JP2000248374A - 防錆処理鋼材 - Google Patents

防錆処理鋼材

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JP2000248374A
JP2000248374A JP11375628A JP37562899A JP2000248374A JP 2000248374 A JP2000248374 A JP 2000248374A JP 11375628 A JP11375628 A JP 11375628A JP 37562899 A JP37562899 A JP 37562899A JP 2000248374 A JP2000248374 A JP 2000248374A
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resin
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JP11375628A
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Akira Takahashi
高橋  彰
Yujiro Miyauchi
優二郎 宮内
Atsushi Morishita
敦司 森下
Toshiaki Shimakura
俊明 島倉
Katsuyoshi Yamazoe
勝芳 山添
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Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロム含有防錆剤以上の耐食性を有する安価
でノンクロムの防錆コーティング層による防錆処理鋼材
を提供する。 【解決手段】 亜鉛系金属被覆鋼、アルミニウム被覆
鋼、または無被覆鋼に、第一層目としてリン酸化合物を
PO4 として100重量部含有し、さらに0.2〜20
0重量部のチオカルボニル基含有化合物、0.2〜10
0重量部のバナジウム酸化合物、10〜300重量部の
微粒シリカのうちの1種または2種以上を含有する被膜
を有し、その上層に2層目として固形分として有機樹脂
100重量部、0.1〜50重量部のチオカルボニル基
含有化合物を含有し、さらにリン酸化合物をPO4 とし
て0.01〜20重量部、0.1〜20重量部のバナジ
ウム酸化合物、1〜500重量部の微粒シリカのうちの
1種または2種以上を含有する被膜を有する鋼材とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料、特に亜
鉛めっき鋼材用の表面処理方法に関するものであり、金
属材料に十分な耐食性を付与する防錆コーティング剤で
コーティングした防錆処理鋼材を提供する。これら防錆
処理鋼材は、家電製品、コンピュータ関連機器、建材、
自動車等の工業製品に広く用いられる。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板および合金化亜鉛めっき
鋼板は、海水等の塩分を含む雰囲気、高温多湿環境のみ
ならず、通常の室内環境においても、表面に白錆が発生
し外観を著しく損ねたり、素地鉄面に対する防錆力が低
下したりする。
【0003】白錆防止には、従来よりクロメート系の防
錆処理剤が多用されており、例えば特開平3−1313
70号公報にはオレフィン−α,β−エチレン性不飽和
カルボン酸共重合体樹脂ディスパージョンに水分散性ク
ロム化合物と水分散性シリカを含有させた樹脂系防錆処
理剤が開示されている。しかしながら、上記のようなク
ロム含有樹脂処理剤といえども、その耐食性は必ずしも
十分ではなく、クロメート処理した鋼板は塩水や高温多
湿の雰囲気下に長時間晒されると白錆が発生する。ま
た、クロム化合物は人体に有害な影響を及ぼす危険性が
高いことから、近年では、ノンクロム防錆処理剤の要請
が高まっている。
【0004】本発明者らは、硫化物イオンが亜鉛と反応
して安定なZnS皮膜を形成することを見つけ、すでに
特開平8−239776号公報、特開平8−67834
号公報に硫化物や硫黄を用いたノンクロム防錆処理剤を
開示している。しかしながら、硫化物の中には特有な臭
気を放つものがあり、取り扱いは必ずしも容易ではなか
った。
【0005】また、硫黄原子を含み臭気性も毒性もない
トリアジンチオール化合物を用いた防錆剤も提案されて
いる。例えば、特開昭53−31737号公報の「水性
防食塗料」には、ジオール−S−トリアジン誘導体を添
加した水性防食塗料が開示されている。また、特開昭6
1−223062号公報の「金属との反応性エマルジョ
ン」には、チオカルボニル基含有化合物と、水に難溶性
有機化合物を混合して得られる金属との反応性エマルジ
ョンが開示されている。しかしながら、特開昭53−3
1737号公報に開示された水性防食塗料は、軟鋼や真
鍮の場合により密着しやすいように調整されている。従
って、亜鉛等の金属表面に対する防錆剤としては不十分
であった。また、特開昭61−223062号公報に開
