JP2002053979A - 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程や使用する際にも安全、無害であっ
て、しかも優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提供
する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化物微
粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属とを含有する複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2
層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部
の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)か
らなる活性水素含有化合物(B)との反応生成物(X)
と、(a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩、(b)
Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素、
(c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素、(d)カルシ
ウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素、(e)モリブデ
ン酸塩、(f)トリアゾール類、チオール類、チアジア
ゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる
1種以上の有機化合物、のうちのいずれかの防錆添加成
分(Y)とを含む有機皮膜を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途などに最適な有機被覆鋼板に関し、製品を取扱う
作業者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さ
らには使用環境下における製品からの有害物質の揮発・
溶出などの環境問題に適応するために、製造時および製
品中にクロム、鉛、カドミウム、水銀などの重金属を全
く含まない環境適応型表面処理鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)
を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸又はその塩
類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が施さ
れた鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理
は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことができる経
済的な処理方法である。
【0003】クロメート処理は公害規制物質である6価
クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理
工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還
元・回収されて自然界には放出されていないこと、ま
た、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート
皮膜中からのクロム溶出もほぼゼロにできることから、
実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染される
ことはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、
6価クロムを含めた重金属の使用を自主的に削減しよう
とする動きが高まりつつある。また、廃棄製品のシュレ
ッダーダストを投棄した場合に環境を汚染しないように
するため、製品中にできるだけ重金属を含ませない若し
くはこれを削減しようとする動きも始まっている。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術、所謂クロムフリー技術が数多く提
案されている。このうち有機系化合物や有機樹脂を利用
した方法もいくつか提案されており、例えば、以下のよ
うな方法を挙げることができる。
【0005】(1)タンニン酸を用いる方法(例えば、
特開昭51−71233号) (2)エポキシ樹脂とアミノ樹脂とタンニン酸を混合し
た熱硬化性塗料を用いる方法(例えば、特開昭63−9
0581号) (3)水系樹脂と多価フェノールカルボン酸の混合組成
物を用いる方法(例えば、特開平8−325760号)
などのようなタンニン酸のキレート力を利用する方法
【0006】(4)ヒドラジン誘導体水溶液をブリキ又
は亜鉛鉄板の表面に塗布する表面処理方法(例えば、特
公昭53−27694号、特公昭56−10386号) (5)アシルザルコシンとベンゾトリアソールとの混合
物にアミンを付加させて得られたアミン付加塩を含む防
錆剤を用いる方法(例えば、特開昭58−130284
号) (6)ベンゾチアゾール化合物などの複素環化合物とタ
ンニン酸を混合した処理剤を用いる方法(例えば、特開
昭57−198267号)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には以下に述べるような問題点がある。ま
ず、上記(1)〜(4)の方法はいずれも耐食性の面で
問題がある。これは、いずれの方法によっても、得られ
る皮膜が自己補修効果を有していないことに一因があ
る。すなわち、クロメート皮膜では、 (a) バリア効果:3価Cr主体の難溶性化合物(水和酸
化物)による腐食因子(水、酸素、塩素など)に対する
障壁効果 (b) 自己補修効果:6価Crによる腐食起点での保護皮
膜形成効果 の両者の相乗効果によって高度の耐食性を発現する。と
ころが、従来のクロムフリー技術では、バリア効果につ
いてはクロムに頼らなくとも有機樹脂などによってある
程度付与できるが、自己補修効果については、6価Cr
の代替となる自己補修性発現物質が提供されていなかっ
たため、高度の耐食性は実現できなかった。
【0008】また、上記(1)の方法では耐食性が不十
分であるだけでなく、処理後の均一な外観が得られな
い。また、上記(2)の方法は、特に亜鉛系又はアルミ
ニウム系めっき表面に直接、薄膜状(0.1〜5μm)
の防錆皮膜を形成することを狙いとしたものではなく、
このため亜鉛系又はアルミニウム系めっき表面に薄膜状
に適用したとしても十分な防食効果は得られない。ま
た、上記(3)の方法についても同様に耐食性が不十分
である。
【0009】さらに上記(4)の方法は亜鉛系又はアル
ミニウム系めっき鋼板について適用したものではなく、
また、仮に亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板に適用
したとしても、得られる皮膜はネットワーク構造を有し
ていないため十分なバリヤー性がなく、このため耐食性
が不十分である。また、特公昭53−23772号、特
公昭56−10386号には皮膜の均一性向上を狙いと
してヒドラジン誘導体水溶液に水溶性高分子化合物(ポ
リビニルアルコール類、マレイン酸エステル共重合体、
アクリル酸エステル共重合体など)を混合することが開
示されているが、ヒドラジン誘導体水溶液と水溶性高分
子化合物との単なる混合物では十分な耐食性は得られな
い。
【0010】さらに、上記(5)、(6)の方法も亜鉛
系又はアルミニウム系めっき鋼板表面に短時間で防錆皮
膜を形成することを狙いとしたものではなく、また、仮
に処理剤をめっき鋼板表面に塗布したとしても、酸素や
水などの腐食因子へのバリヤー性がないため優れた耐食
性は得られない。また、(6)の方法については、添加
剤として樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル樹脂など)と
の混合についても述べられているが、ベンゾチアゾール
化合物などの複素環化合物と樹脂との単なる混合物では
十分な耐食性は得られない。
【0011】また、上記(1)〜(6)の方法はいずれ
も、プレス加工などで表面に塗布した油を除去するため
に、スプレーなどによるpH9〜11程度のアルカリ脱
脂を行うような実用条件においては、アルカリ脱脂によ
って皮膜が剥離又は損傷し、耐食性を保持できないとい
う問題がある。したがって、これらの方法は、防錆皮膜
を形成する方法としては実用に適したものではない。
【0012】また、最近のOA機器やAV機器はデジタ
ル化が進み、ノイズ対策から表面処理鋼板に対して厳し
い導電性が要求されるようになってきた。また、OA機
器ではシャーシの組み立て工程でスポット溶接を行う場
合が多く、高い生産性を確保するためはスポット溶接で
の高度な連続打点性が要求される。クロメート皮膜を有
する有機被覆鋼板の場合は極めて薄い皮膜で優れた耐食
性を示すため、そのような厳しい導電性やスポット溶接
での高度な連続打点性の要求にも対応することができる
が、従来のクロムフリーの有機被覆鋼板では、薄膜にな
るほど皮膜の欠陥部からの腐食が発生しやすくなり、こ
れにより耐食性が著しく低下するという問題がある。
【0013】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、皮膜中に6価クロムなどの重金
属を含まず、製造工程や使用する際にも安全、無害であ
って、しかも優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提
供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の
ような優れた耐食性とともに高度の導電性及びスポット
溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜
として特定の複合酸化物皮膜を形成し、その上部に第2
層皮膜として特定のキレート形成樹脂皮膜を形成すると
ともに、このキレート形成樹脂皮膜中に6価クロムに代
わる特定の自己補修性発現物質(防錆添加成分)を適量
配合することにより、環境や人体に悪影響を及ぼすおそ
れのあるクロメート処理を行うことなく、無公害で且つ
耐食性に極めて優れた有機被覆鋼板が得られることを見
い出した。さらに、このような有機被覆鋼板の第1層皮
膜と第2層皮膜の付着量を特定の範囲に規制することに
より、優れた耐食性とともに高度の導電性及びスポット
溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板が得られることを見い
出した。本発明はこのような知見に基づきなされたもの
で、その特徴とする構成は以下の通りである。
【0015】[1]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(a)〜(f)のうちのいずれかの防錆添加成分(Y)
とを含み、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0016】[2]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(e)、(g)及び(h)の防錆添加成分(Y)とを含
み、 (e)モリブデン酸塩 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0017】[3]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(e)及び(i)の防錆添加成分(Y)とを含み、
(e)モリブデン酸塩 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0018】[4]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(f)、(g)及び(h)の防錆添加成分(Y)とを含
み、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0019】[5]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(f)及び(i)の防錆添加成分(Y)とを含み、
(f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0020】[6]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(e)及び(f)の防錆添加成分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0021】[7]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(e)、(f)、(g)及び(h)の防錆添加成分
(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0022】[8]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、第1層皮膜として、(α)酸化
物微粒子と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、
(γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
の複合酸化物皮膜を有し、その上部に第2層皮膜とし
て、皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、下記
(e)、(f)及び(i)の防錆添加成分(Y)とを含
み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0023】[9]上記[1]〜[8]のいずれかの有機
被覆鋼板において、有機皮膜が、さらに固形潤滑剤
(Z)を含み、該固形潤滑剤(Z)の含有量が前記反応
生成物(X)100重量部(固形分)に対して1〜80
重量部(固形分)であることを特徴とする耐食性に優れ
た有機被覆鋼板。 [10]上記[1]〜[9]のいずれかの有機被覆鋼板にお
いて、皮膜形成有機樹脂(A)が、エポキシ基含有樹脂
(D)であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆
鋼板。 [11]上記[1]〜[10]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)が、
活性水素を有するピラゾール化合物及び/又は活性水素
を有するトリアゾール化合物であることを特徴とする耐
食性に優れた有機被覆鋼板。
【0024】[12]上記[1]〜[11]のいずれかの有
機被覆鋼板において、活性水素を有するヒドラジン誘導
体(C)が活性水素化合物(B)中に10〜100モル
%含まれることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。 [13]上記[10]〜[12]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、エポキシ基含有樹脂(D)が下記式(1)で示
されるエポキシ樹脂であることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。
【化2】
【0025】[14]上記[1]〜[13]のいずれかの有
機被覆鋼板において、複合酸化物皮膜中に含まれる成分
(α)が酸化ケイ素であることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。 [15]上記[1]〜[14]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、複合酸化物皮膜がさらに有機樹脂を含有するこ
とを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [16]上記[1]〜[15]のいずれかの有機被覆鋼板に
おいて、複合酸化物皮膜は成分(α)とP換算量
での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での
成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/mであ
り、有機皮膜は付着量が0.1g/m以上、0.5g
/m未満であることを特徴とする耐食性に優れた有機
被覆鋼板。
【0026】[17]上記[1]〜[16]のいずれかの有
機被覆鋼板の製造方法であって、亜鉛系めっき鋼板又は
アルミニウム系めっき鋼板の表面に、(イ)酸化物微粒
子と、(ロ)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(ハ)
Mg、Mn、Alのうちのいずれかの金属イオン、前記
金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオン、前記
金属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前記金属の
うちの少なくとも1種を含む複合化合物からなる群の中
から選ばれる1種または2種以上と、を含有し、前記添
加成分(イ)のモル濃度、前記添加成分(ロ)のP2O
5換算の合計モル濃度、前記添加成分(ハ)の前記金属
の金属量換算の合計モル濃度が、モル比(イ)/(ハ)
=0.1〜20、モル比(ハ)/(ロ)=0.1〜1.
