JP4300607B2 - 耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車、家電、建材用途等に最適な表面処理鋼板の製造方法に関し、製品を取扱う作業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さらには使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶出などの環境問題に適応するために、製造時および製品中に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀等の重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼板であって、特に、耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことができる経済的な処理方法である。
【0003】
しかし、クロメート処理は公害規制物質である6価クロムを使用するものであるため、処理工程においてクロム酸塩が人体に悪影響を与えること、排水処理後のクロムスラッジの廃棄処理が困難であること、またクロメート処理後の製品から6価クロムが溶出するおそれがあること等、種々の問題を有している。このため、クロム酸類の使用管理基準が厳しくなるにしたがい、クロメート処理工場の管理、排水処理、クロメート処理物による二次汚染等が問題とされ、これに対応して各工場では排水関係をクローズド化し、クロムイオンが外部に排出されるのを極力防止する対策を講じている。また、ユーザーにおいてクロメート処理鋼板に付着した防錆油やプレス油を脱脂する工程で、アルカリ系の脱脂液を用いる際には、脱脂液中へのクロムの溶出がかなり多くなるため、脱脂液の脱クロム処理が必要となる。
【0004】
このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらない無公害な処理技術が数多く提案されている。
このなかで、例えば無機化合物、有機化合物、有機高分子材料或いはこれらを組み合わせた溶液を用い、浸漬、塗布、電解処理等の方法により薄膜を生成させる方法がある。なかでも水ガラスなどのケイ酸塩やケイ酸ゾル、アルキルシリケート或いはシランカップリング剤などを含む溶液を用い、酸化ケイ素からなる皮膜を亜鉛めっき上に形成させる技術は、比較的安価なケイ素を用いていることや、亜鉛の腐食抑制に酸化ケイ素が有効であることなどから比較的有望な方法であると言える。
【0005】
ところが、これら技術のうちアルキルシリケートや一部のシランカップリング剤などは水溶液中で不安定であるため、処理液は溶剤を用いる必要がある。しかし、溶剤を使用した場合、作業環境の悪化、揮発性物質の管理、薬液の安定性などの面で問題が多く、環境への負荷少ない処理液としては水溶液系をベースとすることがより望ましい。
【0006】
ケイ酸塩やケイ酸ゾルを利用し、且つクロム酸塩などの6価クロムを処理液中に含まず、さらに水溶液系の処理液を用いる技術としては、以下のようなものが開示されている。
(1)ジルコン酸または炭酸ジルコニウムのアルカリ性水溶液にキレート化合物、アミン化合物、不働態化剤、ケイ酸塩、リン酸塩を共存させた水溶液を用いる処理法(特開昭50−147442号)
(2)ケイ酸を含む水溶液に、さらにリン酸イオン、モリブデン酸イオンなどを添加した処理液を用いる処理法(特開昭52−90435号)
(3)揮発性塩基を加えてアルカリ性としたケイ酸水溶液にリン酸塩を添加した処理液を用いる処理法(特開昭54−5835号公報)
(4)ケイ素などを含むフルオロ金属酸アニオン、リン含有無機アニオン及び金属カチオン成分からなる水性液状組成物を用いる処理法(特開平7−145486号)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら(1)〜(3)の従来の処理方法では、塩水噴霧試験での白錆発生時間が24時間未満というレベルの耐食性(耐白錆性)しか得られない。また、(1)、(3)の技術では処理液がアルカリ性であるため、酸性処理液に比較して処理液とめっき表面との反応が十分でなく、素地と化成処理層との密着性不良や皮膜の均質性不良などが生じやすい。また、(2)の方法に示されたリン酸及びケイ酸あるいはその他の成分のみでは完全なバリヤー皮膜は確保できず、ミクロな欠陥部が存在してしまう。これらの理由により、上記(1)〜(3)の従来技術では十分な耐食性が得られないものと推定される。
さらに、上記(4)の従来の方法ではSi源としてフッ化物を使用しているが、フッ化物はエッチング性が高く、生成するフッ酸は人体への悪影響も大きいため、作業環境上の面から使用は制限されるべきである。
【0008】
したがって本発明の目的は、クロムを含まない水溶液系の処理液で処理することにより、製造工程や使用する際にも安全、無害であって、しかも優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
[1]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板を素材鋼板とする表面処理鋼板の製造方法において、
(a)シリカおよび/またはシリカゾルをSiO2量として0.001〜3モル/L、
(b)リン酸イオンおよび/またはリン酸化合物をP2O5換算で0.001〜6モル/L、
(c)Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、Ti、Y、Sc、Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ni、Co、Fe、Mnのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3モル/L、
