JPH07308632A - 潤滑性に優れた金属板およびその製造方法 - Google Patents

潤滑性に優れた金属板およびその製造方法

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JPH07308632A
JPH07308632A JP6102856A JP10285694A JPH07308632A JP H07308632 A JPH07308632 A JP H07308632A JP 6102856 A JP6102856 A JP 6102856A JP 10285694 A JP10285694 A JP 10285694A JP H07308632 A JPH07308632 A JP H07308632A
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健 富安
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 最適な量の固体潤滑剤を皮膜表面に分布させ
ることによって用途に応じた潤滑性が付与されたプレコ
ート金属板を開発する。 【構成】 平均粒径が0.1 μm 以上30μm 以下の固体潤
滑剤の樹脂皮膜層における表面占有率を10〜70%とす
る。そのためには、表面張力が樹脂皮膜のバインダ樹脂
よりも10 dyne/cm以上小さくなるようにし、塗料液を塗
布し、昇温速度4℃/s以下の条件で焼付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速プレス加工、深絞
り加工等に最適な潤滑性を有する非脱膜型金属板および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題対応のため、および、製
造プロセスのコストダウンのため家電、自動車メーカ等
においては、通常のめっき鋼板+プレス油の潤滑性鋼板
に代わって潤滑性樹脂皮膜を備えた表面処理鋼板により
オイルレスのプレス加工を実現し、脱脂工程を省略する
ことが行われている。その他、予め工場で塗装まで行っ
てしまういわゆるプレコート金属板についても同様の事
情にあり、以下それらを総称して金属板という。
【0003】従来よりこのような各種金属板の表面の潤
滑性を得るための表面処理法は種々提案されているが、
それらは、主に、無機または有機系の固体潤滑剤或いは
その両方を1種類以上含有する樹脂エマルジョンまたは
樹脂水溶液を金属板表面に塗布、乾燥してから焼付する
という方法である。
【0004】無機系の固体潤滑剤としては黒鉛、二硫化
モリブデン等が用いられており、有機系固体潤滑剤とし
てはパラフィン、ポリエチレン系等のワックス、ステア
リン酸カルシウム等の金属石ケンが用いられている。
【0005】これらの方法で得られる潤滑処理金属板に
ついては、潤滑性や摩耗性ばかりでなく、耐食性、導電
性、上塗り塗装密着性、色彩等、留意されるべき点が多
く有り、目的に応じてこれらの要求性能のバランスを取
って適当な潤滑剤および樹脂、その他適宜配合剤が選ば
れている。
【0006】この様な従来の技術として、例えば、特
開平5−15447 号公報、特開平5−65666 号公報、
特開平5−51761 号公報、特開平4−271872号公報、
特開平3−96337 号公報等がある。
【0007】すなわち、特開平5−15447 号公報に開
示された技術は、透明樹脂にポリエチレンワックス等を
混入した表面処理剤をアルミめっき鋼板に塗布すること
によって潤滑性と外観に優れた建材用プレコート金属板
を与えるものである。
【0008】特開平5−65666 号公報によれば、潤滑
剤として粒径が3μm 以下の小さいポリオレフィン粒子
およびテフロン粒子が分散媒として用いられ、直ちに焼
付け硬化されることによって乳化剤の悪影響のない汎用
的な潤滑特性が得られ、更に、テフロン球が含有される
ことにより摺動摩耗性もが向上するというものである。
【0009】特開平5−51761 号公報の開示する発明
