JP3405260B2 - 有機複合被覆鋼板 - Google Patents

有機複合被覆鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材といった用途に適当な、亜鉛系めっき鋼板 (亜鉛めっ
き鋼板および亜鉛合金めっき鋼板を含む) 、特に溶融亜
鉛系めっき鋼板を母材とする表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板の防錆処理としては、
従来よりクロメート処理が広く用いられてきた。しか
し、6価クロムが人体に有害であることが問題視される
ようになってきた。特に近年では、地球環境問題から6
価クロムを規制する動きが加速されているため、6価ク
ロムフリー、さらには完全にクロムフリーの防錆処理の
開発が望まれている。
【0003】この要請に対し、従来からクロムフリーの
防錆処理の開発例があるが、特に近年は、樹脂を主成分
とし、必要により他の有機もしくは無機成分を添加した
皮膜を形成する有機複合被覆鋼板の開発例が多い。
【0004】例えば、特開平8−232076号、同8−2320
77号、同10−251864号、同10−251865号各公報に記載の
珪酸エステルとアルミニウム塩とその他成分からなる皮
膜を形成する方法や、特開平5−195244号公報、同7−
145486号公報記載のフッ化物、リン酸、金属イオン、樹
脂等からなる皮膜を被覆する方法、特開平8−73775号
公報記載のシランカップリング剤から形成される皮膜を
被覆する方法、特開平10−251509号公報記載の樹脂、ポ
リアニリン、無機酸化物からなる皮膜を被覆する方法、
特開平10−337530号公報記載の樹脂と希土類化合物とを
含む皮膜を形成する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、クロメート
処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板の課題として、高温多
湿環境に保持された場合、特にコイルのように、めっき
表面が密着した状況において、めっき表面が黒く変色す
る現象 (以下、黒変という) があり、商品価値が著しく
低下することがある。本発明者らが、種々のクロムフリ
ー処理について検討したところ、有機複合皮膜を形成し
た場合にも、同様な黒変が発生することが認められた。
ところが、上記の従来技術においては、耐黒変性につい
ては何ら検討されていない。
【0006】この黒変現象を抑制する技術としては、ク
ロメート処理の場合には、特開昭51−177381号公報記載
の、めっき後にNi、Coを薄くめっきしてからクロメート
処理を施すという技術がある。しかし、析出したNi、Co
は、めっき皮膜のZnと局部電池を形成するため、耐食性
(耐白錆性) の劣化を生ずる傾向がある。クロメート皮
膜の場合、皮膜の持つ優れた自己修復性能性により、耐
食性劣化を最小限度におさえることが可能だが、クロム
フリーの有機複合被覆鋼板では、耐食性劣化が大きく、
実用に供することができなかった。
【0007】従来文献 [例えば、内田ほか、日新製鋼技
報、51、p.29(1984)] によると、上記の黒変現象は、め
っき表層の亜鉛の酸欠錆と関連があり、表面の酸化皮膜
は黒変に影響せず、めっき皮膜中のAlの表層への拡散が
黒変に悪影響を及ぼすと報告されている。
【0008】但し、めっき表面を完全に酸化してしまう
と、上層皮膜との密着性が劣化する、あるいは処理液そ
のものをはじいてしまうことが経験的に知られている。
本発明は、亜鉛系めっき鋼板、特に溶融亜鉛系めっき鋼
板を母材として、耐食性、密着性、耐黒変性を兼ね備え
たクロムフリーの有機複合被覆鋼板を開発することを課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クロムフ
リー処理を施す際に、耐食性を確保できる皮膜であるこ
とを前提として、さらにめっき表面の酸化状態を抑制
し、かつ処理皮膜成分をめっきとの密着性を向上させる
ような成分構成とすることにより、上記課題を解決すべ
く検討を重ねた結果、シリカ質成分と有機樹脂を主成分
