JP2006206941A - 化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板 - Google Patents

化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】 冷延鋼板および熱延鋼板の化成処理性と耐型かじり性を高度に両立する技術を提供することを目的とする。さらに、高強度鋼板の化成処理性と耐型かじり性をも満足させることが可能な鋼板を提供することを目的とする。
【解決手段】 鋼板表面上にリン酸亜鉛を主体とする化合物が5〜80%の面積率で被覆されていることを特徴とする化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板である。前記リン酸亜鉛を主体とする化合物が、平均粒径が3μm以下の粒状化合物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板に関し、例えば自動車用材料として用いられる化成処理性および耐型かじり性に優れた冷延鋼板または熱延鋼板に関する。
鋼板は安価な金属材料であるため、自動車、家電、建材等の分野において広く用いられている。特に、自動車分野においては、鋼板が他の金属材料と比較して優れたプレス成形性や化成処理性を有することから、依然として自動車用材料の主流となっている。近年、自動車業界においては、燃費向上および排出ガス削減の観点から自動車の軽量化が進んでおり、さらに衝突安全性向上のニーズともあいまって、高強度鋼板の使用が急増している。
高強度鋼板は鋼中元素としてSi、Mn等が添加された鋼板であり、これらの元素が鋼板表面に分布することにより化成処理性が著しく劣化することが従来から知られている。一方、高強度鋼板をプレス成形する際には、成形荷重が増大するのみならず、局部的な高面圧部が生じることにより型かじりが発生する問題があり、従来から化成処理性および耐型かじり性に優れた高強度鋼板の開発が切望されていた。
鋼板の化成処理性や耐型かじり性を改善する技術としては、従来から以下に示すようないくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、鋼板表面にZn、Pの酸化物と第3元素群のMn、Ni、Mg、Fe、Co、Alの1種または2種以上の酸化物からなる皮膜を生成する技術が開示されている。
また、特許文献2には、下層が0価亜鉛主体の極薄皮膜、上層が2価の亜鉛とP、B、Siの1種または2種以上からなる第2元素群の酸化物からなる非晶質皮膜を複層形成する技術が開示されている。
しかしながら、上記技術はいずれも、最上層の酸化物皮膜を化成処理液中でほぼ完全に溶解させることにより健全な化成処理皮膜を形成させることを意図した技術であり、Si、Mn等の添加元素量がさらに増大されている近年の高強度鋼板の化成処理性を満足させるにはまったく至っていない。また、これらの皮膜では、皮膜自体の強靭性が不足しているため、耐型かじり性の改善効果も不十分であった。
また、本発明で意図しているところの冷延鋼板または熱延鋼板に関する技術とは異なるが、亜鉛系めっき鋼板にリン酸亜鉛微粒子を主体とする皮膜を形成した鋼板が特許文献3に開示されている。しかしながら、この技術は軟質な亜鉛めっき層と金型との凝着防止を対象とした技術であり、耐型かじり性評価時の面圧も10MPa程度と極めて緩やかな条件である。これに対し、本発明で対象とする冷延鋼板または熱延鋼板の耐型かじり性は、例えば400MPa以上の高面圧においても型かじりが発生しないことが要求されるものであり、亜鉛系めっき鋼板に要求されるレベルよりも格段に厳しい水準である。また、冷延鋼板または熱延鋼板の化成処理性はP比が高い化成処理皮膜が形成されることが要求されており、この点においても亜鉛系めっき鋼板の場合とはまったく異なる。従って、亜鉛系めっき鋼板と、冷延鋼板または熱延鋼板とでは、本質的に異なる特性が要求されているのである。
特開平9−53189号公報 特開平10−158858号公報 特開2003−201583号公報
上述のように、従来の技術では冷延鋼板や熱延鋼板の化成処理性と耐型かじり性を高度に両立する技術は確立されておらず、特に、高強度鋼板の化成処理性と耐型かじり性を満足する技術は存在しなかった。
本発明はこのような実情に鑑み、特に自動車用鋼板として用いられる冷延鋼板および熱延鋼板の化成処理性と耐型かじり性を高度に両立する技術を提供することを目的とする。さらに、近年の高強度鋼板は、Si、Mn等の元素が多量に添加されているために良好な化成処理性の確保がより一層困難となってきており、また強度増大にともない型かじりも発生しやすくなっていることから、高強度鋼板の化成処理性と耐型かじり性をも満足させることが可能な鋼板を提供することを目的とする。
