JP4093160B2 - 紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたoa機器用表面処理鋼板 - Google Patents

紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたoa機器用表面処理鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のクロムフリーの環境適応型表面処理鋼板であって、特に紙等が繰り返し接触しながら通過する部品に好適な表面処理鋼板に関する。
従来、家電製品、建材、自動車等に用いられる鋼板には、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸又はその塩類を主成分とした処理液によるクロメート処理が施された表面処理鋼板が広く用いられている。クロメート処理は極めて薄い絶縁性の皮膜を形成することにより、鋼板に優れた耐食性を付与することができ且つ安価に処理することができるため、鋼板の表面に溶接性やアース性等の高度な導電性を必要とする家電製品、自動車、建材等の素材鋼板の表面処理として好適なものである。
クロメート処理は公害規制物質である6価クロムを使用するものであるが、クロメート処理工程は完全なクローズドシステムが採られ、クロメート処理液の廃液や水洗廃液等に含まれる6価クロムは還元・回収されている。また、製品鋼板については、クロメート皮膜の表面を有機樹脂皮膜で被覆することにより、クロメート皮膜中に含まれる6価クロムによって環境や人体が汚染されることがないような対策がとられている。
しかしながら、最近の地球環境問題から、欧州では廃電気電子機器や廃自動車中での6価クロムの含有を規制しようという議論がなされ、6価クロムの使用を自主的に削減しようという動きが高まりつつある。このため6価クロムを使用しないクロムフリー表面処理鋼板のニーズが増大している。
一般に、絶縁性を有する有機皮膜や無機皮膜は、膜厚が厚くなるほど耐食性は向上するが、導電性は低下する。一般的に有機樹脂皮膜の膜厚が3μmを超えると溶接性、導電性が著しく損なわれるため、膜厚はそれ以下にする必要があり、また、より高度な溶接性、導電性を得るためには1μm以下、より好ましくは0.5μm以下の膜厚にする必要がある。しかし、従来の表面処理鋼板に関するクロムフリー技術では、このような薄膜で十分な耐食性を確保することは困難である。
一方、複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器には、紙が接触して通過する鋼板部品がある。この部品の表面の紙すべり性が劣ると紙が通過しにくくなり、紙詰まりの原因になる。また、繰り返し紙が摺動すると、表面の皮膜が次第に摩耗し、紙すべり性が低下するだけでなく、錆発生の原因になる。したがって、上記鋼板部品には紙すべり性、耐紙磨耗性という性能が必要とされる。
以上のことから、OA機器において、紙が繰り返し接触・摺動する鋼板部品には、相反する性能である耐食性と導電性の高度な両立に加えて、紙すべり性、耐紙磨耗性が必要である。そして、導電性は有機樹脂皮膜の膜厚でほぼ決まるため、薄膜を前提とした皮膜設計が必要であることから、薄膜の有機樹脂皮膜の下で優れた耐食性、紙すべり性及び耐紙磨耗性を有することが要求される。
最近の表面処理鋼板に関するクロムフリー技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載のようなものがあるが、いずれも耐食性、導電性、紙すべり性及び耐紙磨耗性のすべてを満足する表面処理鋼板を得ることはできない。
特開2001−26889号公報 特開2000−28383号公報 特許第2953658号公報 したがって本発明の目的は、耐食性、導電性、紙すべり性、耐紙磨耗性がともに優れたOA機器用表面処理鋼板を提供することにある。
本発明者らは、上記諸特性をすべて満足できる表面処理鋼板の皮膜構成について検討を行い、その結果、亜鉛系合金めっき鋼板のめっき層表面のマイクロビッカース硬度を所定レベル以上とし、且つその表面に紙すべり性を有する特定の有機樹脂皮膜を形成することが有効であることを見出した。また、特にZn−Ni合金めっき鋼板をベースとし、第1層としてクロムを含まない皮膜を形成し、さらに第2層として紙すべり性を有する特定の有機樹脂皮膜を形成することが好適であることを見出した。
本発明は以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1]めっき層表面のマイクロビッカース硬度が120以上の亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、有機樹脂100質量部に対して固形潤滑剤が1〜30質量部、防錆添加剤が3〜80質量部配合された膜厚が0.01〜3μmの有機樹脂皮膜を形成したことを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
[2]めっき層表面のマイクロビッカース硬度が120以上の亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、クロムを含まない膜厚が0.01〜1μmの第1層皮膜を形成し、その上層に、第2層として有機樹脂100質量部に対して固形潤滑剤が1〜30質量部、防錆添加剤が3〜80質量部配合された膜厚が0.01〜3μmの有機樹脂皮膜を形成したことを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
[3]上記[1]又は[2]の表面処理鋼板において、亜鉛系合金めっき鋼板が、めっき層中にNiを9〜15mass%含有するZn−Ni合金めっき鋼板であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼板において、有機樹脂皮膜の有機樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