とするシリカ−有機樹脂複合皮膜に少量のリン酸類およ
びフッ化物類を含有させることが有効であることを知
り、本発明に至った。
【0010】本発明は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、フ
ッ素を 0.5〜5at%、リンを 0.5〜5at%含有し、かつ
クロムフリーであるシリカ−有機樹脂複合皮膜を 0.2〜
1.5g/m2の付着量で設けたことを特徴とする、耐食性、
皮膜密着性、耐黒変性有機複合被覆鋼板である。
【0011】
【発明の実施の形態】亜鉛系めっき鋼板 本発明の有機複合被覆鋼板の母材は、任意の亜鉛系めっ
き鋼板、即ち、亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼
板でよく、めっき方法は電気めっきと溶融めっきのいず
れでもよい。
【0012】しかし、本発明の主目的として、溶融亜鉛
めっき鋼板で顕著な黒変現象を抑制することがある。こ
の目的からは、特に黒変現象が顕著に見られる、めっき
皮膜中のAl含有量が0.05〜10重量%の溶融亜鉛系めっき
鋼板に本発明を適用することが有利である。具体的に
は、めっき浴中の有効Al濃度 (= [浴中Al濃度] − [浴
中Fe濃度])が0.08〜0.20%の条件で製造される溶融亜鉛
めっき鋼板、これを熱処理して合金化した合金化溶融亜
鉛めっき鋼板、さらにはAlを約5%含む溶融5%アルミ
ニウム−亜鉛合金めっき鋼板が母材鋼板として好まし
い。
【0013】めっき付着量は特に制限されず、従来と同
様でよい。溶融亜鉛系めっき鋼板の場合、めっき付着量
は片面当たり40〜150 g/m2の範囲が一般的である。な
お、めっきは片面めっきであってもよいが、一般的には
両面めっきである。
【0014】本発明によれば、この母材の表面、即ち、
亜鉛系めっき皮膜の上にじかに、シリカ質成分と有機樹
脂を主成分とし、少量のフッ素とリンを含有するシリカ
−有機樹脂複合皮膜 (以下、シリカ−有機複合皮膜とい
う) を形成する。もちろん、その前に、母材の亜鉛系め
っき鋼板に、クロメート処理またはリン酸亜鉛処理とい
った適当な下地化成処理を施すことも可能であるが、本
発明では、このような処理、特にクロメート処理を行わ
ずに亜鉛系めっき鋼板の防錆能を高めることが主目的で
あるためである。
【0015】本発明に係るシリカ−有機複合皮膜は、有
機樹脂とそれ以外の成分の供給源を含有する処理液を母
材に塗布し、そのまま塗膜を焼付けて乾燥することによ
り形成される。次にこれらの成分について説明する。
【0016】有機樹脂 有機樹脂は上記複合皮膜の主成分である。樹脂種は、焼
付け硬化型であれば特に制限されない。例えば、アクリ
ル系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、フェ
ノール系等が使用できる。樹脂液は、例えば、アルコー
ル等の水混和性有機溶剤を用いた有機系とすることも可
能であるが、水性系の樹脂液 (水溶性樹脂または水分散
性もしくはエマルジョン型樹脂を使用) とする方が好ま
しい。
【0017】シリカ質成分 シリカ質成分は、樹脂に次ぐ皮膜の主成分であり、樹脂
とシリカ質成分とでめっき皮膜の表面に、これを周囲環
境から遮断するバリア皮膜を形成する。シリカ質成分
は、乾燥後にシリカ質皮膜を形成できる任意の珪酸化合
物および関連化合物から誘導することができる。即ち、
このような化合物を処理液に添加すればよい。一般にシ
リカ質皮膜を形成できる材料は、Si−O結合を介して樹
脂およびシリカ質成分同士と結合することで、皮膜を強
化し、かつめっき皮膜との密着性を高めるので、従来よ
り鋼板の表面処理液に使用されてきた。
【0018】この種の材料の具体例として、コロイダル
シリカ(湿式シリカ、シリカゾル)、乾式シリカ(気相
シリカ、フュームドシリカ)、シランカップリング剤、
珪酸金属塩 (例、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム等) 、
珪酸エステル (例、エチルシリケート) などが挙げられ
る。また、樹脂としてシリカ変性またはシリコーン変性
