JP3217420B2 - 食品衛生上好ましい耐食性塗装鋼板 - Google Patents

食品衛生上好ましい耐食性塗装鋼板

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JP3217420B2 JP01480192A JP1480192A JP3217420B2 JP 3217420 B2 JP3217420 B2 JP 3217420B2 JP 01480192 A JP01480192 A JP 01480192A JP 1480192 A JP1480192 A JP 1480192A JP 3217420 B2 JP3217420 B2 JP 3217420B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩水環境或いは食品と
の間接接触においても優れた耐食性を発揮する食品衛生
上好ましい耐食性塗装鋼板に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、亜鉛系めっき鋼板をベースと
したプレコート鋼板においては、耐食性の観点から下塗
り塗料中に防錆顔料として、クロム系顔料(例えばスト
ロンチウムクロメート、ジンククロメート等)が広範囲
に使用されていた。これ等の防錆顔料は極めて優れた防
錆力を示すが、その組成中に有毒金属であるクロムを含
有しているため、その毒性が使用部位、環境によっては
問題となる場合が考えられ(例えば電子レンジ、調理器
等に使用される場合)、これらを含まない食品衛生上好
ましい高耐食性プレコート鋼板の開発が望まれていた。
【0003】そこで、これまでに無公害高耐食性塗装鋼
板に使用される下塗り塗料用防錆顔料として、(a)金
属縮合りん酸塩系例えば縮合りん酸アルミニウム(b)
金属りん酸塩系例えばりん酸亜鉛、りん酸ケイ素、りん
酸チタニウム(c)金属亜りん酸塩系例えば亜りん酸亜
鉛、亜りん酸バリウム、亜りん酸マグネシウム、亜りん
酸マンガン塩、(d)金属次亜りん酸塩系例えば次亜り
ん酸カルシウム又は次亜りん酸鉄、(e)金属モリブデ
ン酸塩例えば亜鉛酸、カルシウム塩など数多くの提案が
なされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの無公
害防錆顔料は、防錆力については、特に耐食性の持続力
の点で見劣りし、あるいは展色剤である樹脂との安定性
を欠くものがあるなど、改善の余地のあるのが実情であ
った。本発明は、上記問題点を解決した、食品衛生上好
ましい耐食性塗装鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、両面亜鉛系め
っき鋼板の両面を化成処理し、その上に下塗り塗膜層及
び上塗り塗膜層を形成した塗装鋼板において、少なくと
も一方の面の前記下塗り塗膜層防錆顔料として非クロ
ム系防錆顔料を用い、該下塗り塗膜層に、前記非クロム
系防錆顔料としてりん酸塩系顔料樹脂 100重量部に対
し5〜150 重量部、シリカが樹脂 100重量部に対し1〜
100 重量部の割合で混合されていることを特徴とする食
品衛生上好ましい耐食性塗装鋼板である。
【0006】
【作用】本発明者らは、りん酸塩系顔料が、それから発
生するりん酸イオンと塗装鋼板の端面やクロスカット部
に露出するFe面と錯体を作ることにより不動態皮膜を形
成せしめること、及びシリカが樹脂と橋かけ反応をおこ
し塗膜の透水性を低下させ、またZnイオンの捕捉効果が
あること等から、これら2種の顔料の相乗効果で耐食性
の向上が可能ではないかと考え、鋭意検討の結果、本発
明を完成した。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
適用できる母材は、電気亜鉛、合金化電気亜鉛、溶融亜
鉛、合金化溶融亜鉛等の通常塗装鋼板用途として使用で
きるZn系めっきであれば良い。通常耐食性の要求される
用途では、溶融亜鉛、合金化溶融亜鉛の使用される場合
が多く、特に湿潤環境では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を使用するのが望ましい。これらに化成処理としてりん
酸亜鉛処理を行う。
【0008】下塗り塗料用の樹脂としては、化成処理を
施しためっき面及び上塗り塗膜との密着性に問題がな
く、かつ上塗り塗膜の外観に問題を生じなければ、基本
的にどんな樹脂でも良く、例えばエポキシ樹脂、アクリ
ル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂(これらの樹
脂は必要により例えば、アミノ樹脂、イソシアネート等
