JP2002234460A - アルミニウム合金製自動車ルーフパネル - Google Patents

アルミニウム合金製自動車ルーフパネル

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JP2002234460A
JP2002234460A JP2001032178A JP2001032178A JP2002234460A JP 2002234460 A JP2002234460 A JP 2002234460A JP 2001032178 A JP2001032178 A JP 2001032178A JP 2001032178 A JP2001032178 A JP 2001032178A JP 2002234460 A JP2002234460 A JP 2002234460A
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panel
heat
roof panel
emissivity
roof
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JP2001032178A
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Masahiko Mitsuda
正彦 満田
Masaaki Tsubota
賢亮 坪田
Haruyuki Konishi
晴之 小西
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ルーフへの太陽放射の遮熱性に優れ、車内
の発熱量を低減して、エアコンの容量を小さくできるア
ルミニウム合金製自動車ルーフパネルを供することを目
的とする。 【解決手段】 アルミニウム合金製自動車ルーフパネ
ルであって、パネルのいずれかの片面、または両面の放
射率εを0.01〜0.20の範囲とし、太陽放射による侵入熱
量の遮熱性を高めたことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の詳細な説明〕
【0002】
【従来の技術】周知の通り、外気温度にかかわらず自動
車の車内を快適な温度にするために、自動車にはエアコ
ン (空調機) が設けられている。
【0003】ただ、真夏の南中時には、太陽放射の照射
によって最大で1111W/m2もの熱量が照射され、大気温度
も約40℃程度の高温となるために、侵入熱量が大きく、
自動車の車内を25℃程度の快適な温度に保持するために
は、どうしてもエアコンの容量を大きくせざるを得な
い。
【0004】自動車車内の発熱源は、自動車のルーフ
(天井) への太陽放射、大気からの対流加熱、車内搭乗
者の体温などであるが、前記自動車のルーフへの太陽放
射が発熱量としての約半分を占める。したがって、自動
車のルーフへの太陽放射による車内への侵入熱量を抑制
することができれば、エアコンやエバポレータの容量を
小さくして、車体の軽量化を図ることができる。
【0005】現状の自動車ルーフは塗装された鋼板パネ
ルからなっている。しかし、この塗装された鋼板パネル
では、自動車のルーフへの太陽放射の一部をルーフの再
放射ではね返すものの、太陽放射の約90% 以上を吸収し
てしまう。このため、太陽放射による車内への侵入熱量
が多くなり、前記した通り、自動車のルーフへの太陽放
射が自動車車内の発熱量の多くを占める結果となる。
【0006】これに対し、従来から、主として、前記塗
装の塗料などを改善して、ルーフへの太陽放射を反射す
る、あるいはルーフ内側に断熱材を配置して遮熱するこ
とが図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、塗装塗料の太
陽放射の遮熱改善には限界がある。また、断熱材も車体
設計や軽量化の点から配置量には制約があり、太陽放射
の遮熱改善には限界がある。このため、これら従来技術
では、エアコンの容量を小さくして、車体の軽量化を図
るまでの大きな改善効果は望めない。
【0008】したがって、本発明の目的は、ルーフへの
太陽放射の遮熱性に優れ、車内の発熱量を低減して、エ
アコンの容量を小さくできるアルミニウム合金製自動車
ルーフパネルを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明自動車ルーフパネル請求項1 の要旨は、アル
ミニウム合金製自動車ルーフパネルであって、パネルの
いずれかの片面、または両面の放射率εを0.01〜0.20の
範囲とし、太陽放射による侵入熱量の遮熱性を高めたこ
とである。