[5]上記[4]の表面処理鋼板において、有機樹脂皮膜の有機樹脂が溶剤系熱硬化型樹脂であり、且つ下記(イ)及び(ロ)を主成分とすることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
(イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウレタンプレポリマー
(a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選ばれる1種又は2種以上のポリオール
(b)イソシアネート化合物
(c)2価アルコール
(ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼板において、有機樹脂皮膜中に含まれる固形潤滑剤が、ポリエチレンワックス、PTFE及びモンタンワックスの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
[7]上記[2]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、第1層皮膜が、下記(α)及び(β)を含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
(α)リン酸及び/又はリン酸化合物
(β)シリカ
[8]上記[2]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、第1層皮膜が、下記(α)、(β)及び(γ)を含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
(α)リン酸及び/又はリン酸化合物
(β)シリカ
(γ)Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Mn、Fe、Co、Zn、Al及びLiの中から選ばれる1種又は2種以上の元素
[9]上記[2]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、第1層皮膜が、下記(A)、(B)及び(C)を含有する水溶液を塗布して形成された有機系皮膜であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
(A)有機化合物
(B)シランカップリング剤
(C)リン酸、フッ酸の中から選ばれる1種以上
[10]上記[9]の表面処理鋼板において、第1層皮膜中に含まれる有機化合物(A)が、エポキシ樹脂、多価フェノール化合物及びフェノール樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
本発明によれば、耐食性、導電性、紙すべり性及び耐紙磨耗性がともに優れたOA機器用表面処理鋼板を得ることができる。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明では、表面処理鋼板のベースとなるめっき鋼板として、めっき層表面のマイクロビッカース硬度が80以上、好ましくは120以上の亜鉛系合金めっき鋼板を用いる。めっき層表面のマイクロビッカース硬度が80未満であると、鋼板表面上を紙が繰り返し摺動した場合に、皮膜に疵が繰り返し生じることによって、皮膜に著しい磨耗を生じる。めっき層表面のマイクロビッカース硬度を高めるためには、めっき層を亜鉛合金とすることが有効であり、そのような亜鉛合金めっきとしては、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe合金めっき、合金化溶融亜鉛めっきなどが好ましい。また、その中でも特に、耐食性の観点からめっき層中にNiを9〜15mass%含有するZn−Ni合金めっき鋼板が望ましい。
次に、上記亜鉛系合金めっき鋼板表面に形成する有機樹脂皮膜は、有機樹脂100質量部に対して、紙とのすべり性を高める成分として固形潤滑剤を1〜30質量部、耐食性を高める成分として防錆添加剤を3〜80質量部を含有する有機樹脂皮膜とする。なお、この有機樹脂皮膜はクロムを含まない。
有機樹脂皮膜の有機樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。これらの有機樹脂は、耐食性、耐指紋性などの基本特性が良好であるため好適である。
また、特に良好な紙すべり性と耐紙磨耗性を得るためには、溶剤系熱硬化型樹脂であって、且つ下記(イ)及び(ロ)を主成分とする有機樹脂を用いることが望ましい。
(イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウレタンプレポリマー
(a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選ばれる1種又は2種以上のポリオール
(b)イソシアネート化合物
(c)2価アルコール
(ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上
有機樹脂皮膜中に上記有機樹脂を用いた表面処理鋼板は、複写機などのOA機器の部品に適用した場合の成形加工に好適であり、部品の表面を繰り返しコピー紙等が接触して通過する際の摩擦が少なく、紙詰まりが発生しにくく、さらに、有機樹脂自体の磨耗が少ない。
