JP2011168855A - 端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 平坦部や塗膜傷付き部などにおける優れた耐食性と、切断端面部や塗膜傷付き部における優れた耐食性の両方を兼ね備える塩ビ塗装鋼板を提供する。
【解決手段】 金属板として特定のZn−Al−Mg系のめっき層又はZn−Al−Mg(−Ti−B−Si)系のめっき層を有する鋼板を使用し、その上に化成処理皮膜、下塗り塗膜及び塩ビ塗膜を設けると、切断端部における耐食性と、塗膜傷付き部における耐食性がバランスよく優れているという従来技術では二律背反の性質をバランス良く兼ね備えた塗装金属板が得られる。
【解決手段】 金属板として特定のZn−Al−Mg系のめっき層又はZn−Al−Mg(−Ti−B−Si)系のめっき層を有する鋼板を使用し、その上に化成処理皮膜、下塗り塗膜及び塩ビ塗膜を設けると、切断端部における耐食性と、塗膜傷付き部における耐食性がバランスよく優れているという従来技術では二律背反の性質をバランス良く兼ね備えた塗装金属板が得られる。
Description
本発明は、耐食性に優れた塗装鋼板に関する。より詳しくは、Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなるZn−Al−Mg系のめっき層あるいはAl:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%、Ti:0.002〜0.1質量%、B:0.001〜0.45質量%、Siが0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板に関する。
従来から建物の内・外装建材用の塗装金属板として溶融亜鉛めっき鋼板を原板として用いた塩ビ鋼板が使用されている。塩ビ鋼板は、塩ビ塗膜が持つ厚膜(100〜300μm)で延性に優れること及び耐薬品性に優れることから、平坦部はもとより加工部においても長期耐久性に優れ、特に近年大気汚染の影響による酸性雨や腐食イオンの代表的なCl−イオンに対しても、優れた耐食性を示している。しかし、切断端面部及び塗膜傷付き部では、塩ビ塗膜の効果は及ばず、露出した亜鉛めっき層や鉄地が水分やCl−イオン等により腐食する。特に亜鉛めっき層や鉄地の露出の多い切断端面部では、亜鉛めっき層の腐食が端面部から内部に向かって進行し、体積膨張したZn系の腐食物により塗膜を押し上げられ、その結果外観上、塗膜ふくれ(エッジクリープ)として確認される。
そこで、このように切断端面部及び塗膜傷付き部の耐食性に問題のある従来の溶融亜鉛めっき鋼板を原板とする塩ビ鋼板に代わって、塗装原板として、より優れた耐食性を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板を使用する場合もある。即ち、Zn−Al系めっき層におけるAlの含有量を増加させると、一般的なカラー鋼板の場合、平坦部や塗膜傷付き部などの耐食性を向上させることができる。しかしながら、溶融Zn−Alめっき鋼板のAlの含有量を増加させると、平坦部や塗膜傷付き部などの耐食性を向上させることはできるが、切断端面部の耐食性については必ずしも満足できるものではない。塗装溶融Zn−55%Alめっき鋼板を原板とした塩ビ鋼板の場合、切断端面部においては、Zn−Alめっき層のZn−rich相が選択に腐食されて腐食生成物が生じ、この腐食生成物により塗膜が持ち上げられて、溶融亜鉛めっき鋼板を原板とした場合以上に、エッジクリープと称する塗膜ふくれや塗膜の剥離が生じて、耐食性が低下する。また、塗膜傷付き部でも塩ビ鋼板の場合は同様な腐食が起こり、耐食性が低下するという問題がある。
これに対して、塗装溶融Zn−55%Alめっき鋼板の切断端面部の耐食性を改善する方法として、例えば、クロム酸ストロンチウム又はクロム酸カルシウムを下塗り塗料の不揮発分に対して30〜70質量%配合した塗料を用いて、端面耐食性を向上する方法(特公平2−36384号公報)などが知られている。
しかしながら、この方法で処理された塩ビ塗装溶融Zn−55%Alめっき鋼板において、塩水噴霧試験の評価では従来から使用されている下塗り塗料を用いた同塗装鋼板に比較してもある程度の端面耐食性の改善が見出されたが、実使用環境の大気環境下ではその改善効果は、顕著なものではない。更に、この方法で処理された塩ビ塗装溶融Zn−55%Alめっき鋼板は、高温多湿環境下で充分な耐湿性を示さず、また、平坦部でも塗膜ふくれが発生することがある。また、建築用の内・外装建材用鋼板に加えて、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ等の家電製品、自動販売機、事務機器、自動車、エアコン室外機等に使用されている金属板等も同様にして、高い耐食性が望まれている。
即ち、一般的なカラー鋼板に使用した場合は耐食性に効果のある溶融Zn−Al系めっき鋼板を原板とて使用しても、塩ビ鋼板の場合は切断端面部や塗膜傷付き部の耐食性は満足できるものではなかった。
したがって、本発明の課題は、このような問題を解決し、平坦部や加工部における優れた耐食性と、切断端面部や塗膜傷付きに部おける優れた耐食性の両方を兼ね備える塗装鋼板を提供することである。
