JP2004257243A - 太陽熱反射性の塗装金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量屋根材等の建築用外装材として最適の、遮熱性に優れ、自由な色に着色でき、生産性よく安価に製造できる太陽熱反射性の高い塗装金属板を提供する。
【解決手段】金属基板 (例、めっき鋼板) の日射を受ける片面に 0.8〜2.1 μmの波長域での太陽熱反射率RE/NIR が10%以上の顔料を2〜70質量%含有する塗膜を設け、その塗装面のRE/NIR を20%以上にする。この塗膜の 0.8〜2.1 μmの波長域での太陽熱透過率TE/NIR が20%以上と高い場合には、RE/NIR が40%以上と高い金属基板 (例、Al系めっき鋼板) を使用し、基板からの反射も利用する。裏面側は放射率70%以下の低放射率の面とすることが好ましく、鱗片状アルミニウム顔料を0.05〜1.5 g/m2含有する塗膜がよい。日射を受ける面の表面の水に対する接触角を60°以下または90°以上にすると、耐汚染性に優れ、汚染による太陽熱反射性の低下が防止される。
【選択図】なし

Description

本発明は、主として屋根材などの建築用外装材として好適な、太陽熱反射性に優れ、日射を受けた時の基板の昇温や裏面側への熱放散が抑制された塗装金属板に関する。
防災性向上などの観点から住宅の構造強化が推進されており、その一環として屋根材の軽量化が望まれている。屋根材としては、日本瓦の外に、新窯業系、金属屋根等がある。
金属屋根は、日本瓦に比べて質量が約1/10、新窯業系に比べても約1/3 と軽量であるので、構造強化や軽量化を推進するのに好ましい材料と考えられている。しかし、金属は窯業系材料に比較して熱伝導率が高いため、金属屋根材では太陽熱が容易に屋根裏に伝導して、裏面側から室内に放散され、室内温度が高くなりやすいという欠点がある。
太陽熱の影響を抑制する方法として、金属屋根材の裏面に断熱材を貼合する方法がある。しかし、通常は、金属板を成形した後に断熱材を貼合する方法が採用されるため、貼合材の製造工程が煩雑なことや、専用設備などに要する初期費用が高いことから、経済性に欠けるという問題がある。
金属屋根材に遮熱断熱塗料を塗装する方法もあるが、遮熱断熱塗料は、顔料として中空バブルを多数有するセラミックを利用する特殊な塗料であるうえ、効果を発揮させるには塗装膜厚を厚くする必要があり、経済性や意匠性が損なわれる等の問題がある。このため、一般用途に広く採用されるには至っていない。
特開平5−293434号公報には、一定の太陽熱反射率を有する複数の顔料を組合わせて加法混色することで得られる、低明度の太陽熱遮蔽上塗り塗料を塗装した自動車車体、または自動車部品が開示されている。この技術は、熱反射性に優れた上塗り塗装により太陽熱反射性を高めるものである。しかし、塗膜のみでは太陽熱遮蔽性に必ずしも十分に確保することができず、色も低明度の暗い色調に制限される。
上記公報では、太陽熱遮蔽性が不十分な場合には熱遮蔽性のよいアルミニウム下地を用いるのがよいとしているが、アルミニウムは強度が低く、溶接が困難であるうえ、材料コストが非常に高くなるので、屋根材として一般用途に広く採用するには問題がある。さらに、アルミニウム下地を採用しても、添加元素の種類や量、表面の粗さや酸化膜厚によっては、下地の反射率が低く、上記の塗装を施した時に太陽熱反射性に劣る場合があった。
特開平5−293434号公報
本発明は、屋根などの建築用外装材に好適な、太陽熱反射性に優れ、室内の温度上昇を抑制することが可能で、好きな色に彩色でき、経済性に優れ、かつ汎用性に富む塗装金属板を提供するものである。
建築物ではその景観や意匠性が重要な要素として評価される。このため、建築用外装材として用いる塗装金属板にとって、任意の色や模様に自由に着色できることが必要である。
また、太陽熱の大部分は、波長 0.3〜2.1 μmの可視光線または近赤外線として照射される。従って、建築用外装材として用いる塗装金属板は、太陽熱を可及的に吸収しないように、太陽熱の反射率が高いことが望ましい。
以上の観点から、本発明者らは、金属基板に塗装を施した塗装金属板について、その太陽熱反射性に対する基板と塗膜の影響を詳細に検討した。その結果、太陽熱による温度上昇の効果的な防止に関して以下の知見を得た。
a. 物体の色彩、光沢などは、塗膜のうちの外層塗膜によりほぼ決定される。また、色彩は、視覚で認識されるものであるから、可視光線領域の波長 (0.38〜0.78μm) での物体表面からの光の反射率によって決まる。つまり、可視光線領域での太陽熱の反射率は、色によって決まってしまう。従って、外層塗膜の色を変更しない限り、外層塗膜における可視光線領域での太陽熱吸収量あるいは反射率を変更することは難しい。
しかし、外層塗膜の可視光線領域外である近赤外線領域(0.8〜2.1 μm) での反射率を高めることにより、物体表面の色彩を所望の色彩に着色しつつ、太陽熱反射性を向上させることができる。このようにするには、外層塗膜に、上記近赤外線領域での太陽熱反射率が10%以上の顔料を一定量以上含有させることが効果的である。以下、このような太陽熱反射性のよい顔料を単に「反射性顔料」、この反射性顔料を含有する太陽熱反射率の高い塗膜を「反射性塗膜」とも記す。
金属板の塗装においては、外層塗膜の密着性を高めるとともに、塗装金属板としての防錆性や塗装仕上がりなどを向上させる目的で、外層塗膜と基板との間に下塗り塗膜 (プライマー) や中塗り塗膜 (以下、これらを合わせて単に「内層塗膜」とも記す) を設ける場合がある。
