JP5949707B2 - 通紙部材用鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、OA機器内の摺動部材などに用いられる通紙部材用鋼板であり、特に、高温の焼付け乾燥を必要とすることなく、優れた防汚性、耐食性及び耐磨耗性を有する通紙部材用鋼板に関するものである。
OA機器内の摺動部材等に用いられる通紙部材用鋼板は、耐汚染性、耐食性、非粘着性、耐熱性等の性能が要求される。そのため、上記性能を満足するべく、従来は鋼板の表面にフッ素樹脂を含有する塗膜を形成した通紙部材用鋼板が用いられていた。
例えば特許文献1には、非粘着持続性、加工性を高位に維持しながら、塗膜硬度及び耐磨耗性を改善することを目的として、平均粒径10〜100μmの鱗片状無機質添加材を配合した耐熱樹脂塗料から形成された下塗り塗膜が下地金属板に設けられ、その上に、平均粒径1μm以下の熱溶融性フッ素樹脂及び平均粒径10〜100μmの鱗片状無機質添加材を配合した耐熱樹脂塗料から形成された上塗り塗膜が設けられており、熱溶融性フッ素樹脂から生成した薄膜で塗膜最表層が覆われ、薄膜の下方にある塗膜に鱗片状無機質添加材及び粒状フッ素樹脂が分散していることを特徴とする耐磨耗性に優れた耐熱非粘着塗装金属板が開示されている。
また、特許文献2には、耐熱性及び密着性の向上を目的として、金属板の上に耐熱性樹脂を塗装後、最初に予備焼付けを行い、さらに本焼付けを行う二段階焼付けを行うことを特徴とする耐熱性プレコート金属板の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示の金属板は、いずれも鋼板の表面に形成されたフッ素樹脂含有塗膜の耐磨耗性が十分ではなく、塗膜の磨耗が進む結果、高い防汚性や耐食性を長期間において維持できないという問題があった。特に、OA機器内の摺動部材として用いられた場合、その摺動によって塗膜が磨耗する結果、防汚性や耐食性が大きく低下することがあった。
さらに、特許文献1及び特許文献2に開示の技術は、いずれも耐熱性樹脂として粒状のフッ素樹脂を塗膜中に含有しており、所望の耐熱性や耐汚染性を発現するためには、このフッ素樹脂を溶融させる必要があり、製造コストの高騰を招くという問題があった。粒状のフッ素樹脂を溶融させるためには、最低でも300℃以上の高温で焼付け乾燥を行わなければならず、通常の製造ラインで用いられる乾燥手段(最高到達鋼板温度:100〜250℃程度)ではなく、ラインとは別の特殊な乾燥装置を使用する必要があるためである。
そのため、製造コストの改善を図るべく、従来と同等以上の性能を有することに加えて、優れた耐磨耗性を実現し、高温の焼付け乾燥を必要とすることなく通常の製造ラインで得ることができる通紙部材用鋼板の開発が望まれている。
特開2003−94557号公報 特開平4−066170号公報
本発明の目的は、鋼板に形成された樹脂塗膜の適正化を図ることによって、製造の際に高温の焼付け乾燥を必要とすることなく、優れた防汚性、耐食性及び耐磨耗性を有する通紙部材用鋼板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、摺動による磨耗は、繰り返しの摩擦によって皮膜が削り取られることに起因しており、特にOA機器内が高温である場合等、鋼板の温度が高まった際に、形成された塗膜が用紙表面よりも柔らかくなるケースでより顕著に見られることがわかった。そして、75℃における前記塗膜の硬度を、前記用紙表面に比べて十分に高くすることで、OA機器内の摺動部材等に用いた場合であっても、優れた耐磨耗性を実現できるとともに、高い防汚性及び耐食性を長期間維持できることを見出した。
さらに、本発明者らは、従来のフッ素樹脂含有ポリマーを主成分とする塗膜は、表面自由エネルギーを下げ、防汚性を高める効果があるものの、摺動される紙との動摩擦係数が低くないことから、塗膜の磨耗を促進させるケースもあることを新たに知見した。そして、さらに鋭意研究を重ねた結果、パーフルオロアルキル基のような表面自由エネルギーを下げる効果をもつ官能基をもつ微粒子を有機樹脂塗膜中に配合することによって、高い防汚性を確保しつつ、動摩擦係数を下げる効果も同時に得られ、磨耗と非粘着性に対しても有効に作用することを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)鋼板の両面にめっき層及び化成処理層が順次形成され、該化成処理層の少なくとも片面に、有機樹脂及び微粒子を含む樹脂塗膜が形成された通紙部材用鋼板であって、
前記微粒子が、ポリオレフィン系、ステアリン酸系、パラフィン系、シリコン系、及びフッ素樹脂系からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記有機樹脂が、ガラス転移温度75℃以上、数平均分子量10000〜300000である溶剤系アクリル樹脂であり、かつ、硬化剤として、ブロックイソシアネート及びアミノ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が用いられ、