5を満足するように調整された処理液を塗布し、しかる
後、加熱乾燥することによりめっき鋼板表面に膜厚が
0.005〜3μmの複合酸化物皮膜を形成し、次い
で、その上部に有機皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、
加熱乾燥することにより、膜厚が0.1〜5μmの有機
皮膜を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被
覆鋼板の製造方法。
【0027】[18]上記[17]の製造方法において、複
合酸化物皮膜形成用の処理液中の添加成分(イ)が酸化
ケイ素であることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆
鋼板の製造方法。 [19]上記[17]又は[18]の製造方法において、上記
複合酸化物皮膜形成用の処理液が、さらに有機樹脂を含
有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板の
製造方法。 [20]上記[17]〜[19]のいずれかの製造方法におい
て、めっき鋼板表面に、成分(α)とP換算量で
の成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での成
分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/mの複合
酸化物皮膜を形成し、該複合酸化物皮膜の上部に付着量
が0.1g/m以上、0.5g/m未満の有機皮膜
を形成することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板の製造方法。
【0028】本発明の有機被覆鋼板の基本的な特徴は、
亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面
に、第1層皮膜として、(α)酸化物微粒子と、(β)
リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)Mg、Mn、
Alの中から選ばれる1種以上の金属(但し、化合物及
び/又は複合化合物として含まれる場合を含む)とを含
有する(好ましくは、主成分として含有する)複合酸化
物皮膜を形成し、さらにその上部に第2層皮膜として、
皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が活
性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
素含有化合物(B)とを反応させることにより、皮膜形
成用樹脂(A)にキレート形成基としてヒドラジン誘導
体(C)を付与し、この反応生成物であるキレート形成
樹脂を基体樹脂として用いるとともに、自己補修性発現
物質(防錆添加成分)として、(a)Caイオン交換シ
リカ及びリン酸塩、(b)Caイオン交換シリカ、リン
酸塩及び酸化ケイ素、(c)カルシウム化合物及び酸化
ケイ素、(d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケ
イ素、(e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、
チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラ
ム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、のうちの
いずれかの、若しくは上記(e)及び/又は(f)に他
の成分を複合添加した防錆添加成分(Y)を配合した有
機皮膜を形成した点にある。
【0029】上記の第1層皮膜と第2層皮膜は、それぞ
れ単独の皮膜としても従来のクロムフリー皮膜に較べて
優れた防錆効果を有するが、本発明ではこれらの皮膜を
下層及び上層とする二層皮膜構造とし、この二層皮膜構
造による相乗効果によって薄膜の皮膜でありながらクロ
メート皮膜に匹敵する耐食性を得ることを可能にしたも
のである。このような特定の複合酸化物皮膜と有機皮膜
とからなる二層皮膜構造による防食機構は必ずしも明ら
かでないが、以下に述べるような両皮膜による腐食抑制
作用が複合化した結果であると考えられる。
【0030】上記第1層皮膜である複合酸化物皮膜の防
食機構については必ずしも明確でないが、緻密で難溶
性の複合酸化物皮膜がバリヤー性皮膜として腐食因子を
遮断すること、酸化ケイ素などの酸化物微粒子が、リ
ン酸及び/又はリン酸化合物とMg、Mn、Alの中か
ら選ばれる1種以上の金属と共に安定で緻密なバリヤー
皮膜を形成すること、酸化物微粒子が酸化ケイ素であ
る場合にケイ酸イオンが腐食環境下で塩基性塩化亜鉛の
形成を促し、バリヤー性を向上させること、などにより
優れた防食性能が得られるものと考えられる。
【0031】さらに皮膜に欠陥が生じた場合でも、カソ
ード反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ
性になることにより上記成分(γ)がMe(OH)
して沈殿し、緻密で難溶性の生成物として欠陥を封鎖
し、腐食反応を抑制するものと考えられる。また、上述
したようにリン酸および/またはリン酸化合物は複合酸
化物皮膜の緻密性の向上に寄与するとともに、皮膜欠陥
部で腐食反応であるアノード反応によって溶解した亜鉛
イオンをリン酸成分が捕捉し、難溶性のリン酸亜鉛化合
物としてそこに沈殿生成物を形成するものと考えられ
る。以上のように、成分(γ)とリン酸および/または
リン酸化合物は皮膜欠陥部での自己補修作用を示すもの
と考えられる。
【0032】また、上記成分(γ)の中でも、マグネシ
ウム成分を含有する場合に特に優れた耐食性が得られ
る。これは、Mgは他の金属に較べて水酸化物の溶解度
が低く、難溶塩を形成しやすいためであると考えられ
る。また、上記のような作用効果は、上述したように複
合酸化物皮膜の成分(α)としてSiO微粒子を特定
の付着量で、成分(β)としてリン酸および/またはリ
ン酸化合物を特定の付着量で、成分(γ)としてマグネ
シウム成分を特定の付着量で、それぞれ含有させた場合
に特に顕著に得られる。
【0033】上記第2層皮膜である有機皮膜の防食機構
についても必ずしも明確でないが、その機構は以下のよ
うに推定できる。すなわち、単なる低分子量のキレート
化剤ではなく、皮膜形成有機樹脂にヒドラジン誘導体を
付与することによって、(1)緻密な有機高分子皮膜によ
り酸素や塩素イオンなどの腐食因子を遮断する効果が得
られること、(2)ヒドラジン誘導体が第1層皮膜の表面
と安定で強固に結合して不動態化層を形成できること、
(3)腐食反応によって溶出した亜鉛イオンを皮膜中のフ
リーのヒドラジン誘導体基がトラップし、安定な不溶性
キレート化合物層を形成するため、界面でのイオン伝導
層の形成が抑制されて腐食の進行が抑制されること、な
どの作用効果により腐食の進行が効果的に抑制され、優
れた耐食性が得られるものと考えられる。
【0034】また、皮膜形成有機樹脂(A)として、特
にエポキシ基含有樹脂を用いた場合には、エポキシ基含
有樹脂と架橋剤との反応により緻密なバリヤー皮膜が形
成され、このバリヤー皮膜は酸素などの腐食因子の透過
抑制能に優れ、また、分子中の水酸基により素地との優
れた結合力が得られるため、特に優れた耐食性(バリヤ
ー性)が得られる。さらに、活性水素を有するヒドラジ
ン誘導体(C)として、特に活性水素を有するピラゾー
ル化合物及び/又は活性水素を有するトリアゾール化合
物を用いることにより、より優れた耐食性(バリヤー
性)が得られる。
【0035】従来技術のように皮膜形成有機樹脂に単に
ヒドラジン誘導体を混合しただけでは、腐食抑制の向上
効果はほとんど認められない。その理由は、皮膜形成有
機樹脂の分子中に組み込まれていないヒドラジン誘導体
は、第1層皮膜中の金属とキレート化合物を形成するも
のの、そのキレート化合物は低分子量のため緻密なバリ
ヤー層にはならないためであると考えられる。これに対
して、本発明のように皮膜形成有機樹脂の分子中にヒド
ラジン誘導体を組み込むことにより、格段に優れた腐食
抑制効果が得られる。
【0036】また、本発明の有機被覆鋼板では、上記の
ような特定の反応生成物からなる有機皮膜中に、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 のうちのいずれかの、若しくは上記(e)及び/又は
(f)に他の成分を複合添加した防錆添加成分(Y)
(自己補修性発現物質)を適量配合することにより、特
に優れた防食性能(自己修復効果)を得ることができ
る。この特定の有機皮膜中に上記(a)〜(f)の成分
を配合したことにより得られる防食機構は以下のように
考えられる。
【0037】まず、上記(a)〜(d)の成分は沈殿作
用によって自己補修性を発現するもので、その反応機構
は以下のステップで進むと考えられる。 [第1ステップ]:腐食環境下において、めっき金属で
ある亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶
解する。 [第2ステップ]:リン酸塩の場合、加水分解反応によ
り解離したリン酸イオンと上記第1ステップで優先溶解
したカルシウムイオンが錯形成反応を起こし、また酸化
ケイ素の場合、表面に上記第1ステップで優先溶解した
カルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的中和して
凝集する。その結果、いずれの場合も緻密且つ難溶性の
保護皮膜が生成し、これが腐食起点を封鎖することによ
って腐食反応を抑制する。
【0038】また、上記(e)の成分は不動態化効果に
よって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で
溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成
し、これが腐食起点を封鎖することによって腐食反応を
抑制する。また、上記(f)の成分は吸着効果によって
自己補修性を発現する。すなわち、腐食によって溶出し
た亜鉛やアルミニウムが、上記(f)の成分が有する窒
素や硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形成し、
これが腐食起点を封鎖することによって腐食反応を抑制
する。一般の有機皮膜中に上記(a)〜(f)の成分を
配合した場合でも、ある程度の防食効果は得られるが、
本発明のように特定のキレート変性樹脂からなるバリア
性に優れた有機皮膜中に上記(a)〜(f)の自己補修
性発現物質を配合したことにより、両者の効果(バリア
性と自己補修性)が複合化し、これにより極めて優れた
防食効果が発揮されるものと考えられる。
【0039】また、上記(a)〜(d)、(e)、
(f)の各成分によって得られる自己補修効果からし
て、より高度な自己補修性を得るには上記(e)及び/
又は(f)を必須成分とし、これに他の成分を複合させ
た以下のような組み合せの防錆添加成分(Y)を調整
(配合)するのが好ましく、特に、下記(6)及び(7)の場
合に最も高度な自己補修性(すなわち、耐白錆性)が得
られる。
【0040】(1) (e)モリブデン酸塩、(g)カルシ
ウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩
及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (2) (e)モリブデン酸塩、及び(i)Caイオン交換
シリカ、を配合した防錆添加成分 (3) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、(g)カルシウム及び/又はカルシ
ウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ
素、を配合した防錆添加成分 (4) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、
を配合した防錆添加成分
【0041】(5) (e)モリブデン酸塩、及び(f)ト
リアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾ
ール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化
合物、を配合した防錆添加成分 (6) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カル
シウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸
塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (7) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、及び(i)
Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分
【0042】また、本発明の有機被覆鋼板は以上述べた
ような機構によって高度な耐食性を有するため、これら
皮膜の付着量を十分に低減させること、具体的には第1
層皮膜の成分(α)とP換算量での成分(β)と
Mg、Mn及びAlの金属換算量での成分(γ)の合計
付着量を6〜1000mg、第2層皮膜の付着量を0.