前記(イ)の水酸基含有ウレタンプレポリマーに含まれる前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のような直鎖状ポリアルキレンポリオールなどを使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と低分子ポリオールとを反応させて得られる、分子鎖中にOH基を有する線状ポリエステルを使用することができる。上記二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカンニ酸、ダイマー酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレクタル酸、ジメチルテレフタレート、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、又は前記各酸のエステル類を使用することができる。
前記ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、上述した二塩基酸とポリエーテルポリオールとの混合物、又は二塩基酸と低分子ポリオールとの混合物をエステル化反応させて得られる、分子鎖中にOH基を有する線状ポリエステル、又は、末端にカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリエステルと、アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)との付加反応によって得られるポリエーテルを使用することができる。
前記(イ)の水酸基含有ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、o−,m−,又はp−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソイシアネート、芳香族環が水素添加された2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ω,ω´―ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω´―ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼンなどの、芳香族環を有するイソシアネート化合物を挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記(イ)の水酸基含有ウレタンプレポリマーに含まれる2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、水添ビスフェノールAなどのようなジオール類を使用することができる。
前記(ロ)の硬化剤であるブロックポリイソシアネートプレポリマーの代表的なものとしては、ポリイソシアネートを公知のブロック剤を使用してブロック化したブロックポリイソシアネートプレポリマー、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のバーノックD−550、バーノックD−550、バーノックB7−887、武田薬品工業(株)製のタケネートN−815−N、ヘキスト合成(株)製のアヂトール(ADDITOL)VXL−80(いずれも商品名)などを挙げることができる。
また、硬化剤であるアミノ樹脂としては、メラミン尿素アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミン又はスピログアナミンなどのようなアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルム、アセトアルデヒド、グリオキサールなどのようなアルデヒド成分と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノールなどのようなアルコール成分とを反応させて得られる樹脂を使用することができる。
有機樹脂皮膜中に含まれる固形潤滑剤の種類に特別な制限はないが、特にポリエチレンワックス、PTFE、モンタンワックスが望ましく、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、そのなかでも特にポリエチレンワックスが好ましい。ボリエチレンワックスの粒子径や融点などは特に限定されないが、紙すべり性の観点から融点が130℃以下、数平均分子量が5000以下、粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下のものが好ましい。すなわち、融点が130℃以下のポリエチレンワックスは、皮膜形成のための焼付時に軟化して皮膜表層に濃化しやすく、また、粒子径が上記範囲のポリエチレンワックスも皮膜表層に濃化しやすいため、いずれも紙すべり性の向上に有効である。
有機樹脂皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して1〜30質量部(固形分)とする。固形潤滑剤の配合量が有機樹脂100質量部に対して1質量部未満では、紙すべり性が不十分であり、一方、30質量部を超えると有機樹脂皮膜の凝集力が低下するので、耐紙磨耗性が低下する。また、上記の観点からより好ましい配合量は3〜20重量部である。
有機樹脂皮膜中に含まれる防錆添加剤の種類に特別な制限はないが、
(a1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物
(a2)リン酸塩
(a3)酸化ケイ素
(a4)モリブデン酸塩
(a5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる少なくとも1種
のなかから選ばれる1種又は2種以上を用いることにより、皮膜欠陥部や局部薄膜部での耐食性が向上するので、特に望ましい。
上記(a1)のカルシウム成分は、金属カルシウム、カルシウム化合物のいずれでもよく、カルシウム化合物としては塩、水酸化物、酸化物などが挙げられる。
上記(a2)のリン酸塩は、単塩、複塩など全ての種類の塩を含み、またそれを構成する金属カチオンに特別な制限はなく、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどのようにいずれの金属カチオンを含むものでもよい。また、リン酸イオンの骨格や縮合度等にも特別な制限はなく、正塩、二水素塩、一水素塩あるいは亜リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩は、オルトリン酸塩の他、ポリリン酸塩等の全ての縮合リン酸塩を含む。
