JPH05237449A - プレス成形性、加工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板 - Google Patents

プレス成形性、加工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板

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JPH05237449A
JPH05237449A JP4132292A JP4132292A JPH05237449A JP H05237449 A JPH05237449 A JP H05237449A JP 4132292 A JP4132292 A JP 4132292A JP 4132292 A JP4132292 A JP 4132292A JP H05237449 A JPH05237449 A JP H05237449A
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JP
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resin
particle size
polyolefin wax
steel sheet
corrosion resistance
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JP4132292A
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Inventor
Sachiko Suzuki
木 幸 子 鈴
Nobuo Totsuka
塚 信 夫 戸
Takao Kurisu
栖 孝 雄 栗
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高速での多段階プレス成形性および加工部耐食
性が良好な潤滑樹脂処理鋼板の提供。 【構成】亜鉛または亜鉛系あるいはアルミニウム系合金
めっき鋼板上に、クロム付着量が金属クロム換算で、片
面あたり5〜200mg/m2 のクロメート皮膜を両面
に有し、その上に、下記樹脂組成物から得られる樹脂皮
膜であって、その付着量が片面あたり乾燥重量で、0.
3〜3.0g/m2 である樹脂皮膜を両面に有すること
を特徴とするプレス成形性、加工部耐食性に優れた潤滑
樹脂処理鋼板。 <樹脂組成物>水酸基および/またはカルボキシル基を
有する樹脂100重量部に対し、シリカ10〜80重量
部と、大粒径ポリオレフィンワックスと小粒径ポリオレ
フィンワックスとを5:95〜95:5(重量比)の比率で含む
ポリオレフィンワックス混合物1〜20重量部を含有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電、建材製
品等に使用される表面処理鋼板であって、プレス成形
性、特に多段階でプレスする場合のプレス成形性と、加
工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】ZnまたはZn系合金めっき鋼板等は、
自動車、家電、建材製品等の多分野で使用されている
が、これらの製品の製造工程において、種々のプレス加
工を受けることが多い。普通、プレス加工する時は、鋼
板表面に潤滑油を塗布するが、この作業には次のような
問題点があった。 (1) 潤滑油では、プレス加工時の型かじりの発生を防止
しきれない。 (2) 潤滑油はスプレーで塗布されることが多いので、潤
滑油が周辺に飛散し、作業環境が悪くなる。 (3) プレス加工後は潤滑油を脱脂する必要があるが、完
全に脱脂しないと、後の化成処理、塗装に悪影響が及
び、化成処理ムラ、塗装ムラが発生する。 (4) 作業環境を低下させる溶剤(フロン、1,1,1−
トリクロロエタン等)を使用した脱脂作業をする必要が
ある。
【0003】また、先のめっき鋼板は、無塗装または塗
装して使用されるが、それまでに種々の工程を通り、し
かもその間に、かなり長時間にわたって無塗装の状態で
おかれる。そのため、その間に錆が発生したり、めっき
鋼板表面に種々の物質が吸着、付着したりして、塗料の
密着性が悪くなるなどの問題があった。
【0004】そこで、めっき鋼板が需要家で使用される
までの一次防錆処理として、クロメート処理が施されて