された樹脂を用いる場合には、この樹脂の変性部分をシ
リカ質成分として利用できる。即ち、この場合の樹脂
は、樹脂成分とシリカ質成分を兼ねる。
【0019】本発明においては、めっき皮膜との密着性
を向上させる目的で、珪酸化合物の一部または全部とし
てシランカップリング剤を使用することが好ましい。特
に好ましいシランカップリング剤は、使用する樹脂と反
応性の官能基を有するものである。反応の種類は、重合
反応、縮合反応、付加反応等でよく、特に制限されな
い。例えば、樹脂とシランカップリング剤の一方がカル
ボキシル基を有し、他方がアミノ基を有していると、縮
合反応により形成されたアミド結合を介して樹脂とシラ
ンカップリング剤が強固に結合し、皮膜がより強化され
ると共に、めっき皮膜との密着性も高まる。このような
互いに反応性の官能基の組合わせは、アミノ基、水酸基
および/もしくはカルボキシル基とエポキシ基との組合
わせ、水酸基および/もしくはスルホ基とカルボキシル
基との組合わせ、ビニル基同士の組合わせ等、他にも可
能である。従って、樹脂中の官能基に応じて、これと反
応性の適当な官能基を持つシランカップリング剤を選択
すればよい。
【0020】具体例を示すと、ビニル基を有するアクリ
ル系樹脂に対しては、同じビニル基を有するビニルトリ
メトキシシランといったシランカップリング剤が反応性
を有する。また、アクリル系樹脂がカルボン酸基を有す
る (酸価を有する) ものである場合には、アミノ基を有
するシランカップリング剤も反応性がある。フェノール
樹脂や一部のアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等のよ
うに水酸基を有する樹脂に対しては、例えば、エポキシ
基を有するシランカップリング剤が反応性がある。
【0021】シリカ質成分の皮膜中の含有量は、SiO2
算で10〜30wt%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜
25wt%である。なお、樹脂がシリカもしくはシリコーン
変性樹脂の場合には、樹脂中の変性部分のシリカ換算含
有量もこの量に含める。シリカ質成分の含有量が10wt%
未満または30wt%超であると、耐食性が劣化する傾向が
あり、また10wt%未満では皮膜密着性も低下する。
【0022】シリカ質成分が、例えば気相シリカのよう
に、水性系では分散させにくいものである場合には、必
要に応じて、予めアルコール等の水混和性有機溶媒に分
散させてから加えることができる。この場合、皮膜中に
有機溶媒が残存しないように、できるだけ低沸点の溶媒
を使用することが好ましい。
【0023】リン リンは、各種リン酸またはその塩を処理液に添加するこ
とにより、皮膜中に存在させることが好ましい。リン酸
は、オルトリン酸のほか、メタリン酸、ポリリン酸、亜
リン酸 (ホスホン酸) 、次亜リン酸 (ホスフィン酸) な
どでもよい。
【0024】シリカ−有機複合皮膜が、このようなリン
酸類から誘導されたリンを含有することにより、皮膜の
バリア効果がより高まり、耐食性が改善される。そのた
めには、皮膜中のP含有量が 0.5〜5at%の範囲となる
ようにリン酸類を添加する。これより少量では上記の効
果が不足し、多すぎると耐黒変性の低下が認められる。
好ましいP含有量は1〜4at%である。なお、皮膜中の
各元素の含有量は、皮膜をXPS (X線光電子分光法、
ESCA) で分析することにより決定できる。
【0025】フッ素 フッ化物が処理液中に存在していると、処理中にめっき
皮膜の表面がエッチングされ、めっき皮膜との密着性が
増し、耐食性が向上する。フッ化物は、皮膜中のFが
0.5〜5at%となる範囲で添加する。これより少量では
効果がほとんどなく、過添加では、耐黒変性および耐食
性が劣化する。好ましいF含有量は1〜4at%である。
【0026】フッ化物としては、フッ酸 (またはその
塩) のほか、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸 (また
はその塩) 、ケイフッ酸などの錯フッ化物が挙げられ
る。
【0027】その他の成分 本発明の有機複合被覆鋼板の性能、特に耐食性や耐黒変
