JP2011000745A - 塗装鋼板およびそれを用いた外装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛系めっき鋼板を塗装原板とする塗装鋼板において、クロムイオンの溶出による環境問題を生じること無く、切断端面でのエッジクリープを効果的に抑制する。
【解決手段】亜鉛系めっき鋼板のめっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料として、第二リン酸ニッケル、第三リン酸ニッケルの1種または2種が合計15〜50質量%含有されており、当該下塗り塗膜の平均厚さが2μm以上であることを特徴とする塗装鋼板。前記亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、または質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板が挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板であって、切断端面や曲げ加工部などの金属露出部における耐食性、特に屋外暴露特性を改善した塗装鋼板、およびそれを用いた外装部材に関する。
塗装鋼板の原板としては従来から耐食性の良好な亜鉛めっき鋼板が多用されている。しかし、塗装鋼板の切断端面には鋼素地が露出し、その部位での腐食が問題となることがある。
切断端面における鋼素地の腐食に関しては、亜鉛めっき層の犠牲防食作用、並びにめっき層に由来する保護性の腐食生成物および塗膜中に配合された防錆顔料に由来するリン酸塩成分などによる保護皮膜によって腐食の進行が抑制される。特に最近では耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板(例えばZn−Al−Mg系合金めっき鋼板)が開発され、その腐食生成物による優れた保護作用によって切断端面における耐赤錆発生性は従来より大きく改善された。
切断端面からの金属の腐食は、クロメート系の化成処理層を形成させたり、塗膜中にクロム酸系の防錆顔料を含有させたりすることによって効果的に抑制することができる。しかし、環境問題から最近ではクロムイオンの溶出が生じない材料が求められている。
特許文献1、2には、亜鉛系めっき鋼板やZn−Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板について、曲げ加工部あるいは切断端面の金属露出部における耐食性を改善するために塗膜中に変性シリカ、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの防錆顔料を配合させる手法が開示されている。この場合、化成処理皮膜や塗膜にクロム成分を含まないので、環境には優しい。
特開2002−187234号公報 特開2005−169765号公報
塗装鋼板の切断端面には、鋼素地の他に、めっき層も露出している。めっき層は、切断端面の部分から腐食が進行していく。めっき層の腐食に伴って切断端面近傍では塗膜に膨れが生じる。この切断端面での塗膜膨れの現象は「エッジクリープ」と呼ばれ、施工後の建材の外観を損ねる要因となり好ましくない。
図1に、塗装鋼板の切断端面近傍における断面構造を模式的に示す。鋼素地1の上に亜鉛系のめっき層2が形成され、その上に化成処理皮膜3を介して下塗り塗膜4、上塗り塗膜5が形成されている。めっき層2は、切断端面6の側から腐食して腐食部分10を形成する。腐食部分10は腐食生成物により体積が膨張する。この膨張による「膨れ」が上塗り塗膜5の表面まで伝わり、エッジクリープ20が生じてしまう。切断端面6からエッジクリープ20の最前線までの距離xを「エッジクリープ長さ」と呼ぶ。めっき層2の腐食の進行に伴ってエッジクリープ長さは増大する。
特許文献1、2の技術によれば、屋外で雨水に曝された曲げ加工部のクラック発生箇所や切断端面において、塗膜に配合された防錆顔料の成分が溶出し、これらの溶出成分とめっき層から溶出したAlイオン、Znイオンなどが反応して難溶性腐食生成物を形成する。この腐食生成物はめっき層および鋼素地が露出している部分に保護皮膜を形成し、耐食性が向上する。ところが発明者らの詳細な調査によれば、特許文献1、2に開示の塗装鋼板では、エッジクリープの進行に関し、改善の余地があることがわかった。
