隙に垂直に挿入した状態で、油圧シリン
ダ5を作動させて雌ダイス1と雄ダイス4との間で試験
片7を50Kgf(500Kgf/cm)の圧力で挟
み込んだ。次いで、試験片7を矢印に示すように100
mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの動摩擦係
数を調べ、その値で潤滑性を評価した。なお、この潤滑
性の試験は常温(20℃)の試験片のほかに、実際のプ
レス作業時の板温上昇を考慮して150℃の高温試験片
についても行った。
【0075】(2) プレス成形性 各供試材から切り出された円形状の試験片を、ポンチ
径:50mm、ダイス径:51.84mm、しわ押さえ
力:1トンの条件で、カップ状に成形したときの限界絞
り比を調べ、その値でプレス成形性を評価した。 (3) 耐黒化性 各供試材から切り出された試験片の幅方向にめっき面に
達するスリット疵をカッターによって加え、その部分に
対して、図1に示した試験機を使用して同一条件で20
回繰返し摺動を与えた後、その外観を調べ、この外観か
ら耐黒化性を評価した。その評価基準は以下の通りであ
る。 ◎:黒化の発生が全くなし ○:スリット疵部近傍に黒化が多少発生 △:スリット疵部近傍に明らかに黒化が発生 ×:全面にわたって激しく黒化が発生
【0076】(4) プレス成形後の耐食性 各供試材から切り出された円形状の試験片を、ブランク
径:100mm、ポンチ径:50mm、ダイス径:5
1.84mm、しわ押さえ力:1トンの条件でカップ状
に成形し、次いで、その端縁部をタールエポキシ塗料に
よってシールした後、JIS Z 2371に基づく塩水
噴霧試験を240時間施し、240時間経過後の白錆発
生面積率を調べ、この値でプレス成形後の耐食性を評価
した。その評価基準は以下の通りである。 ◎:白錆発生面積率5%未満 ○:白錆発生面積率5%以上、20%未満 △:白錆発生面積率20%以上、40%未満 ×:白錆発生面積率40%以上
【0077】[実施例1]第1層皮膜用として表1に示
すNo.1の皮膜組成物を、第2層皮膜用として表3に示
すNo.1〜No.8の各水酸基含有ウレタンプレポリマーに
硬化剤を添加して得られた樹脂組成物及び他の樹脂組成
物(比較用の樹脂組成物)に固形潤滑剤及び防錆添加剤
を添加したものを用い、本発明例および比較例の表面処
理鋼板を製造した。また、第2層皮膜に代えてプレス油
を塗布した比較例の表面処理鋼板も製造した。これら表
面処理鋼板について、上述した品質性能の評価を行った
結果を第1層皮膜及び第2層皮膜の皮膜構成などととも
に表5及び表6に示す。
【0078】表5及び表6によれば、第2層皮膜用とし
て本発明で規定する以外の樹脂組成物を使用した比較例
No.1〜No.3は、いずれも高温での潤滑性とプレス成形
性が劣っている。さらに、比較例No.1はプレス成形後
の耐食性が劣り、比較例No.2は耐黒化性が劣り、比較
例No.3は耐黒化性とプレス成形後の耐食性が劣ってい
る。また、プレス油を塗布した比較例No.4は、潤滑
性、プレス成形性、耐黒化性及びプレス成形後の耐食性
の全てが劣っている。これに対して本発明例No.1〜No.