前記樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度が70N/mm2以上であることを特徴とする通紙部材用鋼板。
)前記めっき層が、亜鉛ニッケル合金めっき層、亜鉛コバルト合金めっき層、亜鉛鉄合金めっき層、ニッケルめっき層又はクロムめっき層であることを特徴とする上記(1)記載の通紙部材用鋼板。
本発明によれば、製造の際に高温の焼付け乾燥を必要とすることなく、優れた防汚性、耐食性及び耐磨耗性を有する通紙部材用鋼板を提供することが可能となった。
図1は、75℃における有機樹脂のガラス転移温度Tg(℃)と表面硬度(N/mm2)との関係をプロットしたグラフである。
以下、本発明の構成と限定理由を説明する。
本発明による通紙部材用鋼板は、鋼板の両面にめっき層及び化成処理層が順次形成され、該化成処理層の少なくとも片面に、樹脂塗膜が形成された鋼板である。
ここで、「通紙部材用鋼板」とは、OA機器内の摺動部材やガイド板等の、紙と接触し、相対的に摺動する部材へ適用される鋼板のことをいい、防汚性、耐食性及び耐磨耗性の特性が要求されるものをいう。
(めっき層)
本発明のめっき層については、特に制限されない。例えば、溶融亜鉛めっき又はこれを合金化した合金化溶融亜鉛めっき、さらには、溶融Zn−5質量%Al合金めっき、溶融Zn−55質量%Al合金めっき、電気亜鉛めっき、電気Zn−12質量%Ni合金めっき、電気Zn−2質量%Co合金めっき、電気Zn−0.4質量%Fe合金めっき、ニッケルめっき又はクロムめっき等によって形成される層が挙げられる。
前記鋼板の表面硬さを確実に高めることができる点から、めっき層は高硬度であることが好ましい。高硬度のめっき層としては、亜鉛ニッケル合金めっき層、亜鉛コバルト合金めっき層、亜鉛鉄合金めっき層、ニッケルめっき層又はクロムめっき層が例示される。電気Zn−12質量%Ni合金めっき層、電気Zn−2質量%Co合金めっき層、電気Zn−0.4質量%Fe合金めっき層等の電気亜鉛系合金めっき層がより好ましい。
また、前記めっき層の付着量(g/m2)は、片面当たり5〜100g/m2の範囲であることが好ましい。5〜100g/m2の範囲であれば経済的な悪化を招くことなく、優れた耐食性が得られる。10〜70g/m2の範囲であることがより好ましい。
(化成処理層)
本発明の化成処理層は、主として前記めっき層と後述する樹脂塗膜との密着性を向上するために形成される。高い密着性を確保できれば特に限定はされないが、環境保護の観点からクロムを含有しないものとする。本発明の化成処理層は、例えば、クロムを含有しない従来公知の化成処理液をめっき層表面に塗布し、加熱乾燥することにより形成される。
また、前記化成処理層は、密着性に加えて耐食性を向上させるために、防錆剤を含むことが好ましい。
防錆剤の種類については、特に限定はされず、例えば、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、メタバナジン酸アンモニウム、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウムアンモニウム、等が挙げられる。
具体的には、密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。前記シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。前記リン酸及びリン酸化合物については、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸及びこれらの金属塩や化合物等のうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。
さらに、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂、シランカップリング剤などの添加剤を添加することもできる。
なお、前記化成処理層の付着量は、片面当たり10〜500mg/m2の範囲であることが好ましい。化成処理層の付着量が10mg/m2以上であれば、密着性、耐食性が十分に得られ、一方、付着量が500mg/m2以下であれば経済的な悪化を招くことなく上記効果が得られるからである。
前記化成処理層は、ロールコーター、カーテンフローコーター、浸漬引き上げ法などで化成処理液を前記めっき層表面に塗布し、ローラー等で絞った後、水洗することなく最高到達鋼板温度が80〜140℃となるように乾燥することによって形成させることができる。
(樹脂塗膜)
