JP5103096B2 - 端面の耐食性に優れる塗装鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は端面の耐食性が良好な塗装鋼板に関する。
建材、自動車、家電などの各分野で使用される鋼板は、用途に応じたサイズに裁断された後、所定形状に成形加工される。一般に前記鋼板は、表面処理皮膜として防錆顔料を含む塗膜が表面に設けられているため、塗装鋼板の平坦部や加工部では当初の耐食機能(防錆機能)が維持される。しかし、塗装鋼板の切断端面は鋼素地(下地鋼)が露出しているため赤錆が発生しやすい。
前記塗装鋼板が、亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板などのめっき鋼板を素材とする場合でも、切断端部にはめっき層のない鋼素地が露出した部分が存在する。そのため切断端部には赤錆が発生する。特にアルミニウムめっき鋼板はアルミニウムが不動態化しやすいため、端面部分で露出した鉄地への犠牲防食効果が期待できず、亜鉛めっき鋼板と比べ、赤錆が発生しやすい。このように発生した赤錆は切断端面から赤錆流れとなって外観を著しく劣化させる。
このような切断端面での赤錆発生を抑制するために、スプレーや刷毛などを用いて切断端面を塗装する方法、あるいは切断端面に防錆油を塗布する方法が採用されている。しかし、所定サイズに切断した鋼板の切断端面を含む表面に塗装を施す方法は作業性・生産性に劣る。また鋼板の形状によっては塗料を均一に塗布することが難しいことから、切断端面に塗膜の欠陥部(塗膜切れ)が生じやすい。従ってその部分から赤錆が発生してしまうことがある。
防錆油を塗布する方法においても同様の問題があり、さらに防錆油の塗布により鋼板がべたついて、取り扱いが困難になるという問題もある。
一方、切断端面での耐食性を鋼板表面に形成した塗膜によって改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、クロメート処理後の鋼板表面に、珪酸ナトリウム(NaO・xSiO)、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)等の塩基性アルカリ金属塩を含有する塗膜を設ける方法が開示されている。塩基性アルカリ金属塩は、塩化物イオン等が微細疵部に侵入することを遮断するため、当該塗装鋼板の端面は耐食性に優れるとされている。
また特許文献2には、水への溶解度の低いストロンチウムクロメートと、ストロンチウムクロメートに表面処理を施し、水への溶解度をさらに低下させたものを含む塗料で下塗り塗装を施した塗装鋼板が開示されている。水への溶解度の低い防錆顔料は長期間下塗り層に残留するため、クロム酸を長期にわたり下塗り層から溶出させることができ、これにより長期防錆力発揮できるとされている。
特開平8−13156号公報 特開平8−176846号公報
特許文献1、2に記載されている技術は、屋外使用環境において塗膜から溶出した物質を切断端面に作用させ、当該端面での赤錆発生を抑制する。しかしながら、特許文献1、2に記載されている技術は6価クロムの使用が必要であり、環境適合性が悪いという問題があった。
また、発明者らは予備的に特許文献1に示されているリン酸水素ナトリウムを含む塗膜を設けた塗装鋼板について端面の耐食性試験を行ったところ、耐食効果が十分でないことを見出した。当該塗膜に含まれるリン酸水素ナトリウムは、25℃の純水に対する溶解度が0.83mol/kg=830mmol/L(化学便覧 基礎編II、151頁、丸善株式会社)とかなり高いため、塗膜からの溶出が早すぎて十分な耐食効果が得られないと推察された。
以上から本発明は端面の耐食性に優れた塗装鋼板を提供することを目的とする。
発明者らは鋭意研究の結果、純水に対する溶解度が特定の範囲にあるリン酸塩または亜リン酸塩を複数用いた塗膜を鋼板表面に形成することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題は以下の本発明により解決される。
[1]鋼板の上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は、(A)25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩、および(B)25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩を含む塗装鋼板。
[2]前記塗膜中の、(A)成分の亜リン酸塩およびリン酸塩の合計のモル数と前記(B)成分の亜リン酸塩およびリン酸塩の合計のモル数の比が、0.1〜4.0である[1]に記載の塗装鋼板。
