JP2005288730A - 溶接可能な自動車用有機被覆鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 皮膜中にクロムを含有することなく優れた耐食性を示し、且つ溶接性及び加工性にも優れた自動車用有機被覆鋼板を提供する。
【解決手段】 亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)水性樹脂分散液と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸とを含有し、クロムを含まない表面処理組成物により表面処理皮膜を形成し、その上層に、有機樹脂に対してクロムを含まない防錆添加剤、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤及び導電性顔料を所定量含有する有機無機複合皮膜を形成した。
【選択図】 なし
【解決手段】 亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)水性樹脂分散液と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸とを含有し、クロムを含まない表面処理組成物により表面処理皮膜を形成し、その上層に、有機樹脂に対してクロムを含まない防錆添加剤、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤及び導電性顔料を所定量含有する有機無機複合皮膜を形成した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車部品や自動車車体(交換用補修部品なども含む)に用いられる自動車用有機被覆鋼板に関するもので、例えば、自動車メーカーにおける、(1)化成処理工程の省略、(2)化成処理工程及び電着塗装工程の省略、(3)電着塗装工程での電着膜厚の削減、(4)副資材(シーラー、ワックス)の省略又は削減、などを狙いとする有機被覆鋼板を提供するものである。
従来、建材の分野では、屋根材や壁材等に着色亜鉛鉄板やカラー鋼板などの塗装鋼板が使用されてきた。また、商品の意匠性に対して厳しい性能が要求される家電業界では、米国家電メーカーが冷蔵庫にプレコート鋼板(PCM)を採用したのが契機となり、冷蔵庫や洗濯機の外板などに家電用高級プレコート鋼板が適用されている。プレコートとは、あらかじめ鋼板(ストリップ)の表面に、ロールコーティングや粉体塗装などの方法によって塗装を施し、この塗装鋼板を用いて加工・組み立てを行なう方法であり、従来のポストコート、すなわち鋼板を加工した後に塗装する方法に対して、ユーザーでの前処理・塗装工程の省略によるコストダウンや環境対策のメリットが期待できる。
一方、自動車の分野では、北米や北欧などの寒冷地において冬期に散布される道路凍結防止用の塩類による自動車車体の腐食が大きな社会問題となり、車体の防錆対策が強化されてきた。
従来、自動車用防錆鋼板としては、特許文献1などのような、亜鉛粉末含有塗膜を10〜20μmの膜厚で形成させた防錆塗装鋼板(ジンクロメタル)が使用された。しかしながら、この防錆塗装鋼板の亜鉛粉末含有塗膜は、プレス成形時に著しい皮膜剥離が生じ、これが金型に堆積して欠陥やプレス割れの原因となるばかりでなく、防錆皮膜が剥離した部分の耐食性が劣化してしまうという問題があった。
従来、自動車用防錆鋼板としては、特許文献1などのような、亜鉛粉末含有塗膜を10〜20μmの膜厚で形成させた防錆塗装鋼板(ジンクロメタル)が使用された。しかしながら、この防錆塗装鋼板の亜鉛粉末含有塗膜は、プレス成形時に著しい皮膜剥離が生じ、これが金型に堆積して欠陥やプレス割れの原因となるばかりでなく、防錆皮膜が剥離した部分の耐食性が劣化してしまうという問題があった。
近年では、亜鉛めっき鋼板の防錆性と加工性などの品質性能の著しい進歩によって、防錆性へのニーズはほぼ満足できたものと言える。一方、最近では、自動車メーカーでの製造工程において、シーラーやワックスなどの副資材の削減・省略、電着塗装の膜厚削減、化成処理・電着工程の短縮・省略などによるトータルコスト削減のニーズが高まりつつある。すでに、欧州自動車メーカーでは、シーラーやワックスなどの副資材の削減・省略を狙いとして、亜鉛めっき鋼板の表面にクロメート皮膜を形成し、さらに亜鉛粉末などの導電性金属粉を含有させた4〜7μm程度の塗膜を形成させた有機被覆鋼板を採用しているケースがある。しかしながら、6価クロムを含有するクロメート処理を施す必要があること、プレス加工時の皮膜剥離や剥離後の耐食性の問題などについては、解決されていないのが実状である。
また、最近では、自動車などに適用される防錆鋼板として、例えば特許文献2〜5に示されるようなものが提案され、また、特許文献6には、亜鉛系合金めっき鋼板の表面にリン酸化合物を主体とする化成処理を施し、その表面に有機樹脂、導電性顔料及び防錆顔料からなる有機塗膜を形成した防錆鋼板が示されている。
しかし、特許文献2〜5の防錆鋼板は、いずれもクロメート処理を施したり、6価クロム系の防錆顔料を使用しているため、環境面で問題がある。また、特許文献6の防錆鋼板は、化成処理として従来型の結晶性のリン酸塩処理を施したものであるため、加工性が期待できないばかりでなく、防錆顔料として6価クロム酸系の防錆顔料を適用しているため環境面でも問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、皮膜中にクロムを含有することなく優れた耐食性を示し、しかも溶接性及び加工性にも優れた自動車用有機被覆鋼板を提供することにある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、皮膜中にクロムを含有することなく優れた耐食性を示し、しかも溶接性及び加工性にも優れた自動車用有機被覆鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の自動車用有機被覆鋼板は以下のような特徴を有する。
[1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
第一層皮膜として、下記成分(a)〜(c)を含有し、且つクロムを含まない表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜であって、めっき金属との反応層を有する表面処理皮膜を0.01〜3μmの膜厚で形成し、
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
その上層に第二層皮膜として、有機樹脂100質量部に対して、クロムを含まない防錆添加剤を1〜120質量部、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を0.1〜20質量部含有し、且つ導電性顔料を第二層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%含有する有機無機複合皮膜を、1〜30μmの膜厚で形成したことを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
第一層皮膜として、下記成分(a)〜(c)を含有し、且つクロムを含まない表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜であって、めっき金属との反応層を有する表面処理皮膜を0.01〜3μmの膜厚で形成し、
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