したがって、本発明の課題は、このような問題を解決し、平坦部や加工部における優れた耐食性と、切断端面部や塗膜傷付きに部おける優れた耐食性の両方を兼ね備える塗装鋼板を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属板として特定のZn−Al−Mg系のめっき層又はZn−Al−Mg(−Ti−B−Si)系のめっき層を有する鋼板を使用し、その上に化成処理皮膜、下塗り塗膜及び塩ビ塗膜を設けると、平坦部、加工部、塗膜傷付き部の耐食性に加えて、従来の塩ビ鋼板のウィークポイントであった切断端面部の耐食性についても優れた耐食性を示す塗装金属板が得られることを見い出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の態様における耐食性に優れた塗装鋼板は、Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなり、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔初晶Al相〕又は〔初晶Al相〕と〔Zn単相〕が混在した金属組織を有しているめっき層を有する金属板に、前記めっき層の表面に形成された化成処理皮膜、前記化成処理皮膜の表面に形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された塩ビ塗膜を設けたことを特徴とする。
また、本発明の第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板は、Alが4〜22質量%、Mgが0.05〜10質量%、Tiが0.002〜0.1質量%、Bが0.001〜0.45質量%、Siが0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する鋼板を基材とし、前記めっき層の表面に形成された化成処理皮膜、前記化成処理皮膜の表面に形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された塩ビ塗膜を設けてなることを特徴とするものである。
本発明に係るこれらの第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板は、めっき層中にAl及びMgを含有しているので鋼板の平坦部の耐食性はもとより、塗装鋼板の塗膜傷付き部や切断端面部近傍の塗膜下ではめっき層中のAlとMgが緻密で難溶性の腐食生成物を形成する作用を示し、さらに、この安定な腐食生成物が外部から侵入してくる腐食性イオンを遮蔽する作用を有しているため、塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に塗膜ふくれやさびが発生しにくい。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板において、前記化成処理皮膜が従来のクロム系化成処理皮膜でもあるいは非クロム系の化成処理膜でもよい。
クロム化合物は、環境への配慮から鋼材中に含まない方が好ましい態様が増加しつつある。従って、前記化成処理皮膜が非クロム系の化成処理膜とすると、環境への配慮のある耐久性の高い鋼板を提供することが可能となる。
クロム化合物は、環境への配慮から鋼材中に含まない方が好ましい態様が増加しつつある。従って、前記化成処理皮膜が非クロム系の化成処理膜とすると、環境への配慮のある耐久性の高い鋼板を提供することが可能となる。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板において、化成処理皮膜の表面に防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを不揮発成分に対して10〜60質量%配合した塗膜が形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された塩ビ塗膜が設けられていることを特徴とするものである。
クロム酸ストロンチウムは、非常に優れた防錆効果を発揮する化合物である。本発明の第一及び第二の態様における塗装金属板において、化成処理皮膜の表面に防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを使用することによって、特に塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に対して優れた防錆効果を発揮する。
クロム酸ストロンチウムは、非常に優れた防錆効果を発揮する化合物である。本発明の第一及び第二の態様における塗装金属板において、化成処理皮膜の表面に防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを使用することによって、特に塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に対して優れた防錆効果を発揮する。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装金属板において、化成処理皮膜の表面に非クロム系防錆剤、例えばシリカ−カルシウム系防錆剤を不揮発成分に対して2〜50質量%配合した塗膜が形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された塩ビ塗膜が設けられていることを特徴とするものである。
