JP6515280B2 - 切断端面から赤錆を発生させにくいプレコート鋼板組立体の作製方法およびこの方法で作製したプレコート鋼板組立体 - Google Patents

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Description

本発明は、エアコン室外機等、プレコート鋼板の成型品を屋外にて使用する際に、切断端面からの赤錆発生を抑制できる適正なプレコート鋼板組立体の作製方法と、この方法で作製したプレコート鋼板組立体に関する。
プレコート鋼板(「PCM」とも称される)は、需要家がその製品のために求める塗膜を前もって形成して出荷される鋼板であり、需要家にて塗装やそれに関連する作業を省くことができるとともに、そのような作業のための設備も不要になるため、様々な分野においてその利用が拡大している。初期のプレコート鋼板においては、塗装を施す下地鋼板として、クロメートによる防錆処理を施したクロメート処理鋼板が用いられていた。その後、クロメート処理皮膜から溶出する可能性のある6価のクロムの毒性問題から、クロメート処理プレコート鋼板に代わり、ノンクロム防錆処理を施した下地鋼板を使用するクロメートフリー型プレコート鋼板が注目されるに至り、近年その利用が特に増大している。従来のクロメートフリー型プレコート鋼板においては、塗膜中に含まれる防錆顔料(一般に、カルシウム交換シリカ(俗称としてカルシウムシリケートと呼ばれることもある)、トリポリリン酸アルミニウムなど)が防錆作用を担っている。
しかし、耐食性レベルがクロメート処理プレコート鋼板に劣るクロメートフリー型プレコート鋼板の利用が広まったとたんに、梅雨などの高温多雨時に屋外にクロメートフリー型プレコート鋼板を設置すると、塗膜のない切断端面から短期間に赤錆が発生する問題が発生した。例えば、エアコン室外機での赤錆発生が大きな問題となった。特に赤錆の発生が激しく問題視されたのは、絞り成形した天板の側板との嵌合部であった。この部分は降雨により水が溜まりやすく、かつ鋼板の切断端面が長時間(場合によっては数日間)にわたり濡れ続ける部分であった。また、主に赤錆が発生した地域は、海岸沿いなどの塩害地域ではなく山間部が中心であった。これは、電解質を含まない水に端面が濡れ続けることで腐食電池が形成されないため、亜鉛が犠牲的に溶解せず、むき出しの鉄地端面が腐食してしまうからであった。
この問題の解決法として、多くの鋼板ユーザーでは、天板の加工形状を変更し、切断端面を折り返すようにして、端面に水が触れにくい構造とすることで赤錆発生を抑制している。例えば、特許文献1には、切断端面がカール加工された鈑金部品(天板)をネジにより確実に固定する方法が開示されている(ただし、特許文献1の発明自体は赤錆の抑制を目的とするものではない)。しかし、切断端面にカール加工などの折り返し加工を行うと、加工工程が複雑でコスト高となることが避けられない。
別の解決法として、塗膜中に赤錆抑制効果を示す防錆剤を添加した新しいプレコート鋼板を適用する方法がある。例えば特許文献2には、塗膜中に防錆剤としてタングステン酸塩あるいはけい酸塩を含有させたプレコート鋼板を使用することで、プレコート鋼板の端面が水に浸漬したとき、塗膜中から防錆剤が溶出し、その成分が端面を保護することによって赤錆の発生を抑制する方法が開示されている。しかしこの方法も、高価な防錆剤を塗膜中に添加した特殊なプレコート鋼板を使用することで、コストアップになることは避けられない。
さらに他の解決法として、プレコート鋼板の切断端面を補修液で補修する方法がある。例えば特許文献3には、コロイダルシリカにリン酸2水素マグネシウム等の防錆剤を添加した端面補修剤を切断端面に塗布することで、赤錆の発生を抑制する方法が開示されている。しかしこの方法も、端面補修に時間と手間がかかり、かえってコスト高となることが問題となる。
特開2001−159404号公報 国際公開第2011/071175号 特許第5169627号公報
プレコート鋼板をエアコン室外機等の用途で屋外で使用する際に、コストアップを招くような、室外機天板の切断端面を折り返す加工を行ったり、塗膜に特殊な防錆剤を添加したプレコート鋼板を使用したり、あるいは端面補修剤による煩雑な端面補修を実施したりすることなく、従来のクロメートフリー型プレコート鋼板を、コストを抑制した簡略な加工形状で天板に使用した場合でも、梅雨などの高温多雨時に切断端面から短期間に発生する赤錆の問題を解決できることが必要である。
