JP2004292943A - 塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板 - Google Patents

塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた鮮映性を有し、環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板を提供することを目的としている。
【解決手段】鋼板の表面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部がZn及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニンまたはタンニン酸0.2〜50重量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板を製造する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装鋼板に係わり、更に詳しくは環境負荷の大きいとされるクロムを含まずに優れた塗膜密着性と耐食性を有し、種々の用途、例えば家電用や建材用鋼板として適用できる塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗装金属板は、金属板を先に成形加工して複雑な形状物とした後に塗装を加える方式に比べ、塗装工程が合理化できる、品質が均一になる、塗料の消費量が節約される等の利点があることから、これまで多く使用されており、今後とも使用量は増加すると考えられる。
【0003】
一般に塗装金属板は、冷延鋼板、亜鉛めっき系鋼板、その他の金属板に予め塗装をした後、任意の形状に成形加工して最終の用途に供するものであり、例えば、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電製品、自動販売機、事務機器、自動車、エアコン室外機などの金属製品に用いられている。
【0004】
こうした塗装鋼板の耐食性を向上させることを目的として本発明者らは、塗装溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板を提案した(特許文献1)。また、本発明者らは、この溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板にCa、Be、Ti、Cu、Ni、Co、Cr、Mnの1種又は2種以上を添加することにより、更に耐食性が優れた塗装鋼板が得られることを明らかにした(特許文献2)。
【0005】
これらはいずれも、耐食性に優れるめっき鋼板の上にクロメート処理と呼ばれる耐食性と密着性に優れる下地処理を施し、その上に耐食性に優れるクロム系防錆顔料を含む下塗り層を有し、更にその上に着色された上塗り層を有する構造をとっている。
【0006】
こうしたクロメート処理及びクロム系防錆顔料から溶出する可能性のある6価のクロムは環境負荷が大きな物質であるため、本発明者らは、環境負荷の小さい塗装溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板を提案した(特許文献3及び4)。
【0007】
また、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板にTi、B、Siを添加することにより表面外観が良好になることが開示されている(例えば、特許文献5)。
【0008】
【特許文献1】
特許第3179446号公報
【特許文献2】
特開2000−64061号公報
【特許文献3】
特許第3090207号公報
【特許文献4】
特許第3124266号公報
【特許文献5】
特開2001−295015号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
Zn−Mg−Alの三元系合金は3質量%Mg−4質量%Al−93質量%Znに三元共晶点を持ち、それよりAl濃度が高い場合、初晶としてAl相が晶出する。
【0010】
溶融めっき時のめっき凝固速度が十分に確保されている場合、Al相が大きく成長しないうちにめっきが凝固するため表面平滑性は問題とならないが、めっき凝固速度が小さい場合、このAl相が先に大きく成長することによってめっき表面に凸凹が形成され、表面平滑性が劣化するという問題点を有している。
【0011】
このため、このような表面平滑性が低い鋼板で塗装鋼板を製造した場合、0.2〜100μm程度の厚さの比較的薄い塗膜ではめっき表面の凸凹を完全には隠蔽できず、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題点を有している。
【0012】
しかし、前記特許特許文献1〜4に開示される技術では、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題は考慮されていない。
【0013】
また、前記特許文献5に開示される技術では、表面外観を劣化させるZn11Mg相の生成・成長を抑制する目的としてTiとBを添加しているが、表面平滑性や塗装後の鮮映性が劣化するという問題は考慮されておらず、金属間化合物についても言及されていない。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、4質量%を超えるような高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れ、環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、鋼板の表面に添加元素の添加量を最適化した亜鉛系めっきを形成した後、下地処理としてクロメート処理の代わりにタンニン又はタンニン酸系処理を施し、その上にクロム系防錆顔料の代わりにクロムフリー防錆顔料を有する塗膜を施すことで、塗装密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板を得られることを知見した。
【0016】
即ち、本発明は上記知見に基いて完成したもので、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0017】
(1) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0018】
(2) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0019】
(3) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の1種又は2種以上が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の1種又は2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0020】
