JP3389191B2 - 塗膜に非クロム化合物防錆顔料を使用した塗装鋼板 - Google Patents
塗膜に非クロム化合物防錆顔料を使用した塗装鋼板Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂塗膜に非クロム化
合物防錆顔料を含有させた塗装鋼板において、非クロム
化合物防錆顔料の防錆性能を高めたものに関する。
合物防錆顔料を含有させた塗装鋼板において、非クロム
化合物防錆顔料の防錆性能を高めたものに関する。
【0002】
【従来技術】家電製品や暖房機器の外装部材、器物など
の製造に塗装鋼板(プレコ−ト鋼板)を使用すると、冷
延鋼板やめっき鋼板を部材に加工後塗装するポストコ−
トに比べて生産性が優れているので、従来より広く行わ
れている。この製造に使用する塗装鋼板は鋼板の両面ま
たは外観となる表面側だけに合成樹脂塗料を塗装して、
焼き付け乾燥により樹脂塗膜を形成したものであるが、
塗料には塗膜の耐食性を高めるために防錆顔料を添加し
たものを使用している。例えば、塗装鋼板を外観となる
鋼板表面側を1種類の塗料だけを塗装した1コ−ト塗装
のものにする場合、着色顔料と防錆顔料とを含有する塗
料を塗装し、異なる塗料を塗装した2コ−ト以上のもの
にする場合は、鋼板側の最下層に体質顔料と防錆顔料と
を含有する下塗り塗料を塗装するが、その上には防錆顔
料を含有しない中塗りもしくは上塗り塗料を塗装してい
る。裏面側塗装を施す場合も防錆顔料を添加した着色塗
料を塗装している。
の製造に塗装鋼板(プレコ−ト鋼板)を使用すると、冷
延鋼板やめっき鋼板を部材に加工後塗装するポストコ−
トに比べて生産性が優れているので、従来より広く行わ
れている。この製造に使用する塗装鋼板は鋼板の両面ま
たは外観となる表面側だけに合成樹脂塗料を塗装して、
焼き付け乾燥により樹脂塗膜を形成したものであるが、
塗料には塗膜の耐食性を高めるために防錆顔料を添加し
たものを使用している。例えば、塗装鋼板を外観となる
鋼板表面側を1種類の塗料だけを塗装した1コ−ト塗装
のものにする場合、着色顔料と防錆顔料とを含有する塗
料を塗装し、異なる塗料を塗装した2コ−ト以上のもの
にする場合は、鋼板側の最下層に体質顔料と防錆顔料と
を含有する下塗り塗料を塗装するが、その上には防錆顔
料を含有しない中塗りもしくは上塗り塗料を塗装してい
る。裏面側塗装を施す場合も防錆顔料を添加した着色塗
料を塗装している。
【0003】ところで、塗料の防錆顔料としては、クロ
ム化合物またはこれを主成分とする顔料、例えば、ジン
ククロメ−ト、ストロンチウムクロメ−ト、レッドクロ
メ−ト、レッドシリコクロメ−トなどが防錆性に優れて
いるので、使用されていたが、近年、塗装鋼板は、環境
負荷への配慮から、クロム化合物の防錆顔料を含有しな
い塗料を塗装したものが望まれるようになってきた。そ
の対策として、多孔質シリカ粒子にカルシウム、亜鉛、
コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウム等のカチオン
をイオン交換により結合させた腐食抑制剤を塗膜に含有
させる方法がある。
ム化合物またはこれを主成分とする顔料、例えば、ジン
ククロメ−ト、ストロンチウムクロメ−ト、レッドクロ
メ−ト、レッドシリコクロメ−トなどが防錆性に優れて
いるので、使用されていたが、近年、塗装鋼板は、環境
負荷への配慮から、クロム化合物の防錆顔料を含有しな
い塗料を塗装したものが望まれるようになってきた。そ
の対策として、多孔質シリカ粒子にカルシウム、亜鉛、
コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウム等のカチオン
をイオン交換により結合させた腐食抑制剤を塗膜に含有
させる方法がある。
【0004】この方法は、腐食抑制剤がイオン交換によ
り水素イオンなどの腐食性イオンを捕らえて、その代わ
りに結合していたカチオンを放出することにより防錆効
果を発揮させるもので、特に、カチオンがカルシウムイ
オンであるものは優れた耐食性を示し、塗膜の樹脂成分