【0010】本発明では、Al合金製自動車ルーフパネル
面の放射率εを特定することにより、ルーフパネルの太
陽放射の遮熱性を高め、太陽放射に基づく車内の発熱量
を低減して、エアコンの容量を小さくできることを知見
した。
【0011】ここで、ルーフパネル面の放射率εとは、
特定温度でAl合金板が放射するエネルギー (熱放射の輝
度) と、同じ温度の黒体が放射するエネルギー (熱放射
の輝度) との比である。物体の放射するエネルギーは、
εσT4 (ε; 放射率、σ; ステファンボルツマン定数、
T;温度) で表され、通常は、黒体の放射率εを1 として
取り扱うため、Al合金板面の放射率εは、0 〜1 までの
値となる。本発明では、このAl合金板面の放射率εか
ら、前記遮熱性に優れるAl合金製自動車ルーフパネル面
の最適範囲を選択した。
【0012】また、請求項2 の要旨のように、前記Al合
金製ルーフパネルを、ルーフアウターパネルに対して内
側に設けられる、インナーパネルとして用いることによ
って、アウターパネルが現状の塗装鋼板パネルあるいは
塗装Al合金パネルからなり、ルーフへの太陽放射の約90
% 以上を吸収したとしても、インナーパネルによって、
車内への侵入熱量の遮熱性を高めることが可能であり、
太陽放射に基づく車内の発熱量を低減して、エアコンの
容量を小さくできる。
【0013】そして、請求項3 の要旨のように、このAl
合金製ルーフパネルを、パネルの片面または両面方向
に、エンボス成形による多数の凹凸を設けたエンボス加
工パネルとすることによって、請求項4 の要旨のよう
に、パネル (Al合金板) の板厚が0.4mm 未満の薄肉であ
っても、高剛性化が図れ、Al合金製ルーフパネルの軽量
化が図れる。
【0014】また、本発明に用いるAl合金としては、請
求項5 の要旨のように、AA乃至JIS規格に規定された300
0系Al合金が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明Al合金製ルーフパネ
ルの実施態様について具体的に説明する。
【0016】図1 は自動車車体におけるルーフパネル1
を示す斜視図である。ルーフパネル1 は、ルーフ補強材
5 を介して、自動車車体を構成するルーフサイドレール
6 に取り付けられる。ここにおいて、図1 の上部 (ルー
フパネル1 の外側) から太陽放射が自動車ルーフへ当た
り、車体内部7 への侵入熱となって、車体内部を高温化
させる。
【0017】この図1 において、本発明では、ルーフパ
ネル1 自体を、いずれかの片面または両面の放射率εを
0.01〜0.20の範囲としたAl合金パネル (成形板) とす
る。これによって、従来の塗装された鋼板ルーフパネル
に比して、ルーフパネルへの太陽放射を著しく遮熱する
ことができる。
【0018】また、図1 における別の本発明実施態様と
して、ルーフパネル (アウターパネル)1は、塗装された
亜鉛メッキなどの表面処理鋼板パネルやAl合金パネルと
し、内側に設けられるインナーパネル2aとして前記両面
乃至片面の放射率εを0.01〜0.20の範囲としたAl合金パ
ネルを用いる。これによって、アウターパネルで一旦吸
収された太陽放射をインナーパネル2aによって著しく遮
熱することができる。この態様によって、既存のフード
アウターパネルであっても、本発明に係るインナーパネ
ル2aを設ける簡単な改善で、遮熱性を向上できる効果が
ある。インナーパネル2aのアウターパネルとの接合は、
汎用されている接着剤などによる接着やボルトナットな
ど機械的な締結手段が適宜選択される。
【0019】勿論、他の態様として、ルーフパネル (ア
ウターパネル)1側にも、前記両面乃至片面の放射率εを
0.01〜0.20の範囲としたAl合金パネルを用い、インナー
パネル2aとともに、Al合金パネル同士の2 重パネルとし
ても良い。更に、ルーフパネル1 やインナーパネル2aの
全体を本発明Al合金パネルとせずとも、サンルーフなど
のように特定の必要遮熱部位を選択し、その部位のみを
部分的に本発明Al合金パネルとしても良い。
【0020】但し、ルーフパネル1 自体をAl合金パネル
とした場合には、いずれかの片面または両面の放射率ε
を調節した前記Al合金パネル面が、本発明で規定する放
射率εの範囲を逸脱しないように、ルーフパネル1 の放
射率εを調節した面は、基本的に無塗装 (Al合金パネル
の素地のまま) の状態で使用する。塗装は前記Al合金パ
ネル面の放射率εを上げる作用があり、通常のルーフパ
ネルに用いられる塗装では、必然的に放射率εが0.20を
越えてしまう。この点、塗装するにしても、前記Al合金
パネル面の放射率εの範囲を逸脱しないような塗装条件
