JP2002317279A - 水性塗料を用いた環境負荷の小さな塗装鋼板 - Google Patents

水性塗料を用いた環境負荷の小さな塗装鋼板

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JP2002317279A
JP2002317279A JP2001117784A JP2001117784A JP2002317279A JP 2002317279 A JP2002317279 A JP 2002317279A JP 2001117784 A JP2001117784 A JP 2001117784A JP 2001117784 A JP2001117784 A JP 2001117784A JP 2002317279 A JP2002317279 A JP 2002317279A
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Kiyoshi Takatsu
清 高津
Koji Mori
浩治 森
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境負荷が小さく,加工性,耐食性に優れた
非クロム塗装鋼板を提供する。 【構成】 めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を介して水
性塗料から形成された下塗り塗膜及び上塗り塗膜が設け
られている塗装鋼板である。めっき層は、Al:4〜2
2質量%,Mg:1〜4質量%,Ti:0〜0.1質量
%,B:0〜0.45質量%,残部が実質的にZnの組
成で、Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織に初晶A
l相又は初晶Al相とZn単相が混在した組織をもつ。
化成処理皮膜は、水性樹脂,チタン化合物,フッ化物を
含む有機−無機複合化成皮膜で、チタン化合物がTi換
算付着量で3〜25mg/m2,フッ化物がF換算付着
量で7〜57mg/m2の範囲にある。下塗り塗膜は、
水性樹脂100質量部に対しシリカ系防錆顔料を15〜
60質量部含む水性塗料から形成された膜厚2〜10μ
mの塗膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境負荷が小さな水性
塗料及び耐食性に優れたZn−Al−Mg系合金めっき
鋼板を組み合わせることにより、化成処理から塗装まで
クロム化合物の使用を必要とせず、外装材,内装材,家
電機器用外板,各種器物等として好適な非クロム塗装鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】めっき鋼板を塗装原板とする塗装鋼板
は、塗装前処理としてクロメート処理が通常施されてい
る。ストロンチウムクロメート,カルシウムクロメート
等のクロム系防錆顔料を含む溶剤系塗料を塗装前処理後
の塗装原板に塗布して焼成することにより下塗り塗膜を
形成し、次いで溶剤系の上塗り塗料を塗布焼成してい
る。
【0003】しかし、環境保全が重視される最近では、
クロムに関する規制が大幅に強化される傾向にあり、そ
れに伴ってクロムを使用しない塗装前処理やクロムフリ
ーの下塗り塗料の開発が進められている。塗料自体も、
トルエン,キシレン等の有機溶剤を含む溶剤系塗料で
は、塗料を取り扱う作業者の健康への影響や、引火によ
る火災,爆発等の危険がある。更には、地球温暖化の原
因であるCO2ガスの排出規制等の観点からも好ましく
ない。クロム化合物を使用しない表面処理鋼板に関し、
シランカップリング剤を配合した有機樹脂,タンニン酸
を配合した有機樹脂等で下地処理層を形成することが知
られている。しかし、対象とする下地鋼板は、Al含有
量が0.1〜1.0質量%と比較的少ないZn合金めっ