を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液(但し、有機樹脂を含む酸性水溶液を除く)でめっき鋼板を処理し、しかる後、加熱乾燥することによりめっき鋼板表面に膜厚が0.005〜2μmの化成処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0010】
[2] 上記[1]の製造方法において、酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mg、Ca、Sr、Baのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[3] 上記[1]の製造方法において、酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオン、Mgを含む酸化物、Mgを含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0011】
[4] 上記[1]の製造方法において、酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、酸性水溶液中の(c)の添加成分に含まれる金属量換算でのMgとSi量換算でのシリカおよび/またはシリカゾルのモル比[Mg/Si]が100/1〜1/10であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0012】
[6] 上記[2]〜[5]のいずれかの製造方法において、酸性水溶液が、さらに、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を、金属量換算で、金属量換算での(c)の添加成分1モルに対して1/10000〜1モルの範囲で含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法において、めっき鋼板表面を、鉄族金属のうちのいずれかの金属イオン、鉄族金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を金属量換算の合計で0.001〜10g/L含有する水溶液に接触させ、めっき皮膜表面に鉄族金属を金属量換算の合計で0.01〜100mg/m2析出させ、しかる後、酸性水溶液で処理して化成処理皮膜を形成させることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0013】
[8] 上記[7]の製造方法において、鉄族金属がNiであることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかの製造方法において、化成処理皮膜を形成した後、その上層に有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細とその限定理由について説明する。
本発明においてめっき鋼板の化成処理に用いる処理液は、(a)シリカおよび/またはシリカゾルをSiO2量として0.001〜3モル/L、(b)リン酸イオンおよび/またはリン酸化合物をP2O5換算で0.001〜6モル/L、(c)Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、Ti、Y、Sc、Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ni、Co、Fe、Mnのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を、金属量換算の合計で0.001〜3モル/L、を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液である。
【0015】
めっき鋼板をシリカやシリカゾルを単独で含有する処理液で処理しても、十分な耐食性を示す皮膜を得ることができない。これは、シリカやシリカゾルが保水した状態から乾燥される過程でシリカ間の脱水縮合が局部的にしか生じないため、皮膜とはならないためであると考えられる。これに対してリン酸をシリカやシリカゾルとともに処理液に共存させた場合には、シリカやシリカゾルを単独で含有する処理液に較べて耐食性の顕著な向上が認められる。その理由は必ずしも明らかではないが、リン酸イオンまたはリン酸化合物がめっき鋼板のめっき成分(例えば、亜鉛)と難溶性塩を形成し、これがシリカ微粒子を保持するたためである推定される。
【0016】
しかし、上記のようなシリカやシリカゾルを含むリン酸系の皮膜は、シリカやシリカゾルを単独で含有する処理液で処理したものに較べての耐食性は優れているものの、そのレベルは十分なものではない。そこで、シリカおよび/またはシリカゾルとリン酸の2成分に加え、さらなる添加成分について検討を行った。この結果、処理液中に上記(c)の添加成分、すなわち、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、Ti、Y、Sc、Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ni、Co、Fe、Mnのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を適量添加することにより、耐食性がさらに改善されることが判明した。
【0017】