いる。しかし、このクロメート処理の耐食性は、平板
で、塩水噴霧試験で高々24〜48時間程度であり、ま
た、特殊クロメート処理であるシリカゾルを添加した塗
布型クロメート処理でも、平板で、塩水噴霧試験で10
0〜200時間程度である。さらに、加工部の耐食性は
より一層低く、塩水噴霧試験で数時間程度である。従っ
て、一次防錆処理として、クロメート処理を行なうだけ
では、耐食性の点で問題があった。
【0005】このような背景の下で、従来技術として、 (1) 亜鉛系めっき鋼板上にクロメート皮膜を有し、その
上に、複合リン酸アルミニウム、クロム系防錆顔料と、
潤滑剤としてポリオレフィンワックス、二硫化モリブデ
ンおよびシリコーンを含有するウレタン変性エポキシ樹
脂層を1〜10g/m2 有することを特徴とする耐食性
および潤滑性に優れた2層クロメロート処理鋼板(特公
昭62−24505号公報)、 (2) 亜鉛系めっき鋼板上にクロメート皮膜を有し、その
上に、シリカ粉末、親水性ポリアミド樹脂および潤滑剤
としてポリエチレンワックスを含有するウレタン化エポ
キシエステル樹脂層を0.3〜5μm厚さで有すること
を特徴とするカチオン電着塗装性に優れた有機複合鋼板
(特開昭63−35798号公報)、 (3) γ層単層のみからなるニッケル含有亜鉛めっき鋼板
上にクロメート皮膜を有し、その上に、導電性顔料とし
てリン化鉄、潤滑剤としてポリオレフィン系化合物、カ
ルボン酸エステル系化合物、ポリアルキレングリコール
系化合物から選ばれた化合物および塗料用樹脂を含有す
る塗膜層を1〜20μm厚さで有することを特徴とする
耐食性塗装積層体(特開昭62−73938号公報)、 (4) 樹脂中に導電性物質(カーボンブラック、グラフィ
ト、金属粉末、半導体酸化物、リン化鉄)を含有させる
ことにより、樹脂皮膜の電気抵抗を低下させ、潤滑剤
(ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド系化合物、金属
石鹸類、金属硫化物、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、グリー
ス、アルカリ金属硫酸塩など)を含有させることによ
り、潤滑性を得て、溶接可能な防錆潤滑性皮膜形成組成
物とすること(特開昭63−83172号公報)、が開
示されている。
【0006】(1)〜(4)のいずれもが、クロメート
皮膜上に、潤滑剤としてポリオレフィンワックス系など
の化合物を含有する潤滑樹脂皮膜を有することを特徴と
する潤滑性、加工部耐食性に優れた表面処理鋼板に関す
る。
【0007】上記従来技術における表面処理鋼板の潤滑
性は、低速プレス成形(〜5mm/分)に対しては有効
であるが、実プレス成形における苛酷な成形条件(25
0mm/分程度)では、プレス時に摺動面が高温(70
℃以上)になり、樹脂皮膜層が剥離し易くなり、樹脂剥
離粉が金型やプレス成形品表面に付着し、連続成形性お
よび加工後(プレス成形品)の外観を損なうという問題
があった。
【0008】そこで、本出願人は、先に、特開平02−
43040号および特開平03−16726号により、
高速の実プレス成形において、樹脂層そのものの金型へ
の固着を防止したり、樹脂層と金型とのすべりを良くす
るには、樹脂層のガラス転移点を規定するか、使用する
ポリオレフィンワックスの粒径を規定することが有効で
あることを開示した。しかしながら、実際に使用される
成形品は、複雑な形状のものが多く、その製造工程にお
いて、数段階のプレス成形が行われることが多いため、
特開平02−43040号や特開平03−16726号
に開示した表面処理鋼板を用いても、プレス成形の段階
が進むに従い、パウダリング量(樹脂剥離量)が多くな
り、プレス割れが生じることもあり、さらなる改良が必
要とされた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の事実に鑑み、本
発明は、高速での多段階プレス成形下でも、プレス成形
性が良好で、しかも、平板に限らず、加工部の耐食性も
良好な潤滑樹脂処理鋼板の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した従来技術に見ら
れるように、鋼板表面にクロメート処理後、潤滑性樹脂
系皮膜を形成させることにより、亜鉛または亜鉛系ある
