JP5225212B2 - 塗装鋼板およびそれを用いた外装部材 - Google Patents
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Description
〔めっき鋼板〕
塗装原板となるめっき鋼板としては、亜鉛系めっき鋼板が採用される。例えば、従来、塗装原板として一般的に用いられている亜鉛めっき鋼板を適用することができる。具体的にはJIS G3302:2007に規定される溶融亜鉛めっき鋼板(鋼帯を含む)、およびJIS G3313:2007に規定される電気亜鉛めっき鋼板(鋼帯を含む)を適用することができる。また、質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなる組成の合金めっき層を有するめっき鋼板を適用することができる。この場合、特に高耐食性の亜鉛系めっき鋼板として実用化されているZn−3〜22%Al−2〜10%Mg系合金めっき鋼板に適用すると、その耐食性を一層向上させることができる。めっき付着量は鋼板片面あたり20〜200g/m2程度の範囲とすればよい。
めっき鋼板を塗装原板として使用する際には、多くの場合、下地処理として化成処理が施される。以前はクロメート処理が多用されていたが、最近では環境に配慮してクロムフリー処理が主流となっている。ただし、クロムフリー処理の場合、クロメート処理と同等以上の耐食性を安定して確保することは必ずしも容易ではなく、その意味でも後述の防錆顔料の配合が重要となる。クロムフリー処理としては、例えばチタン化合物、ジルコニウム化合物等と、有機樹脂を溶解させた水溶液を用いて有機−無機複合皮膜を形成する処理、アミノシランやエポキシシランを始めとするカップリング剤とポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリフェノールなどを始めとする水溶性またはエマルジョン樹脂等からなる処理等、種々のものが知られている。本発明では、これら公知の手法で形成した化成処理層を有するものが利用できる。特にチタン化合物およびフッ化物を含有する無機−有機複合皮膜型のクロムフリー化成処理層を有するものが好適である。
本発明では、下塗り塗膜(プライマー)中に顔料として第二リン酸ニッケル(NiHPO4)、第三リン酸ニッケル(Ni3(PO4)2)の1種または2種を合計15〜50質量%の範囲で配合させる。これらの合計含有量が15質量%未満である場合は、エッジクリープの顕著な抑制効果を安定して得ることが難しい。20質量%以上とすることがより好ましい。下塗り塗膜の厚さが2〜5μm程度と比較的薄い場合は上記顔料の合計含有量を25質量%以上とすることがより効果的である。一方、50質量%を超えて多量に含有させても効果は飽和し不経済となり、また、塗布性や塗膜密着性を損なう要因となる。第二リン酸ニッケルと第三リン酸ニッケルの合計含有量は40質量%以下とすることがより好ましく、35質量%以下に管理しても構わない。なお、第二リン酸ニッケルと第三リン酸ニッケルの効果を比較すると、第三リン酸ニッケルの方がより効果が大きい。したがって、第三リン酸ニッケルを採用したものがより好ましい対象となる。配合させる顔料粉末は例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いた体積平均粒子径D50において0.1〜10μm程度とすればよい。なお、リン酸ニッケル以外の顔料を複合して配合させても良いが、その場合は全ての顔料の合計量を50質量%以下とすることがより好ましい。
上塗り塗膜は、従来から塗装鋼板に使用されている種々のものが適用対象となる。上塗り塗膜の乾燥後の平均厚さは10〜40μm程度である。塗装方法も従来一般的な手法が採用できる。
防錆顔料として、第二リン酸マグネシウム(MgHPO4)、第三リン酸ニッケル(Ni3(PO4)2)、第三リン酸亜鉛(Zn3(PO4)2)を用意した。第二リン酸マグネシウムと第三リン酸ニッケルはそれぞれD50が2〜3μmの塊状である。第三リン酸亜鉛はD50が10μm程度の鱗片状であるが、鱗片状粒子の厚さが2〜3μmと薄いため塗装性に問題はなかった。これらの顔料のいずれか1種類を含有するエポキシ系塗料を調合し、各塗料について遊離塗膜を作製した。乾燥塗膜中における防錆顔料の含有量はいずれも30質量%とした。塗膜厚さは約5μmである。
試験液として以下の2種類を用意した。
〔中性に近い溶液〕
Cl-濃度:200mg/L、SO4 2-濃度:200mg/L、pH実測値:5.9
〔酸性溶液〕
Cl-濃度:100mg/L、SO4 2-濃度:240mg/L、NO3 -濃度:93g/mL、pH実測値:2.3
(化成処理);ヘキサフルオロチタン酸:55g/L、ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/L、アミノメチル置換ポリビニルフェノール:72g/Lを含有する塗布型クロムフリー化成処理液をめっき層表面に常温で塗布し、水洗することなく100℃で乾燥させた。
Ti換算付着量:10mg/m2、Zr換算付着量:2.5mg/m2、F換算付着量:20mg/m2、ポリビニルフェノール換算付着量:40mg/m2
上記の塗装鋼板から採取した板材に2T曲げを施し、曲げ加工部の外側表面についてJIS Z1522に規定されるセロハン粘着テープを貼付した後、剥がす方法で塗膜剥離試験を行い、曲げ加工部の外側表面の面積に占める塗膜剥離が生じた面積の割合を測定した。その結果、いずれの塗装鋼板も塗膜剥離面積率が5%未満であり、塗膜密着性は良好であることが確認された。
各塗装鋼板から切断端面を有する耐食性試験片を作製し、促進試験(CCT)に供した。切断端面には鋼素地とめっき層が露出している。耐食性試験片の裏面は常温乾燥型のポリエステル系樹脂ベースのシール塗料によりシールした。各試験片について、「塩水噴霧(5質量%塩水、pH=7、35℃×1h)→乾燥(50℃×4h)→湿潤(相対湿度98%、50℃×3h)」を1サイクルとする促進試験を30サイクル(240時間)または125サイクル(1000時間)実施した。
CCT240時間の結果を表2に、CCT1000時間の結果を表3に示す。
2 めっき層
3 化成処理皮膜
4 下塗り塗膜
5 上塗り塗膜
6 切断端面
10 腐食箇所
20 エッジクリープ
30 めっき層の腐食先端部
Claims (4)
- 亜鉛系めっき鋼板のめっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料として、第二リン酸ニッケル、第三リン酸ニッケルの1種または2種が合計15〜50質量%含有されており、当該下塗り塗膜の平均厚さが2μm以上であることを特徴とする塗装鋼板。
- 前記亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板、または質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板である請求項1に記載の塗装鋼板。
- 下塗り塗膜の平均厚さが2〜25μmである請求項1または2に記載の塗装鋼板。
- 請求項1または2に記載の塗装鋼板を素材として成形され、金属が露出した切断端面を持つ外装部材。
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