このように金属板が複数の塗膜を備えている場合には、2以上の塗膜を反射性塗膜としてもよい。太陽熱反射性の向上には、外層塗膜に反射性顔料を含有させるのが最も効果的である。しかし、例えば、外層塗膜が薄く、反射性顔料を含有させてもその隠蔽性が十分ではない場合などでは、外層塗膜に加えて、内層の少なくとも1層の塗膜にも上記反射性顔料を適当な量で含有させることにより、十分な太陽熱反射性を持った塗装金属板を得ることができる。
色が外に現れない内層塗膜に含有させる反射性顔料は、近赤外線領域に加えて可視光線領域 (0.38〜0.78μm) の波長での太陽熱反射率が10%以上である顔料を使用することがより効果的である。
b. 金属基板には太陽熱反射性に優れているものがある。このような基板を使用する場合には、塗膜の近赤外線領域における太陽熱透過率を高いものにすると、基板からの太陽熱反射を利用して、太陽熱反射性の高い塗装金属板を得ることが可能となる。
太陽熱透過率の高い塗膜として、顔料を含有しないクリアー塗膜があるが、それでは基板の色が外に現れるので、塗装金属板の意匠性に欠ける上、耐食性等の他の性能も不十分となりがちである。近赤外線領域における吸収が少なく、透過率の高い顔料を使用し、塗膜の膜厚や顔料の含有量を調整すると、顔料含有塗膜であっても、近赤外線領域での太陽熱透過率の高い塗膜を形成することができる。この太陽熱透過率の高い塗膜を、太陽熱反射率の高い金属基板の表面に形成することによって、太陽熱反射性の高い塗装金属板とすることができる。
具体的には、近赤外線領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上である基板を用い、これに近赤外線領域での太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上である太陽熱透過率の高い顔料含有塗膜を形成する。
太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上と高い基板は、材料表面に太陽熱反射性に優れためっき等を施すことにより容易に得ることができる。中でも、アルミニウムを50質量%以上含有するめっき皮膜を備えた材料は、太陽熱反射性がよいうえ、耐食性や経済性にも優れるので、建築用材料として好適である。
c. 塗装金属板を建築用外装材として用いた場合、これに吸収された太陽熱は、室内空気の対流による伝導と、日射を受ける側と反対側の面 (以下、この反対側の面を「裏面」とも記す) からの放射により室内に伝達され、室内空気温度を上昇させる。従って、裏面からの室内への放射を抑制すれば、室内空気温度の上昇をさらに抑制することが可能である。そのためには裏面の放射率を小さくすればよい。
d. 内層塗膜である下塗り塗膜や中塗り塗膜は、通常は太陽熱を吸収し易い顔料を含有した塗膜である。従って、内層塗膜が反射性顔料を含有する反射性塗膜でない場合には、塗装金属板の太陽熱反射性の観点からは内層塗膜が薄い方が望ましい。
また、建築用外装材に塗装金属板を適用する場合には、耐食性、塗膜密着性などの長期耐久性を向上させるため、基板に塗装前処理が施される場合が多い。塗装前処理としてはクロメート処理、リン酸塩処理などが一般的であるが、これらの化合物は可視・赤外線領域における吸収がある。従って、塗装前処理の付着量も少ない方が好ましい。
e. 日射を受ける面に外界からの汚染物質が付着すると、反射性能が低下する恐れがある。従って、日射を受ける面は、耐汚染性に優れた表面を備えていることが望ましい。日射を受ける面を清浄に保つには、日射を受ける面の表面の水に対する接触角を小さくして、表面の水濡れ性を高くし、付着汚染物質が降雨時に容易に流れ落ちるようにすることが効果的である。逆に、日射を受ける面の表面を疎水性にし、降雨時に雨滴が付着しないようにすることで、雨滴に含有されることがある汚染物質が日射をうける面に付着するのを防げる方法も有効である。
以上の知見に基づいて完成した本発明は、最も広義には、金属基板に塗装を施した塗装金属板であって、日射を受ける面の 0.8〜2.1 μmの波長領域 (つまり、近赤外線領域) での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%以上であることを特徴とする、日射による基板昇温が抑制された塗装金属板である。
1態様において、この塗装金属板は、日射を受ける面に、 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が10%以上の顔料 (即ち、反射性顔料) を2〜70質量%含有する少なくとも1層の太陽熱反射性塗膜を備えている。
別の態様では、この塗装金属板は、金属基板の日射を受ける面の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上であり、かつ、その面に 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上である顔料含有塗膜を有している。この場合の好ましい基板は、アルミニウムを50質量%以上含有するめっき皮膜を備えためっき金属板である。
なお、上記の2つの態様は併存しうる。即ち、反射性顔料を2〜70質量%含有する反射性塗膜であって、かつ太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上となる塗膜を形成することが可能である。その場合に、太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上と高い基板を使用すると、塗膜の高い太陽熱反射性と基板の高い太陽熱反射性とがあいまって、太陽熱反射性が非常に高く、裏面側への熱放散が大きく抑制された塗装金属板が得られる。