いはアルミ系合金めっき鋼板のプレス成形性、耐食性を
向上させることができる。
【0011】そこで、本発明者らは、これらの従来技術
の長所を生かしつつ、さらに改良研究を重ね、本発明に
至ったものである。
【0012】すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛系あ
るいはアルミニウム系合金めっき鋼板上に、クロム付着
量が金属クロム換算で、片面あたり5〜200mg/m
2 のクロメート皮膜を両面に有し、その上に、下記樹脂
組成物から得られる樹脂皮膜であって、その付着量が片
面あたり乾燥重量で、0.3〜3.0g/m2 である樹
脂皮膜を両面に有することを特徴とするプレス成形性、
加工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板を提供するもの
である。 <樹脂組成物> ・水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂 100重量部 ・シリカ 10〜80重量部 ・大粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径3〜5μm 、粒径範囲1〜7μ m )と小粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径1μm 以下、最大粒径3 μm 以下)とを5:95〜95:5(重量比)の比率で含むポリオレフィ ンワックス混合物 1〜20重量部
【0013】以下に、本発明の潤滑樹脂処理鋼板につい
て、詳細に説明する。
【0014】本発明で対象とする潤滑樹脂処理鋼板の素
材としては、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケル
めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、5%アルミニウム−
亜鉛溶融めっき鋼板等の各種亜鉛または亜鉛系めっき鋼
板およびアルミニウム系めっき鋼板等を挙げることがで
きる。
【0015】これらのめっき鋼板の両面に形成されるク
ロメート皮膜は、公知の通常のクロメート皮膜でよく、
例えば、無水クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸等を主
剤とした水溶液や、該水溶液にコロイダルシリカや気相
シリカ等を混合してなる処理液を、めっき鋼板上に、公
知の通常の方法で処理してなるクロム水和物主体の皮膜
である。
【0016】本発明では、クロメート皮膜の付着量は、
金属クロム換算で、片面あたり5〜200mg/m2
する。付着量が5mg/m2 未満では、鋼板表面と樹脂皮膜
との間の密着性および耐食性が十分とならず、一方、付
着量が200mg/m2 を超えると、クロム溶出性が低
下する上に、付着量の増加の割合に対する耐食性の向上
効果が少なり、殆ど飽和状態に達するからである。
【0017】本発明の潤滑樹脂処理鋼板は、前記のクロ
メート皮膜上に、次のような樹脂組成物から得られる有
機樹脂皮膜を両面に有する。
【0018】即ち、該樹脂組成物は、水酸基および/ま
たはカルボキシル基を有する樹脂と、該樹脂100重量
部に対し、シリカ10〜80重量部と、潤滑剤として、
大粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径3〜5μm 、
粒径範囲1〜7μm )と小粒径ポリオレフィンワックス
(平均粒径1μm 以下、最大粒径3μm 以下)とを5:
95〜95:5(重量比)の比率で含むポリオレィンワ
ックス混合物1〜20重量部とを含有する。
【0019】該樹脂組成物のベース樹脂は、水酸基およ
び/またはカルボキシル基を有する樹脂であるが、この
ような樹脂としては、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹 脂、メラミ
ン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があげられる。
【0020】本発明におけるこれらの樹脂の有用性は、
以下の点にある。
【0021】即ち、本発明の潤滑樹脂処理鋼板には、耐
食性を向上させるために、シリカ−樹脂の無機有機複合
皮膜を形成させるのであるが、シリカ表面の水酸基と反
応して高耐食性皮膜の形成が可能な活性基として、水酸