の架橋剤を併用してもよい)等種々考えられる。上塗り
塗料についても、要求性能を満足すれば基本的にどんな
樹脂でも良い。
【0009】りん酸塩系顔料としては、りん酸カルシウ
ム、りん酸アルミニウム、りん酸亜鉛等が考えられる
が、耐食性の観点から、りん酸カルシウム、りん酸アル
ミニウム等の場合には耐食性の持続性が劣るためりん酸
亜鉛が最も好ましい。シリカとしては、湿式シリカと気
相シリカがあり、従来、塗装鋼板用の塗料には、垂れ止
め等の目的で、シリカが添加されるケースがあったが、
それには、気相シリカが使用された。本発明では、この
ような気相シリカではなく、好ましくは湿式シリカを使
用する。湿式シリカを用いることにより、りん酸塩系防
錆顔料との相乗効果により優れた防錆性が発揮される。
【0010】上記樹脂と顔料の混合比は、樹脂 100重量
部に対してりん酸塩系顔料及びシリカをそれぞれ5〜15
0 重量部、1〜100 重量部とするのが好ましい。りん酸
塩系顔料が5重量部未満であれば、たとえシリカを可能
なかぎり大量に導入しても、耐食性に劣り、またりん酸
塩系顔料が150 重量部超であれば、上塗り塗装面の外観
密着性、または塗装性の観点から不適当である。
【0011】りん酸塩系顔料は5〜150 重量部の範囲と
したが、この時シリカが1重量部未満であれば耐食性の
持続性に劣り、 100重量部超であれば塗装性、上塗り塗
装面の外観の観点から不適当である。よってシリカは1
〜100 重量部の範囲とした。りん酸塩系顔料とシリカを
添加した下塗りは片面のみであっても良いが、耐食性の
持続性の観点から表裏面に設ける方が好ましい。
【0012】下塗り塗膜は2μm 〜15μm であれば良
く、2μm 未満であれば耐食性に劣り、15μm 超であれ
ば加工性に劣る。また、上塗り塗膜は10μm 〜30μm で
あれば良い。10μm 未満であれば隠蔽性に劣り、30μm
超であれば塗装性に劣る。なお、本発明の耐食性塗装鋼
板を得るに際しては、現在一般にコイルコートに使用さ
れている塗装方法、例えばロールコーター等により下塗
り及び上塗り塗装することができ、各々塗装後板温 180
〜 260℃で30〜 120秒間加熱乾燥することにより、目的
とする耐食性塗装鋼板を得ることができる。
【0013】
【実施例】以下の実施例及び比較例においては、下塗り
層及び上塗り層共、各々使用される樹脂80重量部とメラ
ミン樹脂を20重量部の割合で混合した組成物を使用し、
又下塗り層及び上塗り層共板温 220℃で60秒間加熱乾燥
させて塗膜を形成した。本発明の実施例及び比較例につ
いて以下説明する。
【0014】実施例1 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエス
テル系の場合のりん酸亜鉛顔料と湿式シリカの相乗効果
を確認した。 実施例2 GI60/60(溶融亜鉛めっき両面60g/m2) のめっき鋼板
にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエステル系
の場合のりん酸亜鉛顔料と湿式シリカの相乗効果を確認
した。
【0015】実施例3 EG30/30(電気亜鉛めっき両面30g/m2) のめっき鋼板
にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエステル系
の場合のりん酸亜鉛顔料と湿式シリカの相乗効果を確認
した。 実施例4 Zn-Ni 30/30(電気 Zn-Niめっき両面30g/m2) のめっき
鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエステ
ル系の場合のりん酸亜鉛顔料と湿式シリカの相乗効果を
確認した。
【0016】実施例5 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がエポキシ
系の場合のりん酸亜鉛顔料と湿式シリカの相乗効果を確
認した。 実施例6 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエス
テルの場合のりん酸カルシウム顔料と湿式シリカの相乗
効果を確認した。
【0017】実施例7 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂がポリエス
テルの場合のりん酸亜鉛顔料とコロイダルシリカの相乗
効果を確認した。 実施例8 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り塗料を面のみ
に塗装し、下塗り樹脂塗料が片面であった場合の効果を