示された反応性エマルジョンも銅、ニッケル、錫、コバ
ルト、アルミニウム等およびその合金と反応するエマル
ジョンであるため、亜鉛等の金属表面に対する防錆剤と
しては不十分であった。
【0006】本発明者らは亜鉛系めっき鋼板の防錆にも
有効なトリアジンチオール含有防錆コーティング剤を研
究し、特願平9−2557号明細書に記載したトリアジ
ンチオール含有防錆コーティング剤を開示した。しか
し、トリアジンチオールは高価な化合物であり、より安
価な防錆処理剤が望まれていた。
【0007】クロムを含有せず、トリアジンチオールも
使用しない亜鉛または亜鉛合金の表面処理方法として、
特開昭54−71734号公報と特開平3−22658
4号公報に記載されているものが挙げられる。特開昭5
4−71734号公報に記載されたものは、ミオ−イノ
シトールの2〜6個の縮合リン酸エステルまたはその塩
類を0.5〜100g/lと、チタンフッ化物およびジ
ルコニウムフッ化物の群より選ばれる1種または2種以
上を金属換算で0.5〜30g/lと、チオ尿素または
その誘導体1〜50g/lとを含有する水溶液で亜鉛ま
たは亜鉛合金を表面処理することを特徴とする亜鉛また
は亜鉛合金の表面処理法である。この技術は、亜鉛表面
に保護層としての不動態皮膜を形成するためにチタンフ
ッ化物またはジルコニウムフッ化物を必要としている。
また、特開平3−226584号公報に記載されたもの
では、Ni2+とCo2+の一方または両方を0.02g/
l以上と、アンモニアと1級アミン基を有する化合物の
1種または2種を含有するpH5〜10の水溶液である表
面処理剤が使用されている。この技術では、塗装密着性
および塗装後の耐食性をコバルトまたはニッケルの析出
によって付与するために、Ni2+とCo2+の少なくとも
一方を必要としている。これらの金属イオンを含有する
処理剤は、廃水処理時の負荷が大きくなる等の不都合が
あった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題に鑑
みたものであり、その目的は、亜鉛または亜鉛めっき鋼
板を始めとする鋼材に有効な、クロム含有防錆剤以上の
耐食性を有する安価でノンクロムの防錆コーティング剤
により防錆処理された耐食性に優れた防錆処理鋼材を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明の防錆処理鋼材は、亜鉛系金属被覆鋼、
アルミニウム被覆鋼、または無被覆鋼に、第一層目とし
てリン酸化合物をPO 4 として100重量部含有し、さ
らに0.2から200重量部のチオカルボニル基含有化
合物、0.2から100重量部のバナジウム酸化合物、
10から300重量部の微粒シリカのうちの1種または
2種以上を含有する被膜を有し、さらにその上層に2層
目として固形分として有機樹脂100重量部、0.1か
ら50重量部のチオカルボニル基含有化合物を含有し、
さらにリン酸化合物をPO4 として0.01から20重
量部、0.1から20重量部のバナジウム酸化合物、1
から500重量部の微粒シリカのうちの1種または2種
以上を含有する被膜を有することを特徴とする非クロム
型表面処理鋼材である。
【0010】一般に、防錆処理コーティング層として有
効であるためには、(1)腐食液の浸透を防止するこ
と、(2)防錆膜の金属素地への密着性を有すること、
(3)防錆イオン等による金属表面の不動態化を図るこ
と、(4)防錆膜の耐水性、耐酸性、耐アルカリ性を有
すること等を満たす必要がある。これらのいずれかが不
十分な場合には、防錆性を発揮することができない。従
来の防錆層のクロム化合物は、主に不動態化に優れてい
た。ここで不動態化とは、金属または合金が、化学的も
しくは電気化学的に活性状態になりうる環境であるにも
かかわらず、不活性を保持する状態になることを言う。
【0011】硫化物は、クロム酸と同様、金属表面に吸
着しやすく、また酸化能力にも優れているために、金属
表面を不動態化させることができる。従って、硫化物の
一つであるチオカルボニル基含有化合物は、亜鉛めっき
の白錆防止効果を有する。
【0012】このようなチオカルボニル基含有化合物を
含む防錆層中にバナジウム化合物が添加されると、次の
ようなバナジウム酸イオンの防錆作用が加わって一層防
錆効果が促進される。すなわち、バナジウム酸化合物
は、イオンとなって防錆層中に溶解している場合と、化
合物や添加量によってはイオンとしての溶解量が飽和し
て固体として防錆層中に分散して防錆顔料となっている
場合とがある。いずれにしても、バナジウム酸イオン
は、塗布時に亜鉛表面に不動態皮膜を形成する。これが
バナジウム酸化合物による防錆作用発現の理由である。
また、防錆皮膜中に腐食因子である水が浸透し、亜鉛表
面に腐食部位が形成されると、皮膜中に存在するバナジ
ウム酸イオンや浸透してきた水によってバナジウム酸化
合物から溶出したバナジウム酸イオンが腐食部位に作用
して腐食反応を抑制すると考えられる。
【0013】バナジウム酸イオンがチオカルボニル基化
