JP4246689B2 - 耐食性に優れるプレコート金属板 - Google Patents

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本発明は、切断加工性と耐食性に優れた表面処理金属材に関するものであり、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等において、切断加工時の端面塗膜密着性と防錆効果を発揮することを特徴とする。
家電用、建材用、自動車用等に、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した塗膜を被覆したプレコート金属が使用されるようになってきている。この金属板は、金属用前処理を施した金属板に塗料を被覆したもので、塗料を塗装した後に切断しプレス成形されて使用されることが一般的である。そのため、塗膜が被覆されていない金属が露出する切断端面部の耐食性とプレス加工時の塗膜剥離がプレコート金属板の問題点となっていたが、金属用前処理としてクロメート処理を施し、且つ塗膜中に6価クロム系の防錆顔料を含有することでこれらの問題点が解決され、現在では、汎用的に使用されている。
しかしながら、クロメート処理及び6価クロム系防錆顔料を含む塗料皮膜から溶出する可能性のある6価のクロムの環境問題から、最近では6価クロムを含まないノンクロメート化成処理、ノンクロメート塗料皮膜に対する要望が高まっている。特許文献1では、クロメート処理の代わりにタンニン及びタンニン酸、シランカップリング剤、及び微粒シリカを同時に含む化成処理を用いることで、加工性部密着性と耐食性に優れるプレコート金属板を提供する技術が開示されている。一方、特許文献2では、6価クロム系防錆顔料の代わりに、リン酸系防錆顔料とイオン交換シリカ系防錆顔料とを併用したポリエステル系並びにエポキシ系の塗料により、切断端面部の耐食性に優れたプレコート鋼板を提供する技術が開示されている。しかし、これらの技術は、従来の6価クロムを含むプレコート金属板と比べると、長期耐食性、特に、塩水噴霧試験のようなウェット率の高い腐食環境における長期耐食性が劣る点が問題となっていた。例えば、特許文献1の技術と特許文献2の技術を用いて、ウェット率の高い腐食環境において耐食性を向上させようとした場合、これら特許文献に記載された塗膜中の防錆顔料添加量を大きく増加させる必要がある。しかし、塗膜中の防錆顔料添加量を大いに増大させると、金属板との塗膜密着性が損なわれるため、プレコート金属板を成形加工したときの加工部で塗膜が剥離し易くなったり、耐湿試験のような高湿度環境下にプレコート金属板が長期間曝されることで、塗膜表面からブリスターが発生したり、塗膜が剥離し易くなったりする。
特開2001-89868号公報 特開平9-12931号公報
本発明は、従来技術における上記問題点を解決し、長期の耐食性に優れ、且つ、優れた塗膜密着性を有するプレコート金属板を提供することをその課題としている。更には、環境負荷物質である6価クロムを含まずに、これらのプレコート金属板を提供することもその課題としている。
発明者らは、塩水噴霧試験に代表されるようなウェット率の高い腐食環境においては、カルシウムイオン交換シリカとトリポリリン酸2水素アルミニウムを併用させた防錆剤を用いると、腐食が大いに抑制され、これらの添加量を増加させると、それに伴い高ウェット率環境での耐食性が向上することを知見したが、添加量が多過ぎると、高湿潤環境においては、これら防錆剤の過溶出による平面ブリスターが発生してしまうことも知見した。そこで、発明者らが更に検討した結果、マグネシウムが高湿潤環境でのカルシウムイオン交換シリカの過溶出を抑制し、更には、ウェット率の高い腐食環境下での耐食性向上にも効果を発揮することを見出した。
本発明は、かかる知見を基に完成させたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 金属板の片面もしくは両面に少なくとも防錆塗膜を被覆したプレコート金属板において、該防錆塗膜中に、(A)カルシウムイオン交換シリカ、(B)トリポリリン酸2水素アルミニウム、及び (C)リン酸マグネシウムもしくはマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムのいずれか1種以上、である(A),(B),(C)を必須成分として含み、且つ、前記(A),(B),(C)の総量が、前記防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部以上160質量部以下であることを特徴とする耐食性に優れるプレコート金属板。
(2) 防錆塗膜中に、さらに(D)6価クロムを含まず且つ前記(A)(B)及び(C)以外の防錆剤を含み、且つ、(A)〜(D)の総量が防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部以上160質量部以下である (1)記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
(3) 前記金属板が、化成処理膜を有する金属板である(1)記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