本発明の鋼板を構成する樹脂塗膜は、有機樹脂及び微粒子を含み、該微粒子が、ポリオレフィン系、ステアリン酸系、パラフィン系、シリコン系、及びフッ素樹脂系からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度が70N/mm2以上であることを特徴とする。
・樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度
前記樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度が70N/mm2以上である。75℃における前記樹脂塗膜の硬度を、接触する用紙の表面硬度に比べて十分に大きくすることで、OA機器内の摺動部材等に用いた場合であっても、優れた耐磨耗性を実現できる。その結果、前記樹脂塗膜の磨耗に起因した防汚性や耐食性の低下がなく、高い防汚性及び耐食性を長期間維持できるという利点もある。
また、より優れた耐磨耗性を得る点からは、前記樹脂塗膜の表面硬度は75N/mm2以上とすることが好ましく、80N/mm2以上とすることがより好ましい。なお、前記樹脂塗膜の表面硬度が120N/mm2以下であれば鋼板の加工性が劣化することがないので、好ましい。
前記表面硬度の測定は、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープHM2000)を用い、鋼板を75℃に加温した状態で試験荷重2mNを加えた際の押し込み深さ(μm)を測定し、75℃、2mNにおける塑性押し込み硬さを算出することで行われる。
ここで、前記表面硬度を測定する際の温度を75℃としたのは、本発明の通紙部材用鋼板をOA機器内の通紙部材として用いる場合、最大75℃程度になると予想され、75℃の際の硬度が確保できれば、本発明の目的とする耐磨耗性を実現できるからである。
なお、前記樹脂塗膜の表面硬度を大きくする方法については、所望の表面硬度を得ることができる方法であれば特に限定されない。例えば、樹脂の種類や、硬化剤の種類の選択、樹脂と硬化剤の割合、又は、樹脂中への充填材の添加等を行うことで、高い表面硬度を得ることができる。
・有機樹脂
前記樹脂塗膜は、有機樹脂を含む。
ここで、有機樹脂の種類については、所望の表面硬度を得ることができるものであれば特に限定はされないが、耐食性、耐指紋性などの基本特性が良好である点からは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
さらに、前記有機樹脂は、ガラス転移温度75℃以上、数平均分子量10000〜300000である溶剤系アクリル樹脂であり、かつ、硬化剤として、ブロックイソシアネート及びアミノ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が用いられることが好ましい。
ここで、前記溶剤系アクリル樹脂を用いることが好適な理由は、アクリル系樹脂は比較的安価であり、かつ比較的硬い塗膜を形成させることができるからである。
なお、前記アクリル系樹脂は、アクリル酸及びメタクリル酸等とそれらのエステルの共重合物であるが、このようなアクリル系樹脂にエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などが少量配合されていてもよい。
前記アクリル系樹脂は、具体的には、DIC製の「アクリディックWBU-1218」、「アクリディックWXU-880」等が挙げられる。
また、前記アクリル系樹脂のガラス転移温度を75℃以上とすることが好適な理由は、より確実に、前記樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度を70N/mm2以上にできるからである。図1は、有機樹脂のガラス転移温度Tg(℃)と75℃における表面硬度(N/mm2)との関係をプロットしたものであるが、Tgが75℃以上のサンプルについては、同じ条件でTgが75℃未満のサンプルよりも表面硬度が大きく、全て70 N/mm2以上であることがわかる。
また、前記アクリル系樹脂の数平均分子量を10000〜300000とすることが好適な理由は、分子量が10000以上であれば架橋密度が高くなりすぎることがなく皮膜変形時に割れが生じることがなく、亀裂部分の耐磨耗性が劣化することがなく、一方、分子量が300000以下であれば粘度が高くなりすぎることがなく、塗装性に制約が生じないからである。
さらに、前記アクリル系樹脂と共に用いる硬化剤について、ブロックイソシアネート及びアミノ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が好適である理由は、前記アクリル系樹脂を強固な塗膜とすることができるからである。
前記硬化剤であるブロックイソシアネートとしては、ポリイソシアネートを公知のブロック剤を使用してブロック化したブロックイソシアネート、例えば、DIC製の「バーノックD-550」、「バーノックB7-887」、武田薬品工業の「タケネートN-815-N」、ヘキスト合成(株)の「アヂトールVXL-80」等を挙げることができる。