発明者らは、まず高強度鋼板の化成処理性を改善することを目的として、鋼板表面上に被覆した種々の化合物の効果について鋭意検討を行った。その結果、これまでの知見においては化成処理液中で溶解しないために化成処理性の改善効果がないとされてきたリン酸亜鉛を主体とする化合物が、その被覆面積率を制御することにより、著しく化成処理性を改善することを見出した。
化成処理時には、通常前処理としてTiコロイド等の分散液を用いて表面調整が行われるのが一般的であり、その作用としては、従来から二つのメカニズムが知られている。第一のメカニズムは、電気化学的に不均一な部分を作ることによりリン酸による鋼板表面のエッチング反応の起点となる作用であり、第二のメカニズムはリン酸亜鉛皮膜自体の結晶析出の核となる作用である。従来の知見においては、化成処理前に鋼板表面にリン酸亜鉛皮膜を施しておくことは、前記二つのメカニズムを消失させ、それ以上の化成処理結晶の成長が起こらなくなるため、自動車メーカーにおいて均一で緻密な化成処理結晶を形成させることが不可能となるので不適当であるとされてきた。
しかしながら、本発明者らがリン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率を制御する方法について検討した結果、従来知られていた前記二つのメカニズムに加えて、さらに第三、第四のメカニズムを見出し、リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率が適当な範囲である場合には、均一で緻密な化成処理結晶を形成させることが可能であることが判明した。第三のメカニズムは、鋼板表面に施されたリン酸亜鉛を主体とする化合物が自動車メーカーにおける化成処理工程で形成されるリン酸亜鉛結晶と同じ結晶構造であるため、結晶成長がエピタキシャル反応により継承され、化成処理反応が阻害されるどころかかえって促進されることである。このとき、リン酸亜鉛を主体とする化合物が鋼板全面を覆い尽くしていると、第一のメカニズムである鋼板表面のエッチング反応が起こらなくなるため、被覆面積率を適正な範囲に制御しておくことが必要である。また、第四のメカニズムは、従来知見ではリン酸亜鉛は化成処理液中で溶解しないとされてきたが、実際には少量ではあるが溶解しており、これにより鋼板界面における亜鉛イオンの濃度が増大し、より均一で緻密な化成処理結晶の形成が可能となる。
一方、耐型かじり性についても、硬質で高融点のリン酸亜鉛を主体とする化合物を鋼板表面に被覆することにより著しい改善効果を示すことが判明した。このとき、リン酸亜鉛を主体とする化合物は、鋼板と金型との直接接触を防止し金属凝着を抑制する効果、および油膜を保持する効果により耐型かじり性を向上させるので、必ずしも鋼板全面を覆い尽くしている必要はなく、適正な面積率の範囲で被覆されていればよいことも判明した。
さらに、リン酸亜鉛を主体とする化合物の形状が粒状であり、その粒径が小さいほど、化成処理性および耐型かじり性に優れることも判明した。これは、被覆面積率が同じであっても、粒径が小さいほど粒状化合物の数が増大するためであり、化成処理性においてはその反応起点および核発生点の数が増大することにより、また耐型かじり性においては粒状化合物がコロの作用を発現し、その数が多いほど潤滑効果が増大するためと考えられる。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、鋼板表面上にリン酸亜鉛を主体とする化合物が5〜80%の面積率で被覆されていることを特徴とする化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板である。
また、リン酸亜鉛を主体とする化合物が、平均粒径が3μm以下の粒状化合物であればより好ましく、平均粒径が1μm以下の粒状化合物であればさらに好ましい。
本発明によれば、冷延鋼板と熱延鋼板の化成処理性、耐型かじり性を高度に両立させることができる。本発明は、高強度鋼板の化成処理性、耐型かじり性を両立させることができる極めて有効な技術であり、工業的に極めて価値の高いものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用する鋼板としては特に限定されるものではないが、熱延鋼板、冷延鋼板等の鋼板が例示される。なかでも自動車用材料として使用頻度の高い鋼板である、酸洗処理により黒皮を除去した熱延鋼板や、焼鈍処理により材質を調整した冷延鋼板が好適に使用される。また、鋼板の強度レベルについても限定されるものではなく、引張強度が300MPa以下の軟鋼板から引張強度が1000MPaを超えた高強度鋼板に至るまで、すべての鋼板に適用可能である。鋼板の板厚についても何ら限定されるものではなく、例えば0.2〜5mm程度の板厚の鋼板が適用可能である。