は、高粘度の塩素化パラフィン系化合物の潤滑剤をクロ
メート皮膜の中、或いは、下層に含有させることによっ
て、特に高速のプレス加工に対応したものである。
【0010】特開平4−271872号公報および特開平
3−96337 号公報の開示内容は、潤滑成分をフッ素樹脂
の微小粒子とすることによって、不活性の表面の性質か
ら、潤滑性と耐食性を同時に向上させようとするもので
ある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、その後
の研究開発の結果、上述のような従来の技術には、それ
ぞれ以下のような問題点がることが判明した。従来技術
においては、0.1 〜3.0 %という少量のワックスを膜
厚0.5 〜4.5μm の皮膜内に含有させているが、十分な
潤滑性は得られない。しかも、そのようにして得られた
潤滑性も一次的には樹脂により、さらに補助的にワック
スにより発揮させるのであって、十分とは言えなかっ
た。
【0012】従来技術においては、焼付硬化時に直ち
に板温度が90〜200 ℃となる急速加熱を行うため、潤滑
剤の表面濃化量が充分でなく、良好な潤滑性が得られな
い。塗膜密着性を確保するためである。そればかりか、
皮膜中に不活性なポリオレフィンワックスとテフロンワ
ックスが多量に含まれるため、皮膜強度が極端に弱くな
る。
【0013】従来技術においては、潤滑剤が皮膜中或
いは下層にあるため、潤滑性が不十分であったり、皮膜
が工具にピックアップするという不都合が生じる。従来
技術、においては、フッ素樹脂の変形抵抗が大きい
ため比較的柔らかい有機皮膜中での潤滑剤としての使用
が不適当であるばかりか、不活性な表面の性質から焼付
造膜後のバインダ樹脂による保持力が小さいため加工時
に容易に脱落し、塗膜表面にピンホール等の欠陥を生じ
る原因となる。
【0014】特に、最近は加工速度が800 mm S-1という
高速プレス加工や、絞り比2.3 という深絞り加工が一般
化してきており、それに伴って潤滑性もより高度なもの
が求められるようになってきている。例えば、産業用換
気扇、モーターカバー等である。しかし、そのような状
況下で満足のゆく潤滑性を示すものはまだ存在しない。
【0015】ここに、本発明の目的は、皮膜強度が十分
であって、また用途に応じた潤滑性が付与された樹脂皮
膜を備えた金属板を開発する事である。さらに本発明の
より具体的な目的は、上述のような高速プレスおよび深
絞り加工に耐えるすぐれた潤滑性皮膜を備えた金属板を
開発することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明らは、かかる目的
を達成すべく種々検討を重ね、まず次のような点に着目
した。 一般に、固体潤滑剤は皮膜中に均一には分散しない。
しかし、従来の技術においては、必要とされる固体潤滑
剤の量は表面処理剤中の不揮発成分に占める固体潤滑剤
の重量比で規定されていて、樹脂皮膜表面の潤滑剤の分
布には言及されていない。
【0017】樹脂皮膜表面の固体潤滑剤の不足は摩擦
係数の増加の原因となり、一方表面に存在する過剰の固
体潤滑剤は、摩擦係数は低下させても、上塗り塗装密着
性の低下、皮膜の耐久性の低下等の悪影響をおよぼす。
【0018】ここに、本発明者らは、それらに基づいて
さらに研究開発を重ねた結果、樹脂皮膜中に含まれる固
体潤滑剤のうちで潤滑性に主として寄与しているのは図
1のように樹脂皮膜表面より露出しているものであり、
露出した固体潤滑剤の低い表面エネルギーによってプレ
コート金属板の摩擦係数は低下し、更に、潤滑剤が変
形、或いは流動する事によって潤滑性が確保されるとの
知見を得たのである。
【0019】そこで、本発明者らは樹脂皮膜表面に露出
している有効な固体潤滑剤が全体の表面に占める割合を
表面占有率として指標化し、固体潤滑剤の表面占有率と
動摩擦係数の測定を行ったところ、両者の間には一定の
相関があり、前述の高速プレスおよび深絞り加工を行う
には、固体潤滑剤の表面占有率を10〜70%とすることが