基とカルボキシル基が挙げられるからである。
【0022】シリカは、該潤滑樹脂処理鋼板の耐食性を
向上させるために配合する。具体的には、コロイダルシ
リカ、例えば、スノーテックス−Oやスノーテックス−
N(いずれも日産化学社製)等や、オルガノシリカゾ
ル、例えば、エチルセロソルブシリカゾル(日産化学社
製)等や、シリカ粉末、例えば、気相シリカ粉末(アエ
ロジル社製)等や、有機シリケート、例えば、エチルシ
リケート等を用いると良い。シリカ粉末の粒径は、シリ
カを均一に分散させるために、5〜70nmであること
が好ましい。
【0023】また、ベース樹脂とシリカとの反応促進剤
として、シランカップリング剤を用いてもかまわない。
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0024】つぎに、潤滑剤について説明する。一般
に、潤滑剤としては、ワックス、二硫化モリブデン、有
機モリブデン、グラファイト、フッ化カーボン、金属セ
ッケン、窒化ホウ素、フッ素樹脂等が知られており、こ
れらは、軸受用潤滑剤として使用されたり、プラスチッ
クや油、グリース等に添加して、潤滑性を向上させるた
めに用いられている。本発明者らは、これらの潤滑剤に
ついて、潤滑樹脂処理鋼板の樹脂皮膜への適用を検討し
たところ、大粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径3
〜5μm 、粒径範囲1〜7μm )と小粒径ポリオレフィ
ンワックス(平均粒径1μm 以下、最大粒径3μm 以
下)とを5:95〜95:5(重量比)の比率で含むポ
リオレフィンワックス混合物が、特に、多段階のプレス
成形が行なわれる潤滑樹脂処理鋼板の樹脂皮膜への使用
に好適であることを知見した。
【0025】すなわち、ポリオレフィンワックスは、樹
脂皮膜表面より飛出しているか、または極近傍に存在す
ることによって、鋼板とダイスとの間の摩擦を低下させ
る。そこで、前記大粒径ポリオレフィンワックスと前記
小粒径ポリオレフィンワックスとを併用し、前者を樹脂
皮膜厚が比較的大きいプレス成形初期段階に、後者を樹
脂皮膜厚が小さいプレス成形後期段階に、それぞれ摩擦
低下に寄与させればよい。
【0026】大粒径ポリオレフィンワックスは、その平
均粒径が3〜5μm であり、粒径範囲が1〜7μm のも
のをいう。平均粒径が3μm 未満のものは、プレス成形
初期段階に、潤滑剤として作用しにくく、一方、平均粒
径が5μm 超のものは、耐パウダリング性、耐食性を低
下させる。また、粒径が1μm 未満のものは、むしろ小
粒径ポリオレフィンワックスに分類されるのであり、一
方、粒径が7μm 超のものは、耐パウダリング性、耐食
性を低下させる。
【0027】小粒径ポリオレフィンワックスは、その平
均粒径が1μm 以下であり、最大粒径が3μm 以下であ
るものをいう。平均粒径が1μm 超であると、樹脂皮膜
厚が小さくなっているプレス成形後期段階において、耐
パウダリング性、耐食性を低下させる。また、粒径が3
μm 超のものは、むしろ大粒径ポリオレフィンワックス
に分類される。
【0028】ポリオレフィンワックス混合物は、前記大
粒径ポリオレフィンワックスと前記小粒径ポリオレフィ
ンワックスとを5:95〜95:5(重量比)、好まし
くは20:80〜80:20の比率で含む。この比率外
では、実質的に、大粒径ポリオレフィンワックスあるい
は小粒径ポリオレフィンワックス単味と同様となり、プ
レス成形段階に応じた潤滑化効果が少ないからである。
【0029】本発明で用いるポリオレフィンワックス混
合物において、該混合物中に含まれる大粒径ポリオレフ
ィンワックスは、その融点が130℃以下のものであ
り、小粒径ポリオレフィンワックスは、その融点が、併
用する大粒径ポリオレフィンワックスの融点よりも20
℃以上高いものであるのがよい。
【0030】高速プレス成形時、摺動面は高温となるの
で、潤滑剤として有効に機能させるには、大粒径ポリオ
レフィンワックスとして、その融点が130℃以下のも
のを用いるのが好ましい。さらに、小粒径ポリオレフィ
ンワックスは、その潤滑化効果をプレス成形後期段階に
集中的に作用させるためには、その融点が、併用する大
粒径ポリオレフィンワックスの融点よりも20℃以上高
いものを用いるのがよい。そのようにすることによりプ
レス成形後期段階に潤滑剤として優れた機能を発揮す
