JP4747625B2 - 耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、皮膜中に6価クロムを含有しない表面処理鋼板であって、自動車、家電、建材等の用途において優れた耐食性と耐疵付き性が得られる表面処理鋼板に関するものである。
家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした6価クロムを含有する処理液によるクロメート処理が施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメート処理は、優れた耐食性が得られ且つ比較的簡単に行うことができる経済的な処理方法である。
しかしながら、クロメート処理による皮膜は、公害規制物質である6価クロムを含有していることから、6価クロムを用いない表面処理鋼板が要望されている。
また、特に家電業界では作業環境を改善するために潤滑油塗布および脱脂工程を省略し、無塗装のまま成形加工される場合が多くなっている。そこで、潤滑性や耐磨耗性の良好な有機樹脂皮膜を有する表面処理鋼板や、さらにワックスを有機樹脂皮膜中に添加した表面処理鋼板が開発されている。
具体的には、以下のようなものを挙げることができる。
(1)ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系樹脂にワックスを分散させた皮膜を形成する方法(例えば、特許文献1、特許文献2)
(2)二層皮膜の上層に、ガラス転移温度の異なる2種類の溶剤系の熱硬化型樹脂を用いて皮膜を形成する方法(例えば、特許文献3)
(3)水性樹脂とシランカップリング剤とリン酸化合物を含有する皮膜を下層成分として、その上層にポリオレフィンワックスディスパージョンを含有する有機樹脂皮膜を形成する方法(例えば、特許文献4)
(4)ウレタン樹脂と硬化剤とシリカとポリオレフィンワックスを含む水系金属表面処理組成物による皮膜を形成させる方法(例えば、特許文献5)
特開平10−23747号公報 特開2000−52478号公報 特開2003−239081号公報 特許3464652号公報 特開2000−239690号公報
しかしながら、これらの従来技術には以下に述べるような問題点がある。
上記(1)の方法は、亜鉛めっき表面にクロメート皮膜を形成することを前提とするため、皮膜中に6価クロムを含有しないという条件を満たさない。
上記(2)の方法では、耐疵付き性として加工(特にプレス加工)時の皮膜剥離や剥離部黒化の低減効果は得られるが、溶剤系樹脂を用いるため、塗料が塗膜化される時に揮発性有機物(VOC)が揮散し、環境および作業上好ましくない。
上記(3)の方法は、ポリオレフィンワックスディスパージョンを使用することにより耐疵付き性の改善を狙ったものであるが、耐疵付き性は全表面を覆う有機樹脂による効果が大きく、皮膜中に点在しているポリオレフィンワックスの効果は小さいため、十分な耐疵つき性は得られない。
上記(4)の方法は、ポリオレフィンワックスに加えて耐磨耗性に優れるウレタン系樹脂を用いることで耐疵付き性への効果は大きいが、ウレタン系樹脂とシリカとポリオレフィンワックスでは防錆効果はほとんど得られず、耐食性が十分ではない。
以上のように、従来技術では、耐食性と耐疵付き性を兼ね備えたクロムフリーの表面処理鋼板は得られていない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、皮膜中に6価クロムを含有することなく優れた耐食性と耐疵付き性を有する表面処理鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、優れた耐食性と耐疵付き性を両立させるには、第1層皮膜としてめっき皮膜表層を不活性化させた有機・無機複合層を、第2層皮膜として第1層皮膜との間の強固な密着性と潤滑性を兼ね備えた有機皮膜を形成した二層皮膜構造が最も効果的であることを見出した。すなわち、第1層皮膜を水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤を含有する表面処理組成物により形成し、第2層皮膜を水溶性または水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と硬化剤とシリカとワックスとを特定の割合で含有する塗料組成物で形成することにより、上記のような複合的な機能が発揮され、優れた耐食性と耐疵付き性が得られることが判った。また、第1層皮膜中にさらにCoの金属化合物を配合することにより、耐食性がさらに改善されるとともに、湿潤環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一種)が抑制されることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤とCoの金属化合物を含有するとともに、前記水性樹脂の固形分100質量部に対して、前記シランカップリング剤の含有量が15〜50質量部、前記リン酸化合物の含有量が5〜40質量部、前記Coの金属化合物の含有量が0.5〜20質量部であり、前記シランカップリング剤の反応性官能基がアミノ基であり、前記水性樹脂がエポキシ系樹脂である表面処理組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、乾燥することにより形成された第1層皮膜を有し、その上部に、(a)水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と、(b)硬化剤と、(c)シリカと、(d)ワックスを含有し、これら(a)〜(d)の合計固形分質量に対して(a)+(b)、(c)、(d)の固形分質量割合がそれぞれ(a)+(b):50〜95質量%、(c):3〜40質量%、(d):2〜20質量%であり、且つ(a)と(b)の固形分質量比が(a)/(b)=4〜49である塗料組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、乾燥することにより形成された第2層皮膜を有し、且つ前記第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚が0.1〜5μmであることを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
[2]上記[1]の表面処理鋼板において、第2層皮膜用の塗料組成物において、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)は、樹脂固形分中でのウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%であり、硬化剤(b)は、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、アジリジニル基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物であることを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