必要であることを見出し、本発明を完成した。
【0020】因みに、前述の特開平5−15447 号公報等
ではワックスが造膜時に表面に移動することが述べられ
ているが、そのように積極的に固体潤滑剤を表面に持ち
来した場合であっても、例えば、樹脂皮膜厚を1μm 、
ワックスの粒径を1μm (市販のポリエチレンワックス
の粒径は0.1 〜数10μm である) とすると、ワックス含
有率をこの特許の請求範囲の最大の3wt%としても、更
にそのワックスの全部が皮膜表面に移動したとしても、
ワックス表面占有率はたかだか約6%にしかならず、充
分な潤滑性は得られないのである。従来は樹脂皮膜が主
として潤滑機能を発揮し、固体潤滑剤はそれを補助する
と考えられていたからである。また、そのような樹脂皮
膜にはさらに塗装を施すことが多く、そのときの塗装密
着性を改善するためには固体潤滑剤の配合量は可及的に
少なくすることが求められるからである。
【0021】さらに、固体潤滑剤の表面張力と表面占有
率との間の相関、焼付温度到達時間と表面占有率との間
の相関、膜厚と表面占有率との相関が看取された。この
様な相関関係を詳細に検討した結果、次のような点を見
出し、本発明に至った。
【0022】固体潤滑剤の表面占有率は、固体潤滑剤
の粒径、配合量、樹脂層の膜厚、表面張力によって、決
定される。 固体潤滑剤の表面占有率は、固体潤滑剤の表面濃化の
程度によっても決定され、その表面濃化の程度は、今度
は、樹脂バインダーと固体潤滑剤との表面張力との差、
焼付け温度到達時間などの固体潤滑剤の移動速度によっ
て決定される。
【0023】ここに、本発明の要旨とするところは、最
上層に平均粒径が0.1 μm 以上30μm 以下の固体潤滑剤
を含有する樹脂皮膜層を有する金属板であって、該樹脂
皮膜層の下記式で定義される潤滑剤表面占有率が10%以
上70%以下であることを特徴とする潤滑性に優れたプレ
コート金属板である。
【0024】[潤滑剤表面占有率] = [樹脂皮膜表面か
ら露出した固体潤滑剤の表面積]× 100/[樹脂皮膜の表
面積] ただし、上記「表面積」は、画像解析によるデータであ
って、実表面積を言い、投影面積ではない。
【0025】本発明の好適態様によれば、前記固体潤滑
剤としては、その表面張力が樹脂皮膜を構成するのバイ
ンダ樹脂の表面張力よりも10dyne/ cm以上小さいもの
を選択する。
【0026】別の面からは、本発明は、金属板の最上層
に固体潤滑剤を含有する樹脂皮膜を有する金属板の製造
方法であって、金属板の最上層として、樹脂皮膜を構成
するバインダ樹脂から成り、該バインダ樹脂よりも表面
張力が10 dyne/cm以上小さく、かつ平均粒径が0.1 μm
以上30μm 以下の固体潤滑剤を分散させた樹脂系塗料液
を塗布し、昇温速度4℃/s以下の条件で焼付けることを
特徴とする潤滑性に優れた金属板の製造方法である。
【0027】本発明の好適態様にあっては、樹脂膜厚よ
りも小径の固体潤滑剤を用いる。潤滑剤の粒径が膜厚よ
りも大きくなると耐食性が幾分低下するが、樹脂膜厚よ
りも小さい潤滑剤を用い、本発明にかかる製造方法を用
いることで耐食性の高い潤滑皮膜が得られる。
【0028】
【作用】図1は本発明の作用を概略示すもので、図1
(a) 、(b) は従来技術にみられる固体潤滑剤10と樹脂皮
膜12との存在形態を説明するものであって、いずれの場
合も固体潤滑剤は皮膜表面に露出していない。
【0029】一方、図1(c) 、(d) は、本発明において
みられる固体潤滑剤10の樹脂皮膜12におけその存在形態
の断面図と平面図による説明図であり、それぞれ下側に
示す平面図で固体潤滑剤10の斜線で示す領域が露出面を
表わす、本発明では、この露出面の全領域に対する割合
を固体潤滑剤の表面含有率と定義するのである。
【0030】本発明において使用される母材金属板は特
に限定されるものではない。最上層として本発明にかか
る潤滑性樹脂皮膜が形成されれば特に制限はない。例と
して、自動車、家電製品、建材等に用いる場合には、め