100重量部に対して通常、2〜50重量部含有させて
いる。これは2重量部より少ないと、耐食性が不十分
で、50重量部より多くしても効果が飽和してしまうか
らである。しかし、このカルシウムイオンを結合させた
ものでも、クロム化合物を含有するものに比べると、耐
食性が弱く、また、湿潤環境下では塗膜フクレが発生す
るなど、耐湿性も十分ではなかった。
り水素イオンなどの腐食性イオンを捕らえて、その代わ
りに結合していたカチオンを放出することにより防錆効
果を発揮させるもので、特に、カチオンがカルシウムイ
オンであるものは優れた耐食性を示し、塗膜の樹脂成分
100重量部に対して通常、2〜50重量部含有させて
いる。これは2重量部より少ないと、耐食性が不十分
で、50重量部より多くしても効果が飽和してしまうか
らである。しかし、このカルシウムイオンを結合させた
ものでも、クロム化合物を含有するものに比べると、耐
食性が弱く、また、湿潤環境下では塗膜フクレが発生す
るなど、耐湿性も十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多孔質シリ
カ粒子にカルシウムイオンをイオン交換により結合させ
た腐食抑制剤を樹脂塗膜に含有させた塗装鋼板におい
て、腐食抑制剤の防錆性能を高めたものを提供するもの
である。
カ粒子にカルシウムイオンをイオン交換により結合させ
た腐食抑制剤を樹脂塗膜に含有させた塗装鋼板におい
て、腐食抑制剤の防錆性能を高めたものを提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の塗装鋼板は、多
孔質シリカ粒子にカルシウムイオンをイオン交換により
結合させた腐食抑制剤(A)を樹脂塗膜に含有させて、
腐食抑制剤(A)の含有量を塗膜の樹脂成分100重量
部に対して2〜50重量部にした塗装鋼板において、樹
脂塗膜にポリリン酸塩(B)を添加して、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の比率を重量比でA/B=
60/40〜5/95にするとともに、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の合計量を塗膜の樹脂成分
100重量部に対して5〜150重量部にしたことを特
徴としている。この塗装鋼板で、ポリリン酸塩(B)は
トリポリリン酸2水素アルミニウムが好ましい。
孔質シリカ粒子にカルシウムイオンをイオン交換により
結合させた腐食抑制剤(A)を樹脂塗膜に含有させて、
腐食抑制剤(A)の含有量を塗膜の樹脂成分100重量
部に対して2〜50重量部にした塗装鋼板において、樹
脂塗膜にポリリン酸塩(B)を添加して、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の比率を重量比でA/B=
60/40〜5/95にするとともに、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の合計量を塗膜の樹脂成分
100重量部に対して5〜150重量部にしたことを特
徴としている。この塗装鋼板で、ポリリン酸塩(B)は
トリポリリン酸2水素アルミニウムが好ましい。
【0007】
【作用】本発明者らは、多孔質シリカ粒子にカルシウム
イオンをイオン交換により結合させた腐食抑制剤の防錆
効果がクロム化合物を含有する防錆顔料に比べて耐食
性、耐湿性において劣る原因を追及した結果、シリカ粒
子に結合させてあるカルシウムイオンが塗膜中に侵入し
てきた水分により溶出し易いため、溶出に持続性のない
ことが原因であると判明した。
イオンをイオン交換により結合させた腐食抑制剤の防錆
効果がクロム化合物を含有する防錆顔料に比べて耐食
性、耐湿性において劣る原因を追及した結果、シリカ粒
子に結合させてあるカルシウムイオンが塗膜中に侵入し
てきた水分により溶出し易いため、溶出に持続性のない
ことが原因であると判明した。
【0008】そこで、カルシウムイオンの溶出を抑制す
る方法を種々検討した結果、樹脂塗膜にポリリン酸塩を