(4) 前記化成処理膜が、シリカ、シランカップリング剤、タンニン、タンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上と樹脂を含む皮膜である(3)記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
(5) 前記金属板が亜鉛系めっき鋼板である前記(1)記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
(6) 前記亜鉛めっき鋼板の亜鉛付着量が、片面当り40〜90g/m2である(5)記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
本発明により、環境負荷物質である6価クロムを含まなくてもウェット率の高い腐食環境下での優れた耐食性を有し、且つ、様々な加工を施しても塗膜密着性に優れ、高湿度環境下において塗膜密着性が損なわない金属板を提供することも可能となった。したがって、本発明は、産業上の極めて価値の高い発明であると言える。
本発明は、金属板の片面もしくは両面に少なくとも防錆塗膜を被覆したプレコート金属板において、該防錆塗膜中に、(A)カルシウムイオン交換シリカ、(B)トリポリリン酸2水素アルミニウム、及び(C)リン酸マグネシウムもしくはマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムのいずれか1種以上、である(A),(B),(C)を必須成分として含み、且つ、前記(A),(B),(C)の総量が、前記防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部以上160質量部以下であることによって達せられる。
本発明の防錆塗膜中に含まれるカルシウムイオン交換シリカは、耐食性向上に大いに効果を発揮するが、水への溶解性が高いために、高湿潤環境においては塗膜中から過溶出し易く、これが平面ブリスター発生の原因となるため、これ単独では不適である。また、トリポリリン酸アルミニウムを単独で用いた場合は、マグネシウム処理の有無に拘らず、ウェット率の高い腐食環境においては、プレコート金属板の端面やカット傷部からスポット的に大きな塗膜膨れが発生し易いため、不適である。
一方、トリポリリン酸2水素アルミニウムは、これを併用した防錆顔料の過溶出を抑制させる効果を有しているため、これらを組み合わせることで、耐食性と高湿潤環境での平面ブリスター抑制とをある程度両立できるが、これらカルシウム交換シリカとトリポリリン酸2水素アルミニウムを併用した防錆剤でも、塗膜中の添加量には限界があり、添加し過ぎると高湿潤環境での耐平面ブリスターが低下してしまうため、マグネシウムを含む化合物とトリポリリン酸2水素アルミニウムとカルシウムイオン交換シリカとの併用は必須である。マグネシウムを含む化合物としては、発明者らの検討結果では、リン酸マグネシウム及びマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムが防錆顔料の過溶出抑制に大いに効果的であった。
さらに、これらの防錆剤の総量が、防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部未満であると、高ウェット環境下での耐食性が低下するため不適であり、160質量部超では塗膜中の有機樹脂分が少なくなるため、塗膜と金属板との密着性、特に加工部での密着性が低下するため不適である。
カルシウムイオン交換シリカ、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム及びマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムの比率は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。ただし、塗膜中のカルシウムイオン交換シリカの絶対量が少な過ぎると、耐食性が低下する恐れがあるため、防錆塗膜中にカルシウムイオン交換シリカが10質量%以上添加されていると好適であり、30質量%以上添加されているとより好適である。また、マグネシウム処理を施したトリポリリン酸アルミニウムの絶対量が少な過ぎると、高湿潤環境下で平面ブリスターが発生し易くなるため、防錆塗膜中にマグネシウム処理を施したトリポリリン酸アルミニウムが1質量%以上添加されていると好適であり、5質量%以上添加されているとより好適である。
本発明の防錆塗膜中に含まれるカルシウムイオン交換シリカとは、一般に公知のシリカ表面のシラノール基にカルシウムをイオン交換させたタイプのものを使用することができ、市販のものを使用することもできる。市販のものとしては、GRACE社製の「SHIELDEX」(商標)等が挙げられる。トリポリリン酸2水素アルミニウムは、一般に公知のトリポリリン酸アルミニウムを使用することができる。市販のもの、例えば、テイカ社製のトリポリリン酸2水素アルミニウムである「K-WHITE」(商標)等を使用することができる。トリポリリン酸2水素アルミニウムは、亜鉛、カルシウム等で処理されたもの、例えば、テイカ社製の「K-WHITE/#105」(亜鉛処理)、「K-WHITE/Ca650」(カルシウム処理)等であっても良い。また、リン酸マグネシウムは、一般に公知のリン酸マグネシウムを使用することができる。マグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムは、一般に公知の酸化マグネシウム等を変性させたタイプのトリポリリン酸アルミニウム等を使用することができる。市販のもの、例えば、テイカ社製のマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムである「K-WHITE/K-G105」等を使用することができる。