塗装金属板が2層以上の塗膜を備える場合、少なくとも外層が上記の太陽熱反射性塗膜であり、その内側の塗膜厚みが200 μm以下であることが好ましい。
好ましくは、塗装金属板の日射を受ける面と反対側の面の放射率が70%以下である。この反対側の面の外層塗膜は、鱗片状アルミニウム顔料を0.05〜1.5 g/m2含有することが好ましい。
日射を受ける面は、耐汚染性を高めるために、その表面の水に対する接触角が60°以下または90°以上であることが好ましい。日射を受ける面の表面が太陽熱反射性塗膜からなる場合、この塗膜を水に対する接触角が60°以下または90°以上の塗膜になるようにすることができる。或いは、この太陽熱反射性塗膜の上に、水に対する接触角が60°以下または90°以上で、厚さ 0.5〜50μmの皮膜をオーバーコートして、耐汚染性を付与することもできる。
本発明において塗装金属板の日射を受ける面、顔料、および基板に関して使用した太陽熱反射率とは、分光反射率 (Rλ) より算出される当該波長領域でのスペクトルの強さを考慮した太陽熱反射率である。 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) は次の(1) 式により算出される。
Figure 2004257243
E/NIR : 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率(%) 、
Eλ :太陽熱の分光強度、
Rλ :分光反射率 (分光光度計により測定) 。
塗膜の太陽熱透過率とは、塗膜の分光透過率 (Tλ) より算出される当該波長領域でのスペクトルの強さを考慮した太陽熱透過率である。 0.8〜2.1 μmの波長領域での塗膜の太陽熱透過率 (TE/NIR ) は次の(2) 式により求められる。
Figure 2004257243
E/NIR : 0.8〜2.1 μmの波長領域での塗膜の太陽熱透過率(%) 、
Eλ :太陽熱の分光強度、
Rλ :分光透過率 (分光光度計により測定) 。
本発明において裏面の放射率とは、 4.5〜25μmの波長領域において裏面の分光反射率 (Rλ) より算出される、プランクの熱放射スペクトル分布における絶対温度 293Kとした場合の相対値を考慮した放射率である。放射率αは次の(3) 式により求められる。
Figure 2004257243
α :放射率 (%) 、
Gλ:プランクの熱放射スペクトル分布において絶対温度 293Kとした場合の相対値、
Rλ:分光反射率 (分光光度計により測定) 。
本発明の太陽熱反射性の高い塗装金属板は、主として屋根などの建材用外装材として最適であり、屋根の要求性能である軽量性と遮熱性に優れ、自由な色に着色でき、しかも生産性よく安価に製造できる。また、日射面に耐汚染性を付与することで、汚染による太陽熱反射性の低下を抑制することができ、長期にわたって遮熱性を保持する。
本発明の塗装金属板は、金属基板の日射を受ける少なくとも片面に塗装を施したものであり、日射を受ける面 (以下、日射面とも記す) の 0.8〜2.1 μmの波長領域 (=近赤外線領域) での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%以上である。日射面のRE/NIR が20%に満たないと、太陽熱反射性塗装金属板としての基板の昇温抑制効果が低下する。日射面のRE/NIR は、好ましくは30%以上である。
この塗装金属板は、1態様では、近赤外線領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が10%以上である顔料 (即ち、反射性顔料) を2〜70質量%含有する少なくとも1層の反射性塗膜をその日射面に備えたものでよい。塗装金属板が日射面に複数の塗膜を備えている場合には、少なくとも外層塗膜を反射性塗膜とすることが好ましい。即ち、外層塗膜だけを反射性塗膜としてもよく、或いは、さらに内層塗膜の一部または全部も反射性塗膜とすることができる。外層塗膜が薄く、反射性顔料を含有させてもその隠蔽性が十分ではないといった場合には、内層塗膜にも反射性顔料を含有させてもよい。
本発明における外層塗膜とは、塗装金属板の色彩を決定する塗装工程で施される塗膜を意味する。耐汚染性などの性能向上を目的として、外層塗膜の上にさらにクリヤー皮膜を施す場合もあるが、本発明ではクリヤー皮膜は外層塗膜とは考えない。
別の態様では、日射面の塗膜が、 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上である、太陽熱透過率が高い顔料含有塗膜であり、金属基板の少なくとも日射を受ける面の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上と高い。この場合には、基板から反射した太陽熱が塗膜を通って外部に反射されることで、塗装金属板が高い太陽熱反射性を示すことができる。
塗装金属板の日射面の反射率、塗膜に使用する反射性顔料の反射率、および塗膜の太陽熱透過率のいずれについても、本発明では、近赤外線領域である 0.8〜2.1 μmの波長領域の波長に対する太陽熱反射率 (RE/NIR ) または太陽熱透過率 (TE/NIR ) により規定したのは、可視光線領域の波長に対する太陽熱反射率や太陽熱透過率は色彩に依存して決まるためである。可視光線領域の波長に対しても太陽熱反射率や太陽熱透過率を規定すると、塗装金属板の色彩の自由度がなくなり、建築用外装材として不適格となる。本発明によれば、近赤外線領域の波長に対して太陽熱反射率や太陽熱透過率を規定するだけで、日射を受けた場合の基板温度上昇を著しく抑制することができる。