本発明においては、鋼板表面上にリン酸亜鉛を主体とする化合物が5〜80%の面積率で被覆されていることが必要である。
リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率が5%未満では化成処理性、耐型かじり性ともに向上効果が不十分である。化成処理性が不十分な理由は、電気化学的に不均一な部分が少ないためエッチング反応の起点となる効果が小さい、化成処理結晶の析出核となる効果が小さい、自動車メーカーにおける化成処理結晶と同じ成分であるリン酸亜鉛量が少ないためエピタキシャル成長の効果が小さい、リン酸亜鉛を主体とする化合物から溶出する亜鉛量が少ないため化成処理反応の促進効果が小さい、などの理由による。また、被覆面積率が5%未満の場合において耐型かじり性が不十分な理由は、硬質で高融点のリン酸亜鉛を主体とする化合物が、鋼板と金型との直接接触を防止して金属凝着を抑制する効果、および油膜を保持して潤滑性を向上させる効果が不十分であることによる。
一方、リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率が80%を超えると、化成処理性が劣化する。これは、リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率が80%を超えたり、鋼板全面を覆い尽くしていたりすると、リン酸による鋼板表面のエッチング反応が生じにくくなり、化成処理反応の開始が阻害されるからである。
本発明では、リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率が5〜80%の範囲であることが必須要件であり、この被覆面積率を満足していれば、リン酸亜鉛を主体とする化合物の付着量については特に限定されるものではない。リン酸亜鉛を主体とする化合物の付着量は、その被覆面積率以外に、化合物の形状、平均粒径、分布状態など複数の因子に依存するため、被覆面積率によって一義的に決定するものではない。しかしながら、本発明者らの検討結果によると、リン酸亜鉛を主体とする化合物の付着量が1.0g/m2を超えると、その被覆面積率が80%を超えてしまう場合がほとんどであるため好ましくなく、また付着量が0.02g/m2未満では、その被覆面積率が5%未満となる場合がほとんどであるため好ましくない。従って、リン酸亜鉛を主体とする化合物の付着量の好適範囲は0.02〜1.0g/m2であり、より好ましくは0.02〜0.8g/m2である。
リン酸亜鉛を主体とする化合物としては、例えば、ホパイト(Zn3(PO42・4H2O)、フォスフォフィライト(Zn2Fe(PO42・4H2O)などが好適な化合物として例示される。これらの化合物は通常4水和物であるが、2水和物、無水物など水和状態が変化した化合物も本発明の範疇である。また、ホパイト、フォスフォフィライトの結晶格子中のZnやFeが、一部Ni、Mn、Mg、Fe等により置換された構造の化合物であっても本発明の範疇である。
本発明において、鋼板表面上のリン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率の算出方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が好適に用いられる。すなわち、SEM(走査型電子顕微鏡)等の表面観察装置を用いて、例えば100倍から5000倍程度、より好ましくは500倍から2000倍程度の倍率で表面観察を行う。あまり高倍率で観察を行うと平均的な情報が得られにくく、逆にあまり低倍率で観察を行うとリン酸亜鉛を主体とする化合物の観察自体が困難となる。このような方法で観察を行い、目視や画像処理によりリン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率を算出すればよい。必要に応じEDX分析(エネルギー分散型X線分析)等を併用して、観察される化合物がリン酸亜鉛を主体とする化合物であることを確認することも好適である。また、EPMA(電子線プローブマイクロアナライザー)やAES(オージェ電子分光分析)等の装置を使用してP、Zn、O等の元素をマッピングすることにより被覆面積率を算出することも可能である。また、鋼板表面上のリン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率に関する平均的な情報を得るためには、上記の方法により少なくとも5視野以上の領域について観察を行うのが好ましく、より好ましくは10視野以上の領域について観察を行い、その平均値を被覆面積率とすればよい。なお、観察する部位としては、正常な処理が行われた鋼板の代表的な部位を観察すべきであり、鋼帯のエッジ部や、鋼帯の欠陥部等は観察すべきではない。