9は、潤滑性、プレス成形性、耐黒化性及びプレス成形
後の耐食性の全てにおいて優れた性能が得られている。
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】[実施例2]第1層皮膜用として表1に示
すNo.1〜No.12の皮膜組成物を、第2層皮膜用として
表3に示すNo.1の水酸基含有ウレタンプレポリマーに
硬化剤を添加して得られた樹脂組成物に種々の固形潤滑
剤及び防錆添加剤を添加したものを用い、本発明例およ
び比較例の表面処理鋼板を製造した。これら表面処理鋼
板について、上述した品質性能の評価を行った結果を第
1層皮膜及び第2層皮膜の皮膜構成などとともに表7及
び表8に示す。
【0082】表7及び表8によれば、第2層皮膜に本発
明で規定する以外の固形潤滑剤を使用した比較例No.5
〜No.8は、潤滑性、プレス成形性、耐黒化性及びプレ
ス成形後の耐食性のうちのいずれかが劣っている。第2
層皮膜中の固形潤滑剤の含有量が本発明の下限値未満で
ある比較例No.9は、潤滑性、プレス成形性、耐黒化性
及びプレス成形後の耐食性の全てが劣っている。
【0083】第2層皮膜中の固形潤滑剤の含有量が本発
明の上限値を超えている比較例No.10は、皮膜の凝集
力の低下に伴う剥離量の増加のためにプレス成形後の耐
食性が劣り、また、高温での潤滑性も劣っている。第2
層皮膜中の防錆添加剤の含有量が本発明の下限値未満で
あり、且つ第1層皮膜の膜厚が本発明の下限値未満であ
る比較例No.11は、プレス成形後の耐食性が劣ってい
る。第2層皮膜中の防錆添加剤の含有量が本発明の上限
値を超えている比較例No.12は潤滑性、耐黒化性及び
プレス成形後の耐食性が劣っている。
【0084】第2層皮膜中の防錆添加剤の含有量が本発
明の上限値を超えており、且つ第1層皮膜の膜厚が本発
明の上限値を超えている比較例No.13は、潤滑性、耐
黒化性及びプレス成形後の耐食性が劣っている第2層皮
膜の膜厚が本発明の下限値未満である比較例No.14
は、潤滑性、プレス成形性、耐黒化性及びプレス成形後
の耐食性がいずれも劣っている。第1層皮膜用として成
分(α)または成分(β)を含まない皮膜組成物を使用
した比較例No.15〜No.17はプレス成形後の耐食性が
劣っている。これに対して本発明例No.10〜20は、
潤滑性、プレス成形性、耐黒化性及びプレス成形後の耐
食性の全てにおいて優れた性能が得られている。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】[実施例3]第2層皮膜用の樹脂組成物と
して、表3に示すNo.1〜No.8の各水酸基含有ウレタン
プレポリマーに硬化剤を添加して得られた樹脂組成物の
中から選ばれる2種類の樹脂組成物を所定の配合比で混
合し、ベース樹脂がガラス転移温度の異なる2種類の溶
剤系熱硬化型樹脂からなる表9に示す樹脂組成物A〜I
を調製した。第1層皮膜用として表1に示すNo.1の皮
膜組成物を、第2層皮膜用として表9に示す樹脂組成物
A〜Iに固形潤滑剤及び防錆添加剤を添加したものを用
い、本発明例の表面処理鋼板を製造した。これら表面処
理鋼板について、上述した品質性能の評価を行った結果
を第1層皮膜および第2層皮膜の皮膜構成などとともに
表10及び表11に示す。
【0088】表10及び表11によれば、上述した実施
例1(表5及び表6)の結果と対比して判るように、第
2層皮膜の樹脂組成物のベース樹脂としてガラス転移温
度が異なる2種類の溶剤系熱硬化型樹脂を使用した本発
明例No.21〜No.30は、一段と優れた潤滑性、プレス
成形性、耐黒化性及びプレス成形後の耐食性が得られて
いる。
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
【0092】
【発明の効果】以上述べたように本発明の表面処理鋼板
は、表面に潤滑油などを塗布することなく優れた潤滑性
およびプレス成形性が発揮され、厳しい条件でプレス成
形を施しても樹脂皮膜が損傷せず、しかもプレス成形後
の外観性及び耐食性に優れ、特にめっき損傷に伴う黒化
現象が適切に抑制される効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において潤滑性試験に用いた試験機を示
す説明図
【符号の説明】
1…雌ダイス、2…枠、3…突条、4…雄ダイス、5…
油圧シリンダ、6…ロードセル、7…試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 達也 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松崎 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA09 DA06 DB05 DB07 DC02 DC12 DC18 EA02 EA19 EA37 EB13 EB38 EB45 EB52 EB53 EB56 EB57 EC01 EC03 EC07 EC10 4F100 AA03C AA04B AA07C AA20B AA33B AB03A AB10A AB18A AK01C AK04C AK35C AK51C AK54C BA03 BA07 BA10A BA10C BA25B BA25C CA02C CA14C CA19C CA23C DE01C EH71A GB07 GB32 GB48 JA04C JA07C JB02 JB13C JL01 YY00B YY00C 4K026 AA02 AA07 AA09 AA12 AA13 AA22 BA03 BA12 BB01 BB04 BB08 BB09 BB10 CA02 CA16 CA18 CA23 CA25 CA26 CA41 DA16 EB08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜としてクロムを含まない
    膜厚が0.005〜3μmの皮膜が形成され、その上部
    に第2層皮膜として、下記(A)、(B)及び(C)を
    主成分とする膜厚が0.1〜10μmの樹脂皮膜が形成
    された表面処理鋼板であって、 (A)溶剤系熱硬化型樹脂:100重量部(固形分の割