前記硬化剤であるアミノ樹脂としては、例えば、メラミン尿素アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミン又はスピログアナミンのようなアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルム、アセトアルデヒド、グリオキサールのようなアルデヒド成分と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n―ブタノール、iso―ブタノールなどのようなアルコール成分とを反応させて得られる樹脂を使用することができる。
・微粒子
前記樹脂塗膜は、微粒子を含む。表面自由エネルギーを下げる効果をもつ官能基をもつ微粒子を有機樹脂塗膜中に配合することによって、高い防汚性を確保しつつ、動摩擦係数を下げる効果も同時に得られ、耐磨耗性と非粘着性に対しても効果を奏する。
前記微粒子の種類については、表面自由エネルギーを下げる効果を持つ官能基を含むものであれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン系、ステアリン酸系、シリコン系、及びフッ素樹脂系の微粒子であることが好ましく、これらからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができる。
ここで、前記ポリオレフィン系の微粒子としては、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン等の炭化水素系のワックス、及びこれらの誘導体を挙げられる。ポリ-α-オレフィン(PAO)などを用いてもよい。
ここで、前記ステアリン酸系の微粒子としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
ここで、前記シリコン系の微粒子としては、例えば、シリコンオイル、シリコングリースなどが挙げられる。
ここで、前記フッ素樹脂系の微粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンークロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
また、前記微粒子の粒子径は、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3μmである。5μm以下の微粒子を添加することにより、塗布直後は塗膜内に均等に分散しているが、焼付け乾燥時に表面に濃化しやすいため、非粘着性の向上に有効であるとともに、磨耗時の抵抗を下げ、耐磨耗性を向上できる。ここで、前記微粒子の粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により測定した粒度分布における積算50%での粒子径である。
さらに、前記樹脂塗膜における微粒子の含有量は、1〜30重量%であることが好ましい。微粒子の含有量が1質量%以上であれば非粘着性が十分となり、一方、3質量%以下であれば塗膜の凝集力が低下することがなく、耐磨耗性が低下しない。より好ましい前記微粒子の含有量は、2〜10質量%である。
・その他成分
前記樹脂塗膜は、必要に応じて、乾燥剤、湿潤剤、増粘剤、顔料分散剤、レベリング剤、泡消し剤、はじき防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤等といった、その他の添加物を含有することも可能である。
・塗布と乾燥
本発明の樹脂塗膜を形成するための樹脂組成物の塗布は、該樹脂組成物を化成処理層の表面に塗布できる方法であればよく、特に限定されない。ロールコーター、カーテンフローコーター、浸漬引き上げ法等によって塗布し、目的とする膜厚となるように樹脂組成物の付着量を制御すればよい。
なお、前記樹脂塗膜を形成するための樹脂組成物の溶媒として、シクロヘキサノン、イソホロン、イソブチルアルコール、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ブチルや、ミネラルスピリット、トルエン及びキシレンの混合溶媒等を用いることができる。
本発明の樹脂塗膜を形成するための乾燥は、最高到達鋼板温度で、100〜250℃の範囲とすることが好ましい。これによって、通常の塗装ラインで鋼板上に樹脂塗膜を形成することが可能となる。
前記乾燥温度が100℃以上であれば、温度が低すぎることがなく乾燥が十分となり、形成された塗膜の耐溶剤性の劣化を招くことがない。一方、前記乾燥温度が250℃以下であれば、従来の製造ラインによって製造でき、経済性の悪化を招くことがない。
また、前記乾燥の時間(最高到達鋼板温度に到達するまでの時間)は、1〜60秒の範囲であることが好ましい。乾燥時間が1秒以上であれば、時間が短すぎることがないため乾燥が十分となり、形成された塗膜の耐溶剤性の劣化を招くことがない。一方、乾燥時間が60秒以下であれば、経済的に好ましい。