合物またはリン酸イオンと共存するとこれらとの相乗作
用が発現する。この相乗作用の理由は必ずしも明確では
ないが、リン酸イオンやチオカルボニル基含有化合物が
吸着できないような部位にはバナジウム酸イオンが不動
態皮膜を形成するか、あるいは逆にバナジウム酸イオン
による不動態皮膜の欠陥部にリン酸イオンやチオカルボ
ニル基が吸着することでバナジウム酸イオンの作用を補
い防食作用の相乗効果が得られるものと考えられる。
【0014】更に、チオカルボニル基含有化合物は、リ
ン酸イオンとともに添加されると、その防錆効果が著し
く向上し、従来のクロム含有樹脂系防錆層より優れた防
錆コーティング層が得られる。これは、チオカルボニル
基含有化合物とリン酸イオンとの相乗作用により防錆効
果が発揮されるからであると推定される。すなわち、
(1)チオカルボニル基含有化合物におけるチオール基
のイオンは、防錆コーティング剤塗布時に亜鉛表面のサ
イトに吸着されて、防錆効果を発揮すると推定される。
本来硫黄原子は亜鉛と配位結合を形成しやすいが、チオ
カルボニル基(式1)
【0015】
【化1】
【0016】を有する化合物は、式(2)
【0017】
【化2】
【0018】のように窒素原子や酸素原子を同時に有す
るものの方が好ましい。これらの化合物では窒素原子や
酸素原子も亜鉛と配位結合を形成することができるた
め、特にこれらの原子を同時に有するチオカルボニル基
含有化合物では亜鉛表面にキレート結合を形成しやすく
なり、チオカルボニル基含有化合物が亜鉛表面に強固に
吸着することが可能である。不活性な亜鉛表面のサイト
(例えば酸化物の表面)にはチオカルボニル基含有化合
物は吸着されないが、このような不活性な面に対して
は、リン酸イオンが作用して、リン酸亜鉛を形成し、活
性な面を形成する。このように活性化された面にチオカ
ルボニル基含有化合物が吸着するので、亜鉛表面全体に
防錆効果を発揮するものと推定される。また、(2)チ
オカルボニル基含有化合物も、リン酸イオンも、樹脂皮
膜の架橋促進剤として作用する。両者の相乗作用によ
り、樹脂皮膜のミクロポアを少なくして水や塩素イオン
等の有害イオンを効率よく遮断することができると推定
される。
【0019】注目すべきことに、上記のチオカルボニル
基含有化合物とリン酸イオン、バナジウム酸イオンによ
る優れた防錆作用に加えて、これに微粒シリカを添加す
ると更に防錆作用が促進することが発見された。
【0020】微粒シリカは、リン酸イオンやチオカルボ
ニル基含有化合物、バナジウム酸イオン等の防錆イオン
や分子をシリカ表面に吸着させ、腐食反応が生じている
亜鉛めっき表面の部位に適宜防錆イオンや分子を放出さ
せることで防錆作用を高めていると考えられる。
【0021】以上述べてきたように、本発明における防
錆皮膜中の含有成分は防錆イオン等による金属表面の不
動態化を図る上できわめて有効であり、通常は、防錆皮
膜として有効な皮膜とするために造膜成分である有機樹
脂(本発明の場合、この有機樹脂は、一般に水溶性であ
る本発明の防錆剤の特性から水性樹脂に由来するものと
なる)との混合物として用いられる。しかしながら、防
錆処理皮膜として十分な性能を得るためには防錆皮膜の
金属素地への密着性を有することと、防錆皮膜に傷等の
皮膜欠陥が生じた際に、傷部の金属素地へ不動態化イオ
ンが有効に供給されることが重要である。ところが、本
発明における防錆剤であるチオカルボニル基含有化合
物、バナジウム酸化合物、リン酸イオンを水性樹脂に含
有させ、金属素地に塗布・乾燥させた場合には、素地表
面の防錆剤濃度を意識的に高めることができないため
に、場合によっては防錆剤の作用を高めるのに限界があ
ることがある。そこで、樹脂を含むコーティング剤の塗
布に先立って、防錆剤のみからなる水溶液を塗布するこ
とで、防錆剤が素地表面と十分に反応して不動態層が形
成され、更に乾燥・焼き付けることにより防錆剤が素地
表面に十分な量で固着し、引き続いて塗布する水性樹脂
層と素地金属との密着性を飛躍的に高めることが可能と
なる。こうすることで、防錆膜に傷等の皮膜欠陥が導入
された場合にも、素地表面には防錆剤が固着しているこ
とから、水の浸透等によりイオン化し素地表面の傷を速
やかに不動態化することが可能となり耐食性が著しく向
上する。この作用は、防錆剤含有樹脂を一段で塗布した
処理層ではとうてい得られないものである。このよう
に、本発明では、樹脂を含まない方のコーティング剤を
第一の防錆コーティング剤とし、樹脂を含む方のコーテ
ィング剤を第二の防錆コーティング剤として併用するこ
とにより特に大きな防錆効果が得られる。
【0022】なお、樹脂なしで素地表面へ直接する塗布
する第一層において特に有効な防錆作用を発揮するのは
リン酸イオンであり、そのため第一のコーティング層は
これを主成分として含有し、そのほかにチオカルボニル
基含有化合物、バナジウム酸化合物および水分散性シリ
カのうちの少なくとも1種を含有する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてチオカルボニル基含有化合物とは、下式