1g/m以上、0.5g/m未満とすることがで
き、これによって優れた耐食性とともに高度の導電性及
びスポット溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板とすること
ができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−
Mgめっき鋼板、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき
皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複
合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼
板)などを用いることができる。
【0044】また、上記のようなめっきのうち、同種又
は異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用
いることもできる。また、本発明の有機被覆鋼板のベー
スとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニ
ウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用い
ることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に
予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のよ
うな各種めっきを施したものであってもよい。めっき方
法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中
での電解)、溶融法及び気相法のうち、実施可能ないず
れの方法を採用することもできる。
【0045】また、後述するような二層皮膜をめっき皮
膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないように
するため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカ
リ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調
整処理、酸性の表面調整処理)などの処理を施しておく
ことができる。また、有機被覆鋼板の使用環境下での黒
変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、
必要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオン(N
iイオン、Coイオン、Feイオン)を含む酸性又はア
ルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくことも
できる。また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用
いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄
族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオン)
を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上
含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中
の鉄族金属濃度の上限については特に制限はない。
【0046】次に、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に形成される第1層皮膜である複
合酸化物皮膜について説明する。この複合酸化物皮膜
は、従来の酸化リチウムと酸化ケイ素からなる皮膜組成
物に代表されるアルカリシリケート処理皮膜とは全く異
なり、(α)酸化物微粒子(好ましくは、酸化ケイ素)
と、(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)M
g、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金属(但
し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を
含む)と、を含有する(好ましくは、主成分として含有
する)複合酸化物皮膜である。
【0047】前記成分(α)である酸化物微粒子として
は、耐食性の観点から特に酸化ケイ素(SiO微粒
子)が好ましい。また、酸化ケイ素の中でもコロイダル
シリカが最も好ましい。コロイダルシリカとしては、例
えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノ
ーテックスOS、スノーテックスOXS、スノーテック
スOUP、スノーテックスAK、スノーテックスO4
0、スノーテックスOL、スノーテックスOL40、ス
ノーテックスOZL、スノーテックスXS、スノーテッ
クスS、スノーテックスNXS、スノーテックスNS、
スノーテックスN、スノーテックスQAS−25、触媒
化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI−3
50、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カタロ
イドSN、旭電化工業(株)製アデライトAT−20〜
50、アデライトAT−20N、アデライトAT−30
0、アデライトAT−300S、アデライトAT20Q
などを用いることができる。
【0048】これらの酸化ケイ素の中でも、特に粒子径
が14nm以下のもの、さらには好ましくは8nm以下
のものが耐食性の観点から望ましい。また、酸化ケイ素
としては、乾式シリカ微粒子を皮膜組成物溶液に分散さ
せたものを用いることもできる。この乾式シリカとして
は、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル20
0、アエロジル3000、アエロジル300CF、アエ
ロジル380などを用いることができ、なかでも粒子径
12nm以下、さらに好ましくは7nm以下のものが望
ましい。
【0049】酸化物微粒子としては、上記の酸化ケイ素
のほかに、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなどのコロイド
溶液、微粉末などを用いることもできる。耐食性および
溶接性の観点から上記成分(α)の好ましい付着量は
0.01〜3000mg/m、より好ましくは0.1
〜1000mg/m、さらに好ましくは1〜500m
g/mである。また、耐食性と高度の導電性及びスポ
ット溶接性を同時に得るという観点からは、上記成分
(α)の好ましい付着量は1〜600mg/mであ
る。
【0050】前記成分(β)であるリン酸及び/又はリ
ン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポ
リリン酸、メタリン酸などこれらの金属塩や化合物など
の1種又は2種以上を皮膜組成物中に添加することによ
り皮膜成分として配合することができる。また、皮膜組
成物に有機リン酸やそれらの塩(例えば、フィチン酸、
フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの
金属塩)の1種以上を添加してもよい。また、そのなか
でも第一リン酸塩が皮膜組成物溶液の安定性の面から好
適である。
【0051】また、リン酸塩として第一リン酸アンモニ
ウム、第二リン酸アンモニウム、第三リン酸アンモニウ
ムの1種以上を皮膜組成物溶液に添加すると、耐食性が
より改善される傾向が認められた。その理由は明らかで
ないが、これらのアンモニウム塩を使用した場合には、
皮膜組成物溶液のpHを高くしても液がゲル化しない。
一般に、アルカリ域では金属塩が不溶性となるため、p
Hの高い皮膜組成物溶液から皮膜が形成される場合に、
より難溶性の化合物が乾燥過程で生じるものと考えられ
る。
【0052】皮膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形
態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であ
るか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸、リン酸
化合物のイオン性、溶解度についても特別な制約はな
い。耐食性および溶接性などの観点から上記成分(β)
の好ましい付着量はP 量換算で0.01〜300
0mg/m、より好ましくは0.1〜1000mg/
、さらに好ましくは1〜500mg/mである。
また、耐食性と高度の導電性及びスポット溶接性を同時
に得るという観点からは、上記成分(β)の好ましい付
着量は1〜600mg/mである。
【0053】前記成分(γ)である Mg、Mn、Al
の中から選ばれる1種以上の金属が皮膜中に存在する形
態は特に限定されず、金属として、或いは酸化物、水酸
化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などの化
合物若しくは複合化合物として存在してよい。これらの
化合物、水酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化
合物などのイオン性、溶解度などについても特に限定さ
れない。
【0054】成分(γ)である上記各元素は皮膜中でリ
ン酸、リン酸化合物及び酸化物微粒子と複合化合物を形
成し、緻密なバリヤー性皮膜を形成して耐食性向上に寄
与する。これらの元素のうちMgは、腐食環境下でカソ
ード反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ
性になり、緻密で難溶性のMg(OH)として沈殿す
ることにより皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制する
ものと考えられる。Mnは、腐食環境下でカソード反応
によってOHイオンが生成して界面がアルカリ性にな
り、緻密で難溶性のリン酸塩若しくは水酸化物として沈
殿することにより皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制
するものと考えられる。また、ユーザーで鋼板表面の加
工油、防錆油、揮発油等をアルカリ脱脂で洗浄する場合
には、Mnのリン酸塩はアルカリ環境下で溶解し難いの
で、極めて好適である。Alは、腐食環境下でカソード
反応によってOHイオンが生成して界面がアルカリ性に
なり、緻密で難溶性のリン酸塩として沈殿することによ
り皮膜の欠陥を封鎖し、腐食反応を抑制するものと考え
られる。また、ユーザーで鋼板表面の加工油、防錆油、
揮発油等をアルカリ脱脂で洗浄する場合には、Alのリ
ン酸塩はアルカリ環境下で溶解し難いので、極めて好適
である。
【0055】皮膜中に成分(γ)を導入する方法として
は、 Mg、Mn、Alのリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、
塩化物、有機酸塩などとして皮膜組成物に添加すればよ
い。耐食性および皮膜外観の低下防止の観点から上記成
分(γ)の好ましい付着量は金属量換算で0.01〜1
000mg/m、より好ましくは0.1〜500mg
/m、さらに好ましくは1〜100mg/mある。
また、耐食性と高度の導電性及びスポット溶接性を同時
に得るという観点からは、上記成分(γ)の好ましい付
着量は1〜600mg/mである。
【0056】複合酸化物皮膜の構成成分である、(α)
酸化物微粒子と、(γ)Mg、Mn、Alの中から選ば
れる1種以上の金属(但し、化合物及び/又は複合化合
物として含まれる場合を含む)のモル比(α)/(γ)
(但し、成分(γ)は前記金属の金属換算量)は0.1
〜20、望ましくは0.1〜10とすることが好まし
い。このモル比(α)/(γ)が0.1未満では酸化物
微粒子の添加効果が十分に得られず、一方、20を超え
ると酸化物微粒子が皮膜の緻密化を阻害してしまう。
【0057】また、複合酸化物皮膜の構成成分である、
(β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(γ)Mg、
Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金属(但し、化
合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を含む)
のモル比(γ)/(β)(但し、成分(β)はP
換算、成分(γ)は前記金属の金属量換算)は0.1〜
1.5とすることが好ましい。このモル比が0.1未満
では、可溶性のリン酸によって複合酸化物皮膜の難溶性
が損なわれ、耐食性が低下するため好ましくない。ま
た、モル比が1.5を超えると処理液安定性が著しく低
下するため好ましくない。
【0058】複合酸化物皮膜中には、皮膜の加工性、耐
食性を向上させることを目的として、さらに有機樹脂を
配合することができる。この有機樹脂としては、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチ
レン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド
樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂などの1種又は
2種以上を用いることができる。これらは水溶性樹脂及
び/又は水分散性樹脂として皮膜中に導入できる。さら
に、これらの水系樹脂に加えて、水溶性エポキシ樹脂、
水溶性フェノール樹脂、水溶性ブタジエンラバー(SB
R、NBR、MBR)、メラミン樹脂、ブロックイソシ
アネート、オキサゾリン化合物などを架橋剤として併用
することが有効である。
【0059】複合酸化物皮膜中には、耐食性をさらに向
上させるための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、
リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリ
ブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金
属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例え
ば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバ
ミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレング
リコールなど)などの1種又は2種以上を配合してもよ
い。
【0060】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性ア
ゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例
えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えば、チオー
ルなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、
ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ
型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・
シアヌル酸付加物などの1種又は2種以上を添加するこ
ともできる。
【0061】また、複合酸化物皮膜中には、有機被覆鋼
板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一
種)を防止する目的で、鉄族金属イオン(Niイオン,
Coイオン,Feイオン)の1種以上を添加してもよ
い。なかでもNiイオンの添加が最も好ましい。この場
合、鉄族金属イオンの濃度としては、処理組成物中の金
属量換算での成分(γ)1M(金属換算)に対して1/
10000M以上あれば所望の効果が得られる。鉄族イ
オン濃度の上限は特に定めないが、濃度の増加に伴い耐
食性に影響を及ぼさない程度とするのが好ましく、成分
(γ)1M(金属換算)に対して1M、望ましくは1/
100M程度とするのが好ましい。
【0062】複合酸化物皮膜の膜厚は0.005〜3μ
m、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.
1〜1μm、さらに好ましくは0.2〜0.5μmとす
る。複合酸化物皮膜の膜厚が0.005μm未満では耐
食性が低下する。一方、膜厚が3μmを超えると、溶接
性などの導電性が低下する。また、複合酸化物皮膜をそ
の付着量で規定する場合、上記成分(α)、上記成分
(β)のP換算量、上記成分(γ)の金属換算量
を含めた合計付着量を6〜3600mg/m、好まし
くは10〜1000mg/m、さらに好ましくは50
〜500mg/m 、特に好ましくは100〜500m
g/m、最も好ましくは200〜400mg/m
することが適当である。この合計付着量が6mg/m
未満では耐食性が低下し、一方、合計付着量が3600
mg/mを超えると、導電性が低下するため溶接性な
どが低下する。
【0063】また、耐食性とともに高度の導電性及びス
ポット溶接性を得たい場合には、上記成分(α)とP
換算量での上記成分(β)とMg、Mn及びAlの
金属換算量での上記(γ)の合計付着量を6〜1000
mg/m、好ましくは10〜600mg/mとする
ことが適当である。この合計付着量が6mg/m未満
では耐食性が不十分であり、一方、合計付着量が100
0mg/mを超えると所望とする極めて高度な導電性
及びスポット溶接性が得られない。
【0064】次に、上記複合酸化物皮膜の上部に第2層
皮膜として形成される有機皮膜について説明する。本発
明において、複合酸化物皮膜の上部に形成される有機皮
膜は、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合
物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる
活性水素含有化合物(B)との反応生成物(X)と、自
己補修性発現物質である下記(a)〜(f)のうちのい
ずれかの防錆添加成分(Y)、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 若しくは上記(e)及び/又は(f)に他の成分を配合
した防錆添加成分(Y)とを含み、さらに、必要に応じ
て固形潤滑剤(Z)が配合された膜厚が0.1〜5μm
の有機皮膜である。
【0065】皮膜形成有機樹脂(A)の種類としては、
一部または全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)と反応
して、皮膜形成有機樹脂に活性水素含有化合物(B)が
付加、縮合などの反応により結合でき、且つ皮膜を適切
に形成できる樹脂であれば特別な制約はない。この皮膜
形成有機樹脂(A)としては、例えば、エポキシ樹脂、
変性エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系共重合体樹脂、ポリブタ
ジエン樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの樹脂の付加
物又は縮合物などを挙げることができ、これらのうちの
1種を単独で又は2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0066】また、皮膜形成有機樹脂(A)としては、