本発明において、リン酸亜鉛を主体とする化合物が粒状化合物であることが好ましく、さらに該粒状化合物は平均粒径が3μm以下であることがより好ましく、平均粒径が1μm以下の粒状化合物であればさらに好ましい。この理由は、被覆面積率が同じであっても、粒径が小さいほど粒状化合物の数が増大し、化成処理性においてはその反応起点および核発生点の数が増大することにより、また耐型かじり性においては粒状化合物がコロの作用を発現し、その数が多いほど潤滑効果が増大するためである。平均粒径が3μm以下の粒状化合物であれば化成処理性、耐型かじり性の向上効果が顕著となるため好ましく、平均粒径が1μm以下の粒状化合物であれば化成処理性、耐型かじり性の向上効果がさらに顕著となるためより好ましい。なお、粒状化合物の平均粒径が小さくなっても、化成処理性、耐型かじり性に何ら悪影響をおよぼさないため、平均粒径の下限値については限定されない。
本発明において、粒状化合物の粒状とは、必ずしも球状あるいはそれに近い形状に限定されるものではなく、例えば円柱、円錐、直方体、多面体、多角錐などの形状、あるいは燐片状などの形状のものも含むものとする。すなわち、個々の粒がそれぞれ分離、独立して不連続に鋼板表面に分布していることを、本発明においては、鋼板表面上に粒状化合物が被覆されている、と表現することとする。これらの粒状化合物は、その形状にかかわらず、それぞれが分離、独立して不連続に鋼板表面に分布していることにより、化成処理に際してはエッチング反応の起点となる効果、化成処理結晶の析出核となる効果、エピタキシャル成長を発現させる効果、溶出亜鉛による化成処理反応促進効果のいずれの効果をも有する。また、これらの粒状化合物は、耐型かじり性に対しても、凝着抑制効果、油膜の保持効果に加えて、その形状にかかわらずコロの作用を発現するため、耐型かじり性をより一層向上させる。
本発明における前記粒状化合物の平均粒径の測定は、SEM(走査型電子顕微鏡)等の表面観察装置を用いて実施する。すなわち、SEM等により得られた2次元画像に表示された個々の粒状化合物を、それぞれ同じ面積の真円に置き換えてそれぞれの粒径を測定する。これらの粒径を平均することにより平均粒径の値とする。
一方、本発明における非粒状化合物とは、上記の粒状化合物に該当しない形状のものを指す。すなわち、被覆面積率がたとえ5〜80%の範囲であったとしても、被覆されている化合物が分離、独立しておらず、その一部で連結してネットワークを構成しているような場合である。たとえば、網目状の形状や、あるいはその一部に空隙部を有する膜状の形状などが例示される。
本発明の鋼板を製造する方法については、本発明の構成要件を満足する鋼板が製造可能な方法であれば何ら限定されず、反応型処理、電解型処理、浸漬型処理、塗布型処理などの方法が可能である。反応型処理としては、例えばリン酸とリン酸亜鉛を配合した水溶液を鋼板にスプレーしたり、この水溶液に鋼板を浸漬したりする方法がある。また、この水溶液には必要に応じNiイオン、Mnイオン、Mgイオン、Feイオンなどのカチオンや、硝酸イオン、亜硝酸イオン等のアニオンを添加することも好適である。電解型処理としては、例えば前記反応型処理と同様の水溶液中で鋼板を陰極電解、陽極電解、交番電解する方法が例示される。浸漬型処理としては、例えばリン酸亜鉛粒子を分散させた処理液中に鋼板を浸漬し、水洗することなく乾燥させる方法が例示される。処理液の安定性を確保するために、界面活性剤や有機添加剤等を適宜添加してもよい。塗布型処理としては、例えば前記浸漬型処理液と同様の処理液をロールコーター等を用いて鋼板に塗布し乾燥させる方法が例示される。なお、いずれの処理を行う場合にも、鋼板表面を洗浄または活性化するための前処理を実施してもよく、公知の酸やアルカリを用いた前処理がいずれも適用可能である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
使用した供試鋼板を表1に示す。熱延鋼板としては270MPa級、590MPa級、980MPa級の3種の鋼板を用い、いずれも酸洗処理により黒皮を除去した鋼板を用いた。また、冷延鋼板としては270MPa級、590MPa級、980MPa級の焼鈍処理後の鋼板を用いた。なお、板厚はいずれも1.2mmの鋼板を用いた。
Figure 2006206941