塗膜
(1) 反射性塗膜
塗装金属板の日射面に設ける反射性塗膜は、上記のように近赤外線領域での太陽熱反射率が10%以上である反射性顔料を2〜70質量%含有する (該塗膜の乾燥重量に基づいて、以下同じ) 。反射性顔料の含有量 (複数の反射性顔料を併用した場合にはそれらの合計量) が、その塗膜中で2質量%に満たないと、金属板に十分な太陽熱反射性を付与することができず、また着色力も不足して所望の色彩を得るのに厚膜塗装が必要になる。この含有量は好ましくは5質量%以上である。反射性顔料の含有量がその塗膜中で70質量%を超えると、塗膜の加工性が損なわれる。含有量の上限は好ましくは60質量%である。
反射性塗膜に含有させる反射性顔料は1種類に限る必要はなく、色相、耐候性、色安定性を考慮し、上記の条件を満足する1種もしくは2種以上の顔料を任意に選択できる。2種以上の反射性顔料を使用する場合には、これらの合計含有量が上記の範囲にあればよい。
本発明の塗装金属板に用いる反射性顔料は、安全で、耐水性、耐候性に優れ、長期間遮熱効果を維持するものが望ましい。中でも、金属の酸化物、硫化物、クロム酸塩などの金属化合物や、不溶性色素 (色素顔料) 、レーキ顔料などから選んだ顔料を用いるのが好ましい。
顔料の平均粒径が50μmを超えると、太陽熱反射性が劣るため、反射性顔料の平均粒径は50μm以下とするのが好ましい。耐汚染性、耐候性、色安定性の観点から、反射性顔料の平均粒径はより好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
反射性塗膜には、上記の反射性顔料の他に、所望の色彩や隠蔽性、耐食性等の塗膜性能を得るのに必要な着色顔料、防錆顔料、ならびに基板表面とバインダーである有機樹脂 (例えば、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂など) との密着性や塗膜自体の凝集強度を高めたり、下地の隠蔽性や明度を向上させる目的で、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、ネフェリン、サイナイト、雲母、気泡含有顔料等といった体質顔料を含有させても構わない。
顔料を保持するバインダーとしては、太陽光に曝されても黄変、変色、光沢低下、白亜化を起こしにくく、長年使用しても美観の維持に優れると共に、太陽光の隠蔽効果を長期間維持できる有機樹脂を使用するのが好ましい。
このような樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等を始めとする各種有機樹脂が挙げられ、それらのいずれか1種を用いればよいが、2種以上を混合して用いても構わない。これらの有機樹脂の含有量は、固形分として塗膜の10〜90質量%の範囲とするのが好ましい。
樹脂中には、合成微粉シリカ、有機ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の増粘剤、メラミン系、ベンゾグアナミン系、イソシアネート系等の架橋剤、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩等の分散剤、防汚用の光触媒等を含有させても構わない。
反射性塗膜の厚さは3〜200 μmの範囲が好ましい。3μmより薄い塗膜は色相が安定しないことがある。この塗膜の厚さはより好ましくは7μm以上である。塗膜の厚さが200 μmを超えると、加工時に塗膜の剥離や割れが生じることがあるうえ、複数回の塗装作業を必要とするようになり、経済性も劣る。より好ましくは50μm以下である。
内層塗膜としての下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜には、通常、太陽熱を吸収し易い顔料が含有されている。従って、これらの内層塗膜の反射性顔料の含有量が2%に満たない場合は、太陽熱反射性を阻害しないように、その厚さは薄い方が好ましく、200 μm以下とするのがよい。より好ましくは50μm以下である。
本発明の塗装金属板の外層塗膜は、使用する塗料にアルミフレーク (鱗片状アルミニウム顔料) を配合してメタリック塗膜としたり、艶消し剤を配合して艶消し塗膜としたり、任意の意匠性を付与することができる。また、反射性塗膜は本発明の塗装金属板の外層塗膜、即ち、最上層として設けるのが好ましいが、例えばアルミフレークを配合したメタリック塗装とする場合などは、必要に応じて反射性塗膜の上に顔料を含まないクリアー層、または顔料を僅かに含む半透明な層を設けても構わない。
(2) 太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上の塗膜
この場合の塗膜も、20%以上のTE/NIR を確保するため、0.8 〜2.1 μmの近赤外線領域での太陽熱吸収率が高くならないように塗膜を構成する点を除けば、基本的には上記の太陽熱反射性塗膜と同様でよい。
顔料としては、反射性顔料について列挙したような種類の顔料があるが、その中で近赤外線領域での光の吸収率が低く、透過率が高い顔料を使用すればよい。顔料の平均粒径や塗膜厚みが大き過ぎると、塗膜の太陽熱透過率が低下するので、顔料の平均粒径は20μm以下の範囲が好ましく、塗膜厚みは1〜100 μmの範囲とすることが好ましい。バインダーとして用いる有機樹脂や塗膜に存在させる添加物は、塗膜の近赤外線領域での太陽熱透過率を阻害しないように選択することが好ましい。