このような添加成分(c)により耐食性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、この添加成分(c)を構成する金属は、いずれもその水酸化物の安定領域がアルカリ領域にあり、さらにその溶解度も比較的低く難溶性塩を形成しやすいため、皮膜中に存在するこれらの成分が、腐食過程においてpHの上昇するサイトに水酸化物として沈着し、腐食反応の抑制に寄与するものと考えられる。
【0018】
処理液中での上記添加成分(c)の添加量は、金属量換算の合計で0.001〜3モル/L、好ましくは0.01〜0.5モル/Lとする。これらの合計の添加量が0.001モル未満では添加による効果が十分に得られず、一方、添加量が3モル/Lを超えると、逆にこれらの成分が皮膜のネットワークを阻害するようになり、緻密な皮膜ができにくくなる。また、金属成分が皮膜から溶出しやすくなり、環境によっては外観が変色するなどの欠陥を生じる。
【0019】
また、上記の添加成分(c)の中でもアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)が耐食性の向上に特に有効であること、また、そのなかでもMgが最も顕著に耐食性を向上させることが判った。このようにMgの添加が最も顕著に耐食性を向上させるのは、Mgは他のアルカリ土類金属に較べて水酸化物の溶解度が低く、難溶塩を形成しやすいためであると考えられる。また、このMgなどのアルカリ土類金属の処理液中での存在形態は酸化物や水酸化物でもよいが、特に優れた耐食性を得るためには金属イオンまたはMgが含まれる水溶性イオンの形態が特に好ましい。
【0020】
また、添加成分(c)中にMgイオン、Mgを含む水溶性イオン、Mgを含む酸化物、Mgを含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上が含まれる場合、特に、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種または2種以上が含まれる場合において、Mgとシリカゾルのモル比と耐食性の関係を調査したところ、添加成分(c)に含まれる金属量換算でのMgとSi量換算でのシリカおよび/またはシリカゾルのモル比[Mg/Si]が100/1〜1/10の範囲において特に優れた耐食性が得られることが判った。
【0021】
図1に、第一リン酸マグネシウム水溶液(太平化学(株)製,Mg含有率3%)とシリカソル(日産化学工業(株)製,スノーテックス−0)の量を変えて、[Mg/Si]のモル比を変化させた処理液を電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:20g/m2)に塗布し、到達板温140℃で乾燥焼付して得られた皮膜(膜厚:約0.4μm,Mg付着量:0.01〜200mg/m2)を有する化成処理鋼板を、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)に供し、96時間後の白錆発生状況を白錆発生面積率で比較した結果を示す。図1の横軸は処理液中のモル比[Mg/Si]を対数で表した。
【0022】
図1によれば、モル比[Mg/Si]を100/1〜1/10の範囲(図中、(1)の範囲)とした時に、皮膜の耐食性が良好となることが判かる。さらに、モル比[Mg/Si]を10/1〜1/5の範囲(図中、(2)の範囲)、5/1〜1/2の範囲(図中、(3)の範囲)とした場合により耐食性が良好となる。 このような結果が得られた理由は必ずしも明らかでないが、モル比[Mg/Si]が1/10未満の場合、Mgの効果が十分得られないか、あるいはSiO2が過剰に存在するため、逆に皮膜のバリヤー性が十分でなくなるなどの理由により、耐食性が低下するものと推定される。また、モル比[Mg/Si]が100/1を超える場合に認められる耐食性の低下は、恐らくシリカによるZnの腐食抑制効果(例えば、ケイ酸イオンのインヒビター効果など)が不十分となるためであると推定される。
【0023】
したがって、添加成分(c)としてMgが含まれる場合には、金属量換算でのMgとSi量換算でのシリカおよび/またはシリカゾルのモル比[Mg/Si]を100/1〜1/10とすることが好ましい。また、モル比[Mg/Si]のより好ましい範囲として、10/1〜1/5、さらに好ましい範囲として5/1〜1/2とする。
【0024】
添加成分(c)を構成する金属の処理液中における形態は、水和イオン、錯イオン、酸化物ゾル、水酸化物ゾルなど水中に溶解または分散し得る状態であればいずれでもよいが、特に、耐食性向上の面からは水和イオン、錯イオンの形態で存在した方が好ましい。
【0025】
この場合、添加成分(C)のイオンを水和イオンまたは錯イオンとして供給する場合には、第一リン酸塩などのリン酸塩として供給するのが好ましい。これは、リン酸塩から供給する場合、酸性水溶液中においても、リン酸と一部金属カチオンが錯イオンを形成しているため、皮膜が形成される過程においても金属カチオンとリン酸の結合が比較的容易に進行するためであると考えられる。
なお、添加成分(c)のイオンを他の金属塩として供給してもよく、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどのアニオンが処理液中に添加されてもよい。
【0026】
本発明で用いる処理液は酸性水溶液である点が重要である。すなわち、処理液を酸性とすることにより亜鉛などのめっき成分が溶解しやすなるため、化成処理皮膜とめっき界面に亜鉛などのめっき成分を含むリン酸化合物層が形成され、これにより両者の界面結合が強化される結果、耐食性に優れた皮膜になるものと推定される。