上記(a3)の酸化ケイ素としては、コロイダルシリカ、乾式シリカのいずれでもよい。また、そのなかでも、イオン交換シリカが好ましく、さらにそのなかでもカルシウムをその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカが特に望ましい。カルシウムイオン交換シリカは、カルシウムイオンを多孔質シリカゲル粉末の表面に固定したもので、腐食環境下で金属イオンが放出されることにより沈殿膜を形成する。カルシウムイオン交換シリカとしては、例えばW.R.Grace & Co.製又は富士シリシア化学(株)製のシールデックス(商品名)などが挙げられる。
また、イオン交換シリカに加えて、微粒子シリカを併用することが好ましい。微粒子シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカいずれでもよい。
コロイダルシリカとしては、例えば、水系皮膜形成樹脂をベースとする場合は、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスC、スノーテックスS(いずれも、商品名)、触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI−350、カタロイドSI−40、カタロイドSA、カタロイドSN、(いずれも商品名)、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20〜50、アデライトAT−20N、アデライトAT−300、アデライトAT−300S、アデライトAT20Q(いずれも商品名)などを用いることができ、また、溶剤系皮膜形成樹脂をベースとする場合は、日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルMA−ST−M、オルガノシリカゾルIPA−ST、オルガノシリカゾルEG−ST、オルガノシリカゾルE−ST−ZL、オルガノシリカゾルNPC−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST、オルガノシリカゾルDMAC−ST−ZL、オルガノシリカゾルXBA−ST、オルガノシリカゾルMIBK−ST(いずれも商品名)、触媒化成工業(株)製のOSCAL−1132、OSCAL−1232、OSCAL−1332、OSCAL−1432、OSCAL−1532、OSCAL−1632、OSCAL−1722(いずれも商品名)などを用いることができる。
また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のアエロジルR971、アエロジルR812、アエロジルR811、アエロジルR974、アエロジルR202、アエロジルR805、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル300CF(いずれも、商品名)などを用いることができる。
これらの微粒子シリカは、腐食環境下で緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制することができると考えられている。
上記のようにイオン交換シリカと微粒子シリカを併用することにより、さらなる耐食性向上効果が得られる。イオン交換シリカは多孔質シリカを主体としており、一般に粒子径が1μm以上と比較的大きいため、Caイオンが放出された後はシリカとしての防錆効果はあまり期待できない。このためヒュームドシリカやコロイダルシリカ等のような比表面積の大きい微粒子シリカ(一次粒子径5〜50nm、望ましくは5〜20nm、さらに望ましくは5〜15nm)を併用することにより、塩基性塩化亜鉛などの緻密で安定な腐食性生物の生成が促進され、酸化亜鉛(白錆)の生成を抑制できるものと考えられ、このようなイオン交換シリカと微粒子シリカの複合的な防錆機構によって、特にすぐれた防食効果が得られるものと推定される。このような作用効果を得るために、イオン交換シリカ(x)と微粒子シリカ(y)の配合比(質量比)は(x)/(y)=1/99〜99/1とすることが好ましい。(x)/(y)が1/99未満、99/1超のいずれの場合も、両者を併用することによる耐食性の向上効果が十分に得られない。
上記(a4)のモリブデン酸塩は、モリブデン酸塩の骨格、縮合度に特別な制限はなく、例えば、オルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などを用いることができる。また、単塩、複塩など全ての塩を含み、複塩としては、リン酸モリブデン酸塩などが挙げられる。
上記(a5)のトリアゾール類としては、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。また、チオール類としては、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプトベンツイミダゾールなどが挙げられる。また、チアジアゾール類としては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが挙げられる。また、チアゾール類としては、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール類などが挙げられる。また、チウラム類としては、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。
本発明において、有機樹脂皮膜中に上記(a1)〜(a5)の1種以上の防錆添加剤(自己補修発言物質)を配合することにより、バリア性と自己補修効果とが複合化することによって極めて優れた防食効果が発揮される。