前述したように、反射性顔料を2〜70質量%含有する反射性塗膜であっても、顔料の種類や粒径、塗膜厚みその他の条件を適当に選択すると、TE/NIR が20%以上の太陽熱透過性の塗膜とすることができる。
(3) 耐汚染性塗膜
前述したように、本発明の塗装金属板の日射面に汚染物質が付着して汚れると、太陽熱反射性が低下し、目的とする遮熱性能も低下する。従って、長期の性能保持のために、日射面の表面に耐汚染性を付与することが有利である。
屋外で使用する塗装金属板に付着する汚染物質は、ほとんどが疎水性の物質である。従って、日射面の汚染を抑制するには、疎水性の汚染物質が付着しにくいように、日射面の表面の水濡れ性を良くするのがよい。表面の水濡れ性を良くすれば、疎水性の汚染物質は表面に強く付着できず、降雨時に容易に洗い流されるので、汚染物質が蓄積することがない。このような水濡れ性を確保するには、日射面の表面の水に対する接触角が60°以下となるようにすればよい。水に対する接触角が60°以下という親水性の塗膜は、バインダーの一部または全部として、水酸基やカルボニル基等の極性基を有する親水性の有機樹脂を使用することにより得ることができる。接触角を調整するには、樹脂の極性基の種類や量を変化させるか、2種以上の樹脂を併用すればよい。
逆に、降雨時の雨滴に含有されることがある汚染物質が日射面に付着するのを妨げるため、日射面の表面を疎水性にして、雨滴が日射面に付着しにくくするのも、日射面の汚染を防ぐのに有効な方法である。このためには、日射面の表面の水に対する接触角を90°以上にすることが好ましい。水に対する接触角が90°以上という疎水性の塗膜は、バインダーとしてポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂といった非極性の有機樹脂を使用することにより得られる。
本発明の塗装金属板に上記手段で耐汚染性を付与する場合、表面に現れる外層の太陽熱反射性塗膜のバインダー樹脂を親水性または疎水性の樹脂にして、この塗膜の水に対する接触角が60°以下または90°以上になるようにしてもよい。即ち、外層の太陽熱反射性塗膜それ自体に耐汚染性を付与するのである。ただし、この手法では、太陽熱反射性塗膜に使用するバインダー樹脂種が制限され、コスト高になったり、加工性、耐食性などの他の性能が所望レベルに達しないことがある。
別の態様として、太陽熱反射性塗膜の上に、水に対する接触角が60°以下または90°以上の表面を有する耐汚染性塗膜を別に形成することができる。この耐汚染性塗膜は、前述したように親水性または疎水性のバインダー樹脂を使用して形成することができる。その場合、耐汚染性塗膜の厚みは 0.5〜50μmとするのがよい。厚みが0.5 μmに満たないと耐汚染性改善効果が小さく、50μmを超えると太陽熱反射性が阻害されることがある。この耐汚染性塗膜は、顔料を含有しないクリアー塗膜でよいが、太陽熱反射性あるいは太陽熱透過性を阻害しない限り、顔料を含有させることもできる。
(4) 裏面側の塗膜
本発明の塗装金属板は、基板の日射面となる側の片面だけに上述した反射性塗膜または太陽熱透過性の塗膜を有していればよい。室内の方を向く、基板の日射面と反対側の面(裏面)については特に制限されない。この裏面は必ずしも塗装面とする必要はないが、好ましくは放射率が70%以下の面とする。
塗装金属板を建築用外装材として用いた場合、吸収された太陽熱は、室内空気の対流による伝導と、裏面からの放射により室内に伝達され、室内空気温度を上昇させる。従って、裏面からの室内への放射を抑制すれば、室内空気温度の上昇を抑制することが可能である。つまり、裏面の放射率を小さくすればよい。
放射率は、分光反射率の測定と前述の式(3) により求めることができる。裏面の放射率が70%を越えると、室温の上昇が著しくなるので、この放射率を70%以下、特に50%以下とすることが有利である。
裏面の放射率を小さくするには、裏面の金属面にクリアー塗装を施すか、裏面の外層塗膜として、上述した反射性顔料の1種類以上を合計で2〜70質量%含有する塗装(即ち、日射面側と同じ塗装でよい)、またはアルミニウムペイントの塗装を施すことが有効である。
アルミニウムペイントとは、鱗片状アルミニウム顔料を含有する塗料のことであり、鱗片状アルミニウム顔料を2〜30質量%含有させた塗膜が適当である。鱗片状アルミニウム顔料は、同じ含有量で比べた場合に、他の顔料より放射性を小さくすることができる。この放射率の小さい塗膜の厚みは1〜20μmの範囲とすることが好ましい。その場合、塗膜中の鱗片状アルミニウム顔料の含有量は0.05〜1.5 g/m2の範囲内であることが好ましい。この含有量が0.05 g/m2 より少ないと、十分に小さい放射率を得ることができず、1.5 g/m2を越えると加工時に塗膜の剥離や割れが生じることがある。
この放射率の小さい裏面側の塗膜にも、反射性塗膜について説明したのと同様に、上記の顔料以外に、着色顔料、防錆顔料や体質顔料を含有させても構わない。また、顔料を保持するバインダーとしては、反射性塗膜と同様の有機樹脂を使用するのが好ましい。さらに、反射性塗膜と同様に分散剤等の添加物を含有させてもよい。
基板
金属基板としては、用途に必要な特性を備えた任意の金属板を使用することができ、その種類や化学組成は特に制限されない。例えば、低炭素鋼、高炭素鋼、高張力鋼板などに使用される低合金鋼からなる鋼板、あるいはこれらの鋼板を母材とするめっき鋼板、さらにはステンレス鋼板やアルミニウム板などが例示される。
