JP3900070B2 - 亜鉛系めっき鋼板のノンクロム処理 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板のノンクロム処理 Download PDF

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品、配電盤、電話交換機パネル、自動車部品、建材などに使用される素材として好適な、ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板に関する。本発明はまた、そのためのクロムを含有しない処理液と、それを使用して表面処理した、ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
純亜鉛または亜鉛合金のめっきが施された亜鉛系めっき鋼板(本発明では、亜鉛めっき鋼板と亜鉛合金めっき鋼板を総称して、亜鉛系めっき鋼板という)は、塗装と無塗装を問わず、耐食性を高める目的でクロメート処理が施されることが多く、特に家電製品用亜鉛系めっき鋼板等ではそうである。
【0003】
しかし、この処理に使用するクロメート処理液が人体に有害な6価クロムを含有し、処理時の作業環境面と排液処理面で不利であること、クロムを含有する材料の廃棄が面倒であること、などの理由で、亜鉛系めっき鋼板の表面処理にクロムを含まない処理液を使用することが推奨されるようになってきた。
【0004】
無塗装の場合のクロメート処理に代わる表面処理方法として、多価フェノールカルボン酸を有効成分とするタンニン酸を含む処理液による処理がよく知られている。タンニン酸水溶液で金属材料を処理すると、タンニン酸と金属材料表面との反応により形成される保護皮膜が、腐食物質の侵入に対するバリアーとなるので、金属材料の耐食性が向上する。しかし、近年の金属製品の高品質化に伴い、皮膜自体に高耐食性が要求されており、タンニン酸単独、もしくはこれに無機成分を併用して得られる皮膜では、耐食性が不十分で、現状における実用化は不可能である。
【0005】
金属材料の耐食性を向上させる処理方法として、特許文献1に、水分散性シリカと、アルキド樹脂と、トリアルコキシシラン化合物とを含む水溶液を金属表面に塗布し、乾燥して、皮膜を形成する方法が開示されている。また、ヒドロキシスチレン化合物の水溶性または水分散性重合体を用いて金属材料に耐食性を付与する方法が特許文献2等に開示されている。しかし、何れの方法も、クロメート皮膜の代替となるような高い耐食性を付与できる皮膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に形成し得るものではない。
【0006】
特許文献3には、金属材料の表面に、反応性官能基を有するシランカップリング剤成分とヒドロキシスチレン化合物構造の水溶性重合体とからなる第1層と、その上の第2層として、シリカを含有する樹脂皮膜とを形成した有機複合被覆金属材料が記載されている。しかし、この表面処理では、十分な耐食性や上塗り塗装性を確保するには、第1層と第2層の別々の塗布および焼付き作業(2コート・2ベーク)が必要となり、作業工程が非常に煩雑となる。この公報に従来技術として説明されているように、第1層に使用する水溶性重合体は、それ単独ではクロメートに匹敵するような優れた耐食性を付与することができないため、第2層のシリカ含有樹脂皮膜が必要であった。また、樹脂を含む皮膜を2層も形成するため、溶接性が著しく阻害されるという欠点もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭53−121034号公報
【特許文献2】
特開平1−177380号公報
【特許文献3】
特開平11−276987号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、クロムを使用せずに、クロメート皮膜に匹敵し得るか、それを凌ぐような耐食性を付与することができ、かつ溶接性に優れ、上塗り塗装性も良好な皮膜を形成できる、亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液は現状では開発されていない。
【0009】
本発明の課題は、亜鉛系めっき鋼板に、クロメート皮膜の代替となりうる優れた優れた性能(耐食性、上塗り塗装性、溶接性)を発揮できる、クロムを含まない皮膜を設けたノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板と、その製造方法およびそのための処理液を安価な手段で提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来のクロメート皮膜と同等以上の性能を有する皮膜を、クロムを全く含有しない処理液により形成可能とするため、処理液の組成について鋭意検討した。その結果、そのような皮膜が特定の樹脂の使用により形成できることを確認した。また、さらに優れた性能を発揮させるには、その樹脂に加えて、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方を、必要に応じてシランカップリング剤と共に、使用することが有効であることも見出して、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、下記一般式(1) で示される反復単位を有する、平均重合度2〜50の重合体分子からなる水溶性樹脂(a) と、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方(b) とを含有し、クロムを含有しない、pH 2.0〜6.5 の水溶液からなる、亜鉛系めっき鋼板を表面処理するための処理液である。
【0012】
【化3】
Figure 0003900070