反応性、反応の容易さ、防食性などの点から、樹脂中に
エポキシ基を含有するエポキシ基含有樹脂(D)が特に
好ましい。このエポキシ基含有樹脂(D)としては、一
部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導
体(C)からなる活性水素含有化合物(B)と反応し
て、皮膜形成有機樹脂に活性水素含有化合物(B)が付
加、縮合などの反応により結合でき、且つ皮膜を適切に
形成できる樹脂であれば特別な制約はなく、例えば、エ
ポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有モノマ
ーと共重合したアクリル系共重合体樹脂、エポキシ基を
有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウ
レタン樹脂、及びこれらの樹脂の付加物若しくは縮合物
などが挙げられ、これらのエポキシ基含有樹脂の1種を
単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0067】また、これらのエポキシ基含有樹脂(D)
の中でも、めっき表面との密着性、耐食性の点からエポ
キシ樹脂、変性エポキシ樹脂が特に好適である。またそ
の中でも、酸素などの腐食因子に対して優れた遮断性を
有する熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が最
適であり、とりわけ高度な導電性及びスポット溶接性を
得るために皮膜の付着量を低レベルにする場合には特に
有利である。
【0068】上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ノボラック型フェノールなど
のポリフェノール類とエピクロルヒドリンなどのエピハ
ロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなる
か、若しくはこのグリシジル基導入反応生成物にさらに
ポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる
芳香族エポキシ樹脂、さらには脂肪族エポキシ樹脂、脂
環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独
で又は2種以上を混合して使用することができる。これ
らのエポキシ樹脂は、特に低温での皮膜形成性を必要と
する場合には数平均分子量が1500以上であることが
好適である。
【0069】上記変性エポキシ樹脂としては、上記エポ
キシ樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反
応させた樹脂を挙げることができ、例えば、乾性油脂肪
酸を反応させたエポキシエステル樹脂、アクリル酸又は
メタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分
で変性したエポキシアクリレート樹脂、イソシアネート
化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などを例
示できる。
【0070】上記エポキシ基含有モノマーと共重合した
アクリル系共重合体樹脂としては、エポキシ基を有する
不飽和モノマーとアクリル酸エステル又はメタクリル酸
エステルを必須とする重合性不飽和モノマー成分とを、
溶液重合法、エマルション重合法又は懸濁重合法などに
よって合成した樹脂を挙げることができる。
【0071】上記重合性不飽和モノマー成分としては、
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−,
iso−若しくはtert−ブチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又
はメタクリル酸のC1〜24アルキルエステル;アクリ
ル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、アク
リルアミド、アクリロニトリル、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミドのC1〜4アルキルエーテル化物;N,N−ジエ
チルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることがで
きる。
【0072】また、エポキシ基を有する不飽和モノマー
としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアク
リレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
タ)アクリレートなど、エポキシ基と重合性不飽和基を
持つものであれば特別な制約はない。また、このエポキ
シ基含有モノマーと共重合したアクリル系共重合体樹脂
は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂
などによって変性させた樹脂とすることもできる。
【0073】前記エポキシ樹脂として特に好ましいの
は、ビスフェノールAとエピハロヒドリンとの反応生成
物である下記(1)式に示される化学構造を有する樹脂
であり、このエポキシ樹脂は特に耐食性に優れているた
め好ましい。
【化3】 このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂の製造法は
当業界において広く知られている。また、上記化学構造
式において、qは0〜50、好ましくは1〜40、特に
好ましくは2〜20である。なお、皮膜形成有機樹脂
(A)は、有機溶剤溶解型、有機溶剤分散型、水溶解
型、水分散型のいずれであってもよい。
【0074】本発明では皮膜形成有機樹脂(A)の分子
中にヒドラジン誘導体を付与することを狙いとしてお
り、このため活性水素含有化合物(B)の少なくとも一
部(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン
誘導体(C)であることが必要である。
【0075】皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ基含有
樹脂である場合、そのエポキシ基と反応する活性水素含
有化合物(B)として例えば以下に示すようなものを例
示でき、これらの1種又は2種以上を使用できるが、こ
の場合も活性水素含有化合物(B)の少なくとも一部
(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン誘
導体であることが必要である。 ・活性水素を有するヒドラジン誘導体 ・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物 ・アンモニア、カルボン酸などの有機酸 ・塩化水素などのハロゲン化水素 ・アルコール類、チオール類 ・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級ア
ミンと酸との混合物である4級塩化剤
【0076】前記活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)としては、例えば、以下のものを挙げることがで
きる。 カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリ
チル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン
酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オ
キシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノ
ンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなどのヒドラ
ジド化合物; ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メ
チル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾ
ールなどのピラゾール化合物;
【0077】 1,2,4−トリアゾール、3−アミ
ノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,
4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリ
アゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,
2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メ
チル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェ
ニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒド
ロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジ
ンなどのトリアゾール化合物;
【0078】 5−フェニル−1,2,3,4−テト
ラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,
3,4−テトラゾールなどのテトラゾール化合物; 5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジ
アゾールなどのチアジアゾール化合物; マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾ
ン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブ
ロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ
−3−ピリダゾンなどのピリダジン化合物
【0079】また、これらのなかでも、5員環または6
員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有する
ピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適であ
る。これらのヒドラジン誘導体は1種を単独で又は2種
以上を混合して使用することができる。
【0080】活性水素含有化合物(B)の一部として使
用できる上記活性水素を有するアミン化合物の代表例と
しては、例えば、以下のものを挙げることができる。 ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエ
チルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノ
プロピルアミンなどの1個の2級アミノ基と1個以上の
1級アミノ基を含有するアミン化合物の1級アミノ基
を、ケトン、アルデヒド若しくはカルボン酸と例えば1
00〜230℃程度の温度で加熱反応させてアルジミ
ン、ケチミン、オキサゾリン若しくはイミダゾリンに変
性した化合物;
【0081】 ジエチルアミン、ジエタノールアミ
ン、ジ−n−または−iso−プロパノールアミン、N
−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミ
ンなどの第2級モノアミン; モノエタノールアミンのようなモノアルカノールア
ミンとジアルキル(メタ)アクリルアミドとをミカエル
付加反応により付加させて得られた第2級アミン含有化
合物; モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、
2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2
−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテ
ルなどのアルカノールアミンの1級アミノ基をケチミン
に変性した化合物;
【0082】活性水素含有化合物(B)の一部として使
用できる上記4級塩化剤は、活性水素を有しないヒドラ
ジン誘導体又は第3級アミンはそれ自体ではエポキシ基
と反応性を有しないので、これらをエポキシ基と反応可
能とするために酸との混合物としたものである。4級塩
化剤は、必要に応じて水の存在下でエポキシ基と反応
し、エポキシ基含有樹脂と4級塩を形成する。
【0083】4級塩化剤を得るために使用される酸は、
酢酸、乳酸などの有機酸、塩酸などの無機酸のいずれで
もよい。また、4級塩化剤を得るために使用される活性
水素を有しないヒドラジン誘導体としては、例えば3,
6−ジクロロピリダジンなどを、また、第3級アミンと
しては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチ
ルアミン、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミ
ン、メチルジエタノールアミンなどを挙げることができ
る。
【0084】皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部
の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)か
らなる活性水素含有化合物(B)との反応生成物(X)
は、皮膜形成有機樹脂(A)と活性水素含有化合物
(B)とを10〜300℃、好ましくは50〜150℃
で約1〜8時間程度反応させて得られる。
【0085】この反応は有機溶剤を加えて行ってもよ
く、使用する有機溶剤の種類は特に限定されない。例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケト
ン類;エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルア
ルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール
モノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテルなどの水酸基を含
有するアルコール類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブ
チル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
トなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素等を例示でき、これらの1種又は2種以上を使
用することができる。また、これらのなかでエポキシ樹
脂との溶解性、塗膜形成性などの面からは、ケトン系又
はエーテル系の溶剤が特に好ましい。
【0086】皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部
の化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)か
らなる活性水素含有化合物(B)との配合比率は、固形
分の割合で皮膜形成有機樹脂(A)100重量部に対し
て、活性水素含有化合物(B)を0.5〜20重量部、
特に好ましくは1.0〜10重量部とするのが望まし
い。
【0087】また、皮膜形成有機樹脂(A)がエポキシ
基含有樹脂(D)である場合には、エポキシ基含有樹脂
(D)と活性水素含有化合物(B)との配合比率は、活
性水素含有化合物(B)の活性水素基の数とエポキシ基
含有樹脂(D)のエポキシ基の数との比率[活性水素基
数/エポキシ基数]が0.01〜10、より好ましくは
0.1〜8、さらに好ましくは0.2〜4とすることが
耐食性などの点から適当である。
【0088】また、活性水素含有化合物(B)中におけ
る活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の割合は1
0〜100モル%、より好ましくは30〜100モル
%、さら好ましくは40〜100モル%とすることが適
当である。活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の
割合が10モル%未満では有機皮膜に十分な防錆機能を
付与することができず、得られる防錆効果は皮膜形成有
機樹脂とヒドラジン誘導体を単に混合して使用した場合
と大差なくなる。
【0089】本発明では緻密なバリヤー皮膜を形成する
ために、樹脂組成物中に硬化剤を配合し、有機皮膜を加
熱硬化させることが望ましい。樹脂組成物皮膜を形成す
る場合の硬化方法としては、(1)イソシアネートと基体
樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を利用する硬化方
法、(2)メラミン、尿素及びベンゾグアナミンの中から
選ばれた1種以上にホルムアルデヒドを反応させてなる
メチロール化合物の一部若しくは全部に炭素数1〜5の
1価アルコールを反応させてなるアルキルエーテル化ア
ミノ樹脂と基体樹脂中の水酸基との間のエーテル化反応
を利用する硬化方法、が適当であるが、このうちイソシ
アネートと基体樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を主
反応とすることが特に好適である。
【0090】上記(1)の硬化方法で用いるポリイソシア
ネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシア
ネート基を有する脂肪族、脂環族(複素環を含む)又は
芳香族イソシアネート化合物、若しくはそれらの化合物
を多価アルコールで部分反応させた化合物である。この
ようなポリイソシアネート化合物としては、例えば以下
のものが例示できる。 m−又はp−フェニレンジイソシアネート、2,4
−又は2,6−トリレンジイソシアネート、o−又はp
−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート
【0091】 上記の化合物単独又はそれらの混合
物と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレン
グリコールなどの2価アルコール類;グリセリン、トリ
メチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリ
スリトールなどの4価アルコール;ソルビトール、ジペ
ンタエリスリトールなどの6価アルコールなど)との反
応生成物であって、1分子中に少なくとも2個のイソシ
アネートが残存する化合物 これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独で、
または2種以上を混合して使用できる。
【0092】また、ポリイソシアネート化合物の保護剤
(ブロック剤)としては、例えば、 メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、オクチルアルコールなどの脂肪族モノアルコール類 エチレングリコール及び/又はジエチレングリコー
ルのモノエーテル類、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,sec)
などのモノエーテル フェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシムなど
のオキシム などが使用でき、これらの1種又は2種以上と前記ポリ
イソシアネート化合物とを反応させることにより、少な
くとも常温下で安定に保護されたポリイソシアネート化
合物を得ることができる。
【0093】このようなポリイソシアネート化合物
(E)は、硬化剤として皮膜形成有機樹脂(A)に対