基板の日射面に形成する塗膜が反射性塗膜である場合には、基板の種類によらず、太陽熱反射性が高い塗装金属板を得ることができる。従って、耐食性、強度等の塗装金属板に求められる特性を考慮して基板を選択すればよい。この場合に好ましい基板は、めっき鋼板、特に耐食性に優れたZn系めっき鋼板 (純ZnめっきまたはZn系合金めっき鋼板) およびAl系めっき鋼板である。但し、後述するように反射性塗膜のTE/NIR が20%以上と高い場合には、基板として太陽熱反射率の高いものを選ぶと、さらに高い太陽熱反射性を有する塗装金属板とすることができる。
基板の日射面に反射性顔料を含有する塗膜を形成しても、この塗膜の膜厚や、顔料の含有量によっては、近赤外線領域での塗膜の隠蔽力が不足し、太陽熱反射性塗装金属板としての太陽熱反射性が十分ではないことがある。これは、近赤外線は可視光線に比べ塗膜の透過率が高いことに起因する。このような場合には、基板として近赤外域の太陽熱反射性の良いものを使用し、基板からの太陽熱反射性を利用して塗装金属板の反射性を高めるのが有効である。このように、太陽熱反射性の高い金属基板を用いて、基板からの反射を利用して太陽熱反射性の高い塗装金属板を得る場合には、塗膜を太陽熱透過率TE/NIR が20%以上の塗膜とする。この塗膜が太陽熱反射性であると、塗装金属板の太陽熱反射性はさらに高まる。
具体的には、日射面に形成した塗膜の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上である場合には、太陽熱反射性は基板の反射性の影響を大きく受けるようになる。その場合、 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上である基板を用いると、日射面の太陽熱反射性の高い塗装金属板となる。RE/NIR が40%に満たない場合には、日射面側の塗装面の反射性が低下する。好ましくは、基板のRE/NIR は50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
基板がめっき鋼板である場合、めっき種は特に限定するものではないが、太陽光に対する反射性がよく、基板のRE/NIR が40%以上になることと、めっき作業の経済性から、Al−Zn系、Al−Mn系、Al−Si系等が好適である。中でも、アルミニウムを50質量%以上含有するめっき皮膜を備えたものが好適であり、純アルミニウムめっきでもよい。めっき皮膜には、さらに、適量のNi、Cr、Fe、Co等の合金元素を含有させても構わない。このようなめっき皮膜は、太陽熱反射性が高いうえに、基板の防食性や経済性にも優れるという特長を有する。なお、Zn系めっき鋼板でも、RE/NIR が40%以上となる場合がある。
めっき皮膜の付着量は任意であるが、0.01μm以上の厚さのめっき皮膜が、太陽熱反射性が良好になるので好ましい。めっき方法は任意であり、電気めっき法、溶融めっき法、溶融塩電解めっき法、蒸着めっき法など、公知の任意のめっき方法を採用できる。
基板には、塗装金属板の耐食性、塗膜密着性などの長期耐久性を向上させるために、内層塗膜(例、下塗り、中塗り)以外に、塗布型、反応型等のクロメート処理皮膜や、りん酸塩処理皮膜など、公知の塗装前処理皮膜を形成してもよい。しかし、これらの前処理皮膜は太陽熱反射性を損ない、また放射率を増大させる傾向があるので、塗装前処理皮膜の付着量は、密着性などの改善効果が得られる範囲で少ない程よい。
前処理皮膜の付着量は、クロメート処理皮膜であれば金属クロム換算で200 mg/m2 以下、より好ましくは100 mg/m2 以下とするのがよい。りん酸塩処理皮膜の場合の付着量は、5.0 g/m2以下、より好ましくは3.0 g/m2以下とするのがよい。これを超えると、太陽熱反射性を阻害するうえ、金属板を加工する際に塗膜の割れや剥離が生じることがあるので好ましくない。
密着性改善などの効果を得るには、前処理皮膜の付着量を、クロメート処理の場合は5mg/m2 以上、より好ましくは20 mg/m2以上とするのがよい。りん酸塩処理の場合は0.2 g/m2以上、より好ましくは0.5 g/m2以上とするのがよい。
基板がステンレス鋼板またはアルミニウム板である場合も、塗膜との密着性を高めるために公知のクロメート処理を施してもよく、その場合は上記の範囲の付着量とすればよい。
製造方法
本発明の太陽熱反射性の塗装金属板の製造方法は特に限定されないが、上述した反射性顔料とバインダーの有機樹脂を溶媒中に含有させた塗料を、基板の片面または両面に塗布し、乾燥し、必要であれば熱硬化させて反射性塗膜を形成することにより製造するのが好ましい。
塗料に用いる溶剤については特に限定はなく、有機樹脂に合わせて、慣用の溶剤から適宜選択して用いればよい。溶媒としては、水、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が例示されるが、これらに限られるものではない。樹脂は、溶媒に溶解していても、或いはエマルジョン樹脂のように溶媒に分散ないし懸濁しているものでもよい。塗料には、前述の体質顔料、架橋剤、分散剤等を配合させることができる。
塗料の塗布方法は公知の方法で行えばよく、例えば、スプレーコート、ロールコート、カーテンフローコート、バーコート等の方法が適用できる。塗装後は、熱風オーブン、誘導加熱オーブン等の公知の手法で乾燥および冷却すればよい。これらの処理は、公知の塗装設備を用いて施すことができる。
基板に塗料を塗布する前に、前述したように、基板には塗装前処理、下塗り、中塗りを適宜施してもよく、或いはその一部または全部を省略してもよい。さらに、中塗り用の塗料にも反射性顔料を含有させることも可能である。
また、裏面側は、日射面側と同じ塗装を施してもよく、或いは別の塗装を施してもよい。別の塗装に用いる顔料は、前述したように裏面側の放射率を低くするようなものを選択することが好ましい。裏面側の塗装も上記と同様に施すことができる。