本発明の防錆顔料中には、カルシウムイオン交換シリカ、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、マグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウム以外の非6価クロム系防錆剤、例えば、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、モリブデン酸塩、リン酸カルシウム、バナジン酸/リン酸併用顔料(一般にVP顔料と呼ばれる)等を使用することができる。これらは市販品を用いても良い。
本発明のプレコート金属板に被覆する防錆塗膜の樹脂バインダーは、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂等の一般に公知の塗料用樹脂を用いることができ、いずれも市販のものを用いることができる。これら樹脂の種類は、特に規定するものではないが、防錆塗料の樹脂バインダーがポリエステル系の樹脂であると、加工性が優れるため、より好適である。特に、数平均分子量が3000〜30000、ガラス転移温度が0〜60℃のポリエステル樹脂は、加工性がより優れるため、より好適である。ここで、ポリエステル樹脂とは、樹脂中にエステル基を有する樹脂であり、オイルフリーポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、線状高分子ポリエステル樹脂、分岐型高分子ポリエステル樹脂と呼ばれているものである。これらポリエステル樹脂も市販のもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」(東洋防錆社の登録商標)や、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」(住化バイエルウレタン社の登録商標)等を使用することができる。これらを複数混合しても良い。
これらポリエステル樹脂にエポキシ樹脂を添加すると、塗膜密着性が大きく向上するためより好適である。エポキシ樹脂は、一般に公知のエポキシ基を含む樹脂を使用することができ、市販のものを使用しても良い。市販のものとしては、大日本インキ化学工業社製のエポキシ樹脂「エピクロンTM」等を用いることができる。エポキシ樹脂の添加量は、特に規定するものではないが、多過ぎると塗膜の加工性が低下するため、必要に応じて適宜選定する必要がある。ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してエポキシ樹脂固形分の添加量を0.1〜20質量部とすることが好適である。0.1質量部未満では密着性に効果のない恐れがあり、20質量部超では加工性が劣る恐れがある。
本発明のプレコート金属板に被覆する防錆塗膜の樹脂バインダーは、メラミン樹脂やイソシアネートを架橋剤として用いることができる。これら架橋剤は市販のもの、例えば、三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメルTM」、「マイコートTM」(何れも三井サイテック社の登録商標)、大日本インキ化学工業社製メラミン樹脂「ベッカミンTM」、「スーパーベッカミンTM」(何れも大日本インキ化学工業社の登録商標)、住化バイエル社製のイソシアネート「スミジュールTM」「デスモジュールTM」(何れも住化バイエルウレタン社の登録商標)、三井武田ケミカル社製のイソシアネート「タケネート」等を使用することができる。架橋剤の添加量は、特に規定するものではないが、メラミン樹脂の場合は、固形分比率でポリエステル樹脂等のメイン樹脂100質量部に対して5〜70質量部が好適である。5質量部未満であると、塗膜が未硬化となり、密着性が低下する恐れがあり、70質量部超では、塗膜が硬くなり過ぎて、加工性が低下する恐れがある。また、イソシアネートの場合の添加量は、[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=0.8〜1.2であると、より好ましい。[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]の値が0.8未満もしくは1.2超では、皮膜生成時に皮膜が未硬化となる恐れがある。これら架橋剤を用いるときは、必要に応じて触媒を添加することができる。
また、本発明のプレコート金属板の防錆塗膜には、必要に応じて一般に公知の着色顔料、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。これら添加剤の種類や添加量は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。