本発明はこのような現状に鑑み、亜鉛系めっき鋼板を塗装原板とする塗装鋼板において、クロムイオンの溶出による環境問題を生じること無く、切断端面でのエッジクリープを効果的に抑制する手法を提供しようというものである。
上記目的は、亜鉛系めっき鋼板のめっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料として、第二リン酸ニッケル、第三リン酸ニッケルの1種または2種が合計15〜50質量%含有されており、当該下塗り塗膜の平均厚さが2μm以上好ましくは2〜25μmであることを特徴とする塗装鋼板によって達成される。前記亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、または質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板が挙げられる。
また本発明では、上記の塗装鋼板を素材として成形され、金属が露出した切断端面を持つ外装部材が提供される。外装部材は建築物の屋外環境に曝される部位を構成する部材であり、代表的には屋根部材が挙げられる。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板の表面にクロムフリーの化成処理皮膜および塗膜を形成した塗装鋼板において、切断端面の金属露出部で問題となっていたエッジクリープの発生量を顕著に抑制することが可能となる。
塗装鋼板の切断端面近傍における断面構造を模式的に示した図。
本発明では、下塗り塗膜の中に所定量の第二リン酸ニッケル(NiHPO4)、第三リン酸ニッケル(Ni3(PO4)2)の1種以上を防錆顔料として存在させている。発明者らは詳細な検討の結果、リン酸ニッケルを使用した場合、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛などの防錆顔料と比較し、エッジクリープの成長が抑制されることを見出した。またカルシウムシリケート等の変性シリカ顔料と比べ、リン酸ニッケルは、粒子が多孔性を有していないことから下塗り塗料中への均一な混合が容易である。カルシウムシリケートはカルボン酸等の酸化性官能基を有する塗料に添加するとゲル化を引き起こし、塗装することができなくなる場合がある。これに対しリン酸ニッケルは塗料種に制限されることなく防錆顔料として添加できる。リン酸ニッケル顔料のエッジクリープの抑制効果はカルシウムシリケート顔料を上回る。
亜鉛系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板に、塗膜の防錆顔料によって耐食性を付与する場合、防錆顔料としては鋼素地やめっき層の主要構成元素であるFe、Zn、Alよりも卑な金属を成分とする物質を使用するのが通常である。例えばNiのような金属を防錆顔料の成分に用いると、Fe、Zn、Alよりも貴であることから、防食とは逆の作用、すなわちアノード反応の促進を招くことが懸念される。したがって、そのような金属を成分に持つ防錆顔料を塗料中に多量に含有させるような配合設計は、いわば非常識であると考えることもできる。ところが発明者らの研究によれば、エッジクリープの抑制に関し、リン酸ニッケルが極めて有効に作用することが明らかとなった。
リン酸ニッケルがエッジクリープの抑制に有効に作用するメカニズムについては現時点で必ずしも明確ではないが、リン酸ニッケルはめっき層の腐食先端部(図1の符号30)付近において活発に溶出し、これがめっき層からのZnの溶出速度を緩和しているのではないかと推測される。すなわち、めっき層の腐食先端部(最前線)では、めっき層の金属(主としてZn)が、外部から侵入してきた水分(酸素)と反応して溶出し、水素イオンが発生する。このため腐食先端部ではpHが低下している。金属Znは低pH下で溶出しやすいことから、めっき層の腐食は更に進行していく。ところが、後述の実験結果に示されるように、リン酸ニッケルは中性域ではほとんど溶出しないが、低pHになると溶出しやすくなる。めっき層の腐食先端部付近において、下塗り塗膜は化成処理皮膜を通して低pHの溶液と接触しているので、防錆顔料として配合されたリン酸ニッケルが腐食先端部に溶出する。このとき、リン酸ニッケルの溶出成分によって保護性の高い腐食生成物が形成され、めっき金属(Zn等)の腐食速度が緩慢になるのではないかと考えられる。