有機樹脂皮膜中での防錆添加剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して3〜80質量部(固形分)、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部とする。防錆添加剤の配合量が有機樹脂100質量部に対して3質量部未満では耐食性向上効果が十分でなく、一方、80質量部を超えると樹脂皮膜の強度が低下するので耐紙磨耗性が低下する。
また、有機樹脂皮膜中には上記の防錆添加剤(自己補修発現物質)に加えて、腐食抑制剤として、酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)、有機インヒビター(ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩など)などを添加することができる。
有機樹脂皮膜の膜厚は0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜0.5μmとする。膜厚が0.01μm未満では耐食性が不十分であり、一方、3μmを超えると導電性が低下する。
表面処理鋼板の耐紙磨耗性をより向上させるためには、上記亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、クロムを含まない第1層皮膜を形成した上で、第2層として上記有機樹脂皮膜を形成することが望ましい。
第1層皮膜の膜厚は0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.07〜0.4μmとする。第1層皮膜の膜厚が0.01μm未満では耐紙磨耗性の向上効果が少なく、一方、1μmを超えると導電性が低下する。
第1層皮膜としては、無機系皮膜、有機系皮膜、有機−無機複合皮膜のいずれでもよいが、特に耐紙磨耗性の向上のためには、下記(i)の無機系皮膜、若しくは下記(ii)の有機系皮膜、特に有機化合物として硬度の高いエポキシ樹脂、フェノール樹脂、多価フェノール化合物の1種以上を配合した有機系皮膜が好適である。
(i)下記(α)及び(β)、さらに好ましくは(γ)を含有する(好ましくは、これらを主成分として含有する)複合酸化物皮膜
(α)リン酸及び/又はリン酸化合物
(β)シリカ
(γ)Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Mn、Fe、Co、Zn、Al及びLiの中から選ばれる1種又は2種以上の元素
(ii)下記(A)、(B)及び(C)を含有する水溶液を塗布して形成された有機系皮膜
(A)有機化合物
(B)シランカップリング剤
(C)エッチング性のある酸
前記(i)の複合酸化物皮膜において、前記成分(α)であるリン酸及び/又はリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、これらの金属塩や化合物などを皮膜組成物中に添加することにより皮膜成分として配合することができる。
皮膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形態には特別な制限はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸、リン酸化合物のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。
前記成分(β)であるシリカとしては、コロイダルシリカやヒュームドシリカなどを用いることができる。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックスOXS、スノーテックスOUP、スノーテックスAK、スノーテックスO40、スノーテックスOL、スノーテックスOL40、スノーテックスOZL(以上、酸性溶液)、スノーテックスXS、スノーテックスS、スノーテックスNXS、スノーテックスNS、スノーテックスN、スノーテックスQAS−25、スノーテックスLSS−35、スノーテックスLSS−45、スノーテックスLSS−75(以上、アルカリ性溶液)、触媒化成工業(株)製のカタロイドS、カタロイドSI−350、カタロイドSI−40、カタロイドSA(以上、アルカリ性溶液)、カタロイドSN(酸性溶液)、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20〜50、アデライトAT−20N、アデライトAT−300、アデライトAT−300S(以上、アルカリ性溶液)、アデライトAT20Q(酸性溶液)などを用いることができる(以上、いずれも商品名)。
また、これらシリカの中でも、特に粒子径が14nm以下のもの、さらには好ましくは8nm以下のものが耐食性の観点から望ましい。
また、シリカとしては、乾式シリカ微粒子を皮膜組成物溶液に分散させたものを用いることもできる。この乾式シリカとしては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジル200、アエロジル300、アエロジル300CF、アエロジル380(いずれも商品名)などを用いることができ、なかでも粒子径12nm以下、さらに好ましくは7nm以下のものが望ましい。
上記のシリカに加えて、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなどのコロイド溶液、微粉末などを配合することもできる。
前記成分(γ)の元素が皮膜中に存在する形態にも特別な制限はなく、金属として、或いは酸化物、水酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などの化合物若しくは複合化合物として存在してよい。これらの酸化物、水酸化物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物などのイオン性、溶解度などについても特に制限はない。