より具体的に説明する。エアコン室外機の天板嵌合部の3種類の形状の模式図を図1に示す。端面赤錆の発生が大きな問題となるのは天板側の端面近傍に水が長期間にわたって溜まりやすい構造である「形状B」においてである。「形状C」のように端面を折り返す構造にすることで、端面に水が触れる機会が減るため、赤錆の発生は抑制することが可能である。しかし、端面を折り返すには複雑な作業工程が増え、加工コストが大幅に増大する問題がある。加工工程としては「形状A」の場合が最も簡便であり、コストも低いが、鋭利な切断端面が下を向いており、天板の取り外しや取り付けの作業時に、作業者が端面に手を触れ怪我をする危険性が高いため、採用は難しい。以上のことから、天板嵌合部の形状は、「形状B」とすることが求められる。すなわち、従来より使用してきたプレコート金属板を使用し、かつ「形状B」にて端面赤錆を抑制できるようにすることが課題である。本発明は、この課題の解決を目的とするものである。
上記課題を解決する本発明の要旨は次のとおりである。
〔1〕天板には、下方に向けて成型した端部の先端部分を更に内側に向けて成型した厚さ0.45乃至1.0mmのプレコート鋼板、側板には、内側に向けて設けた段差部を上部に有する厚さ任意のプレコート鋼板を使用し、天板端部を側板段差部に嵌合することでプレコート鋼板の組立体を作製する方法であって、天板側鋼板の切断端面の位置を、側板段差部の水平部分上面に一致して延在するx軸と、側板段差部の垂直部分外側面に一致して延在するy軸とを有し、x軸とy軸との交点を原点とする座標系の座標(x,y)により、切断端面の板厚さ方向で最も表面塗膜側の角の位置として表して、かつ側板側鋼板の段差部湾曲部分の曲率半径をRとしたとき、x、y、およびRの値が以下の(1)〜(3)のいずれかに該当する条件で嵌合を行うことを特徴とする、天板側鋼板の切断端面から赤錆を発生させにくいプレコート鋼板組立体の作製方法。
(1)x>1.5mm(yは任意)
(2)x≧R、y<1.0mm
(3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
〔2〕下方に向けて成型した端部の先端部分を更に内側に向けて成型した厚さ0.45乃至1.0mmのプレコート鋼板製の天板を、厚さ任意のプレコート鋼板製の側板の上部に内側に向けて設けた段差部に嵌合することで作製されたプレコート鋼板の組立体であって、嵌合した天板側鋼板の切断端面の位置が、側板段差部の水平部分上面に一致して延在するx軸と、側板段差部の垂直部分外側面に一致して延在するy軸とを有し、x軸とy軸との交点を原点とする座標系の座標(x,y)により、切断端面の板厚さ方向で最も表面塗膜側の角の位置として表して、かつ側板側鋼板の段差部湾曲部分の曲率半径をRとしたとき、x、y、およびRの値が以下の(1)〜(3)のいずれかに該当することを特徴とする、天板側鋼板の切断端面から赤錆を発生させにくいプレコート鋼板組立体。
(1)x>1.5mm(yは任意)
(2)x≧R、y<1.0mm
(3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
従来の比較的安価なクロメートフリー型プレコート鋼板を使用してエアコン室外機等を組み立てる際、従来は図1の「形状B」の天板を、嵌合部形状を何ら考慮することなく設置するだけであった。そのため、嵌合部の位置条件(天板側鋼板の切断端部の側板に対する位置条件)が一定でなく、部位によっては大量に赤錆発生が生じる事態となった。しかし本発明に基づき、天板側鋼板の切断端部の側板に対する位置条件を適切に制御することで、端面赤錆を抑制することができるようになった。