更に、本発明のプレコート金属板は、上述の防錆塗膜以外に、着色及びその他の機能性付与を目的に、1層以上の上塗り塗膜を被覆しても良い。防錆塗膜上に塗装する1層以上の上塗り塗膜は、一般に公知の塗料用樹脂に着色顔料等を添加したものを使用することができ、前述の防錆塗膜用樹脂等を使用することができる。特に、ポリエステル樹脂をメラミン樹脂やイソシアネートで架橋させたタイプのものは、加工性に優れるため、より好適である。これらは、プレコート用上塗り塗膜として市販されているものを使用しても良い。市販の塗料の場合、プレコート用の塗料であると、より好適である。上塗り塗膜の膜厚も、特に規定するものではないが、各層1〜30μmが好適である。1μm未満では上塗り塗膜としての機能(例えば、着色性等)が得られない恐れがあり、30μm超では塗装焼付時にワキと呼ばれる塗装欠陥が発生する恐れがある。これら上塗り塗膜には、必要に応じて一般に公知の着色顔料、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。これら添加剤の種類や添加量は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。
また、防錆塗膜の下に防錆塗膜以外の塗膜を有していても良いが、この場合、防錆塗膜下の塗膜の膜厚が厚いと金属板に対する防錆作用が低下する恐れがある。そのため、防錆塗膜下の塗膜層の有無、防錆塗膜下の塗膜層の膜厚等は必要に応じて適宜選定する必要がある。
本発明のプレコート金属板の防錆塗膜やその上に塗装する上塗り塗膜の塗装方法は、一般に公知の塗布方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ローラーカーテンコート、ダイコート、エアースプレー、エアーレススプレー、電着塗装、粉体塗装、浸漬、バーコート、刷毛塗り等で行うことができる。ただし、ロールコートやカーテンフローコート、ローラーカーテンコートを完備した一般的コイルコーティングライン、シートコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインで塗装すると、塗装作業効率が良く大量生産が可能であるため、より好適である。塗料の乾燥焼付方法は、熱風オーブン、直火型オーブン、塩赤外線オーブン、誘導加熱型オーブン等の一般に公知の乾燥焼付方法を用いることができる。
本発明のプレコート金属板の防錆塗膜の膜厚は、特に規定するものではないが、乾燥膜厚にして2〜30μmがより好適である。2μm未満では耐食性が低下する恐れがあり、30μm超では塗装焼付時にワキと呼ばれる塗装欠陥が発生する恐れがある。より好ましくは5〜20μmである。
また、本発明のプレコート金属板は、化成処理を施した金属板を用いることもできる。この金属板を処理する化成処理が、シリカ、シランカップリング剤、タンニン、タンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上と樹脂を含むと、塗膜密着性がより向上するため、プレコート金属板加工部の塗膜密着性に優れ、更には、高湿度環境下でのブリスター性や塗膜密着性に優れるため、より好適である。シリカ、シランカップリング剤、タンニン、タンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか3種以上を含むと、より塗膜密着性やブリスター性が向上し、より好ましい。
化成処理に樹脂を含まないと、成形加工時の塗膜密着性に劣る恐れがある。また、シリカ、シランカップリング剤、タンニン、タンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか1種と樹脂のみでも塗膜密着性に劣る恐れがある。
化成処理皮膜に用いる樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の一般に公知のものを使用することができる。これらの樹脂は、水溶性もしくは水に分散したタイプであると、処理液の取り扱いが容易なため、より好適である。
化成処理膜に用いるシリカは、一般に公知のものを使用することができ、特に微細な粒径を持ったものは、化成処理処理液中に分散させた場合に安定を維持できるため、より好適である。市販のものを使用してもよい。市販のシリカとしては、例えば、「スノーテックスN」、「スノーテックスC」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS」(何れも日産化学工業製)、「アデライトAT-20Q」(旭電化工業製)等のシリカゲル、又はアエロジル#300(日本アエロジル製)等の粉末シリカ等を用いることができる。
タンニン又はタンニン酸は、加水分解できるタンニンでも縮合タンニンでも良く、これらの一部が分解されたものでも良い。タンニン又はタンニン酸は、ハマメタタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランのタンニン、ジビジビのタンニン、アルガロビラのタンニン、バロニアのタンニン、カテキン等、特に限定するものではないが、「タンニン酸:AL」(富士化学工業製)を使用すると、塗膜の加工密着性は特に向上する。