[3]前記(B)成分の亜リン酸塩またはリン酸塩の平均粒径をDb、前記塗膜の平均厚みをTとするとき、Db/Tの値が1以上3未満である[1]または[2]に記載の塗装鋼板。
[4]前記(B)成分が、SrHPO、MgHPO、MnHPO、CaHPOである[1]〜[3]いずれかに記載の塗装鋼板。
[5]前記鋼板はアルミニウムめっき鋼板である[1]〜[4]いずれかに記載の塗装鋼板。
本発明により端面の耐食性に優れた塗装鋼板が提供できる。
1.塗装鋼板
本発明の塗装鋼板は、鋼板の上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜は(A)25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩、および(B)25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩を含むことを特徴とする。
塗装鋼板とは鋼板表面に塗膜を有する鋼板である。塗膜とは鋼板表面に塗料を塗布して(塗装して)得られる膜である。
(1)鋼板
鋼板とは板状の鋼である。鋼板の例には、冷圧延鋼板や、溶融めっき、電気めっき、蒸着めっきなどが施されためっき鋼板が含まれる。溶融めっき鋼板の例には、溶融Zn浴、溶融Zn−Al合金浴、溶融Zn−Al−Mg合金浴、溶融Zn−Mg合金浴、溶融Zn−Ni合金浴、溶融Al浴、溶融Al−Si合金浴などを用い、連続めっきまたは浸漬めっきにより得られるものが含まれる。さらに溶融めっき後に合金化処理した合金化溶融めっき鋼板を用いてもよい。
電気めっき鋼板の例には、通常の電気Znめっき液、電気Zn合金めっき液、電気Cuめっき液、電気Snめっき液などを用い連続めっき、または浸漬めっき(個別電気めっき法)により得られるものが含まれる。
本発明に用いられる鋼板は、溶融メッキ鋼板であることが好ましく、中でもアルミニウム溶融メッキ鋼板であることが好ましい。前述のとおりアルミニウム溶融メッキ鋼板は、溶融亜鉛メッキ鋼板に比べて犠牲防食効果が低いため、本発明の効果が発現しやすいからである。メッキ層は塗装原板の片面あるいは両面に設けられていればよいが、本発明の塗膜が設けられる面に設けてあることが好ましい。
また本発明に用いられる鋼板は、耐食性や密着性を向上させる前処理として、アルカリ溶剤などを用いた脱脂処理やリン酸塩処理などの化成処理が施されていてもよい。
(2)塗膜
塗膜は高分子化合物を主成分とする。高分子化合物とは、多数個の原子が共有結合により次々と結合(重合)してできた分子量の大きな化合物の総称であり、ポリマーともいう。高分子化合物の例には、有機化合物が重合してなる有機系高分子化合物、無機化合物が重合してなる無機系高分子化合物がある。
高分子化合物は塗膜のマトリックスとなる材料であり、公知のものを用いることができる。好ましい高分子化合物の例には、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、ポリビニルアルコール、フェノール等の有機系高分子化合物が含まれる。
本発明の塗膜は、(A)25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩、および(B)25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩を必須成分とする。本発明において「〜」はその両端の数値を含む。
リン酸塩とはオルトリン酸(HPO)の塩である。その例には、MHPO、MHPO、MPOで表される化合物(Mは一価の金属イオン)、XHPO、X(POで表される化合物(Xは二価の金属イオン)が含まれる。
亜リン酸塩とはホスホン酸(HPO)の塩である。その例には、MPO、MHPO(Mは一価の金属イオン)、XHPOで表される化合物(Xは二価の金属イオン)が含まれる。
以下に各成分について詳しく説明する。
(A)低水溶性のリン酸塩または亜リン酸塩
本発明の塗膜は、(A)成分として25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩(「低水溶性リン酸塩等」という)を含む。溶解度とは、その物質が一定の量の溶媒に解ける物質量である。本発明においては25℃において、純水1Lに対する溶解する物質のモル数で規定される。溶解度は定法により測定してよいが、ICP−AES法やイオンクロマトグラフ法で測定することが好ましい。