その上層に第二層皮膜として、有機樹脂100質量部に対して、クロムを含まない防錆添加剤を1〜120質量部、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を0.1〜20質量部含有し、且つ導電性顔料を第二層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%含有する有機無機複合皮膜を、1〜30μmの膜厚で形成したことを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[2] 上記[1]の有機被覆鋼板において、第一層皮膜が、クロムを含まない防錆添加剤及び/又は導電性顔料を含有することを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[3] 上記[1]又は[2]の有機被覆鋼板において、導電性顔料が、金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの有機被覆鋼板において、第一層皮膜が、非晶質リン酸化合物を含有することを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの有機被覆鋼板において、第一層皮膜形成用の水性樹脂分散液に含まれる有機樹脂が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、多価フェノール誘導体、及びこれらの樹脂をさらに変性させた樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[3] 上記[1]又は[2]の有機被覆鋼板において、導電性顔料が、金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの有機被覆鋼板において、第一層皮膜が、非晶質リン酸化合物を含有することを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの有機被覆鋼板において、第一層皮膜形成用の水性樹脂分散液に含まれる有機樹脂が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、多価フェノール誘導体、及びこれらの樹脂をさらに変性させた樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの有機被覆鋼板において、第二層皮膜の有機樹脂が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼板において、クロムを含まない防錆添加剤が、下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
(e1)カルシウム又は/及びカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼板において、クロムを含まない防錆添加剤が、下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
(e1)カルシウム又は/及びカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
本発明の自動車用有機被覆鋼板は、皮膜中にクロムを含有しないにも拘わらず優れた耐食性を示し、しかも溶接性及び加工性にも優れた性能を示す。
本発明の自動車用有機被覆鋼板は、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面(片面又は両面)に、第一層皮膜として、下記成分(a)〜(c)を含有し、且つクロムを含まない表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜であって、めっき金属との反応層を有する表面処理皮膜を0.01〜3μmの膜厚で形成し、
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
その上層に第二層皮膜として、有機樹脂100質量部に対して、クロムを含まない防錆添加剤を1〜120質量部、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を0.1〜20質量部含有し、且つ導電性顔料を第二層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%含有する有機無機複合皮膜を1〜30μmの膜厚で形成したものである。
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
その上層に第二層皮膜として、有機樹脂100質量部に対して、クロムを含まない防錆添加剤を1〜120質量部、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を0.1〜20質量部含有し、且つ導電性顔料を第二層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%含有する有機無機複合皮膜を1〜30μmの膜厚で形成したものである。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mgめっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることもできる。
本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mgめっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることもできる。
また、本発明の有機被覆鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中に1〜2000ppm程度のNi,Co,Feの微量元素を析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi,Co,Feを含むアルカリ性水溶液又は酸性水溶液による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させるようにしてもよい。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中に1〜2000ppm程度のNi,Co,Feの微量元素を析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi,Co,Feを含むアルカリ性水溶液又は酸性水溶液による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させるようにしてもよい。
次に、上記亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第一層皮膜として形成される表面処理皮膜およびこの皮膜形成用の表面処理組成物について説明する。
本発明の有機被覆鋼板において、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、下記成分(a)〜(c)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜である。この表面処理皮膜はクロムを全く含まない。
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
本発明の有機被覆鋼板において、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、下記成分(a)〜(c)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜である。この表面処理皮膜はクロムを全く含まない。
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
まず、上記成分(a)である水性樹脂分散液について説明する。
この水性樹脂分散液に用いられる有機樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上が適当である。
この水性樹脂分散液に用いられる有機樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上が適当である。
次に、上記成分(b)であるシランカップリング剤について説明する。
このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記シランカップリング剤のなかでも、上記成分(a)の水分散性樹脂と反応性が高い官能基を有するという観点から、特に反応性官能基としてアミノ基を有すシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製のKBM−903、KBE−903、KBM−603、KBE−602、KBE−603(いずれも商品名)などを用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、上記成分(a)である水性樹脂分散液の固形分100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは15〜50質量部とするのが適当である。シランカップリング剤の配合量が1質量部未満では耐食性が劣り、一方、300質量部を超えると十分な皮膜が形成できないため、水分散性樹脂との密着性とバリア性を高める効果が発揮できず、耐食性が低下する。