性に顕著な劣化を生じない限り、他の任意の添加剤をシ
リカ−有機複合皮膜中に存在させることができる。この
ような添加剤の例には、消泡剤、乳化剤、防錆剤等があ
る。また、ワックス等の固形潤滑剤を添加して、潤滑性
を付与することもできる。さらに、シランカップリング
剤の一部に代えて、チタネートカップリング剤やアルミ
ニウムアルコキシド等を使用すると、コスト高になり、
処理液寿命にも問題を生ずるものの、耐食性は向上す
る。なお、珪酸塩、リン酸塩、フッ化物塩などとして金
属元素が皮膜中に導入される場合があるが、これも耐食
性や耐黒変性に対し悪影響を及ぼさない限り許容され
る。
【0028】以上の成分を溶媒に溶解または分散させて
処理液を調製する。各成分とも1種もしくは2種以上を
使用できる。得られた処理液を母材の亜鉛系めっき鋼板
のめっき皮膜上に塗布し、直ちに焼付け・乾燥すると、
本発明の有機複合被覆鋼板が得られる。処理液中の各成
分の配合割合や焼付け温度等は、当業者であれば容易に
決定できる。塗布方法も特に制限されないが、工業的に
はロール塗布、噴霧、浸漬等が一般的である。
【0029】母材が両面めっき鋼板の場合、この複合皮
膜を両面に形成することが防食効果の点からは好ましい
が、片面だけに形成し、他面はめっき皮膜のままか、別
の防食皮膜を形成することも可能である。
【0030】シリカ−有機複合皮膜の付着量は、要求さ
れる性能レベル (主に耐食性) により異なるため一概に
決められないが、 0.2〜1.5 g/m2の範囲内が適当であ
る。薄すぎると、十分な耐食性が得られず、厚すぎる
と、性能が飽和してコスト高につながる上、導電性の低
下により抵抗溶接性が低下する。仮にこの皮膜の比重を
1とすれば、上記の付着量は膜厚 0.2〜1.5 μmに相当
し、非常に薄膜であるが、本発明の皮膜が非常に緻密で
あるので、このような薄膜でも高いバリア効果を示すこ
とができる。好ましい付着量は 0.3〜1.0 g/m2である。
【0031】本発明の有機複合被覆鋼板は、上記のよう
に耐食性と耐黒変性に優れている上、シリカ−有機複合
皮膜の膜厚が非常に薄いので、溶接性も良好であり、ま
たこの皮膜の密着性が高いので加工性も良好である。こ
の有機複合被覆鋼板は、そのまま無塗装で使用すること
ができるが、所望により塗装を施してもよい。その場
合、リン酸亜鉛処理などの適当な塗装前処理を施しても
よい。本発明の有機複合被覆鋼板は塗料との密着性にも
優れており、高い塗膜密着性を与えることができる。以
上より、本発明の有機複合被覆鋼板は、自動車、家電、
建材といった各種用途に有用であることは明らかであ
る。
【0032】
【実施例】母材として、両面溶融亜鉛めっき鋼板 (浴中
有効Al濃度=0.12%、めっき皮膜中Al含有量=0.6 %、
片面当たりめっき付着量=110 g/m2、以下GI) および
両面溶融5%Al−Znめっき鋼板 (片面当たりめっき付着
量=110 g/m2、以下GF)を用いた。
【0033】母材めっき鋼板を弱アルカリ性脱脂液で脱
脂した後、その両面に、表1に示す割合の樹脂 (アクリ
ル系またはフェノール系) とシリカ質成分化合物 (シリ
カ、シランカップリング剤、珪酸塩) 、およびオルトリ
ン酸とフッ酸を含有する水性処理液をバーコーターにて
塗布し、最高到達温度が100 ℃となるように焼付け、シ
リカ−有機複合皮膜を形成した。使用したアクリル系樹
脂はカルボキシル基と水酸基を官能基として含有する
が、一部ではアミノ変性したアクリル系樹脂を使用し
た。同様に、フェノール系樹脂は水酸基を官能基として
含有するが、一部ではさらにスルホ基またはアミノ基を
含有するように変性したフェノール系樹脂を使用した。
【0034】複合皮膜中のシリカ質成分の含有量 (SiO2
換算量) は、処理液への添加量から、樹脂との合計量に
基づいて算出した。複合皮膜の付着量は、蛍光X線装置
にて皮膜中のSi強度を測定し、この測定値と上記のシリ
カ質成分の含有量とから求めた。また、皮膜中フッ素お
よびリンは、表面のXPS分析結果から求めた。以上の
結果を表1に示す。
【0035】得られた有機複合被覆鋼板の各サンプルの
耐食性、耐黒変性、導電性を以下の方法で調査した。比