き層が形成された鋼板である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の亜鉛
めっき鋼板に比較して耐食性が格段に優れた材料とし
て、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板が使用され始め
ている。しかし、クロメート皮膜やクロム系防錆顔料を
含む溶剤系塗料を用いて下塗り塗膜を形成すると、環境
に与える負荷が大きくなる。クロメートフリーの下地処
理をZn−Al−Mg系合金めっき鋼板に施した後で塗
装することも知られているが(特開2001−3181
号公報,特開2001−3182号公報等)、下塗り,
上塗り共に溶剤系の塗料を使用していることから、作業
時の安全性や環境対応の観点から改良の余地がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、Zn−Al−M
g系合金めっき鋼板にチタン化合物,フッ化物,水性有
機樹脂を含む有機−無機複合化成皮膜と水性塗料を組み
合わせることによって、塗膜密着性は勿論、平坦部耐食
性,塗膜疵付き部,切断端面等においても優れた耐食性
を呈し、環境負荷の小さな塗装鋼板を提供することを目
的とする。
【0006】本発明は、その目的を達成するため、めっ
き鋼板の表面に化成処理皮膜を介して水性塗料から形成
された下塗り塗膜及び上塗り塗膜が設けられている塗装
鋼板であり、めっき層が、Al:4〜22質量%,M
g:1〜4質量%,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜
0.45質量%,残部が実質的にZnの組成で、Al/
Zn/Zn2Mgの三元共晶組織に初晶Al相又は初晶
Al相とZn単相が混在した組織をもつ合金めっき層で
あり、化成処理皮膜が水性樹脂,チタン化合物,フッ化
物を含む有機−無機複合化成皮膜で、チタン化合物がT
i換算付着量で3〜25mg/m2,フッ化物がF換算
付着量で7〜57mg/m2の範囲にあり、下塗り塗膜
が、水性樹脂100質量部に対しシリカ系防錆顔料を1
5〜60質量部含む水性塗料から形成された膜厚2〜1
0μmの塗膜であることを特徴とする。
【0007】有機−無機複合化成皮膜は、Zr換算付着
量で0.8〜6.4mg/m2のジルコニウム化合物を
含むことができる。有機−無機複合化成皮膜は、所定組
成に調整された化成処理液を塗装原板に直接塗布し、或
いは化成処理液に塗装原板を浸漬することにより形成さ
れる。有機−無機複合化成皮膜の形成に先立って、付着
量1〜20mg/m2のNi付着層又は付着量0.2〜
3mg/m2のリン酸塩皮膜を形成してもよい。
【0008】
【作用】Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板自体は、本
出願人が開発しためっき鋼板(特開平10−22686
5号公報,特開平10−306357号公報)であり、
Al/Zn/Zn2Mg三元共晶組織のマトリックスに
初晶Al相又は初晶Al相とZn単相が混在した金属組
織をもつめっき層が形成されている。めっき層に含まれ
ているAl,Mgが緻密で難溶性の腐食生成物になり、
外部から侵入してくる腐食性イオンに対するバリアとし
て働く。そのため、平坦部の耐食性は勿論、塗膜疵付き
部や切断端面近傍の塗膜下でも優れた耐食性を呈する。
また、めっき層にTi,Bを添加すると、Zn11Mg2
中間相の生成/成長が抑制され、耐食性や塗装後の外観
が向上する。
【0009】本発明では、Zn−Al−Mg系合金めっ
き層の優れた耐食性を活用し、Zn−Al−Mg系合金
めっき鋼板にチタン化合物,フッ化物,水性有機樹脂を
含む有機−無機複合化成皮膜と水性塗料を組み合わせて
いる。Zn−Al−Mg系合金めっき層をフッ化物含有
化成処理液に接触させると、めっき層の表層に濃化して
いるMg、Alが化成処理液と反応し、化成処理液中の