(4) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕及び〔ZnMg相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔ZnMg相〕の1種又は2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0021】
(5) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0022】
(6) 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn相〕の1種又は2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0023】
(7) 前記(3)乃至(6)のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、TiAlであることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0024】
(8) 前記(3)乃至(6)のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、Ti(Al1−XSi(但し、X=0〜0.5である)であることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0025】
(9) めっき層中の〔Al相〕の中に含有されるTi−Al系金属間化合物が、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中に存在することを特徴とする前記(3)乃至(8)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0026】
(10) めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさが500μm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0027】
(11) 下地処理層の皮膜層に固形分として、微粒シリカ10〜500質量部を更に含有することを特徴とする、前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0028】
(12) 有機被膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0029】
(13) 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0030】
(14) 前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の有機皮膜中の防錆顔料がケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオン、モリブデン酸イオンのうち一種類以上を放出するものであることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0031】
(15) 下地処理層の乾燥後の付着量が10〜3000mg/mであることを特徴とする前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
【0032】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明において、塗装鋼板とは、鋼板上に亜鉛系めっき層とタンニン又はタンニン酸系処理、及び有機皮膜からなる層を順次付与したものである。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti、Nb等を添加した極低炭素鋼板、及び、これらにP、Si、Mn等の強化元素を添加した高強度鋼、ステンレス鋼等種々のものが適用できる。
【0034】
下層の亜鉛系めっき層は、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層か、或いは、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層である。
【0035】
Zn−Al−Mg−Ti系めっき層においてAlの含有量を4〜10質量%に限定した理由は、Alの含有量が10質量%を超えるとめっき密着性の低下が見られるため、Siを添加していないめっき層中のAlの含有量は10質量%以下にする必要があるためである。また、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、平滑性低下の問題がないためである。
【0036】
従って、本発明における高耐食性塗装鋼板においては、特にAl濃度が10質量%を超えるような高濃度の場合には、めっき密着性を確保するために、めっき層中にSiを添加することが必須である。
【0037】
一方、Zn−Al−Mg−Ti−Si系めっき層において、Alの含有量を4〜22質量%に限定した理由は、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、平滑性低下の問題がないためであり、22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和するためである。
【0038】
Siの含有量を0.5質量%以下(但し、0質量%を除く)に限定した理由は、Siは密着性を向上させる効果があるが、0.5質量%を超えると密着性を向上させる効果が飽和するからである。望ましくは0.00001〜0.5質量%である、更に望ましくは0.0001〜0.5質量%である。
【0039】
Siの添加はAlの含有量が10質量%を超えるめっき層には必須であるが、Alの含有量が10%以下のめっき層においてもめっき密着性向上に効果が大きいため、加工が厳しい部材に使用する等、高いめっき密着性を必要とする場合にはSiを添加することが有効である。また、Si添加によりめっき層の凝固組織中に〔MgSi相〕が晶出する。この〔MgSi相〕は加工部耐食性向上に効果があるため、Siの添加量を多くし、めっき層の凝固組織中に〔MgSi相〕が混在した金属組織を作製することがより望ましい。
【0040】