シランカップリング剤は、例えばγ-(2 -アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2 -アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2 -アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2 -アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等を挙げることができるが、グリシジルエーテル基を有するγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランを使用すると、塗膜の加工密着性は特に向上する。さらに、トリエトキシタイプのシランカップリング剤を使用すると、下地処理液の保存安定性を向上させることができる。これは、トリエトキシシランが水溶液中で比較的安定であり、重合速度が遅いためであると考えられる。
ジルコニウム化合物としては、炭酸ジルコニルアンモニウム、ジルコンフッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフッ化カリウム、ジルコンフッ化ナトリウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシド1-ブタノール溶液、ジルコニウムn-プロポキシド等の一般に公知のものを使用することができる。
チタニウム化合物としては、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、チタンイソプロポキシド、チタン酸イソプロピル、チタンエトキシド、チタン2-エチル1-ヘキサノラート、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラn-ブチルチタンフッ化カリウム、チタンフッ化ナトリウム等の一般に公知のものを使用することができる。
これら化成処理膜中に含まれるシリカ、シランカップリング剤、タンニン又はタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上の含有物と樹脂とのの配合比率は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。化成処理液が水溶性の場合、樹脂添加量が1.0〜100g/Lで、シリカ、シランカップリング剤、タンニン又はタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上がそれぞれ0.01〜100g/L含まれる化成処理液を金属板に塗布して乾燥したものが優れる。樹脂添加量が1.0g/L未満では耐食性や塗膜密着性に効果を発揮しない恐れがあり、100g/L超では化成処理液としての安定性が悪くなりゲル化し易くなる。シリカ、シランカップリング剤、タンニン又はタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物の添加量も同様に、0.01g/L未満では耐食性や塗膜密着性に効果を発揮しない恐れがあり、100g/L超では化成処理液としての安定性が悪くなりゲル化し易くなる。
化成処理皮膜の付着量も、特に規定するものではないが、全固形分重量が10〜500mg/m2の範囲であるとより好適である。10mg/m2未満であると耐食性が劣ったり、塗膜密着性が低下する恐れがあり、500mg/m2超では塗膜密着性が低下する恐れがある。
化成処理液の塗装方法は、特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、リンガーロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬法等が採用できる。さらに、これらの塗布装置を完備した一般的コイルコーティングライン、シートコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインで塗布すると、塗装作業効率が良く大量生産が可能であるため、より好適である。
本発明のプレコート金属板に用いる金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であってもよい。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミ板、アルミ合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。
めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ-亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。特に亜鉛系めっき鋼板の場合、耐食性がより向上するためより好適である。ここで、亜鉛系めっき鋼板とは、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板等の亜鉛をめっきした亜鉛めっき鋼板や、亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミ-亜鉛合金化めっき鋼板等の亜鉛と他の金属との合金めっき鋼板のことを指す。これら亜鉛系めっき鋼板の中でも、溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板のような亜鉛めっき鋼板は、犠牲防食効果が大きく耐食性により優れるため、より好適である。また、これら亜鉛系めっき鋼板のめっき付着量が片面当り40〜90g/m2であると、加工性と耐食性が両立されるため、より好適である。片面当りのめっき付着量が40g/m2未満では耐食性が劣る恐れがあり、90g/m2超では加工時にめっき割れが発生し加工性に劣る恐れがある。