[3]上記[1]または[2]の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板のめっき皮膜中のNi含有量が20〜1000ppmであることを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
[4]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤とCoの金属化合物を含有するとともに、前記水性樹脂の固形分100質量部に対して、前記シランカップリング剤の含有量が15〜50質量部、前記リン酸化合物の含有量が5〜40質量部、前記Coの金属化合物の含有量が0.5〜20質量部であり、前記シランカップリング剤の反応性官能基がアミノ基であり、前記水性樹脂がエポキシ系樹脂である表面処理組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、到達板温が30〜300℃となる温度で乾燥することにより第1層皮膜を形成し、その上部に、(a)水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と、(b)硬化剤と、(c)シリカと、(d)ワックスを含有し、これら(a)〜(d)の合計固形分質量に対して(a)+(b)、(c)、(d)の固形分質量割合がそれぞれ(a)+(b):50〜95質量%、(c):3〜40質量%、(d):2〜20質量%であり、且つ(a)と(b)の固形分質量比が(a)/(b)=4〜49である塗料組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、到達板温が50〜350℃となる温度で乾燥することにより第2層皮膜を形成し、且つ前記第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚が0.1〜5μmとなるように表面処理組成物と塗料組成物を塗布することを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[5]上記[4]の製造方法において、第2層皮膜用の塗料組成物において、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)は、樹脂固形分中でのウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%であり、硬化剤(b)は、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、アジリジニル基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物であることを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
本発明の表面処理鋼板は、皮膜中に6価クロムを含有することなく、優れた耐食性と耐疵付き性を有する。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)などを用いることが可能である。さらに、これらのめっき鋼板のめっき層に少量の異種金属元素あるいは不純物としてニッケル、コバルト、マンガン、鉄、モリブデン、タングステン、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅の1種または2種以上を含有しためっき鋼板および/またはシリカなどの金属酸化物、ポリマーなどを分散しためっき鋼板(例えば、Zn−SiO分散めっき鋼板)などを用いることもできる。
また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることもできる。
また、亜鉛系めっき鋼板のめっき皮膜は、Niを20〜1000ppm、より好ましくは25〜800ppm程度含有することが望ましい。ここで、Ni含有量が20ppm未満では耐黒変性が十分でなく、一方、1000ppmを超えると第1層及び第2層皮膜形成後の色調(L値)が低下するため、無塗装のまま使用する場合には適さなくなる。
本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板を用いることができる。
また、めっき鋼板としては鋼板面にあらかじめNiなどの薄目付けのめっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっきの方法としては、電解法(水溶液中での電解、非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法も採用することができる。
また、表面処理皮膜をめっき皮膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないようにするため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調整処理、酸性の表面調整処理)等の処理を施しておくことができる。
また、表面処理鋼板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、必要に応じてあらかじめめっき表面に鉄族金属イオン(Niイオン,Coイオン,Feイオン)を含む酸性またはアルカリ性水溶液による表面調整処理を施しておくこともできる。
また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄族金属イオン(Niイオン,Coイオン,Feイオンの1種以上)を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中の鉄族金属濃度の上限については特に限定はない。
次に、上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜(第1層皮膜)について説明する。
本発明の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される第1層皮膜は、水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤を含有する、好ましくはこれらを主成分とする表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜である。この第1層皮膜用の表面処理組成物は、6価クロムを含有しない。
