JP2006007758A - 事務機器用塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下地金属板1に直接,或いは下塗り塗膜3を介して設けられる表層塗膜2に潤滑剤粒子4,導電材料5を分散させている。比較的大粒径の潤滑剤粒子4を使用すると、表層塗膜2の表面から突出した潤滑剤粒子4が給排時の用紙と接触し、塗膜表面と用紙との直接接触が避けられ、美麗な表面状態が維持される。また、導電材料5の分散によって導電性が付与されているので、帯電に起因するトラブルもない。
【選択図】 図1
Description
用紙の摺擦による樹脂塗膜の摩耗は、樹脂塗膜に配合された潤滑剤粒子の配合形態に大きな影響を受け、樹脂塗膜から突出した潤滑剤粒子が耐磨耗性の向上に有効である。静電気に起因する汚れ,異物等の付着や紙詰りは、導電剤を添加して樹脂塗膜に帯電防止能を付与することによって改善される。
塗装原板には、溶融亜鉛めっき鋼板,合金化溶融亜鉛めっき鋼板,5%Al-Znや6%Al-3%Mg-Zn等の亜鉛合金めっき鋼板,55%Al-Zn,Zn-5%Al等のZn-Al合金めっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板等がある。
塗装原板には、必要に応じアルカリ脱脂,表面調整,化成処理等の塗装前処理が施される。アルカリ脱脂,表面調整には、プレコート鋼板や塗装アルミニウム板の製造で常用されている方法を採用できる。化成処理には、クロメート処理,リン酸塩処理,クロムフリー処理等がある。
下塗り塗膜を設ける場合、ポリエステル,高分子ポリエステル,エポキシ,エポキシ変性ポリエステル,エポキシ変性高分子ポリエステル等の下塗り塗料を使用する。下塗り塗料は、塗装金属板の用途に応じて分子量,ガラス転移温度が調整された樹脂をベースにし、防錆顔料,体質顔料を初めとする各種添加材が必要に応じて添加される。
表層塗膜は、フッ素樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,塩化ビニル樹脂等の一種又は二種以上をベース樹脂とし、樹脂ビーズ(潤滑剤粒子),導電性材料を配合した塗料から成膜される。金属や樹脂部品等との接触では樹脂ビーズに加えられる摺動時の応力を表層塗膜の延びで吸収して樹脂ビーズの脱落を低減できるが、給排機構で用紙と接触する系では塗膜表面に加わる荷重(応力)が小さいので塗膜伸び:50%未満でも樹脂ビーズの脱落を十分防止できる。
カーボンブラック,グラファイト等は吸油量が大きく塗料粘度が増大しやすいので、1〜10質量%程度、金属粉末,酸化物フィラー等は1〜40質量%添加し、二種類以上併用添加する場合には合計で1〜40質量%添加する。導電性材料としての金属粉末や酸化物フィラーには平均粒径:0.5×T以上のものが通常使用されるが、更に細かな粒径の金属粉末,酸化物フィラーも使用可能である。
上塗り塗料は、常法に従って塗装原板に直接、或いは下塗り後の塗装原板に塗布し焼き付けられる。塗料塗布量は、好ましくは乾燥膜厚:5〜30μmの表層塗膜が形成される割合に調節される。
表層塗膜と反対側の裏面にサービスコート等の塗膜が設けられるが、必要に応じて裏面アース取りできるように導電性を付与した裏面塗膜としても良い。この場合、同様な導電性材料を配合した塗料から乾燥膜厚:1〜7μm程度の裏面塗膜を形成する。導電性材料を含まない裏面塗膜の場合には、1μm未満の薄膜型塗膜でも良い。
クロメート処理された塗装原板に下塗り塗料を塗布し、210℃×30秒の焼付けで乾燥膜厚:5μmの下塗り塗膜を形成した。下塗り塗料には、ポリエステル樹脂プライマ(P195:日本ペイント株式会社製)と、同じプライマに15質量%のNi粉を配合した塗料の二種類を用いた。
更に、上塗り塗料を塗布し、230℃×40秒の焼付けで乾燥膜厚:10〜25μmの表層塗膜を形成した。上塗り塗料の組成を表1に示す。
紙送りを10万回繰返した後、紙送り部材の摺擦部表面を観察して樹脂ビーズの残存状況を調べ、試験当初と比較した樹脂ビーズの残存率が95%以上を◎,95〜80%を○,80〜50%を△,50%未満を×と評価した。
また、目視観察で擦り疵の発生状況,通過した用紙の汚れ,紙詰りの有無を調査した。擦り疵が検出されず、用紙の汚れや紙詰りのなかった材料を○,僅かに疵ついた材料又は用紙が若干汚れた材料を△,顕著な擦り疵がついた材料,用紙が甚だしく汚れた材料又は一度でも紙詰りが発生した材料を×として紙摺動特性を評価した。
樹脂ビーズを含まない比較例11の塗膜は、摩耗による塗膜の疵付きや用紙の汚れ,紙詰りが発生していた。導電性材料を含まない比較例12の塗膜は、静電気により汚れが吸着し塗膜や用紙が汚れ、用紙の吸着により滑りが悪化して紙詰りが発生した。平均粒径が小さすぎて樹脂ビーズが表層塗膜から突出していない比較例13や平均粒径が大きすぎる比較例14では、潤滑不足、或いは樹脂ビーズの脱落に起因する潤滑性低下のため紙詰りや汚れが生じていた。
更に、動摩擦計(東洋精機株式会社製)を用いJIS K7125に準じ動摩擦係数を測定した。表2の測定結果にみられるように、樹脂ビーズを分散させた表層塗膜は優れた動摩擦係数を示し、部材表面に擦り疵が検出されず、検出された場合でも極僅かに留まっていた。
Claims (6)
- 下地金属板に直接又は下塗り塗膜を介して設けた表層塗膜に有機質潤滑剤粒子,導電性材料が分散しており、有機質潤滑剤粒子は表層塗膜の表面から突出する平均粒径をもっていることを特徴とする事務機器用塗装金属板。
- 表層塗膜のベース樹脂がフッ素樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,塩化ビニル樹脂の一種又は二種以上である請求項1記載の事務機器用塗装金属板。
- 有機質潤滑剤粒子がアクリルビーズ,ナイロンビーズ,ポリアクリロニトリルビーズ,ポリテトラフルオロエチレンビーズ,ポリエチレンビーズ,ポリウレタンビーズ,ポリプロピレンビーズから選ばれた一種又は二種以上である請求項1記載の事務機器用塗装金属板。
- 表層塗膜の膜厚をTとするとき、有機質潤滑剤粒子の平均粒径が(0.6〜2.5)×Tの範囲にある請求項1又は2記載の事務機器用塗装金属板。
- カーボンブラック,グラファイト,金属粉末,金属酸化物フィラーから選ばれた一種又は二種以上を導電性材料とする請求項1記載の事務機器用塗装金属板。
- カーボンブラック,グラファイト,金属粉末,金属酸化物フィラーから選ばれた一種又は二種以上を導電性材料が下塗り塗膜にも添加されている請求項1記載の事務機器用塗装金属板。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-05-24 JP JP2005150399A patent/JP2006007758A/ja active Pending
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