で表されるチオカルボニル基(1)
【0024】
【化3】
【0025】を有する化合物をいうが、更に、水溶液中
や酸またはアルカリの存在下においてチオカルボニル基
含有化合物を放出することのできる化合物をも含むこと
ができる。チオカルボニル基含有化合物の代表例として
は、式(3)
【0026】
【化4】
【0027】で表されるチオ尿素およびその誘導体等、
例えばメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、エチルチオ
尿素、ジエチルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、チオペ
ンタール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシ
アヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3
−チオウラゾール等;式(4)
【0028】
【化5】
【0029】で表されるチオアミド化合物(式中のR
は、例えば−H,−CH3 ,−CH2 CH3 ,−C6
5 ,−C8 5 ,C5 3 SO等を表す)、例えばチオ
ホルムアルデヒド、チオカルボスチリル、チオサッカリ
ン等;式(5)
【0030】
【化6】
【0031】で表されるチオアルデヒド化合物(式中の
Rは、例えば−H,−CH3 等を表す)、例えばチオホ
ルムアルデヒド、チオアセトアルデヒド等;式(6)
【0032】
【化7】
【0033】で表されるカルボチオ類(式中のRは、例
えば−CH3 ,−C6 5 等を表す)、例えばチオ酢
酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸等;式(7)
【0034】
【化8】
【0035】で表されるチオ炭酸類や、その他式(1)
構造を有する化合物、例えばチオクマゾン、チオクモチ
アゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チオピリン、
チオベンゾフェノン等が例示できる。これらの化合物の
中で直接水に溶解しないものは、アルカリ溶液中で一旦
溶解させた後防錆コーティング剤中に配合する。
【0036】ここで、防錆コーティング層中のチオカル
ボニル基含有化合物が0.2重量部未満の場合には、耐
食性は不十分となり、一方、200重量部を超えると耐
食性が飽和して不経済となるだけではなく、樹脂含有層
に添加する場合には、50重量部を超えると使用する水
性樹脂によっては樹脂がゲル化し塗布不能となる。従っ
て樹脂を含まないコーティング剤では上限を200重量
部とし、含むコーティング剤では50重量部とする。
【0037】バナジウム酸化合物は0.2重量部未満の
場合には、耐食性は不十分となり、一方、100重量部
を超えると耐食性が飽和して不経済となるだけではな
く、樹脂含有層に添加する場合には、20重量部を超え
ると使用する水性樹脂によっては樹脂がゲル化し塗布不
能となるため好ましくは20重量部以下がよい。従って
樹脂を含まないコーティング層では上限を100重量部
とし、含むコーティング層では20重量部とする。
【0038】バナジウム酸化合物はバナジウム酸、バナ
ジウム酸アンモニウム、バナジウム酸ナトリウム、バナ
ジウム酸カリウム、バナジウム酸ストロンチウム、バナ
ジウム酸水素ナトリウム等のバナジウム酸塩、またリン
バナジウム酸、リンバナジウム酸アンモニウム等のリン
バナジウム酸塩等の形で供給することができる。
【0039】また、リン酸化合物は、金属素地にリン酸
塩層を形成させ、不動態化させるとともに樹脂層と素地
との密着性を著しく向上させ、更に水性樹脂由来の樹脂
皮膜の架橋反応を促進させ、緻密な防錆膜を形成するこ
とにより、防錆性を更に向上させる。リン酸化合物の含
有量が0.01重量部未満の場合には、防錆効果が十分
に発揮されず、一方、100重量部を超えると耐食性が
飽和して不経済となるだけではなく、樹脂含有水溶液に
添加する場合には、20重量部を超えると使用する水性
樹脂によっては樹脂がゲル化し塗布不能となる。従って
樹脂を含まないコーティング層(第一のコーティング
層)では上限を100重量部とし、含むコーティング層
(第二のコーティング層)では20重量部とする。
【0040】リン酸化合物を供給するリン酸化合物源と
しては、オルトリン酸、縮合リン、種々の金属のオルト
リン酸塩または縮合リン酸塩、五酸化リン、リン酸塩鉱
物、市販の複合リン酸塩顔料、またはこれらの混合物が
挙げられる。ここで言うオルトリン酸塩の中には、その
一水素塩(HPO4 2- の塩)、二水素塩(H2 PO4 -
の塩)も含むものとする。また縮合リン酸塩の中にも水
素塩を含むこととする。また縮合リン酸塩にはメタリン
酸塩も含み、通常のポリリン酸塩、ポリメタリン酸塩も
含むものとする。これらのリン化合物の具体例としては
リン酸塩鉱物、例えばモネタイト、トルフィル石、ウィ
トロック石、ゼノタイム、スターコライト、ストルーブ