Mgの含有量を1〜5質量%に限定した理由は、1質量%未満では耐食性を向上させる効果が不十分であるためであり、5質量%を超えるとめっき層が脆くなって密着性が低下するためである。Tiの含有量を0.1質量%以下(0質量%は除く)に限定した理由は、TiはTi−Al系金属間化合物を晶出させ、鮮映性を向上させる効果があるが、0.1質量%を超えるとめっき後の外観が粗雑になり、外観不良が発生する。また、Ti−Al系金属間化合物がめっき表面に濃化し表面平滑性を低下させる。望ましくは0.00001〜0.1質量%である。更に望ましくは0.00001〜0.01質量%未満である。
【0041】
本めっき層は、〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔Zn相〕、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔MgSi相〕、Ti−Al系金属間化合物の1つ以上を含む金属組織ができる。
【0042】
ここで、〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕とは、Al相と、Zn相と金属間化合物ZnMg相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。また、該三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によっては更に少量のMgを固溶したZn固溶体である。該三元共晶組織中のZnMg相は、Zn−Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるがその量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕と表す。
【0043】
また、〔Al相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、これは例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり,少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl゛相の形骸を留めたものであると見てよい。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるが通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し、且つ、形状的にはAl″相の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。この〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0044】
また、〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlさらには少量のMgを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0045】
また、〔ZnMg相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、Tiが固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔ZnMg相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZnMg相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0046】
また、〔MgSi相〕とは、めっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りZn、Al、Tiは固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgSi相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
【0047】
また、Ti−Al系金属間化合物とは、めっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りTiAlであると考えられるが、分析するとSiが観察されることから、Siを固溶したTiAl又はAlの一部がSiに置き換わったTi(Al1−XSi(但し、X=0〜0.5である)であると考えられる。
【0048】
本発明の溶融めっき鋼材において、このTi−Al系金属間化合物は、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の中に存在することを特徴とする。Ti−Al系金属間化合物の含有形態を〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の中に限定した理由は、それ以外の位置に存在するTi−Al系金属間化合物では、鮮映性を向上させることができないためである。〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の中に存在するTi−Al系金属間化合物が鮮映性を向上させる理由は、Ti−Al系金属間化合物が、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の核となることでこれらの結晶の晶出を促進させ、微細で多数の組織とするためであると考えられる。即ち、結晶が微細になるとめっき層表面の凹凸が抑制され、めっき表面が平滑になり、比較的薄い塗膜でもめっき表面の凸凹を隠蔽できるようになり、塗装鋼板の鮮映性が向上すると考えられる。
【0049】
この効果は、特に〔Al相〕において顕著である。〔Al相〕の樹枝状晶の大きさを500μm以下に制御することにより、表面が平滑になり、摩擦係数が低下する。望ましくは400μm以下である。更に望ましくは300μm以下である。
【0050】
本発明者等が多数のめっき中の金属組織を調査した結果、大部分の金属組織の中から大きさ数μmの金属間化合物が観察された。〔Al相〕中に存在する金属間化合物の一例を図1に示す。図1の上段の図(a)は、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが下段の図(b)である。この図からも判るように、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真によって明確に各組織を特定することができる。
【0051】
図1ではAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」に相当するものの中にTi−Al系金属間化合物が観察される。この高温でのAl″相は、Al−Znの二元系平衡状態図における277℃で起こる共析反応により、常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。ここで亜共析反応の場合、高温で晶出したAl″相は、Al−Zn−Mgの三元系平衡状態図における三元共晶温度からZn相の析出を開始し、Al−Znの二元系平衡状態図における共析反応に相当する温度で残ったAl″相が微細なAl相と微細なZn相の共析組織となる。