添加すればよいことを見いだしたのである。カルシウム
イオンの溶出を抑制する方法としては、シランカップリ
ング剤やシリコンオイルなどのような疎水性物質の皮膜
で腐食抑制剤を被覆して、腐食抑制剤の耐水性を高める
方法も考えられるが、この方法では多孔質シリカ粒子の
孔を塞いで、カルシウムイオンの溶出をほとんど困難に
するため、耐食性が低下してしまう。これに対して、ポ
リリン酸塩の場合は、シリカ粒子表面にキレ−ト結合の
ようなイオン結合をして、カルシウムイオンの溶出を抑
制するものと考えられるから、カルシウムイオンの溶出
を完全には停止させない。また、ポリリン酸塩にはpH
緩衝作用があるので、水素イオンなどの腐食性イオンに
よる酸性化が弱められ、カルシウムイオンの溶出も少な
くなることも考えられる。
る方法を種々検討した結果、樹脂塗膜にポリリン酸塩を
添加すればよいことを見いだしたのである。カルシウム
イオンの溶出を抑制する方法としては、シランカップリ
ング剤やシリコンオイルなどのような疎水性物質の皮膜
で腐食抑制剤を被覆して、腐食抑制剤の耐水性を高める
方法も考えられるが、この方法では多孔質シリカ粒子の
孔を塞いで、カルシウムイオンの溶出をほとんど困難に
するため、耐食性が低下してしまう。これに対して、ポ
リリン酸塩の場合は、シリカ粒子表面にキレ−ト結合の
ようなイオン結合をして、カルシウムイオンの溶出を抑
制するものと考えられるから、カルシウムイオンの溶出
を完全には停止させない。また、ポリリン酸塩にはpH
緩衝作用があるので、水素イオンなどの腐食性イオンに
よる酸性化が弱められ、カルシウムイオンの溶出も少な
くなることも考えられる。
【0009】ポリリン酸塩としては、ピロリン酸アルミ
ニウム、メタリン酸アルミニウム、トリポリリン酸2水
素アルミニウムなどのようなポリリン酸アルミニウムが
優れたカルシウムイオン溶出抑制効果を発揮する。特
に、トリポリリン酸2水素アルミニウムは最良の効果を
発揮する。ポリリン酸塩は耐食性や貯蔵安定性を高める
ために酸化亜鉛、酸化チタン、マグネシウム化合物、シ
ランカップリング剤またはシリコンオイルなどを添加し
たり、コ−ティングしたものでもよい。
ニウム、メタリン酸アルミニウム、トリポリリン酸2水
素アルミニウムなどのようなポリリン酸アルミニウムが
優れたカルシウムイオン溶出抑制効果を発揮する。特
に、トリポリリン酸2水素アルミニウムは最良の効果を
発揮する。ポリリン酸塩は耐食性や貯蔵安定性を高める
ために酸化亜鉛、酸化チタン、マグネシウム化合物、シ
ランカップリング剤またはシリコンオイルなどを添加し
たり、コ−ティングしたものでもよい。
【0010】樹脂塗膜へのポリリン酸塩添加は、腐食抑
制剤(A)とポリリン酸塩(B)の比率を重量比でA/
B=60/40〜5/95にするとともに、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の合計量を塗膜の樹脂成分
100重量部に対して5〜150重量部にする。ポリリ
ン酸塩の添加量が60/40より多くなると、カルシウ
ムイオンの溶出抑制効果が小さくなり、塗膜に湿潤フク
レが発生し易く、5/95より少ないと、腐食抑制剤が
不足するため、塗膜の耐食性が低下してしまう。腐食抑
制剤へのカルシウムイオンの結合量は一般に粒子の3〜
40%程度である。カルシウムイオン結合量が多い腐食
抑制剤を使用する場合は、ポリリン酸塩の添加割合を高
く、逆の場合はポリリン酸塩の添加割合を低くするな
ど、添加割合は適宜調整すればよい。また、腐食抑制剤
とポリリン酸塩の合計量が5重量部未満であると、塗膜
の耐食性が低下し、150重量部を超えると、顔料濃度
が高すぎるため、塗膜の加工性、密着性が低下する。外
観となる鋼板表面側が1コ−ト塗装の塗装鋼板の場合は
合計量が多いと、塗膜密着性が低下するので、100重
量部以下にするのが好ましい。
制剤(A)とポリリン酸塩(B)の比率を重量比でA/
B=60/40〜5/95にするとともに、腐食抑制剤
(A)とポリリン酸塩(B)の合計量を塗膜の樹脂成分
100重量部に対して5〜150重量部にする。ポリリ