チタン化合物,フッ化物及び水性有機樹脂が複合され、
難溶性の有機−無機複合化成皮膜がめっき層の表面に形
成される。このような有機−無機複合化成皮膜の生成
は、Mg,Alを含まない従来の亜鉛めっき鋼板からは
窺い知れないことである。
【0010】生成した有機−無機複合化成皮膜は、水性
の有機樹脂を含むことから、下塗りとして水性塗料が塗
布されたとき、下塗り水性樹脂に対する親和性が強く、
水性塗料に対して優れた塗膜密着性を呈する。また、水
性下塗り塗料に含まれているシリカ系防錆顔料の防錆効
果とZn−Al−Mg系合金めっき層の高耐食性が複合
し、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板の加工性,耐食
性を向上させる。しかも、下塗り,上塗り共に水性塗料
を使用しているため、作業者の健康への影響や引火によ
る火災,爆発の危険が少なく、地球温暖化の原因である
CO2ガスの排出規制からも好ましい。
【0011】
【実施の形態】本発明では、Zn−Al−Mg系合金め
っき鋼板を塗装原板に使用している。下地鋼板表面に形
成されるめっき層の組成は、Al:4〜22質量%,M
g:1〜4質量%,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜
0.45質量%,残部が実質的にZnに設定されてい
る。めっき層の組成をこのように調整するとき、Al/
Zn/Zn2Mg三元共晶組織のマトリックスに初晶A
l相又は初晶Al相とZn単相が分散した金属組織にな
る。
【0012】めっき層に含まれるAlは、めっき層の耐
食性を向上させ、めっき層表面を平滑化する作用を呈す
る。また、溶融めっき操業時に溶融めっき浴の表面に多
量のドロスが発生することを防止する作用も呈する。こ
のような作用は、4質量%以上のAl含有で顕著にな
る。しかし、10質量%を超える過剰量のAlが含まれ
ると、めっき層/下地鋼の界面にFe−Al系合金層が
成長しやすく、めっき層の加工性や密着性が低下する。
Fe−Al系合金層の成長は、0.005質量%以上の
Siを添加することによって抑制される。Si無添加の
場合には、5〜7質量%の範囲にAl含有量を設定する
ことが好ましい。
【0013】めっき層中のMgは、緻密で安定な腐食生
成物をめっき層表面に均一に生成させ、めっき層の耐食
性を著しく向上させる作用を呈する。このような作用
は、1質量%以上のMg含有で顕著になる。しかし、4
質量%を超える過剰量のMgが含まれると、Mgの増量
による耐食性向上効果が飽和するばかりでなく、酸化マ
グネシウム系のドロスが溶融めっき浴の表面に発生しや
すくなり、めっき層表面の平滑性が悪く塗装外観を損ね
る原因となる。また、4質量%を超える過剰量のMg含
有は、めっき層の加工性を低下させ、塗装鋼板を加工し
た場合に塗膜割れを発生させる原因ともなる。好ましく
は、Mg含有量を2.5〜3.5質量%の範囲に設定す
る。
【0014】必要に応じめっき層に添加されるTi,B
は、溶融めっき時にZn11Mg2中間相の生成・成長を
抑制する作用を呈する。Zn11Mg2中間相の生成・成
長は、0.002質量%以上のTi及び0.001質量
%以上のB添加で顕著に抑制され、めっき層表面の凹凸
が塗装外観に悪影響を及ぼさない程度に抑えられる。し
かし、Ti含有量が0.1質量%を超えると、めっき層
中にTi−Al系の析出物が成長し、塗装後の外観を損
ねる原因となる凹凸がめっき層表面に生じやすくなる。
B含有量が0.0045質量%を超える場合でも、めっ
き層中にTi−B系又はAl−B系の析出物が成長し、
塗装後の外観を損ねる原因となる凹凸がめっき層表面に
生じやすくなる。
【0015】脱脂,酸洗等によって表面を清浄化した
後、非クロム系化成処理剤を用いて塗装原板が化成処理
される。非クロム系化成処理剤としては、水酸基やアミ