る。
【0031】なお、ポリオレフィンワックスとしては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフ
ィン系炭化水素の重合体からなるワックスが例示され、
いずれを用いてもよいし、これらを組み合せて用いても
良い。
【0032】以上、本発明の潤滑樹脂処理鋼板の樹脂皮
膜形成に使用される樹脂組成物の必須成分について説明
したが、該樹脂組成物には、この他、前記した反応促進
剤をはじめとして、安定剤、分散剤等の一般的な添加剤
が、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜添加されてい
てもよい。
【0033】次に、該樹脂組成物の必須成分の配合割合
について述べる。
【0034】耐食性を向上させるためのシリカは、水酸
基および/またはカルボキシル基を有する樹脂100重
量部に対し、10〜80重量部加える。10重量部未満
では、耐食性向上効果が小さく、80重量部を超える
と、皮膜硬度が高まり、成形時に型カジリを生じ、プレ
ス成形性を低下させるからである。
【0035】ポリオレフィンワックス混合物の添加量
は、水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂
100重量部に対し、1〜20重量部である。1重量部
未満では、潤滑化効果が得られず、一方、20重量部を
超えると、樹脂皮膜強度が低下し、潤滑性が低下するか
らである。
【0036】本発明の潤滑樹脂処理鋼板は、その両面
に、ここで説明した樹脂組成物から得られる樹脂皮膜
を、片面で乾燥重量で0.3〜3.0g/m2 有する。
付着量が0.3g/m2 未満では、鋼板表面の凹凸を埋
めきれず、そのため、プレス成形性、耐食性の向上効果
が小さく、一方、3.0g/m2 を超えると、プレス成
形性、耐食性の向上効果はあるが、皮膜が厚くなること
により、耐パウダリング性が低下するからである。
【0037】次に、本発明の潤滑樹脂処理鋼板の製造方
法について、その一例を詳細に説明する。
【0038】まず、素材であるめっき鋼板に、クロメー
ト処理を施す。このクロメート処理は、公知の通常の処
理方法に従えばよく、例えば、無水クロム酸、クロム酸
塩、重クロム酸等を主剤とした水溶液中で、浸漬クロメ
ート処理、電解クロメート処理を行えばよく、あるい
は、上記水溶液にコロイダルシリカ等を混合した処理液
をめっき鋼板上に塗布する塗布型クロメート処理等を行
って、クロム水和物を主体とする皮膜を形成させればよ
い。なお、通常は、めっき鋼板をクロメート処理液で処
理した後、フラットゴムロール等で絞る工程や、熱風乾
燥等の乾燥工程を経て、クロメート皮膜が鋼板両面に形
成される。
【0039】続いて、前記のクロメート皮膜上に、有機
樹脂皮膜を、以下の方法で形成させる。すなわち、ま
ず、前記樹脂組成物の各配合成分を所定量用意し、それ
らを混合・分散させて、物理的に均一とする。次に、好
ましくはシランカップリング剤を加え、再び混合・分散
させ、物理的に均一な樹脂組成物とする。
【0040】この樹脂組成物を、ロール塗布、スプレー
塗布、浸漬塗布、ハケ塗り等の公知の通常の方法によっ
て、所定の厚さとなるように塗布し、通常50〜180
℃で、通常3〜90秒間乾燥させる。
【0041】このようにして、本発明の潤滑樹脂処理鋼
板が製造される。
【0042】
【実施例】次に、本発明を実施例に基いてさらに具体的
に説明する。
【0043】(実施例)下記条件で、潤滑樹脂処理鋼板
の試験片を作製した。これらの試験片について、プレス
成形性と耐食性を評価し、結果は表1に示した。
【0044】(試験片の作製) (1) めっき鋼板の種類 A.電気亜鉛めっき鋼板 板厚 0.8mm 亜鉛めっき付着量 20g/m2 B.電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板 板厚 0.8mm 亜鉛−ニッケルめっき付着量 20g/m2 ニッケル含有率 12% C.5%アルミニウム−亜鉛溶融めっき鋼板 板厚 0.8mm めっき付着量 60g/m2
【0045】(2) クロメート処理 前記各めっき鋼板の両面に、CrO3 20g/l、N
3 AlF6 4g/lなる組成のクロメート処理液を
スプレー処理した後、フラットゴムロールで絞り、熱風
乾燥した。クロメート皮膜の付着量は、スプレー処理時