上述した各元素は、その元素を含むリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などを皮膜組成物に添加することにより皮膜中に含有させることができる。また、耐食性の観点からは、上記元素群の中でも特にMg、Ca、Ni、Mn、Alが望ましい。
以上の成分(α)、成分(β)及び成分(γ)を皮膜構成要素として(好ましくは主成分として)含有する複合酸化物皮膜は、例えば、コロイダルシリカ:0.001〜3M(=mol/1、以下同様)(望ましくは0.01〜1M)、リン酸マグネシウム:0.001〜2M(望ましくは、0.01〜1M)を含有するpH1〜5(望ましくはpH2〜4)の皮膜組成物を、前記めっき鋼板表面に塗布して加熱乾燥することにより形成できる。
前記複合酸化物皮膜中には、皮膜の加工性、耐食性を向上させることを目的として、有機樹脂を配合することができる。この有機樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチレン共同合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂などを用いることができる。これらは水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂として皮膜中に導入できる。さらに、これらの水系樹脂に加えて、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ブタジエンラバー(SBR、NBR、MBR)、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物などを架橋剤として併用することが有効である。
前記複合酸化物皮膜中には、腐食を抑制するための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレングリコールなど)などを配合してもよい。
さらに、その他の添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えばチオールなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などを添加することもできる。
また、複合酸化物皮膜中には、表面処理鋼板の使用環境下での黒変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目的で、鉄族金属イオン(Niイオン、Coイオン、Feイオン)の1種以上を添加してもよい。なかでもNiイオンの添加が最も好ましい。この場合、鉄族金属イオンの濃度としては、皮膜組成物中の金属量換算で1/10000M(mol/L)以上あれば所望の効果が得られる。鉄族イオン濃度の上限は特に定めないが、濃度の増加に伴い耐食性に影響を及ぼさない程度とするのが好ましい。
上記(ii)の有機系皮膜は、有機化合物に対して、シランカップリング剤とエッチング性のある酸を配合した水溶液を塗布した際、めっき皮膜中の亜鉛が溶解し、亜鉛とシランカップリング剤の複合層が形成されることにより、耐紙磨耗性のある皮膜を形成することができる。
上記有機化合物としては、硬度が高く且つ耐食性にも優れた有機系皮膜が得られるという点から、特に多価フェノール化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、これらの1種以上を用いることが好ましい。
また、エッチング性のある酸としては、例えば、リン酸、フッ酸の中から選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明の表面処理鋼板は、亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、必要に応じて第1層皮膜用の処理液を塗布し加熱乾燥した後、第2層皮膜用の樹脂組成物を塗布し加熱乾燥することにより製造することができる。
第1層皮膜用の処理液をめっき鋼板表面にコーティングする方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式などの任意の方式を採用できる。塗布方式ではロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理又はスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
処理液をコーテティングした後、通常は水洗することなく加熱乾燥を行うが、コーティング後に水洗を行ってもよい。コーティングした処理液を加熱乾燥する方法は任意であり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などの手段を用いることができる。この加熱乾燥処理は到達温で40〜350℃、望ましくは80〜200℃、さらに望ましくは80〜160℃の範囲で行うことが好ましい。加熱乾燥温度が40℃未満では皮膜中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、加熱乾燥温度が350℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜にクラックなどの欠陥が生じやすくなり、耐食性が低下する。
以上のようにして亜鉛系合金めっき鋼板の表面に必要に応じて第1層皮膜を形成した後、その上層に第2層皮膜用の樹脂組成物をコーティングする。樹脂組成物をコーティングする方法としては、塗布方式、浸漬方式、スプレー方式などの任意の方法を採用できる。塗布方式では、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理又はスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