    合) (B)固形潤滑剤として、融点が130℃以下、数平均
    分子量が5000以下のポリエチレン樹脂:1.0〜3
    0重量部(固形分の割合) (C)防錆添加剤:3〜80重量部(固形分の割合) 前記樹脂皮膜中の溶剤系熱硬化型樹脂が下記(イ)及び
    (ロ)を主成分とすることを特徴とするプレス成形性、
    プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼
    板。 (イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウ
    レタンプレポリマー (a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
    ル及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選
    ばれる少なくとも1種のポリオール (b)イソシアネート化合物 (c)2価アルコール (ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレ
    ポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる少なくとも1
  2. 【請求項2】 第1層皮膜が、下記(α)及び(β)を
    含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とする請求項
    1に記載のプレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐
    食性に優れた表面処理鋼板。 (α)リン酸及び/又はリン酸化合物 (β)シリカ
  3. 【請求項3】 第1層皮膜が、下記(α)、(β)及び
    (γ)を含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とす
    る請求項1に記載のプレス成形性、プレス成形後の外観
    性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (α)リン酸及び/又はリン酸化合物 (β)シリカ (γ)Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Mn、Fe、C
    o、Zn、Al、Liの中から選ばれる少なくとも1種
    の元素
  4. 【請求項4】 第2層皮膜に含まれる溶剤系熱硬化型樹
    脂が、ガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤系熱硬化
    型樹脂からなることを特徴とする請求項1、2又は3に
    記載のプレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性
    に優れた表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】 ガラス転移温度が異なる2種以上の溶剤
    系熱硬化型樹脂が、硬化後のガラス転移温度が50℃以
    下である低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、硬
    化後のガラス転移温度が50℃超である高ガラス転移温
    度の溶剤系熱硬化型樹脂からなることを特徴とする請求
    項4に記載のプレス成形性、プレス成形後の外観性及び
    耐食性に優れた表面処理鋼板。
  6. 【請求項6】 低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂
    [i]と高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂[i
    i]の配合比が、固形分の重量比で[i]/[ii]=
    9/1〜1/9であることを特徴とする請求項5に記載
    のプレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優
    れた表面処理鋼板。
  7. 【請求項7】 第2層皮膜に固形潤滑剤として含まれる
    ポリエチレン樹脂が、融点90〜130℃、粒子径20
    μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5又は6に記載のプレス成形性、プレス成形後の外
    観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。
  8. 【請求項8】 第2層皮膜に含まれる防錆添加剤が、シ
    リカ、イオン交換シリカ、ケイ酸カルシウム、酸化セリ
    ウム、リン酸、リン酸塩、縮合リン酸塩、フィチン酸、
    フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、チオール類
    の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のプレス
    成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面
    処理鋼板。
  9. 【請求項9】 防錆添加剤の少なくとも一部が、粒子径
    3μm以下のCaイオン交換シリカ及び/又はケイ酸カ
    ルシウムであることを特徴とする請求項8に記載のプレ
    ス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表
    面処理鋼板。
  10. 【請求項10】 防錆添加剤の少なくとも一部が、Ca
    イオン交換シリカ及び/又はケイ酸カルシウムとリン酸
    及び/又はリン酸塩であることを特徴とする請求項8又
    は9に記載のプレス成形性、プレス成形後の外観性及び
    耐食性に優れた表面処理鋼板。
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