間を調整して、表1に示す値とした。
【0046】(3) 樹脂皮膜処理 カルボキシル変性エポキシ樹脂100重量部に対し、シ
リカ粉末40重量部を含有する樹脂系aと、ポリビニル
ブチラール樹脂100重量部に対し、シリカ粉末30重
量部を含有する樹脂系bとを用意した。これらに、表1
に示すポリオレフィンワックス(ポリエチレンワック
ス)(混合物)を表1に示す割合で加え、各樹脂組成物
を調製した。樹脂組成物を、クロメート処理後の各めっ
き鋼板の両面に、バーコーターによって表1に示す付着
量となるよう塗布し、150℃で40秒間乾燥し、樹脂
皮膜を形成した。
【0047】(試験・評価方法) (1) プレス成形性評価方法 無塗油の試験片につき、円筒絞り試験機を用いて一次絞
り、二次絞りを続けて行い、樹脂皮膜のキズ、パウダリ
ングの発生状態で、下記基準で評価した。 一次絞り条件 しわ押さえ力 1t ブランク径 90mmφ ポンチ径 50mmφ 絞り比 1.8 絞り速度 500mm/分 二次絞り条件 しわ押さえ力 1t ブランク径 50mmφ ポンチ径 33mmφ 絞り比 1.5 絞り速度 500mm/分 評価基準 ◎:塗膜のキズ、パウダリングなし ○:塗膜のキズ、パウダリング若干あり △:塗膜のキズ、パウダリングやや多い ×:塗膜のキズ、パウダリング多い
【0048】(2) 平板耐食性試験 塩水噴霧試験(JIS Z−2371に準拠)を100
0時間行い、白錆発生量で、下記基準で評価した。 評価基準 ○:白錆発生なし △:白錆5%未満 ×:白錆5%以上
【0049】(3) 加工後耐食性試験 無塗油の試験片を、円筒絞り試験機で、(1)の条件に
て絞り、その加工面に対し、塩水噴霧試験(JIS Z
−2371に準拠)を200時間行った。(2)と同様
の基準で評価した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明により、高速での多段階プレス成
形下でも、プレス成形性が良好で、しかも、平板に限ら
ず、加工部の耐食性も良好な潤滑樹脂処理鋼板が提供さ
れる。従って、鋼板のプレス成形の自由度が広がり、従
来は不可能であった複雑な加工も可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/00 PPK 6904−4J 5/08 PPX 6904−4J PQA 6904−4J PQE 6904−4J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛または亜鉛系あるいはアルミニウム系
    合金めっき鋼板上に、クロム付着量が金属クロム換算
    で、片面あたり5〜200mg/m2 のクロメート皮膜
    を両面に有し、その上に、下記樹脂組成物から得られる
    樹脂皮膜であって、その付着量が片面あたり乾燥重量
    で、0.3〜3.0g/m2 である樹脂皮膜を両面に有
    することを特徴とするプレス成形性、加工部耐食性に優
    れた潤滑樹脂処理鋼板。 <樹脂組成物> ・水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂 100重量部 ・シリカ 10〜80重量部 ・大粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径3〜5μm 、粒径範囲1〜7μ m )と小粒径ポリオレフィンワックス(平均粒径1μm 以下、最大粒径3 μm 以下)とを5:95〜95:5(重量比)の比率で含むポリオレフィ ンワックス混合物 1〜20重量部
  2. 【請求項2】前記大粒径ポリオレフィンワックスは、そ
    の融点が130℃以下のものであり、前記小粒径ポリオ
    レフィンワックスは、その融点が、併用する大粒径ポリ
    オレフィンワックスの融点よりも20℃以上高いもので
    ある請求項1に記載のプレス成形性、加工部耐食性に優
    れた潤滑樹脂処理鋼板。
JP4132292A 1992-02-27 1992-02-27 プレス成形性、加工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板 Withdrawn JPH05237449A (ja)

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