【0027】
次に、添加成分(a)、(b)について説明する。
添加成分(a)であるシリカおよび/またはシリカゾルとしては、酸性水溶液中で安定な水分散性のシリカ微粒子であればよく、市販のシリカゾルや水分散性のケイ酸オリゴマーなどを用いることができる。但し、ヘキサフルオロケイ酸などのフッ化物は腐食性が強く、人体への影響も大きいため、作業環境への影響などの観点から使用しないことが望ましい。
処理液中でのシリカおよび/またはシリカゾルの添加量はSiO2量として0.001〜3モル/Lとする。シリカおよび/またはシリカゾルの添加量が0.001モル/L未満では添加による効果が十分でなく、耐食性が劣る。一方、添加量が3モル/Lを超えると皮膜の耐水性が悪くなり、結果的に耐食性も劣化する。
【0028】
本発明の効果は所定の粒径を有したシリカ微粒子が皮膜中に共存することにより、はじめて発揮される。その理由は明らかでないが、シリカの粒径により耐食性は変化する。
シリカの粒径としては5〜20nmが好ましく、より好ましくは5〜14nm、さらに好ましくは5〜10nmとする。シリカ粒径が5nm未満では処理液の安定性が十分でなく、ゲル化しやすくなる。また、シリカ粒径が20nmを超えると耐食性が低下する。
【0029】
添加成分(b)であるリン酸イオンおよび/またはリン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸、メタリン酸及びこれらの無機塩(例えば、第一リン酸アルミニウムなど)、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩などのリン酸含有の化合物が、水溶液中で溶解した際に生じるアニオン、あるいは金属カチオンとの錯イオンとして存在している形態、遊離酸として存在している形態、無機塩として水分散状態で存在している形態など全てを含み、本発明におけるリン酸成分の量は酸性水溶液中で存在するこれら全ての形態の合計をP2O5換算として規定する。
【0030】
処理液中でのリン酸イオンおよび/またはリン酸化合物の添加量はP2O5換算で0.001〜6モル/L、好ましくは0.02〜1モル/Lとする。リン酸イオンおよび/またはリン酸化合物の添加量が0.001モル/L未満では添加による効果が十分でなく、耐食性が劣る。一方、添加量が6モル/Lを超えると過剰のリン酸イオンが湿潤環境においてめっき皮膜と反応し、腐食環境によってはめっき素地の腐食を促進し、変色やシミ状錆発生の要因となる。
【0031】
また、添加成分(c)がMgイオン、Mgを含む水溶性イオン、Mgを含む酸化物、Mgを含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上である場合、特に、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種または2種以上である場合、処理液中にはさらに、添加成分(d)として、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を適量添加することができ、このようなの鉄族金属を添加することにより、鉄族金属を添加しない場合に生じる、湿潤環境下におけるめっき極表層の腐食に起因した黒変現象が回避できる。また、これらの鉄族金属のなかでも特にNiの効果が高く、微量でも優れた効果が認められる。但し、Ni、Coなどの鉄族金属の過剰添加は耐食性劣化につながるため、適量の添加が必要である。
【0032】
上記添加成分(d)の添加量としては、金属量換算で、金属量換算での添加成分(c)1モルに対して1/10000〜1モル、望ましく1/10000〜1/100の範囲とすることが好ましい。添加成分(d)の添加量が添加成分(c)1モルに対して1/10000モル未満では添加による効果が十分でなく、一方、添加量が1モルを超えると上記のように耐食性が劣化する。
なお、同様の効果は、後述する化成処理前の表面調整処理(めっき表面に鉄族金属を置換析出させる処理)によっても得られる。
【0033】
処理液中には、上記添加成分(a)〜(d)のほかに、水溶性アゾ系金属染料等などの着色染料、タンニン酸、チオールなどのキレート剤、シランカップリング剤などを、皮膜の緻密性の向上、耐食性の向上、塗装性の向上、可撓性付与等の目的で添加してもよい。さらに、Zn、Mnなどの他の金属カチオン成分や、硝酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどの成分、さらに酸化剤のようなエッチング助剤などを耐食性に影響を及ぼさない限度で適量添加してもよい。
【0034】
処理液(酸性水溶液)のpHは0.5〜5とする。処理液がpH0.5未満では処理液の反応性が高くなり過ぎるため皮膜に微細な欠陥部が形成され、耐食性が低下する。一方、処理液がpH5を超えると処理液の反応性が低くなり、上述したようなめっき方面と皮膜との界面の結合が不十分となり、この場合も耐食性が低下する。
【0035】
本発明では、以上のような酸性水溶液からなる処理液によりめっき鋼板面を処理し、しかる後、加熱乾燥することによりめっき鋼板表面に膜厚が0.005〜2μmの化成処理皮膜を形成する。
化成処理皮膜の膜厚が0.005μm未満では皮膜がめっき表面を均一に被覆することができず、皮膜に局部的な欠陥が生じるため耐食性が不十分となる。一方、膜厚が2μmを超えると、溶接性や皮膜密着性などの耐食性以外の性能が劣化する。
【0036】
本発明において化成処理皮膜を形成するベースとなるめっき鋼板は、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板である。