石、ラン鉄鉱等や、市販の複合リン酸塩顔料、例えばポ
リリン酸シリカ等や、複合リン酸、例えばピロリン酸、
メタリン酸や、複合リン酸塩、例えばメタリン酸塩、テ
トラメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸
塩、酸性ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩や、あるいは
これらの混合物が挙げられる。リン酸塩を形成する金属
種は特に限定的でなく、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、その他の典型元素の金属種および遷移金属が挙げら
れる。好ましい金属種の例としては、マグネシウム、カ
ルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコ
ニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ア
ルミニウム、鉛、スズ等が挙げられる。この他にバナジ
ル、チタニル、ジルコニル等、オキソカチオンも含まれ
る。特に好ましいのはカルシウム、マグネシウムであ
る。
【0041】本発明に係わる防錆コーティング層に更
に、微粒シリカを添加することにより耐食性が一層向上
する。しかも耐食性に加えて乾燥性、耐擦傷性、塗膜密
着性をも改良することができる。
【0042】本発明において微粒シリカとは、微細な粒
径を有するため水中に分散させた場合に安定な状態を保
持でき半永久的に沈降が認められないような特性を有す
るシリカを総称していうものである。上記微粒シリカと
しては、ナトリウム等の不純物が少なく弱アルカリ系の
ものであれば特に限定されない。例えば、「スノーテッ
クスN」(日産化学工業製)、「アデライトAT−20
N」(旭電化工業社製)等の市販シリカゲル、または市
販のアエロジル粉末シリカ粒子等を用いることができ
る。
【0043】微粒シリカの含有量は、防錆コーティング
層中に、樹脂を含まないコーティング層では10〜30
0重量部、樹脂を含むコーティング層では1〜500重
量部であることが好ましく、含有量が10(樹脂含有系
は1)重量部未満の場合には耐食性の向上効果が不十分
であり、一方300(樹脂含有系は500)重量部を超
えると耐食性が飽和して不経済となる。
【0044】本発明における第二の防錆コーティング層
には水性樹脂が含まれる。本発明において水性樹脂と
は、水溶性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマ
ルジョンやサスペンジョンのように不溶性樹脂が水中に
微分散された状態のものを含めていう。このような水性
樹脂として使用できる樹脂としては、例えばポリオレフ
ィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル
系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、その他の
加熱硬化型の樹脂等を例示でき、架橋可能な樹脂である
ことがより好ましい。特に好ましい樹脂は、ポリオレフ
ィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、および両者の混合樹
脂系である。水性樹脂は2種以上を混合して使用しても
よい。
【0045】また、本発明の樹脂を含むコーティング層
(第二のコーティング層)は、更に他の成分が配合され
ていてもよい。例えば、顔料、界面活性剤等を挙げるこ
とができる。また、水性樹脂とシリカ粒子、顔料との親
和性を向上させ、更に水性樹脂と亜鉛または鉄のリン酸
化物層との密着性等を向上させるためにシランカップリ
ング剤もしくはその加水分解縮合物またはそれらの両方
を配合してもよい。ここでの「シランカップリング剤の
加水分解縮合物」とは、シランカップリング剤を原料と
し、加水分解重合させたシランカップリング剤のオリゴ
マーのことをいう。
【0046】顔料としては、例えば酸化チタン(TiO
2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(Zr
O)、炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリウム
(BaSO4 )、アルミナ(Al2 3 )、カオリンク
レー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2 3 ,Fe3
4 )等の無機顔料や、有機顔料等を用いることができ
る。
【0047】本発明で使用できる上記のシランカップリ
ング剤としては特に制限はないが、好ましいものとして
は、例えば以下のものを挙げることができる:ビニルメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−
(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,