1. 金属原板
実験の供試材には以下の金属原板を用いた。
溶融亜鉛めっき鋼板の低目付品(GI低):
板厚0.6mm、亜鉛付着量片面当り60g/m2(両面めっき)
溶融亜鉛めっき鋼板の高目付品(GI高):
板厚0.6mm、亜鉛付着量片面当り100g/m2(両面めっき)
電気亜鉛めっき鋼板(EG):
板厚0.6mm、亜鉛付着量換算で片面当り20g/m2(両面めっき)
2. 化成処理液
実験の供試材に用いる化成前処理液として、以下のものを作製した。
化成処理液(A):
シランカップリング剤5g/L、水分散微粒シリカを1.0g/L、ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/L、水系アクリル樹脂を25g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(B):
シランカップリング剤5g/L、チタニウム化合物をチタニウムイオンで0.5g/L、水系アクリル樹脂を25g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、チタニウム化合物にはチタンフッ化水素酸、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(C):
水分散微粒シリカを1.0g/L、ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/L、水系アクリル樹脂を25g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(D):
シランカップリング剤5g/L、水分散微粒シリカを1.0g/L、水系アクリル樹脂を25g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(E):
タンニン酸20g/L、シランカップリング剤40g/L、水分散微粒シリカ20g/L、ポリエステル樹脂20g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、タンニン酸には富士化学工業社製「タンニン酸:AL」、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」を用いた。
化成処理液(F):
タンニン酸20g/L、水分散微粒シリカ20g/L、ポリエステル樹脂20g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、タンニン酸には富士化学工業社製「タンニン酸:AL」、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」を用いた。
化成処理液(G):
タンニン酸20g/L、ポリエステル樹脂20g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、タンニン酸には富士化学工業社製「タンニン酸:AL」を用いた。
化成処理液(H):
水分散微粒シリカ20g/L、ポリエステル樹脂20g/Lを含む水溶液を作成製し、化成処理液とした。なお、微粒シリカには日産化学社製「スノーテックス-N」を用いた。
化成処理液(I):
シランカップリング剤40g/L、ポリエステル樹脂20g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
化成処理液(J):
ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/L、水系アクリル樹脂を25g/Lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(K):
市販の塗布クロメート処理である日本パーカライジング社製「ZM-1300AN」を用いた。
化成処理液(L):
市販のリン酸亜鉛処理である日本パーカライジング社製「パルボンド」を用いた。
3. 防錆塗料
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解した。次に、硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメルTM 303」を添加した。メラミン樹脂の添加量は、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=80:20となるように添加した。また、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液には、大日本インキ社製のエポキシ樹脂「エピクロンTM 1000」をポリエステル樹脂固形分100質量部に対して5質量部添加した。なお、「エピクロンTM 1000」は事前に有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に混合した後に添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリストTM 600」を0.5質量%添加し、これらを攪拌することで、クリヤー塗料を得た。