次に、上記成分(c)であるリン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸は、不活性なめっき金属表面に作用してめっき金属表面を活性化させる作用を有する。このリン酸とヘキサフルオロ金属酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ヘキサフルオロ金属酸の種類は特に限定されないが、特にフッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、けいフッ酸などのようなTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸が好ましく、これらの1種以上を用いることができる。
リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸の配合量は、上記成分(a)である水性樹脂分散液の固形分100質量部に対して、合計で0.1〜80質量部、好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは5〜50質量部とするのが適当である。リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸の配合量が0.1質量部未満では耐食性が劣り、一方、80質量部を超えると皮膜の可溶成分が増えることから、耐食性が低下するため好ましくない。
ヘキサフルオロ金属酸の種類は特に限定されないが、特にフッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、けいフッ酸などのようなTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸が好ましく、これらの1種以上を用いることができる。
リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸の配合量は、上記成分(a)である水性樹脂分散液の固形分100質量部に対して、合計で0.1〜80質量部、好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは5〜50質量部とするのが適当である。リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸の配合量が0.1質量部未満では耐食性が劣り、一方、80質量部を超えると皮膜の可溶成分が増えることから、耐食性が低下するため好ましくない。
表面処理組成物には、耐食性向上を目的として、必要に応じて水溶性リン酸塩を配合することができる。この水溶性リン酸塩としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの金属塩の1種以上を用いることができる。また、有機リン酸の塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩およびこれらの金属塩)の1種以上を添加してもよい。また、それらのなかでも第一リン酸塩が表面処理組成物の安定性などの面から好適である。
皮膜中でのリン酸塩の存在形態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸塩のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。水溶性リン酸塩を配合することにより耐食性が向上する理由は、水溶性リン酸塩が皮膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成するためであると考えられる。
皮膜中でのリン酸塩の存在形態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸塩のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。水溶性リン酸塩を配合することにより耐食性が向上する理由は、水溶性リン酸塩が皮膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成するためであると考えられる。
先に述べたようにシランカップリング剤は活性化されためっき金属と皮膜形成樹脂の両方と化学結合することで、めっき金属と皮膜形成樹脂との優れた密着性と耐食性が得られるが、めっき金属表面には不可避的に不活性な部分が存在し、このような不活性なサイトでは上記化学結合が生じにくく防錆効果を十分発揮できない。水溶性リン酸塩はこのようなめっき皮膜の部分に対して、皮膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成する。すなわち、水溶性リン酸塩のリン酸イオンによるめっき皮膜の溶解に伴いめっき皮膜/表面処理組成物界面でpHが上昇し、その結果、水溶性リン酸塩の沈殿物皮膜が形成され、これが耐食性の向上に寄与する。
また、特に優れた耐食性を得るという観点からは、水溶性リン酸塩のカチオン種としてはAl、Mn、Ni、Mgが特に望ましく、これらの中から選ばれる1種以上の元素を含む水溶性リン酸塩を用いることが好ましい。このような水溶性リン酸塩としては、例えば、第一リン酸アルミニウム、第一リン酸マンガン、第一リン酸ニッケル、第一リン酸マグネシウムが挙げられ、これらのうちでも特に第一リン酸アルミニウムが最も好ましい。また、そのカチオン成分とP2O5成分のモル比[カチオン]/[P2O5]は0.4〜1.0であることが好ましい。モル比[カチオン]/[P2O5]が0.4未満では可溶性のリン酸によって皮膜の難溶性が損なわれ、耐食性が低下するので好ましくない。一方、1.0を超えると処理液安定性が著しく失われるので好ましくない。
この水溶性リン酸塩の配合量は、上記成分(a)である水性樹脂分散液の固形分100質量部に対して、固形分の割合で0.1〜60質量部、好ましくは0.5〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部とするのが適当である。水溶性リン酸塩の配合量が0.1質量部未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、60質量部を超えると皮膜の可溶成分が増えることから、耐食性が低下するため好ましくない。
表面処理組成物には、耐食性、溶接性の向上を目的として、クロムを含まない防錆添加剤(非クロム系防錆添加剤)及び/又は導電性顔料を配合することができる。
非クロム系防錆添加剤としては、特に下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(e1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
これらの防錆添加剤により得られる防錆機構については、第二層皮膜の構成において説明するが、このような防錆添加剤を第一層皮膜中に配合することにより、優れた防食性能(自己補修性)を得ることができる。
非クロム系防錆添加剤としては、特に下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(e1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
これらの防錆添加剤により得られる防錆機構については、第二層皮膜の構成において説明するが、このような防錆添加剤を第一層皮膜中に配合することにより、優れた防食性能(自己補修性)を得ることができる。
非クロム系防錆添加剤の配合量は、第一層皮膜の固形分100質量部に対して1〜100質量、好ましくは10〜80質量部とするのが適当である。この非クロム系防錆添加剤の配合量が1質量部未満では、耐アルカリ脱脂後の耐食性向上効果が十分に得られず、一方、100質量部を超えると塗装性及び加工性が低下するだけでなく、耐食性も低下するので好ましくない。