ここで、水性樹脂とは水溶性樹脂の他にエマルジョンやディスパージョンのように水不溶性の樹脂が水中に分散された水分散性樹脂を含む。使用できる水性樹脂に特別な制限はなく、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリル−エチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂、フッ素樹脂等の1種または2種以上を用いることができる。但し、耐食性の観点からは、OH基および/またはCOOH基を有する有機高分子樹脂を用いることが好ましく、なかでもエポキシ樹脂が下地金属および上層皮膜との密着性を著しく向上させることができるため、特に好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらのシランカップリング剤を含む皮膜が耐食性に優れる理由としては、水溶液中のシランカップリグ剤が加水分解することにより生じたシラノール基(Si−OH)がめっき皮膜表面と水素結合をし、さらには脱水縮合反応により優れた密着性を付与することが考えられる。
また、上記シランカップリング剤の中でも、反応性官能基としてメルカプト基やグリシジル基などを有するシランカップリング剤よりも、アミノ基を有するシランカップリング剤が特に好ましい。この理由は、アミノ基が他の官能基に比べてめっき金属との吸着性が高いためであると考えられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製「KBM−903」、「KBE−903」、「KBM−603」、「KBE−602」、「KBE−603」(いずれも商品名)などを用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、上記水性樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは15〜50質量部とするのが適当である。シランカップリング剤の配合量が1質量部未満では耐食性が劣り、一方300質量部を超えると十分な皮膜が形成できないため、水性樹脂との密着性とバリア性を高める効果が発揮できず耐食性が低下する。
リン酸化合物としては、リン酸イオンの骨格や縮合度等に関する制限はなく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、ポリリン酸とそれらの塩を使用できる。このリン酸化合物は、不活性なめっき皮膜表面に作用して金属表面を活性化させる作用を有する。そして、このように活性化されためっき金属表面と皮膜形成樹脂との密着性がシランカップリング剤を介して著しく向上する結果、耐食性が顕著に改善されるものと考えられる。
リン酸化合物の配合量は、上記水性樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部とするのが適当である。リン酸化合物の配合量が0.1質量部未満では耐食性が劣り、一方、50質量部超では皮膜形成後の外観ムラが生じやすい。
表面処理組成物には、耐食性と耐黒変性の向上を目的として、さらにCoの金属化合物を配合することが好ましい。Coの金属化合物としては、例えば、硝酸Co、硫酸Co、塩化Coなどの金属塩を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。Coの金属化合物の配合量は、水性樹脂の固形分100質量部に対して、0.01〜50質量部、好ましくは0.5〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部とするのが適当である。Coの金属化合物の配合量が0.01質量部未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、50質量部を超えると処理液との反応性が強くなり、外観ムラを生じやすくなる。
第1層皮膜の乾燥膜厚は、好ましくは0.01μm以上5μm未満、より好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.3〜2μmとすることが適当である。乾燥膜厚が0.01μm未満では耐食性が不十分となりやすく、一方、5μm以上では導電性が低下する。
次に、上記第1層皮膜の上部に形成される第2層皮膜(有機系皮膜)について説明する。
この第2層皮膜は、(a)水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と、(b)硬化剤と、(c)シリカと、(d)ワックスとを特定の割合で含有する、好ましくはこれらを主成分とする塗料組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜である。この第2層皮膜用の塗料組成物は、6価クロムを含有しない。
皮膜の基体樹脂であるウレタン変性アクリル樹脂は、水溶性、水分散性のいずれでもよく、また両樹脂を併用してもよい。
アクリル樹脂をウレタン変性する方法は特に限定されないが、例えば、下記(I)に示す方法でアクリルポリオールの合成を行い、この合成したアクリルポリオールを用いて、下記(II)に示す方法でウレタン変性アクリル樹脂を合成することができる。
(I)アクリルポリオールの合成
水酸基を有するアクリル単量体と水酸基を有しないアクリル単量体とのアクリル共重合体であるアクリルポリオールを作製する。水酸基を有するアクリル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、水酸基を有しないアクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、N−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
(II)ウレタン変性アクリル樹脂の合成
ウレタン変性アクリル樹脂の合成方法は特に限定されないが、例えば、以下のような方法がある。ここで、ウレタン変性アクリル樹脂とは、アクリルポリオールと低分子ポリオレフィン系ポリオールとイソシアネート化合物との重合物のことを指す。
イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4′−ビフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、およびテトラメチルキシレンジイソシアネート等のポリイソシアネート或いはこれらのポリイソシアネートから得られる誘導体が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