エアコン室外機等の天板の側板との嵌合部の形状を模式的に示す図である。 試験片の嵌合部の形状条件を示す図である。 作製した嵌合試験片の形状を示す模式図である。 天板側鋼板の角度θが0°、側板側鋼板のRが1.0mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 天板側鋼板の角度θが0°、側板側鋼板のRが1.5mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 天板側鋼板の角度θが0°、側板側鋼板のRが2.0mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 天板側鋼板の角度θが15°、側板側鋼板のRが1.0mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 天板側鋼板の角度θが15°、側板側鋼板のRが1.5mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 天板側鋼板の角度θが15°、側板側鋼板のRが2.0mmの試験片の40℃HCT評価結果を示すグラフである。 屋外曝露試験に供した試験片の端面赤錆評価結果を示すグラフである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明によるプレコート鋼板組立体は、図1の形状Bに該当する天板と側板との嵌合部を形成して作製される。より具体的に言えば、この組立体は、図1の形状Bの模式図に示したように、プレコート鋼板10の端部10aを下方に向けて成型し、端部10aの先端部分10bを更に内側に向けて成型して得られる天板1と、別のプレコート鋼板20をその上部に内側に向けて設けた段差部20aを形成するよう成型して得られる側板2とを、天板1の先端部分10bと側板2の段差部20aの水平部分とが向き合うように嵌合して作製される。本発明において特定の部材部分、面などに関して「水平」、「垂直」という表現を用いる場合、その部材部分、面などは完全な水平平面、垂直平面から一定程度の角度、例えば3〜7°程度の角度で傾いていてもよい。
上述のようなプレコート鋼板組立体において高温多雨の環境下でプレコート鋼板の切断端面から短期間に赤錆が発生する問題は、エアコン室外機の天板嵌合部のように、切断端面部が電解質を含まない水で長期間濡れるような形状条件にて発生する。しかし、実組立体による屋外曝露試験を実施すると、天板の嵌合部形状条件のばらつきによって、赤錆発生有無に大きな個体差が生じることが多い。そこで、天板の嵌合形状を模擬した試験片を、嵌合条件を種々変化させて作製し、これらの試験片の40℃HCT(湿潤試験)を実施し、端面赤錆に及ぼす天板嵌合部形状の影響について調査した。
具体的には、表1に示すプレコート金属板(従来材)にて、種々の条件の嵌合試験片を作製し、吊下げ回転式HCT(40℃、98%RH)に144時間投入した。
Figure 0006515280
試験時間(144時間)は、次に示す予備検討により決定した。過去の実組立体による君津曝露場(千葉県君津市の海岸から十分に遠方の山間部)での曝露試験(梅雨〜3か月間)では、標準型(クロメートフリー)プレコート鋼板の天板嵌合部に大量の赤錆が発生し、クロメート型プレコート鋼板には発生しなかった。0.6mm厚さの標準型およびクロメート型プレコート鋼板にて作製した嵌合試験片((x,y)=(1.0,1.0)、θ=0°で作製:後述)を40℃HCTに投入し、この曝露結果が再現できる時間条件を探索し、144時間の条件を得た。
作製した嵌合試験片の形状を図3の模式図に示す。また、種々作製した嵌合部の形状(天板鋼板端部10aの先端部分10bの側板段差部20aの水平部分に対する角度θ(この角度は、先端部分10bと段差部20aの水平部分が平行である場合に0°となる)および天板切断端面11の座標位置条件)の概念図を図2に示す。天板側鋼板の先端部分10bの角度(θ)および切断端面11の座標位置(x,y)を種々調整して嵌合試験片を作製した。天板切断端面の座標位置(x,y)は、切断端面の板厚さ方向で最も表面塗膜側の角の位置(図2でAにより示した位置)とした。座標位置(x,y)は、図3に示したように、各種厚さの樹脂スペーサーを天板鋼板および側板鋼板と組み合わせてはさみ、10倍ルーペを見ながら微調整した。図2に示した天板側鋼板先端部分10bが実線の試験片は、側板側鋼板の段差部湾曲部分の曲率R=1mm、天板側鋼板の角度θ=0、天板切断端面が(x,y)座標の原点からそれぞれ1.0mm、1.5mmの位置、すなわち(x,y)=(1.0,1.5)の座標位置にある例である。また、図2に天板側鋼板先端部分のみを破線で示した試験片は、天板側鋼板の角度θ=15°、切断端面が(x,y)=(1.5,1.0)の座標位置にある例である。