ン酸塩の添加量が60/40より多くなると、カルシウ
ムイオンの溶出抑制効果が小さくなり、塗膜に湿潤フク
レが発生し易く、5/95より少ないと、腐食抑制剤が
不足するため、塗膜の耐食性が低下してしまう。腐食抑
制剤へのカルシウムイオンの結合量は一般に粒子の3〜
40%程度である。カルシウムイオン結合量が多い腐食
抑制剤を使用する場合は、ポリリン酸塩の添加割合を高
く、逆の場合はポリリン酸塩の添加割合を低くするな
ど、添加割合は適宜調整すればよい。また、腐食抑制剤
とポリリン酸塩の合計量が5重量部未満であると、塗膜
の耐食性が低下し、150重量部を超えると、顔料濃度
が高すぎるため、塗膜の加工性、密着性が低下する。外
観となる鋼板表面側が1コ−ト塗装の塗装鋼板の場合は
合計量が多いと、塗膜密着性が低下するので、100重
量部以下にするのが好ましい。
【0011】塗膜に腐食抑制剤を添加してある塗装鋼板
は、外観となる鋼板表面側が1コ−ト塗装の塗装鋼板の
場合、その1コ−ト塗膜の中に腐食抑制剤が添加されて
いるので、ポリリン酸塩はその塗膜に添加する。また、
外観となる鋼板表面側が2コ−ト以上の塗装鋼板の場合
は、ポリリン酸塩を腐食抑制剤が添加されている塗膜層
に添加し、異なる塗膜層には添加しないようにする。例
えば、腐食抑制剤は、通常、鋼板側の最下層塗膜に添加
してあるので、ポリリン酸塩はその最下層塗膜に添加す
る。しかし、中塗り塗膜もしくは上塗り塗膜に腐食抑制
剤が添加されている場合はそれらの塗膜に添加すること
も可能である。さらに、裏面側塗装を施す場合の裏面塗
膜にも腐食抑制剤が添加されている場合も同時に添加す
ることも可能である。
は、外観となる鋼板表面側が1コ−ト塗装の塗装鋼板の
場合、その1コ−ト塗膜の中に腐食抑制剤が添加されて
いるので、ポリリン酸塩はその塗膜に添加する。また、
外観となる鋼板表面側が2コ−ト以上の塗装鋼板の場合
は、ポリリン酸塩を腐食抑制剤が添加されている塗膜層
に添加し、異なる塗膜層には添加しないようにする。例
えば、腐食抑制剤は、通常、鋼板側の最下層塗膜に添加
してあるので、ポリリン酸塩はその最下層塗膜に添加す
る。しかし、中塗り塗膜もしくは上塗り塗膜に腐食抑制
剤が添加されている場合はそれらの塗膜に添加すること
も可能である。さらに、裏面側塗装を施す場合の裏面塗
膜にも腐食抑制剤が添加されている場合も同時に添加す
ることも可能である。
【0012】1コ−ト塗装鋼板の塗膜樹脂としては、ポ
リエステル系、高分子ポリエステル系、エポキシ系、エ
ポキシ変性ポリエステル系、エポキシ変性高分子ポリエ
ステル系など公知のものでよく、2コ−ト以上の塗装鋼
板の最下層塗膜樹脂としても同様のものでよい。塗膜樹
脂は塗装鋼板の用途に応じて分子量、ガラス転移温度、
架橋密度などの調整や硬化剤、顔料の添加量などを適宜
調整すればよい。また、塗膜厚は、1コ−ト塗装鋼板の
場合、3〜20μmが好ましく、2コ−ト以上の塗装鋼
板の場合は最下層塗膜の厚みを1〜15μmにするのが
好ましい。
リエステル系、高分子ポリエステル系、エポキシ系、エ
ポキシ変性ポリエステル系、エポキシ変性高分子ポリエ
ステル系など公知のものでよく、2コ−ト以上の塗装鋼
板の最下層塗膜樹脂としても同様のものでよい。塗膜樹
脂は塗装鋼板の用途に応じて分子量、ガラス転移温度、
架橋密度などの調整や硬化剤、顔料の添加量などを適宜
調整すればよい。また、塗膜厚は、1コ−ト塗装鋼板の
場合、3〜20μmが好ましく、2コ−ト以上の塗装鋼
板の場合は最下層塗膜の厚みを1〜15μmにするのが
好ましい。
【0013】本発明における基材鋼板としては、特に制
限はないが、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、
溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板などのようなめっ
き鋼板が耐食上好ましい。基材鋼板には樹脂塗膜を形成
する前に化成処理を前以て施して、塗膜密着性、耐食性
を向上させる。この化成処理としては、微量のクロムの