樹脂組成物のコーティング後、通常は水洗することなく加熱乾燥を行うが、樹脂組成物のコーティング後に水洗を行ってもよい。コーティングした樹脂組成物を加熱乾燥する方法は任意であり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などの手段を用いることができる。この加熱乾燥処理は到達板温で50〜350℃、望ましくは80〜250℃の範囲で行うことが好ましい。加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜の硬化が十分でないため、耐食性が不十分となる。一方、加熱乾燥温度が350℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じて耐食性が低下する。
[第1層皮膜用の処理液の調製]
第1層皮膜用として、以下の3種類の処理液を調製した。
(a) コロイダルシリカ:0.33モル/L、リン酸:0.06モル/L、金属成分(Al):0.1モル/Lからなる処理液
(b) エポキシ系エマルジョン樹脂100質量部に、リン酸20質量部、シランカップリング剤20質量部を配合した水分散処理液
(c) フェノール系樹脂100質量部に、リン酸10質量部、珪フッ化水素酸5質量部、シランカップリング剤10質量部を配合した水分散処理液
なお、上記処理液(a)〜(c)は、適宜希釈して使用した。
[第2層皮膜用の樹脂組成物の製造]
第2層皮膜用の溶剤系熱硬化型樹脂として、表1の水酸基含有ウレタンプレポリマーを以下のようにして調製した。加熱装置、攪拌機、水分離器および温度計を備えた反応装置に、ポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオール(AR):915質量部および脂肪族ポリエステルポリオール(AL):915質量部を、不活性ガス存在下において仕込み加熱した。上記原料が融解した後、加熱しながら攪拌を開始した。融解した原料が100℃まで昇温した後、その温度で30〜60分間保温し、次いで脱水した。次いで、融解した原料の温度を70℃まで下げ、その温度下において、2価のアルコールである1,4−ブタンジオール:28質量部、イソシアネート化合物であるジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート:313質量部、反応触媒であるジブチルチンラウリレート:0.55質量部および溶剤であるシクロヘキサノン:940質量部を仕込み、70℃の温度で5〜10時間反応を継続し、所定の粘度に達したところで、2価のアルコールである1,3−ブタンジオール:10質量部を加えて反応を終了させた。さらに、溶剤であるシクロヘキサノン:4150質量部を加え、不揮発分:30%、粘度1400cpsの水酸基含有ウレタンポレポリマーを得た。
このようにして得られた水酸基含有ウレタンポレポリマーに、防錆添加剤と固形潤滑剤を適宜配合し、塗料用分散機(サイドグラインダー)を用いて必要時間分散させることにより、第2層皮膜用の樹脂組成物を得た。
[表面処理鋼板の製造]
亜鉛系めっき鋼板又は亜鉛系合金めっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した後、第1層用の処理液をロールコーターにより塗布し、水洗することなく加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、処理液の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。次いで、第2層皮膜用の樹脂組成物をロールコーターにより塗布し、水洗することなく加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、樹脂組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
このようにして得られた表面処理鋼板について、紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性、導電性の各性能試験を行った。その結果を、表面処理鋼板の構成とともに表2及び表3に示す。
各性能試験及び評価は以下のようにして行った。
(1)紙すべり性
各表面処理鋼板のサンプルについて、(イ)静摩擦係数と(ロ)動摩擦係数により耐紙すべり性を評価した。静摩擦係数と動摩擦係数の測定方法及び評価基準を以下に示す。
(イ) 静摩擦係数
各サンプルの静摩擦係数を傾斜式摩擦係数測定法により測定した。以下に、測定器具、試験条件及び評価基準を示す。
・測定器具:HEIDON(新東科学(株)製)
・試験条件 使用用紙:KB用紙
基準滑り面:用紙(KB用紙)
接触面積:30mm×30mm
上昇速度:10°/sec
荷重:300kgf
・評価基準
◎:静摩擦係数0.3未満
○:静摩擦係数0.3以上、0.5未満
△:静摩擦係数0.5以上、0.7未満
×:静摩擦係数0.7以上
(ロ) 動摩擦係数
各サンプルの動摩擦係数を水平引っ張り式摩擦係測定法により測定した。以下に、測定器具、測定条件及び評価基準を示す。
・測定器具:HEIDON 14DR(新東科学(株)製)
・試験条件 使用用紙:KB用紙
基準滑り面:用紙(KB用紙)
接触面積:30mm×30mm
滑り速度:300mm/sec
荷重:300kgf
・評価基準
◎:動摩擦係数0.2未満
○:動摩擦係数0.2以上、0.3未満
△:動摩擦係数0.3以上、0.5未満
×:動摩擦係数0.5以上
(2)耐紙磨耗性
各表面処理鋼板のサンプルについて、図1に示す試験機を使用して耐紙磨耗性を測定した。この試験では、サンプルを試験機に固定グリップにより固定し、次いで、用紙を巻き付けた測定冶具(重り)をサンプル上にセットした後、サンプルと用紙を接触させながら往復摺動運動を開始し、摺動20000往復までの表面変化を目視で観察した。