で使用する必要がある。
【0021】また、インナーパネルとして使用し、イン
ナーパネルの外側面の放射率を調節して、遮熱面として
活用する場合は、インナーパネルの遮熱面(外側面)の
遮熱性能を向上させるために、アウターパネルであるル
ーフパネルとの間に、図1 や図2 に示す一定の間隔 (空
間)tがあることが好ましい。
【0022】なお、本発明では、ルーフパネル内側やル
ーフパネルとインナーパネルとの間の間隔 (空間)tを単
なる空間とする以外に、一定の遮熱材や断熱材層などを
配置して遮熱効果を上げることも許容するが、この場合
でも、前記インナーパネルの遮熱面の遮熱性能を向上さ
せるために、ルーフパネル乃至断熱材層との間に一定の
間隔があることが好ましい。
【0023】また、放射率を本発明規定としたインナー
パネルを使用する場合、インナーパネルは、図1 のよう
な平坦なパネル2aとしても、図2 に示すような、パネル
の片面または両面に、エンボス成形による多数の凹凸を
設けたエンボス加工パネル2bとしても良い。
【0024】本発明で言うエンボス板とは、平板状のAl
合金板に、ロールやプレス加工などによりエンボス (凹
凸) 加工を施し、板の片面または両面、板の全面または
必要部分に、規則的な或いは不規則な凹凸が多数乃至必
要数設けられているものを言う。インナーパネルを、こ
のようなエンボス成形による多数の凹凸を設けたエンボ
ス加工板とすることによって、前記した通り、高剛性化
や薄肉化による、軽量化が図れる。
【0025】なお、本発明に用いるエンボス加工板は、
凹凸の高さを1 〜2.5mm の範囲とすることが好ましい。
凹凸の高さが1mm 未満では、曲げ剛性が低下し、特に、
板厚が0.4mm 未満のエンボス加工板で、高い曲げ剛性が
得られない。一方、凹凸の高さが2.5mm を越えた場合、
エンボス加工の際の局所的な加工硬化が大きくなる。こ
のため、インナーパネルなどに成形する際の成形性が低
下し、特に、板厚が0.4mm 未満のエンボス加工板では、
成形高さが小さい場合にでも、割れが生じたり、しわが
生じ易くなる他、凹凸も潰れやすくなる。
【0026】また、凹凸の間隔 (エンボス間ピッチ)P
は、5 〜15mmの範囲とすることが好ましい。エンボス間
ピッチが5mm 未満では、エンボス加工の際の局所的な加
工硬化が大きくなる。このため、インナーパネルなどに
成形する際の成形性が低下し、特に、板厚が0.4mm 未満
のエンボス加工板では、成形高さが小さい場合にでも、
割れやしわが生じ易くなるし、凹凸も潰れやすくなる。
一方、エンボス間ピッチが15mmを越えた場合、曲げ剛性
が低下し、特に、板厚が0.4mm 未満のエンボス加工板
で、高い曲げ剛性が得られない。更に、凹凸の間隔が大
きいほど、遮熱面や放熱面への熱流束は小さくなる。
【0027】図3 は、アウター (ルーフ) パネル1 を塗
装された亜鉛メッキなどの表面処理鋼板パネルあるいは
Al合金パネルとし、放射率を本発明規定としたインナー
パネル2aに、板厚が薄い例として、Al箔を用いる場合を
示している。Al箔のように、板厚が薄い場合には、それ
自体に強度がないため、遮熱性能を持つ樹脂などの接着
剤層乃至フィルムA を介して、アウターパネル1 に固定
する。この態様によって、既存のフードアウターパネル
であっても、インナーパネル2aを設ける分の重量を増加
させずに、しかも簡便な改善で、遮熱性を向上できる効
果がある。
【0028】(放射率の規定)本発明における放射率規
定の意義を以下に詳述する。図4 、5 に示すように、ル
ーフパネル1 いずれかの片面または両面の放射率をε
1(外面側) 、ε2(内面側) 、インナーパネル2a両面の放
射率をε3(外面側) 、ε4(内面側) とする。
【0029】まず、ルーフパネル1 の外側面の放射率ε
1 を、本発明のように、0.20以下と小さくした場合、ル
ーフパネル面 (外面側) への太陽放射のほとんどを反射
するため、ルーフパネル面外側の遮熱面によって受ける
熱放射が少なくなる。この熱放射が少なくなると、ルー
フパネル中の通過熱流束も小さくなるため、ルーフパネ
ルの放熱面 (内側) の温度も低くなる。また、放熱面
(内側) から車内に対する放熱量も小さくなる。
【0030】また、インナーパネル2aの外側面自体の放
射率ε3 を、本発明のように、0.20以下と小さくした場
合、これによって、アウターパネルで一旦吸収された太
陽放射をほとんど遮熱することができる。この結果、イ
ンナーパネル2a中の通過熱流束も小さくなるため、イン
ナーパネル2aの放熱面 (内側) の温度も低くなる。ま
た、放熱面 (内側) から車内に対する放熱量も小さくな