以下、本発明を特定する事項について説明する。
〔めっき鋼板〕
塗装原板となるめっき鋼板としては、亜鉛系めっき鋼板が採用される。例えば、従来、塗装原板として一般的に用いられている亜鉛めっき鋼板を適用することができる。具体的にはJIS G3302:2007に規定される溶融亜鉛めっき鋼板(鋼帯を含む)、およびJIS G3313:2007に規定される電気亜鉛めっき鋼板(鋼帯を含む)を適用することができる。また、質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなる組成の合金めっき層を有するめっき鋼板を適用することができる。この場合、特に高耐食性の亜鉛系めっき鋼板として実用化されているZn−3〜22%Al−2〜10%Mg系合金めっき鋼板に適用すると、その耐食性を一層向上させることができる。めっき付着量は鋼板片面あたり20〜200g/m2程度の範囲とすればよい。
〔化成処理皮膜〕
めっき鋼板を塗装原板として使用する際には、多くの場合、下地処理として化成処理が施される。以前はクロメート処理が多用されていたが、最近では環境に配慮してクロムフリー処理が主流となっている。ただし、クロムフリー処理の場合、クロメート処理と同等以上の耐食性を安定して確保することは必ずしも容易ではなく、その意味でも後述の防錆顔料の配合が重要となる。クロムフリー処理としては、例えばチタン化合物、ジルコニウム化合物等と、有機樹脂を溶解させた水溶液を用いて有機−無機複合皮膜を形成する処理、アミノシランやエポキシシランを始めとするカップリング剤とポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリフェノールなどを始めとする水溶性またはエマルジョン樹脂等からなる処理等、種々のものが知られている。本発明では、これら公知の手法で形成した化成処理層を有するものが利用できる。特にチタン化合物およびフッ化物を含有する無機−有機複合皮膜型のクロムフリー化成処理層を有するものが好適である。
〔下塗り塗膜〕
本発明では、下塗り塗膜(プライマー)中に顔料として第二リン酸ニッケル(NiHPO4)、第三リン酸ニッケル(Ni3(PO4)2)の1種または2種を合計15〜50質量%の範囲で配合させる。これらの合計含有量が15質量%未満である場合は、エッジクリープの顕著な抑制効果を安定して得ることが難しい。20質量%以上とすることがより好ましい。下塗り塗膜の厚さが2〜5μm程度と比較的薄い場合は上記顔料の合計含有量を25質量%以上とすることがより効果的である。一方、50質量%を超えて多量に含有させても効果は飽和し不経済となり、また、塗布性や塗膜密着性を損なう要因となる。第二リン酸ニッケルと第三リン酸ニッケルの合計含有量は40質量%以下とすることがより好ましく、35質量%以下に管理しても構わない。なお、第二リン酸ニッケルと第三リン酸ニッケルの効果を比較すると、第三リン酸ニッケルの方がより効果が大きい。したがって、第三リン酸ニッケルを採用したものがより好ましい対象となる。配合させる顔料粉末は例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いた体積平均粒子径D50において0.1〜10μm程度とすればよい。なお、リン酸ニッケル以外の顔料を複合して配合させても良いが、その場合は全ての顔料の合計量を50質量%以下とすることがより好ましい。
下塗り塗膜用の塗料としては、従来のプライマーと同様の有機溶媒および樹脂成分を主体とするものを調合すれば良く、特にこだわる必要はない。塗装方法も従来一般的な手法が採用できる。下塗り塗膜の乾燥後の平均厚さは少なくとも2μmを確保する。それより薄いとリン酸ニッケル成分の絶対量が少なくなって効果が低減しやすい。ただし、25μmを超えるような厚い下塗り塗膜を形成させても効果は飽和する。したがって25μm以下の平均厚さとすることがコスト的に好ましい。
〔上塗り塗膜〕
上塗り塗膜は、従来から塗装鋼板に使用されている種々のものが適用対象となる。上塗り塗膜の乾燥後の平均厚さは10〜40μm程度である。塗装方法も従来一般的な手法が採用できる。
防錆顔料を含有する遊離塗膜を用いて、中性に近い溶液、および酸性溶液に浸漬したときの塗膜からの顔料成分の溶出量を調べた。