亜鉛系めっき鋼板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき、合金化溶融亜鉛めっき)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを二層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることができる。また、上記のめっき鋼板は母材鋼板表面に予めNiなどの薄目付けのめっきを施してたものでもよい。
【0037】
また、アルミニウム系めっき鋼板としては、溶融アルミニウムめっき鋼板、電気Al−Mn合金めっき鋼板などが挙げられる。
めっきの方法としては、電解法(水溶液中での電解、非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を用いることができる。
【0038】
めっき鋼板表面に処理液をコーティングする方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式のいずれでもよく、塗布方式ではロールコーター(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理、スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
処理液の温度に特別な制約はないが、常温〜60℃程度が適当である。常温以下では冷却などのための設備が必要となるため不経済であり、一方、60℃を超えると水分が蒸発し易くなるため処理液の管理が難しくなる。
【0039】
上記のように処理液をコーティングした後、通常、水洗することなく加熱乾燥を行うが、本発明で使用する処理液は下地めっき鋼板との反応により難溶性塩を形成するため、処理後に水洗を行ってもよく、本発明法には処理後に水洗を実施する場合も含まれる。
【0040】
コーティングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などの手段を用いることができる。特に、高周波誘導加熱炉は短時間で乾燥が可能である上、素地と皮膜界面を有効に加熱することができるために特に好ましい。
この加熱乾燥処理は到達板温で50〜300℃、望ましくは80〜200℃の範囲で行うことが好ましい。加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、加熱乾燥温度が300℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下する。
【0041】
また、上述した酸性水溶液による化成処理に先立ち、めっき鋼板表面を鉄族金属のうちのいずれかの金属イオン、鉄族金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を適量含有する水溶液(酸性またはアルカリ性水溶液)に接触させ、めっき皮膜表面に鉄族金属を適量析出させる表面調整処理を施すことにより、湿潤環境下におけるめっき極表層の腐食に起因した黒変現象が回避できる。
この表面調整処理に使用する処理液(水溶液)中の鉄族金属(鉄族金属イオンおよび/または鉄族金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン)の添加量は、金属量換算の合計で0.001〜10g/Lとすることが好ましい。鉄族金属の添加量が0.001g/L未満では添加による効果が十分でなく、一方、添加量が10g/Lを超えるとめっき表面と処理液が不均一に反応し、外観不良などの問題を生じやすい。
【0042】
また、この表面調整処理によるめっき皮膜表面での鉄族金属の析出量は、金属量換算の合計で0.01〜100mg/m2とすることが好ましい。めっき皮膜表面に析出する鉄族金属の析出量が0.01mg/m2未満では添加による効果が十分でなく、一方、100mg/m2を超えると外観不良などの問題を生じやすい。
また、処理液中に添加する鉄族金属イオンとしては、Niが最も顕著に耐黒変性を改善する。
【0043】
なお、同様の耐黒変性の改善効果は、電気めっき等によりめっき鋼板を製造する際にめっき浴中にNi、Coなどの成分をイオンとして共存させ、めっき皮膜中にNi、Coなどを1〜5000ppm共析させためっき鋼板(例えば、亜鉛系めっき鋼板)を用いても、同様に得ることができる。
【0044】
本発明により得られる表面処理鋼板は、そのままでも十分に良好な耐食性を有するが、アルカリ脱脂後の耐食性および塗装性を向上させる目的で、化成処理皮膜を形成した後、その上層に有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜を形成させることもできる。この上層皮膜は、シリカなどの防錆顔料、炭化水素化合物、フッ素樹脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、二硫化モリブデン、金属石けん、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコールなどの固形潤滑剤を含んでいてもよい。
【0045】
また、上層皮膜の膜厚(乾燥膜厚)は0.1〜5μm(より好ましくは0.5〜3μm)程度が好ましい。膜厚が0.1μm未満ではアルカリ脱脂後の耐食性向上効果や塗装性向上効果が不十分であり、一方、膜厚が5μm超ではスポット溶接などを必要とする部位に適用できない。
【0046】
本発明では、以上述べたような皮膜をめっき鋼板の両面または片面に形成するものであり、したがって、本発明により得られる表面処理鋼板の形態としては、例えば以下のようなものがある。