以下に、試験条件及び評価基準を示す。
・試験条件 使用用紙:KB用紙
基準滑り面:用紙(KB用紙)
接触面積:50mm×70mm
摺動速度:1往復/sec
荷重(重りの重さ):500kgf
摺動回数:20000往復
・評価基準:20000往復後の表面状態
◎:表面の変色(黒化)がなく、摺動疵が少ない。
○:表面の変色(黒化)がなく、摺動疵が大きい。
△:表面が変色(黒化)し、摺動疵が少ない。
×:表面が変色(黒化)し、摺動疵が大きい。
(3)耐食性
各表面処理鋼板のサンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を施し、72時間後の白錆面積率で評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:白錆面積率5%未満
○:白錆面積率5%以上、10%未満
△:白錆面積率10%以上、50%未満
×:白錆面積率50%以上
(4)導電性
各表面処理鋼板のサンプルについて、4探針式測定法によって表面抵抗値を測定した。器具としては、以下の表面抵抗測定機器と測定プローブを使用した。
表面抵抗測定機器:ロレスターAP(三菱油化製)
測定プローブ:ASPプローブ(三菱油化製)
評価基準は、以下のとおりである。
◎:表面抵抗値 1.0×10−3[Ω]未満
○:表面抵抗値 1.0×10−3[Ω]以上、1.0×10−0未満
△:表面抵抗値 1.0×10−0[Ω]以上、1.0×10未満
×:表面抵抗値 1.0×10[Ω]以上
Figure 0004093160
Figure 0004093160
Figure 0004093160
実施例で用いた耐紙磨耗性の試験機を示す説明図

Claims (10)

  1. めっき層表面のマイクロビッカース硬度が120以上の亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、有機樹脂100質量部に対して固形潤滑剤が1〜30質量部、防錆添加剤が3〜80質量部配合された膜厚が0.01〜3μmの有機樹脂皮膜を形成したことを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
  2. めっき層表面のマイクロビッカース硬度が120以上の亜鉛系合金めっき鋼板の表面に、クロムを含まない膜厚が0.01〜1μmの第1層皮膜を形成し、その上層に、第2層として有機樹脂100質量部に対して固形潤滑剤が1〜30質量部、防錆添加剤が3〜80質量部配合された膜厚が0.01〜3μmの有機樹脂皮膜を形成したことを特徴とする紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
  3. 亜鉛系合金めっき鋼板が、めっき層中にNiを9〜15mass%含有するZn−Ni合金めっき鋼板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
  4. 有機樹脂皮膜の有機樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
  5. 有機樹脂皮膜の有機樹脂が溶剤系熱硬化型樹脂であり、且つ下記(イ)及び(ロ)を主成分とすることを特徴とする請求項4に記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
    (イ)下記(a)〜(c)を主成分とする水酸基含有ウレタンプレポリマー
    (a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリエステルポリオールの中から選ばれる1種又は2種以上のポリオール
    (b)イソシアネート化合物
    (c)2価アルコール
    (ロ)硬化剤として、ブロックポリイソシアネートプレポリマー及びアミノ樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上
  6. 有機樹脂皮膜中に含まれる固形潤滑剤が、ポリエチレンワックス、PTFE及びモンタンワックスの中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
  7. 第1層皮膜が、下記(α)及び(β)を含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
    (α)リン酸及び/又はリン酸化合物
    (β)シリカ
  8. 第1層皮膜が、下記(α)、(β)及び(γ)を含有する複合酸化物皮膜であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
    (α)リン酸及び/又はリン酸化合物
    (β)シリカ
    (γ)Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Mn、Fe、Co、Zn、Al及びLiの中から選ばれる1種又は2種以上の元素
  9. 第1層皮膜が、下記(A)、(B)及び(C)を含有する水溶液を塗布して形成された有機系皮膜であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
    (A)有機化合物
    (B)シランカップリング剤
    (C)リン酸、フッ酸の中から選ばれる1種以上
  10. 第1層皮膜中に含まれる有機化合物(A)が、エポキシ樹脂、多価フェノール化合物及びフェノール樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9に記載の紙すべり性、耐紙磨耗性、耐食性及び導電性に優れたOA機器用表面処理鋼板。
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