N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エ
チレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン。
【0048】特に好ましいシランカップリング剤は、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)
−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピ
ル〕エチレンジアミンである。これらシランカップリン
グ剤は1種類を単独で使用してもよいし、または2種類
以上を併用してもよい。
【0049】本発明では、上記シラン化合物は、固形分
として有機樹脂100重量部に対して、0.01〜20
重量部であることが好ましい。シラン化合物の添加量が
0.01重量部未満になると添加効果の低下が認めら
れ、耐食性、塗装密着性が不足し、20重量部を越える
とコーティング溶液の状態で樹脂がゲル化したりして不
具合が生じることがある。
【0050】本発明の樹脂を含有する防錆コーティング
層には水性樹脂の造膜性を向上させ、より均一で平滑な
塗膜を形成するために、溶剤を用いてもよい。溶剤とし
ては、塗料に一般的に用いられているものであれば特に
限定されず、例えば、アルコール系、ケトン系、エステ
ル系、エーテル系のもの等を挙げることができる。
【0051】本発明では、上述の防錆コーティング剤を
亜鉛被覆鋼、アルミニウム被覆鋼または無被覆鋼等の鋼
材用防錆コーティング剤として使用して、そのような鋼
材の防錆処理を行うことができる。この防錆処理は、ま
ず、樹脂を含有しない防錆コーティング剤を被塗物に塗
布後に被塗物を熱風で加熱し乾燥させ、次に樹脂を含有
する防錆コーティング剤を塗布し、加熱し乾燥させる方
法で実証することができる。
【0052】上記加熱の温度は、樹脂を含まない層(第
1層)、樹脂を含む層(第2層)のいずれにおいても5
0〜250℃が適当である。50℃未満であると水分の
蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られないので防錆力が
不足する。一方、250℃を超えると、特に樹脂を含む
系の場合、水性樹脂の熱分解が生じるので、耐塩水噴霧
試験性、耐水性が低下し、また外観も黄変することか
ら、上記範囲に限定される。塗布後に被塗物を熱風で加
熱し、乾燥させる場合の乾燥時間は、1秒〜5分が好ま
しい。
【0053】上記防錆処理において、本発明の防錆コー
ティング層の付着量は、第1層は5mg/m2 以上が望ま
しい。5mg/m2 未満であると、第2層の密着力や耐食
性が不足する。一方、上限は望ましくは100mg/m2
がよい。付着量が多すぎると塗装下地処理としての効果
が飽和する上に不経済であり、より好ましくは、5mg/
2 〜50mg/m2 である。塗布方法は、特に限定され
ず、浸せき法やコーター塗布法、スプレー塗布法等で塗
布される。塗布後に被塗物を熱風炉や直火炉、IH炉等
で加熱し、乾燥させる。
【0054】第2層の防錆コーティング層の塗膜付着量
は、0.1g/m2 以上であることが望ましい。0.1
g/m2 未満であると、防錆力が不足する。一方、付着
量が多すぎると、加工時の割れ等の不具合が発生し、不
経済であるので20g/m2以下がよく、より好ましく
は0.1〜10g/m2 である。塗布方法は、特に限定
されず、一般に使用されるロールコート、エアースプレ
ー、エアーレススプレー、浸せき等によって塗布するこ
とができる。塗布後に被塗物を熱風炉や直火炉、IH炉
等で加熱し、乾燥させる。
【0055】本発明の防錆コーティング層によってコー
ティングされる材としては、上述したように亜鉛被覆
鋼、アルミニウム被覆鋼および無被覆鋼である。亜鉛被
覆鋼は具体的には、亜鉛めっき、亜鉛とFe,Ni,C
o,Cr,Mg,Al,Si,Mn等の1種または2種
以上からなる合金めっきを施した鋼材をさし、めっき方
法は、特に限定されるものではなく、電気めっき法、溶
融めっき法、真空めっき法等いずれでもよい。アルミニ
ウム被覆鋼は具体的には、Alめっき、Al−Siめっ
き、Al−Si−Mgめっきを施した鋼材をさす。鋼材
としては、特に限定されないが冷延鋼板、熱延鋼板、厚
板、棒鋼、鋼管等の鋼材でよい。
【0056】また、本発明の防錆コーティング層は、上
記のように塗装下地処理層および水性防錆塗料として使
用できると共に、いわゆる一次防錆層としても適用し得
る。更に、コイルコーティングの分野での亜鉛系めっき
鋼板の潤滑膜の下地処理や塗装下地処理に利用できるだ
けでなく、本発明の樹脂を含有する防錆コーティング層
中にワックスを添加することにより潤滑鋼板用の潤滑防
錆層としても利用できる。
【0057】次に、実施例により本発明を更に説明す
る。なお、以下の各例において、重量部で表した濃度は
防錆コーティング層中の各成分の含有量(重量部)を意
味する。また、以下の各例において耐食性の評価は次の
方法により行った。