各種試験に供する試験片は、基本的に、xの値を0mmから3mmまで0.5mmずつ、yの値を0mmから2mmまで0.5mmずつそれぞれ変化させたものを作製した(板厚や湾曲部形状により作製不可能な座標位置のものは除く)。また、側板側鋼板段差部湾曲部分に沿って、天板切断端面が側板側鋼板表面に接した試験片も複数種類作製した。天板側鋼板の角度θは、0°、15°のものを作製した。側板側鋼板のRは、1mm、1.5mm、2mmのものを作製した。なお、側板側鋼板には全て厚さが0.6mmのものを使用した。安定してRを制御した加工がしやすく、かつ加工後に変形しにくいからである。側板側鋼板の板厚は、天板側切断端面からの赤錆の発生程度に関係がないことは自明である。天板側鋼板の板厚は、0.45mm、0.6mm、1.0mmのものを作製した。さらに、天板側鋼板の端面のバリ方向は下バリ(裏面塗膜側に向く方向)および上バリ(おもて面塗膜側に向く方向)の両方の試験片を作製した。
以上の試験片を40℃HCTに供し、試験終了後のそれぞれの切断端面の赤錆発生率(%)を測定し、10%以下のものを○、10%超のものを×と評価した。この評価基準で○と評価されれば、実使用にて許容されるレベルである。
試験片による40℃HCTの結果に基づき、以下の結論を導き出した。
先ず、赤錆発生率は、天板側鋼板の角度θが0°、15°のいずれであっても有意な差を生じない。即ち、0°≦θ≦15°の範囲内であれば本発明は十分に成立する。θ<0°(天板の切断端面が水平面より上方に折り返った状態)の場合は、天板の加工工程が増えコスト増となるので、本発明の目的に反し、検討する意味がない。一方、θ>15°の場合は、天板の切断端面が大きく下方に向いているため、天板の運搬作業等の際に鋭利な切断端面で手に怪我を負う危険性が高まるため採用すべきでない。
次に、赤錆発生率は、天板側鋼板の板厚が0.45mm、0.6mm、1.0mmのいずれであっても有意な差を生じない。即ち、エアコン室外機等に使用されるプレコート鋼板の一般的な板厚である0.45〜1.0mmの範囲内の板厚であれば、本発明は十分に成立する。さらに、赤錆発生率は、天板側鋼板の端面のバリ方向が上バリ、下バリのいずれであっても有意な差を生じない。しかし一方で、赤錆発生率は切断端面の座標位置(x,y)に大きく依存し、その条件が以下の(1)〜(3)のいずれかに該当する場合に赤錆耐食性は良好である。
(1)x>1.5mm(yは任意)
(2)x≧R、y<1.0mm
(3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
端面赤錆は、傾向としてxの値が小さくyの値が大きい領域で多く発生する。xの値が小さくなると赤錆が発生しやすいのは、xの間隔が狭い時に、表面張力により水が端面に滞留しやすいためと考えられる。x=0の場合に特に高い赤錆発生率を示すが、この場合赤錆の発生形態が若干異なり、赤錆が薄く端面全面に広がっている状態となる。端面が側板側の塗面に密着することで、毛管現象により端面全体が濡れ、赤錆%が高くなるものと考えられる。一方、yの値が1mm以上であれば、xの値が1.5mm以下に狭まると端面赤錆が発生するという関係が常に成り立つ。これは、yの値が変化しても、表面張力による水の端面への滞留性は変化しないためであると考えられる。しかしyの間隔が1mm未満の場合には、赤錆発生が少なくなる。この理由は明確ではないが、天板側鋼板の端面近傍の平面部(塗面)が側板側の塗面に近接していることで、端面に来た水が毛管現象により塗面側に移動し、結果的に端面に水が滞留することが回避されたことが原因として考えられる。
以上より、鋼板の切断端面に水が滞留する条件で、端面赤錆が発生しやすいといえる。より具体的に言えば、嵌合形状として、(a)x軸方向の隙間を1.5mm超となるように十分に広くとり、切断端面に表面張力で水が滞留しない条件にすること、あるいは、(b)y軸方向に天板側鋼板を側板側鋼板と密着させるか1mm未満にまで近づけ、毛管現象で端面から水が除去される条件にすること、これらが、端面赤錆の抑制に効果的であるといえる。