25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩の例には、MgHPO(前記溶解度が0.21mmol/L)、CaHPO(前記溶解度が1.5mmol/L)、ZnHPO(前記溶解度が1.2mmol/L)、Mg(PO(前記溶解度が0.76mmol/L)が含まれる。これらの化合物は1種用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
(B)高水溶性のリン酸塩または亜リン酸塩
本発明の塗膜は、(B)成分として25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩(「高水溶性リン酸塩等」という)を含む。25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩の例には、SrHPO(前記溶解度が63mmol/L)、MgHPO(前記溶解度が23mmol/L)、MnHPO(前記溶解度が20mmol/L)、CaHPO(前記溶解度が83mmol/L)が含まれる。
これらの化合物は1種用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記(A)および(B)のリン酸塩または亜リン酸塩(「リン酸塩等」という)が併用される。これらのリン酸塩等は水への溶解性が異なるため、これらを含有する塗膜を設けた当該鋼板は、屋外等で暴露されたときに塗膜から溶出するリン酸塩等の速度が異なる。このため長期にわたって端面の耐食効果を発現できる。この耐食効果の発現メカニズムに関しては後に詳しく説明する。
前記(A)成分の合計のモル数と前記(B)成分の合計のモル数の比(「A/B比」という)は0.1〜4.0であることが好ましい。前記A/B比がこの範囲にあると、後述するようにこれらのリン酸塩等を含む塗膜を有する塗装鋼板の端面の耐食性に優れるからである。前記A/B比は0.7〜3.3であることがより好ましい。
前記(A)成分と前記(B)成分の合計の配合量は、塗装鋼板としたときの耐食性を発現できる範囲であれば特に限定されないが、乾燥塗膜中2〜50質量%とすることが好ましい。乾燥塗膜とは揮発分をほとんど含まない塗膜をいう。配合量が2%未満では耐食効果が十分でないことがある。逆に50%を超えると加工時に皮膜剥れ、金型との間で強いしごきを受けてキズがつく、いわゆる「かじり」が起こり、プレス金型に付着することがある。
前記(A)または前記(B)のリン酸塩等は、粒子状であることが好ましい。その平均粒径は、通常塗料に用いられる大きさであれば特に限定されないが、1〜20μmであることが好ましい。特に前記(B)のリン酸塩等の平均粒径は3〜15μmであることが好ましい。(B)のリン酸塩等の平均粒径がこの範囲にあると、リン酸塩等が塗膜から適度な速度で溶出し、塗装鋼板の耐食性をより向上できる。
平均粒径とは一次粒子の平均粒径である。平均粒径は、公知の方法で測定できるが、レーザー回折法、遠心沈降法等により測定してよい。その際、平均粒径は得られた粒度分布から、重量累積粒度分布の50%として算出される。
本発明の塗膜はさらに、顔料、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
(3)塗装鋼板
本発明の塗装鋼板は端面の耐腐食性に優れる。端面とは主として加工の際に切断された鋼板の部分をいう。前述のとおり、端面は鋼素地(下地鋼)が露出しているため腐食を受けやすい。特に一般の塗装鋼板を屋外に放置しておくと、その端面の腐食の度合いは顕著である。
しかし本発明の塗装鋼板は、その塗膜に前記(A)および(B)成分を有する。そのため長期にわたり端面の防食性に優れる。その機構は次のように推察される。
屋外に暴露された本発明の塗装鋼板は、降雨等により溶解性の高い前記(B)成分が塗膜から溶出する。このとき前記(A)成分も雨水に若干は溶解するものの、(B)成分の方が優先的に溶解される。よって、(B)成分が高濃度で溶解した雨水溶液が生成される。当該水溶液は塗装鋼板の端面に到達し、端面を被覆する。当該水溶液はリン酸塩または亜リン酸塩を含むため、これらの緩衝作用が働く。すなわち端面に接している前記水溶液のpHは、鉄が不動態となる領域に保持される。その結果、端面の腐食が抑制されると考えられる。
一方、雨がやむと端面に存在していた前記雨水溶液から水分が蒸発する。その結果前記雨水溶液中のリン酸塩または亜リン酸塩の濃度が非常に高くなりpHは低くなる。すると当該水溶液に接している端面からは鉄イオンが流出しリン酸イオンまたは亜リン酸イオンと反応する。鉄イオンが流出して活性になった鋼表面はリン酸塩等に含まれていた陽イオンと反応する。このようにして端面にリン酸塩等および前記反応生成物を含む第一の保護皮膜が形成される。当該保護皮膜が腐食因子の浸入を抑制するため、塗装鋼板の端面の耐食性が向上する。