【0052】
図2の上段の図(a)は、図1(a)のAl″相を拡大した顕微鏡写真(倍率3500倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが下段の図(b)である。Al″相を詳細に観察すると、析出したZn相がAl″相の外側とTi−Al系金属間化合物の周りに存在することが観察される。
本発明において金属間化合物の大きさは特に限定しないが、発明者らが観察したものは、大きさ10μm以下であった。また、めっき組織中の金属間化合物の存在割合も特に限定しないが、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕のどれかに1割以上存在することが望ましい。
【0053】
本発明において、めっき鋼板の製造方法については特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方式の溶融めっき法が適用できる。
【0054】
金属間化合物の添加方法については特に限定するところはなく、金属間化合物の微粉末を浴中に混濁させる方法や、金属間化合物を浴に溶解させる方法等が適用できるが、無酸化炉方式の溶融めっき法を使用した連続ライン等で製造する場合、めっき浴中にTiを溶解させる方法が適当である。めっき浴中にTiを溶解させる方法としては、Ti−Zn系金属間化合物を添加する方法が低温、短時間で溶解可能なため効率的である。添加するTi−Zn系金属間化合物としては、Zn15Ti、Zn10Ti、ZnTi、ZnTi、ZnTi、ZnTi等がある。こうした金属間化合物を単独或いはZn、Zn−Al、Zn−Al−Mg合金中に混合させてめっき浴に添加すると、溶解したTiがめっき中にTi−Al系金属間化合物として晶出し、表面平滑性と成形性を向上させる。
【0055】
めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から10g/m以上、加工性の観点から350g/m以下で有ることが望ましい。
【0056】
亜鉛めっき層中には、これ以外にFe、Sb、Pb、Snを単独或いは複合で0.5質量%以内含有してもよい。また、Ca、Be、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、P、B、Nb、Biや3族元素を合計で0.5質量%以下含有しても本発明の効果を損なわず、その量によっては更に耐食性が改善される等好ましい場合もある。
【0057】
本発明の塗装鋼板に用いる下地処理層は、水性樹脂をベースとしてタンニン又はタンニン酸を含むことを特徴としている。この下地処理層とZn−Mg−Al−Ti系合金めっき層、或いは、Zn−Mg−Al−Si−Ti系合金めっき層を組み合わせることにより相乗的に塗装密着性と加工部の耐食性が向上する。
【0058】
本下地処理層のタンニン又はタンニン酸の役割は、めっき層と強固に反応して密着することと、一方で水性樹脂とも密着することにある。タンニン又はタンニン酸と密着した水性樹脂はその上に塗装される樹脂と強固に密着し、その結果としてめっき鋼板と塗膜が従来から使用されてきたクロメート処理を使用せずとも強固に密着するようになったものと考えられる。また、タンニンやタンニン酸そのものが水性樹脂を仲立ちとせずにめっき鋼板と塗膜の結合に関与している部分も存在するものと考えられる。
【0059】
下地処理層の水性樹脂としては、水溶性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように水中に微分散された状態になりうる樹脂を含めて言う。このような水性樹脂として使用できるものは、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、その他の熱硬化型樹脂が挙げられ、架橋可能な樹脂が望ましい。特に好ましい樹脂は、アクリルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び、両者の混合樹脂である。これらの水性樹脂の2種類以上を混合或いは重合して使用しても良い。
【0060】
タンニンやタンニン酸は、水性樹脂の存在下で、Zn−Mg−Al−Ti系合金めっき、或いは、Zn−Mg−Al−Si−Ti系合金めっきと塗膜の両者と強固に結合し、塗膜の密着性を飛躍的に向上させ、ひいては加工部の耐食性を向上させる。タンニン又はタンニン酸としては加水分解できるタンニンでも縮合タンニンでもよく、これらの一部が分解されたものでも良い。タンニン及びタンニン酸は、ハマメタタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバロンのタンニン、ジビジビのタンニン、アルガロビラのタンニン、バロニアのタンニン、カテキンなど特に限定するものではなく、市販のもの、例えば「タンニン酸:AL」(富士化学工業製)などを使用することができる。
【0061】
タンニン及びタンニン酸の含有量は樹脂100質量部に対して、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部がよい。タンニン又はタンニン酸の含有量が0.2質量部未満ではこれらを添加した効果が見られず、塗膜密着性や加工部の耐食性が不十分である。一方、50質量部を超えると逆に耐食性が低下したり、処理液を長期間貯蔵しておくとゲル化したりして問題がある。
【0062】
更に微粒シリカを添加すると耐擦り傷性、塗膜密着性、耐食性が向上する。本発明において微粒シリカとは、微細な粒径をもつために水中に分散させた場合に安定に水分散状態を維持でき、半永久的に沈降が認められないような特色を有するシリカを総称していうものである。このような微粒シリカとしては、ナトリウムなどの不純物が少なく、弱アルカリ系のものであれば、特に限定されない。例えば、「スノーテックスN」(日産化学工業社製)、「アデライトAT−20N」(旭電化工業社製)などの市販のシリカなどを用いることができる。
【0063】
微粒シリカの含有量は固形分換算で、水性樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましい。10質量部未満では添加した効果が少なく、500質量部を超えると耐食性向上の効果が飽和して不経済である。
【0064】
また、必要に応じて界面活性剤、防錆抑制剤、発泡剤、顔料などを添加しても良い。更に密着性を向上させるために、エッチング性フッ化物を添加してもよい。エッチング性フッ化物としては、例えば、フッ化亜鉛四水和物、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛六水和物などを使用することができる。同じく、密着性を向上させる目的でシランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなどを挙げることができる。