なお、前記樹脂組成物を乾燥するための方法については、最高到達鋼板温度が100〜250℃なるように好ましくは1〜60秒で加熱できる方法であればよく、特に限定されない。
また、形成された前記樹脂塗膜の膜厚は、0.1〜5μmの範囲であることが好ましい。膜厚が0.1μm以上であれば、塗膜が鋼板を十分に覆うことができ、防汚性の低下を招くことがない。一方、膜厚が5μm以下であれば、経済的に防汚効果を有することができる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
<実施例1>
本発明の実施例1について説明する。
(サンプル1−1〜1−6)
めっき鋼板として、各々板厚0.8mmの以下に示すめっき鋼板を準備した。各めっき鋼板のめっき付着量は、いずれも片面あたり20g/m2である。
D−1:電気亜鉛−12質量%ニッケルめっき鋼板
なお、めっき鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、及びめっき組成は同一とした。
準備しためっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の処理工程を行い、通紙部材用鋼板のサンプル1−1〜1−6を作製した。
(I)オモテ面に表2に示す化成処理液を塗布し、加熱10秒後に最高到達鋼板温度が100℃となるように加熱し、オモテ面の化成処理層を形成した。次に、オモテ面と同様の条件でウラ面の化成処理層を形成した。
(II)その後、オモテ面に、表1に示す有機樹脂(A)、硬化剤(B)、微粒子(C)、並びに、ミネラルスピリット、トルエン及びキシレンの混合溶媒を含む樹脂組成物を塗布し、5秒で最高到達鋼板温度が180℃となるような条件で焼付け乾燥を行うことで、表1示す膜厚の樹脂塗膜を形成した。
実施例1において得られた通紙部材用鋼板の各サンプルについて、75℃における表面硬度を測定した。
具体的には、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープHM2000)を用い、試験片を75℃に加温した状態で試験荷重2mNを加えた際の押し込み深さ(μm)に基づいて、75℃、2mNにおける塑性押し込み硬さ(N/mm2)を求めた。
Figure 0005949707
Figure 0005949707
*1 乾式シリカ:日本エアロジル(株)製 アエロジル#200
*2 Zr化合物:第一稀元素化学工業(株)製 炭酸ジルコニウムアンモニウム
*3 湿式シリカ:日産化学工業(株)製 スノーテックス0
*4 Ca交換シリカ:Grace Davison製シールデックスC303
*5 表1中の種類E1〜E5は、表2に示したものである。
*6 A−1は、DIC製 アクリディックWBU−1218(分子量:70000、Tg:100℃)である。A−2は、DIC製 アクリディックWXU−880(分子量:26000、Tg:90℃)である。A−3は、DIC製 WJU−146(分子量:70000、Tg:50℃)である。
*7 B−1は、DIC製 ヘキサメチレンジイソシアネート系 バーノックDN−950である。B−2は、DIC製 バーノックD−800である。
*8 C−1は、ポリエチレンワックスである。C−2は、PTFEワックスである。C−3はステアリン酸亜鉛である。C−4はシリコンオイルである。
<実施例2>
本発明の実施例2について説明する。
(サンプル2−1〜2−5)
めっき鋼板として、各々板厚0.8mmの以下に示すめっき鋼板を準備した。各めっき鋼板のめっき付着量は、いずれも片面あたり20g/m2である。
D−2:電気亜鉛−2質量%コバルトめっき鋼板
D−3:電気亜鉛めっき鋼板
D−4:電気ニッケルめっき鋼板
D−5:電気クロムめっき鋼板
なお、めっき鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、及びめっき組成は同一とした。
準備しためっき鋼板に脱脂処理を行った後、実施例1と同様に処理工程(I)及び(II)を行い、通紙部材用鋼板のサンプル2−1〜2−5を作製した。得られたサンプルの条件を表3に示す。
実施例2において得られた通紙部材用鋼板の各サンプルについて、実施例1と同様の測定方法によって75℃における表面硬度を測定した。
Figure 0005949707
実施例1及び2において得られた通紙部材用鋼板の各サンプルについて、75℃における表面硬度を測定した。
具体的には、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープHM2000)を用い、試験片を75℃に加温した状態で試験荷重2mNを加えた際の押し込み深さ(μm)に基づいて、75℃、2mNにおける塑性押し込み硬さ(N/mm2)を求めた。