し、(A)/(E)=95/5〜55/45(不揮発分
の重量比)、好ましくは(A)/(E)=90/10〜
65/35の割合で配合するのが適当である。ポリイソ
シアネート化合物には吸水性があり、これを(A)/
(E)=55/45を超えて配合すると有機皮膜の密着
性を劣化させてしまう。さらに、有機皮膜上に上塗り塗
装を行った場合、未反応のポリイソシアネート化合物が
塗膜中に移動し、塗膜の硬化阻害や密着性不良を起こし
てしまう。このような観点から、ポリイソシアネート化
合物(E)の配合量は(A)/(E)=55/45以下
とすることが好ましい。
【0094】なお、皮膜形成有機樹脂(A)は以上のよ
うな架橋剤(硬化剤)の添加により十分に架橋するが、
さらに低温架橋性を増大させるため、公知の硬化促進触
媒を使用することが望ましい。この硬化促進触媒として
は、例えば、N−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウ
レート、ナフテン酸コバルト、塩化第1スズ、ナフテン
酸亜鉛、硝酸ビスマスなどが使用できる。また、例えば
皮膜形成有機樹脂(A)にエポキシ基含有樹脂を使用す
る場合、付着性など若干の物性向上を狙いとして、エポ
キシ基含有樹脂とともに公知のアクリル、アルキッド、
ポリエステルなどの樹脂を混合して用いることもでき
る。
【0095】本発明では、有機皮膜中に自己補修性発現
物質である下記(a)〜(f)のうちのいずれかの防錆
添加成分(Y)、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 若しくは上記(e)及び/又は(f)に他の成分を配合
した防錆添加成分(Y)を添加する。これら成分(a)
〜(f)による防食機構については先に述べた通りであ
る。
【0096】上記成分(a)、(b)中に含まれるCa
イオン交換シリカは、カルシウムイオンを多孔質シリカ
ゲル粉末の表面に固定したもので、腐食環境下でCaイ
オンが放出されて沈殿膜を形成する。Caイオン交換シ
リカとしては任意のものを用いることができるが、平均
粒子径が6μm以下、望ましくは4μm以下のものが好
ましく、例えば、平均粒子径が2〜4μmのものを用い
ることができる。Caイオン交換シリカの平均粒子径が
6μmを超えると耐食性が低下するとともに、塗料組成
物中での分散安定性が低下する。
【0097】Caイオン交換シリカ中のCa濃度は1w
t%以上、望ましくは2〜8wt%であることが好まし
い。Ca濃度が1wt%未満ではCa放出による防錆効
果が十分に得られない。なお、Caイオン交換シリカの
表面積、pH、吸油量については特に限定されない。
【0098】以上のようなCaイオン交換シリカとして
は、商品名でW.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C
303(平均粒子径2.5〜3.5μm、Ca濃度3w
t%)、SHIELDEX AC3(平均粒子径2.3
〜3.1μm、Ca濃度6wt%)、SHIELDEX
AC5(平均粒子径3.8〜5.2μm、Ca濃度6
wt%)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDE
X(平均粒子径3μm、Ca濃度6〜8wt%)、SH
IELDEX SY710(平均粒子径2.2〜2.5
μm、Ca濃度6.6〜7.5wt%)などを用いるこ
とができる。
【0099】上記成分(a)、(b)、(d)中に含ま
れるリン酸塩は、単塩、複塩などの全ての種類の塩を含
む。また、それを構成する金属カチオンに限定はなく、
リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、
リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カチオンでもよ
い。また、リン酸イオンの骨格や縮合度などにも限定は
なく、正塩、二水素塩、一水素塩又は亜リン酸塩のいず
れでもよく、さらに、正塩はオルトリン酸塩の他、ポリ
リン酸塩などの全ての縮合リン酸塩を含む。
【0100】上記成分(c)、(d)中に含まれるカル
シウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化
物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種また
は2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類に
も特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカル
シウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜
鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカル
シウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用し
てももよい。
【0101】上記成分(b)、(c)、(d)中に含ま
れる酸化ケイ素は、コロイダルシリカ、乾式シリカのい
ずれでもよい。コロイダルシリカとしては、水系皮膜形
成樹脂をベースとする場合には、例えば、商品名で日産
化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックス
N、スノーテックス20、スノーテックス30、スノー
テックス40、スノーテックスC、スノーテックスS、
触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI
−350、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カ
タロイドSN、旭電化工業(株)製のアデライトAT−
20〜50、アデライトAT−20N、アデライトAT
−300、アデライトAT−300S、アデライトAT
20Qなどを用いることができる。
【0102】また、溶剤系皮膜形成樹脂をベースとする
場合には、例えば、商品名で日産化学工業(株)製のオ
ルガノシリカゾルMA−ST−M、オルガノシリカゾル
IPA−ST、オルガノシリカゾルEG−ST、オルガ
ノシリカゾルE−ST−ZL、オルガノシリカゾルNP
C−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST、オルガ
ノシリカゾルDMAC−ST−ZL、オルガノシリカゾ
ルXBA−ST、オルガノシリカゾルMIBK−ST、
触媒化成工業(株)製のOSCAL−1132、OSC
AL−1232、OSCAL−1332、OSCAL−
1432、OSCAL−1532、OSCAL−163
2、OSCAL−1722などを用いることができる。
【0103】特に、有機溶剤分散型シリカゾルは、分散
性に優れ、ヒュームドシリカよりも耐食性に優れてい
る。また、ヒュームドシリカとしては、例えば、商品名
で日本アエロジル(株)製のAEROSIL R97
1、AEROSIL R812、AEROSIL R81
1、AEROSIL R974、AEROSIL R20
2、AEROSILR805、AEROSIL 13
0、AEROSIL 200、AEROSIL300、
AEROSIL 300CFなどを用いることができ
る。
【0104】微粒子シリカは、腐食環境下において緻密
で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生
成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐
食の促進を抑制することができると考えられている。耐
食性の観点からは、微粒子シリカは粒子径が5〜50n
m、望ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜1
5nmのものを用いるのが好ましい。
【0105】前記成分(e)のモリブデン酸塩は、その
骨格、縮合度に限定はなく、例えばオルトモリブデン酸
塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などが挙
げられる。また、単塩、複塩などの全ての塩を含み、複
塩としてはリン酸モリブデン酸塩などが挙げられる。
【0106】上記成分(f)の有機化合物のうち、トリ
アゾール類としては、1,2,4−トリアゾール、3−
アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−
1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプ
ト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾ
ールなどが、またチオール類としては、1,3,5−ト
リアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプト
ベンツイミダゾールなどが、またチアジアゾール類とし
ては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チア
ジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チア
ジアゾールなどが、またチアゾール類としては、2−
N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール類などが、またチウラム類として
は、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが、それぞ
れ挙げられる。
【0107】上記成分(a)において、Caイオン交換
シリカ(a1)とリン酸塩(a2)の配合比は固形分の
重量比で(a1)/(a2)=1/99〜99/1、好
ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは2
0/80〜80/20が適当である。(a1)/(a
2)が1/99未満では、カルシウム溶出量が少なく、
腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成できない。一
方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必要
以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、そのカ
ルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオン
が十分供給されないため、耐食性が却って低下してしま
う。
【0108】上記成分(b)において、Caイオン交換
シリカ(b1)とリン酸塩(b2)と酸化ケイ素(b
3)の配合比は固形分の重量比で(b1)/(b2)+
(b3)=1/99〜99/1、好ましくは10/90
〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/2
0が適当であり、また(b2)/(b3)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当である。(b
1)/(b2)+(b3)が1/99未満又は(b2)
/(b3)が1/99未満では、カルシウム溶出量やリ
ン酸イオン量が少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護
皮膜を形成できない。一方、(b1)/(b2)+(b
3)が99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必
要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、その
カルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオ
ンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十
分に供給されず、また、(b2)/(b3)が99/1
を超えると溶出したカルシウムを吸着させるのに必要な
酸化ケイ素が十分に供給されず、いずれの場合も耐食性
が却って低下してしまう。
【0109】上記成分(c)において、カルシウム化合
物(c1)と酸化ケイ素(c2)の配合比は固形分の重
量比で(c1)/(c2)=1〜99〜99/1、好ま
しくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20
/80〜80/20が適当である。(c1)/(c2)
が1/99未満では、カルシウム溶出量が少なく、腐食
起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成できない。一方、
99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必要以上
の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、そのカルシ
ウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十分に供給さ
れないため、耐食性が却って低下してしまう。
【0110】上記成分(d)において、カルシウム化合
物(d1)とリン酸塩(d2)と酸化ケイ素(d3)の
配合比は固形分の重量比で(d1)/(d2)+(d
3)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜9
0/10、さらに好ましくは20/80〜80/20が
適当であり、また、(d2)/(d3)=1/99〜9
9/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好
ましくは20/80〜80/20が適当である。(d
1)/(d2)+(d3)が1/99未満又は(d2)
/(d3)が1/99未満では、カルシウム溶出量やリ
ン酸イオン量が少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護
皮膜を形成できない。一方、(d1)/(d2)+(d
3)が99/1を超えると、保護皮膜の形成にとって必
要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、その
カルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸イオ
ンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素が十
分に供給されず、また、(d2)/(d3)が99/1
を超えると溶出したカルシウムを吸着させるのに必要な
酸化ケイ素が十分に供給されず、いずれの場合も耐食性
が却って低下してしまう。
【0111】上記の防錆添加成分(a)〜(f)は、先
に述べたように腐食環境下において沈殿効果(成分
(a)〜(d)の場合)、不動態化効果(成分(e)の
場合)、吸着効果(成分(f)の場合)により、それぞ
れ保護皮膜を形成する。特に本発明では、基体樹脂であ
る特定のキレート形成樹脂に上記成分(a)〜(f)の
いずれかを配合することにより、キレート形成樹脂によ
るバリア効果と上記成分(a)〜(f)による自己補修
効果とが複合化することによって極めて優れた防食効果
が発揮される。
【0112】また、上記(a)〜(d)、(e)、
(f)の各成分によって得られる自己補修効果(上述し
た3つのタイプの保護皮膜形成効果)からして、より高
度な自己補修性を得るには上記(e)及び/又は(f)
に他の成分を複合添加した以下のような組み合せの防錆
添加成分(Y)を調整(配合)するのが好ましく、特
に、下記(6)及び(7)の場合に最も高度な自己補修性(す
なわち、耐白錆性)が得られる。 (1) (e)モリブデン酸塩、(g)カルシウム及び/又
はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸
化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (2) (e)モリブデン酸塩、及び(i)Caイオン交換
シリカ、を配合した防錆添加成分
【0113】(3) (f)トリアゾール類、チオール類、
チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から
選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カルシウム及び
/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及び/又
は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分 (4) (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾー
ル類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種
以上の有機化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、
を配合した防錆添加成分 (5) (e)モリブデン酸塩、及び(f)トリアゾール
類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チ
ウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、を配
合した防錆添加成分
【0114】(6) (e)モリブデン酸塩、(f)トリア
ゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール
類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合
物、(g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物、及
び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防
錆添加成分 (7) (e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チ
オール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム
類の中から選ばれる1種以上の有機化合物、及び(i)
Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分ここ
で、適用し得るカルシウム化合物、リン酸塩、酸化ケイ
素、Caイオン交換シリカについては、先に(a)〜
(d)の成分に関して述べたものと同様である。
【0115】上記(1)の(e)モリブデン酸塩、(g)
カルシウム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リ
ン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分
において、これら(e)、(g)及び(h)の配合比は
固形分の重量比で(e)/(g)+(h)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当であり、また
(g)/(h)=1/99〜99/1、好ましくは10
/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜8
0/20が適当である。
【0116】ここで、(e)/(g)+(h)が1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0117】上記(2)の(e)モリブデン酸塩及び