【0065】
下地処理層の塗布方法は特別限定するものではなく、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬などが適用できる。塗布後の乾燥・焼き付けは、樹脂の重合反応や硬化反応を考慮して、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、等公知の方法或いはこれらを組み合わせた方法で行えばよい。また、使用する水性樹脂の種類によっては紫外線や電子線などによって硬化させることもできる。或いは強制乾燥を用いずに自然乾燥してもよいし、Zn−Mg−Al−Ti系合金めっき鋼板、或いは、Zn−Mg−Al−Si−Ti系合金めっき鋼板を予め加熱しておいて、その上に塗布して自然乾燥してもよい。
【0066】
下地処理層の乾燥後の付着量は10〜3000mg/mが好適である。10mg/m未満では密着性が劣り加工部の耐食性が不十分である。一方、3000mg/mを超えると不経済であるばかりか加工性も低下して耐食性も劣るようになる。
【0067】
本発明の塗装鋼板は下地処理したZn−Mg−Al−Ti系合金めっき鋼板、或いは、Zn−Mg−Al−Si−Ti系合金めっき鋼板の上に有機被覆層を有することを特徴としている。有機被覆としてはポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂などである。これらの混合物や共重合物も使用できる。また、これらにイソシアネート樹脂、アミノ樹脂、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等を補助成分として併用することができる。本発明によるプレコート鋼板は加工後に補修をされずにそのまま使用されるケースが多いので、厳しい加工が施される用途では、ポリエステル樹脂をメラミンで架橋する樹脂系、ポリエステル樹脂をウレタン樹脂(イソシアネート、イソシアネート樹脂)で架橋する樹脂系、塩化ビニル樹脂系、フッ素樹脂系(溶剤可溶型、アクリル樹脂との分散混合型)が望ましい。
【0068】
次に塗装鋼板の上層の有機被膜としては、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が例として挙げられ、特に限定されるものではないが、特に加工が厳しい製品に使用する場合、熱硬化型の樹脂塗膜が最も好ましい。熱硬化型の樹脂塗膜としては、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料等のポリエステル系塗料や、アクリル塗料が挙げられる。
【0069】
ポリエステル樹脂の酸成分の一部を脂肪酸に置き換えたアルキッド樹脂や、油で変性しないオイルフリーアルキッド樹脂に、メラミン樹脂やポリイソシアネート樹脂を硬化剤として併用したポリエステル系の塗料、及び各種架橋剤と組み合わせたアクリル塗料は、他の塗料に比べて加工性が良いため、厳しい加工の後にも塗膜に亀裂などが発生しないためである。
【0070】
膜厚は、0.2〜100μmが適正である。膜厚を0.2μm以上とした理由は、膜厚が0.2μm未満では耐食性が確保できないためである。また、膜厚を100μm以下とした理由は、膜厚が100μmを超えるとコスト面から不利になるためである。望ましくは、50μm以下である。有機被膜層は、単層でも複層でもかまわない。
【0071】
なお、本発明の方法に使用される有機被膜には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、無機粒子、顔料、有機潤滑などの添加剤を配合させる。
【0072】
有機被覆層は公知の方法で下地処理層の上に塗装される。例えば、ロールコーター、カーテンコーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであれば、これらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0073】
本発明の塗装鋼板で化成処理層と着色された有機層の間に、必要に応じて防錆顔料を添加した皮膜層を下塗り層として有することができる。この下塗り層は主に耐食性の向上を目的とするが、その他に成形加工性,耐薬品性なども考慮して設計される。下塗り層を構成する樹脂としては、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などをそのまま、或いは、組み合わせて使用できる。防錆顔料としては一般に公知のもの、例えば、▲1▼リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、等のリン酸系防錆顔料、▲2▼モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム、等のモリブデン酸系防錆顔料、▲3▼酸化バナジウムなどのバナジウム系防錆顔料、▲4▼カルシウムシリケートなどのシリケート系顔料、▲5▼水分散シリカ、ヒュームドシリカ、等の微粒シリカなどを用いることができる。
【0074】
防錆顔料の添加量は皮膜の固形分基準に1〜40質量%がよい。1質量%より少ないと耐食性の改良が十分でなく、40質量%を超えると加工性が低下して、加工時に有機被膜層の脱落が起こり、耐食性も劣るようになる。
【0075】
防錆顔料を含む下塗り層の塗布は一般に公知の方法でできる。例えば、ロールコート、カーテンコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、刷毛塗り、バーコートなどである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0076】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0077】
(実施例1)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜600℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、Nワイピングでめっき付着量を片面140g/mに調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表1に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表1に示す。
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。
【0078】
めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさは、めっき鋼板の表面をCMAでマッピングし、得られたAlのマッピングを使用して樹脂状晶の長径を測定した。測定は、5×5cmの範囲を行い、大きいものから順に5つの樹脂状晶の長径を測定し、その平均値を〔Al相〕の樹枝状晶の大きさとして使用した。
【0079】
次に、脱脂剤として日本パーカライジング(株)製FC−364Sを使用し、2質量%、60℃、10秒間浸漬し、その後、水洗、乾燥の工程で脱脂処理を行った。次いで、アクリルオレフィン樹脂100質量部に対しタンニン酸2.5質量部、シリカ30質量部含有させた下地処理材を塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して付着量200mg/mとした。乾燥時の到達板温は150℃とした。タンニン酸としては「タンニン酸AL」富士化学工業(株)製を使用した。シリカとしては「スノーテックスN」(日産化学工業製)を使用した。
【0080】
その上に、下塗り塗装として日本ペイント製P641プライマー塗料(ポリエステル樹脂系)の防錆顔料を表1に記載した防錆顔料(亜リン酸亜鉛、カルシウムシリケート、バナジン酸/リン酸混合系、モリブデン酸系)に変更したものをバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で最高到達板温が220℃となる条件で焼き付けて膜厚を5μmになるように調整した。下塗り塗装の上に、上塗り塗装として、日本ペイント製FL100HQ(ポリエステル樹脂系)をバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で到達板温が220℃となる条件で焼き付けて膜厚を15μmに調整した。
【0081】
以上のようにして作製した塗装鋼板に対して3T折り曲げ加工(原板を3枚はさんだ状態で180°の折り曲げ加工)を施し、加工部の塗膜密着性試験と耐食性試験を行った。塗膜密着性試験は、加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢い良く剥離したときの粘着テープへの塗膜の付着状況で評価した。評点は、試験した長さに対する付着した塗膜の長さの割合に基づき、0%以上2%未満を5、2%以上5%未満を4、付着量が5%以上30%を3、30%以上80%未満を2、80%以上を1、として評点4以上を合格とした。一方、耐食性の試験は、塩水噴霧(5%NaCl、35℃、2hr)→乾燥(60℃、30%RH、4hr)→湿潤(50℃、95%RH、2hr)からなるサイクル腐食試験を120サイクル行い、サイクル腐食試験後に加工部の赤錆発生面積率を目視で観察した。評点は、赤錆5%未満を5、赤錆5%以上10%未満を4、赤錆10%以上20%未満を3、20%以上30%未満を2、30%以上を1、として評点3以上を合格とした。
【0082】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0083】
評価結果を表1に示す。番号18は、Ti−Al系金属間化合物を含有しないため、Al相が成長し、鮮映性が不合格となった。番号19は、Tiの含有量が多すぎたため、Ti−Al系金属間化合物が表面に濃化し、鮮映性が不合格となった。番号20は、Mg、Al、Si、Tiが本発明の範囲外であるため、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な塗膜密着性、鮮映性、耐食性を示した。
【0084】
【表1】
Figure 2004292943
【0085】
(実施例2)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜600℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、Nワイピングでめっき付着量を片面140g/mに調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表2に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表2に示す。
【0086】
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔ZnMg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。
【0087】
めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさは、めっき鋼板の表面をCMAでマッピングし、得られたAlのマッピングを使用して樹脂状晶の長径を測定した。測定は、5×5cmの範囲を行い、大きいものから順に5つの樹脂状晶の長径を測定し、その平均値を〔Al相〕の樹枝状晶の大きさとして使用した。
【0088】
次に、脱脂剤として日本パーカライジング(株)製FC−364Sを使用し、2質量%、60℃、10秒間浸漬し、その後、水洗、乾燥の工程で脱脂処理を行った。次いで、アクリルオレフィン樹脂100質量部に対しタンニン酸2.5質量部、シリカ30質量部含有させた下地処理材を塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して付着量200mg/mとした。乾燥時の到達板温は150℃とした。タンニン酸としては「タンニン酸AL」富士化学工業(株)製を使用した。シリカとしては「スノーテックスN」(日産化学工業製)を使用した。
【0089】
塗装は、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料、アクリル塗料をそれぞれバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて表2に示す膜厚に調整した。
【0090】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0091】
塗膜密着性は、JIS B−7729に準ずるエリクセン試験機を使用して7mm押し出した加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢い良く剥離したときの押し出し部の外観を目視で判定した。目視で評価しにくい場合には、メチルバイオレットの3%アセトン溶液で染色し、染色された部分には被膜が存在し、染色されていない部分には被膜が存在しないとして密着性を評価した。評点は、剥離面積2%未満を5、2%以上20%未満を4、20%以上50%を3、50%以上80%未満を2、80%以上を1、として評点4以上を合格とした。
【0092】
耐食性は、JIS B−7729に準ずるエリクセン試験機を使用して7mm押し出した加工部をJIS Z−2371に準ずる塩水噴霧試験で72hr試験し、白錆が発生しなかったものを合格、白錆が発生したものを不合格とした。