確認した。
【0018】比較例1 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中にりん酸
亜鉛顔料を3重量部導入した場合の効果を確認した。 比較例2 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中にりん酸
亜鉛顔料を 160重量部導入した場合の効果を確認した。
【0019】比較例3 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中のりん酸
亜鉛顔料は本発明範囲内の80重量部、湿式シリカは本発
明範囲の下限未満の 0.5重量部とした場合の効果を確認
した。 比較例4 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中のりん酸
亜鉛顔料は本発明範囲内の80重量部、湿式シリカは本発
明範囲の上限超の 110重量部とした場合の効果を確認し
た。
【0020】比較例5〜8 各種両面亜鉛系めっき鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下
塗り樹脂中にクロメート系顔料として、ストロンチウム
クロメートが40重量部の場合の性能を確認した。 比較例9〜15 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中にりん酸
塩系以外の顔料を80重量部導入し、りん酸塩系以外の顔
料の性能を確認した。
【0021】比較例16〜22 GA45/45(合金化溶融亜鉛めっき両面45g/m2) のめっ
き鋼板にりん酸亜鉛処理を行い、下塗り樹脂中にりん酸
塩系以外の顔料を80重量部、湿式シリカを40重量部導入
して、りん酸塩系以外の顔料とシリカの相乗効果を確認
した。以上の供試材の構成及び試験結果を表1、2、3
に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】なお、耐食性、塗装性、塗装面の外観、密
着性、衛生性の判断基準は以下に示す。 耐食性 SST 480h後の端面赤錆面積(%)、平均
ふくれ長さ(mm)、クロスカット部からの平均ふくれ長
さ(mm)を測定し、表4の基準で評価した。
【0026】
【表4】
【0027】 塗装性 ○ … 通常のリバースコート塗装が可能 × … 通常のリバースコート塗装が不可能 外観 ○ … 目視で凹凸がない × … 目視で凹凸が目立つ 密着性 ○ … 0T折曲げ後セロハンテープ剥離で
プライマー、トップ間で剥離なし × … 上記方法でプライマー、トップ間で剥離 衛生性 ○ … Cr系顔料を含まない × … Cr系顔料を含む 加工性 ○ … 折り曲げ加工後のクラック発生なし × … 折り曲げ加工後のクラック発生あり 隠蔽性 ○ … 目視で下塗り塗膜色が判別できない × … 目視で下塗り塗膜色が判別できる
【0028】
【発明の効果】表1、2、3の結果から明らかなよう
に、本発明の塗装鋼板は、比較例のストロンチウムクロ
メートとほぼ同等の耐食性を持ち、モリブデン酸亜鉛、
トリポリりん酸アルミニウム等のりん酸塩系以外の顔料
よりもすぐれた耐食性を持つことがわかる。また、本発
明のと同じ系であっても請求範囲外の添加量であれば、
耐食性が不足することがわかる。
【0029】本発明の塗装鋼板は非クロム系であるため
衛生性に優れ、電子レンジ等食品と間接接触する分野に
使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−84082(JP,A) 特開 昭52−58743(JP,A) 特開 昭62−7539(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/14 B05D 7/24 303 B32B 15/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面亜鉛系めっき鋼板の両面を化成処理
    し、その上に下塗り塗膜層及び上塗り塗膜層を形成した
    塗装鋼板において、少なくとも一方の面の前記下塗り塗
    膜層防錆顔料として非クロム系防錆顔料を用い、該下
    塗り塗膜層に、前記非クロム系防錆顔料としてりん酸塩
    系顔料樹脂 100重量部に対し5〜150 重量部、シリカ
    が樹脂 100重量部に対し1〜100 重量部の割合で混合さ
    れていることを特徴とする食品衛生上好ましい耐食性塗
    装鋼板。
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