(i)Caイオン交換シリカ、を配合した防錆添加成分
において、(e)及び(i)の配合比は固形分の重量比
で(e)/(i)=1/99〜99/1、好ましくは1
0/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜
80/20が適当である。ここで、(e)/(i)が1
/99未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果
を複合させることによる効果が十分に得られない。
【0118】上記(3)の(f)トリアゾール類、チオー
ル類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の
中から選ばれる1種以上の有機化合物、(g)カルシウ
ム及び/又はカルシウム化合物、及び(h)リン酸塩及
び/又は酸化ケイ素、を配合した防錆添加成分におい
て、これら(f)、(g)及び(h)の配合比は固形分
の重量比で(f)/(g)+(h)=1/99〜99/
1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好まし
くは20/80〜80/20が適当であり、また、
(g)/(h)=1/99〜99/1、好ましくは10
/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜8
0/20が適当である。
【0119】ここで、(f)/(g)+(h)が1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0120】上記(4)の(f)トリアゾール類、チオー
ル類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の
中から選ばれる1種以上の有機化合物及び(i)Caイ
オン交換シリカ、を配合した防錆添加成分において、
(f)及び(i)の配合比は固形分の重量比で(f)/
(i)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当である。ここで、(f)/(i)が1/99未満
又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複合させ
ることによる効果が十分に得られない。
【0121】上記(5)の(e)モリブデン酸塩、及び
(f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物、を配合した防錆添加成分において、
(e)及び(f)の配合比は固形分の重量比で(e)/
(f)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当である。ここで、(e)/(f)が1/99未満
又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複合させ
ることによる効果が十分に得られない。
【0122】上記(6)の(e)モリブデン酸塩、(f)
トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チア
ゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機
化合物、(g)カルシウム及び/又はカルシウム化合
物、及び(h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素、を配合
した防錆添加成分において、これら(e)、(f)、
(g)及び(h)の配合比は固形分の重量比で(e)/
(f)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜
90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20
が適当であり、(e)/(g)+(h)=1/99〜9
9/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好
ましくは20/80〜80/20が適当であり、(f)
/(g)+(h)=1/99〜99/1、好ましくは1
0/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜
80/20が適当であり、(g)/(h)=1/99〜
99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに
好ましくは20/80〜80/20が適当である。
【0123】ここで、(e)/(f)、(e)/(g)
+(h)、(f)/(g)+(h)が、それぞれ1/9
9未満又は99/1超えでは、異なる自己補修効果を複
合させることによる効果が十分に得られない。また、
(g)/(h)が1/99未満ではカルシウム溶出量が
少なく、腐食起点を封鎖するだけの保護皮膜を形成でき
ず、一方、99/1を超えると、保護皮膜の形成にとっ
て必要以上の量のカルシウムが溶出するばかりでなく、
そのカルシウムと錯形成反応を起こすのに必要なリン酸
イオンやカルシウムを吸着させるのに必要な酸化ケイ素
が十分に供給されないため、十分な自己補修効果が得ら
れない。
【0124】上記(7)の(e)モリブデン酸塩、(f)
トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チア
ゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機
化合物、及び(i)Caイオン交換シリカ、を配合した
防錆添加成分において、これら(e)、(f)及び
(i)の配合比は固形分の重量比で(e)/(f)=1
/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/1
0、さらに好ましくは20/80〜80/20が適当で
あり、(e)/(i)=1/99〜99/1、好ましく
は10/90〜90/10、さらに好ましくは20/8
0〜80/20が適当であり、(f)/(i)=1/9
9〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さ
らに好ましくは20/80〜80/20が適当である。
ここで、(e)/(f)、(e)/(i)、(f)/
(i)が、それぞれ1/99未満又は99/1超えで
は、異なる自己補修効果を複合させることによる効果が
十分に得られない。
【0125】有機樹脂皮膜中での上記防錆添加成分
(Y)の配合量(上記成分(a)〜(f)のうちのいず
れか、若しくは上記(e)及び/又は(f)に他の成分
を複合添加した自己補修性発現物質の合計の配合量)
は、皮膜形成用の樹脂組成物である反応生成物(X)
(皮膜形成有機樹脂(A)と一部又は全部の化合物が活
性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性水
素含有化合物(B)との反応生成物)100重量部(固
形分)に対して、1〜100重量部(固形分)、好まし
くは5〜80重量部(固形分)、さらに好ましくは10
〜50重量部(固形分)とする。防錆添加成分(Y)の
配合量が1重量部未満では耐食性向上効果が小さい。一
方、配合量が100重量部を超えると、耐食性が低下す
るので好ましくない。
【0126】また、有機皮膜中には上記の防錆添加成分
に加えて、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例え
ば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタ
ン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブ
デン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、及びこれらの
金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)、
有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオー
ル化合物、ジチオカルバミン酸塩など)などの1種又は
2種以上を添加できる。
【0127】有機皮膜中には、さらに必要に応じて、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤(Z)を配合
することができる。本発明に適用できる固形潤滑剤
(Z)としては、例えば、以下のようなものが挙げら
れ、これらの1種又は2種以上を用いることができ
る。。 (1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など (2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレ
ン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂など)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
【0128】また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物
(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレン
ビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カル
シウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物
(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンな
ど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリア
ルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種又
は2種以上を用いてもよい。
【0129】以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエ
チレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダス
ト 9615A、セリダスト 3715、セリダスト 3
620、セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサ
ンワックス 131−P、サンワックス 161−P、三
井石油化学(株)製のケミパール W−100、ケミパ
ール W−200、ケミパールW−500、ケミパール
W−800、ケミパール W−950などを用いること
ができる。
【0130】また、フッ素樹脂微粒子としては、テトラ
フルオロエチレン微粒子が最も好ましく、例えば、ダイ
キン工業(株)製のルブロン L−2、ルブロン L−
5、三井・デュポン(株)製のMP1100、MP12
00、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフル
オンディスパージョン AD1、フルオンディスパージ
ョン AD2、フルオン L141J、フルオン L15
0J、フルオン L155Jなどが好適である。また、
これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフル
オロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が
期待できる。
【0131】有機皮膜中での固形潤滑剤(Z)の配合量
は、皮膜形成用の樹脂組成物である反応生成物(X)
(皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化合物が
活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からなる活性
水素含有化合物(B)との反応生成物)100重量部
(固形分)に対して、1〜80重量部(固形分)、好ま
しくは3〜40重量部(固形分)とする。固形潤滑剤
(Z)の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、
一方、配合量が80重量部を超えると塗装性が低下する
ので好ましくない。
【0132】本発明の有機被覆鋼板が有する有機皮膜
は、通常、皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の
化合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)から
なる活性水素含有化合物(B)との反応生成物(X)
(樹脂組成物)を主成分とし、これに自己補修性発現物
質である、(a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩、
(b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ
素、(c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素、(d)カ
ルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素、(e)モリ
ブデン酸塩、(f)トリアゾール類、チオール類、チア
ジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ば
れる1種以上の有機化合物、のうちのいずれか、若しく
は上記(e)及び/又は(f)に他の成分を複合添加し
た防錆添加成分(Y)が配合され、必要に応じて、固形
潤滑剤(Z)及び硬化剤などが添加されるが、さらに必
要に応じて、添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮
合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、
着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性
アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタン
など)、キレート剤(例えば、チオールなど)、導電性
顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金
属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、
カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物
などの1種又は2種以上を添加することができる。
【0133】また、上記主成分および添加成分を含む皮
膜形成用の塗料組成物は、通常、溶媒(有機溶剤及び/
又は水)を含有し、さらに必要に応じて中和剤などが添
加される。上記有機溶剤としては、上記皮膜形成有機樹
脂(A)と活性水素含有化合物(B)との反応生成物
(X)を溶解または分散でき、塗料組成物として調整で
きるものであれば特別な制約なく、例えば、先に例示し
た種々の有機溶剤を使用することができる。上記中和剤
は、皮膜形成有機樹脂(A)を中和して水性化するため
に必要に応じて配合されるものであり、皮膜形成有機樹
脂(A)がカチオン性樹脂である場合には酢酸、乳酸、
蟻酸などの酸を中和剤として使用することができる。
【0134】以上述べたような有機皮膜は上記複合酸化
物皮膜の上部に形成される。有機皮膜の乾燥膜厚は0.
1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さらに好まし
くは0.5〜2μmとする。有機皮膜の膜厚が0.1μ
m未満では耐食性が不十分であり、一方、膜厚が5μm
を超えると導電性、加工性が低下する。また、耐食性と
ともに高度の導電性及びスポット溶接性を得たい場合に
は、有機皮膜の付着量を0.1g/m以上、0.5g
/m未満、好ましくは0.15g/m以上、0.5
g/m未満とすることが適当である。有機皮膜の付着
量が0.1g/m未満では耐食性が不十分であり、一
方、付着量が0.5g/m以上では所望とする極めて
高度な導電性及びスポット溶接性が得られない。
【0135】亜鉛めっき鋼板に表面に、表2及び表3の
No.1の第1層皮膜用組成物からなる本発明条件を満
足する複合酸化物皮膜(成分(α)とP換算量で
の成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換算量での成
分(γ)の合計付着量:359mg/m)を形成し、
その上部に表4のNo.1の第2層皮膜用樹脂組成物
(基体樹脂:熱硬化性エポキシ樹脂)の固形分100重
量部に対して表5のNo.15の防錆添加成分を15重
量部配合した皮膜用組成物からなる有機皮膜を形成した
有機被覆鋼板について、有機皮膜の付着量と耐食性との
関係を調べた結果を図1に、同じく有機皮膜の付着量と
スポット溶接性との関係を調べた結果を図2に、同じく
有機皮膜の付着量と導電性との関係を調べた結果を図3
に、それぞれ示す。なお、耐食性は[実施例1]におい
て耐白錆性を評価した複合腐食試験(CCT)を行い、
20サイクル後の白錆発生面積率をもとに[実施例1]
と同様の評価基準で評価した。また、スポット溶接性と
導電性については[実施例2]と同様の試験を行い、同
様の評価基準で評価した。
【0136】図1によれば有機皮膜の付着量が多くなる
ほどの耐食性は向上し、付着量を0.1g/m以上、
好ましくは0.15g/m以上とすることにより良好
な耐食性が得られていることが判る。一方、図2によれ
ば有機皮膜の付着量が0.5g/m以上となるとスポ
ット溶接性(スポット連続打点性)が急激に低下し、ま
た、図3によれば有機皮膜の付着量が0.5g/m
上となると導電性も急激に悪化していることが判る。以
上の理由から、優れた耐食性と特に高度な導電性及びス
ポット溶接性を得るためには、有機皮膜の付着量を0.
1g/m以上、0.5g/m未満、好ましくは0.
15g/m以上、0.5g/m未満とすることが適
当である。
【0137】次に、本発明の有機被覆鋼板の製造方法に
ついて説明する。本発明の有機被覆鋼板は、上述した複
合酸化物皮膜の構成成分を含む処理液で亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面を処理(処理
液を塗布)した後、加熱乾燥させ、次いでその上層に、
上述した皮膜形成有機樹脂(A)と一部または全部の化
合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)からな
る活性水素含有化合物(B)との反応生成物(X)を含
み(好ましくは主成分とする)、これに(a)Caイオ
ン交換シリカ及びリン酸塩、(b)Caイオン交換シリ
カ、リン酸塩及び酸化ケイ素、(c)カルシウム化合物
及び酸化ケイ素、(d)カルシウム化合物、リン酸塩及
び酸化ケイ素、(e)モリブデン酸塩、(f)トリアゾ
ール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール
類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合
物、のうちのいずれか、若しくは上記(e)及び/又は
(f)に他の成分を複合添加した防錆添加成分(Y)が
添加され、さらに必要に応じて固形潤滑剤(Z)などが
添加された塗料組成物を塗布し、加熱乾燥させることに
より製造される。なお、めっき鋼板の表面は、上記処理
液を塗布する前に必要に応じてアルカリ脱脂処理し、さ
らに密着性、耐食性を向上させるために表面調整処理な