溶出でも防止したい場合にはクロム化合物を使用しない
リン酸塩系、シリカ系、ジルコニウム系、マンガン系、
チタン系のものを使用し、耐食性を重要視する場合はク
ロム化合物を使用するクロメ−ト処理を使用すればよ
い。樹脂塗膜の形成はロ−ルコ−ト法、カ−テンフロ−
コ−ト法、スプレ−法などのような公知塗装法で塗料を
塗装して、加熱乾燥する方法によればよい。
限はないが、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、
溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板などのようなめっ
き鋼板が耐食上好ましい。基材鋼板には樹脂塗膜を形成
する前に化成処理を前以て施して、塗膜密着性、耐食性
を向上させる。この化成処理としては、微量のクロムの
溶出でも防止したい場合にはクロム化合物を使用しない
リン酸塩系、シリカ系、ジルコニウム系、マンガン系、
チタン系のものを使用し、耐食性を重要視する場合はク
ロム化合物を使用するクロメ−ト処理を使用すればよ
い。樹脂塗膜の形成はロ−ルコ−ト法、カ−テンフロ−
コ−ト法、スプレ−法などのような公知塗装法で塗料を
塗装して、加熱乾燥する方法によればよい。
【0014】
【実施例】実施例1〜12
溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.5mm、亜鉛付着量片面
45g/m2)にリン酸塩処理または塗布型クロメ−ト
処理の前処理を施して、エポキシ変性高分子ポリエステ
ル系樹脂塗料を乾燥塗膜厚で10μmになるように塗装
し、最高到達板温215℃で40秒間焼付乾燥した。塗
料としては、カルシウムイオンをイオン交換により結合
させた多孔質シリカ粒子とポリリン酸塩とを表1のよう
に含有するものを用いた。そして、乾燥後下記のような
塗膜性能試験を実施した。この結果を表2に示す。
45g/m2)にリン酸塩処理または塗布型クロメ−ト
処理の前処理を施して、エポキシ変性高分子ポリエステ
ル系樹脂塗料を乾燥塗膜厚で10μmになるように塗装
し、最高到達板温215℃で40秒間焼付乾燥した。塗
料としては、カルシウムイオンをイオン交換により結合
させた多孔質シリカ粒子とポリリン酸塩とを表1のよう
に含有するものを用いた。そして、乾燥後下記のような
塗膜性能試験を実施した。この結果を表2に示す。
【0015】(1)耐沸騰水性試験
試験片を沸騰水に2時間浸漬して、取り出した後、ま
ず、塗膜外観を観察し、次に、0T加工した加工部にテ
−プをいったん貼付けて、剥離するテ−ピング試験を実
施した。これらの評価は以下の基準により行った。 [塗膜外観] ○;異常なし △;塗膜フクレまたは艶引けが認められる ×;著しい塗膜フクレまたは艶引けが認められる [テ−ピング試験] ○;異常なし △;一部に塗膜剥離が認められる ×;全面に塗膜剥離が認められる
ず、塗膜外観を観察し、次に、0T加工した加工部にテ
−プをいったん貼付けて、剥離するテ−ピング試験を実
施した。これらの評価は以下の基準により行った。 [塗膜外観] ○;異常なし △;塗膜フクレまたは艶引けが認められる ×;著しい塗膜フクレまたは艶引けが認められる [テ−ピング試験] ○;異常なし △;一部に塗膜剥離が認められる ×;全面に塗膜剥離が認められる
【0016】(2)耐食性、耐湿性試験
試験片に鋼素地に達するクロスカツトを入れた後、耐食
性試験として、JISZ 2371に準拠した塩水噴霧
試験を240時間実施した。また、耐湿性試験としては
同様に調製した試験片を温度50℃、湿度98%の雰囲
気中に240時間放置する試験を実施した。そして、各
試験後平坦部の外観を観察するとともに、下バリ端面最
大フクレ幅とクロスカツト片側最大フクレ幅を測定し
て、それらを以下の基準により評価した。
性試験として、JISZ 2371に準拠した塩水噴霧
試験を240時間実施した。また、耐湿性試験としては
同様に調製した試験片を温度50℃、湿度98%の雰囲
気中に240時間放置する試験を実施した。そして、各