【0093】
評価結果を表2に示す。番号29は、塗膜厚が本発明の範囲外であるため、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な塗膜密着性、鮮映性、耐食性を示した。
【0094】
【表2】
Figure 2004292943
【0095】
(実施例3)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに450℃のZn−Mg−Al−Si−Tiめっき浴で3秒溶融めっきを行い、Nワイピングでめっき付着量を片面140g/mに調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき層中組成は、Mg3%、Al11%、Si0.2%、Ti0.009%であった。
【0096】
めっき鋼板は、脱脂剤として日本パーカライジング(株)製FC−364Sを使用し、2質量%、60℃、10秒間浸漬し、その後、水洗、乾燥の工程で脱脂処理を行った。次いで、表3に示す組成の下地処理材を塗布し熱風乾燥炉で乾燥した。乾燥時の到達板温は150℃とした。タンニン酸としては「タンニン酸AL」富士化学工業(株)製、「BREWTAN」(オムニケム社製)、TANAL1(オムニケム社製)を使用した。シリカとしては「スノーテックスN、表中ではST−Nと記載」(日産化学工業製)を使用した。
【0097】
なお、比較材の鋼板は、塗布型のクロメート処理液に浸漬して、クロメート処理を行った。クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/mとした。
【0098】
次に、下塗り塗装として日本ペイント製P641プライマー塗料(ポリエステル樹脂系、表中の樹脂種はポリエステルとした)、日本ペイント製P108プライマー(エポキシ樹脂系、表中の樹脂種はエポキシとした)、日本ペイント製P304プライマー(ウレタン樹脂系、表中の樹脂種はウレタンとした)の防錆顔料を表2に記載した防錆顔料(亜リン酸亜鉛、カルシウムシリケート、バナジン酸/リン酸混合系、モリブデン酸系)に変更したものをバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で最高到達板温が220℃となる条件で焼き付けて膜厚を5μmになるように調整した。下塗り塗装の上に、上塗り塗装として、日本ペイント製FL100HQ(ポリエステル樹脂系)をバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉で到達板温が220℃となる条件で焼き付けて膜厚を15μmに調整した。
【0099】
以上のようにして作製した塗装鋼板に対して3T折り曲げ加工(原板を3枚はさんだ状態で180°の折り曲げ加工)を施し、加工部の塗膜密着性試験と耐食性試験を行った。塗膜密着性試験は、加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢い良く剥離したときの粘着テープへの塗膜の付着状況で評価した。評点は、試験した長さに対する付着した塗膜の長さの割合に基づき、0%以上2%未満を5、2%以上5%未満を4、付着量が5%以上30%を3、30%以上80%未満を2、80%以上を1、として評点4以上を合格とした。一方、耐食性の試験は、塩水噴霧(5%NaCl、35℃、2hr)→乾燥(60℃、30%RH、4hr)→湿潤(50℃、95%RH、2hr)からなるサイクル腐食試験を120サイクル行った。サイクル腐食試験後に加工部の赤錆発生面積率を目視で観察した。評点は、赤錆5%未満を5、赤錆5%以上10%未満を4、赤錆10%以上20%未満を3、20%以上30%未満を2、30%以上を1、として評点3以上を合格とした。
【0100】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0101】
評価結果を表3に示す。番号15、17はタンニン酸の含有量が本発明の範囲外であるため、加工部耐食性が不合格となった。番号16、18は下地処理層の付着量が本発明の範囲外であるため、加工部耐食性が不合格となった。番号27、28は下地処理層にクロメート処理を使用しているため環境負荷が大きく不合格となった。これら以外はいずれも良好な塗膜密着性、鮮映性、耐食性を示した。
【0102】
【表3】
Figure 2004292943
【0103】
(実施例4)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに520℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、Nワイピングでめっき付着量を片面140g/mに調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表4に示す。また、めっき鋼板を断面からSEMで観察し、めっき層の金属組織を観察した結果を同じく表4に示す。
【0104】
Ti−Al系金属間化合物は、めっき鋼板を10度傾斜で研磨した後、EPMAで観察し、〔Al相〕、〔Zn Mg相〕、〔Zn相〕の中に存在するものを観察した。また、〔Al相〕の中に存在するTi−Al系金属間化合物については、EPMAで観察し、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中への存在有無を観察した。更にTi−Al系金属間化合物のEPMA観察を行い、Ti−Al系金属間化合物のSi含有有無を観察した。
【0105】
次に、脱脂剤として日本パーカライジング(株)製FC−364Sを使用し、2質量%、60℃、10秒間浸漬し、その後、水洗、乾燥の工程で脱脂処理を行った。次いで、アクリルオレフィン樹脂100質量部に対しタンニン酸2.5質量部、シリカ30質量部含有させた下地処理材を塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して付着量200mg/mとした。乾燥時の到達板温は150℃とした。タンニン酸としては「タンニン酸AL」富士化学工業(株)製を使用した。シリカとしては「スノーテックスN」(日産化学工業製)を使用した。
【0106】
その上に、プライマーとしてエポキシポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を5μmに調整した。トップコートは、ポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を20μmに調整した。
【0107】