っき鋼材、特に亜鉛系めっき鋼材、予めプライマーが塗
布されている亜鉛系めっき鋼材等が挙げられる。その
他、必要によりさらにクロメート皮膜などを設けたも
の、そしていわゆるプレコート金属板であってもよい。
【0031】しかし、実用的観点からは、亜鉛めっき鋼
板にクロメート処理を施し、さらに防錆顔料を含有する
プライマーを塗布したものが金属板としては好ましい。
本発明において使用される樹脂系塗料液中のバインダ樹
脂は特に限定されるものではない。例として、エポキシ
樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリ
ル樹脂系、オレフィン系、塩化ビニル系等、或いはこれ
らの樹脂2種類以上の共重合体、混合物が挙げられる。
【0032】また、溶剤系および水系の樹脂を問わず、
更に一般に、塗料に用いられる各種添加剤、例えば、体
質顔料、着色顔料、防錆顔料や染料の使用が可能であ
る。すなわち、本発明にかかる潤滑性金属板はそれ自体
いわゆるプレコート金属板として用いてもよい。さら
に、皮膜の性能や塗工性を改善するための各種の添加
剤、例えば、カップリング剤やレベリング剤などを添加
しても良い。望ましくは、成形後の残留応力低減のため
架橋造膜後のガラス転移点が常温付近である方がよい。
【0033】本発明において使用される樹脂系塗料液中
の固体潤滑剤の種類は特に限定されるものではない。例
として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン系ワックス、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ステ
アリン酸カルシウム等有機系潤滑剤、および黒鉛、二硫
化モリブデン等無機系潤滑剤が挙げられる。
【0034】固体潤滑剤の粒径は0.1 μm 以上30μm 以
下、好ましくは1〜10μm 、耐食性を重視する場合は、
樹脂膜厚よりも小さい潤滑剤が好ましい。粒径が0.1 μ
m 未満の場合は、連続塗装ラインのロールコータによる
表面処理鋼板を例として挙げると、樹脂皮膜表面の断面
曲線における中心線平均粗さ (Ra) が最小でも約0.3μm
である事から、潤滑効果が小さい。一方、粒径が30μm
を越える場合には生産面でロールへのビルドアップ等
の問題が生じる他、塗料安定性を著しく欠くため好まし
くない。さらに、加工時に固体潤滑剤が金型に堆積する
という問題も生じる。
【0035】潤滑剤表面占有率は10%以上70%以下であ
ることが必要である。潤滑剤表面占有率が10%未満の場
合は動摩擦係数が極端に大きくなり、目的の潤滑性能を
得る事が困難である。好ましくは、20%以上とする。一
方、表面占有率が70%を超えると皮膜表面の潤滑剤が過
多になり、加工時に固体潤滑剤が金型に堆積するという
問題を生じる。また、生産面でロールへのビルトアップ
も生じる。好ましくは50%以下である。
【0036】本発明において固体潤滑剤の表面占有率
は、例えば以下のようにして具体的に決定する。すなわ
ち、樹脂皮膜表面を低真空型の走査型電子顕微鏡で表面
の凹凸像を観察すると表面に露出しているワックスを観
察することが可能である。その画像をコンピュータで画
像処理する事で円形に見える固体潤滑剤の像の半径riの
単位面積内の分布を求め、次の式に従って表面占有率γ
a (%) を求める。
【0037】
【数1】
【0038】ここで、Rは固体潤滑剤の粒径であって、
例えば光散乱粒度測定装置を用いて得られる。本発明の
好ましい態様にあっては、最上層樹脂皮膜中の潤滑剤の
表面張力をバインダ樹脂に比べ10 dyne/cm以上小さくす
る。
【0039】固体潤滑剤とのバインダ樹脂の表面エネル
ギー差を制限する理由は以下のとおりである。即ち、表
面エネルギー差が大きいときは、固体潤滑剤のバインダ
樹脂との親和性が充分小さく、焼付の過程で固体潤滑剤
が樹脂膜表面に浮いてきて露出するためである。また、
表面エネルギー差が小さい時は、固体潤滑剤がバインダ
樹脂にヌレてしまうため樹脂膜表面に露出しない。