なお、上記(e1)〜(e7)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(e1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)(e6)(e7)の成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e7)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
なお、上記(e1)〜(e7)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(e1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)(e6)(e7)の成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e7)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
また、導電性顔料としては、下記(1)〜(5)に示されるような金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(1) 亜鉛、ニッケル、鉄、アルミニウム、コバルト、マンガン、銅、錫などの金属またはそれらの合金粉末
(2) 導電性カーボン、黒鉛粉末などの導電性炭素粉末
(3) リン化鉄粉末
(4) 炭化チタン、炭化けい素などの炭化物粉末
(5) アンチモンドープ型酸化錫、酸化錫−酸化チタン、酸化錫−硫酸バリウム、酸化ニッケル−アルミニウムなどの半導体酸化物粉末
このような導電性顔料を第一層皮膜中に含有させることにより、導電性顔料が皮膜中で相互に接触することで溶接電流の経路となり、溶接性が向上する。
導電性顔料の配合量は、第一層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%、好ましくは10〜40容積%とするのが適当である。
(1) 亜鉛、ニッケル、鉄、アルミニウム、コバルト、マンガン、銅、錫などの金属またはそれらの合金粉末
(2) 導電性カーボン、黒鉛粉末などの導電性炭素粉末
(3) リン化鉄粉末
(4) 炭化チタン、炭化けい素などの炭化物粉末
(5) アンチモンドープ型酸化錫、酸化錫−酸化チタン、酸化錫−硫酸バリウム、酸化ニッケル−アルミニウムなどの半導体酸化物粉末
このような導電性顔料を第一層皮膜中に含有させることにより、導電性顔料が皮膜中で相互に接触することで溶接電流の経路となり、溶接性が向上する。
導電性顔料の配合量は、第一層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%、好ましくは10〜40容積%とするのが適当である。
本発明において、第一層皮膜は、その表面処理組成物がめっき金属と反応して反応層を有することが必要である。この反応層を形成する狙いは、(1)めっき皮膜表面を不活性化すること、(2)めっき皮膜/第一層皮膜界面の密着性を強化すること、(3)同界面での腐食反応を抑制すること、などの点にある。このため特に、処理組成物にはリン酸化合物を添加することが望ましい。
第一層皮膜は、上記反応層を適切に形成するために、また、以下のような作用を得るために、非晶質性のリン酸化合物を含有することが望ましい。この非晶質性のリン酸化合物は、めっき面と皮膜との密着性を確保する上で有効に機能するとともに、皮膜中の可溶性リン酸が亜鉛やアルミニウムを捕捉して白錆の発生を抑制する効果がある。なお、従来行われているリン酸塩処理により生成するようなリン酸化合物(結晶性)は、加工性や溶接性が劣るため、好ましくない。
第一層皮膜は、上記反応層を適切に形成するために、また、以下のような作用を得るために、非晶質性のリン酸化合物を含有することが望ましい。この非晶質性のリン酸化合物は、めっき面と皮膜との密着性を確保する上で有効に機能するとともに、皮膜中の可溶性リン酸が亜鉛やアルミニウムを捕捉して白錆の発生を抑制する効果がある。なお、従来行われているリン酸塩処理により生成するようなリン酸化合物(結晶性)は、加工性や溶接性が劣るため、好ましくない。
また、表面処理皮膜(および表面処理組成物)中には、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジンおよびその誘導体、チオール化合物、チオカルバミン酸塩など)などの1種または2種以上を添加できる。
さらに必要に応じて、表面処理皮膜(および表面処理組成物)中には添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種または2種以上を添加することができる。
第一層皮膜の膜厚は0.01〜3μmとする。膜厚が0.01μm未満では十分な耐食性向上が得られず、一方、3μmを超えると溶接性が劣る。
さらに必要に応じて、表面処理皮膜(および表面処理組成物)中には添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種または2種以上を添加することができる。
第一層皮膜の膜厚は0.01〜3μmとする。膜厚が0.01μm未満では十分な耐食性向上が得られず、一方、3μmを超えると溶接性が劣る。
次に、上記第一層皮膜の上層に形成される第二層皮膜について説明する。
この第二層皮膜は、有機樹脂と、クロムを含まない防錆添加剤(非クロム系防錆添加剤)、導電性顔料及び固形潤滑剤を必須成分とする。
有機樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。特に、耐食性の観点からエポキシ系樹脂をベースとして、これに加工性を向上させることを狙いとして分子量を適宜最適化したものが望ましい。
この第二層皮膜は、有機樹脂と、クロムを含まない防錆添加剤(非クロム系防錆添加剤)、導電性顔料及び固形潤滑剤を必須成分とする。
有機樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。特に、耐食性の観点からエポキシ系樹脂をベースとして、これに加工性を向上させることを狙いとして分子量を適宜最適化したものが望ましい。
第二層皮膜中に非クロム系防錆添加剤を含有させることにより、優れた防食性能(自己補修性)を得ることができる。
この防錆添加剤としては、特に下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(e1)カルシウム又は/及びカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
この防錆添加剤としては、特に下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(e1)カルシウム又は/及びカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
これら(e1)〜(e7)の非クロム系防錆添加剤の詳細及び防食機構は以下の通りである。
上記(e1)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(e1)の成分は、腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOH−と緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制する。また、下記のようなシリカとともに配合された場合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶性の保護皮膜が生成して腐食を封鎖し、腐食反応を抑制する。
上記(e1)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(e1)の成分は、腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOH−と緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制する。また、下記のようなシリカとともに配合された場合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶性の保護皮膜が生成して腐食を封鎖し、腐食反応を抑制する。