【0013】
式中、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、または下記式(2) もしくは(3) で表されるZ基を意味し
【0014】
【化4】
Figure 0003900070
【0015】
式(2) および(3) 中のR1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 アルキル基またはC1〜C10 ヒドロキシアルキル基を表し、
前記重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の平均置換数は 0.2〜1.0 である。
【0016】
この処理液は、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する1種以上のシランカップリング剤(c) を、(a) との合計量に対して10〜90質量%の量でさらに含有していてもよい。
【0017】
上記処理液中のチタン化合物およびジルコニウム化合物(b) の合計量は、処理液1kg当たり0.0010モル以上の量とすることが好ましい。
別の側面からは、本発明は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、上記処理液から形成された乾燥皮膜を有することを特徴とする、ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板である。乾燥皮膜の付着量は好ましくは10〜1000 mg/m2の範囲内である。
【0018】
さらに別の側面からは、本発明は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、上記処理液を塗布し、次いで乾燥を行うことを特徴とするノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法である。乾燥は50〜200 ℃の温度で行うことが好ましい。ここで、乾燥温度は到達板温度を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に説明する。本明細書において組成等の割合を示す「%」は、特にことわりがない限り「質量%」である。
【0020】
本発明に係る処理液は、下記一般式(1) で示される反復単位を有する重合体分子からなる水溶性樹脂(a) から構成される。この水溶性樹脂(a) は、平均重合度(n) が2〜50のオリゴマーまたはポリマーである。
【0021】
【化5】
Figure 0003900070
【0022】
式中、ベンゼン環の任意の位置に結合しうるY1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、または下記式(2) もしくは(3) により表されるZ基を意味する。
【0023】
【化6】
Figure 0003900070
【0024】
式(2) および(3) 中のR1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 のアルキル基またはC1からC10 のヒドロキシアルキル基を表し、
前記重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の平均置換数は 0.2〜1.0 である。
【0025】
Z基中に存在する置換基R1〜R5の炭素数が11以上になると、処理液の成膜性が低下するため、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、上塗り塗装性が不十分になる。この置換基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。
【0026】
ベンゼン環当たりのZ基の平均置換数が0.2 未満であると、樹脂の基体表面への密着性が不十分となり、塗装性が悪くなる。また、この平均置換数が1.0 を越える (即ち、平均して各ベンゼン環に1個より多いZ基が置換する) と、樹脂の親水性が大きくなりすぎ、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性が不十分となる。平均置換数は、好ましくは 0.3〜0.7 である。置換基が式(3) で示されるイオン性のアンモニウム基である場合には、平均置換数は0.5 未満とすることが好ましい。
【0027】
上記水溶性樹脂は、前述した特許文献3にも開示されているが、この特許文献では第1層皮膜の形成材料として該樹脂を利用するにすぎない。この第1層皮膜の上に、シリカを含有する水不溶性の樹脂皮膜を形成するツーコート・ツーベークで、耐食性や上塗り塗装性を確保している。従って、この水溶性樹脂を含む皮膜だけでは耐食性や上塗り塗装性は不十分である。
【0028】
これに対し、本発明では、上記水溶性樹脂に、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方と、好ましくはさらに官能基を含有するシランカップリング剤とを添加した処理液とすることにより、この処理液から形成した皮膜のみ(つまり、ワンコート・ワンベーク)で、耐食性や上塗り塗装性がクロメート皮膜なみに優れた皮膜を形成することができる。上記水溶性樹脂は、乾燥すると水不溶性になる。
【0029】
チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) は、主に耐食性の改善のために添加する。使用できるチタン化合物としては、たとえば硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモニウムなどの水溶性無機チタン化合物、しゅう酸チタンカリウム、クエン酸チタンなどの有機酸チタン塩、さらにはチタンアルコキシドなどが挙げられる。また、チタネート系カップリング剤もチタン化合物として使用できる。ジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ジルコンフッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウムなどの水溶性無機ジルコニウム化合物や、プロピオン酸ジルコニウムのほか、酢酸ジルコニウムなどの有機酸ジルコニウム塩や、ジルコニウムアルコキシド、ジルコネート系カップリング剤などが挙げられる。
【0030】
チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) の合計量は、処理液1kgあたり、0.0010モル以上の量とすることが好ましい。チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) の合計量が0.0010モル未満では、その添加効果が発現せず、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性が不十分となる。チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) の合計量の上限は特に制限されないが、多すぎても効果が飽和するため、通常は処理液1kg当たり0.1 モル以下とすることが好ましい。チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) のより好ましい合計量は、処理液1kg当たり0.0050〜0.050 モルである。
【0031】
本発明に係る処理液は、耐食性のさらなる改善のため、シランカップリング剤(c) をさらに含有していてもよい。シランカップリング剤(c) は、1分子中に反応性官能基として活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少なくとも1の官能基を含むものであればよく、特に構造は限定されないが、具体的に例を挙げれば以下の▲1▼〜▲5▼のような組成のものを使用することができる。
【0032】
▲1▼アミノ基を有するもの:N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
▲2▼エポキシ基を有するもの:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン;
▲3▼ビニル基を有するもの:ビニルトリエトキシシラン;
▲4▼メルカプト基を有するもの:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン;
▲5▼メタクリロキシ基を有するもの:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン。
【0033】
本発明で用いるシランカップリング剤(c) は、1以上の活性水素含有アミノ基またはメルカプト基を有する1種以上のシランカップリング剤(ア) と、1以上のエポキシ基を有する1種以上のシランカップリング剤(イ) との混合物であることが好ましい。その場合、(ア) と(イ) の2種類のシランカップリング剤の配合割合は、シランカップリング剤混合物中に含まれる活性水素含有アミノ基またはメルカプ基のエポキシ基に対する当量比が3:1〜1:3の範囲となるようにすることが好ましい。この当量比が3:1〜1:3の範囲外である場合、処理液の成膜性が悪く、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、上塗り塗装性が不十分になることがある。
【0034】
シランカップリング剤(c) を含有させる場合、水溶性樹脂(a) との合計量に対するシランカップリング剤(c) の含有量が10%〜90%となる割合とすることが好ましく、より好ましくは20%〜50%である。シランカップリング剤(c) の含有量が10%より少ない場合、皮膜の基体表面との接着力が低下するため、耐食性、塗装性が不十分になることがある。逆に、シランカップリング剤(c) の含有量が90%より多いと、処理液の成膜性が低下し、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、上塗り塗装性が不十分となることがある。
【0035】
本発明に係る処理液のpHは 2.0〜6.5 である。pHが2.0 より小さい処理液は、基体表面との反応性が過度に高くなり、被覆不良が発生して、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、塗装性、加工性などが不十分になる。処理液のpHが6.5 を越えると、水溶性樹脂(a) 自体が処理液中から沈殿析出し易くなるため、処理液の寿命が短くなる。処理液pHは好ましくは 3.0〜6.0 、より好ましくは 3.5〜5.5 の範囲内である。処理液のpHは、必要であれば、適当な酸または塩基を添加して調整することができる。酸として、りん酸、酢酸、硝酸等を使用することが好ましく、塩基としてはアンモニア水を使用することが好ましい。
【0036】
処理液は、水溶性樹脂(a) が水に溶解している水溶液であるが、溶媒の一部としてアルコール等の水混和性有機溶媒を溶媒の5質量%程度までの量で使用することは可能である。
【0037】
本発明の処理液により表面処理される亜鉛系めっき鋼板は、任意の亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板でよい。めっきとしては、例えば、溶融亜鉛めっき、溶融Zn−5%AlもしくはZn−55%Al亜鉛合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等を使用することができる。めっき付着量も特に制限されず、通常の範囲 (例、10〜100 g/m2) でよい。上層が亜鉛系めっきであれば、複層めっき鋼板も使用できる。亜鉛系めっき鋼板が両面めっきである場合、両面のめっき面を本発明の処理液で処理することが好ましいが、片面だけを処理することも可能である。