ノ基を含む有機樹脂を溶解した酸性水溶液にチタン化合
物,フッ化物を添加した化成処理液が使用される。チタ
ン化合物には、ヘキサフルオロチタン酸,チタンフッ化
水素酸等があり、フッ素ソースとしても利用される。有
機樹脂としては、具体的にはアミノメチル置換ポリビニ
ルフェノール,エポキシ樹脂,タンニン,フェノールホ
ルムアルデヒド樹脂,ポリビニルアルコール等が挙げら
れる。たとえば、アミノメチル置換ポリビニルフェノー
ルは、4-ビニルフェノールポリマーをホルムアルデヒド
及びメチルエタノールアミンと反応させることによって
得られ、プロポキシプロパノールに溶解した状態で化成
処理液に調合される。
【0016】チタン化合物,フッ化物,有機樹脂の外
に、ヘキサフルオロジルコニウム酸,ヘキサフルオロジ
ルコニウム酸アンモニウム,ジルコニウムフッ化水素酸
等のジルコニウム化合物を化成処理液に添加してもよ
い。塗装原板が化成処理液に接触すると、酸成分によっ
て金属イオンが塗装原板から溶出し、めっき層表面のp
H値が上昇する。その結果、塗装原板からの金属イオ
ン,処理液中のチタン化合物,フッ化物,有機樹脂が複
合され、有機−無機複合化成皮膜がめっき層表面に形成
される。有機樹脂の水酸基,アミノ基が多いほど、塗装
原板から溶出してきた金属イオンや処理液中のチタン化
合物,フッ化物との結合が強固になり、難溶性の有機−
無機複合化成皮膜が形成される。
【0017】非クロム系化成処理剤は、好ましくは乾燥
皮膜量25〜200mg/m2の有機−無機複合化成皮
膜が形成されるように塗装原板に塗布される。有機−無
機複合化成皮膜の耐食性,塗膜密着性等に及ぼす効果
は、25mg/m2以上の乾燥皮膜量で顕著になるが、
200mg/m2を超える乾燥皮膜量では加工性に悪影
響が出てくる。
【0018】有機−無機複合化成皮膜は、Ti換算付着
量で3〜25mg/m2のチタン化合物及びF換算付着
量で7〜57mg/m2のフッ化物を含む。チタン化合
物は、金属素地から溶出してきた金属イオンと共に有機
樹脂と反応し、耐食性及び塗装後加工性の向上に有効な
難溶性の有機−無機複合化成皮膜を形成する。有機−無
機複合化成皮膜の生成は、3mg/m2以上のチタン化
合物で顕著になるが、25mg/m2を超えるとチタン
化合物の効果が飽和するばかりでなく、却って塗装後加
工性が低下する傾向がみられる。
【0019】フッ化物は、化成処理液中でフッ素イオン
に解離し、化成処理液中の酸成分と共に金属素地をエッ
チングし、金属素地に対する有機−無機複合化成皮膜の
密着性を向上させる作用を呈する。エッチング作用は7
mg/m2の以上のフッ化物含有で顕著になるが、57
mg/m2を超える過剰量のフッ化物が含まれると、溶
出金属が増加して有機−無機複合化成皮膜を弱くし、却
って有機−無機複合化成皮膜の密着性を低下させる原因
となる。
【0020】また、化成処理液中のフッ素イオンは、界
面のpH値が上昇した条件下で金属素地から溶出した金
属イオンと難溶性のフッ化物を形成し、有機−無機複合
化成皮膜の一成分となる。更には、チタン化合物及びフ
ッ化物が共存するため、Tiのフッ化物錯体が生成し、
フッ素イオンの解離が抑制される。その結果、塗装原板
と化成処理液との過剰な反応や化成処理液の急激な劣化
が少なくなる。しかも、フッ素イオンがあると、チタン
成分及びフッ化物を同時に化成処理液に導入できる。
【0021】有機−無機複合化成皮膜は、更にZr換算
付着量で0.8〜6.4mg/m2のジルコニウム化合
物を含むことができる。ジルコニウム化合物は、チタン
化合物と同様な作用を呈し、金属素地から溶出してきた
金属イオンと共に有機樹脂と反応し、難溶性の有機−無
機複合化成皮膜を生成する。なかでも、金属素地から溶
出してきた金属イオンにAlが多い場合、ジルコニウム
化合物が存在すると、一層良好な有機−無機複合化成皮
膜が形成される。ジルコニウム化合物の添加効果は0.