【0058】〔評価方法〕 (A)防錆性 a)供試体の作製 本発明の樹脂を含有しない防錆コーティング剤を市販の
電気亜鉛めっき鋼板EG−MO材にバーコート#3で付
着量30mg/m2 となるように塗布した後、到達板温
(PMT)70℃となるように乾燥させ、空冷後本発明
の樹脂を含有する防錆コーティング剤をバーコート#3
で付着量が1g/m2 となるように塗布した後、PMT
150℃となるように乾燥させた。
【0059】b)塩水噴霧試験 JIS Z2371に準拠した試験法(5%の食塩水を
35℃で被塗物面に噴霧し、240時間後の白錆の程度
を10点満点で評価した。評価は平面部とエリクセン7
mm押し出し加工部の両方について行った。また、評価基
準は下記のものとした。 10点:異常なし 9点:10点と8点の間 8点:僅かに白錆発生 7点〜6点:8点と5点の間 5点:面積の半分に白錆発生 4〜2点:5点と1点の間 1点:全面に白錆発生
【0060】(B)上塗密着性 a)供試体の作製 本発明の樹脂を含有しない防錆コーティング剤を市販の
電気亜鉛めっき鋼板EG−MO材にバーコート#3で付
着量30mg/m2 となるように塗布した後、PMT70
℃となるように乾燥させ、空冷後本発明の樹脂を含有す
る防錆コーティング剤をバーコート#3で付着量が1g
/m2 となるように塗布した後、PMT150℃となる
ように乾燥させた。乾燥後、スーパーラック100(日
本ペイント社製;アクリルメラミン塗料)を乾燥膜厚2
0μmとなるようにバーコートで塗布した後にPMT1
50℃で20分間乾燥させて上塗密着試験板を作製し
た。
【0061】b)1次密着試験 碁盤目:碁盤目1mmのカットを入れた部分のテープ剥離
性を評価し、それを下記の基準で10点満点で評価し
た。 エリクセン7mm:エリクセンで7mmまで押し出し加工し
た部分にテープを貼り、テープ剥離性を同様に評価し
た。 碁盤目+エリクセン7mm:碁盤目1mmのカットを入れた
部分をエリクセンで7mmまで押し出し加工した部分にテ
ープを貼り、テープ剥離性を同様に評価した。評価基準
は下記のものとした。 10点:異常なし 9点:測定した碁盤目のうち剥離した割合が10%以下 8点: 〃 20%以下 7点: 〃 30%以下 6点: 〃 40%以下 5点: 〃 50%以下 4点: 〃 60%以下 3点: 〃 70%以下 2点: 〃 80%以下 1点: 〃 90%以下 0点: 〃 90%より大
【0062】c)2次密着試験 試験板を沸水中に30分浸漬後、1次試験と同様の試験
及び評価を実施した。
【0063】(実施例1)純水にバナジウム酸アンモニ
ウム50g/l、チオ尿素を0.2g/l、リン酸アン
モニウムをリン酸イオンが50g/lとなるように溶か
し、最後に水分散性シリカ「スノーテックス−N」(商
品名;日産化学製)を200g/l添加した後、ディス
パーで30分間攪拌分散させ、pH8.0となるように調
整して第1層の防錆コーティング剤を得た。一方、純水
にポリオレフィン系樹脂「ハイテックS−7024」
(商品名;東邦化学(株)製)とポリウレタン樹脂「ボ
ンタイターHUX−320」(商品名;旭電化(株)
製)を樹脂固形分の合計の濃度が20重量%となるよう
に固形分で1:1(重量比)の割合で混合して添加し、
更にバナジウム酸アンモニウム10g/l、チオ尿素を
0.2g/l、リン酸アンモニウムをリン酸イオンが
2.5g/lとなるように溶かし、最後に水分散性シリ
カ「スノーテックス−N」(商品名;日産化学製)を2
00g/l添加した後、ディスパーで30分間攪拌分散
させ、pH8.0となるように調整して第2層の防錆コー
ティング剤を得た。得られた防錆コーティング剤を、1
次防錆性および上塗密着性について評価するため、上記
評価方法のところで記載したようにして、市販の電気亜
鉛めっき鋼板「EP−MO」(日本テキストパネル社
製、70×150×0.8mm)に塗布し乾燥させた。電
気亜鉛めっき鋼板は、アルカリ脱脂材(「サーフクリー
ナー53」、日本ペイント社製)で脱脂、水洗、乾燥後
に上記評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0064】(実施例2〜15)実施例1において、第
1層の付着量、チオカルボニル基含有化合物の添加量と
種類、リン酸化合物の添加量、スノーテックス−Nの添
加量、バナジウム酸化合物の添加量と種類、さらには第
2層の付着量、チオカルボニル基含有化合物の添加量と
種類、リン酸化合物の添加量、スノーテックス−Nの添
加量、バナジウム酸化合物の添加量と種類を表1に記載
のようにそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして防
錆処理した電気亜鉛めっき鋼板を得、同様にして防錆性
および上塗密着性の評価を行った。評価結果を表2に示
した。
【0065】(比較例1)第1層および第2層の防錆コ
ーティング剤の組成のうち、チオ尿素の添加量を0.1
g/lとした以外は実施例1と同様にして市販の電気亜