【0040】一般に、樹脂種が異なると、その表面張力
は異なるため、望ましくは、固体潤滑剤の表面張力が、
樹脂の表面張力よりも10 dyne/cm以上小さいことが望ま
しい。これ以上の表面張力差があれば、表面張力の小さ
い固体潤滑剤は皮膜表面に効率よく濃化することが可能
である。
【0041】また、黒鉛や二硫化モリブデンのような表
面張力の高い (ヌレ性の大きい) 固体潤滑剤について
は、フロンのプラズマ蒸着、フッ素系のカップリング剤
による表面改質等によって、ヌレ性を下げることが可能
である。なお、「表面張力」の測定は、例えば水滴によ
る接触角測定によって水との濡れ性を基準にして求める
ことができる。
【0042】次に、同一の樹脂と固体潤滑剤を使用して
も、表面占有率は塗装後の焼付条件によっても大きく異
なる。即ち、平均の昇温速度が4℃/秒以下であると、
固体潤滑剤が皮膜表面に濃化するための十分な時間が確
保できる。それに対して、昇温速度が4℃/秒を超える
と、固体潤滑剤が十分に表面に濃化できずに、潤滑性が
劣る。好ましくは3℃/秒以下とする。ここに、仕込濃
度としての潤滑剤重量比率は、
【0043】
【数2】
【0044】で与えられる。rは潤滑剤の平均半径、S
は目標の表面の潤滑剤面積率、tは樹脂膜厚である。従
って、本発明の好適態様によれば、上記潤滑剤重量比率
は 0.1〜20%、より好ましくは1〜15%に制限する。更
に好ましくは、粒径/膜厚が1/100 程度の場合、1.5 %
以下に、1/10程度の場合、14%以下にすることが良い。
【0045】また、本発明にあっては、潤滑剤の粒径/
膜厚の比は余り大きいと潤滑剤表面占有率が大きくなり
すぎ、好ましくは粒径/膜厚の比を200 %以下とする
が、より好ましくは、樹脂膜厚よりも小径の固体潤滑剤
を用いるのであって、そのときの粒径/膜厚の比は100
%未満、さらに好ましくは50%以下とする。次に、実施
例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明す
る。
【0046】
【実施例】溶融亜鉛めっき鋼板 (片面のめっき目付量60
g/ m2、板厚0.6 mm) に塗布型クロメート処理をCr付着
量として50mg/ m2だけ施したものを母材金属板として使
用した。この母材金属板に以下の方法で樹脂皮膜を形成
して、試料を調製した。
【0047】固体潤滑剤が十分に分散された分散液を、
溶剤中または水中に溶解または分散して樹脂系塗料液を
調整し、十分に攪拌した。このようにして得た樹脂系塗
料液を母材に所定の膜厚になるようにバーコータを用い
て塗布した。そして、電気オーブンにて所定の鋼板温度
まで加熱した。この時、オーブンに入る前の鋼板温度は
30℃であった。オーブンの温度設定を変化させて、焼付
時間を制御した。
【0048】得られた各試料について、固体潤滑剤の表
面占有率と動摩擦係数を測定した。表面占有率は前述の
ようにコンピュータによる画像処理技術で求め、そのと
きの固体潤滑剤の粒径は光散乱粒度測定装置を用いて得
た。
【0049】動摩擦係数はバウデン試験機を用いて、荷
重 500gで、5mmの鋼球を用いて測定した。動摩擦係数
が0.10以下であり、試験後鋼球に潤滑剤のビルドアップ
が認められなかったものを合格とした。鋼球に潤滑剤が
付着しているかどうかは、顕微型のフーリエ変換型赤外
分光光度計で測定して、判断した。
【0050】加工部耐食性は、円筒絞り (ポンチ径40m
m、ブランク径90mm、絞り高さ10mm、押え圧1ton)後の
サンプルにつきJIS Z-2371の塩水噴霧試験の白錆発生率
で評価した。 ○:≦10%、△:10<△<98%、×:≧90% 結果は、処理条件と共に表1および表2にまとめて示
す。
【0051】表1および表2に示す結果から分かるよう
に、本発明例である例No.1からNo.9の結果からは、表面
占有率が10%以上のときで、動摩擦係数は0.10以下とい
う優れた潤滑性能を示すことが判る。なお、試料No.9の