8mg/m2以上で顕著になるが、6.4mg/m2を超
える過剰量のジルコニウム化合物は却って塗装後耐食性
に悪影響を及ぼす。
【0022】有機−無機複合化成皮膜の形成に先立っ
て、必要に応じNi付着層を形成してもよい。Ni付着
層は、脱脂後に残存する金属表面の不活性な部分にも作
用し、金属素地に対する有機−無機複合化成皮膜の密着
性を向上させる。Ni付着層は、ニッケル化合物、ケイ
フッ酸を含む硫酸水溶液を用いたスプレー処理等で形成
され、好ましくは1〜20mg/m2の範囲に付着量が
調整される。Ni付着層による密着性向上効果は1mg
/m2以上の付着量で顕著になるが、20mg/m2を超
える付着量では付着量増加に見合った改善がみられな
い。
【0023】有機−無機複合化成皮膜が形成された塗装
原板に下塗り塗料を塗布し、焼成することによって下塗
り塗膜が形成される。下塗り塗料には、アクリルエマル
ジョン,水性エポキシエステル,エポキシ変性アルキッ
ド等の水性樹脂にシリカ系防錆顔料を分散させた塗料が
使用される。生成した有機−無機複合化成皮膜は,水性
の有機樹脂を含むため,下塗りとして塗布される水性塗
料に対する親和性が強く、水性塗料に対して優れた塗膜
密着性を呈する。
【0024】シリカ系防錆顔料は、樹脂固形分100質
量部に対して15〜60質量部の割合で配合される。シ
リカ系防錆顔料配合による防食効果は15質量部以上で
顕著になる。しかし、60質量部を超える過剰量のシリ
カ系防錆顔料は、塗膜の加工性を劣化させる原因とな
る。シリカ系防錆顔料としては、シールデックス(フジ
シリシア化学株式会社製),シールデックスC303(W.R.
Grace社製),SC610,TC710(テイカ株式会社製)等が
使用される。
【0025】下塗り塗膜は、2〜10μmの膜厚に調整
される。2μm未満の膜厚では耐食性が不足し、逆に1
0μmを超える厚膜では効果が飽和するだけでなくコス
ト上昇にもなる。下塗り塗膜の形成後、上塗り塗料が塗
布され、好ましくは膜厚10〜300μmの上塗り塗膜
が形成される。上塗り塗料には、アクリルエマルジョ
ン,水分散ポリエステル等の水性樹脂をベースとする塗
料が使用され、目的に応じて着色剤,樹脂ビーズ,無機
微粒子等、各種添加剤が添加される。
【0026】
【実施例】ゼンジマータイプの連続溶融めっき試験機
で、表1の組成をもつZn−Al−Mg系合金めっき層
が目付け量250g/m2で形成された板厚0.4mm
の溶融めっき鋼板を用意した。
【0027】
【0028】各めっき鋼板を脱脂した後、ヘキサフルオ
ロチタン酸系の非クロム系化成処理液(Bonderite 145
3:Henkel社製)を表2の目標付着量で塗布し、乾燥す
ることにより有機−無機複合化成皮膜を形成した。な
お、チタン化合物,フッ化物,ジルコニウム化合物の付
着量は、それぞれTi換算付着量,F換算付着量,Zr
換算付着量で表した。
【0029】
【0030】次いで、シリカ系防錆顔料(SHIELDEX:富
士シリシア株式会社製)を配合した水性下塗り塗料(表
3)を化成処理した塗装原板に塗布し、到達板温215
℃で40秒焼き付けることにより、下塗り塗膜(表4)
を形成した。
【0031】
【0032】
【0033】下塗り塗膜の上に更に上塗り塗膜(表5)
を塗布し、到達板温215℃で50秒焼き付けることに
より、乾燥膜厚15μmの上塗り塗膜を形成した。
【0034】
【0035】得られた核塗装鋼板から試験片を切り出
し、加工性試験,耐湿性試験,耐食性試験に供した。比
較のため、非クロム系化成処理皮膜の付着量,下塗り塗
膜のシリカ系防錆顔料含有量,めっき層の組成等が本発
明で規定した条件を満足しない塗装鋼板についても、同
様な試験により加工性,耐食性を調査した。加工性試験
では,同じ板厚の2枚の鋼板を折り曲げ部に挟んで塗装
鋼板を180度折り曲げた後、屈曲部に粘着テープを貼
り付けて引き剥がすことにより塗膜の剥離状況を観察し
た(2t折り曲げ試験)。観察結果から、剥離が検出さ
れない塗膜を5点、全面剥離した塗膜を0点とし、0〜
5の6段階で塗膜密着性を評価した。一般に4点以上が
密着性良好な塗膜として扱われている。耐食性試験で
は、上塗り塗膜側から下地鋼板に達する切断端面をもつ
試験片を使用し、JIS Z2371に準拠して塩水噴霧を25
0時間継続した後、切断端面の腐食発生状況を調査し
た。切断端面からの最大塗膜膨れ幅を測定し、3mm以
下の膨れ幅を○,3mmを超える膨れ幅を×として耐食
性を評価した。
【0036】表1の調査結果にみられるように、本発明