(1)片面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜
(2)片面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜−上層皮膜、片面:公知のリン酸塩処理皮膜など
(3)両面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜−上層皮膜
(4)片面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜、片面:めっき皮膜
(5)片面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜
(6)両面:めっき皮膜−本発明による化成処理皮膜
【0047】
【実施例】
[実施例1]
家電、建材、自動車用部品用の表面処理鋼板として、以下のような表面処理鋼板を製造した。
各種めっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理後、水洗乾燥した。次いで、表1〜表3に示す組成およびpHに調整された化成処理用の処理液をロールコーターで塗布し、熱風炉で加熱乾燥した。化成処理皮膜の膜厚は処理液の濃度及び塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。乾燥温度は板温を直接熱電対で測定した。
【0048】
このようにして得られた表面処理鋼板について、耐食性および皮膜密着性を以下の方法で評価した。その結果を、処理原板として使用しためっき鋼板の種類およびめっき付着量、化成処理条件、化成処理皮膜の膜厚とともに表4〜表7に示す。
【0049】
(1)耐食性(耐白錆性)
各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、48時間後の白錆面積率で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:白錆面積率5%未満
○:白錆面積率5%以上、10%未満
△:白錆面積率10%以上、50%未満
×:白錆面積率50%以上
【0050】
(2)密着性(皮膜密着性)
各サンプルについて0T曲げを施した後、その曲げ部をSEMにより観察し、下記の評価基準により化成処理皮膜の密着性を評価した。
○:剥離軽微
×:剥離による化成処理皮膜の欠落が大きい
【0051】
表4〜表7の実施例によれば、本発明法により得られた表面処理鋼板は、いずれも比較例の表面処理鋼板に較べて優れた性能を有している。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
[実施例2]
家電、建材、自動車用部品用の表面処理鋼板として、以下のような表面処理鋼板を製造した。
板厚0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼板に各種めっきを施した表8に示すめっき鋼板を処理原板として用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理後、水洗乾燥し、一部のめっき鋼板については表9に示す処理液を用いてめっき皮膜表面に鉄族金属を置換析出させる表面調整処理(スプレー処理または浸漬処理)を施した後、表10〜表12に示す組成およびpHに調整された化成処理用の処理液をロールコーターで塗布し、熱風炉または高周波誘導加熱炉で加熱乾燥した。乾燥温度は板温を直接熱電対で測定した。
【0060】
また、この後、一部の表面処理鋼板については、化成処理皮膜の上層に有機樹脂皮膜を形成した。
このようにして得られた表面処理鋼板について、皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗装性、耐黒変性、皮膜密着性を以下の方法で評価した。その結果を、処理原板として使用しためっき鋼板の種類、表面調整処理条件、化成処理条件、化成処理皮膜の膜厚とともに表13〜表22に示す。
【0061】
(1) 皮膜外観
各サンプルについて皮膜外観の均一性(ムラの有無)を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ムラなし
×:ムラが認められる
【0062】
(2) 耐白錆性
各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、48時間後および72時間後の白錆面積率で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:白錆面積率5%未満
○:白錆面積率5%以上、10%未満
△:白錆面積率10%以上、50%未満
×:白錆面積率50%以上
【0063】
(3) アルカリ脱脂後の耐白錆性
各サンプルについてアルカリ脱脂処理(処理液:日本パーカライジング(株)製“CLN−364S”)を行った後、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、48時間および72時間後の白錆面積率で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:白錆面積率5%未満
○:白錆面積率5%以上、25%未満
△:白錆面積率25%以上、50%未満
×:白錆面積率50%以上
【0064】
(4) 塗装性(塗料密着性)