本発明の塗装金属板は、前述したように屋根材、外壁材などの建築用外装材として最適であり、加工性にも優れているので、折り曲げ、絞り等により必要な形状に加工して製品とすることができる。
基板として、厚さ0.80 mm の冷間圧延鋼板の母材に、12%Ni−88%Zn合金電気めっき (付着量30 g/m2)、10%Fe−90%Zn合金電気めっき (付着量30 g/m2)、または55%Al−45%Zn合金溶融めっき (付着量60 g/m2)を施した、3種類の両面めっき鋼板 (付着量は片面当たり) を使用した。これらの基板の 0.8〜2.1 μmの波長領域での分光反射率を分光光度計により測定し、太陽熱反射率RE/NIR を求めた結果を表1に示す。
基板の日射面側の塗膜に含有させる顔料として、
(1) RE/NIR が2%、平均粒子径が0.02μmのカーボンブラックMA-100 [三菱化学製](符号「CB」) 、
(2) RE/NIR が5%、平均粒子径が3μmの鉄黒BL-100 [チタン工業製](符号「FB」) 、
(3) RE/NIR が15%、平均粒子径が0.5 μmの複合酸化物顔料タイピロキサイドブラウン#9290[大日精化工業製](符号「TB」) 、および
(4) RE/NIR が15%、平均粒子径が0.3 μmの有機顔料クロモファインブラックA1103[大日精化工業製)(符号「AB」) 、
の4種類の黒色顔料を用意した。これらのうち(3) と(4) が反射性顔料であり、(1) と(2) は比較用の顔料である。
上記のいずれかの顔料を40重量部、バインダーとしてポリエステル樹脂を60重量部、メラミン系架橋剤10重量部を配合し、溶剤の適量のシクロヘキサノンと一緒にボールミルを用いて分散混合し、塗料を調製した。
これらの塗料を、上記の各種の基板に、表1に示す乾燥膜厚になるようにロールコート法で塗布し、240 ℃で60秒間焼き付けて、日射面側の塗膜を形成した。下塗りと中塗りは行わなかった。日射面側の塗膜はいずれもマンセル記号N-1.5 の黒色外観を有するものであった。
この日射面に施した各塗膜の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱透過率TE/NIR を、単離した塗膜を用いて分光光度計で測定した分光透過率から求めた。塗膜の単離は、酸に塗装金属板を浸漬し、金属板を溶解することにより行った。また、めっき鋼板上の各塗膜の表面の 0.8〜2.1 μm波長領域での太陽熱反射率RE/NIR を、分光光度計で測定した分光反射率から求めた。これらの測定結果も表1に示す。
一方、塗装金属板の裏面側の塗膜に含有させる顔料として、
(5) 白色酸化チタン顔料タイペークCR-90[石原産業製、平均粒子径0.4 μm)(符号「TI」) 、および
(6) 鱗片状アルミニウム粉0700M[東洋アルミニウム製](符号「AL」)
を用いた。
白色顔料(5) の場合は、この顔料を40重量部、バインダーとしてポリエステル樹脂60重量部、メラミン系架橋剤10重量部を配合し、溶剤の適量のシクロヘキサノンと一緒にボールミルを用いて分散混合し、塗料を調製した。この塗料を各種基板に乾燥膜厚が5μmとなるようにロールコート法で塗布し、240 ℃で60秒間焼き付けて、裏面側の白色塗膜を形成した。
鱗片状アルミニウム粉(6) については、これを5重量部、バインダーとしてポリエステル樹脂100 重量部、メラミン系架橋剤10重量部を配合し、溶剤の適量のシクロヘキサノンと一緒にボールミルを用いて分散混合し、塗料を調製した。この塗料を、各種基板に、アルミニウム粉 (アルミ顔料) の含有量が表1に示す量になるような膜厚でロールコート法で塗布し、240 ℃で60秒間焼き付けて、裏面側のメタリック色の塗膜を形成した。
表1に、得られた塗装金属板の基板、日射面と裏面の塗膜構成を示す。
この塗装金属板の裏面側については、 4.5〜25μmの波長領域での分光反射率を測定すると共に、JIS R3106 に規定されるプランクの熱放射スペクトル分布において絶対温度293 Kとした場合の相対値から裏面の放射率を求めた。この値も表1に示す。
上記の塗装金属板から長さ:150 mm、幅:200 mmの試料を切り出し、図1に示すように、開口部を有する保温容器の開口部に日射面を外側に向けてはりつけ、試料を日射に曝して保温容器内部の温度上昇に及ぼす試料の影響を調査した。
図1に示した保温容器6は、開口部以外の側壁部は断熱性がよいように構成されており、試料は開口部に貼り付けられて、屋外で試料面に日射が同一角度で照射されるように日射に対して追従する装置 (図示せず) 上に配設される。保温容器6の内部には熱電対4が設置されており、熱電対4を外部に設けた記録計5に接続し、保温容器6の内部の温度変化を測定できるようになっている。測定された最高到達温度を表1に示す。
Figure 2004257243
表1からわかるように、日射面側の塗膜の外層に反射性顔料を含有させた本発明例の塗装金属板では、顔料が太陽熱反射性ではない比較例に比べて、保温容器6の内部の最高到達温度が概ね10℃以上低くなり、良好な太陽熱反射性を示した。中でも、塗膜の太陽熱透過率TE/NIR が25%と高く、かつ基板の太陽熱反射率RE/NIR が73%と非常に高い試料7が、最も良好な性能を示した。
裏面側の塗膜における顔料の添加量は、酸化チタン(TI)が40重量部、鱗片状アルミニウム顔料(AL)が5重量部と、後者の方がずっと少ない。そのため、AL付着量が非常に少ない試料8、9では、裏面の放射率が試料1〜7より小さくなっているが、このAL顔料の付着量が0.05 g/m2 以上では放射率が70%以下になった。AL顔料の付着量が1.2 g/m2と十分であれば、TIよりなお顔料の付着量は少ないにもかかわらず、放射率は10%と非常に小さくなった。