(評価)
以上のようにして得られた通紙部材用鋼板のサンプルについて、各種評価を行った。評価方法を以下に示す。
(1)防汚性
各サンプルに対して、Q印フェルトペン(赤色、黒色)でインクを塗布した後、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室にて24時間放置した。その後、インクを乾燥ガーゼで拭き取り、インクの残存状態を目視観察して、以下の基準に従って評価した。実施例1のサンプルについての評価結果を表4、実施例2のサンプルについての評価結果を表5に示す。
◎:色残りなし
○:軽微な色残りあり
△:色残りあり
×:色が全く落ちない
(2)耐食性
各サンプルから、試験片(大きさ:100mm×50mm)を切り出し、試験片の端部および裏面をテープシールした後、JIS Z2371−2000に準拠し、5質量%塩水を35℃で24時間噴霧し続けた。その後、試験片の状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価を行った。実施例1のサンプルについての評価結果を表4、実施例2のサンプルについての評価結果を表5に示す。
◎:表面に変化なし
○:表面に若干の発錆がある
×:表面に多数の発錆がある
(3)耐磨耗性
各サンプルの樹脂塗膜の表面に対し、スガ試験機(株)社製磨耗試験機を用い、磨耗輪にコピー紙を両面テープで貼り付けた状態で磨耗試験を行った。なお、試験荷重は5N、回数は10万回(紙は1万回ごとに交換)とした。10万回試験後の色調変化を色差計で測定し、以下の基準に従って評価を行った。実施例1のサンプルについての評価結果を表4、実施例2のサンプルについての評価結果を表5に示す。
◎:ΔE≦1
○:1<ΔE≦2
△:2<ΔE≦3
×:3<ΔE
(4)加温時の耐磨耗性
各サンプルの樹脂塗膜の表面に対し、スガ試験機(株)社製磨耗試験機を用い、磨耗輪にコピー紙を両面テープで貼り付けた状態で磨耗試験を行った。試験片温度を75℃に加温した状態で、試験荷重は5N、回数は10万回(紙は1万回ごとに交換)とした。10万回試験後の色調変化を色差計で測定し、以下の基準に従って評価を行った実施例1のサンプルについての評価結果を表4、実施例2のサンプルについての評価結果を表5に示す。
◎:ΔE≦1
○:1<ΔE≦2
△:2<ΔE≦3
×:3<ΔE
(5)加温時の非粘着性
上記評価(4)を行った後の試験片の磨耗した部分に対し、Q印フェルトペン(赤色、黒色)でインクを塗布した後、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室にて24時間放置した。その後、インクを乾燥ガーゼで拭き取り、インクの残存状態を目視観察して、以下の基準に従って評価した。実施例1のサンプルについての評価結果を表4、実施例2のサンプルについての評価結果を表5に示す。
◎:色残りなし
○:軽微な色残りあり
△:色残りあり
×:色が全く落ちない
Figure 0005949707
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表4及び5の結果から、本発明の範囲である発明例の各サンプルは、最高到達鋼板温度が250℃以下の焼付け乾燥であっても、比較例の各サンプルに比べて、防汚性、耐食性及び耐磨耗性、並びに、加温時の耐磨耗性及び非粘着性のいずれの評価項目についても良好な結果を示すことがわかった。
本発明によれば、高温の焼付け乾燥を必要とすることなく、優れた防汚性、耐食性及び耐磨耗性を有する通紙部材用鋼板の提供が可能となった。その結果、従来に比べてより低コストで優れた通紙部材用鋼板を得ることができ、産業上有用である。

Claims (2)

  1. 鋼板の両面にめっき層及び化成処理層が順次形成され、該化成処理層の少なくとも片面に、有機樹脂及び微粒子を含む樹脂塗膜が形成された通紙部材用鋼板であって、
    前記微粒子が、ポリオレフィン系、ステアリン酸系、パラフィン系、シリコン系、及びフッ素樹脂系からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記有機樹脂が、ガラス転移温度75℃以上、数平均分子量10000〜300000である溶剤系アクリル樹脂であり、かつ、硬化剤として、ブロックイソシアネート及びアミノ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が用いられ、
    前記樹脂塗膜表面の75℃における表面硬度が70N/mm2以上であることを特徴とする通紙部材用鋼板。
  2. 前記めっき層が、亜鉛ニッケル合金めっき層、亜鉛コバルト合金めっき層、亜鉛鉄合金めっき層、ニッケルめっき層又はクロムめっき層であることを特徴とする請求項1記載の通紙部材用鋼板。
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