JP4608233B2 - 凹凸模様形成用ノンクロメート系プレコート金属板の製造用下塗り塗料組成物、及びノンクロメート系プレコート金属板 - Google Patents
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Description
上記塗料組成物は以下の記載の通り、必須成分として、樹脂、架橋剤、及び防錆顔料を含有している。これら成分のうち、本発明を最も特徴付けるのは樹脂である。
本発明では、下塗り塗膜用のベース樹脂(主剤樹脂)として、分子量の異なる2種類のポリエステル系樹脂(樹脂Aと樹脂B)を用いたところに特徴がある。この様な樹脂混合物を使用することにより初めて、耐食性を劣化させることなく耐水性を高めることが可能となり、耐食性と耐水性という、相反する特性を兼ね備えたノンクロメート系プレコート金属板を提供することができた。
本発明では、更に架橋剤として、メラミン系樹脂とエポキシ系樹脂を併用することが推奨され、これにより、耐食性を低下させることなく耐水性を高めることができる。両者の併用により、メラミン系樹脂を単独使用した場合に比べ、樹脂の架橋密度が大きくなり、耐水性が著しく向上することを、後記する実施例によって確認している。
本発明では、更に防錆顔料として、シリカ系防錆剤とリン酸塩系防錆剤を併用することが推奨され、これにより、耐食性を低下させることなく耐水性を高めることができる。
・イオン交換シリカ;「シールデックス C303」等(GRACE Davision製の商品名)、「SHIELDEX C3O3」、「SHIELDEX AC−3」、「SHIELDEX C−5」等(いずれも富士シリシア化学社製の商品名);
・アルミニウム修飾シリカ;「アデライトAT−20A2」等(日本アエロジル社製の商品名)。
・リン酸塩;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸二水素アルミニウム、リン・ケイ酸亜鉛、リン酸アルミニウム亜鉛、リン酸カルシウム亜鉛等;
・ホスネン酸、ホスホン酸塩;亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム等。
本発明に係る下塗り塗膜用の塗料組成物は、前述した樹脂、架橋剤、及び防錆剤を必須成分として含有するものであるが、更に他の成分として、体質顔料を添加しても良い。特に、更なる加工性向上という観点からすれば、シリカ系体質顔料(例えばタルク、クレイ等)と二酸化チタンを併用することが推奨される。
上記下塗り塗膜を構成する塗料組成物の詳細は、前述した通りである。特に、優れた耐食性を確保する為には、下塗り塗膜の膜厚を7μm(より好ましくは9μm以上)とすることが推奨される。一方、その上限は、耐食性や耐水性、加工性といった観点からは特に限定されず、例えば30μmの膜厚でも所望の特性が得られる(後記する実施例を参照)が、膜厚が厚くなるとコスト増を招く他、塗膜の乾燥時間が長くなって生産性も劣化し、実用的でない。実用性を考慮すれば、その上限を15μm(より好ましくは12μm)とすることが推奨される。
本発明に用いられるノンクロメート系下地処理皮膜は特に限定されず、公知のノンクロメート系下地処理を適用することができる。代表的な下地処理法としては、原板たる金属板(鋼板)に亜鉛系めっきを施しておき、その表面にリン酸塩処理、あるいはシリカやジルコニアをベースとするクロムフリーの化成処理等を施す方法が挙げられる。また、市販の下地処理液を使用しても良く、例えば日本パーカーライジング製「CT−E220」、「CT−E203」等;日本ペイント製「EC2000」等の使用が推奨される。
本発明では、上塗り塗膜は所望のユズ肌外観(凹凸模様)を形成する為に形成するものであり、この様な凹凸模様形成用の上塗り塗料組成物としては、例えば、特開2002−226788号公報に記載の組成物をそのまま採用することができる。
本発明に用いられる金属板としては、表面被覆金属板に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、軟鋼やステレス鋼板を始めとする各種合金鋼板;Al・Al合金板、Cu・Cu合金板、Ti・Ti合金板等の金属板に、各種めっき(Zn・Zn合金めっき、Al・Al合金めっき、Cu系めっき、Ni系めっき、Cr系めっき等)が施されためっき金属板が挙げられる。具体的には、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Al5%−Zn合金めっき鋼板、Al55%−Zn合金めっき鋼板等が例示される。なかでも、めっき付着量の多い溶融亜鉛めっき鋼板、めっき層が硬い合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用が特に推奨される。これらのめっき金属板に、皮膜密着性や耐食性の向上を目的として、リン酸塩処理、クロメート処理等の化成処理を施した金属板も本発明の範囲内に包含される。
本実施例では、下塗り塗膜に添加する樹脂の分子量が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
以下に示す(1−1)、(1−2)、(1−3)、及び(1−4)の各成分を固形分換算で、混合比率が39部:11部:35部:15部となる様に配合し、下塗り塗膜用の塗料組成物とした。
樹脂A(数平均分子量、メーカー名):15,000(大日本インキ工業株式会社製SUPERベッコライトM−6801−30)、18,000(東洋紡績株式会社製バイロン530)、19,000(東洋紡績株式会社製バイロン560)、23,000(東洋紡績株式会社製バイロン300)、28,000(東洋紡績株式会社製バイロン550)