上記(e2)の成分としては微粒子シリカであるコロイダルシリカや乾式シリカを使用することができるが、耐食性の観点からは特に、カルシウムをその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカを使用するのが望ましい。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、30、40、C、S(いずれも商品名)を用いることができ、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、R812、R811、R974、R202、R805、130、200、300、300CF(いずれも商品名)を用いることができる。また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace & Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを用いることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定なめっき金属の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、30、40、C、S(いずれも商品名)を用いることができ、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、R812、R811、R974、R202、R805、130、200、300、300CF(いずれも商品名)を用いることができる。また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace & Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを用いることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定なめっき金属の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
また、上記(e3)である難溶性リン酸化合物としては、難溶性リン酸塩を用いることができる。この難溶性リン酸塩は単塩、複塩などの全ての種類の塩を含む。また、それを構成する金属カチオンに限定はなく、難溶性のリン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カチオンでもよい。また、リン酸イオンの骨格や縮合度などにも限定はなく、正塩、二水素塩、一水素塩又は亜リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩はオルトリン酸塩の他、ポリリン酸塩などの全ての縮合リン酸塩を含む。この難溶性リン化合物を用いることにより、腐食によって溶出しためっき金属の亜鉛やアルミニウムが、加水分解により解離したリン酸イオンと錯形成反応することにより、緻密で且つ難溶性の保護皮膜を生成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(e4)のモリブデン酸化合物としては、例えば、モリブデン酸塩を用いることができる。このモリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などが挙げられる。また、単塩、複塩などの全ての塩を含み、複塩としてはリン酸モリブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン酸化合物は不動態化効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(e5)のバナジウム化合物としては、例えば、5価のバナジウム化合物、4価のバナジウム化合物が適用できる。特に耐食性の観点から4価のバナジウム化合物が好ましい。
また、上記(e5)のバナジウム化合物としては、例えば、5価のバナジウム化合物、4価のバナジウム化合物が適用できる。特に耐食性の観点から4価のバナジウム化合物が好ましい。
また、上記(e6)の有機化合物としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。すなわち、トリアゾール類としては、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾールなどが、またチオール類としては、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプトベンツイミダゾールなどが、またチアジアゾール類としては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが、またチアゾール類としては、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール類などが、またチウラム類としては、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが、それぞれ挙げられる。これらの有機化合物は吸着効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食によって溶出した亜鉛やアルミニウムがこれらの有機化合物が有する硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(e7)の有機化合物としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。すなわち、ヒドラジド化合物としては、カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなど;ピラゾール化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾールなど;トリアゾール化合物としては、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジンなど;テトラゾール化合物としては、5−フェニル−1,2,3,4−テトラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,3,4−テトラゾールなど;チアジアゾール化合物としては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど;ピリダジン化合物としては、マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ−3−ピリダゾンなどが挙げられる。また、これらのなかでも5員環又は6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適である。
なお、上記(e1)〜(e7)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(e1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)、(e6)、(e7)の成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e7)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
第二層皮膜中での非クロム系防錆添加剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して1〜120質量部、好ましくは10〜50質量部とする。有機樹脂100質量部に対する防錆添加剤の配合量が1質量未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、120質量部を超えて配合しても却って耐食性が低下するともに、溶接性や耐パウダリング性も劣る。
第二層皮膜中での非クロム系防錆添加剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して1〜120質量部、好ましくは10〜50質量部とする。有機樹脂100質量部に対する防錆添加剤の配合量が1質量未満では耐食性の向上効果が十分でなく、一方、120質量部を超えて配合しても却って耐食性が低下するともに、溶接性や耐パウダリング性も劣る。
第二層皮膜中に導電性顔料を含有させることにより、導電性顔料が皮膜中で相互に接触することで溶接電流の経路となり、溶接性が向上する。