これらの鋼板に対し、リン酸亜鉛を主体とする化合物を被覆する処理を行った。反応型処理の場合には、85%H3PO4:13g/l、Zn3(PO42・4H2O:6g/lを基本浴組成とする水溶液を用い、この水溶液に鋼板を浸漬して反応型処理を実施することによりリン酸亜鉛を主体とする化合物を被覆させた。なお、一部の処理液においては、85%H3PO4およびZn3(PO42・4H2Oの濃度を変化させたり、Fe(NO33・9H2O、Ni(NO32・6H2O、Mn(NO32・6H2O、Mg(NO32・6H2Oを添加したりすることにより、リン酸亜鉛を主体とする化合物中のFe含有率、Ni含有率、Mn含有率、Mg含有率を変化させたサンプルも作製した。電解型処理は、上記反応型処理液と同じ処理液を用い、鋼板を陰極として電流密度5A/dm2で10秒間電解してサンプルを作製した。浸漬型処理は、種々の平均粒径のリン酸亜鉛粒子を分散させた処理液中に鋼板を5秒間浸漬させ、水洗することなく乾燥することによりサンプルを作製した。なお、処理液の安定性を確保するため有機系の界面活性剤を処理液に添加した。塗布型処理は上記浸漬型処理と同じ処理液を用い、ロールコーターにより鋼板に処理液を塗布し、水洗することなく乾燥することによりサンプルを作製した。
リン酸亜鉛を主体とする化合物の主構造はX線回折により調査し、ホパイト(Zn3(PO42・4H2O)、フォスフォフィライト(Zn2Fe(PO42・4H2O)のいずれの構造が主構造であるかを判断した。また、リン酸亜鉛を主体とする化合物の付着量および全付着量に対するFe、Ni、Mn、Mgの重量比をいずれも湿式分析により求めた。
リン酸亜鉛を主体とする化合物の被覆面積率の算出はSEM観察により行い、倍率を750倍として10視野の観察を行い、目視で算出した被覆面積率の平均値をその鋼板の被覆面積率とした。また、SEM観察により化合物の形状が粒状であるか非粒状であるかを判断し、粒状である場合にはその平均粒径をSEM写真から算出した。
化成処理性の評価は、市販の化成処理薬剤(日本パーカライジング(株)製、パルボンドPB−L3020システム)を用いて標準条件で行い、SEMにより観察した化成結晶評点、およびX線回折により測定したP比(フォスフォフィライトの強度をP、ホパイトの強度をHとしたときのP/(P+H)の値)により評価した。なお、一般にP比は0.85以上であることが好ましいとされている。また、化成結晶評点は以下の基準により評価した。
5:化成結晶にスケがなく、ムラもない
4:化成結晶にスケがないが、ムラが小
3:化成結晶にスケがないが、ムラが大
2:化成結晶にスケがあり、スケの程度が小
1:化成結晶にスケがあり、スケの程度が大
さらに、化成結晶評点とP比に基き、化成処理性を次のように判定した。
◎:評点4以上 かつ P比≧90
〇:評点3以上 かつ 85≦P比<90
△:評点3以上 かつ 80≦P比<85
×:評点2以下 および/または P比<80。
耐型かじり性の評価は摺動試験機を用いて行い、金型の押付け荷重を100MPaから50MPa刻みで上昇させながら鋼板に摺動を加え、目視観察により鋼板に型かじりが生じていなかった最大荷重の値を限界耐荷重として評価した。この値が高いほど、耐型かじり性に優れる。さらに、限界耐荷重に基き、耐型かじり性を次のように判定した。
◎:1000MPa≦限界耐荷重
〇:400MPa≦限界耐荷重<1000MPa
△:300MPa≦限界耐荷重<400MPa
×:限界耐荷重<300MPa
なお、摺動試験を行う際の金型は、材質がSKD11、金型の幅が10mm、金型と鋼板との摺動方向の接触長が3mmで、摺動方向の金型端部には4.5mmのRを付与した形状のものを用いた。また摺動条件は、摺動速度1.0m/min、摺動距離100mmとし、一般防錆油(出光興産(株)製、ダフニーオイルコートSK)を塗油した鋼板に対して摺動試験を行った。
表2及び表3に、使用した鋼板、処理方法、リン酸亜鉛を主体とする化合物の構造と付着量、被覆面積率、形状と平均粒径、ならびに化成処理性と耐型かじり性の評価結果を示す。
Figure 2006206941
Figure 2006206941
表2及び表3に示すように、本発明の鋼板はいずれも化成処理性、耐型かじり性に優れる。

Claims (2)

  1. 鋼板表面上にリン酸亜鉛を主体とする化合物が5〜80%の面積率で被覆されていることを特徴とする化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板。
  2. リン酸亜鉛を主体とする化合物が、平均粒径が3μm以下の粒状化合物であることを特徴とする請求項1記載の化成処理性および耐型かじり性に優れた鋼板。
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