どの前処理を施すことができる。
【0138】亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系め
っき鋼板の表面を処理液で処理し、複合酸化物皮膜を形
成するには、(イ)酸化物微粒子と、(ロ)リン酸及び
/又はリン酸化合物と、(ハ)Mg、Mn、Alのうち
のいずれかの金属イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む水溶性イオン、前記金属のうちの少なくとも
1種を含む化合物、前記金属のうちの少なくとも1種を
含む複合化合物からなる群の中から選ばれる1種以上
と、を含有し、さらに必要に応じて上述した各添加成分
(有機樹脂成分、鉄族金属イオン、腐食抑制剤、その他
の添加剤)を添加した処理液(水溶液)で処理し、しか
る後加熱乾燥させることが好ましい。
【0139】ここで、上記処理液としては、前記添加成
分(イ)のモル濃度、前記添加成分(ロ)のP2O5換
算の合計モル濃度、前記添加成分(ハ)の前記金属の金
属量換算の合計モル濃度が、モル比(イ)/(ハ)=
0.1〜20、好ましくは0.1〜10、モル比(ハ)
/(ロ)=0.1〜1.5を満足するように調整された
処理液を用いる。前記モル比(イ)/(ハ)が0.1未
満では酸化物微粒子の添加効果が十分に得られず、一
方、20を超えると酸化物微粒子が皮膜の緻密化を阻害
してしまう。また、上記モル比(ハ)/(ロ)が0.1
未満ではMgなどの金属成分の添加に効果が十分に得ら
れず、一方、1.5を超えると、処理液安定性が低下し
てしまう。
【0140】添加成分(イ)である酸化物微粒子として
は酸化ケイ素(SiO微粒子)が最も好ましい。この
酸化ケイ素は処理液中で安定な水分散性のシリカ微粒子
であればよく、市販のシリカゾルや水分散性のケイ酸オ
リゴマーなどを用いることができる。但し、ヘキサフル
オロケイ酸などのフッ化物は腐食性が強く、人体への影
響も大きいため、作業環境への影響などの観点から使用
しないことが望ましい。処理液中での酸化物微粒子の添
加量(酸化ケイ素の場合はSiO2量としての添加量)
は0.001〜3.0モル/L、好ましくは0.05〜
1.0モル/L、さらに好ましくは0.1〜0.5モル
/Lとするのが適当である。酸化物微粒子の添加量が
0.001モル/L未満では添加による効果が十分でな
く、耐食性が劣る傾向がある。一方、添加量が3.0モ
ル/Lを超えると皮膜の耐水性が悪くなり、結果的に耐
食性も劣化する傾向がある。
【0141】添加成分(ロ)であるリン酸及び/又はリ
ン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリ
ポリリン酸などのポリリン酸、メタリン酸及びこれらの
無機塩(例えば、第一リン酸アルミニウムなど)、亜リ
ン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩などのリ
ン酸含有の化合物が、水溶液中で溶解した際に生じるア
ニオン、あるいは金属カチオンとの錯イオンとして存在
している形態、遊離酸として存在している形態、無機塩
として水分散状態で存在している形態など全てを含み、
本発明におけるリン酸成分の量は処理液中で存在するこ
れら全ての形態の合計をP2O5換算として規定する。
【0142】処理液中でのリン酸および/またはリン酸
化合物の添加量はP2O5換算で0.001〜6.0モ
ル/L、好ましくは0.02〜1.0モル/L、さらに
好ましくは0.1〜0.8モル/Lとするのが適当であ
る。リン酸及び/又はリン酸化合物の添加量が0.00
1モル/L未満では添加による効果が十分でなく、耐食
性が劣る傾向がある。一方、添加量が6.0モル/Lを
超えると過剰のリン酸イオンが湿潤環境においてめっき
皮膜と反応し、腐食環境によってはめっき素地の腐食を
促進し、変色やシミ状錆発生の要因となる。また、添加
成分(ロ)としては、耐食性の優れた複合酸化物を得る
ことができるため、リン酸アンモニウム塩を使用するこ
とも有効である。リン酸アンモニウム塩としては、第一
リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウムなどの1
種または2種以上を用いることが好ましい。
【0143】添加成分(ハ)の処理液中での存在形態は
化合物や複合化合物でもよいが、特に優れた耐食性を得
るためにはMg、Mn、Alの金属イオン又はMg、M
n、Alの金属が含まれる水溶性イオンの形態が特に好
ましい。なお、添加成分(ハ)のイオンを金属塩として
供給するために、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、酢酸イオン、ホウ酸イオンなどのアニオンが処理液
中に添加されてもよい。本発明におけるMg、Mn、A
lの成分の量は処理液中で存在するこれら全ての形態の
合計を金属量換算として規定する。処理液中での上記添
加成分(ハ)の添加量は、金属量換算の合計で0.00
1〜3.0モル/L、好ましくは0.01〜0.5モル
/Lとするのが適当である。これらの合計の添加量が
0.001モル未満では添加による効果が十分に得られ
ず、一方、添加量が3.0モル/Lを超えると、逆にこ
れらの成分が皮膜のネットワークを阻害するようにな
り、緻密な皮膜ができにくくなる。また、金属成分が皮
膜から溶出しやすくなり、環境によっては外観が変色す
るなどの欠陥を生じる。
【0144】処理液中にはさらに、添加成分(ニ)とし
て、Ni、Fe、Coのうちのいずれかの金属イオン、
前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオンか
らなる群の中から選ばれる1種以上を適量添加すること
ができ、このような鉄族金属を添加することにより、鉄
族金属を添加しない場合に生じる、湿潤環境下における
めっき最表層の腐食に起因した黒変現象が回避できる。
また、これらの鉄族金属のなかでも特にNiの効果が高
く、微量でも優れた効果が認められる。但し、Ni、C
oなどの鉄族金属の過剰添加は耐食性劣化につながるた
め、適量の添加が必要である。
【0145】上記添加成分(ニ)の添加量としては、金
属量換算で、金属量換算での添加成分(ハ)1モルに対
して1/10000〜1モル、望ましく1/10000
〜1/100モルの範囲とすることが好ましい。添加成
分(ニ)の添加量が添加成分(ハ)1モルに対して1/
10000モル未満では添加による効果が十分でなく、
一方、添加量が1モルを超えると上記のように耐食性が
劣化する。処理液中には、上記添加成分(イ)〜(ニ)
のほかに、先に述べた皮膜中への添加成分を適量添加し
てもよい。処理液(水溶液)のpHは0.5〜5、好ま
しくは2〜4とすることが適当である。処理液がpH
0.5未満では処理液の反応性が高くなり過ぎるため皮
膜に微細な欠陥部が形成され、耐食性が低下する。一
方、処理液がpH5を超えると処理液の反応性が低くな
り、めっき皮膜と複合酸化物皮膜との界面の結合が不十
分となり、この場合も耐食性が低下する傾向がある。
【0146】めっき鋼板表面に処理液をコーティングす
る方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式の
いずれでもよく、塗布方式ではロールコーター(3ロー
ル方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイ
コーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。ま
た、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理、
スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法によ
り塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うこ
とも可能である。処理液の温度に特別な制約はないが、
常温〜60℃程度が適当である。常温以下では冷却など
のための設備が必要となるため不経済であり、一方、6
0℃を超えると水分が蒸発し易くなるため処理液の管理
が難しくなる。
【0147】上記のように処理液をコーティングした
後、通常、水洗することなく加熱乾燥を行うが、本発明
で使用する処理液は下地めっき鋼板との反応により難溶
性塩を形成するため、処理後に水洗を行ってもよい。コ
ーティングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であ
り、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、
赤外線炉などの手段を用いることができる。この加熱乾
燥処理は到達板温で50〜300℃、望ましくは80〜
200℃、さらに望ましくは80〜160℃の範囲で行
うことが好ましい。加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜
中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、
加熱乾燥温度が300℃を超えると非経済的であるばか
りでなく、皮膜に欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下
する。
【0148】以上のようにして亜鉛系めっき鋼板または
アルミニウム系めっき鋼板の表面に複合酸化物皮膜を形
成した後、その上層に有機皮膜形成用の塗料組成物を塗
布する。塗料組成物を塗布する方法としては、塗布法、
浸漬法、スプレー法などの任意の方法を採用できる。塗
布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロー
ル方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどの
いずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーター
などによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後
に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、
外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0149】塗料組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく、加熱乾燥を行うが、塗料組成物の塗布後に水洗工
程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ドライヤ
ー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いる
ことができる。加熱処理は、到達板温で50〜350
℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが望
ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多量
に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が35
0℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠
陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0150】本発明は、以上述べたような皮膜を両面ま
たは片面に有する鋼板を含むものである。したがって、
本発明鋼板の形態としては、例えば、以下のようなもの
がある。 (1)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−公知のリン酸塩処理皮膜など (3)両面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜 (4)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜 (5)片面:めっき皮膜−複合酸化物皮膜−有機皮膜、
片面:めっき皮膜−有機皮膜
【0151】
【実施例】[実施例1]表2及び表3に示す第1層皮膜
形成用の処理液(皮膜組成物)を調整した。また、第2
層皮膜形成用の樹脂組成物(反応生成物)を以下のよう
にして合成した。 [合成例1]EP828(油化シェルエポキシ社製,エ
ポキシ当量187)1870部とビスフェノールA91
2部、テトラエチルアンモニウムブロマイド2部、メチ
ルイソブチルケトン300部を四つ口フラスコに仕込
み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポキシ当
量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を得た。この
ものに、エチレングリコールモノブチルエーテル150
0部を加えてから100℃に冷却し、3,5−ジメチル
ピラゾール(分子量96)を96部とジブチルアミン
(分子量129)を129部加えて、エポキシ基が消失
するまで6時間反応させた後、冷却しながらメチルイソ
ブチルケトン205部を加えて、固形分60%のピラゾ
ール変性エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(1)
とする。この樹脂組成物(1)は、皮膜形成有機樹脂
(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を
50mol%含む活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0152】[合成例2]EP1007(油化シェルエ
ポキシ社製,エポキシ当量2000)4000部とエチ
レングリコールモノブチルエーテル2239部を四つ口
フラスコに仕込み、120℃まで昇温して1時間で完全
にエポキシ樹脂を溶解した。このものを100℃に冷却
し、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量8
4)を168部加えて、エポキシ基が消失するまで6時
間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン
540部を加えて、固形分60%のトリアゾール変成エ
ポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(2)とする。こ
の樹脂組成物(2)は、皮膜形成有機樹脂(A)と、活
性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を100mol
%含む活性水素含有化合物との反応生成物である。
【0153】[合成例3]イソホロンジイソシアネート
(イソシアネート当量111)222部とメチルイソブ
チルケトン34部を四つ口フラスコに仕込み、30〜4
0℃に保ってメチルエチルケトキシム(分子量87)8
7部を3時間かけて滴下後、40℃に2時間保ち、イソ
シアネート当量309、固形分90%の部分ブロックイ
ソシアネートを得た。
【0154】次いで、EP828(油化シェルエポキシ
社製、エポキシ当量187)1496部とビスフェノー
ルA684部、テトラエチルアンモニウムブロマイド1
部、メチルイソブチルケトン241部を四つ口フラスコ
に仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポ
キシ当量1090、固形分90%のエポキシ樹脂を得
た。このものに、メチルイソブチルケトン1000部を
加えてから100℃に冷却し、3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール(分子量101)を202部加え
て、エポキシ基が消失するまで6時間反応させた後、上
記固形分90%の部分ブロックイソシアネートを230
部加え100℃で3時間反応させ、イソシアネート基が
消失したことを確認した。さらに、エチレングリコール
モノブチルエーテル461部を加えて、固形分60%の
トリアゾール変成エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成
物(3)とする。この樹脂組成物(3)は、皮膜形成有
機樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を100mol%含む活性水素含有化合物との反
応生成物である。
【0155】[合成例4]EP828(油化シェルエポ
キシ社製、エポキシ当量187)1870部とビスフェ
ノールA912部、テトラエチルアンモニウムブロマイ
ド2部、メチルイソブチルケトン300部を四つ口フラ
スコに仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、
エポキシ当量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を
得た。このものに、エチレングリコールモノブチルエー
テル1500部を加えてから100℃に冷却し、ジブチ
ルアミン(分子量129)を258部加えて、エポキシ
基が消失するまで6時間反応させた後、冷却しながらメ
チルイソブチルケトン225部を加えて、固形分60%
のエポキシアミン付加物を得た。これを樹脂組成物
(4)とする。この樹脂組成物(4)は、皮膜形成有機
樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を含まない活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0156】上記ようにして合成された樹脂組成物
(1)〜(4)に硬化剤を配合し、表4に示す樹脂組成
物(塗料組成物)を作成した。これら塗料組成物には表
5(表5−1及び表5−2)に示す防錆添加成分(自己
補修性発現物質)、表6に示す固形潤滑剤を適宜配合
し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて必要
時間分散させて所望の塗料組成物とした。
【0157】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板
を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さRa:1.0
μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっき又はアルミニウム系
めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処理原板として
用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び水
洗乾燥した後、表2及び表3に示す処理液(皮膜組成
物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥させて第1層
皮膜を形成させた。この第1層皮膜の膜厚は、処理液の
固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの圧下力、回
転速度など)により調整した。次いで、表4に示す塗料
組成物をロールコーターにより塗布し、加熱乾燥して第
2層皮膜を形成させ、本発明例及び比較例の有機被覆鋼
板を製造した。第2層皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形
分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの圧下力、回転速
度など)により調整した。
