JP2007245536A - 樹脂被覆金属板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワックスとベース樹脂とを含む塗料が金属板の少なくとも片面に被覆されて樹脂被覆層を形成してなる樹脂被覆金属板において、前記樹脂被覆層の表面に現われるワックス粒の表面占有率が20〜90%であり、前記樹脂被覆層の厚さ方向に沿った任意の断面に現われるワックス粒の断面占有率が0.5%以上で10%未満であり、かつ、前記任意の断面における任意の500μm長さの範囲に一個以上のワックス粒が存在することを特徴とする樹脂被覆金属板。
【選択図】なし
Description
ワックスとベース樹脂とを含む塗料が金属板の少なくとも片面に被覆されて樹脂被覆層を形成してなる樹脂被覆金属板において、
前記樹脂被覆層の表面に現われるワックス粒の表面占有率が20〜90%であり、
前記樹脂被覆層の厚さ方向に沿った任意の断面に現われるワックス粒の断面占有率が0.5%以上で10%未満であり、かつ、前記任意の断面における任意の500μm長さの範囲に一個以上のワックス粒が存在することを特徴とする樹脂被覆金属板とした。
粒状ワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ベース樹脂の重量をWBとし、
前記ワックスの総重量をWAとし、粒径1.5μm以下であって平均粒径0.3〜1.0μmの小粒径ワックスの重量をWSとし、粒径2.0〜5.0μmであって平均粒径2.5〜3.0μmの大粒径ワックスの重量をWLとしたときに、0.006≦WA/WB≦0.2、(WS+WL)/WA≧0.98、0.1≦WS/WA≦0.9となるように、前記ベース樹脂に対してワックスを配合するようにした樹脂被覆金属板の製造方法とした。
ワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して焼付けることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ワックスが表面エネルギーの互いに異なる少なくとも2種類のワックスからなるものであって、前記ベース樹脂の重量、表面エネルギー値及び焼付温度を、WB、EB及びTBとし、前記ワックスの総重量をWAとし、前記少なくとも2種類のワックスのうち表面エネルギーが最小のもの及び最大のものの表面エネルギー値をEL及びEHとしたときに、EH−EL≧3mJ/m2、EL≧EB+12mJ/m2、220℃≦TB≦300℃であり、0.006≦WA/WB≦0.2、となるように前記ベース樹脂に対してワックスを配合し、
焼付け開始から前記金属板の温度が100℃及び200℃に到達するまでの時間をt100及びt200としたときに、2秒≦t100≦20秒、5秒≦t200≦60秒となるように焼付けを行なうことを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法とした。
少なくともポリエチレンワックスを含むワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して焼付けることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ワックスが表面エネルギーの互いに異なる少なくとも2種類のワックスからなるものであって、前記ベース樹脂の重量、表面エネルギー値及び焼付温度を、WB、EB及びTBとし、前記ワックスの総重量をWAとし、前記少なくとも2種類のワックスのうち表面エネルギーが最小のもの及び最大のものの表面エネルギー値をEL及びEHとしたときに、EH−EL≧3mJ/m2、EL≧EB+12mJ/m2、220℃≦TB≦300℃であり、0.006≦WA/WB≦0.2、となるように前記ベース樹脂に対してワックスを配合し、
焼付け開始から前記金属板の温度が100℃及び200℃に到達するまでの時間をt100及びt200としたときに、5秒≦t100≦20秒、10秒≦t200≦60秒となるように焼付けを行なうことを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法とした。
本発明の特徴は、粒状のワックスを配合したベース樹脂を含む塗料が少なくとも片面に被覆されて樹脂被覆層を形成してなる樹脂被服金属板において、ワックス粒を樹脂被覆層の表面と内部にバランスよく分散させることにより、優れた成形性と耐摩耗性を共に備えた樹脂被覆金属板が得られることにある。
本発明で用いる金属板としては、アルミニウム板、アルミニウム合金板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼鈑、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼鈑、ステンレス鋼鈑等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