クロム化合物は、環境への配慮から鋼材中に含まない方が好ましい態様が増加しつつある。従って、前記化成処理皮膜が非クロム系の化成処理膜とすると、環境への配慮のある耐久性の高い鋼板を提供することが可能となる。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板において、化成処理皮膜の表面に防錆剤を含まない下塗り塗膜が設けられていることを特徴とするものである。
本発明において、下塗り塗膜に防錆顔料を含まなくとも同様に耐久性の高い金属板が得られる。
クロム化合物は、環境への配慮から鋼材中に含まない方が好ましい態様が増加しつつある。従って、前記化成処理皮膜が非クロム系の化成処理膜とすると、環境への配慮のある耐久性の高い鋼板を提供することが可能となる。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板において、化成処理皮膜の表面に防錆剤を含まない下塗り塗膜が設けられていることを特徴とするものである。
本発明において、下塗り塗膜に防錆顔料を含まなくとも同様に耐久性の高い金属板が得られる。
また、前記第一及び第二の態様における耐食性に優れた塗装鋼板において、前記塗装鋼板が、建築用の内・外装建材用鋼板、家電製品、自動販売機、事務機器、自動車又はエアコン室外機用の金属板であることを特徴とするものである。
建築用の内・外装建材用鋼板、家電製品、自動販売機、事務機器、自動車又はエアコン室外機用の金属板、特に鋼板は、高い耐久性を要求されるものである。本発明における塩ビ塗装金属板を用いることによって、塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に塗膜ふくれやさびが発生しにくい製品の製造が可能となる。
建築用の内・外装建材用鋼板、家電製品、自動販売機、事務機器、自動車又はエアコン室外機用の金属板、特に鋼板は、高い耐久性を要求されるものである。本発明における塩ビ塗装金属板を用いることによって、塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に塗膜ふくれやさびが発生しにくい製品の製造が可能となる。
以上のように、化成処理皮膜を形成した鋼板の表面に下塗り塗膜を形成し、その上に塩ビ塗膜が形成された塗装鋼板において、金属板として、Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層又はAl:4〜22質量%,Mg:0.05〜10質量%,Ti:0.002〜0.1質量%,B:0.001〜0.045質量%、Siが0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する金属板を使用すると、めっき層中にAl及びMgを含有しているので金属板の平坦部の耐食性はもとより、塗装金属板の塗膜傷付き部や切断端面部近傍の塗膜下ではめっき層中のAlとMgが緻密で難溶性の腐食生成物を形成する作用を示し、さらに、この安定な腐食生成物が外部から侵入してくる腐食性イオンを遮蔽する作用を有しているため、塗膜傷付き部,切断端面やその近傍に塗膜ふくれやさびが発生しにくい。
以下、本発明の実施の態様を詳細に説明する。
本発明において使用される金属板は、Zn−Al−Mg系めっき鋼板であって、本願出願人の特開平10−226865公報で開示された溶融Zn−Al−Mg系めっき金属板(第一の態様)又は本願出願人の特開平10−306357号公報で開示された溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板(第二の態様)である。本発明の第一の態様における溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgめっき層を鋼板表面に形成した耐食性に優れた溶融めっき鋼板であり、めっき層が〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔初晶Al相〕又は〔初晶Al相〕と〔Zn単相〕が混在した金属組織を有している。
本発明において使用される金属板は、Zn−Al−Mg系めっき鋼板であって、本願出願人の特開平10−226865公報で開示された溶融Zn−Al−Mg系めっき金属板(第一の態様)又は本願出願人の特開平10−306357号公報で開示された溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板(第二の態様)である。本発明の第一の態様における溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgめっき層を鋼板表面に形成した耐食性に優れた溶融めっき鋼板であり、めっき層が〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔初晶Al相〕又は〔初晶Al相〕と〔Zn単相〕が混在した金属組織を有している。
また、本発明の第二の態様における溶融Zn−Al−Mg(−Ti−B−Si)系めっき鋼板は、Al:4〜22質量%,Mg:0.05〜10質量%,Ti:0.002〜0.1質量%、B:0.001〜0.045質量%、Siが0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mg系めっき層を鋼板表面に形成した耐食性に優れた溶融めっき鋼板である。
これらの第一の態様及び第二の態様における鋼板の相違は、めっき層中に所定量のTi及びBを含有するか否かの点にあり、各々同様の作用効果を示すものである。