各サンプルについてメラミン系の塗料(膜厚30μm)を塗装、焼付した後、沸水中に2時間浸漬し、その後直ちに碁盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入れて粘着テープによる剥離試験を行い、塗膜の剥離の程度で塗装性を評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:剥離なし
○:剥離面積率5%未満
△:剥離面積率5%以上、20%未満
×:剥離面積率20%以上
【0065】
(5) 耐黒変性
各サンプルを80℃、湿度95%以上の湿潤環境下において24時間保持し、この湿潤試験前後におけるサンプルの白色度の変化量により耐黒変性を評価した。その評価基準は以下の通りである。
○:優れる(L値の変化≧−2)
×:劣る(L値の変化<−2)
(6)密着性(皮膜密着性)
各サンプルについて0T曲げを施した後、その曲げ部をSEMにより観察し、下記の評価基準により化成処理皮膜の密着性を評価した。
○:剥離軽微
×:剥離による化成処理皮膜の欠落が大きい
【0066】
表13〜表22の実施例によれば、本発明法により得られた表面処理鋼板は、いずれも比較例の表面処理鋼板に較べて優れた性能を有している。
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
【表16】
【0076】
【表17】
【0077】
【表18】
【0078】
【表19】
【0079】
【表20】
【0080】
【表21】
【0081】
【表22】
【0082】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、クロムを含まない水溶液系の処理液で処理することにより、製造工程や使用工程の際にも安全、無害であって、しかも優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸性水溶液中のモル比[Mg/Si]と耐白錆性との関係を示すグラフ
Claims (9)
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板を素材鋼板とする表面処理鋼板の製造方法において、
(a)シリカおよび/またはシリカゾルをSiO2量として0.001〜3モル/L、
(b)リン酸イオンおよび/またはリン酸化合物をP2O5換算で0.001〜6モル/L、
(c)Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、Ti、Y、Sc、Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ni、Co、Fe、Mnのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を、前記金属の金属量換算の合計で0.001〜3モル/L、
を含有するpH0.5〜5の酸性水溶液(但し、有機樹脂を含む酸性水溶液を除く)でめっき鋼板を処理し、しかる後、加熱乾燥することによりめっき鋼板表面に膜厚が0.005〜2μmの化成処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 - 酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mg、Ca、Sr、Baのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオン、Mgを含む酸化物、Mgを含む水酸化物からなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 酸性水溶液中の(c)の添加成分が、Mgイオン、Mgを含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 酸性水溶液中の(c)の添加成分に含まれる金属量換算でのMgとSi量換算でのシリカおよび/またはシリカゾルのモル比[Mg/Si]が100/1〜1/10であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 酸性水溶液が、さらに、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を、金属量換算で、金属量換算での(c)の添加成分1モルに対して1/10000〜1モルの範囲で含有することを特徴とする請求項2、3、4または5に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- めっき鋼板表面を、鉄族金属のうちのいずれかの金属イオン、鉄族金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンからなる群の中から選ばれる1種以上を金属量換算の合計で0.001〜10g/L含有する水溶液に接触させ、めっき皮膜表面に鉄族金属を金属量換算の合計で0.01〜100mg/m2析出させ、しかる後、酸性水溶液で処理して化成処理皮膜を形成させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 鉄族金属がNiであることを特徴とする請求項7に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
- 化成処理皮膜を形成した後、その上層に有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮膜を形成することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
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