る。
【0031】更に、ルーフパネル1 内側面の放射率ε2
やインナーパネル2a内側面の放射率ε4 を、本発明のよ
うに、0.20以下と小さくした場合、パネル中を通過する
熱流束 (侵入熱流束) も小さくなるため、パネル放熱面
(内側) から車内に対する放熱量も小さくなる。
【0032】したがって、ルーフパネル面の遮熱面 (外
側面) の放射率ε1 、ε3 や放熱面(内側面) の放射率
ε2 、ε4 は、前記0.01〜0.20の範囲から選択される、
できるだけ小さい値を選択することが好ましい。一方、
これら放射率が0.20を越えた場合、前記した遮熱効果が
著しく劣り、パネル放熱面から車内に対する放熱量も大
きくなり、従来の塗装鋼板製ルーフパネルと大差なくな
る。
【0033】但し、これら放射率を0.01未満とすること
は、後述する鏡面化などの表面研磨手法などによって
も、実現が困難である。このため、放射率εの下限は0.
01とする。
【0034】(放射率の制御)ルーフパネルの遮熱面や
放熱面の放射率εを下げる手段としては、Al合金パネル
の表面を平滑化する。特に、放射率εを0.2 以下に下げ
る手段としては、Al合金パネルの遮熱面や放熱面の表面
粗度をRaで0.40μm 以下のできるだけ鏡面とする。
【0035】なお、Al合金パネルの遮熱面の表面粗度を
Raで0.40μm 以下とするためには、Al合金パネルの遮熱
面表面を、Crメッキや鏡面加工したロールによるロール
加工、バフ加工などの機械的研磨、電解研磨あるいは化
学研磨などの適宜の鏡面加工により、平滑化する。
【0036】(放射率の測定)次に、図6 を用いて、ル
ーフパネルの遮熱面や放熱面の放射率εを測定する方法
を説明する。図6 は放射率測定装置を示す概略図であ
る。図6 において、放射率測定装置13は、下面に黒色塗
料層9 を被覆した電気ヒータ8 と、電気ヒータ8の下部
に一定距離をおいて配置した冷却床11と、これらを周囲
から囲む断熱層10とから基本的に構成される。
【0037】そして、冷却床11上に、測定対象の面であ
る、ルーフパネル1 面の遮熱面 (外側面、放射率ε1)や
放熱面 (内側面、放射率ε2 ) を上側に配置して (図6
では後述するエンボス加工Al合金パネル2bを図示してい
る) 、電気ヒータ8 から放射される一定の熱量Q に対す
る、ルーフパネル1 の温度と温度上昇量 (ルーフパネル
1 の通過熱量Q1) を、投入電力または冷却床11中の冷却
水12の温度上昇量 (冷却水量と上昇温度) から測定し
て、次式1 により、ルーフパネル1 の遮熱面や放熱面の
放射率ε1 、ε2 を測定する。
【0038】
【数1】 (但し、Q1;Al 合金パネル 1の通過熱量、σ; ステファ
ンボルツマン定数 5.67×10-8W/m2K4、T1; 黒色塗料層9
の温度、T2; ルーフパネル1 の温度、ε1;黒色塗料層9
の放射率 0.9、ε2;ルーフパネルの遮熱面または放熱
面の放射率) 。
【0039】また、エンボス加工ルーフパネル2bの遮熱
面 (外側面、放射率ε3)や放熱面 (内側面、放射率
ε4 ) の放射率は、上記のように測定したルーフパネル
1 の遮熱面または放熱面の放射率を利用し、前記冷却床
11上に、ルーフパネル2bの測定対象の面を上側に配置し
て、電気ヒータ8 から放射される一定の熱量Q に対す
る、ルーフパネル2bの温度と温度上昇量 (通過熱量Q2)
を、冷却床11中の冷却水12の温度上昇量 (冷却水量と上
昇温度) から測定して、次式2 により放射率ε3 、ε 4
を測定する。
【0040】
【数2】 (但し、Q2; エンボス加工ルーフパネル2bの通過熱量、
σ; ステファンボルツマン定数 5.67 ×10-8W/m2K4
T1; 黒色塗料層9 の温度、T3; ルーフパネル2bの温度、
ε1;黒色塗料層9 の放射率 0.9、ε3;ルーフパネル2bの
遮熱面2aまたは放熱面3aの放射率) 。
【0041】(適用Al合金)本発明で用いるパネル用のAl
合金板は、通常、強度や成形性に優れたAA乃至JIS 3000
系、5000系、6000系等のAl合金が適宜から選択して用い
られる。この中でも、特に、板の製造がしやすく、ルー
フパネルへの成形が容易な、3000系Al合金圧延板が好適
である。
【0042】(実施例)次に、本発明ルーフパネルの遮熱
性能を解析した結果を以下に示す。遮熱性能の解析は、
図4 に示す、ルーフパネル1 自体を、板厚1.0mm のAA30
04Al合金の無塗装平板の単一パネルとした場合と、図5
に示す、ルーフパネルをアウターパネル1 とインナーパ
ネル2aとの複合パネルとし、アウターパネル1 を板厚1.