なお、本発明で使用できるプレコート鋼板は任意であるが、プレコート鋼板の基材としては、亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。亜鉛系めっき鋼板としては、例えば溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、Al−亜鉛めっき鋼板、Al−Mg−Si−亜鉛めっき鋼板など任意のものが使用できる。
基材の鋼板の表面には、塗膜用塗料を塗布するための前処理層として、通常のクロメートフリー型化成処理層を設けることができる。一例として、化成処理層は、シリカ、シランカップリング剤、タンニンまたはタンニン酸、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物のいずれか2種以上と樹脂を含有する皮膜を用いることができる。化成処理層は、化成処理液の浸漬塗布、ロールコーター塗装、リンガーロール塗装、刷毛塗り、スプレー塗装などにより形成することができる。
前処理層の上層には、1層あるいはそれ以上の任意の複数層の塗装被膜を有してよい。鋼板の表裏面は同一の塗装被膜構成であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明により、従来の比較的安価なクロメートフリー型プレコート鋼板を使用し、かつ切断端面を上向きに折り返したり補修塗料で補修するなどの煩雑でコストのかかる作業を行わなくとも、エアコン室外機等の天板の嵌合部分に発生する端面赤錆を抑制することが可能となる。
次に、実施例により本発明を説明する。以下の実施例は例示を目的としたものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。
実施例および比較例に使用したプレコート鋼板は、以下のように作製した。プレコート鋼板の原板として、溶融亜鉛めっき鋼板(0.45、0.6、および1.0mm厚、片面めっき付着量80g/m2)を使用した。これらの原板の表面をアルカリ脱脂した後、クロメートフリー化成処理液(シランカップリング剤、タンニン酸、シリカ、及びポリエステル樹脂混合系処理液)により化成処理(付着量:片面100mg/m2)した。
オモテ面の塗装処理として、化成処理した原板に、一般プライマー塗装を施し(日本ファインコーティングス社製のポリエステル/メラミン+イソシアネート併用硬化型FLC687樹脂塗料(一般的顔料含有))、乾燥膜厚5μm、PMT(到達板温度)215℃にて熱風乾燥した。その上に一般トップ塗料として、高分子ポリエステル/メラミン硬化型塗料(日本ファインコーティングス社製FLC7000樹脂塗料(淡ベージュ色))を乾燥膜厚15μm、PMT(到達板温度)230℃にて熱風乾燥し、トップ塗膜を形成した。
裏面には、一般的な顔料のみ含有する一般プライマー(前述のオモテ面プライマーと同一塗料)を乾燥膜厚として5μm塗布し、PMT(到達板温度)215℃にて熱風乾燥した。その上層に形成するトップ塗膜としては、一般的な顔料のみ含有する裏面用塗料(日本ファインコーティングス社製ポリエステル/メラミン硬化型FLC100HQ樹脂塗料)を乾燥膜厚として5μm塗布し、PMT(到達板温度)230℃にて熱風乾燥した。
以上のようにして作製したプレコート鋼板を所定の大きさにシャー切断し、図3に模式的に示した天板側鋼板および側板側鋼板のそれぞれの形状に加工し、これらを組み合わせて種々の角度(θ)および座標位置(x,y)条件の嵌合試験片を作製した。側板側鋼板のRが1mm、2mm、3mmのもの、天板側鋼板の板厚が0.45mm、0.6mm、1.0mmのものをそれぞれ作製した。天板側鋼板の端面のバリ方向は、上バリおよび下バリの両方の試験片を作製した。
(1)40℃HCT
以上のように作製した全ての試験片を、回転型HCT槽内に垂直方向に吊るし、40℃、98%RHの条件で144時間、湿潤試験に供した。40℃HCT試験終了後に、それぞれの天板側鋼板切断端面の赤錆発生率(%)を測定し、以下のように評価した。
○:10%以下
×:10%超