イソシアート化合物は、必要に応じてイソシアート基を保護するためのマスクをすることが可能であり、そのブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチルなど)、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸エチルなど)等の活性メチレン化合物;アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)等のオキシム化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘプチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等の1価アルコールまたはこれらの異性体;メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール誘導体;ジシクロヘキシルアミン等のアミン化合物などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記ブロックイソシアネートを得るためのブロック化反応は、公知の反応方法により行われる。ブロック化剤の添加量は、通常、遊離イソシアネート基に対して1.0〜2.0当量、好ましくは1.05〜1.5当量が適当である。
通常のイソシアネート化合物のブロック化反応は、最終の反応でブロック化剤を添加する方法をとる。また、ポリウレタンをブロック化反応する場合、ブロック化剤は任意の段階で添加し反応させ、ブロックポリイソシアネートを得ることができる。
水溶性または水分散性のウレタン変性アクリル樹脂(a)は、樹脂固形分中でのウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%であることが望ましい。ウレタン成分の固形分質量割合が10質量%未満では、ウレタン樹脂に特有の優れた耐磨耗性が得られにくい。一方、50質量%を超えると、ウレタン樹脂の合成に不可欠であるイソシアネート化合物の使用量が増加し、このイソシアネート化合物は高価であるため経済的でない。
硬化剤(b)は皮膜を十分に架橋させるために添加するものであり、その架橋によって優れた耐食性と耐溶剤性を得ることができる。使用する硬化剤の種類に特別な制限はないが、親水基であるアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を有するアミン類、多価アルコール、多塩基酸等よりも、親水基ではないエポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、アジリジニル基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を用いることが特に好ましい。
また、硬化剤としてエポキシ化合物を用いた場合、エポキシ樹脂自体の耐薬品性(酸やアルカリ、溶剤等に対する耐薬品性)と接着性のため、得られる皮膜の耐薬品性と塗装密着性が向上する。さらに、第1層皮膜中にエポキシ系樹脂が含まれる場合において、第2層皮膜に硬化剤としてエポキシ化合物を含有させれば密着性を飛躍的に向上させることが可能である。また、下地めっき金属との密着性とともに、第1層皮膜と第2層皮膜の密着性を強固にすることで、腐食因子の遮蔽効果が発揮され、耐食性向上にも寄与する。
水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)+硬化剤(b)+シリカ(c)+ワックス(d)の合計固形分質量(以下、「(a)〜(d)の合計固形分質量」という)に対して、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)と硬化剤(b)を合計した固形分質量割合は50〜95質量%、好ましくは55〜75質量%とする。この質量割合が50質量%未満ではバインダー効果が不十分であるため目的とする耐食性が得られない。また、95質量%を超える場合も目的とする耐食性が得られない。
また、硬化剤(b)は、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)との固形分質量比が(a)/(b)=4〜49となるように配合する。この固形分質量比が4未満では、ベース樹脂である水溶性または水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)の特性を十分に発揮させることができず、また、ベース樹脂と未反応の硬化剤が残存して可塑剤的役割をするため、耐食性および塗装密着性が低下する。一方、固形分質量比が49を超えると硬化剤を配合することによる効果が乏しくなる。
シリカ(c)は耐食性向上のために添加する。シリカの種類の特に制限はなく、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどの1種以上を用いることができる。シリカ(c)の配合量は、(a)〜(d)の合計固形分質量に対する固形分質量割合で3〜40質量%とする。シリカの配合割合が3質量%未満では耐食性の向上効果が小さく、一方、40質量%を超えると樹脂のバインダー効果が小さくなり、この場合も耐食性が低下する。なお、シリカの粒径および種類については、本発明では特に限定するものではない。
ワックス(d)は潤滑成分として耐疵付き性を向上させる。ワックスの種類に特別な制限はなく、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸エステルワックス、脂肪酸アミドワックス或いはこれらの部分けん化物、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素、エチレンアクリルコポリマーワックスなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
ワックスの平均粒径は0.05〜3.0μmが好ましい。平均粒径が0.05μ未満では加工性が不十分となりやすい、一方、3.0μmを超えると固体化したワックスの分布が不均一となりやすい。
また、ワックスの融点は50〜160℃が好ましい。ワックスの融点が50℃未満では、夏場の作業環境においてワックス自体が溶融し、ワックス本来の潤滑性が発揮されないため、耐疵付き性が低下する。一方、ワックスの融点が160℃を超えるとワックス自体のもつ潤滑性が発揮されないため、この場合も耐疵付き性が低下する。なお、ワックス粒子の形状としては、真球状のものが高度な加工性を得るためにより好ましい。
ワックス(d)の配合量は、(a)〜(d)の合計固形分質量に対する固形分質量割合で2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%とする。ワックスの配合割合が2質量%未満では成形加工性向上効果が小さく、一方、20質量%を超えると成形加工時にプレス装置やその周辺にワックスが飛散するため作業環境上好ましくなく、耐食性も低下する。
なお、本発明で用いる第1層皮膜用の表面処理組成物と第2層皮膜用の塗料組成物には、被塗面に均一な皮膜を形成するための濡れ性向上剤と呼ばれる界面活性剤や増粘剤、導電性を向上させるための導電性物質、意匠性向上のための着色顔料、造膜性向上のための溶剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