前記第一の保護皮膜は雨水に溶解しやすいため、耐久性が十分でない。このため当該保護皮膜による長期の防食性はあまり期待できない。しかし、比較的溶解性の低い(A)成分は、前記第一に保護膜が存在しているときから、ゆっくりであるものの、確実に雨水により流出し端面に第二の保護皮膜を形成している。さらに(A)成分は塗膜に十分残存しているため、端面に第二の保護膜を長期にわたって確実に形成できる。当該第二の保護膜は雨水に溶解しにくいため耐久性に優れる。したがって前記第一の保護被膜が流出してしまった後でも、第二の保護皮膜により、塗装鋼板の端面は腐食から守られる。
以上のような機構により、暴露初期から長期にわたり端面の耐食性を向上させることができると考えられる。ただし、メカニズムはこれに限定されない。
以上から、(B)成分の高水溶性のリン酸塩等は、純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lである必要がある。前記溶解度が20mmol/L未満では降雨時に塗膜から溶出する量が不足し、十分な効果を発揮することができない。逆に、前記溶解度が100mmol/Lを超えると降雨時に塗膜から溶出する量が過多になり、塗装鋼板の端面以外の面の膜質の劣化や外観不良が起こる可能性がある。
また、(A)成分の低水溶性のリン酸塩等は、純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lである必要がある。前記溶解度が0.1mmol/L未満では、降雨時に塗膜から溶出する量が不足し、端面に十分な皮膜が形成できない。逆に前記溶解度が10mmol/Lを超えると、端面に形成される被膜の耐久性が低下する。
(A)成分および(B)成分のリン酸塩等の粒径は、前述のとおり特に限定されない。しかしながら塗膜厚みとの関係で適正化されることが好ましい。具体的には、リン酸塩等の平均粒子径をD(μm)、当該塗膜の平均厚みをT(μm)とするとき、式(1)の関係を満たすことが好ましい。
0.5≦D/T<5 …(1)
(A)成分および(B)成分のリン酸塩等の粒径と塗膜の平均厚みが式1の関係を満たすと、(A)成分および(B)成分が塗膜から適度に溶出できるので好ましい。しかし前記リン酸塩等の平均粒径が、平均厚みの値の3倍以上となると、プレス金型に脱落した顔料が付着したりすることがある。
特に、前記(B)成分のリン酸塩等の粒径Dbについては、式(2)の関係を満たすことが好ましい。
1≦Db/T<3 …(2)
すなわち前記(B)成分のリン酸塩等の平均粒径を塗膜平均厚みの値以上とすることが好ましい。このような塗膜は、前記リン酸塩等が塗膜から突出しやすいため、降雨時に溶出しやすくなり、暴露初期における塗装鋼板の端面の耐食性がより向上できる。
塗膜の平均厚みは特に限定されず、通常の塗装鋼板の厚みである1〜20μmとしてよい。ただし、前述の通り(B)のリン酸塩等の平均粒径は3〜15μmが好ましいため、上記式2の関係を満たすためには、塗膜の厚みは1μmより大きく15μm以下であることが好ましい。塗膜の平均厚みは、塗膜の任意の5箇所の厚みを、電磁膜厚計や塗膜の断面観察により測定し、その平均値とすることが好ましい。
上記は、塗装鋼板の端面についてのみ説明したが、端面にかかわらず、鋼板の表面部分であっても塗膜が欠損している部分、あるいは塗膜およびめっき層が欠損している部分に対しても本発明の塗装鋼板は優れた耐食性を有する。
塗装鋼板の端面の耐腐食性は公知の方法で評価できる。例えば、塗装鋼板から切り出したサンプルを屋外に暴露して切断端面の状態を観察することにより行ってよい。
2.塗装鋼板の製造方法
本発明の塗装鋼板は発明の効果を損なわない範囲で任意に製造されうるが、以下好ましい製造方法を説明する。
本発明の塗料は、例えばポリエステル樹脂等の有機系高分子化合物に前記(A)および(B)成分、必要に応じて各種添加剤を混合して得られる。混合する手段は特に限定されないが、撹拌機、三本ロール、ビーズミル等を用いることが好ましい。このとき必要に応じて溶媒を加えてもよい。
本発明の塗装鋼板は、このようにして得た塗料を鋼板表面に塗布する工程(塗布工程)、当該塗膜を加熱して乾燥させる工程(焼付工程)を経て製造されることが好ましい。
塗料を塗装原板に塗布する方法の例には、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコートが含まれる。塗料の塗布量は所望の膜厚となるように調整される。
焼付工程は到達板温が150〜250℃となるように行うことが好ましい。
[実施例1〜12]
1)鋼板の準備