次に、このクリヤー塗料中に、テイカ社製のMg処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウム「K-WHITE K-G105」(以下Mg-P-Alと称す)、グレイス社製のカルシウムイオン交換シリカ「シールデックスC303」(以下、Ca-Siと称す)、Zn処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウム「K-WHITE K-#105」(以下Zn-P-Alと称す)、リン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERTTM-NP500」(以下P-Znと称す)、試薬のリン酸2水素マグネシウム(以下P-Mgと称す)を必要量添加し、攪拌することで、防錆塗料を得た。また、比較として、市販のクロム酸ストロンチウム(以下、Crと称す)を添加した防錆塗料も作製した。なお、作製したプライマー塗料と添加した顔料種及び添加量の詳細を表1に記載する。
Figure 0004246689
4. 上塗り塗料
市販のポリエステル系上塗り塗料である日本ペイント社製「FL100HQ」を使用した。色は白色系のものを使用した。
5. 裏面塗料
市販のポリエステル系上塗り塗料である日本ペイント社製「FL100HQ」を使用した。色はグレー色系のものを使用した。
6. プレコート金属板の作製
各種金属板をFC-4336(日本パ−カライジング製)の2質量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。
そして、化成処理液(A)〜(K)をロールコーターにて金属板の両面に塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理液の付着量は、化成処理液(A)〜(J)の場合は、乾燥皮膜全体の付着量が100mg/m2となるように塗装した。化成処理液(K)の場合は、金属クロム換算で付着量が50mg/m2となるように塗装した。化成処理液(L)を用いた試験片は、化成処理液(L)中に脱脂した金属板を2分間浸漬し、熱風乾燥炉にて乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理(L)の付着量は、リン酸亜鉛の付着量が2g/m2となるように被覆した。化成処理乾燥時の到達板温は60℃とした。
次に、防錆塗料をロールコーターにて乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗装し、更に他方の面には、裏面塗料をロールコーターにて塗装乾燥後の膜厚で5μmとなるように塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化することで、塗膜層を得た。乾燥焼付後に塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。更に、防錆塗膜上に、上塗り塗料をロールコーターにて乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で乾燥焼付した。乾燥焼付後に塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷することで、供試材であるプレコート金属板を得た。
この様にして作製したプレコート金属板について、以下の評価試験を実施した。なお、いずれの試験についても、防錆塗膜有する面を評価面として試験を実施した。
I. 塗膜加工性試験
作製したプレコート金属板を、180°折り曲げ加工を実施し、加工部の塗膜を20倍ルーペで観察し、塗膜の割れの有無を調べた。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で、0T加工した。
塗膜割れの評価は、塗膜割れの全くない時を○、塗膜に極小さな割れがある時を△、塗膜に目視でも明確な大きな割れが加工部全面にある時を×として評価した。更に、加工部の塗膜上にテープを貼り付けた後に塗膜を剥離して、剥離後の塗膜残存状態を観察した。剥離後の評価は、加工部全面において塗膜が全く剥離していない場合を○、加工部の一部で塗膜が剥離している場合を△、塗膜の全面が剥離している場合を×と評価した。
II. 耐食性試験
作製したプレコート金属板を横70mm×縦150mmのサイズに切断し、長辺の端面部については、切断時の返り(バリ)が裏面塗料を塗装した面に来るように(下バリとなるように)切断し、また、横の端面部はテープにてシールすることで、耐食性試験用サンプルを作製した。そして、JIS K 5400の9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、防錆塗膜を有する面に拭きかかかるように噴霧した。試験時間は500時間とした。なお、本実験では、塗膜の上から試験片の素地に達するようなカット傷は設けなかった。
試験終了後、端面にテープシールを施していない縦辺の端面の平均膨れ幅と最大膨れ幅を測定し、平均膨れ幅が2mm以下の場合に◎、2mm超3mm以下の場合に○、3mm超5mm以下の場合に△、5mm超の場合に×と評価した。
なお、端面の平均膨れ幅は、150mmある縦の辺を10mm毎の区画(全部で15区画)に分け、それぞれの区画での最大膨れ幅を測定し、各区画の最大膨れ幅を全区画数で割った値を平均膨れ幅とした。
III . 耐湿性試験