【0158】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性)の評価を行った。その結果を第1層
皮膜及び第2層皮膜の皮膜構成等とともに表7〜表39
に示す。有機被覆鋼板の品質性能の評価は以下のように
して行った。
【0159】(1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0160】(2) 耐白錆性 各サンプルについて以下に示す複合腐食試験(CCT)
を行い、所定サイクル後の白錆発生面積率で評価した。 [複合腐食試験(CCT)の1サイクル内容] 3wt%塩水噴霧試験(30℃;0.5時間) ↓ 湿潤試験(30℃、95%RH;1.5時間) ↓ 熱風乾燥試験(50℃、20%RH;2.0時間) ↓ 熱風乾燥試験(30℃、20%RH;2.0時間) 評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0161】(3) アルカリ脱脂後の耐白錆性 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
アルカリ処理液CLN−364S(60℃,スプレー2
分)でアルカリ脱脂を行った後、上記の複合腐食試験
(CCT)を行い、所定サイクル後の白錆面積率で評価
した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0162】(4) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、粘着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0163】(5) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】下記の表7〜表39において、表中に記載
してある *1〜*7 は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のめっき鋼板No. *2:表2及び表3に記載の第1層皮膜用組成物No. *3:成分(β)はP換算の付着量、成分(γ)は
Mg,Mn,Alの金属量換算の付着量 *4:表4に記載の第2層皮膜用樹脂組成物No. *5:表5に記載の防錆添加成分No. *6:表6に記載の固形潤滑剤No. *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対する配合量
(重量部)
【0171】
【表7】
【0172】
【表8】
【0173】
【表9】
【0174】
【表10】
【0175】
【表11】
【0176】
【表12】
【0177】
【表13】
【0178】
【表14】
【0179】
【表15】
【0180】
【表16】
【0181】
【表17】
【0182】
【表18】
【0183】
【表19】
【0184】
【表20】
【0185】
【表21】
【0186】
【表22】
【0187】
【表23】
【0188】
【表24】
【0189】
【表25】
【0190】
【表26】
【0191】
【表27】
【0192】
【表28】
【0193】
【表29】
【0194】
【表30】
【0195】
【表31】
【0196】
【表32】
【0197】
【表33】
【0198】
【表34】
【0199】
【表35】
【0200】
【表36】
【0201】
【表37】
【0202】
【表38】
【0203】
【表39】
【0204】[実施例2]家電、建材、自動車部品用の
有機被覆鋼板を得るため、板厚:0.8mm、表面粗さ
Ra:1.0μmの冷延鋼板に各種亜鉛系めっき又はア
ルミニウム系めっきを施した表1に示すめっき鋼板を処
理原板として用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱
脂処理及び水洗乾燥した後、表2及び表3に示す処理液
(皮膜組成物)をロールコーターで塗布し、加熱乾燥さ
せて第1層皮膜を形成させた。この第1層皮膜の付着量
は、処理液の固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロール
の圧下力、回転速度など)により調整した。次いで、表
4に示す塗料組成物をロールコーターにより塗布し、加
熱乾燥して第2層皮膜を形成させ、本発明例及び比較例
の有機被覆鋼板を製造した。第2層皮膜の付着量は、塗
料組成物の固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの
圧下力、回転速度など)により調整した。
【0205】得られた有機被覆鋼板について、品質性能
(皮膜外観、耐白錆性、アルカリ脱脂後の耐白錆性、塗
料密着性、加工性、スポット溶接性、導電性)の評価を
行った。その結果を第1層皮膜及び第2層皮膜の皮膜構
成等とともに表40〜表57に示す。有機被覆鋼板のス
ポット溶接性と導電性の評価は以下のようにして行い、
その他の性能の評価は[実施例1]と同様とした。
【0206】(6) スポット溶接性 板厚1.2mmの試験片を用いて、上電極CR型(元径
16mm、先端径5.4mm)、下電極F型(先端径1
6mm)、加圧力300kg、通電時間13サイクル
(60Hz)の条件下で、スポット溶接性の連続打点試
験を行い、ナゲット径が4.4mmよりも小さくなった
場合を溶接打点の限界とし、下記により評価した。 ◎:連続打点3000点以上 ○:連続打点1000点以上、3000点未満 △:連続打点500点以上、1000点未満 ×:連続打点500点未満
【0207】(7) 導電性(表面抵抗値) 4探針法抵抗率計(三菱化学(株)製「ロレスタA
P」)を用いて、試験片の表面抵抗を測定し、下記によ
り評価した。 ◎:表面抵抗値10−4Ω以下 ○:表面抵抗値10−4Ω超、10−3Ω以下 △:表面抵抗値10−3Ω超、10Ω以下 ×:表面抵抗値10Ω超
【0208】下記の表40〜表57において、表中に記
載してある*1〜*7は以下のような内容を示す。 *1:表1に記載のめっき鋼板No. *2:表2及び表3に記載の第1層皮膜用組成物No. *3:成分(β)はP換算の付着量、成分(γ)は
Mg,Mn,Alの金属量換算の付着量 *4:表4に記載の第2層皮膜用樹脂組成物No. *5:表5に記載の防錆添加成分No. *6:表6に記載の固形潤滑剤No. *7:樹脂組成物の固形分100重量部に対する配合量
(重量部)
【0209】
【表40】
【0210】
【表41】
【0211】
【表42】
【0212】
【表43】
【0213】
【表44】
【0214】
【表45】
【0215】
【表46】
【0216】
【表47】
【0217】
【表48】
【0218】
【表49】
【0219】
【表50】
【0220】
【表51】
【0221】
【表52】
【0222】
【表53】
【0223】
【表54】
【0224】
【表55】
【0225】
【表56】
【0226】
【表57】
【0227】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、製造時の処理液や製品の皮膜成分中に6価クロムを
全く含まず、しかも建材、家電、自動車等の用途の有機
被覆鋼板として高度の耐食性を有し、また、皮膜外観、
塗料密着性等にも優れている。また、第1層皮膜と第2
層皮膜の付着量を特定の範囲に規制することにより、製
品のノイズ対策から厳しい導電性が要求され、且つシャ
ーシの組み立て工程などにおいて高い生産性を得る必要
から高度のスポット溶接性が要求されるOA機器、AV
機器などの素材として好適な、優れた耐食性と高度な導
電性及びスポット溶接性を兼ね備えた有機被覆鋼板を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量と耐食性との関係を示したグラフ
【図2】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量とスポット溶接性との関係を示し
たグラフ
【図3】亜鉛めっき鋼板に表面に本発明条件を満足する
複合酸化物皮膜を形成し、その上部に構成成分が本発明
条件を満足する有機皮膜を形成した有機被覆鋼板につい
て、有機皮膜の付着量と導電性との関係を示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 163/02 C09D 163/02 201/00 201/00 201/02 201/02 C23C 30/00 C23C 30/00 Z (72)発明者 吉見 直人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA04D AA04E AA17D AA18E AA20E AA33D AA33E AB03B AB09D AB10A AB10C AB10D AB14D AB18A AB18C AH03E AH08E AK01E AK53E BA05 BA07 CA14E EH71A EH71C GB07 GB32 GB48 JA20D JA20E JB02 JB20E JL00 JL08E YY00D YY00E 4J038 AA01 CA021 CC021 CG031 CG141 CG161 CG171 CH031 CH041 CH171 CH191 DA041 DB061 DB071 DB191 DB481 DD121 DG001 GA08 HA066 HA146 HA296 HA406 HA416 HA436 JB27 JB32 JB36 JC35 JC36 NA03 PB05 PB07 PB09 PC02 4K044 AA02 AB02 BA10 BA12 BA14 BA17 BA21 BB04 BB11 BC02 BC04 BC05 CA11 CA16 CA18 CA22

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(a)〜(f)のうちのいずれ
    かの防錆添加成分(Y)とを含み、 (a)Caイオン交換シリカ及びリン酸塩 (b)Caイオン交換シリカ、リン酸塩及び酸化ケイ素 (c)カルシウム化合物及び酸化ケイ素 (d)カルシウム化合物、リン酸塩及び酸化ケイ素 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(e)、(g)及び(h)の防
    錆添加成分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(e)及び(i)の防錆添加成
    分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  4. 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(f)、(g)及び(h)の防
    錆添加成分(Y)とを含み、 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  5. 【請求項5】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(f)及び(i)の防錆添加成
    分(Y)とを含み、 (f)トリアゾール類、チオール
    類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中
    から選ばれる1種以上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  6. 【請求項6】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(e)及び(f)の防錆添加成
    分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  7. 【請求項7】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(e)、(f)、(g)及び
    (h)の防錆添加成分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (g)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (h)リン酸塩及び/又は酸化ケイ素 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  8. 【請求項8】 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系め
    っき鋼板の表面に、第1層皮膜として、 (α)酸化物微粒子と、 (β)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (γ)Mg、Mn、Alの中から選ばれる1種以上の金
    属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
    場合を含む)と、を含有する膜厚が0.005〜3μm
    の複合酸化物皮膜を有し、 その上部に第2層皮膜として、皮膜形成有機樹脂(A)
    と一部又は全部の化合物が活性水素を有するヒドラジン
    誘導体(C)からなる活性水素含有化合物(B)との反
    応生成物(X)と、下記(e)、(f)及び(i)の防
    錆添加成分(Y)とを含み、 (e)モリブデン酸塩 (f)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の有機化合物 (i)Caイオン交換シリカ 前記防錆添加成分(Y)の合計の含有量が前記反応生成
    物(X)100重量部(固形分)に対して1〜100重
    量部(固形分)である、膜厚が0.1〜5μmの有機皮
    膜を有することを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  9. 【請求項9】 有機皮膜が、さらに固形潤滑剤(Z)を
    含み、該固形潤滑剤(Z)の含有量が前記反応生成物
    (X)100重量部(固形分)に対して1〜80重量部
    (固形分)であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7又は8に記載の耐食性に優れた有機被覆
    鋼板。
  10. 【請求項10】 皮膜形成有機樹脂(A)が、エポキシ
    基含有樹脂(D)であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8又は9に記載の耐食性に優
    れた有機被覆鋼板。
  11. 【請求項11】 活性水素を有するヒドラジン誘導体
    (C)が、活性水素を有するピラゾール化合物及び/又
    は活性水素を有するトリアゾール化合物であることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又
    は10に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  12. 【請求項12】 活性水素を有するヒドラジン誘導体
    (C)が活性水素化合物(B)中に10〜100モル%
    含まれることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10又は11に記載の耐食性に優れた
    有機被覆鋼板。
  13. 【請求項13】 エポキシ基含有樹脂(D)が下記式
    (1)で示されるエポキシ樹脂であることを特徴とする
    請求項10、11又は12に記載の耐食性に優れた有機
    被覆鋼板。 【化1】
  14. 【請求項14】 複合酸化物皮膜中に含まれる成分
    (α)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又
    は13に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  15. 【請求項15】 複合酸化物皮膜がさらに有機樹脂を含
    有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記
    載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  16. 【請求項16】 複合酸化物皮膜は成分(α)とP
    換算量での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属換
    算量での成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg/
    であり、有機皮膜は付着量が0.1g/m以上、
    0.5g/m未満であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
    13、14又は15に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼
    板。
  17. 【請求項17】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14、15又は16
    に記載の有機被覆鋼板の製造方法であって、 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面
    に、 (イ)酸化物微粒子と、 (ロ)リン酸及び/又はリン酸化合物と、 (ハ)Mg、Mn、Alのうちのいずれかの金属イオ
    ン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む水溶性イオ
    ン、前記金属のうちの少なくとも1種を含む化合物、前
    記金属のうちの少なくとも1種を含む複合化合物からな
    る群の中から選ばれる1種または2種以上と、を含有
    し、前記添加成分(イ)のモル濃度、前記添加成分
    (ロ)のP2O5換算の合計モル濃度、前記添加成分
    (ハ)の前記金属の金属量換算の合計モル濃度が、モル
    比(イ)/(ハ)=0.1〜20、モル比(ハ)/
    (ロ)=0.1〜1.5を満足するように調整された処
    理液を塗布し、しかる後、加熱乾燥することによりめっ
    き鋼板表面に膜厚が0.005〜3μmの複合酸化物皮
    膜を形成し、次いで、その上部に有機皮膜形成用の塗料
    組成物を塗布し、加熱乾燥することにより、膜厚が0.
    1〜5μmの有機皮膜を形成することを特徴とする耐食
    性に優れた有機被覆鋼板の製造方法。
  18. 【請求項18】 複合酸化物皮膜形成用の処理液中の添
    加成分(イ)が酸化ケイ素であることを特徴とする請求
    項17に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 複合酸化物皮膜形成用の処理液が、さ
    らに有機樹脂を含有することを特徴とする請求項17又
    は18に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 めっき鋼板表面に、成分(α)とP
    換算量での成分(β)とMg、Mn及びAlの金属
    換算量での成分(γ)の合計付着量が6〜1000mg
    /mの複合酸化物皮膜を形成し、該複合酸化物皮膜の
    上部に付着量が0.1g/m以上、0.5g/m
    満の有機皮膜を形成することを特徴とする請求項17、
    18又は19に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板の製
    造方法。
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