これらの第一の態様及び第二の態様における金属板におけるめっき層中のAlは、めっき層の耐食性の向上と当該鋼板製造時のめっき浴中のドロス発生を抑制する作用を有している。Al含有量を4〜22質量%の範囲に特定したのは下記の理由からである。
即ち、Al含有量が4質量%未満では耐食性の向上効果が十分ではなく、またMg酸化物系のトップドロス発生を抑制する作用が低く、めっき後の表面平滑性が悪く塗装外観を損ねる原因となる。逆に、Al含有量が22質量%を超えると、めっき層と母材鋼板との界面でFe−Al系合金層の成長が著しくなり、めっき層の加工性及びめっき層の密着牲が低下し、塗装鋼板を加工した場合に大きな塗膜割れ及び塗膜剥離の原因となる。
これらの第一の態様及び第二の態様における金属板におけるめっき層中のAlは、めっき層の耐食性の向上と当該鋼板製造時のめっき浴中のドロス発生を抑制する作用を有している。Al含有量を4〜22質量%の範囲に特定したのは下記の理由からである。
即ち、Al含有量が4質量%未満では耐食性の向上効果が十分ではなく、またMg酸化物系のトップドロス発生を抑制する作用が低く、めっき後の表面平滑性が悪く塗装外観を損ねる原因となる。逆に、Al含有量が22質量%を超えると、めっき層と母材鋼板との界面でFe−Al系合金層の成長が著しくなり、めっき層の加工性及びめっき層の密着牲が低下し、塗装鋼板を加工した場合に大きな塗膜割れ及び塗膜剥離の原因となる。
金属板のめっき層中のMgは、めっき層表面に均一かつ緻密で安定な腐食生成物を生成させて当該めっき層の耐食性を著しく高める作用を有する。Mg含有量0.05〜10質量%の範囲に特定したのは下記の理由からである。
即ち、Mg含有量が0.05質量%未満では腐食生成物を均一に生成させる作用が十分ではなく、また10質量%を超えてもMgによる耐食性向上効果は飽和し、逆にMg酸化物系のトップドロスが発生しやすくなり塗装後の外観を損ねる原因となる。また、Mg含有量が10質量%を超えるとめっき層の加工性が低下し、塗装鋼板を加工した場合に大きな塗膜割れの原因となる。
即ち、Mg含有量が0.05質量%未満では腐食生成物を均一に生成させる作用が十分ではなく、また10質量%を超えてもMgによる耐食性向上効果は飽和し、逆にMg酸化物系のトップドロスが発生しやすくなり塗装後の外観を損ねる原因となる。また、Mg含有量が10質量%を超えるとめっき層の加工性が低下し、塗装鋼板を加工した場合に大きな塗膜割れの原因となる。
このような量でAl及びMgをZn中に含むZn−Al−Mgの三元組成において、溶融Zn−Al−Mgめっき層中にZn11Mg2系の相が晶出すると、Zn11Mg2相は、光沢が高いため目立った模様となり表面外観を悪くするとともに耐食性も悪くなる(前記特開平10−226865公報及び特開平10−306357号公報参照)。このZn11Mg2相は、塗装後においても目立った模様となり表面外観を悪くするとともに耐食性も悪くなる。
そのため、本願出願人等が鋭意検討した結果、Zn11Mg2相の大きさは溶融めっき浴温と溶融めっき層の速度に依存していることが判った(前記特開平10−226865公報参照)。
そのため、本発明の第一の態様において使用する溶融Zn−Al−Mgめっき金属板、例えば溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の製造において、例えば溶融めっき浴の浴温を融点以上450℃以下とし、且つめっき後の冷却速度を10℃/秒以上に制御すると、前記のZn11Mg2相は現れず、表面欠陥のない金属組織が得られる。
そのため、本願出願人等が鋭意検討した結果、Zn11Mg2相の大きさは溶融めっき浴温と溶融めっき層の速度に依存していることが判った(前記特開平10−226865公報参照)。
そのため、本発明の第一の態様において使用する溶融Zn−Al−Mgめっき金属板、例えば溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の製造において、例えば溶融めっき浴の浴温を融点以上450℃以下とし、且つめっき後の冷却速度を10℃/秒以上に制御すると、前記のZn11Mg2相は現れず、表面欠陥のない金属組織が得られる。
また、本発明の第二の態様において、鋼板のめっき層中のTi及びBは、前記溶融Zn−Al−Mgめっき層中のZn11Mg2相の生成・成長を抑制する作用を有する(特開平10−306357号公報参照)。Zn11Mg2相は、光沢が高いため目立った模様となり塗装後の外観を悪くするとともに耐食性も悪くなる。
この場合Ti含有量が0.002質量%未満ではZn11Mg2相の生成・成長抑制効果が十分でなく、0.1質量%を超えるとめっき層中にTi−Al系の析出物が成長し、めっき層表面に凹凸が生じ塗装後の外観を損ねる原因となるので、Ti含有量は0.002〜0.1質量%の範囲内にする必要がある。B含有量が0.001質量%未満ではZn11Mg2相の生成・成長抑制効果が十分でなく、0.045質量%を超えるとめっき層中にTi−BあるいはAl−B系の析出物が成長し、めっき層表面に凹凸が生じ、塗装後の外観を損ねる原因となるので、B含有量は0.001〜0.045質量%の範囲内にする必要がある。