本実施例では、実施例1において表1の試験番号7 (本発明例) または試験番号2 (比較例) として示した塗装金属板に基づいて、太陽熱反射性塗膜のバインダー樹脂を変更し、および/または上に耐汚染性塗膜を形成して、耐汚染性を調査した。本実施例で作製した供試材は次の通りである。
(1) バインダーのポリエステル樹脂の極性基の量を調整して、水に対する接触角が55°、65°または85°となる太陽熱反射性塗膜を形成した以外は、試験番号7と同様の塗膜と基板からなる塗装金属板を作製した。これらを試験番号11〜13 (接触角は順に55、65および85°) とする。
(2) バインダーの有機樹脂として、ポリエステル樹脂に代えて、フッ素樹脂を用いた以外は試験番号7と同様の塗膜と基板からなる塗装金属板を作製した (試験番号14) 。この塗膜表面の水に対する接触角は95°であった。
(3) 試験番号7で得た太陽熱反射性塗膜の上に、水に対する接触角が55°の皮膜を形成できるポリエステル樹脂塗料を乾燥膜厚が3μmになるように塗装し、乾燥して、クリアー塗膜を形成した (試験番号15) 。
(4) 試験番号7で得た太陽熱反射性塗膜の上に、フッ素樹脂塗料を乾燥膜厚が3μmになるように塗装し、乾燥して、水に対する接触角が95°のクリアー塗膜を形成した (試験番号16) 。
(5) バインダーのポリエステル樹脂の極性基の量を調整して、水に対する接触角が55°または65°となる太陽熱反射性塗膜を形成した以外は、試験番号2と同様の塗膜と基板からなる塗装金属板を作製した。これらを試験番号17および18とする。
以上の試験番号11〜18の塗装金属板の供試材を、水平面から45°傾斜させて、屋外に3カ月間曝露した後、表面の汚れを落とさず、そのままの状態で、曝露面を上面にして、図1に示すように、保温容器6の上面に貼り付け、実施例1に説明したように屋外にて日射に曝して容器内の温度上昇を測定した。表2に最高到達温度を、塗装金属板の反射率と一緒に示す。
Figure 2004257243
表2からわかるように、本発明例である試験番号7をベースにした、試験番号11〜16の塗装金属板は、表面の水に対する接触角に関係なく、いずれも試験番号7のものと同様に太陽熱反射性が高く、保温容器内の温度上昇が低く、遮熱性に優れていた。一方、比較例である試験番号2をベースにした塗装金属板は、試験番号2と同様に、太陽熱反射性が低く、遮熱性に劣っていた。即ち、耐汚染性を付与するためのバインダー樹脂の変更やクリアー塗膜の上塗りは、太陽熱反射性には著しい影響を及ぼさない。
耐汚染性に関しては、表面の水に対する接触角が60°以下または90°以上である試験番号11、14、15、16および17では、基本となる表1の試験番号7(表2の試験番号11〜16の場合)または試験番号2(表2の試験番号17〜18の場合) に比べて、3カ月の屋外暴露後の遮熱性の低下が小さく、耐汚染性がよいために、汚染物質の付着が少なく、太陽熱反射性の低下、従って遮熱性の低下が少なかったことがわかる。一方、この接触角が65°または85°であった試験番号12、13、18では、屋外暴露後の遮熱性の低下が大きく、上記に比べて耐汚染性が劣っていたことがわかる。
表面処理金属板の反射性を測定する装置の断面図である。
符号の説明
1:太陽光、2:反射層、3:基板、4:熱電対、
5:記録計、6:保温容器

Claims (8)

  1. 金属基板に塗装を施した塗装金属板であって、日射を受ける面の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%以上であることを特徴とする、太陽熱反射性の塗装金属板。
  2. 日射を受ける面に、 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が10%以上の顔料を2〜70質量%含有する少なくとも1層の太陽熱反射性塗膜を備えた、請求項1記載の塗装金属板。
  3. 金属基板の日射を受ける面の 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が40%以上であり、かつその面に 0.8〜2.1 μmの波長領域での太陽熱透過率 (TE/NIR ) が20%以上である顔料含有塗膜を有する、請求項1または2記載の塗装金属板。
  4. 金属基板がアルミニウムを50質量%以上含有するめっき皮膜を有するめっき金属板である、請求項3記載の塗装金属板。
  5. 塗装金属板が2層以上の塗膜を備え、少なくとも外層塗膜が該太陽熱反射性塗膜であり、その内側の塗膜厚みが200 μm以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の塗装金属板。
  6. 日射を受ける面の表面の水に対する接触角が60°以下または90°以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の塗装金属板。
  7. 日射を受ける面の表面が太陽熱反射性塗膜からなり、この塗膜の水に対する接触角が60°以下または90°以上である、請求項2〜6のいずれかに記載の塗装金属板。
  8. 太陽熱反射性塗膜の上に、水に対する接触角が60°以下または90°以上で、厚さ 0.5〜50μmの皮膜を有する、請求項2〜6のいずれかに記載の塗装金属板。
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