防錆顔料として、第二リン酸マグネシウム(MgHPO4)、第三リン酸ニッケル(Ni3(PO4)2)、第三リン酸亜鉛(Zn3(PO4)2)を用意した。第二リン酸マグネシウムと第三リン酸ニッケルはそれぞれD50が2〜3μmの塊状である。第三リン酸亜鉛はD50が10μm程度の鱗片状であるが、鱗片状粒子の厚さが2〜3μmと薄いため塗装性に問題はなかった。これらの顔料のいずれか1種類を含有するエポキシ系塗料を調合し、各塗料について遊離塗膜を作製した。乾燥塗膜中における防錆顔料の含有量はいずれも30質量%とした。塗膜厚さは約5μmである。
試験液として以下の2種類を用意した。
〔中性に近い溶液〕
Cl-濃度:200mg/L、SO4 2-濃度:200mg/L、pH実測値:5.9
〔酸性溶液〕
Cl-濃度:100mg/L、SO4 2-濃度:240mg/L、NO3 -濃度:93g/mL、pH実測値:2.3
各試験液1L(リットル)中に、遊離塗膜200mgを入れ、液を60℃に維持した状態で28日間保持した。保持後の液を分析し、顔料の成分元素の濃度(溶出量)を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2011000745
表1からわかるように、第二リン酸マグネシウムは中性に近い溶液と酸性溶液とで同等の溶出量であった。これに対し、第三リン酸ニッケルおよび第三リン酸亜鉛はともに、中性に近い溶液ではほとんど溶出しないが、酸性溶液では多量の溶出がみられた。後述のように、第三リン酸ニッケルは、第三リン酸亜鉛よりもエッジクリープ抑制効果が大きいが、これは、低pHの腐食先端部付近で迅速に溶出したリン酸ニッケルの溶出成分は、リン酸亜鉛の溶出成分に比べ、めっき金属の腐食を抑制する保護性の高い腐食生成物を形成しやすいためではないかと推察される。
表2、表3に示す各種の防錆顔料を含有させた下塗り塗料を使用して塗装鋼板を作製し、曲げ加工部での塗膜密着性、および促進試験(CCT)240時間、1000時間におけるエッジクリープ長さを調べた。
めっき鋼板として、板厚0.4mmの普通鋼冷延焼鈍鋼板の表面にめっき付着量30g/m2の電気亜鉛めっきを施したものを用意した。その亜鉛めっき層の表面に以下の方法で化成処理を施し、クロムフリーの化成処理皮膜を形成した。
(化成処理);ヘキサフルオロチタン酸:55g/L、ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/L、アミノメチル置換ポリビニルフェノール:72g/Lを含有する塗布型クロムフリー化成処理液をめっき層表面に常温で塗布し、水洗することなく100℃で乾燥させた。
Ti換算付着量:10mg/m2、Zr換算付着量:2.5mg/m2、F換算付着量:20mg/m2、ポリビニルフェノール換算付着量:40mg/m2
下塗り塗料は、エポキシ樹脂をベースとし、表2、表3に示す各種の防錆顔料をいずれも乾燥塗膜において30質量%となるように混合したものを使用した。この塗料をバーコーター法により化成処理皮膜の上に塗布し、200℃で乾燥・焼付けを行って下塗り塗膜を形成させた。乾燥後の下塗り塗膜の片面あたりの平均厚さはいずれも5μmとなるようにした。なお、本発明例に使用した第三リン酸ニッケル、第二リン酸ニッケルはいずれも平均粒子径D50が約2〜3μmの塊状粒子の粉末である。
上塗り塗料は、一般的なポリエステル樹脂系のものを使用した。この塗料をバーコーター法により下塗り塗膜の上に塗布し、215℃で乾燥・焼付けを行って上塗り塗膜を形成させ、塗装鋼板を得た。乾燥後の上塗り塗膜の片面あたりの平均厚さはいずれも12μmとなるようにした。ここでは塗膜下の腐食を観察しやすいようにクリア塗膜とした。
(塗膜密着性)
上記の塗装鋼板から採取した板材に2T曲げを施し、曲げ加工部の外側表面についてJIS Z1522に規定されるセロハン粘着テープを貼付した後、剥がす方法で塗膜剥離試験を行い、曲げ加工部の外側表面の面積に占める塗膜剥離が生じた面積の割合を測定した。その結果、いずれの塗装鋼板も塗膜剥離面積率が5%未満であり、塗膜密着性は良好であることが確認された。
(エッジクリープ長さ)