樹脂B(数平均分子量、メーカー名):3,000(東洋紡績株式会社製バイロン220)、7,000(東洋紡績株式会社製バイロンGK130)、13,000(東洋紡績株式会社製バイロンGK190)、15,000(大日本インキ工業株式会社製SUPERベッコライトM−6801−30)、18,000(東洋紡績株式会社製バイロン530)
メラミン系樹脂(三井サイテック株式会社製「サイメル325」)及びエポキシ系樹脂(ジャパン・エポキシレジン(株)製「ユピコート1001」)を、25部:3部の混合比率で使用。
シリカ系防錆剤としてイオン交換シリカ(GRACE Davision製「シールデックス C303」、及びリン酸塩系防錆剤としてトリポリリン酸アルミニウム(テイカ製「テイカK−WHITE G105」)を、3部:32部の混合比率で使用。
二酸化チタン(テイカ株式会社社製「JR−603」及びシリカ系体質顔料(丸尾カルシウム株式会社社製「クレイ1号」)を14.5部:0.5部の混合比率で使用。
脂肪族炭化水素として、パラフィン(和光試薬製、融点:40〜42℃)を用い、キシレンで溶解した溶液(濃度50質量%)を塗料(塗料樹脂として、大日本インキ社製SRF34を使用)中に分散させたものを上塗り塗膜用の塗料組成物とした。
各プレコート鋼板について、JIS−Z−2371に規定の塩水噴霧試験(SST)を700時間行い、端面とクロスカット部の膨れ幅を測定し、以下の基準で相対評価した。
◎:膨れ幅が2mm以下
○:膨れ幅が2mm超、3mm以下
×:膨れ幅が3mm超
クロスカット
◎:膨れ幅が1mm以下
○:膨れ幅が1mm超、2mm以下
×:膨れ幅が2mm超
各プレコート鋼板について、耐水性試験用の試験片(50mm×120mm)を調製し、60°のクロスカットを入れて40℃の温水中に1000時間浸漬し、浸漬後(引上げ直後)の塗膜外観を目視観察し、ASTM D714に記載のブリスターランクに基づき、評価した。尚、以下のランク付において、「2、4、6、8」の算数字はブリスターの大きさ(サイズ)を意味し、数字が小さい程、ブリスターのサイズが大きいことを意味しており;一方、「F、M、MD、D」のローマ字記号はブリスターの集積密度を意味し、DからFに向かう程、密度が小さくなる(細かい)ことを意味している。
○:ブリスター発生小(8F)
×:ブリスター発生大(8F未満;即ち、2F、2M、2MD、2D、4F、4M、4MD、4D、6F、6M、6MD、6D、8M、MD、8D)
各プレコート鋼板を縦50mm×横50mmの大きさに切断し、各鋼板の塗装面を外側にして折曲げ、室温(20℃)下にて万力で180°(0T加工)折曲げ加工した後、折曲げ部を目視若しくは10倍のルーペで観察し、塗膜に生じたクラックの状態を下記基準で評価した。
(目視観察及び10倍ルーペ観察のいずれにおいても認められず)
○:クラックの発生なし
(目視ではクラックは観察されなかったが、10倍ルーペで観察すると
クラックの発生が認められた)
X:クラック有り
(目視確認のみでも、クラックの発生が認められた)
本実施例では、下塗り塗膜に添加する樹脂の混合比率が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
本参考例では、下塗り塗膜に添加する架橋剤(メラミン系樹脂とエポキシ系樹脂)の混合比率が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
本参考例では、下塗り塗膜に添加する防錆顔料(シリカ系防錆顔料とリン酸塩系防錆顔料)の混合比率が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
本参考例では、下塗り塗膜に添加する体質顔料(シリカ系体質顔料と二酸化チタン)の混合比率が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
本参考例では、下塗り塗膜の膜厚が、耐食性、耐水性、及び加工性に及ぼす影響について調べた。
Claims (4)
- 凹凸模様形成用ノンクロメート系プレコート金属板の製造に使用される下塗り塗膜用の塗料組成物であって、
樹脂として、数平均分子量(Mn)が18,000〜25,000のポリエステル系樹脂Aと、数平均分子量(Mn)が5,000〜15,000のポリエステル系樹脂Bを、(1.0〜5.0):(9.0〜5.0)の質量比率で含有し、且つ、
架橋剤として、メラミン系樹脂及びエポキシ系樹脂を含有し、
メラミン系樹脂とエポキシ系樹脂を、固形分換算で、メラミン系樹脂100質量部に対し、エポキシ系樹脂を2〜20質量部の比率で含有することを特徴とする凹凸模様形成用ノンクロメート系プレコート金属板の製造用下塗り塗料組成物。 - 更に防錆顔料として、シリカ系防錆剤及びリン酸塩系防錆剤を含有し、
シリカ系防錆剤とリン酸塩系防錆剤を、固形分換算で、リン酸塩系防錆剤100質量部に対し、シリカ系防錆剤4.5〜14.8質量部の比率で含有するものである請求項1に記載の下塗り塗料組成物。 - 更に体質顔料として、二酸化チタンを含有し、更にシリカ系体質顔料を含有しても良く、
シリカ系体質顔料と二酸化チタンの混合比率は、固形分換算で、シリカ系体質顔料:二酸化チタン=0:15〜1:14である請求項1または2に記載の下塗り塗料組成物。 - ノンクロメート系下地処理皮膜に、下塗り塗膜、及び凹凸模様を形成する上塗り塗膜が被覆されたノンクロメート系プレコート金属板であって、
該下塗り塗膜は、請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物から形成されるものであり、且つ、該下塗り塗膜の膜厚は7μm以上であることを特徴とする耐食性、耐水性、及び加工性に優れたノンクロメート系プレコート金属板。
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