0mm インナーパネル2aを板厚0.3mm のAA3004Al合金の無
塗装平板とした場合の2 つの例について行った。そし
て、これらの例について、各パネル両面の放射率を種々
変えた場合の遮熱性能を以下の伝熱計算モデルを用いて
解析した。
【0043】伝熱計算モデルでは、ルーフパネル (アウ
ターパネル)1の温度をT1、インナーパネル2aの温度を
T2、太陽放射からの熱放射量をQ rad 、ルーフパネル1
の再熱放射量をQ rerad 、車内への侵入熱放射量 (ルー
フパネル1 の通過熱放射量) をQ pen とした。また、ル
ーフパネル両面の放射率をε1(外面側) 、ε2(内面側)
、インナーパネル2a両面の放射率をε3(外面側) 、ε4
(内面側) とする。そして、車内の温度をTaとした。
【0044】ここにおいて、まず、ルーフパネル自体に
無塗装Al合金パネルを適用した場合(単一パネル) の遮
熱性能を後述する熱バランス式3 によって解析した結果
を表1 に示す。
【0045】また、同じ条件で、ルーフのアウターパネ
ルとインナーパネルとに無塗装Al合金パネルを適用した
場合 (複合パネル) の遮熱性能を後述する熱バランス式
4 によって解析した結果を表2に示す。
【0046】なお、表1 、2において、ルーフパネル面
の放射率εを0.05以下としている場合は、鏡面加工によ
りAl合金パネルの遮熱面の表面粗度をRaで0.40μm 以下
としている。更に、太陽放射からの熱放射量Q rad は一
定の1111W/m2とし、車内の温度Taも、車内のエアコン運
転による車内の温度一定保持を想定し、300K(27 ℃)と
一定にして計算している。
【0047】各Al合金パネルの肉厚が薄く、内外面の温
度差が無視でき、また、対流伝熱がない状態と仮定する
と、ルーフパネル自体をAl合金単一パネルとした場合の
熱バランス式は、次式3 となる。
【0048】
【数3】
【0049】また、同じ条件で、ルーフパネルとインナ
ーパネルとを複合Al合金パネルとした場合の熱バランス
式は、次式4 となる。
【0050】
【数4】
【0051】ルーフパネル自体をAl合金単一パネルとし
た表1 の発明例No.1〜3 から明らかな通り、片面または
両面の放射率εを0.01〜0.20の範囲としたAl合金パネル
を適用した場合、ルーフパネル外面側 (遮熱面側) 放射
率ε1 が低い方が (発明例No.2、3)、ルーフ温度 T1
低くなり、車内侵入熱流束Q pen が16.3〜30.9W/m2と低
くなる。
【0052】また、発明例No.2のように、ルーフパネル
内面側 (放熱面側) 放射率ε2 が低い方が、ルーフパネ
ル外面側放射率ε1 が0.2 以上と高く、ルーフ温度 T1
が高くなった場合でも、車内侵入熱流束Q pen は低くな
る。
【0053】したがって、ルーフパネル外面側か内面側
かのいずれかの放射率が低い、また、最適にはこの両方
を満足する場合に、車内への侵入熱放射量 (ルーフパネ
ル1の通過熱放射量) Q pen は低くなり、ルーフへの太
陽放射熱流束に対する車内侵入熱流束熱率(Q pen /Q
rad ) を3%以下に低くすることができる。
【0054】これに対し、両面の放射率εがいずれも0.