に従って有機−無機複合化成皮膜,下塗り塗膜,上塗り
塗膜を形成した試験番号1〜33の塗装鋼板は,何れも
加工性,耐湿性,耐食性に優れていた。これに対し,有
機−無機複合化成皮膜のチタン化合物及びフッ化物が少
ない試験番号35や、カルシウムイオン交換シリカ防錆
顔料の配合量が少ない試験番号35は、耐食性に劣って
いた。また、過剰なカルシウムイオン交換シリカ防錆顔
料を下塗り塗膜に分散させた試験番号36は加工性に劣
り、下塗り塗膜の膜厚が不足する試験番号37は耐食性
が不足し、有機−無機複合化成皮膜のチタン化合物及び
フッ化物が過剰な試験番号38は加工性に劣っていた。
めっき層のMgが少ない試験番号39は耐食性に劣り、
めっき層のAlが過剰な試験番号40は加工性に劣り、
めっき層のAlが少ない試験番号41は加工性に劣って
いた。
【0037】
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の塗装鋼
板は、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板を塗装原板と
し、チタン化合物,フッ化物を含む有機−無機複合化成
皮膜を介して水性下塗り塗膜及び水性上塗り塗膜を設け
ているので、クロメート処理に匹敵する加工性,耐食性
を備え、クロムフリーであることから環境負荷の小さな
塗装鋼板として使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/06 C23C 2/06 2/36 2/36 22/07 22/07 22/34 22/34 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE27 BB73Y BB87X BB91X BB92X BB92Y CA02 CA13 CA33 CA38 DA03 DA06 DB05 DB07 DC01 DC18 EA06 EA10 EB19 EB22 EB32 EB33 EB36 EB56 EC01 EC08 EC15 EC54 4F100 AA05C AB03A AB09B AB10B AB16E AB18B AB31B AK01C AK01D AK25 BA05 BA10D BA10E CA14D CC00D CC00E EH71B EJ68C GB08 GB33 GB48 JB02 JB09C JB09D JL01 YY00D 4K026 AA02 AA07 AA13 BA03 BA08 BB08 CA16 CA18 CA23 CA28 CA39 DA02 DA03 DA11 EB02 EB08 4K027 AA02 AA05 AA22 AB05 AB32 AB44 4K044 AA02 AB02 BA10 BA12 BA14 BA17 BA20 BA21 BB04 BC02 CA11 CA16 CA53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を介し
    て水性塗料から形成された下塗り塗膜及び上塗り塗膜が
    設けられている塗装鋼板であり、 めっき層が、Al:4〜22質量%,Mg:1〜4質量
    %,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜0.45質量
    %,残部が実質的にZnの組成で、Al/Zn/Zn2
    Mgの三元共晶組織に初晶Al相又は初晶Al相とZn
    単相が混在した組織をもつ合金めっき層であり、 化成処理皮膜が水性樹脂,チタン化合物,フッ化物を含
    む有機−無機複合化成皮膜で、チタン化合物がTi換算
    付着量で3〜25mg/m2,フッ化物がF換算付着量
    で7〜57mg/m2の範囲にあり、 下塗り塗膜が、水性樹脂100質量部に対しシリカ系防
    錆顔料を15〜60質量部含む水性塗料から形成された
    膜厚2〜10μmの塗膜であることを特徴とする水性塗
    料を用いた環境負荷の小さな塗装鋼板。
  2. 【請求項2】 有機−無機複合化成皮膜がZr換算付着
    量で0.8〜6.4mg/m2のジルコニウム化合物を
    含む請求項1記載の塗装鋼板。
  3. 【請求項3】 付着量1〜20mg/m2のNi付着層
    又は付着量0.2〜3mg/m2のリン酸塩皮膜を介し
    て有機−無機複合化成皮膜が形成されている請求項1又
    は2記載の塗装鋼板。
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