導電性顔料としては、下記(1)〜(5)に示されるような金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(1) 亜鉛、ニッケル、鉄、アルミニウム、コバルト、マンガン、銅、錫などの金属またはそれらの合金粉末
(2) 導電性カーボン、黒鉛粉末などの導電性炭素粉末
(3) リン化鉄粉末
(4) 炭化チタン、炭化けい素などの炭化物粉末
(5) アンチモンドープ型酸化錫、酸化錫−酸化チタン、酸化錫−硫酸バリウム、酸化ニッケル−アルミニウムなどの半導体酸化物粉末
これらの導電性顔料の配合量は、第二層皮膜の全皮膜固形物中での容積率で5〜70容積%、好ましくは10〜40容積%とする。導電性顔料の配合量(容積率)が5容積%未満では、溶接性が不十分であるため、連続溶接性が低下する。一方、配合量(容積率)が70容積%を超えるとプレス成形時の皮膜剥離が顕著になり、プレス割れや疵などの欠陥の原因となる。
導電性顔料としては、下記(1)〜(5)に示されるような金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
(1) 亜鉛、ニッケル、鉄、アルミニウム、コバルト、マンガン、銅、錫などの金属またはそれらの合金粉末
(2) 導電性カーボン、黒鉛粉末などの導電性炭素粉末
(3) リン化鉄粉末
(4) 炭化チタン、炭化けい素などの炭化物粉末
(5) アンチモンドープ型酸化錫、酸化錫−酸化チタン、酸化錫−硫酸バリウム、酸化ニッケル−アルミニウムなどの半導体酸化物粉末
これらの導電性顔料の配合量は、第二層皮膜の全皮膜固形物中での容積率で5〜70容積%、好ましくは10〜40容積%とする。導電性顔料の配合量(容積率)が5容積%未満では、溶接性が不十分であるため、連続溶接性が低下する。一方、配合量(容積率)が70容積%を超えるとプレス成形時の皮膜剥離が顕著になり、プレス割れや疵などの欠陥の原因となる。
第二層皮膜中には、皮膜の加工性を向上させる目的で、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を配合する。固形潤滑剤の分子量が5000を超えると潤滑性が劣り、結果として加工後耐食性が低下してしまう。
固形潤滑剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
(1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など
(2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂など)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
固形潤滑剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
(1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など
(2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂など)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
以上の固形潤滑剤の中でも、特に、ポリエチレンワックス、フッ素樹脂微粒子(なかでも、ポリ4フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。また、これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフルオロエチレン微粒子の併用により特に優れた潤滑効果が期待できる。
第二層皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して、0.1〜20質量部(固形分)、好ましくは1〜10質量部(固形分)とする。固形潤滑剤の配合量が0.1質量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が20質量部を超えると塗料密着性が低下するので好ましくない。
第二層皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、有機樹脂100質量部(固形分)に対して、0.1〜20質量部(固形分)、好ましくは1〜10質量部(固形分)とする。固形潤滑剤の配合量が0.1質量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が20質量部を超えると塗料密着性が低下するので好ましくない。
なお、固形潤滑剤としては、上記分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤とともに、脂肪酸アミド系化合物(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種以上を、適量併用してもよい。
また、第二層皮膜中には、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジンおよびその誘導体、チオール化合物、チオカルバミン酸塩など)などの1種以上を添加できる。
さらに必要に応じて、添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、金属粉末、キレート剤(例えば、チオールなど)、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種以上を添加することもできる。
さらに必要に応じて、添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、金属粉末、キレート剤(例えば、チオールなど)、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種以上を添加することもできる。
第二層皮膜の膜厚は1〜30μmとする。膜厚が1μm未満では十分な耐食性向上が得られず、一方、30μmを超えると溶接性、加工後耐食性、耐パウダリング性が劣る。
以上述べた本発明の有機被覆鋼板は、亜鉛めっき系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に第一層皮膜形成用の処理組成物(好ましくは、リン酸化合物を含む処理組成物)を塗布し、加熱炉などで加熱乾燥した後、第二層皮膜形成用の組成物を塗布し、加熱炉などで加熱乾燥することにより得ることができる。
以上述べた本発明の有機被覆鋼板は、亜鉛めっき系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に第一層皮膜形成用の処理組成物(好ましくは、リン酸化合物を含む処理組成物)を塗布し、加熱炉などで加熱乾燥した後、第二層皮膜形成用の組成物を塗布し、加熱炉などで加熱乾燥することにより得ることができる。
第一層形成用の表面処理組成物は、樹脂組成物として表2に示す水性樹脂液を用い、これにシランカップリング剤(表3)、リン酸又はヘキサフルオロ金属酸(表4)、水溶性リン酸塩(表5)、非クロム系防錆添加剤(表6)を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間攪拌し、表面処理組成物を調製した。なお、これらの表面処理組成物は、めっき金属と第一層皮膜との界面に反応層が形成されるような成分配合を行なったものである。
表2に示す水溶性または水分散性エポキシ樹脂は以下のようにして製造した。
・ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂の製造
表2に示す水溶性または水分散性エポキシ樹脂は以下のようにして製造した。
・ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂の製造
<製造例1>
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製四つ口フラスコに、数平均分子量4000のポリエチレングリコール1688gとメチルエチルケトン539g加え、60℃で撹拌混合し均一透明になった後、トリレンジイソシアネート171gを加え、2時間反応させた後、エピコート834X90(エポキシ樹脂,シェルジャパン社製、エポキシ当量250)1121g、ジエチレングリコーリエチルエーテル66gおよび1%ジブチルチンジラウレート溶液1.1gを添加し、さらに2時間反応させた。その後80℃まで昇温し、3時間反応させてイソシアネート価が0.6以下になったことを確認した。その後90℃まで昇温し、減圧蒸留により固形分濃度が81.7%になるまでメチルエチルケトンを除去した。除去後、プロピレングリコールモノメチルエーテル659g、脱イオン水270gを加えて希釈し、固形分濃度76%のポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を得た。