本発明では、金属板の少なくとも片面に樹脂被覆層が形成される。樹脂被覆層は、ベース樹脂とワックスを配合して溶媒である有機溶剤や水等に溶解又は分散した塗料を金属板表面に塗布し、乾燥後に焼付けすることによって形成される。
樹脂被覆層のベース樹脂としては、アクリル変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−ユリア樹脂、エポキシ−フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
なお、金属板に樹脂を被覆する前に金属板の表面に下地処理を施して下地皮膜を形成することにより、樹脂被覆層の密着性が良好となり成形加工性の向上に寄与する。下地処理としては、リン酸ジルコニウム処理やリン酸チタニウム処理などのノンクロメート処理、リン酸クロメート処理などのクロメート処理を用いることによって、下地皮膜が形成される。更に、下地処理の前に、金属板をアルカリ脱脂処理するのが好ましい。
本発明において用いるワックスは、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、ラノリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン等の粒状であり、これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いられる。
本発明において、樹脂被覆金属板の優れた成形性と耐磨耗性を達成するには、樹脂被覆層表面に現われるワックス粒の表面占有率を20〜90%とする必要がある。ワックス粒の表面占有率が20%未満では、ワックス粒による十分な潤滑性が得られず成形加工性が低下する。また、表面占有率が90%を超えると、成形加工時に金型にワックス粒が堆積する不具合が生じ易くなる。表面占有率は、より好ましくは40〜80%である。
樹脂被覆金属板の優れた成形性と耐磨耗性を達成するには、本発明において更に、樹脂被覆層の厚さ方向に沿った任意の断面に現われるワックス粒の断面占有率を0.5%以上10%未満とする必要がある。この断面占有率が0.5%未満では、樹脂被覆層の十分な耐摩耗性が得られない。また、10%を超えると、金属板と樹脂被覆層との密着性が低下し、樹脂被覆金属板の成形加工性や耐食性の悪化を招く。断面占有率は、より好ましくは1〜5%である。
樹脂被覆金属板の優れた成形性と耐磨耗性を達成するには、本発明において更に、樹脂被覆層の厚さ方向の任意断面における任意の500μm長さの範囲に、1個以上のワックス粒が存在する必要がある。これにより、樹脂被覆金属板の優れた成形性と耐摩耗性が達成される。樹脂被覆層断面における任意の500μm長さの範囲に1個以上のワックス粒が存在していなければ、ワックス粒の分散均一性が不足し、樹脂被覆層の十分な耐摩耗性が得られない。このようなワックス粒の個数は、TEMで観察した像を画像解析することにより求めることができる。例えば、10000倍の観察倍率で長さ500μmの視野を10か所以上計測して、各視野に存在するワックス粒の個数を求めた。
C−1.ベース樹脂に対するワックス粒の配合比
樹脂被覆層における上述のワックス粒の表面占有率、断面占有率及び存在数は、以下に示す第1の製造条件を満たすことにより達成される。すなわち、大きな粒径を有するワックス粒(大粒径ワックス)と小さな粒径を有するワックス粒(小粒径ワックス)とを所定の比率で配合し、かつ、総ワックスのベース樹脂に対する配合比を0.6〜20重量%とすることで達成される。前記配合比が0.6重量%未満では、ワックスの量が不足して樹脂被覆金属板の成形性や耐摩耗性が得られない。1重量%以上とすることが特に効果的である。5重量%を超えると、添加量の割には効果の増大は鈍くなるが一定の効果は得られる。一方、20重量%を超えると、プレス成形加工時に金型にワックスが堆積して正常なプレス成形ができなくなり、汚れが付着する等の弊害も生じるので、20重量%以下とする必要がある。
大粒径ワックスと小粒径ワックスの粒径分布は、小粒径ワックスでは1.5μm以下、大粒径ワックスでは2.0〜5.0μmとする必要がある。また、小粒径ワックスの平均粒径を0.3〜1.0μmとし、大粒径ワックスの平均粒径を2.5〜3.0μmとする必要がある。
また、大粒径ワックスの平均粒径は、2.5〜3.0μmとする必要がある。平均粒径が2.5μm未満又は3.0μmを超えると、ワックス粒が被覆層内部に留まる効果が十分に発揮されないからである。