較のために、母材がGI+Niめっき (GIをNi2+水溶液
に浸漬して、Niを約1g/m2の付着量で置換析出させたも
の) であるもの (これに上記のと同様にシリカ−有機複
合被覆を形成したもの) 、およびGIのクロメート処理
品 (GIを市販の反応型クロメート (酢酸クロメート)
液にて処理し、Cr換算で10 mg/m2のクロメート皮膜を形
成したもの) についても、同様に調査を行った。これら
の試験結果も表1に併せて示す。
【0036】耐食性 有機複合被覆鋼板のサンプルの端面をポリエステルテー
プで被覆した後、塩水噴霧試験 (JIS Z2371 に準拠) に
72時間供し、サンプル表面の白錆発生面積率で評価し
た。
【0037】耐黒変性 有機複合被覆鋼板のサンプル表面を、厚さ約20μmの透
明なポリエステルテープで被覆し、予め表面の明度 (JI
S-Z8370 に規定されるL*) を測定した。このサンプル
を、恒温恒湿器 (60℃、85%RH) に1週間保持したの
ち、再びL*を測定した。このときのΔL* [ L*(試験後)
−L* (試験前)]で評価した。こうして求めたΔL*が−8
以下になると、目視でも明らかに黒変していた。
【0038】導電性 SQメータ (荷重300 g)を用いて、表面の電気抵抗値を
測定した。この電気抵抗値が1000Ωを超えると、実用上
スポット溶接が困難である。
【0039】
【表1−1】
【0040】
【表1−2】
【0041】この表からわかるように、本発明の有機複
合被覆鋼板は、耐食性に関して反応型クロメート皮膜を
形成した場合と同レベル (塩水噴霧72時間で白錆20%)
またはそれ以上の性能を示す。特に、シリカ質成分の少
なくとも一部を、樹脂と反応性の官能基を有するシラン
カップリング剤から形成したときに、非常に優れた耐食
性 (塩水噴霧72時間で白錆5%以下) を示すことがわか
った。耐黒変性に関しては、本発明の有機複合被覆鋼板
は、若干の明度低下( |L*|=5前後またはそれ以下)
が認められるが、十分実用に耐えうるレベルであった。
【0042】一方、複合皮膜中のシリカ質成分、リン、
フッ素の少なくとも1成分が本発明の範囲外になると、
耐食性または耐黒変性のいずれかが劣った。この皮膜の
付着量が0.2 mg/m2 未満では耐食性に劣り、1.5 g/m2
のとき表面の導電性に劣った。また黒変抑制技術である
下地Niめっき処理では、黒変性の改善効果はあるが、そ
の上に本発明と同様のシリカ−有機複合皮膜を形成して
も、耐食性の劣化が著しかった。これはNiめっき自体
が、前述したように局部電池作用により亜鉛系めっきの
耐食性を大きく低下させてしまうからである。
【0043】
【発明の効果】本発明により、耐食性と耐黒変性に優
れ、かつ環境への負荷の少ないクロムフリー有機複合被
覆鋼板が提供される。この有機複合被覆鋼板は、溶接可
能であり、塗装性も良好であるので、自動車、家電製
品、建材などをはじめとする各種用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B05D 1/00 - 7/26 C23C 30/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の表面に、フッ素を
    0.5〜5at%、リンを0.5〜5at%含有し、かつクロムフ
    リーであるシリカ−有機樹脂複合皮膜を 0.2〜1.5 g/m2
    の付着量で設けたことを特徴とする、耐食性、皮膜密着
    性、耐黒変性有機複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 皮膜中のシリカ質成分の含有量がSiO2
    算で10〜30wt%の範囲である、請求項1記載の有機複合
    被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板のめっき皮膜中のAl含
    有量が0.05〜10wt%である、請求項1または2記載の有
    機複合被覆鋼板。
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