この場合Ti含有量が0.002質量%未満ではZn11Mg2相の生成・成長抑制効果が十分でなく、0.1質量%を超えるとめっき層中にTi−Al系の析出物が成長し、めっき層表面に凹凸が生じ塗装後の外観を損ねる原因となるので、Ti含有量は0.002〜0.1質量%の範囲内にする必要がある。B含有量が0.001質量%未満ではZn11Mg2相の生成・成長抑制効果が十分でなく、0.045質量%を超えるとめっき層中にTi−BあるいはAl−B系の析出物が成長し、めっき層表面に凹凸が生じ、塗装後の外観を損ねる原因となるので、B含有量は0.001〜0.045質量%の範囲内にする必要がある。
上記のような本発明の第一及び第二の態様における溶融Zn−Al−Mgめっき層を有する鋼板を使用すると、めっき中に4質量%以上のAlを含有していることによりめっき層の腐食速度や抑制され、さらにMgを含有していることにより、めっき層の腐食速度がさらに抑制されているので、平坦部の耐食性はもとより、塗装鋼板の塗膜傷付き部や切断端面部近傍の塗膜下ではめっき層中のAlとMgが緻密で難溶性の腐食生成物を形成する作用を示し、さらに、この安定な腐食生成物が外部から侵入してくる腐食性イオンを遮蔽する作用を有しているため、塗膜傷付き部、切断端面やその近傍に塗膜ふくれやさびが発生しにくいという際立った特徴を有する。
本発明の塗装鋼板は、従来の塗装金属板と同様に連続塗装ラインを用いて製造される。まず、上記の特定のめっき層を有する金属の表面に化成処理が施される。この際の化成処理皮膜には特に制限はなく、クロメート系皮膜であってもノンクロメート系皮膜であってもよい。例えば、クロメート系皮膜の場合、耐食性、塗膜密着性を確保するため、クロム付着量に関して全Cr量を5〜100mg/m2にするのが好ましい。さらに、ノンクロメート系皮膜の場合、耐食性、塗膜密着性を確保するため、皮膜量を10〜100mg/m2にすることが好ましい。
本発明の第一及び第二の態様において、このようにして化成処理膜が形成されたZn−Al−Mg−(Ti−B−Si)系のめっき層を有する鋼板の表面に更に下塗り塗膜を形成するが、この際の下塗り塗膜は、従来の溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板と同様の塗膜厚や塗膜樹脂を用いて同様の方法で形成することができる。
塗膜厚は従来の溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板と同様の3〜7μmの範囲である。同様にして、塗膜樹脂として、アクリル/エポキシ系、エポキシ系、ウレタン系、エポキシ/ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、フェノキシ系樹脂などを使用することができる。更に、下塗り塗料中に防錆顔料として、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸バリウム、クロム酸亜鉛などのクロム酸系防錆顔料や、リン酸マグネシウム、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛、モリブデン酸塩、リン酸カルシウム、シリカ−カルシウム系、バナジン酸/リン酸系などのノンクロメート系の防錆顔料を単独であるいは二種類以上を塗膜樹脂に添加して下塗り塗膜を形成することができる。
塗膜厚は従来の溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板と同様の3〜7μmの範囲である。同様にして、塗膜樹脂として、アクリル/エポキシ系、エポキシ系、ウレタン系、エポキシ/ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、フェノキシ系樹脂などを使用することができる。更に、下塗り塗料中に防錆顔料として、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸バリウム、クロム酸亜鉛などのクロム酸系防錆顔料や、リン酸マグネシウム、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛、モリブデン酸塩、リン酸カルシウム、シリカ−カルシウム系、バナジン酸/リン酸系などのノンクロメート系の防錆顔料を単独であるいは二種類以上を塗膜樹脂に添加して下塗り塗膜を形成することができる。
例えば、クロム酸系防錆顔料として代表的に使用されるクロム酸ストロンチウムの場合、クロム酸ストロンチウムを不揮発分に対して10〜60質量%の範囲が好ましく、より好ましくは25〜30質量%である。一般にクロム酸ストロンチウムが10質量%未満では、従来の溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板よりも優れた耐食性を有するが、重防食用途としては十分な耐食性が得られず、逆に60質量%を超えても耐食性向上効果は飽和し、塗膜の加工性や塗膜密着性が低下し、塗装金属板を加工した場合に大きな塗膜割れや塗膜剥離の原因となる。
また、非クロメート系防錆顔料として、例えば、多孔質シリカ粒子にカルシウムイオンをイオン交換により結合させた防食抑制剤(以下、シリカ−カルシウム系と称する)の場合、シリカ−カルシウム系防錆顔料を不揮発分に対して2〜50質量%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは5〜25質量%である。
また、本発明の別の態様においては、防錆顔料を添加せず、体質顔料のみを添加した場合でも本発明の構成においては、十分な耐食性が得られる。特に非クロメート系の化成処理膜を用いると、クロム不含の塗装金属板となる。