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製四つ口フラスコに、数平均分子量4000のポリエチレングリコール1688gとメチルエチルケトン539g加え、60℃で撹拌混合し均一透明になった後、トリレンジイソシアネート171gを加え、2時間反応させた後、エピコート834X90(エポキシ樹脂,シェルジャパン社製、エポキシ当量250)1121g、ジエチレングリコーリエチルエーテル66gおよび1%ジブチルチンジラウレート溶液1.1gを添加し、さらに2時間反応させた。その後80℃まで昇温し、3時間反応させてイソシアネート価が0.6以下になったことを確認した。その後90℃まで昇温し、減圧蒸留により固形分濃度が81.7%になるまでメチルエチルケトンを除去した。除去後、プロピレングリコールモノメチルエーテル659g、脱イオン水270gを加えて希釈し、固形分濃度76%のポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を得た。
・水性エポキシ樹脂分散液の製造
<製造例2>
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよび3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)311.7g加えて100℃で5時間反応させた後、プロピレングリコールモノブチルエーテル719.6gを加えて樹脂溶液D1を得た。
上記樹脂溶液D1を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50gおよびScat24(硬化触媒)0.3gを混合し、よく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E1を得た。
<製造例2>
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよび3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)311.7g加えて100℃で5時間反応させた後、プロピレングリコールモノブチルエーテル719.6gを加えて樹脂溶液D1を得た。
上記樹脂溶液D1を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50gおよびScat24(硬化触媒)0.3gを混合し、よく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E1を得た。
<製造例3>(ヒドラジン誘導体を含有しない水性エポキシ樹脂分散液)
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよびプロピレングリコールモノブチルエーテル527.0gを加えて樹脂溶液D2を得た。
上記樹脂溶液D2を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50gおよびScat24(硬化触媒)0.3gを混合しよく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E2を得た。
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよびプロピレングリコールモノブチルエーテル527.0gを加えて樹脂溶液D2を得た。
上記樹脂溶液D2を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50gおよびScat24(硬化触媒)0.3gを混合しよく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E2を得た。
第二層形成用の塗料組成物は、樹脂組成物として表7に示すものを用い、これに非クロム系防錆添加剤(表6)、固形潤滑剤(表8)、導電性顔料(表9)を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間攪拌し、塗料組成物を調製した。
冷延鋼板をベースとした家電、建材、自動車部品用のめっき鋼板である、表1に示すめっき鋼板を処理原板として用いた。なお、鋼板の板厚は評価の目的に応じて所定の板厚のものを採用した。このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した後、上記第一層形成用の表面処理組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、表面処理組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
次いで、上記第二層形成用の塗料組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
得られた表面処理鋼板の皮膜組成と品質性能(耐食性、加工後耐食性、耐パウダリング性、溶接性、塗料密着性)を評価した結果を表10〜表27に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
次いで、上記第二層形成用の塗料組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
得られた表面処理鋼板の皮膜組成と品質性能(耐食性、加工後耐食性、耐パウダリング性、溶接性、塗料密着性)を評価した結果を表10〜表27に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
(1)耐食性
各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて60℃×2分間の条件で脱脂した後、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、36サイクル経過後の白錆発生面積率及び赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS Z 2371に基づく):4時間
↓
乾燥(60℃):2時間
↓
湿潤(50℃、95%RH):2時間
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて60℃×2分間の条件で脱脂した後、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、36サイクル経過後の白錆発生面積率及び赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS Z 2371に基づく):4時間
↓
乾燥(60℃):2時間
↓
湿潤(50℃、95%RH):2時間
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
(2)加工後耐食性
各サンプルに対して、下記の条件によるドロービードで変形と摺動を付加し、このサンプルを日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃×2分間の条件で脱脂した後、前記「(1)耐食性」で行ったCCTを施し、18サイクル経過後の白錆発生面積率及び赤錆発生面積率で評価した。
押付荷重:800kgf
引抜速度:1000mm/min
ビード肩R:オス側2mmR,メス側3mmR
押し込み深さ:7mm
使用油:スギムラ化学工業(株)製「プレトンR−352L」
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルに対して、下記の条件によるドロービードで変形と摺動を付加し、このサンプルを日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃×2分間の条件で脱脂した後、前記「(1)耐食性」で行ったCCTを施し、18サイクル経過後の白錆発生面積率及び赤錆発生面積率で評価した。
押付荷重:800kgf
引抜速度:1000mm/min