【0038】
亜鉛系めっき鋼板は、本発明の処理液で表面処理する前に、当業者に周知の適当な前処理を施して、表面を清浄にしておくことが好ましい。例えば、前処理として、亜鉛系めっき鋼板の表面を脱脂および水洗することができる。
【0039】
処理液の塗布は、ロールコータ法、スプレー法、浸漬法など、任意の適当な方法で行うことができる。塗布は0〜50℃程度の温度で行うことが好ましい。塗布後に乾燥を行う。本発明で使用する水溶性樹脂(a) は、乾燥 (即ち、水の蒸発) だけで皮膜を形成できる。短時間で乾燥させるために、乾燥は50〜200 ℃の温度(到達板温度)で行うことが好ましい。好ましい乾燥温度は水の沸点である100 ℃である。
【0040】
こうして、亜鉛系めっき鋼板のめっき皮膜上に、樹脂(a) とチタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方(b) と場合によりシランカップリング剤(c) を含有する皮膜が、表面を覆うように形成される。チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) は、皮膜の耐食性の向上に寄与する。シランカップリング剤がさらに存在すると耐食性はさらに改善される。
【0041】
上述したように、チタン化合物とジルコニウム化合物はその一方だけを添加してもよく、両者を併用してもよい。両者を比較すると、耐食性に及ぼす影響はほぼ同等であるが、チタン化合物を使用すると、形成された皮膜がわずかながら黄色味を帯びるようになる。無色の皮膜が要求される場合には、ジルコニウム化合物のみを使用するか、もしくはできるだけジルコニウム化合物のチタン化合物に対する割合を大きくすることが望ましい。
【0042】
本発明の処理液から形成された乾燥皮膜の付着量は特に制限されないが、好ましくは10〜1000 mg/m2、より好ましくは20〜200 mg/m2 の範囲内である。この皮膜は、従来のクロメート皮膜に匹敵するか、それを超えるすぐれた耐食性を母材に付与することができ、かつ上塗り塗装性と溶接性も十分であるが、従来のノンロム型皮膜に比べて、安価である。
【0043】
亜鉛系めっき鋼板に本発明の処理液の塗布と乾燥による皮膜を形成して得た、ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板は、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板と同等以上の耐食性を示し、かつ溶接性も良好であるので、スポット溶接により組立てることができる。この鋼板はまた、上塗り塗装性も良好であり、成形・組立の前または後に塗装を施すことができ、それにより密着性が良好な塗膜を得ることができる。
【0044】
【実施例】
本発明の作用効果について、実施例および比較例を用いて、具体的に例証する。これらの実施例は本発明の例示のために記載するものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0045】
【実施例1】
本実施例は、亜鉛系めっき鋼板を直接、本発明の処理液で表面処理する場合を例示する。
【0046】
[試験表面処理鋼板の作製]
(1)供試材
下記に示した市販の両面亜鉛系めっき鋼板を供試材として使用した。なお、供試材のサイズは 200×300 mmである:
電気亜鉛めっき鋼板 (EG) 、板厚0.8 mm、目付量=20/20 (g/m2)
溶融亜鉛めっき鋼板 (GI) 、板厚0.8 mm、目付量=60/60 (g/m2)。
【0047】
(2)表面処理
上記亜鉛系めっき鋼板の各供試材を、シリケート系赤脱脂剤のファインクリーナー4336 (登録商標: 日本パーカライジング製)の濃度20 g/lの溶液を用いて、温度60℃で2分間スプレーすることにより脱脂処理し、水道水で水洗して、前処理を行った。
【0048】
前処理した供試材の片面に、表1に記載の内容の処理液を、室温でバーコートすることにより塗布し、オーブン中で乾燥を30秒間行い、乾燥皮膜を形成した。皮膜の付着量はバーコーターの間隙により調整した。実際の皮膜付着量は重量法により測定した。表1のNo.8の処理液は、樹脂を含有しておらず、No.6と同じ種類および量のチタン化合物(b) およびシランカップリング剤(c) だけを含有する処理液である。表1の処理液No.4〜7 が本発明に従った処理液であり、残りは比較用の処理液である。
【0049】
表2に、使用した母材と処理液の種類、皮膜付着量および乾燥温度 (到達板温度) をまとめて示す。
得られた表面処理亜鉛系めっき鋼板について、下記方法により耐食性、溶接性および上塗り密着性を評価した。試験の評価基準は、どの試験でも○までが許容水準である。試験結果も表2に併せて示す。参考のために、標準的な反応型クロメート皮膜を実施した場合の結果も併せて示す。
【0050】
[処理板性能試験]
(1)耐食性
70×150 mmに切り出したサンプルの裏面および端面部をテープシールした後、上記処理液を塗布した面に、JIS-Z-2371による塩水噴霧試験を96時間行い、白錆発生状況を観察し、下記基準により評価を行った。
【0051】
<評価基準>
◎:自錆発生面積が全面積の0%、
○:自錆発生面積が全面積の5%未満、
△:自錆発生面積が全面積の5%以上20%未満、
×:自錆発生面積が全面積の20%以上。
【0052】
(2)溶接性