試験を実施した試験片の40℃HCT後の評価結果を、図4〜図9に示す。各図中の側板段差部湾曲部分に沿って示した実線は、天板側鋼板切断端面が側板側に接触して赤錆発生率が10%以下であった領域を示している。
この結果より、赤錆発生率は、天板側鋼板の角度θが0°、15°のいずれであっても、また天板側鋼板の板厚が0.45mm、0.6mm、1.0mmのいずれであっても、さらに鋼板の端面のバリ方向が上バリ、下バリのいずれであっても、いずれも有意な差は無く、切断端面の座標位置(x,y)には大きく依存することが明らかとなった。すなわち、以下の(1)〜(3)のいずれかの条件に該当する実施例では赤錆耐食性が良好であり、一方この条件を外れる比較例では多くの赤錆が発生していた。
(1)x>1.5mm(yは任意)
(2)x≧R、y<1.0mm
(3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
(2)曝露試験
上述の試験片のうち、角度θ=0°、側板側鋼板のR=1mm、天板側鋼板の板厚=0.6mm、天板側鋼板の端面のバリ方向は下バリに限定し、座標位置(x,y)条件を種々変化させた嵌合試験片を屋外曝露試験に供した。君津曝露場(千葉県君津市の海岸から十分に遠方の山間部)の曝露架台に垂直方向に設置し、入梅直後〜3か月間曝露した。曝露試験終了後に、それぞれの天板側鋼板切断端面の赤錆発生率(%)を測定し、以下のように評価した。
○:10%以下
×:10%超
試験を実施した試験片の曝露試験後の評価結果を、図10に示す。
試験片を限定しての試験ではあるが、40℃HCTの評価結果と同一の結果が得られた。すなわち、以下の(1)〜(3)のいずれかの条件に該当する実施例では赤錆耐食性が良好であり、一方この条件を外れる比較例では多くの赤錆が発生していた。
(1)x>1.5mm(yは任意)
(2)x≧R、y<1.0mm
(3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触

Claims (2)

  1. 天板には、下方に向けて成型した端部の先端部分を更に内側に向けて成型した厚さ0.45乃至1.0mmのプレコート鋼板、側板には、内側に向けて設けた段差部を上部に有する厚さ任意のプレコート鋼板を使用し、天板端部を側板段差部に嵌合することでプレコート鋼板の組立体を作製する方法であって、天板側鋼板の切断端面の位置を、側板段差部の水平部分上面に一致して延在するx軸と、側板段差部の垂直部分外側面に一致して延在するy軸とを有し、x軸とy軸との交点を原点とする座標系の座標(x,y)により、切断端面の板厚さ方向で最も表面塗膜側の角の位置として表して、かつ側板側鋼板の段差部湾曲部分の曲率半径をRとしたとき、x、y、およびRの値が以下の(1)〜(3)のいずれかに該当する条件で嵌合を行うことを特徴とする、天板側鋼板の切断端面から赤錆を発生させにくいプレコート鋼板組立体の作製方法。
    (1)x>1.5mm(yは任意)
    (2)x≧R、y<1.0mm
    (3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
  2. 下方に向けて成型した端部の先端部分を更に内側に向けて成型した厚さ0.45乃至1.0mmのプレコート鋼板製の天板を、厚さ任意のプレコート鋼板製の側板の上部に内側に向けて設けた段差部に嵌合することで作製されたプレコート鋼板の組立体であって、嵌合した天板側鋼板の切断端面の位置が、側板段差部の水平部分上面に一致して延在するx軸と、側板段差部の垂直部分外側面に一致して延在するy軸とを有し、x軸とy軸との交点を原点とする座標系の座標(x,y)により、切断端面の板厚さ方向で最も表面塗膜側の角の位置として表して、かつ側板側鋼板の段差部湾曲部分の曲率半径をRとしたとき、x、y、およびRの値が以下の(1)〜(3)のいずれかに該当することを特徴とする、天板側鋼板の切断端面から赤錆を発生させにくいプレコート鋼板組立体。
    (1)x>1.5mm(yは任意)
    (2)x≧R、y<1.0mm
    (3)x≧yの条件で切断端面を側板側に接触
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