各塗装鋼板から切断端面を有する耐食性試験片を作製し、促進試験(CCT)に供した。切断端面には鋼素地とめっき層が露出している。耐食性試験片の裏面は常温乾燥型のポリエステル系樹脂ベースのシール塗料によりシールした。各試験片について、「塩水噴霧(5質量%塩水、pH=7、35℃×1h)→乾燥(50℃×4h)→湿潤(相対湿度98%、50℃×3h)」を1サイクルとする促進試験を30サイクル(240時間)または125サイクル(1000時間)実施した。
促進試験後の試験片の切断端面部についてエッジクリープ長さ(図1のxに相当する長さ)を測定した。切断端面の全域を調べて、最もエッジクリープ長さの長い部分の値を当該試験片のエッジクリープ長さの成績値として採用し、評価した。
CCT240時間の結果を表2に、CCT1000時間の結果を表3に示す。
Figure 2011000745
Figure 2011000745
表2、表3からわかるように、リン酸ニッケルを防錆顔料に用いた本発明例のものは、CCT240時間において他の防錆顔料を用いたものより優れた耐エッジクリープ性を有し、CCT1000時間になると他の防錆顔料との差が一層明瞭となった。すなわち本発明例の塗装鋼板は、特に長期間の使用において優れた耐エッジクリープ性を呈することが確認された。なかでも第三リン酸ニッケルを含有させたものは一層優れた効果を呈する。塗膜密着性についても問題ない。
防錆顔料として実施例2で使用したものと同種の第三リン酸ニッケル顔料および第二リン酸ニッケル顔料を用意し、下塗り塗膜中における防錆顔料の含有量を種々変化させた塗装鋼板を作製した。その際、第三リン酸ニッケル顔料と第二リン酸ニッケル顔料を配合比1:1で複合添加したものも作製した。下塗り塗膜中の防錆顔料含有量を変化させたことを除き、実施例2と同様の条件で実験を行った。加工部の塗膜密着性はいずれも良好であった。表4にCCT1000時間におけるエッジクリープ長さの測定結果を示す。
Figure 2011000745
第三リン酸ニッケル、第二リン酸ニッケルとも、下塗り塗膜中の含有量が15質量%以上のものにおいて顕著なエッジクリープ抑制効果が認められた。
防錆顔料として実施例2で使用したものと同種の第三リン酸ニッケル顔料および第二リン酸ニッケル顔料を用意し、下塗り塗膜の乾燥後の平均厚さを種々変化させた塗装鋼板を作製した。その際、第三リン酸ニッケル顔料と第二リン酸ニッケル顔料を配合比1:1で複合添加したものも作製した。下塗り塗膜の平均厚さを変化させたことを除き、実施例2と同様の条件で実験を行った。加工部の塗膜密着性はいずれも良好であった。表5にCCT1000時間におけるエッジクリープ長さの測定結果を示す。
Figure 2011000745
第三リン酸ニッケル、第二リン酸ニッケルとも、下塗り塗膜の平均厚さを2μm以上とすることにより顕著なエッジクリープ抑制効果が認められた。
1 鋼素地
2 めっき層
3 化成処理皮膜
4 下塗り塗膜
5 上塗り塗膜
6 切断端面
10 腐食箇所
20 エッジクリープ
30 めっき層の腐食先端部

Claims (4)

  1. 亜鉛系めっき鋼板のめっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料として、第二リン酸ニッケル、第三リン酸ニッケルの1種または2種が合計15〜50質量%含有されており、当該下塗り塗膜の平均厚さが2μm以上であることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 前記亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板、または質量%でAl:22%以下、Mg:10%以下、Si:2%以下、B:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種以上を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板である請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 下塗り塗膜の平均厚さが2〜25μmである請求項1または2に記載の塗装鋼板。
  4. 請求項1または2に記載の塗装鋼板を素材として成形され、金属が露出した切断端面を持つ外装部材。
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