01〜0.20の範囲から外れて高い、表1 の比較例No.4、5
では、車内への侵入熱放射量Q pen が増大し、ルーフへ
の太陽放射熱流束に対する車内侵入熱流束熱率(Q pen /
Q rad ) は8.8%〜26.4% と、前記発明例No.1〜3 の1.5
〜2.8%に比して、著しく高くなっている。
【0055】更に、ルーフパネルとインナーパネルとを
複合Al合金パネルとした表2 の発明例No.6〜9 から明ら
かな通り、片面または両面の放射率εを0.01〜0.20の範
囲としたAl合金パネルを適用した場合、やはり、ルーフ
パネル外面側放射率ε1 やインナーパネル外面側放射率
ε3 が低い方が、ルーフ温度 T1 やインナーパネル温度
T2 が低くなる。また、ルーフパネル内面側放射率ε2
やインナーパネル内面側放射率ε4 が低い方が、車内侵
入熱放射量Q pen が低くなる。
【0056】したがって、いずれの場合でも、また、最
適にはこれらを組み合わせた場合に、車内への侵入熱放
射量 (ルーフパネル1 の通過熱放射量) Q pen は低くな
り、ルーフへの太陽放射熱流束に対する車内侵入熱流束
熱率 (Q pen /Q rad) を2%以下に低くすることができ
る。
【0057】これに対し、ルーフパネル1 とインナーパ
ネル2aの両面の放射率εがいずれも0.01〜0.20の範囲か
ら外れて高い表2 の比較例No.10 、11では、車内への侵
入熱放射量Q pen が高くなり、ルーフへの太陽放射熱流
束に対する車内侵入熱流束熱率 (Q pen /Q rad) も4.8
〜17% と高くなっている。
【0058】以上の実施例の解析結果から、Al合金製自
動車ルーフパネル面の放射率εを特定することにより、
ルーフパネルの太陽放射の遮熱性を高め、太陽放射に基
づく車内の発熱量を低減して、エアコンの容量を小さく
できることが分かる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、ルーフパネルの太陽放
射の遮熱性を高め、太陽放射に基づく車内の発熱量を低
減して、エアコンの容量を小さくできる。このため、自
動車の軽量化が図れ、自動車へのAl合金板の用途を大き
く拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るルーフパネルの一実施態様を示す
斜視図である。
【図2】本発明に係るルーフパネルの別の実施態様を示
す斜視図である。
【図3】本発明に係るルーフパネルの更に別の実施態様
を示す斜視図である。
【図4】本発明ルーフパネル遮熱性能解析の伝熱計算モ
デルを示す説明図である。
【図5】本発明ルーフパネル遮熱性能解析の伝熱計算モ
デルを示す説明図である。
【図6】ルーフパネル表面の放射率を測定する装置の概
要を示す説明図である。
【符号の説明】
1:ルーフパネル、2:インナーパネル、3:凸部、4:凹部、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 晴之 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 3D003 AA04 AA07 BB01 CA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金製自動車ルーフパネル
    であって、パネルのいずれかの片面、または両面の放射
    率εを0.01〜0.20の範囲とし、太陽放射による侵入熱量
    の遮熱性を高めたことを特徴とするアルミニウム合金製
    自動車ルーフパネル。
  2. 【請求項2】 前記ルーフパネルが、ルーフアウターパ
    ネルに対して内側に設けられる、インナーパネルとして
    用いられる請求項1に記載のアルミニウム合金製自動車
    ルーフパネル。
  3. 【請求項3】 前記ルーフパネルが、エンボス成形によ
    る多数の凹凸を設けられている請求項2に記載のアルミ
    ニウム合金製自動車ルーフパネル。
  4. 【請求項4】 前記ルーフパネルの板厚が0.4mm 未満で
    ある請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウ
    ム合金製自動車ルーフパネル。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム合金として、AA乃至JI
    S 規格に規定された3000系アルミニウム合金を用いる請
    求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金
    製自動車ルーフパネル。
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