また、本発明の別の態様においては、防錆顔料を添加せず、体質顔料のみを添加した場合でも本発明の構成においては、十分な耐食性が得られる。特に非クロメート系の化成処理膜を用いると、クロム不含の塗装金属板となる。
本発明において、下塗り塗膜の上に更に塩ビ塗膜が形成されるが、この際の塩ビ塗膜についても従来の溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板と同様の方法で形成することができる。
即ち、塩ビ樹脂、可塑剤、安定剤及び顔料を混練して得られる塩ビゾル塗料を下塗り塗膜の上にロールコーター等により厚膜塗装(100〜300μm)し、その後焼付乾燥して塩ビ塗膜を形成するか、あるいは、塩ビ樹脂、可塑剤、安定剤及び顔料を原料としてカレンダー法等により得られた塩ビフィルムを、下塗り塗膜の上にラミネートして積層することによりできる。
即ち、塩ビ樹脂、可塑剤、安定剤及び顔料を混練して得られる塩ビゾル塗料を下塗り塗膜の上にロールコーター等により厚膜塗装(100〜300μm)し、その後焼付乾燥して塩ビ塗膜を形成するか、あるいは、塩ビ樹脂、可塑剤、安定剤及び顔料を原料としてカレンダー法等により得られた塩ビフィルムを、下塗り塗膜の上にラミネートして積層することによりできる。
このようにして、金属板として本発明による特定のZn−Al−Mg系めっき層(第一の態様)又はZn−Al−Mg(−Ti−B−Si)系めっき層を有する鋼板を使用し、その上に化成処理膜、下塗り塗膜及び塩ビ塗膜を設けると、めっき層中にAl及びMgが含有していることにより鋼板平坦部の優れた耐食性はもとより、従来技術では不可能であった、めっき鋼板の端部の優れた耐食性と塗膜傷付き部の優れた耐食性を有する塗装鋼板が得られ、このようにして得られた塩ビ鋼板は、建築用の内・外装建材用金属板、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ等の家電製品、自動販売機、事務機器、自動車、エアコン室外機等の耐食性が要求される部材として好適に使用することが可能となる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
表1に示すZn、Al、Mg、Ti及びB含有量を有する溶融Zn−Al−Mg系のめっき鋼板及びZn−Al−Mg−(Ti−B−Si)系のめっき鋼板(板厚:0.4mm、片面めっき付着量:120g/m2)をゼンジミア方式の連続溶融めっきライン(営業生産機)で製造した。これらのめっき鋼板を表面調整処理を施して、湯洗、水洗により洗浄し、乾燥した。しかる後、塗布型クロメート処理液[日本ペイント株式会社製、商品名;サーフコートNRC300NS]をロールコーターで塗布して、水洗することなく100℃で乾燥させ、全Cr量が40mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
表1に示すZn、Al、Mg、Ti及びB含有量を有する溶融Zn−Al−Mg系のめっき鋼板及びZn−Al−Mg−(Ti−B−Si)系のめっき鋼板(板厚:0.4mm、片面めっき付着量:120g/m2)をゼンジミア方式の連続溶融めっきライン(営業生産機)で製造した。これらのめっき鋼板を表面調整処理を施して、湯洗、水洗により洗浄し、乾燥した。しかる後、塗布型クロメート処理液[日本ペイント株式会社製、商品名;サーフコートNRC300NS]をロールコーターで塗布して、水洗することなく100℃で乾燥させ、全Cr量が40mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
次いで、このようにして形成したクロメート皮膜の上に、体質顔料として酸化チタン及びシリカ粉末を配合したアクリル/エポキシ系樹脂の下塗り塗料を乾燥膜厚で5μmとなるように塗装して、最高到達板温240℃で乾燥して下塗り塗膜を形成した。このようにして形成された下塗り塗膜の上に、次のとおり配合した塩ビ樹脂塗料を上塗り塗料として200μmになるように塗装した後、最高到達板温215℃で乾燥し、実施例1〜18を作製した。
<塩ビ樹脂ゾル塗料の作製>
(塗料A) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤としてDOP35質量部、安定剤としてMg−Zn系安定剤3質量部配合した。
(塗料 B) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤として混合アルキルフタレート系可塑剤35質量部、安定剤としてMg−Zn系安定剤3質量部、ホスファイト系安定剤6質量部を配合した。
(塗料 C) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤としてDOP35質量部、安定剤としてSn系安定剤2質量部配合した。
<塩ビ樹脂ゾル塗料の作製>
(塗料A) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤としてDOP35質量部、安定剤としてMg−Zn系安定剤3質量部配合した。
(塗料 B) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤として混合アルキルフタレート系可塑剤35質量部、安定剤としてMg−Zn系安定剤3質量部、ホスファイト系安定剤6質量部を配合した。