ビード肩R:オス側2mmR,メス側3mmR
押し込み深さ:7mm
使用油:スギムラ化学工業(株)製「プレトンR−352L」
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
(3)耐パウダリング性
ビード先端径0.5mmR、ビード高さ4mm、引き抜き速度200mm/min、加圧力500kgfの条件でサンプルにドロービード試験を施し、摺動部に接着テープを粘着・剥離して試験前後のサンプルの重量差を測定し、これを単位面積当たりに換算して下記により評価した。
◎ :5g/m2以下
〇 :5g/m2超、7g/m2以下
〇−:7g/m2超、10g/m2以下
△ :10g/m2超、20g/m2以下
× :20g/m2超
ビード先端径0.5mmR、ビード高さ4mm、引き抜き速度200mm/min、加圧力500kgfの条件でサンプルにドロービード試験を施し、摺動部に接着テープを粘着・剥離して試験前後のサンプルの重量差を測定し、これを単位面積当たりに換算して下記により評価した。
◎ :5g/m2以下
〇 :5g/m2超、7g/m2以下
〇−:7g/m2超、10g/m2以下
△ :10g/m2超、20g/m2以下
× :20g/m2超
(4)溶接性
各サンプルについて、使用電極:CF型Cr−Cu電極、加圧力:200kgf、通電時間:10サイクル/50Hz、溶接電流:10kAの条件で連続打点性の溶接試験を行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎ :2000点以上
○ :1000点以上、2000点未満
△ :500点以上、1000点未満
× :500点未満
各サンプルについて、使用電極:CF型Cr−Cu電極、加圧力:200kgf、通電時間:10サイクル/50Hz、溶接電流:10kAの条件で連続打点性の溶接試験を行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎ :2000点以上
○ :1000点以上、2000点未満
△ :500点以上、1000点未満
× :500点未満
(5)塗料密着性
各サンプルの表面に、関西ペイント(株)製の中塗り塗料「KPX−36」(膜厚40μm)を塗装し、次いで、関西ペイント(株)製の「ルーガベークB−531」で上塗り塗装(膜厚40μm)を施した。このサンプルを40℃のイオン交換水に240時間浸漬した後、サンプルを取り出し、24時間室温で放置した。このサンプルの塗膜に2mm間隔の碁盤目を100個刻み、接着テープを粘着・剥離して、塗膜の剥離面積率で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:塗膜剥離無し
〇:塗膜剥離面積率3%未満
△:塗膜剥離面積率3%以上、10%未満
×:塗膜剥離面積率10%以上
各サンプルの表面に、関西ペイント(株)製の中塗り塗料「KPX−36」(膜厚40μm)を塗装し、次いで、関西ペイント(株)製の「ルーガベークB−531」で上塗り塗装(膜厚40μm)を施した。このサンプルを40℃のイオン交換水に240時間浸漬した後、サンプルを取り出し、24時間室温で放置した。このサンプルの塗膜に2mm間隔の碁盤目を100個刻み、接着テープを粘着・剥離して、塗膜の剥離面積率で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:塗膜剥離無し
〇:塗膜剥離面積率3%未満
△:塗膜剥離面積率3%以上、10%未満
×:塗膜剥離面積率10%以上
なお、表10〜表27中に記載の*1〜*12は以下の内容を指す。
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表2に記載のNo.(水性樹脂分散液)
*3:表3に記載のNo.(シランカップリング剤)
*4:表4に記載のNo.(リン酸又はヘキサフルオロ金属酸)
*5:表5に記載のNo.(水溶性リン酸塩)
*6:表6に記載のNo.(防錆添加剤)
*7:質量部
*8:表7に記載のNo.(樹脂組成物)
*9:表8に記載のNo.(固形潤滑剤)
*10:表9に記載のNo.(導電性顔料)
*11:質量部
*12:第二層皮膜の全皮膜固形分中での導電性添加剤の容積%
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表2に記載のNo.(水性樹脂分散液)
*3:表3に記載のNo.(シランカップリング剤)
*4:表4に記載のNo.(リン酸又はヘキサフルオロ金属酸)
*5:表5に記載のNo.(水溶性リン酸塩)
*6:表6に記載のNo.(防錆添加剤)
*7:質量部
*8:表7に記載のNo.(樹脂組成物)
*9:表8に記載のNo.(固形潤滑剤)
*10:表9に記載のNo.(導電性顔料)
*11:質量部
*12:第二層皮膜の全皮膜固形分中での導電性添加剤の容積%
Claims (7)
- 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
第一層皮膜として、下記成分(a)〜(c)を含有し、且つクロムを含まない表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜であって、めっき金属との反応層を有する表面処理皮膜を0.01〜3μmの膜厚で形成し、
(a)水性樹脂分散液
(b)シランカップリング剤:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して1〜300質量部
(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸:前記水性樹脂分散液の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜80質量部
その上層に第二層皮膜として、有機樹脂100質量部に対して、クロムを含まない防錆添加剤を1〜120質量部、分子量が5000以下の有機物からなる固形潤滑剤を0.1〜20質量部含有し、且つ導電性顔料を第二層皮膜の全皮膜固形分中での容積率で5〜70容積%含有する有機無機複合皮膜を、1〜30μmの膜厚で形成したことを特徴とする溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。 - 第一層皮膜が、クロムを含まない防錆添加剤及び/又は導電性顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
- 導電性顔料が、金属、合金、導電性炭素、リン化鉄、炭化物、半導体酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
- 第一層皮膜が、非晶質リン酸化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
- 第一層皮膜形成用の水性樹脂分散液に含まれる有機樹脂が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、多価フェノール誘導体、及びこれらの樹脂をさらに変性させた樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
- 第二層皮膜の有機樹脂が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ系樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
- クロムを含まない防錆添加剤が、下記(e1)〜(e7)の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶接可能な自動車用有機被覆鋼板。
(e1)カルシウム又は/及びカルシウム化合物
(e2)酸化ケイ素
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)バナジウム化合物
(e6)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
(e7)ヒドラジド化合物、ピラゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、ピリダジン化合物の中から選ばれる1種以上の、N原子を含有する有機化合物
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