以下の鋼種A(板厚0.8mm)の鋼板を用いて、組成;Al−9%Si、浴温;660℃のめっき浴を有する連続溶融アルミニウムめっきラインにて片面当たりのめっき付着量が80g/mである溶融Al−Siめっき鋼板を製造した。
鋼種Aとは、Cが0.03質量%、Mnが0.15質量%、Pが0.01質量%、Sが0.005質量%、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼板である。
2)塗料の調製
ポリエステル樹脂、表1に示す種類および配合量(乾燥塗膜100質量部中の質量%)のリン酸塩または亜リン酸塩を三本ロールを用いて混練して塗料を調製した。この際、固形分(樹脂およびリン酸塩等)は塗料の50質量%となるようにした。
(A)成分として以下のものを用いた。
MgHPO
CaHPO
ZnHPO
ZnHPO
Mg(PO
(B)成分として以下のものを用いた。
SrHPO
MgHPO
MnHPO
CaHPO3
上記した各成分の溶解度は、25℃の純水100mLに過剰量の成分を添加し、24時間以上撹拌した後、試料を0.45μmフィルタでろ過し、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクスト社製 DX−500型)にて定量分析することにより算出した。
3)塗装鋼板の調整
上記のようにして得られた塗料を、ロールコートにて鋼板表面に塗布し、到達板温150℃で乾燥させて、平均膜厚が5μmの塗膜を形成した。
4)端面部分の耐食性評価
上記のようにして得た塗装鋼板を切断して、切断端面に鋼素地が露出した7cm×15cmのサンプルを得た。当該サンプルを大阪府堺市の工業地帯の屋外に暴露した。暴露は、まず塩化ビニル製の板を水平に設置した。その上に塗装鋼板サンプルを、水平面に対して35°傾くように設置した。その際、塗装面が上になるようにし、かつ直射日光および雨水が直接当たるようにした。このまま3ヶ月および6ヶ月の間暴露し、切断端面の観察を行い、以下のように評価した。
◎;切断端面に赤錆発生が認められない
○;切断端面の赤錆発生面積率が10%以下であり、かつ赤錆流れが認められない。
△;切断端面の赤錆発生面積率が10%を超えるが、赤錆流れは認められない。
×;赤錆流れが認められる。
暴露期間6ヶ月においても切断端面からの赤錆流れが認められなかったもの(△評価以上)を合格、それ以外を不合格とした。
[比較例1〜6]
表2に示す種類の化合物を表2に示す配合量で用いた以外は実施例1と同様にして、比較用塗装鋼板を調整し、同様に評価を行った。
各種化合物は実施例で用いたもの以外に、以下のものを使用した。
Zn(PO
Ca(PO
ZnO
MgO
[比較例7]
(A)成分、(B)成分またはそれ以外の化合物を配合しない以外は実施例1と同様にして塗装鋼板を調整した。続いて当該塗装鋼板から塗膜を剥離し、当該塗膜について実施例と同様の暴露試験を行った。
[比較例8]
塗膜を形成しない溶融アルミめっき鋼板を用いて、実施例と同様の暴露試験を行った。
Figure 0005103096
Figure 0005103096
実施例および比較例から、本発明の塗装鋼板は端面部分の耐食性に優れることが明らかである。(A)成分としてZnHPO、CaHPO、Mg(PO、ZnHPOを、(B)成分としてCaHPO、MgHPO、MnHPOを用いた実施例4〜12の塗装鋼板は、特に端面の耐食性に優れることが明らかである。
本発明の塗装鋼板は端面の耐食性に優れるため、建材、自動車、家電等の鋼板として有用である。

Claims (4)

  1. 鋼板の上に塗膜を有する塗装鋼板であって、
    前記塗膜は、(A)25℃の純水に対する溶解度が0.1〜10mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩、および(B)25℃の純水に対する溶解度が20〜100mmol/Lであるリン酸塩または亜リン酸塩を含み、
    前記(B)成分のリン酸塩または亜リン酸塩の平均粒径をDb、前記塗膜の平均厚みをTとするとき、Db/Tの値が1以上3未満である、
    塗装鋼板。
  2. 前記塗膜中の、前記(B)成分のリン酸塩および亜リン酸塩の合計のモル数に対する前記(A)成分のリン酸塩およびリン酸塩の合計のモル数の比が、0.1〜4.0である請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 前記(B)成分が、SrHPO、MgHPO、MnHPO たはCaHPOである請求項1に記載の塗装鋼板。
  4. 前記鋼板はアルミニウムめっき鋼板である請求項1に記載の塗装鋼板。
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