第2層皮膜の乾燥膜厚は、好ましくは0.01μm以上5μm未満、より好ましくは0.1〜0.3μm、さらに好ましくは0.3〜2μmとすることが適当である。乾燥膜厚が0.01μm未満では耐疵付き性が不十分となりやすく、一方、5μm以上では導電性が低下する。
本発明では、第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚(乾燥膜厚)は0.1〜5μmとする。合計膜厚が0.1μm未満では耐食性、耐疵付き性のいずれかが不十分になりやすく、一方、5μm超では導電性が低下する。
次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、先に述べた第1層皮膜形成用の表面処理組成物(処理液)を塗布し、到達板温が30〜300℃となる温度で乾燥することにより第1層皮膜を形成し、その上部に、これも先に述べた第2層皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、到達板温が50〜350℃となる温度で乾燥することにより第2層皮膜を形成し、且つ前記第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚が0.1〜5μmとなるように表面処理組成物と塗料組成物を塗布する。
めっき鋼板の表面は、上記表面処理組成物を塗布する前に必要に応じてアルカリ脱脂処理し、さらに密着性、耐食性を向上させるために表面調整処理等の前処理を施すことができる。
めっき鋼板表面に第1層皮膜形成用の表面処理組成物を所定範囲の膜厚(乾燥膜厚で、好ましくは0.01μm以上5μm未満、より好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.3〜2μm)になるように塗布する。表面処理組成物(処理液)はpH0.5〜6、好ましくは1〜4に調整することが望ましい。表面処理組成物のpHが0.5未満では処理液の反応性が強すぎるため外観ムラが生じやすく、一方、pHが6を超えると処理液の反応性が低くなり、めっき金属と皮膜との結合が不十分となり、耐食性が低下しやすい。
表面処理組成物をめっき鋼板面に塗布する方法としては、所謂塗布法、浸漬法、スプレー法等の任意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
表面処理組成物を塗布した後は、水洗することなく加熱乾燥を行う。加熱乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱処理は、到達板温で30℃〜300℃、好ましくは40℃〜250℃の範囲で行うことが適当である。この加熱温度が30℃未満では皮膜中の水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。また、300℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じ耐食性が低下するおそれがある。
以上のようにして第1層皮膜を形成した後、その上部に、第2層皮膜形成用の塗料組成物(処理液)を所定の膜厚(乾燥膜厚で、好ましくは0.01μm以上0.5μm未満、より好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.3〜2μmになるように塗布する。この塗料組成物を塗布する方法としては、所謂塗布法、浸漬法、スプレー法等の任意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
塗料組成物を塗布した後は、通常は水洗することなく加熱乾燥を行うが、塗料組成物の塗布後に水洗工程を実施しても構わない。
加熱乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱処理は、到達板温で50〜350℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが適当である。この加熱温度が50℃未満では皮膜中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。また、350℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
なお、以上述べた第1層皮膜+第2層皮膜は、めっき鋼板の片面にのみ形成してもよいし、両面に形成してもよい。
第1層皮膜形成用として、表1に示す水性樹脂、表2に示すシランカップリング剤、表3に示すリン酸化合物および表4に示す金属化合物を適宜配合した表面処理液(水溶液)を調製した。また、第2層皮膜形成用として、表5に示す水性樹脂、表6に示す硬化剤、表7に示すシリカおよび表8に示すワックスを適宜配合した塗料組成物を調製した。また、処理原板としては表9に示す各種めっき鋼板を用いた。
めっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗・乾燥した後、上記第1層皮膜形成用の処理液で処理(塗布)し、各種温度で乾燥させた。次いで、その上部に、上記第2層皮膜形成用の塗料組成物を塗布し、各種温度で乾燥させ、発明例および比較例の表面処理鋼板を得た。なお、第1層及び第2層皮膜の膜厚は、皮膜組成物の固形分(加熱残分)や処理時間等により調整した。
得られた表面処理鋼板の耐白錆性、耐疵付き性及び塗料密着性を評価した結果を、皮膜構成とともに表10〜17に示す。各品質性能の測定及び評価方法は、以下の通りである。
(1)耐白錆性
各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を施し、120時間および240時間経過後の白錆面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上、10%未満
○−:白錆面積率10%以上、25%未満
△ :白錆面積率25%以上、50%未満
× :白錆面積率50%以上
(2)耐疵付き性
ラビングテスター(太平理化工業(株)製)を用いて試験片を段ボールでラビング後、試験片の表面を目視で観察し、下記評価基準にしたがって評価した。なお、試験は押し付け荷重500g、摺動距離60mm、速度120mm/s、ラビング回数1000回で行った。
◎:疵の本数が0本
○:疵の本数が1〜2本
△:疵の本数が3〜10本
×:疵の本数が11本以上
(3)塗料密着性
各サンプルについて、メラミン系の焼き付け塗料(膜厚30μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個、1mm間隔)のカットを入れて接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:剥離なし
○:剥離面積率5%未満
△:剥離面積率5%以上、20%未満
×:剥離面積率20%以上
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なお、表10〜表17において、*1〜*10は下記内容を指す。
*1:表9に記載のめっき鋼板No.