(塗料 C) 塩ビ樹脂100質量部、可塑剤としてDOP35質量部、安定剤としてSn系安定剤2質量部配合した。
また、比較のために、溶融亜鉛(0.2%Al)めっき鋼板、溶融Zn−5%Alめっき鋼板及び溶融Zn−55%Alめっき鋼板を使用して同様な塗装を施して(ただし、上塗り塗料は塩ビ樹脂と量Cのみ)塩ビ塗膜を有する比較用塗装鋼板1、2を作製した。
このようにして作成された本発明による塩ビ塗装鋼板及び比較用塩ビ塗装鋼板に対して、下記の耐食性試験を行った。
(1)
促進耐食性試験
塩ビ塗装鋼板の上下の切断端面及び裏面を塗料で補修し、さらに平坦部の塗膜にカッタ−ナイフで塗膜に傷を入れた試験片を250サイクルの複合腐食試験[1サイクル:1]5%NaCl腐食液噴霧(温度:35℃×1時間)→2)乾燥(温度:50℃×4時間)→3)湿潤(温度:50℃×3時間、相対湿度:98%)]を行った後、補修していない切断端面から発生した塗膜ふくれ(エッジクリープ)と切断端面の切り口の赤さび発生率を測定した。また、塗膜傷付き部からのさび発生率を測定した。
補修してない切断端面からの塗膜ふくれ幅が0.5mm以下のものを記号◎、塗膜ふくれ幅が0.6〜1.0mmのものを記号○、塗膜ふくれ幅が1.1〜2.0mmのものを記号△、塗膜ふくれ幅が2.0mm超のものを記号×で評価した。
次に、赤さびの発生率を、切断面切り口の試験対象部の面積100に対して、耐食試験でこの部位に生じた赤さびの発生率として求め、切断端面の切り口に赤さびの発生が認められないものを記号◎、5%以下のものを記号○、6〜20%のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
さらに、同様に塗膜傷付き部からさびの発生が認められないものを◎、5%以下のものを記号○、6〜20%のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
(1)
促進耐食性試験
塩ビ塗装鋼板の上下の切断端面及び裏面を塗料で補修し、さらに平坦部の塗膜にカッタ−ナイフで塗膜に傷を入れた試験片を250サイクルの複合腐食試験[1サイクル:1]5%NaCl腐食液噴霧(温度:35℃×1時間)→2)乾燥(温度:50℃×4時間)→3)湿潤(温度:50℃×3時間、相対湿度:98%)]を行った後、補修していない切断端面から発生した塗膜ふくれ(エッジクリープ)と切断端面の切り口の赤さび発生率を測定した。また、塗膜傷付き部からのさび発生率を測定した。
補修してない切断端面からの塗膜ふくれ幅が0.5mm以下のものを記号◎、塗膜ふくれ幅が0.6〜1.0mmのものを記号○、塗膜ふくれ幅が1.1〜2.0mmのものを記号△、塗膜ふくれ幅が2.0mm超のものを記号×で評価した。
次に、赤さびの発生率を、切断面切り口の試験対象部の面積100に対して、耐食試験でこの部位に生じた赤さびの発生率として求め、切断端面の切り口に赤さびの発生が認められないものを記号◎、5%以下のものを記号○、6〜20%のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
さらに、同様に塗膜傷付き部からさびの発生が認められないものを◎、5%以下のものを記号○、6〜20%のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
(2)
屋外暴露耐食性試験
塩ビ塗装鋼板の上下の切断端面を常乾塗料で補修、さらに平坦部の塗膜にカッターナイフで塗膜に傷を入れた試験片を千葉県市川市の東京湾岸から10mに設置された暴露試験場で3年間屋外暴露試験を行った後、補修してない切断端面から発生した塗膜ふくれの幅及び切断端面の切り口の赤さび発生率を測定した。
補修してない切断端面からの塗膜ふくれ幅が0.5mm以下のものを記号◎、0.6〜1.0mmのものを記号○、1.1〜2.0mmのものを記号△、2.0mm超のものを記号×で評価した。
また、切断端面の切り口に赤さびの発生が認められないものを記号◎、5%以下のものを記号0.6〜20%以下のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
これらの結果を表1に示す。
屋外暴露耐食性試験
塩ビ塗装鋼板の上下の切断端面を常乾塗料で補修、さらに平坦部の塗膜にカッターナイフで塗膜に傷を入れた試験片を千葉県市川市の東京湾岸から10mに設置された暴露試験場で3年間屋外暴露試験を行った後、補修してない切断端面から発生した塗膜ふくれの幅及び切断端面の切り口の赤さび発生率を測定した。
補修してない切断端面からの塗膜ふくれ幅が0.5mm以下のものを記号◎、0.6〜1.0mmのものを記号○、1.1〜2.0mmのものを記号△、2.0mm超のものを記号×で評価した。
また、切断端面の切り口に赤さびの発生が認められないものを記号◎、5%以下のものを記号0.6〜20%以下のものを記号△、20%超のものを記号×で評価した。
これらの結果を表1に示す。
以上の結果から、本発明の塩ビ塗装鋼板は、促進耐食性及び暴露耐食性の両方に優れている。特に、本発明の塩ビ塗装鋼板は、切断端面及び塗装傷付き部の耐食性の両方がバランスよく優れたものであることは特筆すべきである。