作製したプレコート金属板を70mm×150mmのサイズに切断し、全ての切断端面をテープにシールすることで、耐食性試験用サンプルを作製した。そして、JIS K 5400の9.2記載の方法で耐湿性試験を実施した。耐湿性試験は1000時間実施した。なお、本実験では、塗膜の上から試験片の素地に達するようなカット傷は設けなかった。
試験後に、塗膜表面のブリスターの発生度合いを観察し、ブリスター発生がまったく認められなかった場合には○、極小さなブリスターが数個認められた場合には△、試験片の前面にブリスター発生が認められた場合には×と評価した。
次に、JIS K 5400の8.5.2に記載の付着性碁盤目テープ法を実施し、JIS同項の評価基準が6点以上の場合を○、4点の場合を△、0点乃至2点の場合を×と評価した。
以下、評価結果について詳細を記載する。
表2に作製したプレコート金属板の評価結果を示す。本発明のプレコート金属板(本発明例No.1〜24)は、加工性、耐食性、耐湿性の何れにも優れる。また、金属板に施す化成処理が樹脂を必須成分として含み、且つ、シリカ、シランカップリング剤、タンニン又はタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上を含むもの(本発明例-1〜17及び23,24)であると、加工部の塗膜密着性に優れ、且つ、耐湿性も良い傾向であるため、より好適である。特に、金属板に施す化成処理が樹脂を必須成分として含み、且つ、シリカ、シランカップリング剤、タンニン又はタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか3種以上含むもの(本発明例-1〜13及び23,24)は、加工部の塗膜密着性により優れ、且つ、耐湿性試験後の塗膜密着性にも優れるため、より好適である。また、プレコート金属板の金属板である亜鉛系めっき鋼板の亜鉛付着量が片面当り40g/m2で未満のもの(本発明例-24)は、耐食性が劣る傾向であり、90g/m2超であるもの(本発明例-23)は、加工性が劣る傾向であるため、亜鉛系めっき鋼板の亜鉛付着量は40〜90g/m2が耐食性と加工性との両立ができるためより好適である。
プレコート金属板の防錆塗膜中に含まれる防錆剤であるカルシウムイオン交換シリカとマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムの総量が、防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部未満のもの(比較例-35,37)は、耐食性が劣るため不適である。また、160質量部超のもの(比較例-36,38)は、加工部の塗膜密着性や耐湿性が大きく劣るため不適である。防錆塗膜中の防錆剤がカルシウムイオン交換シリカ、トリポリリン酸2水素アルミニウム、及び リン酸マグネシウムもしくはマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムのいずれか1種以上、のいずれか1種もしくは2種(比較例-25〜34)は、加工性や耐食性、耐湿性のいずれかが劣るため、不適である。また、化成処理にクロメート処理を行い、且つ、防錆塗膜にクロム系防錆顔料を使用したもの(比較例-27)は、環境負荷物質であるクロムを含むため不適である。
Figure 0004246689

Claims (6)

  1. 金属板の片面もしくは両面に少なくとも防錆塗膜を被覆したプレコート金属板において、該防錆塗膜中に、(A)カルシウムイオン交換シリカ、(B)トリポリリン酸2水素アルミニウム、及び(C)リン酸マグネシウムもしくはマグネシウム処理を施したトリポリリン酸2水素アルミニウムのいずれか1種以上、である(A),(B),(C)を必須成分として含み、且つ、前記(A),(B),(C)の総量が、前記防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部以上160質量部以下であることを特徴とする耐食性に優れるプレコート金属板。
  2. 前記防錆塗膜中に、さらに(D)6価クロムを含まず且つ前記(A)(B)及び(C)以外の防錆剤を含み、且つ、(A)〜(D)の総量が防錆塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して60質量部以上160質量部以下である請求項1記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
  3. 前記金属板が、化成処理膜を有する金属板である請求項1記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
  4. 前記化成処理膜が、シリカ、シランカップリング剤、タンニン、タンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上と樹脂を含む皮膜である請求項3記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
  5. 前記金属板が亜鉛系めっき鋼板である請求項1記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
  6. 前記亜鉛めっき鋼板の亜鉛付着量が、片面当り40〜90g/m2である請求項5記載の耐食性に優れるプレコート金属板。
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