*2:表1に記載の水性樹脂No.
*3:表2に記載のシランカップリング剤No.
*4:表3に記載のリン酸化合物No.
*5:表4に記載の金属化合物No.
*6:表5に記載の水性樹脂No.
*7:表6に記載の硬化剤No.
*8:表7に記載のシリカNo.
*9:表8に記載のワックスNo.
*10:質量部(但し、「水性樹脂」のみ固形分の質量部)
*11:固形分の質量%
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Claims (5)

  1. 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤とCoの金属化合物を含有するとともに、前記水性樹脂の固形分100質量部に対して、前記シランカップリング剤の含有量が15〜50質量部、前記リン酸化合物の含有量が5〜40質量部、前記Coの金属化合物の含有量が0.5〜20質量部であり、前記シランカップリング剤の反応性官能基がアミノ基であり、前記水性樹脂がエポキシ系樹脂である表面処理組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、乾燥することにより形成された第1層皮膜を有し、その上部に、(a)水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と、(b)硬化剤と、(c)シリカと、(d)ワックスを含有し、これら(a)〜(d)の合計固形分質量に対して(a)+(b)、(c)、(d)の固形分質量割合がそれぞれ(a)+(b):50〜95質量%、(c):3〜40質量%、(d):2〜20質量%であり、且つ(a)と(b)の固形分質量比が(a)/(b)=4〜49である塗料組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、乾燥することにより形成された第2層皮膜を有し、且つ前記第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚が0.1〜5μmであることを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
  2. 第2層皮膜用の塗料組成物において、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)は、樹脂固形分中でのウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%であり、硬化剤(b)は、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、アジリジニル基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
  3. 亜鉛系めっき鋼板のめっき皮膜中のNi含有量が20〜1000ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板。
  4. 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、水性樹脂とリン酸化合物とシランカップリング剤とCoの金属化合物を含有するとともに、前記水性樹脂の固形分100質量部に対して、前記シランカップリング剤の含有量が15〜50質量部、前記リン酸化合物の含有量が5〜40質量部、前記Coの金属化合物の含有量が0.5〜20質量部であり、前記シランカップリング剤の反応性官能基がアミノ基であり、前記水性樹脂がエポキシ系樹脂である表面処理組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、到達板温が30〜300℃となる温度で乾燥することにより第1層皮膜を形成し、その上部に、(a)水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂と、(b)硬化剤と、(c)シリカと、(d)ワックスを含有し、これら(a)〜(d)の合計固形分質量に対して(a)+(b)、(c)、(d)の固形分質量割合がそれぞれ(a)+(b):50〜95質量%、(c):3〜40質量%、(d):2〜20質量%であり、且つ(a)と(b)の固形分質量比が(a)/(b)=4〜49である塗料組成物(但し、6価クロムを含有しない)を塗布し、到達板温が50〜350℃となる温度で乾燥することにより第2層皮膜を形成し、且つ前記第1層皮膜と第2層皮膜の合計膜厚が0.1〜5μmとなるように表面処理組成物と塗料組成物を塗布することを特徴とする耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
  5. 第2層皮膜用の塗料組成物において、水溶性ウレタン変性アクリル樹脂または/および水分散性ウレタン変性アクリル樹脂(a)は、樹脂固形分中でのウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%であり、硬化剤(b)は、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、アジリジニル基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項4に記載の耐食性と耐疵付き性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
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