ように本発明の範囲内であり、動摩擦係数およびビルド
アップ性については満足されるが、加工部耐食性が一部
満足されない。
【0052】また、比較例No.10 〜12に示すように表面
占有率が70%を超えると、ビルトアップ等の問題が生じ
る。一方、表面占有率が10%未満ではNo.13 、14に示す
ように動摩擦係数が0.10を越えてしまう。
【0053】明らかに表面占有率が10%以上のところで
ワックスの効果が顕著に現れる事が看取され、またワッ
クスは樹脂皮膜中に均一に分散しているのではなく、樹
脂皮膜表面に濃化している事も看取される。
【0054】例No.15 からNo.20 には本発明の好適態様
を表わすものとして固体潤滑剤の粒径/膜厚比と動摩擦
係数との相関が示されている。潤滑剤粒径/膜厚比が大
きくなると表面占有率が大きくなり、動摩擦係数が下が
る事が看取される。円筒絞り後の耐食性が (粒径/膜
厚) 比が100 %以上で不芳であることが分かる。また、
膜厚が2μm 以下では、通常の条件では潤滑剤表面占有
率が70%を越えるため、ビルドアップ性に問題があるの
が判る。
【0055】例No.21 からNo.29 は、本発明にかかる製
造方法における固体潤滑剤とバインダ樹脂との表面張力
差の臨界性を示すもので、その差が10dyne/cm より小で
は固体潤滑剤が樹脂皮膜表面に露出せず、表面占有率が
10%未満と本発明の範囲外となり、動摩擦係数も0.10超
となってしまい、潤滑性が期待できない事が看取され
る。
【0056】例No.30 からNo.34 は、同じく本発明にか
かる製造方法における昇温速度の臨界性を示すもので、
昇温速度の減少に従って潤滑剤表面占有率が増加する事
が看取される。例No.34 では昇温速度が4℃/sを越えて
いるため表面占有率は8%と大幅に小さくなっており、
動摩擦係数も0.10を越えている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】従来よりポリエチレンワックス等固体潤
滑剤が樹脂皮膜中に均一に分散していないことは知られ
ていたが、本発明によれば、表面占有率という新しいパ
ラメータを導入することで、樹脂皮膜表面に露出してい
る有効な固体潤滑剤の量と潤滑性との相関が明らかにな
り、更にこの知見から得られた表面占有率の制御法が確
立されることになったのであって、ここに、本発明の技
術によって初めて最適な高潤滑性プレコート金属板の設
計および製造が可能となったのであり、本発明の実用上
の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜図1(d) は、それぞれ樹脂皮膜中に
おける固体潤滑剤の存在形態の略式説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最上層に平均粒径が0.1 μm 以上30μm
    以下の固体潤滑剤を含有する樹脂皮膜層を有する金属板
    であって、該樹脂皮膜層における前記固体潤滑剤の表面
    占有率が10%以上70%以下であることを特徴とする潤滑
    性に優れた金属板。
  2. 【請求項2】 金属板の最上層に固体潤滑剤を含有する
    樹脂皮膜を有する金属板の製造方法であって、金属板の
    最上層として、樹脂皮膜を構成するバインダ樹脂から成
    り、該バインダ樹脂よりも表面張力が10 dyne/cm以上小
    さく、かつ平均粒径が0.1 μm 以上30μm 以下の固体潤
    滑剤を分散させた樹脂系塗料液を塗布し、昇温速度4℃
    /s以下の条件で焼付けることを特徴とする潤滑性に優れ
    た金属板の製造方法。
JP10285694A 1994-05-17 1994-05-17 潤滑性に優れた金属板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3214228B2 (ja)

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