試験後平坦部の外観を観察するとともに、下バリ端面最
大フクレ幅とクロスカツト片側最大フクレ幅を測定し
て、それらを以下の基準により評価した。
【0017】[平坦部外観]
○;異常なし
△;塗膜フクレまたは艶引けが認められる
×;著しい塗膜フクレまたは艶引けが認められる
[下バリ端面最大フクレ幅]
◎;フクレ幅1mm以下
○;フクレ幅1mm超〜3mm以下
△;フクレ幅3mm超〜6mm以下
×;フクレ幅6mm超
[クロスカツト片側最大フクレ幅]
◎;フクレなし
○;フクレ幅1mm以下
△;フクレ幅1mm超〜2mm以下
×;フクレ幅2mm超
【0018】
【表1】
(注1)前処理のイはリン酸塩系非クロム塗装前処理
剤、ロはシリカ系非クロム塗装前処理剤、ハはジルコニ
ウム系非クロム塗装前処理剤、ニはマンガン系非クロム
塗装前処理剤、ホはチタン系非クロム塗装前処理剤であ
る。 (注2)ポリリン酸塩のaはトリポリリン酸2水素アル
ミニウム、bはメタリン酸アルミニウム、cはピロリン
酸アルミニウムである。 (注3)シリカ粒子(A)とポリリン酸塩(B)の合計は樹
脂塗膜の樹脂成分100重量部に対してである。 (注4)色調の白色は酸化チタン顔料の添加、黄色はス
トロンチウムクロメ−トの添加によるものである。
剤、ロはシリカ系非クロム塗装前処理剤、ハはジルコニ
ウム系非クロム塗装前処理剤、ニはマンガン系非クロム
塗装前処理剤、ホはチタン系非クロム塗装前処理剤であ
る。 (注2)ポリリン酸塩のaはトリポリリン酸2水素アル
ミニウム、bはメタリン酸アルミニウム、cはピロリン
酸アルミニウムである。 (注3)シリカ粒子(A)とポリリン酸塩(B)の合計は樹
脂塗膜の樹脂成分100重量部に対してである。 (注4)色調の白色は酸化チタン顔料の添加、黄色はス
トロンチウムクロメ−トの添加によるものである。
【0019】
【表2】
【0020】実施例13〜27
実施例1〜10で使用したものと同一の溶融亜鉛めっき
鋼板にリン酸塩処理または塗布型クロメ−ト処理を施し
て、エポキシ変性高分子ポリエステル系樹脂のプライマ
−塗料を乾燥塗膜厚で5μmになるように塗装し、最高
到達板温215℃で30秒間焼付乾燥した後、その上に
高分子ポリエステル系樹脂の上塗り塗料を乾燥塗膜厚で
15μmとなるように種々塗装して、最高到達板温23
0℃で40秒間焼付乾燥した。ここで、プライマ−塗料
としては、カルシウムイオンをイオン交換により結合さ
せた多孔質シリカ粒子とポリリン酸塩とを表3のように
含有するものを用いた。表4に乾燥後実施例1〜10と
同様に実施した塗膜性能試験の結果を示す。
鋼板にリン酸塩処理または塗布型クロメ−ト処理を施し
て、エポキシ変性高分子ポリエステル系樹脂のプライマ
−塗料を乾燥塗膜厚で5μmになるように塗装し、最高
到達板温215℃で30秒間焼付乾燥した後、その上に
高分子ポリエステル系樹脂の上塗り塗料を乾燥塗膜厚で
15μmとなるように種々塗装して、最高到達板温23
0℃で40秒間焼付乾燥した。ここで、プライマ−塗料
としては、カルシウムイオンをイオン交換により結合さ
せた多孔質シリカ粒子とポリリン酸塩とを表3のように
含有するものを用いた。表4に乾燥後実施例1〜10と
同様に実施した塗膜性能試験の結果を示す。
【0021】
【表3】
(注1)前処理のイ、ロ、ハ、ニ、ホは表1の場合と同
一である。 (注2)ポリリン酸塩のa、b、cも表1の場合と同一
である。 (注3)シリカ粒子(A)とポリリン酸塩(B)の合計も表
1の場合と同一である。
一である。 (注2)ポリリン酸塩のa、b、cも表1の場合と同一
である。 (注3)シリカ粒子(A)とポリリン酸塩(B)の合計も表
1の場合と同一である。
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】以上のように、多孔質シリカ粒子にカル
シウムイオンをイオン交換により結合させた腐食抑制剤
(A)を樹脂塗膜に含有させて、腐食抑制剤(A)の含
有量を塗膜の樹脂成分100重量部に対して2〜50重
量部にした塗装鋼板において、樹脂塗膜にポリリン酸塩