先端径3.5 mmのセンターフラット型電極(Cu−Cr)を用いて、溶接電流値7 kA、通電時間12サイクル、加圧力150 kgf で連続打点溶接性試験を実施し、ナゲット径が基準径を下回るまでの連続打点数により以下の基準で評価した。
【0053】
<評価基準>
基準径:5 √t (t: 板厚)=4.47 mm
◎:1000打点以上
○:600 打点以上1000打点未満
△:300 打点以上600 打点未満
×:300 打点未満
【0054】
(3)上塗り塗装性
上記処理液を塗布した側のサンプルの表面に、メラミンアルキッド系塗料(登録商標:グリミン、神東塗料社製)を、焼き付け乾燥後の膜厚が25μm になるように塗布し、120 ℃で30分間焼き付けた。焼き付け後、80℃温水中に2時間浸漬した。その後、24時間放置した試験片を用い、1mm間隔の碁盤目を100 個描画してから、セロテープ(登録商標)により塗膜を剥離し、下記基準により評価を行った。
【0055】
<評価基準>
◎:塗膜剥離なし、塗膜残個数100 %、
○:塗膜残個数90%以上、
△:塗膜残個数50%以上90%未満、
×:塗膜残個数50%未満。
【0056】
【表1】
Figure 0003900070
【0057】
【表2】
Figure 0003900070
【0058】
本発明の表面処理液を用いた実施例1〜11では、耐食性、溶接性、上塗り塗装性のいずれも良好であり、性能面でクロメート皮膜と同等以上であり、特に耐食性や上塗り塗装性はクロメートを上回る。一方、本発明の範囲外である表面処理液を用いた比較例1〜7では、耐食性、溶接性、上塗り塗装性の全てを満たすことができない。
【0059】
(4)表面色調
形成された皮膜がチタン化合物を含有する実施例1と、ジルコニウム化合物を含有する実施例7の2種類の表面処理めっき鋼板について、試験片の表面色調を調べるため、黄色みの指標であるJIS Z8729 のb*値を測定した。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
Figure 0003900070
【0061】
表3に示すように、チタン化合物を含有する実施例1の皮膜は黄色みを帯びている。ただし、実施例1の皮膜でもそれほど黄色みは強くない。目視で観察した場合の実施例1と実施例7の試験片の表面色調の差は、それぞれ単独では判断しづらく、並べて観察した時に実施例1の皮膜がわずかに黄色味を帯びていることを認識できる程度である。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、亜鉛系めっき鋼板に本発明のクロムを含まない処理液を塗布し、乾燥することにより、耐食性、溶接性、上塗り塗装性に優れた、クロムを含有しないノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。本発明は、環境保全やリサイクル性などの社会問題に対する対策案として、極めて有効でかつ実用上の効果も大きい。

Claims (6)

  1. 亜鉛系めっき鋼板の表面に、下記一般式(1)で示される反復単位を有する、平均重合度2〜50の重合体分子からなる水溶性樹脂(a)と、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方(b)とを含有し、クロムを含有しない、pH 2.0〜6.5の水溶液からなる処理液を塗布し、次いで水洗せずに乾燥を行って乾燥皮膜を形成することを特徴とするノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
    Figure 0003900070
    式中、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、または下記式(2)もしくは(3)で表されるZ基を意味し
    Figure 0003900070
    式(2)および(3)中のR1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基またはC1〜C10ヒドロキシアルキル基を表し、
    前記重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の平均置換数は0.2〜1.0である。
  2. 前記処理液が活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する1種以上のシランカップリング剤(c)を、(a)との合計量に対して10〜90質量%の量でさらに含有する、請求項1記載のノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記処理液中のチタン化合物およびジルコニウム化合物(b)の合計量が処理液1kg当たり0.0010モル以上である請求項1または2記載のノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  4. 乾燥を50〜200℃の温度で行う、請求項1〜3のいずれかに記載のノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  5. 亜鉛系めっき鋼板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の処理液の塗布とその後に水洗を経ずに乾燥することにより形成された乾燥皮膜を有することを特徴とする、ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板。
  6. 前記皮膜の付着量が10〜1000 mg/m2の範囲内である、請求項4に記載のノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板。
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