表2に示すZn、Al、Mg、Ti及びBを含有する溶融Zn−Al−Mg(Ti−B)系めっき鋼板(板厚:0.4mm、片面めっき付着量:120g/m2)をゼンジミア方式の連続溶融めっきライン(営業生産機)で製造した。これらのめっき鋼板を表面調整処理を施して、湯洗、水洗により洗浄し、乾燥した。しかる後、一方は、塗布型のチタン系非クロム処理を両面に施し、水洗することなく到達板温100℃で乾燥させ、全皮膜量が75mg/cm2のチタン系塗布型前処理皮膜を形成した。また、他方は、同様に塗布型クロメート処理を両面に施し、全Cr量が40mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
次いで、このようにして形成した塗装前処理皮膜の上に、体質顔料として酸化チタンとシリカ粉末を含有し、防錆顔料のないアクリル/エポキシ樹脂の下塗り塗料を乾燥膜厚で5μmとなるように塗装して、最高到達板温240℃で乾燥焼付けて下塗り塗膜を形成した。
このようにして形成された下塗り塗膜の上に、前記した塩ビ樹脂ゾル塗料Aを上塗り塗料として200μmになるように塗装した後、最高到達板温215℃で乾燥し、実施例19〜24を作製した。
このようにして形成された下塗り塗膜の上に、前記した塩ビ樹脂ゾル塗料Aを上塗り塗料として200μmになるように塗装した後、最高到達板温215℃で乾燥し、実施例19〜24を作製した。
また、比較のため、溶融亜鉛めっき鋼板(0.2%Al)、溶融Zn−55%Alめっき鋼板を使用し、クロム系の塗装前処理を施した後、実施例と同様な塗装を施して比較例3、4の塩ビ塗装鋼板を作製した。
このようにして作製した塩ビ塗装鋼板について、前述の実施例1〜18及び比較例1〜2と同様にして耐食性試験を行った。結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明の塩ビ塗装鋼板は、塗装前処理が非クロム系であっても、耐食性に優れ、特に切断端面や塗膜損傷部の耐食性に優れることが判る。
特に、クロメート皮膜を施さなくても同等の効果を奏することは特筆すべきことである。
特に、クロメート皮膜を施さなくても同等の効果を奏することは特筆すべきことである。
本発明の塩ビ塗装鋼板は、端面耐食性に優れ、海塩粒子や酸性雨などの厳しい環境下でも耐久性を発揮するプレコート鋼板として有用である。
Claims (7)
- Al:4〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%及び残部がZn及び不可避的不純物からなり、〔Al/Zn/Zn2Mgの三元共晶組織〕の素地中に〔初晶Al相〕または〔初晶Al相〕と〔Zn単相〕が混在した金属組織を有しているZn−Al−Mg系溶融めっき層を有する金属板に、前記めっき層の表面に形成された化成処理皮膜、前記化成処理皮膜の表面に形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された上塗り塗膜を設けてなる端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- Zn−Al−Mg系溶融めっき層が、さらにTiが0.002〜0.1質量%、Bが0.001〜0.45質量%、Siが0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する金属板を基材とし、前記めっき層の表面に形成された化成処理皮膜、前記化成処理皮膜の表面に形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された上塗り塗膜を設けてなる請求項1に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- 前記化成処理皮膜が非クロム系の化成処理膜であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- 化成処理皮膜の表面に防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを不揮発成分に対して10〜60質量%配合した塗膜が形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された上塗り塗膜が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- 化成処理皮膜の表面に非クロム系防錆剤を不揮発成分に対して2〜50質量%配合した塗膜が形成された下塗り塗膜及び前記下塗り塗膜の上に形成された上塗り塗膜が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- 化成処理皮膜の表面に形成された下塗り塗膜に体質顔料以外の防錆剤を含まないことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
- 前記塗装鋼板が、建築用の内・外装建材用鋼板、家電製品、自動販売機、事務機器、自動車またはエアコン室外機用の金属板であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板。
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CN102703925A (zh) * | 2012-04-23 | 2012-10-03 | 江阴安凯特电化学设备有限公司 | 一种双面涂层的复合电极制备工艺 |
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-
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