上述のような大粒径ワックスと小粒径ワックスの作用を共に発揮させて本発明の効果を得るためには、ワックスの配合比を次のように規定する必要がある。即ち、ワックス粒の総重量WAに対し、小粒径ワックス粒の重量をWS、大粒径ワックス粒の重量をWLとしたときに、(WS+WL)/WA≧0.98、かつ、0.1≦WS/WA≦0.9であるものとする。これらの範囲外では、両方のワックスの作用を共に発揮させることができず、成形性や耐摩耗性のいずれか又は両方が十分に得られないことになる。より好ましくは、0.2≦WS/WA≦0.6である。なお、(WS+WL)/WA=1.0の場合には、WS:WL=10:90〜90:10となる。
なお、大粒径ワックスと小粒径ワックスの種類は、同一であっても異なっていてもよい。
樹脂被覆層における上述のワックス粒の表面占有率、断面占有率及び存在数は、上記第1の製造条件に代えて以下に示す第2の製造条件を満たすことによっても達成される。すなわち、
・総ワックス粒のベース樹脂に対する配合比を0.6〜20重量%とし、
・表面エネルギーが互いに異なる少なくとも2種類のワックス粒を使用し、上記少なくとも2種類のワックス粒は、ベース樹脂の表面エネルギー値をEBとし、少なくとも2種類のワックス粒のうち表面エネルギーが最小のもの及び最大のものの表面エネルギー値をそれぞれEL及びEHとした場合に、EH−EL≧3mJ/m2、EL≧EB+12mJ/m2であり、かつ、前記ベース樹脂の焼付温度(板到達温度「PMT」)が220〜300℃であり、
・焼付け開始から金属板の温度が100℃に到達するまでの時間が2〜20秒、かつ、焼付け開始から金属板の温度が200℃に到達するまでの時間が5〜60秒である、という製造条件を採用するものである。
ベース樹脂に対するワックス粒の配合比は上記C−1に示すとおりである。
D−2.表面エネルギー
ワックスの表面エネルギーがベース樹脂の表面エネルギーよりも低いほど、ワックスが樹脂被覆層の表面に露出し易い。ワックスの最大表面エネルギーからベース樹脂の表面エネルギーを差し引いた値が12mJ/m2未満では、ワックスが樹脂被覆層表面に露出し難く、樹脂被覆層におけるワックスの表面占有率が20%未満となり、潤滑性が低下して十分な成形加工性が得られない。
また、少なくとも2種類のワックスの表面エネルギー差(表面エネルギーが最大のものと最小のものとの差)が3mJ/m2未満では、ワックスが樹脂被覆層の表面と内部にバランスよく分布せず、成形加工性と耐摩耗性の両方を満足することができない。
γ=6.281cosθW+1.132cosθm−0.1541、ここで、γは表面エネルギー(mJ/m2)、θWは対水接触角(rad)、θmは対ヨウ化メチレン接触角(rad)である。
焼付け条件については、以下のようにすることが必要である。焼付け開始から金属板の温度が100℃に到達するまでの時間t100を2〜20秒とし、かつ、同じく200℃に到達するまでの時間t200を5〜60秒とするものである。焼付け開始から2秒未満で金属板の温度が100℃に到達したり、又は5秒未満で200℃に到達すると、ワックスが樹脂被覆層表面に露出し難く、ワックスを樹脂被覆層表面と内部にバランスよく分布させることができず、成形加工性と耐摩耗性の両方を満足することができないためである。
樹脂被覆層は、その被覆量が0.5〜20g/m2のときに成形加工性や他の特性も良好となる。0.5g/m2未満では、ワックス分布状態を前記したように規定しても成形加工性が低下し耐食性にも劣る。被覆量が20g/m2を超えると、樹脂被覆層の密着性の低下により成形加工性が低下し、更にコスト高になるので経済的ではない。樹脂被覆量は、好ましくは1〜15g/m2である。なお、樹脂被覆層の被覆量は硫酸脱膜による皮膜質量試験法を用いて測定される。
金属板として、板厚0.8mmのアルミニウム合金板(JIS A5182−O)を用いた。上記合金板の両面を市販のアルカリ脱脂液((株)日本ペイント社製、サーフクリーナー420N−2)を用いて脱脂した後、下地処理として市販のリン酸クロメート液((株)日本ペイント社製、アルアサーフ45/405)を用いて付着量としてCr量換算で20mg/m2の化成処理を施した。次いで、ワックスと、ベース樹脂であるエポキシ樹脂とを溶媒である水と有機溶剤との混合溶液に分散したエポキシ系塗料を、連続塗装ラインにおいてロールコーターによって合金板の両面に塗布し、焼付け時間60秒、焼付け温度260℃で焼付け処理を施して樹脂被覆層を形成し、樹脂被覆金属板を作製した。ワックスには、小粒径と大粒径のポリエチレンワックスを混合して用いた。樹脂被覆量は50g/m2であった。樹脂被覆量は、硫酸脱膜による皮膜質量試験法により測定した。すなわち、100mm×100mmの樹脂被覆板を濃硫酸に浸漬し樹脂被服層を溶解し、その前後の重量を測定することにより樹脂被覆量を求めた。
ワックス粒の粒径の分布は、(株)堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて測定した。また、ワックス粒の平均粒径は、体積基準による算術平均により算出した。