密着性は、デュポン衝撃試験後の塗装めっき鋼板に粘着テープを貼り、その後引き剥がし、めっき及び塗膜が剥離しなかった場合を○、めっき又は塗膜の剥離が10%未満の場合を△、めっき又は塗膜が10%以上剥離した場合を×とした。デュポン試験は先端に1/2インチの丸みを持つ撃ち型を使用し、1kgの重りを1mの高さから落下させて行った。
【0108】
加工後耐食性の評価は、3T折り曲げ加工(原板を3枚はさんだ状態で180°の折り曲げ加工)を施したサンプルの折り曲げ部について、CCT120サイクル後の赤錆発生状況を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は3以上を合格とした。
5:5%未満
4:5%以上10%未満
3:10%以上20%未満
2:20%以上30%未満
1:30%以上
評価結果を表4に示す。番号2はAlとSiの添加量が本発明の範囲外であるため密着性が不合格となった。これら以外はいずれも、密着性、加工後耐食性が良好な結果となった。特にSiを添加しためっき鋼板は良好な密着性と加工後耐食性を示した。
【0109】
【表4】
Figure 2004292943
【0110】
【発明の効果】
以上述べてきたように,本発明により,高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れ,環境負荷の大きなクロムを含有せずに,加工部の耐食性に優れる塗装鋼板を製造することが可能となり,工業上極めて優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のめっき鋼材のめっき層についての図面代用顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、(b)は写真中の各組織の分布状態を示す図である。
【図2】(a)は、図1の「Al″相」を拡大した図面代用顕微鏡写真(倍率3500倍)であり、(b)は写真中の各組織の分布状態を示す図である。

Claims (15)

  1. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  2. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  3. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の1種又は2種以上が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の1種又は2種以上の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  4. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕及び〔ZnMg相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔ZnMg相〕の1種又は2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  5. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕、〔ZnMg相〕及び〔Zn相〕の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  6. 鋼板の片面又は両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Ti:0.1質量%以下、Si:0.5質量%以下を含有し残部が亜鉛及び不可避的不純物よりなる亜鉛系めっき層を有し、その上に固形分として水性樹脂100質量部、タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部を含有する皮膜層を下地処理層として有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有する塗装鋼板の亜鉛系めっき層が〔Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織〕の素地中に〔MgSi相〕、〔Al相〕及び〔Zn相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕と〔Zn相〕の1種又は2種の中にTi−Al系金属間化合物を含有することを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  7. 請求項3乃至6のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、TiAlであることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  8. 請求項3乃至6のいずれかに記載のTi−Al系金属間化合物が、Ti(Al1−XSi(但し、X=0〜0.5である)であることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  9. めっき層中の〔Al相〕の中に含有されるTi−Al系金属間化合物が、Zn−Alの共析反応によって析出したZn相中に存在することを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  10. めっき層中の〔Al相〕の樹枝状晶の大きさが500μm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  11. 下地処理層の皮膜層に固形分として、微粒シリカ10〜500質量部を更に含有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  12. 有機被膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  13. 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる請求項1乃至12のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の有機皮膜中の防錆顔料がケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオン、モリブデン酸イオンのうち一種類以上を放出するものであることを特徴とする塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
  15. 下地処理層の乾燥後の付着量が10〜3000mg/mであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の塗膜密着性と鮮映性に優れ環境負荷の小さい高耐食性塗装鋼板。
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