(B)を添加して、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩
(B)の比率を重量比でA/B=60/40〜5/95
にするとともに、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩
(B)の合計量を塗膜の樹脂成分100重量部に対して
5〜150重量部にすると、カルシウムイオンの溶出が
抑制されるため、耐食性が持続し、防錆性能が高くな
る。
シウムイオンをイオン交換により結合させた腐食抑制剤
(A)を樹脂塗膜に含有させて、腐食抑制剤(A)の含
有量を塗膜の樹脂成分100重量部に対して2〜50重
量部にした塗装鋼板において、樹脂塗膜にポリリン酸塩
(B)を添加して、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩
(B)の比率を重量比でA/B=60/40〜5/95
にするとともに、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩
(B)の合計量を塗膜の樹脂成分100重量部に対して
5〜150重量部にすると、カルシウムイオンの溶出が
抑制されるため、耐食性が持続し、防錆性能が高くな
る。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C09D 201/00 C09D 201/00
C23F 11/00 C23F 11/00 A
(56)参考文献 特開 平11−158436(JP,A)
特開 平5−84466(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B05D 7/24 303
B05D 7/14
B32B 15/08
C09D 5/08
C09D 7/12
C09D 201/00
C23F 11/00
Claims (2)
- 【請求項1】 多孔質シリカ粒子にカルシウムイオン
をイオン交換により結合させた腐食抑制剤(A)を樹脂
塗膜に含有させて、腐食抑制剤(A)の含有量を塗膜の
樹脂成分100重量部に対して2〜50重量部にした塗
装鋼板において、樹脂塗膜にポリリン酸塩(B)を添加
して、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩(B)の比率を
重量比でA/B=60/40〜5/95にするととも
に、腐食抑制剤(A)とポリリン酸塩(B)の合計量を
塗膜の樹脂成分100重量部に対して5〜150重量部
にしたことを特徴とする塗膜に非クロム化合物防錆顔料
を使用した塗装鋼板。 - 【請求項2】 ポリリン酸塩(B)がトリポリリン酸
2水素アルミニウムであることを特徴とする請求項1に
記載の塗膜に非クロム化合物防錆顔料を使用した塗装鋼
板。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2000026355A JP3389191B2 (ja) | 2000-02-03 | 2000-02-03 | 塗膜に非クロム化合物防錆顔料を使用した塗装鋼板 |
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JP2001212506A JP2001212506A (ja) | 2001-08-07 |
JP3389191B2 true JP3389191B2 (ja) | 2003-03-24 |
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ID=18552097
Family Applications (1)
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2000
- 2000-02-03 JP JP2000026355A patent/JP3389191B2/ja not_active Ceased
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