鉛めっき鋼板を処理した。これを実施例1と同様に研
磨、脱脂、水洗、乾燥したのち評価した。結果を表2に
示す。
【0066】(比較例2)第1層および第2層のリン酸
化合物の添加量を表1に記載のようにした以外は比較例
1と同様にして市販の電気めっき鋼板を処理した。これ
を実施例1と同様に研磨、脱脂、水洗、乾燥したのち評
価した。結果を表2に示す。
【0067】(比較例3)第1層および第2層のスノー
テックス−Nの添加量を表1に記載のようにした以外は
比較例1と同様にして市販の電気めっき鋼板を処理し
た。これを実施例1と同様に研磨、脱脂、水洗、乾燥し
たのち評価した。結果を表2に示す。
【0068】(比較例4)第1層および第2層のバナジ
ウム酸アンモニウムの添加量を表1に記載のようにした
以外は比較例1と同様にして市販の電気めっき鋼板を処
理した。これを実施例1と同様に研磨、脱脂、水洗、乾
燥したのち評価した。結果を表2に示す。
【0069】(実施例16〜25)実施例1において、
第1層の付着量、チオカルボニル基化合物の添加量と種
類、リン酸化合物の添加量、スノーテックス−Nの添加
量、バナジウム酸化合物の添加量と種類、さらには第2
層の付着量、チオカルボニル基化合物の添加量と種類、
リン酸化合物の添加量、スノーテックス−Nの添加量、
バナジウム酸化合物の添加量、シランカップリング剤の
種類と添加量を表3に記載のようにそれぞれ変えた以外
は実施例1と同様にして防錆処理した電気亜鉛めっき鋼
板を得、同様にして防錆性および上塗密着性の評価を行
った。評価結果を表4に示した。
【0070】(比較例5〜14)第1層のチオカルボニ
ル基含有化合物、リン酸化合物の添加量、第2層のチオ
カルボニル基含有化合物、リン酸化合物の添加量を表5
のとおりとした。評価結果を表6に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明の防錆コーティン
グ層は、従来のクロメート含有水性樹脂系防錆層よりも
優れた防錆性を発揮する。しかも、本発明の防錆コーテ
ィング層中に含まれる成分はいずれも毒性が低く、従っ
て本発明によれば、低公害かつ防錆能に優れたノンクロ
ム防錆コーティング層による防錆処理鋼材を提供するこ
とができる。また、上記防錆処理鋼材は、皮膜が形成さ
れているので、錆の発生を効果的に抑制することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮内 優二郎 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 森下 敦司 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 島倉 俊明 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 山添 勝芳 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系金属被覆鋼、アルミニウム被覆
    鋼、または無被覆鋼に、第一層目としてリン酸化合物を
    PO4 として100重量部含有し、さらに0.2から2
    00重量部のチオカルボニル基含有化合物、0.2から
    100重量部のバナジウム酸化合物、10から300重
    量部の微粒シリカのうちの1種または2種以上を含有す
    る被膜を有し、さらにその上層に2層目として固形分と
    して有機樹脂100重量部、0.1から50重量部のチ
    オカルボニル基含有化合物を含有し、さらにリン酸化合
    物をPO4 として0.01から20重量部、0.1から
    20重量部のバナジウム酸化合物、1から500重量部
    の微粒シリカのうちの1種または2種以上を含有する被
    膜を有することを特徴とする非クロム型表面処理鋼材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328483A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Sambix:Kk 改良された黒色防錆処理金属、黒色防錆皮膜形成用組成物および黒色防錆皮膜形成方法
JP2008223084A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Nippon Steel Corp 熱間プレス用Alめっき鋼板
JP2010053413A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Kansai Paint Co Ltd 表面処理組成物
US7918931B2 (en) 2003-08-15 2011-04-05 Hoden Meimitsu Kako Kenkyusho Co., Ltd. Chromium-free metal surface treatment agent

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