作製した樹脂被覆金属板の樹脂被覆層表面に金を蒸着してコーティングし、SEM(走査型電子顕微鏡)によって、コーティング面における100μm×100μm以上の視野を観察倍率1000倍で5か所以上観察した。その観察像を画像解析することにより、各視野において、観察部分の全面積に対するワックス占有面積部分の比率を求め、その平均値としてワックス表面占有率を算出した。
作製した樹脂被覆金属板の樹脂被覆層を厚さ方向に沿った平行な断面によって切り取られる厚さ100nm程度の超薄片に加工し、ルテニウム酸によって染色した。TEM(透過型電子顕微鏡)によって、この超薄片の断面における100μm以上の視野を観察倍率10000倍で5か所以上観察した。その観察像を画像解析することにより、各視野において、観察部分の全面積に対するワックスの占有面積部分の比率を求め、その平均値としてワックス断面占有率を算出した。
作製した樹脂被覆金属板の樹脂被覆層を厚さ方向に沿った断面を、TEMにより観察した。その観察像を画像解析することにより、断面における任意の500μm長さの範囲に存在するワックス粒の個数を求めた。
成形性の評価として、成形試験機にて円筒深絞りを行い、成形破断高さを測定して評価した。成形条件は、パンチ径:φ40mm、肩R4.5mm、絞りダイ:φ42.5mm、肩R8.0mm、ブランク径:φ84mm、しわ押さえ力:2.0tonf、成形速度:20mm/秒であった。成形破断高さが7mm以上の場合、実使用における加工性が非常に優れるので◎とし、成形破断高さが5mm以上で7mm未満の場合、実使用における加工性は問題ないので○とし、成形破断高さが5mm未満の場合、実使用において割れなどが発生し正常にプレス成形できないので×とした。◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
耐磨耗性評価はヘイドン式摩擦磨耗試験機で行った。同一の場所を接触子で繰り返し摺動し、摩擦係数が0.2を超えるまでの摺動回数を測定した。摺動条件は、接触子:φ3mm超硬ボール、摺動幅:10mm、荷重:500gf、摺動速度:10mm/秒であった。摺動回数が500回以上の場合、実使用における耐摩耗性が非常に優れることから◎とし、摺動回数が200回以上500回未満の場合、実使用における耐摩耗性は問題ないので○とし、摺動回数が200回未満の場合、実使用における耐摩耗性が不足し、塗膜の一部が削れ耐食性や意匠性が悪化するので×とした。◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
ワックス堆積性は、成形加工性に使用した金型を用いて、1万枚の連続プレス加工を行った後に金型に付着しているワックス量を測定して評価した。付着量が3mg未満を◎とし、3mg以上で7mg未満を○とし、7mg以上を×とした。◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
このように、比較例1〜25では、請求項2に規定する要件を全て満たしていないので、ワックスの表面占有率、ワックスの断面占有率及びワックス粒の存在個数のいずれかが請求項1に規定する要件を満たさず、その結果、作製した樹脂被覆金属板の性能としての成形加工性、耐磨耗性及びワックス堆積性のいずれかの評価項目が不合格であった。
金属板として、板厚0.25mmのアルミニウム合金板(JIS A5182−H19)を用いた以外は実施例1と同様にして、合金板の両面をアルカリ脱脂及び下地処理を行った。次いで、ワックスと、ベース樹脂であるエポキシ樹脂とを溶媒である水と有機溶剤の混合溶液に分散したエポキシ系塗料を、連続塗装ラインにおいてロールコーターによって合金板の両面に塗布し、焼付け時間60秒、焼付け温度260℃で焼付け処理を施して樹脂被覆層を形成し、樹脂被覆金属板を作製した。焼付け条件として、総焼付け時間、100℃到達時間及び200℃到達時間を種々に設定した。ワックスには、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、ラノリンワックス、パラフィンワックスからなる4種類のものを1種又は2種以上混合して用いた。
樹脂被覆層の被覆量は実施例1と同様に、上述の硫酸脱膜による皮膜質量試験法により測定した。
これらは、実施例1と同様にして測定した。
実施例1と同様にして成形破断高さを測定した。測定条件は、パンチ径:φ33mm、肩R4.5mm、絞りダイ:φ33.6mm、肩R4.0mm、ブランク径:φ68mm、しわ押さえ力:1.0tonf、成形速度:20mm/秒であった。なお、評価は、成形破断高さが7mm以上の場合を◎とし、5mm以上で7mm未満の場合を○とし、5mm未満の場合を×とした。◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
実施例1と同様にして、摺動回数を測定して耐摩耗性を評価した。
実施例1と同様にして、ワックス量を測定して評価した。
樹脂被覆層の密着性を、下記(a)、(b)の各方法によって一次密着性と二次密着性により評価した。
(a)一次密着性:JIS K 5400−8−5−2に記載された方法に準じてカッターナイフを用いて、樹脂被覆層表面に1mm間隔で100マスの碁盤目状の切り傷を付け、テープ剥離試験を行った。
(b)二次密着性:沸騰水中に30分間浸漬し、取出して1時間放置した後、一次密着性と同様に試験を行った。
一次、二次とも、JIS K 5400−8−5−2に準じて評価を行った。全く剥離が認められない場合を評価点数10の◎とし、欠損部の面積が全正方形面積の5%未満の場合を評価点数8の○とし、欠損部の面積が全正方形面積の5%以上の場合を評価点数6以下の×とした。◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
このように、比較例26〜36では、請求項3又は4に規定する要件を全て満たしていないので、ワックスの表面占有率、ワックスの断面占有率及びワックス粒の存在個数のいずれかが請求項1に規定する要件を満たさず、その結果、作製した樹脂被覆金属板の性能としての成形加工性、耐磨耗性、ワックス堆積性及び密着性のいずれかの評価項目が不合格であった。
Claims (4)
- ワックスとベース樹脂とを含む塗料が金属板の少なくとも片面に被覆されて樹脂被覆層を形成してなる樹脂被覆金属板において、
前記樹脂被覆層の表面に現われるワックス粒の表面占有率が20〜90%であり、
前記樹脂被覆層の厚さ方向に沿った任意の断面に現われるワックス粒の断面占有率が0.5%以上で10%未満であり、かつ、前記任意の断面における任意の500μm長さの範囲に一個以上のワックス粒が存在することを特徴とする樹脂被覆金属板。 - 粒状ワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ベース樹脂の重量をWBとし、
前記ワックスの総重量をWAとし、粒径1.5μm以下であって平均粒径0.3〜1.0μmの小粒径ワックスの重量をWSとし、粒径2.0〜5.0μmであって平均粒径2.5〜3.0μmの大粒径ワックスの重量をWLとしたときに、0.006≦WA/WB≦0.2、(WS+WL)/WA≧0.98、0.1≦WS/WA≦0.9となるように、前記ベース樹脂に対してワックスを配合することを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法。 - ワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して焼付けることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ワックスが表面エネルギーの互いに異なる少なくとも2種類のワックスからなるものであって、前記ベース樹脂の重量、表面エネルギー値及び焼付温度を、WB、EB及びTBとし、前記ワックスの総重量をWAとし、前記少なくとも2種類のワックスのうち表面エネルギーが最小のもの及び最大のものの表面エネルギー値をEL及びEHとしたときに、EH−EL≧3mJ/m2、EL≧EB+12mJ/m2、220℃≦TB≦300℃であり、0.006≦WA/WB≦0.2、となるように前記ベース樹脂に対してワックスを配合し、
焼付け開始から前記金属板の温度が100℃及び200℃に到達するまでの時間をt100及びt200としたときに、2秒≦t100≦20秒、5秒≦t200≦60秒となるように焼付けを行なうことを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法。 - 少なくともポリエチレンワックスを含むワックスとベース樹脂とを含む塗料を金属板の少なくとも片面に被覆して焼付けることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂被覆金属板の製造方法であって、
前記ワックスが表面エネルギーの互いに異なる少なくとも2種類のワックスからなるものであって、前記ベース樹脂の重量、表面エネルギー値及び焼付温度を、WB、EB及びTBとし、前記ワックスの総重量をWAとし、前記少なくとも2種類のワックスのうち表面エネルギーが最小のもの及び最大のものの表面エネルギー値をEL及びEHとしたときに、EH−EL≧3mJ/m2、EL≧EB+12mJ/m2、220℃≦TB≦300℃であり、0.006≦WA/WB≦0.2、となるように前記ベース樹脂に対してワックスを配合し、
焼付け開始から前記金属板の温度が100℃及び200℃に到達するまでの時間をt100及びt200としたときに、5秒≦t100≦20秒、10秒≦t200≦60秒となるように焼付けを行なうことを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法。
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